説明

リンパ球枯渇剤をCTLおよびサイトカインと組合せる癌処置

細胞療法を化学療法と組合せる癌処置において、自己CD8 T細胞を患者から得、選択されたペプチド抗原を負荷した異種抗原提示細胞とそれらを接触させることによりex vivoで活性化して、それにより抗原特異的活性化細胞傷害性Tリンパ球を生成する。こうした活性化CTLを、クラドリビン若しくはデニロイキンジフチトクスのような非骨髄破壊的しかしリンパ球を枯渇する剤、ならびにインターロイキン−2およびインターフェロン−α−2b刺激性サイトカインを含んでなるリンパ球枯渇およびCTL維持レジメンとともに患者に投与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への交差引用
本出願は、2006年3月1日出願の米国仮出願第60/778,516号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、活性化細胞傷害性リンパ球、IL−2およびIFN−α−2bのようなサイトカイン、ならびにリンパ球枯渇剤(lymphodepleting agent)としてのクラドリビン若しくはデニロイキンジフチトクスの投与を伴う、患者における癌の処置方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の正しい認識を容易にするため、本節は、発明者に独特でありうる観察結果、結論および観点を包含する本発明の開発に至る歴史的および技術的背景を論考しうる。従って、本明細書の背景の声明は、従来技術の内容に関する承認として解釈されるべきでない。
【0004】
多数の治療が、多様な癌を処置するため開発された。これらの努力の多くは化学療法レジメンに集中してきた。転移性黒色腫の処置として設計された1種の特定の併用化学療法レジメンで、35〜50%の奏功率が「ダートマスレジメン」(DTIC、シスプラチン、BCNUおよびタモキシフェンの組合せ)で報告されたが、しかし生存期間は6ないし10か月のままであった。高寛解率は、積極的高用量強度化学療法(非特許文献1)、および自己骨髄移植での造血過多についてもまた報告されている。にもかかわらず、生存期間の中央値は短かった(およそ4か月(非特許文献2))。
【0005】
数年の桁での生存の有意の改善が、ある種の免疫療法を受けている黒色腫患者の小さい比率で示されている。これは、癌ワクチンでの能動的特異的免疫療法、ならびに、インターロイキン−2(IL−2)およびインターフェロン−α(IFN−α)のような免疫系の非特異的ブースターの使用を包含する(非特許文献3〜5)。
【0006】
黒色腫におけるT細胞に定義される腫瘍抗原の同定は、抗原特異的細胞性免疫応答を増強することを試みることにより癌細胞を標的とする臨床試験に至った。このアプローチは、強力なT細胞応答をin vivoで誘導するための試みにおいて、免疫原性の情況で抗原が送達される多数のワクチン接種戦略で遂行された。数種の臨床応答が該ワクチン試験で観察されたとは言え、誘導されるT細胞応答の大きさは一般に低いか若しくは検出不可能であり、そして臨床応答と乏しく相関した。黒色腫患者の癌抗原での免疫化は循環CTL前駆体の数を増大させうるが;しかしながらそれは臨床での腫瘍退縮と相関せず、in vivoでの機能若しくは活性化の欠陥を示唆している。
【0007】
マウス腫瘍モデルでの研究は、1種若しくはそれ以上の腫瘍抗原に特異的なT細胞のin vitro免疫化を必要とする養子免疫療法が、最小限の毒性を伴い有効でありうることを示した。ヒト腫瘍の処置にこの戦略を応用することにおける一障害は、腫瘍細胞をCTL媒介性破壊に対し感受性にする免疫原性抗原の同定であった。黒色腫患者からの腫瘍反応性T細胞の単離は、CTLが向けられる腫瘍抗原(エピトープ)のいくつかの同定に至った。これらはチロシナーゼ、MART−1/Melan A、gp100およびMAGEを包含する。これらのうち、チロシナーゼおよびMART−1は黒色腫でほぼ普遍的に発現されており、そして従って養子免疫療法の所望の標的選択を表す(非特許文献6〜13)。
【0008】
養子T細胞療法は、癌患者においてin vivoで免疫寛容誘発機構が活性である宿主環境からのT細胞の取り出しを必要とし、そして、この患者集団で示される無効な応答に寄与する。CD8 T細胞は抗原特異的CTLを生成するためにex vivoで刺激しうる(例えば特許文献1を参照されたい)。早期の養子免疫療法のアプローチは、多様な癌の処置として活性化リンパ球を使用した(非特許文献14)。当初、リンホカイン活性化キラー細胞(LAK)、および後にex vivoでIL−2で活性化した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が使用されたが、しかし有効性の実証はあいまいであった。これらの早期の対照臨床試験は、黒色腫患者へのIL−2の直接投与を上回るex vivo活性化細胞の使用の利点を示すことに失敗した。Yeeら(フレッド・ハッチンソン癌研究センター)(非特許文献15)およびDudleyら(NCI)(非特許文献16)によるより最近の研究は、ある種の養子T細胞の治療的アプローチに対する潜在性を示した。これらの研究は、MART−1若しくはgp100に特異的なT細胞クローンおよび低用量IL−2、または同種支持細胞とともにex vivoで増殖させたTILおよび高用量IL−2のいずれかの使用を必要とした。これらの研究は養子免疫療法が癌の処置として期待できることを確認したとは言え、その完全な開発は、治療的抗原特異的CD8 CTL数の再現可能なex vivo生成方法の欠如により妨げられていた(非特許文献17)。
【0009】
Cytotolytic CD8 T細胞はウイルス感染に対する主防御線である。CD8リンパ球はウイルスに感染している宿主細胞を特異的に認識かつ溶解する。CTLの細胞傷害活性を利用することが望ましいとみられるとは言え、CTLを特異的に活性化するために利用可能なin vitro/ex vivo手順はほとんどなかった。重要な黒色腫関連抗原の同定、およびCTLの特異的in vitro活性化方法が、転移性黒色腫の養子免疫療法の効率的評価を見込む(非特許文献15〜18)。
【0010】
