説明

リング精紡機における回転可能な支持管体

【解決手段】 大きな長さのリング精紡機内における例えばスレッドガイドフラップ7のような作業器具のための、部分3、4に分割されている回転可能な支持管体5を、回転不能に、且つ僅かに互いに位置移動可能に互いに結合するために、これら部分3、4の端部1、2内へとピン状部8を挿入すること、これらピン状部8の端面が、断面において扇形の延長部10、10、10、10を有しており、これら延長部が、互い違いにずらされた状態で、互いの中へ差込み可能である。これら延長部10、10、10、10は、全深さにおいて互いの中へ係合してなく、従って、これら部分は、僅かに互いに位置移動可能に留まっている。これら延長部10、10、10、10の側面の間で、交差する、緩衝する、且つ磨耗を阻止する緩衝板12、13が挿入され得る。これら延長部10、10、10、10の外周面は、軸受半割りシェル14内において軸受けされている。これら部分3、4を、機械長手方向内において位置調節可能とするために、これら軸受半割りシェル14の内の1つの軸受半割りシェルが、カラー部17を備えられており、このカラー部が、これらピン状部8の内の一方のピン状部の溝部18内へと係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にリング精紡機におけるスレッドガイドフラップのための回転可能な支持管体であって、
この支持管体の部分が、回転不能に、且つ個別に、軸線方向に位置調節可能な連行体でもって結合されており、且つ、これら部分の間で、軸受内において回転可能に軸受けされている様式の上記支持管体に関する。
【背景技術】
【0002】
リング精紡機におけるスレッドガイドフラップは、これらスレッドガイドフラップが機械の全作業領域にわたって延在する、ほぼ90°だけ旋回可能である支持管体に固定されているというやり方で、個々に、しかしながら同様に集団でも開閉可能である。この支持管体は、多くの場合、回転不能に、且つ、限定された状態で軸線方向に位置移動可能に互いに結合されている、部分から成っている。結合部材として、通常はピン状部が使用され、これらピン状部が、管体端部内へと差込み可能であり、且つ、これら部分と強固にねじ止め可能であり、または、軸線方向の長手孔を介して回転不能に、軸線方向に位置移動可能に結合されている。この支持管体は、この機械に沿って、幾重にも回転可能に軸受けされている。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第195 03 042号明細書(特許文献1)は、支持管体に装着されたスレッドガイドフラップを、上方に旋回された状態で示している。イツ連邦共和国実用新案第77 12 562号明細書(特許文献2)は、他の、織物機械の、支持管体において開閉可能な作業器具の一例、即ちアンチバルーニングリングの潤滑のためのアームを示している。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第41 25 252号明細書(特許文献3)は、2つの軸の部片の間の連結装置を開示しており、これら部片の端面側が、互いの中へ差込み可能な形状賦与形態を有している。ヨーロッパ特許出願公開第0 008 995号明細書(特許文献4)内において、管体内に差込み可能な形状部片が示されている。これら傾斜を付けられた面が、回転負荷の際に、この管体に対して摺動作用を及ぼすので、これら面は、ただ特別な場合にだけ使用可能である。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第32 42 893号明細書(特許文献5)は、穿孔モータのための迅速解放連結装置に関している。この装置は、この装置から如何なる示唆もこの本願発明の意味において察知され得ない程に、本願発明の主題から遠くに位置している。
【0006】
スレッドガイドフラップのための支持体として、同様に、支持ロッド、または、機械に沿って延在するその他の構造部材も使用され得ることは自明のことである。以下で、従って支持管体という言い方をされた場合、これに伴って、同様に常に他の適当と思われる構造部材も意味されている。
【0007】
支持管体の部分は、互いに回転不能に結合されているべきであり、しかしながら、軸線方向に位置調節可能であるべきである。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第195 03 042号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国実用新案第77 12 562号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許出願公開第41 25 252号明細書
【特許文献4】ヨーロッパ特許出願公開第0 008 995号明細書
【特許文献5】ドイツ連邦共和国特許出願公開第32 42 893号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、これら部分を、遊隙無しに、回転不能に互いに結合すること、および、それぞれの個別の部分を、2つの接し合って当接する部分を収容する軸受を介して、軸線方向に位置調節可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の典型的な特徴部内において記述された特徴でもって解決される。支持管体の部分の端部に挿入された連行体における延長部によって、簡単な、しかしながら遊隙の無い、これら部分の結合が達成される。これら延長部は、同様に、これら部分の端部の、限定された状態での軸線方向の位置移動可能性も相互に許容し、この位置移動可能性によって、これら部分の間の許容差および熱膨張が補償される。それに対して、軸線方向に位置調節可能な軸受と、これらピン状部の内の一方のピン状部との間の、カラー/溝部−結合によって、所属するこの部分の軸線方向に位置は固定される。
【発明の効果】
【0010】
これら延長部の間に挿入可能な緩衝板は、衝撃を緩衝し、音響の伝播を遮断し、且つ、連行体における磨耗を防止する。
【0011】
図示された図において、本発明の1つの実施例が、概略的に示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1内において、支持管体5の、2つの部分3および4の、互いに向かい合わされた両方の端部1および2が認識可能であり、この支持管体の上に、スピンドルの上方に設けられたスレッドガイドフラップ7が、旋回可能に軸受けされており、且つ、個々にほぼ90°だけ、上方に旋回可能である。1つの機械側面のこの支持管体のこれら部分は、回転に対して互いに結合されており、従って、この支持管体の回転によって、ほぼ90°だけ、全てのスレッドガイドフラップが、共に、上方に傾倒可能である。このことは、例えば、自動的なボビン交換装置を用いての、全てのボビンの、共通の引出しのために必要である。この支持管体5の旋回運動は、機械のスターと時に、図示されていない周知の旋回装置によって行われる。