天然に存在する抗原提示細胞(APC)(例えば樹状細胞、マクロファージ、自己腫瘍細胞)をin vitroでのCD8活性化に使用することが可能である一方、天然のAPCのMHCクラスI分子は多くの他のペプチドエピトープを含有し、従って腫瘍関連ペプチドエピトープの最小限の提示を可能にするため、活性化の有効性は低い。これらの提示されるペプチドの大部分は正常の無害な内因性タンパク質を表す。この問題へのより直接的アプローチは、疾患と闘うことに関連するエピトープ(この特定の場合には黒色腫関連抗原)に対し特異的にCD8 T細胞を活性化することであるとみられる。
【0011】
最近、人工的APCが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子を発現するキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ミバエ)胚細胞株を利用して開発された(非特許文献18、非特許文献19)。特許文献1および特許文献2もまた参照されたい。昆虫ショウジョウバエは進歩した免疫系を欠くため、ヒトクラスI分子へのペプチドエピトープの負荷に関与するTAP−1,2ペプチドトランスポーターが存在しない。結果として、トランスフェクトされたクラスI分子はショウジョウバエ細胞表面上に空の容器として出現する。これらのトランスフェクトしたショウジョウバエ細胞を、特定のクラスI分子(すなわち腫瘍抗原T細胞ペプチドエピトープ)に結合する外因性合成ペプチドとインキュベートすることにより、利用可能なクラスI分子の全部がMHC拘束性の特異的ペプチドエピトープ(1種若しくは複数)で占有されうる。これらのショウジョウバエAPC上の単一若しくは複数のエピトープを提示するクラスI分子の高密度発現ならびに重要な共刺激分子B7−1(CD80)、CD70、LFA−3(CD58)およびICAM−1(CD54)の添加は、抗原性ペプチドに特異的である強力な自己細胞傷害性CD8 T細胞のin vitro生成を可能にしうる(非特許文献20)。
【特許文献1】米国特許第6,225,042号明細書
【特許文献2】米国特許第6,355,479号明細書
【非特許文献1】Hryniuk W、Bush H.The importance of dose intensity in chemotherapy of metastatic breast cancer.J Clin Oncol 4:1162−1170、1986
【非特許文献2】Herzig,RH.Dose−intensive therapy for advanced melanoma.J.O.Armitage、K.H.Antman(編)、High−Dose Cancer Therapy.Pharmacology,Hematopoietins,Stem Cells;ボルティモア:Williams and Wilkins中pp750−754、1992
【非特許文献3】Mitchell MS、Harel W、Kan−Mitchell Jら Active specific immunotherapy of melanoma with allogeneic cell lysates:rationale,results and possible mechanisms of action.J.−C.Bystryn、S.FerroneとP.Livingston(編)、Specific Immunotherapy of Cancer with Vaccines;Ann.N.Y.Acad.Sci.中pp153−166、1993
【非特許文献4】Quan WDY Jr、Mitchell MS.Principles of biologic therapy.C.M.Haskell編 Cancer Treatment;フィラデルフィア:W.B.Saunders中pp57−69、1995
【非特許文献5】Mitchell MS、Jakowatz J、Harel Wら Increased effectiveness of interferon−alfa 2b following active specific immunotherapy for melanoma.J Clin Oncol 12:402−411、1994
【非特許文献6】Van der Bruggen P、Traversari C、Chomez Pら A gene encoding an antigen recognized by cytolytic T lymphocytes on a human melanoma.Science 254:1643−1647、1991
【非特許文献7】Gaugler B、Van der Eynde B、Van der Bruggen Pら Human gene MAGE−3 codes for an antigen recognized on a melanoma by autologous cytolytic T lymphocytes.J Exp Med 179:921−930、1994
【非特許文献8】Kawakami Y、Eliyahu S、Sakaguchi Kら Identification of the immunodominant peptides of the MART−1 human melanoma antigen recognized by the majority of HLA−A2−restricted tumor infiltrating lymphocytes.J Exp Med 180:347−352、1994
【非特許文献9】Brichard V、Van Pel A、Wolfel Tら The tyrosinase gene codes for an antigen recognized by autologous cytolytic T lymphocytes on HLA−A2 melanomas.J Exp Med 178:489−495、1993
【非特許文献10】Robbins PF、el−Gamil M、Kawakami Y、Stevens E、Yannelli JR、Rosenberg SA.Recognition of tyrosinase by tumor−infiltrating lymphocytes from a patient responding to immunotherapy.Cancer Res 54:3124−3126、1994
【非特許文献11】Bakker AB、Schreurs MW、de Boer AJら Melanocyte lineage−specific antigen gp100 is recognized by melanoma−derived tumor−infiltrating lymphocytes.J Exp Med 179:1005−1009、1994
【非特許文献12】Wolfel T、Van Pel A、Brichard Vら Two tyrosinase nonapeptides recognized on HLA−A2 melanoma by autologous cytolytic T lymphocytes.Eur J Immnol 24:759−764、1994
【非特許文献13】Visseren MJW、Van Elsas A、Van der Voort EIHら CTL specific for the tyrosinase autoantigen can be induced from healthy donor blood to lyse melanoma cells.J Immunol 154:3991−3998、1995
【非特許文献14】Rubin JT、Lotze MT.Adoptive cellular immunotherapy of cancer.M.S.Mitchell(編)、Biological Approaches to Cancer Treatment.Biomodulation;ニューヨーク:McGraw−Hill中pp379−410、1993
【非特許文献15】Yee,C、Thompson,JA、Byrd,Dら Adoptive T cell therapy using antigen−specific CD8+ T cell clones from the treatment of patients with metastatic melanoma:In vivo persistence,migration and antitumor effect of transferred T cells.PNAS 99:16168−16173、2002
【非特許文献16】Dudley ME、Wunderlich,JR、Robbins PFら Cancer regression and autoimmunity in patients after clonal repopulation with antitumor lymphocytes.Science 298:850−854、2002
【非特許文献17】Oelke M、Maus MV、Didiano,Dら Ex vivo induction and expansion of antigen−specific cytotoxic T cells by HLA−Ig−coated artificial antigen−presenting cells.Nat Med 9:619−624、2003
【非特許文献18】Leturcq DL、Richards JM、Jackson MR、Peterson PAとMoriarty AM.Ex Vivo Generation of Potent Cytotoxic T Lymphocytes for the Treatment of Cancer:A Novel Antigen Presentation System.Society of Biological Therapy 17th Annual Meeting;Abstract#40、2002
【非特許文献19】Jackson MR、Song ES、Yang Yら Empty and peptide−containing conformers of class I major histocompatibility complex molecules expressed in Drosophila melanogaster cells.Proc Natl Acad Sci,USA 89:12117−12121、1992
【非特許文献20】Cai Z、Brunmark A、Luxembourg ATら Probing the activation requirements for naive CD8+ T cells with Drosophila cell transfectants as antigen presenting cells.Immunol Rev 165:249−265、1998
【発明の開示】
【0012】
[発明の要約]
本発明の多様な全般的局面および好ましい態様は、本明細に付随される請求の範囲(本明細書に引用することにより組み込まれる)に反映されている。本発明の多様な局面の他の好ましい態様、特徴および利点は、図面とともに解釈される下の詳細な記述から明らかとなるであろう。
【0013】
[発明の詳細な記述]
本発明の多様な局面を、特定のかつ好ましい態様の詳細な記述により下に具体的に説明する。簡潔さのため、本明細書で引用される全部の特許および他の刊行物の開示は引用することにより組み込まれる。別の方法で本明細書で定義されるか若しくは文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される全部の技術的および科学的用語は、当該技術分野で一般に使用されると同一の意味を有する。
【0014】
「包含すること」、「含んでなること」および「含有すること」という用語は、本明細書で、それらの公然の制限しない意味で使用する。
【0015】
サイトカイン、ならびにクラドリビンおよびDAB−IL2から選択される最低1種のリンパ球枯渇剤とともに選択されたペプチドを負荷したxAPCを接触させることにより活性化したCTLを投与することを含んでなる本発明の治療レジメンは、こうした処置の必要な被験体で癌を処置するのに使用しうる。好ましくは、癌は、悪性黒色腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、バーキットリンパ腫、甲状腺癌、子宮癌、腎癌、卵巣癌、肺癌、乳癌、肝癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌、皮膚癌、胃癌および子宮頚癌から選択される。
【0016】