【0013】
支持管体5の部分3と部分4との間の回転連結を形成するために、これら部分の端部1、2内に、ピン状部8の様式の連行体が差込まれ、且つ、2つの、単にそれらネジの中心線9だけによって示唆されているネジを用いて固定されている。
【0014】
ピン状部のそれぞれの端部は、2つの、180°だけ互い違いにずらされた状態の、扇形の延長部10および10、もしくは10および10を担持しており、これら延長部が、互い違いにずらされた状態で、互いの中へ差込まれ得る。これら延長部の側面11は、これら側面の間に、2つの、交差する緩衝板12および13が挿入可能な程度に後退させられている。
【0015】
図1内において、上方に、部分3内においてピン状部8に装着している延長部10が、下方に、部分2内においてこのピン状部に装着している延長部10が図示されている。これら両方の延長部の間に、緩衝板12が位置している。これら両方の延長部の後方に、他方の緩衝板13が位置しており、且つ、この緩衝板13の後方に、他方の延長部10および10が位置している。両方の緩衝板12、13は、これら緩衝板の中心において、切欠き部を有しており、この切欠き部が、これら緩衝板と同じ位の幅であり、且つ、当該の緩衝板の中心に至るまで延在している。これら緩衝板は、従って、交差された状態で、互いの中へ差込まれ得る。これら緩衝板は、4つの延長部の間で、遊隙無しに位置している。
【0016】
延長部10の円筒形の外側面は、軸受半割りシェル14内において位置しており、これら軸受半割りシェルが、ねじ固定可能な蓋16を有する軸受体15内において保持されている。これら軸受半割りシェル14は、片側で、カラー部17を有しており、このカラー部が、ピン状部8の内の一方のピン状部内における、ここで部分3内において位置している溝部18内へと係合している。このカラー/溝部−結合は、このピン状部8の、およびこのピン状部と結合されている支持管体の部分3の、軸線方向の位置を固定し、これに対して、他方の支持管体の部分4が、僅かに軸線方向に位置移動可能に留まっている。即ち、これら延長部10は、全深さ内において、これら延長部の間の空隙内へと係合していない。
【0017】
溝部18は、均一性のために、両方のピン状部8に設けられており、これに対して、端部2内において位置する溝部は如何なる機能も有していない。運動学的反転において、軸受半割りシェル14が、溝部を有していることも可能であり、この溝部内へと、これらピン状部8の内の一方のピン状部のカラー部が係合することは、自明のことである。
【0018】
支持管体の部分本発明による結合は、類似の諸要件がこれら構造部材に課せられている場合、もちろん同様に精紡機の他の構造部材との結合においても使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】連行体およびこの連行体の収容部をを共に示した、スレッドガイドのための、支持管体の2つの部分の間の切り開かれた軸受部分の図である。
【図2】図1の面I−I内における、軸受部の断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 支持管体の部分の端部
2 支持管体の部分の端部
3 支持管体の部分
4 支持管体の部分
5 支持管体
7 スレッドガイドフラップ
8 ピン状部
9 固定ネジ
10 連行体
11 連行体の半径方向の面
12 緩衝板
13 緩衝板
14 軸受半割りシェル
15 軸受体
16 軸受蓋
17 カラー部
18 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精紡機のための、特にリング精紡機におけるスレッドガイドフラップのための回転可能な支持管体であって、
この支持管体の部分が、回転不能に、且つ個別に、軸線方向に位置調節可能な連行体でもって結合されており、且つ、これら部分の間で、軸受内において回転可能に軸受けされている様式の上記回転可能な支持管体において、
連行体が、支持管体(5)の部分(3、4)の端部(1、2)内へと差込み可能な、且つ固定可能なピン状部(8)から成り、
これらピン状部の相対して整向された端面側が、それぞれ2つの、互いの中へ係合する、断面において扇形の延長部(10、10、10、10)を有しており、その際、
軸受(14、15、16)が、軸線方向に位置調節可能であり、且つ、カラー部(17)を有しており、
このカラー部が、これらピン状部(8)の内の一方のピン状部の溝部(18)内へと係合しており、且つ従って、このピン状部の、およびこのピン状部と結合されたこれら部分(3、4)の、軸線方向の位置が固定されていることを特徴とする回転可能な支持管体。
【請求項2】
延長部(10、10、10、10)の半径方向の面(11)は、2つの、交差する緩衝板(12、13)が挿入可能な程度に後退させられていることを特徴とする請求項1に記載の回転可能な支持管体。
【請求項3】
緩衝板(12、13)は、衝撃を緩衝されていることを特徴とする請求項2に記載の回転可能な支持管体。
【請求項4】
緩衝板(12、13)は、耐摩耗性であることを特徴とする請求項2に記載の回転可能な支持管体。
【請求項5】
両方のピン状部(8)の延長部(10、10、10、10)は、延長部が、および従って支持管体(5)の部分(3、4)が、僅かに軸線方向に互いに位置移動可能である程度に、全深さ内において、互いの中へ係合していないことを特徴とする請求項1に記載の回転可能な支持管体。
【請求項6】
延長部(10、10、10、10)の円筒形の面は、軸受(14、15、16)によって旋回可能に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の回転可能な支持管体。
【請求項7】
軸受(15、16)は、それぞれに2つの軸受半割りシェル(14)を有していることを特徴とする請求項1に記載の回転可能な支持管体。

【図1】
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【公表番号】特表2009−507142(P2009−507142A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529517(P2008−529517)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008547
【国際公開番号】WO2007/028546
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】