従って、好ましい一態様において、本発明は、ナイーブなCD8+ T細胞を被験体から得ること;選択されたペプチド抗原を負荷した異種抗原提示細胞(xAPC)と該ナイーブなCD8+ T細胞を接触させて、それにより該選択されたペプチド抗原を発現する細胞を標的とする活性化CTLを生成すること;該活性化CTLを該被験体に戻し投与すること;クラドリビンおよびDAB−IL2から選択される最低1種のリンパ球枯渇剤を投与すること;ならびにCTL持続性を遂げる最低2種のサイトカインを投与することを含んでなる、転移性黒色腫を処置若しくは寛解させるための養子CTL治療レジメンを提供する。該養子CTL治療レジメンは、好ましくは、本発明により活性化されかつ被験体に投与される場合に癌関連抗原エピトープを有する腫瘍細胞のin vivo破壊が可能である、ex vivoで活性化されている自己CD8 T細胞を使用する。
【0017】
本情況での「被験体」という用語は、癌の処置を必要とする哺乳動物患者を指す。例えば、被験体は、進行悪性転移性黒色腫のような黒色腫と診断されたヒト、例えば、HLA−A2陽性でありかつステージIII/IVの切除不能疾患を有すると診断された患者でありうる。
【0018】
CTL剤はxAPCから製造する。使用に適する例示的異種抗原提示細胞(xAPC)は、以下の成分、すなわち、外因性MHC I分子;ナイーブなT細胞の活性化で補助するための1種若しくはそれ以上の外因性補助分子;ならびにそれらの表面に該外因性分子を発現することが可能な宿主細胞を包含しうる。好ましくは、外因性分子は、宿主細胞に導入された異種核酸によりコードされる。xAPCは、好ましくは、該xAPCのT細胞活性化能力を増強する外因性補助刺激物質および接着分子もまた発現する。好ましくは、宿主細胞は昆虫細胞、より好ましくはSchneider 2(S2)細胞のようなショウジョウバエ細胞である。例示的xAPCおよびそれらの製造方法は、例えば米国特許第6,225,042号および同第6,355,479号明細書に記述されている。
【0019】
xAPCは、当該技術分野で既知若しくは利用可能な多様な方法によりペプチド抗原を負荷しうる。空のMHCクラスI分子に結合することが可能であるペプチドを選択する。選択されるペプチドは、好ましくは、養子CTL療法で使用されるT細胞の標的としてはたらくことができる、細胞の表面上で発現されるタンパク質由来の抗原性若しくは免疫原性アミノ酸配列を含んでなるエピトープに対応する。選択されたペプチドを空のMHCクラスI分子に負荷するために、こうした空のMHCクラスI分子に結合する1種若しくはそれ以上の抗原性若しくは免疫原性ペプチド種を、結合が起こるのに適する条件下でxAPCと接触させうる。
【0020】
1種若しくはそれ以上の抗原性若しくは免疫原性ペプチド種を選択しうる。1種以上の種を選択する場合、それらを同時に若しくは個別の場合にxAPCと接触させて、該xAPC上で産生される多抗原性若しくは多免疫原性MHC−ペプチド複合体をもたらしうる。
【0021】
空のMHC分子への選択されたペプチドの負荷は、好ましくは、生物学的結合条件に近似した条件(in vitro、ex vivo若しくはin vivoで近似させうる)下で起こる。ペプチドの選択において、当業者は、熱力学、静電、エネルギーおよびエントロピーの考慮のような1種若しくはそれ以上の因子、ならびにMHC分子への有効な結合に必要とされる、選択されたペプチド内の特定のアミノ酸を考慮しうる。
【0022】
好ましいペプチドは、例えば、チロシナーゼタンパク質、gp100タンパク質およびMART−1タンパク質から選択されるアミノ酸配列に対応するペプチドを包含する。他の好ましいペプチドは、YMNGTMSQV(配列番号1)、YMDGTMSQV(配列番号2)、AAGIGILTV(配列番号3)、ITDQVPFSV(配列番号4)、YLEPGPVTA(配列番号5)およびKTWGQYWQV(配列番号6)を包含する。選択されうる付加的な例示的ペプチドは、例えば、以下のアミノ酸配列(各ペプチドが由来するタンパク質をカッコ内で示す)、すなわちSILSLKEAST(C−レクチン;配列番号1)、KMASRSMRL(C−レクチン;配列番号2)、ALALAALLVV(Pec 60;配列番号3)、ALLVVDREV(Pec60;配列番号4)、YMNGTMSQV(チロシナーゼ;配列番号5)、YMDGTMSQV(チロシナーゼ;配列番号6)、ITDQVPFSV(gp100;配列番号7)、YLEPGPVTA(gp100;配列番号8)、AAGIGILTV(MART−1;配列番号9)、ELAGIGILTV(MART−1;配列番号10)、CLTSTVQLV(Her−2/neu;配列番号11)、HLYQGCQVV(Her−2/neu;配列番号12)、KIFGSLAFL(Her−2/neu;配列番号13)、IISAVVGIL(Her−2/neu;配列番号14)、PLTSIISAV(Her−2/neu;配列番号15)、VMAGVGSPYV(Her−2/neu;配列番号16)、VLVKSPNHV(Her−2/neu;配列番号17)、ELVSEFSRM(Her−2/neu;配列番号18)、YLSGANLNL(CEA;配列番号19)、GPLTPLPV(AES;配列番号20)、SLLMWITQC(NY−ESO−1;配列番号21)、KALFAGPPV(CA−125;配列番号22)、YLETFREQV(CA−125;配列番号23)、GLQSPKSPL(CA−125;配列番号24)、VLLKLRRPV(CA−125;配列番号25)、ELYIPSVDL(CA−125;配列番号26)、SLLMWITQV(NY−ESO−1;配列番号27)、ILAKFLHWL(テロメラーゼ;配列番号28)、STAPPVHNV(MUC−1;配列番号29)、FLWGPRALV(MAGE−3;配列番号30)、FMWGNLTLA(CA−125;配列番号31)、RLVDDFLLV(テロメラーゼ;配列番号32)、HLSTAFARV(G250;配列番号33)、QLSLLMWIT(NY−ESO−1;配列番号34)、ELWTHSYKV(FBP;配列番号35)、KVAELVHFL(MAGE−3;配列番号36)、YIFATCLGL(MAGE−3;配列番号37)、HLYIFATCL(MAGE−3;配列番号38)、MLMAQEALAFL(CAMEL;配列番号39)、STLEKINKT(SSX−4;配列番号40)、KASEKIFYV(SSX−2;配列番号41)、SLLMWITQCFL(NY−ESO−1;配列番号42)、ELTLGEFLKL(スルビビン;配列番号43)、LTLGEFLKL(スルビビン;配列番号44)、SLLEKREKT(SP17;配列番号45)、TLGEDDPWL(SART−1;配列番号46)、KLGLKPLEV(SART−1;配列番号47)、YLWTSAKNT(SCP−1;配列番号48)、STAPPAHGV(MUC−1;配列番号49)、GMGSEELRL(LIVIN;配列番号50)、SLGSPVLGL(LIVIN;配列番号51)、YLFFYRKSV(hTRT;配列番号52)、CQQEETFLL(CA−125;配列番号53)、TLAKFSPYL(PRAME;配列番号54)、NLTHVLYPV(PRAME;配列番号55)、STFKNWPFL(スルビビン;配列番号56)、SLLQHLIGL(PRAME;配列番号57)、FLDQRVFFV(gp100;配列番号58)、FLDQRVFVV(gp100;配列番号59)、FLDQVAFVV(gp100;配列番号60)、GLDREQLYL(MUC−16;配列番号61)、VMQHLLSPL(MUC−16;配列番号62)、QQTHGITRL(MUC−16;配列番号63)、LQPLSGPGL(MUC−16;配列番号64)、TLDRDSLYV(MUC−16;配列番号65)、QLYLELSQL(MUC−16;配列番号66)、KVLEYVIKV(MAGE−1;配列番号67)、KVADLVGFL(MAGE−1;配列番号68)およびKTWGQYWQV(配列番号70)を包含する。
【0023】
選択されたペプチドは、当該技術分野の多様な手段および方法を介して細胞に提示しうる。選択されたペプチドは、ペプチドの細胞内プールにそれらを進入させる様式で提示しうる。例えばペプチドは浸透圧負荷を介して提示しうる。好ましくはペプチドはxAPC系培地に添加する。ペプチドは、例えば酵素分解のような細胞過程を介して後に分解される無傷のポリペプチド若しくはタンパク質の形態で培地に添加しうる。あるいは、無傷のポリペプチド若しくはタンパク質は、xAPC系培地への添加前に化学的消化(例えば臭化シアン)若しくはプロテアーゼ(例えばトリプシンおよびキモトリプシン)のようないくつかの他の手段を介して分解されうる。あるいは、タンパク質若しくはポリペプチド配列全体を適切なベクターにクローン化しかつ原核生物細胞に挿入することができ、それにより、細胞はかなりの量の抗原性ポリペプチドを生成し、それらをその後収集、精製かつペプチドに消化し、該ペプチドをその後xAPC系培地に添加する。
【0024】
十分な量の各選択されたペプチドを、クラスI MHC分子を結合させかつその後ヒトクラスI MHC発現細胞の表面上で高密度のペプチドを提示させるために細胞培養物に添加しうる。
【0025】
xAPCは、非異種すなわち内因性抗原提示細胞のAPC機能に比較して高められたAPC機能についてアッセイしうる。高められたAPC機能は、例えば、CD69細胞表面発現、分化の程度、細胞傷害性死滅能力の程度、特異的細胞溶解の程度およびサイトカイン産生の程度のようなCD8 T細胞活性化の指標である1種若しくはそれ以上の細胞表面タンパク質発現の程度のようなCD8 T細胞活性化の多様なパラメータのいずれかを測定することにより、測定しうる。
【0026】
タンパク質およびペプチドの精製は、免疫親和性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、タンパク質沈殿、緩衝液交換、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーのような当該技術分野で既知である多様な技術により達成しうる。抗原刺激したCTLはペプチド−MHC pMHC四量体染色により検出若しくは単離することができ、検出されるCTLは、xAPCにより提示される選択されたペプチドに特異的である。
【0027】
末梢血白血球(PBL)を被験体から得、そして好ましくは実質的に精製する。PBLの精製方法は、Ficoll勾配を使用する方法が本目的上利用しうるを包含する。精製したPBLをその後、適切な抗原性ペプチドと前インキュベートしたxAPC細胞と混合する。好ましくは、PBLは、Miltenyiビーズ(Myltenyi Biotec)およびDynabead系(Dynal Biotech)のような当該技術分野にある磁性ビーズ精製系により精製する。PBLは、蛍光標示式細胞分取器(FACS)に基づく方法、若しくは他の適切な細胞分取装置および方法論を用いるような細胞分取手順を介してもまた精製しうる。多様な細胞特異的タンパク質のマーカーとして緑色蛍光タンパク質(GFP)を使用することによるこうした細胞分取法若しくは赤血球の分取。
【0028】
ナイーブなT細胞を適切なxAPCとともに培養物中でインキュベートし、そして、活性化かつCD8細胞の集団についてさらに濃縮するのに十分な時間、選択されたペプチドを負荷する。例えば、米国特許第4,690,915号明細書は、リンパ球除去(lymphocytopheresis)を介する多数のリンパ球を得る方法を記述する。好ましくは、CD8細胞は抗原特異的様式で活性化する。抗原提示細胞に対する休止期すなわち前駆体CD8(エフェクター)細胞の比は個体間で変動することがあり、かつ、培養条件に対する個々のリンパ球のなじみ易さならびに癌の性質および重症度のような変数にさらに依存しうる。好ましくは、しかしながら、リンパ球:抗原提示細胞(例えばショウジョウバエ細胞)比は、好ましくは約30:1ないし300:1の範囲にある。例えば、一態様において、3×10ヒトPBLおよび1×10生存ショウジョウバエ細胞を混合し、かつ、20mlのRPMI 1640培地中で維持する。
【0029】
エフェクター/抗原提示培養物は、活性化かつ治療上使用可能若しくは有効な数のCD8細胞の集団について濃縮するのに必要であるくらい長い時間維持しうる。1ないし10日培養後、例えば5日培養後に一般に観察される最大の特異的CD8活性化レベルで、好ましい時間は約3から7日までである。本発明の一態様において、CD8 T細胞のin vitro活性化が細胞株のトランスフェクション後短期間内に検出されうる。一態様において、CD8 T細胞を活性化することが可能なトランスフェクト細胞株での一過性発現が、トランスフェクション48時間以内に検出可能である。従って、ヒトクラスI MHC分子を発現する形質転換細胞の安定な若しくは一過性いずれの培養物も、CD8 T細胞の活性化において有効である。
【0030】
活性化細胞傷害性Tリンパ球は、当該技術分野で既知若しくは利用可能な適する方法を使用して、xAPC(例えばショウジョウバエ細胞)から効果的に分離しうる。例えば、人工的APC、人工的APCに負荷したペプチド、若しくはCTLに特異的なモノクローナル抗体(またはそれらのセグメント)を、それらの適切な相補リガンドを結合するのに利用しうる。抗体標識した細胞を、その後、例えば免疫沈降およびイムノアッセイ法のような当該技術分野の多様な方法のいずれかにより、刺激体(stimulator)−エフェクター細胞混合状態から抽出しうる。あるいは、分離段階を完全に省略することができ、そして不活性化xAPCを活性化CTLとともに培養物中に残してもよい。
【0031】
治療上有効な細胞傷害性量の活性化CTLは、記述されたin vitroおよびin vivoの使用に適するように、例えば、これらのCTL細胞の究極の標的である細胞の量および型を鑑みて選択しうる。該量は患者の状態を鑑みてもまた選択することができ、そして実務者による全部の適切な因子の考慮を介して決定しうる。好ましくは、マウスで使用される約5×10〜5×10細胞に比較して、約1×10ないし約1×1012、より好ましくは約1×10ないし約1×1011、およびなおより好ましくは約1×10ないし約1×1010の活性化CD8細胞を、成体ヒトに利用する。
【0032】
好ましくは、CTLである活性化CD8細胞は、処置されている個体へのCTL細胞の投与前に、xAPC培養物から上述されたとおり収集する。該細胞培養物系は好ましくは腫瘍原性でない。従って、ショウジョウバエ細胞および活性化CD8細胞の完全な分離が達成されない場合、少数のショウジョウバエ細胞の投与に伴う固有の危険は存在しないはずである。
【0033】
ナイーブなCD4 T細胞若しくはCD8 T細胞、またはCD4 T細胞およびCD8 T細胞の双方は、好ましくは、xAPC培養物とのインキュベーション前に被験体から抽出しうる。被験体は、白血球を収集するために、多様な既知の若しくは利用可能な血液細胞分離処置(例えば白血球除去)のいずれかを受けることができる。
【0034】
ナイーブなT細胞は、ナイーブなT細胞の特異的活性化方法を妨害、減弱、若しくはいずれかの方法で制限しうる他の処置若しくは治療、および本明細書に提供されるところの用途の開始前に、被験体から収集しうる。例えば、新形成若しくは腫瘍を伴う個体の処置において、ナイーブなT細胞のサンプルを化学療法若しくは放射線治療の開始前に得かつ培養物中で保つことができる。ペプチド負荷したxAPCでナイーブなT細胞を活性化した後、ナイーブなT細胞を増殖かつ活性化することができ、そして活性化CTLを該被験体に戻し導入しうる。あるいは、ナイーブなT細胞を活性化することができ、そして該活性化CTLを、化学療法若しくは照射のような他の任意の形態の処置の前、後若しくはそれらとともに、該ナイーブなT細胞を得た被験体に戻し導入しうる。
【0035】
活性化CTLは被験体への送達および注入のための適切なベヒクルにもまた懸濁しうる。細胞成分の再導入技術は当該技術分野で既知であり、そして米国特許第4,844,893号および同第4,690,915号明細書に例示されるもののような手順を包含する。例えば、静脈内注入を介する活性化CTL細胞の投与を使用しうる。複数の注入が必要とされることがあり、そしてこれらの注入は数週若しくはそれ以上の期間にわたり発生しうる。
【0036】
本発明の処置レジメンにおいて、CTL持続性を達成しかつそれにより被験体に投与されるCTLの半減期、活性、効力および/若しくは選択性の特性を高めるためにサイトカインもまた投与される。こうした持続性は、CTLに対する直接的影響、若しくはCTLの標的細胞上での抗原発現の上方制御を必要とする間接的影響から生じうる。好ましいサイトカインはIFN−α−2bおよびIL−2である。
【0037】
クラドリビン(2−CdA、Leustatin(R))および/若しくはDAB IL−2(ONTAK(R))リンパ球枯渇剤もまた発明の処置レジメンで投与される。これらの剤は非骨髄破壊的であり、そしてCTL療法を受領する被験体で一過性の免疫抑制を導き出す。
【0038】
CTL、サイトカインおよびリンパ球枯渇剤のそれぞれの投与のタイミングおよび持続期間は、慣例の実験、および下の実施例を包含する本明細書の手引きに基づき当業者により選択しうる。
【0039】
本発明の多様な局面および特徴を具体的に説明するため、以下の実施例を提供する。
【実施例】
【0040】
CTLのex vivo調製
異種APC(xAPC)株は、公表された手順(Schneider,J.Embryol.Morph.27:353−365、1972)に従って、数百個の20ないし24時間齢のOregon−R(野生型)キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(Oregon−R)胚(ATCC CRL−1963)から1969年に樹立されたSchneider S2細胞(S2細胞)から生成する。S2細胞株はAmerican Type Culture Collectionに寄託されている(CRL10974)。xAPCが由来する細胞株を派生させるのに使用したS2細胞の元の供給物はこの供給源から得る。xAPCを生成させるため、S2細胞をプラスミドベクターpRMHa−3由来のベクターでトランスフェクトする(例えば米国特許第6,225,042号明細書を参照されたい)。クローンAと呼称される1種のxAPC株を、HAL−A2.1クラスI、B7.1およびICAM−1をコードするベクターでトランスフェクトする。クローンBと呼称される第二のxAPC株は、HLA−A2.1クラスI、B7.1、B7.2、ICAM−1およびLFA−3をコードするベクターでトランスフェクトする。クローンCと呼称される第三のxAPC細胞株は、HLA−A2.1クラスI、B7.1、ICAM−1、LFA−3およびCD70をコードするベクターでトランスフェクトする。従って、クローンAはHLA−A2、B7.1およびICAM−1を発現し、クローンBはHLA−A2.1クラスI、B7.1、B7.2、ICAM−1およびLFA−3を発現し、そしてクローンCはHLA−A2.1クラスI、B7.1、ICAM−1、LFA−3およびCD70.B7.2およびLFA−3を発現する。
【0041】
クローンAおよびクローンB系統細胞の独立した連続培養物は、10%ウシ胎児血清および500μg/mlジェネチシン(G418)を補充したSchneider培地中で維持し、そして、細胞密度をおよそ1×10細胞/mLに調節するための各分割の間に新鮮培地を添加して週2回分割する。誘導のおよそ1日前(第−2ないし−4日;第0日を外因性分子の発現について細胞を試験しかつペプチドを負荷する日と定義する)に、3個のT75フラスコに、1.5×10細胞/フラスコに同等なストック培養物中で維持した細胞懸濁液の容量を接種する。G418を含まない完全ショウジョウバエSFM培地を添加して容量を15ml/フラスコまでもたらす。フラスコをその後およそ27℃のチャンバー中でインキュベートする。およそ第−1ないし−3日に、細胞をその後、1.0mMの最終濃度までの硫酸銅(CuSO)の添加(CuSOの200mMストックの200倍希釈;15mlの細胞懸濁液を含有する各T75フラスコにつき75μlのCuSO)により誘導し、そして27℃のチャンバーに戻す。誘導時間はおよそ24ないし72時間持続する。
【0042】
第0日に、誘導した細胞培養物を含有するフラスコを汚染の証拠について視覚的におよび顕微鏡で確認する。汚染されていないフラスコを合わせ、そして生存細胞を計数する。およそ6×10細胞の合わせた細胞培養物のサンプルを、蛍光標示式細胞分取器(FACS)分析を使用するフローサイトメトリーにより評価して、外因性分子の発現のレベルを測定する。細胞培養物(およそ1×10細胞/mL)をその後、ペプチド負荷前に試験して、外因性HLA−A2.1、B7.1およびICAM−1(クローンA細胞について)若しくはHLA−A2.1、B7.1、B7.2、ICAM−1およびLFA−3(クローンB細胞について)の発現を確認する。外因性分子の発現が一旦確認されれば、各細胞培養物を2個の滅菌50mlコニカルチューブに分割することにより各培養物を洗浄する。各チューブをその後HYQ SFX昆虫培地(Hyclone)で満たし、そして1,700rpm(600×g)でおよそ7分間遠心分離して細胞をペレットにする。上清を廃棄し、そして細胞ペレットを含有するチューブを再度1,700rpm(600×g)でおよそ1分間遠心分離する。上清を先細ピペットで除去する。各分割細胞培養物からのペレットをその後再度合わせ、そして8mLのSFX昆虫培地におよそ1×10細胞/mLの細胞密度まで再懸濁する。およそ40μLの1.0mg/mLのβ2ミクログロブリンストック溶液、および各ペプチドについて1.67mg/mLのストックペプチドコンボ溶液の50倍希釈24μLを、各再懸濁培養物に添加する。従って、各細胞培養懸濁液は、およそ5μg/mLの最終濃度のβ2ミクログロブリン、およびペプチドあたりおよそ0.1μg/mLの最終濃度のxAPCに負荷されるべき各選択されたペプチドを含有する。細胞培養物を、β2ミクログロブリンおよびペプチドを含有する懸濁液中で、室温で30分ごとに回転しながら最低4時間かつ8時間を超えずインキュベートする。ペプチドインキュベーション期間の後に、各細胞培養物のおよそ1mLのアリコートを8本のポリプロピレンチューブ(Falcon 2006)に個別に分配する。いかなる残余の細胞培養懸濁液も廃棄する。
【0043】
抗CD8抗体での陽性選択により白血球除去サンプルから単離したCD8細胞を、ヒトクラスIならびに共刺激/接着分子HLA−A2.1、B7.1、CD70、LFA−3およびICAM−1を発現するショウジョウバエ細胞により提示されるヒト黒色腫関連ペプチド(チロシナーゼ−689369−377、チロシナーゼ−792369−377、MART−1−81927−35、gp100−817209−217、gp100−818280−288およびgp100−853154−162)に対し刺激する。CD8細胞を、IL−2およびIL−7の存在下に自己単球(記述されるエピトープでパルスした)で2回再刺激する。エフェクター細胞の数をその後、γ線照射自己支持細胞およびIL−2の存在下での抗CD3モノクローナル抗体での非特異的刺激により増大させる。細胞傷害性Tリンパ球活性を、ペプチド負荷したT2細胞および一団の黒色腫細胞に対し測定する一方、in vitro刺激したCD8 T細胞の純度をフローサイトメトリーにより評価する。
材料。
【0044】
【表1】

【0045】
試薬
rhIL−7。組換えヒトインターロイキン−7(IL−7)は、大腸菌(E.coli)で産生されかつ高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して供給元(PeproTech)により精製されるリンホカインであるがしかし抗体でない。粉末として受領したIL−7は、1%ヒト血清アルブミンを含有する無菌DPBSで希釈する。バルク溶液をその後、0.2μmフィルターを通して濾過し、滅菌バイアルに分注し(30,000U/mL、1000×濃度)、そして使用前に−80℃で保存する。
【0046】
rhIL−2。組換えヒトインターロイキン−2(IL−2)は組換えDNA技術により製造しかつChiron Corporationにより供給される(Proleukin(R))。粉末として受領したIL−2をIL−2希釈剤(50mM酢酸中0.5%ヒト血清アルブミン)で希釈し、0.2μmフィルターを通して濾過し、滅菌バイアルに分注し(20,000U/mL、1000×濃度)かつその後使用前に−80℃で保存する。
【0047】
チロシナーゼペプチドYMNGTMSQV。ヒトチロシナーゼのアミノ酸369−377に対応するチロシナーゼペプチド(tyr 369−377)はGLP準拠の標準を使用し製造かつ精製する(Synpep Corporation)。製造元(Synpep Corporation)から受領したところのペプチド粉末を、10mg/mLの濃度のストックペプチド溶液を達成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。このストックペプチド溶液を、等部分で他のペプチドストック溶液(また10mg/mlの濃度の)と混合して、xAPCの負荷における使用のための複合ペプチド溶液を生成する。該複合ペプチド溶液を、クラス10,000クリーンルーム中でクラスIIバイオセーフティーキャビネット中無菌条件下で滅菌バイアルに分注する。
【0048】
チロシナーゼペプチドYMDGTMSQV。上述されたtyr 369−377ペプチドの3位にアスパラギン残基の代わりにアスパラギン酸残基を含有する該ペプチドの脱アミド化形態は、GLP準拠の標準を使用し製造かつ精製する(Synpep Corporation)。この脱アミド化形態はtyr 369−377dと呼ばれる。製造元から受領したペプチド粉末を、10mg/mLの濃度のストックペプチド溶液を達成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。
【0049】
gp100ペプチドITDQVPFSV。ヒトgp−100のアミノ酸209−217に対応するgp100ペプチド(gp100209−217)は、GLP準拠の標準を使用し製造かつ精製する(Synpep Corporation)。該ペプチド粉末を、10mg/mLの濃度のストックペプチド溶液を達成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。
【0050】
gp100ペプチドKTWGQYWQV。ヒトgp100のアミノ酸154−162に対応するgp100ペプチド(gp100154−162)は、GLP準拠の標準を使用し製造かつ精製する。Synpep Corporationから受領したところのペプチド粉末を、10mg/mLの濃度のストックペプチド溶液を達成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。
【0051】
gp100ペプチドYLEPGVTA。ヒトgp100のアミノ酸280−288に対応するgp100ペプチド(gp100280−288)は、GLP準拠の標準を使用してSynpep Corporationにより製造かつ精製する。該ペプチド粉末を、10mg/mLの濃度のストックペプチド溶液を達成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。
【0052】
MART−1ペプチドAAGIGILTV。ヒトMART−1のアミノ酸27−35に対応するMART−1ペプチド(MART−127−35)は、GLP準拠を使用して製造かつ精製する(Synpep Corporation)。該ペプチド粉末は、10mg/mLの濃度のストックペプチド溶液を達成するようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。
【0053】
DYNABEADS(R)M−450。DYNABEADS(R)M−450(SAM)IgGは、一次マウスIgGを結合するポリクローナルヒツジ抗マウスIgGで被覆した無菌常磁性ビーズである。Baxter Oncology Inc.から入手可能なDYNABEADSは、Isolex 300i磁性細胞選別器を使用するT細胞単離での使用前に4℃で保存する。
【0054】
ヒト血清アルブミン。米国薬局方25%HSA(Baxter Fenwal Laboratories;各ロットの血漿供給源はHIV−1 HIV−2、HCVおよびHBVについて陰性であることを試験した)は、以下のT細胞調製および活性化段階の段階、すなわちCD8 T細胞およびCD8 T細胞の精製;接着細胞のペプチド負荷;ならびに活性化T細胞の最終処方の間の緩衝タンパク質の供給源としての使用前にRTで保存する。
【0055】
抗CD8抗体。抗CD8モノクローナル抗体(37B1A)は、T細胞のCD8抗原に向けられたマウスモノクローナル抗体であり、Isolex 300i磁性細胞選別器装置でCD8 T細胞を選択するのに使用する。CD8 T細胞の単離若しくは活性化過程での使用のため、濃縮溶液を無菌DPBSで希釈する。該バルク溶液を0.2μmフィルターを通して濾過し、そしてその後、クラス10,000クリーンルーム中でクラスIIバイオセーフティーキャビネット中無菌条件下で単回使用バイアルに分注する。アリコート(10.0mg/mL)は使用前に−80℃で保存する。
【0056】
CD8 α鎖ペプチド−AAEGLDTQRFSG。CD8 α L鎖ペプチド(AAEGLDTQRFSG)はGLP準拠の標準のもとで精製かつ製造する。CD8 α鎖ペプチドは、CD8(37B1A)抗体およびIsolex 300i磁性細胞選別器を使用して捕捉されるCD8 T細胞を遊離させるためCD8 T細胞単離過程で使用する。ペプチドの各ロットは、製薬学的等級標準に合致するようにSynpep Corporationにより製造し、そしてペプチドの配列、純度、分子量および外観について試験する。粉末として受領したCD8 α鎖ペプチドは、10mg/mlのストック溶液を創製するようにさらに処理する。このストック溶液をDPBSで希釈し、0.2μmフィルターを通して濾過し、滅菌バイアルに分注し、そして使用前に−72℃ないし−88℃で保存する。ペプチド試薬のバイアル分注は、クラス10,000クリーンルーム中でクラスIIバイオセーフティーキャビネット中無菌条件下で実施する。
【0057】
ヒトβ2Mミクログロブリン。組換えDNA技術により製造したヒトβ−2ミクログロブリン(β2M)の濃縮物を、1.0mg/mLの濃度を達成するように無菌DPBSで希釈する。該バルク溶液をその後0.2μmフィルターを通して濾過し、滅菌バイアルに分注し、そして、xAPCの製造およびペプチド負荷ならびに接着細胞のペプチド負荷の間の使用前に−80℃で保存する。
【0058】
クエン酸ナトリウム溶液。米国薬局方の無菌の非発熱性抗凝固剤、クエン酸ナトリウム溶液(Baxter Fenwal)は、CD8 T細胞およびCD8 T細胞の選択のためにIsolex 300i磁性細胞選別器を運転するための緩衝剤添加物としての使用前に室温(RT)で保存する。
【0059】
Schneider培地。Schneiderショウジョウバエ培地は、ショウジョウバエ細胞を培養するのに使用する培地である。培地の各ロットは、オスモル濃度、pH、無菌性、およびショウジョウバエ細胞の増殖を持続する能力について、供給元(Invitrogen Corporation)により試験する。Schneiderショウジョウバエ培地(1×濃度)は使用前に2℃ないし6℃で保存する。
【0060】
ウシ胎児血清。宿主細胞若しくはxAPC細胞の増殖のためのタンパク質供給源として使用するウシ胎児血清(FBS)は−80℃で保存する。Gemini Bioproductsから入手可能なFBSは、米国起源の動物からのウシ胎児血液から加工されている。血液が由来する母動物は、感染性および接触伝染性疾患ならびに有害な寄生虫がない。
【0061】
HYQ SFX昆虫培地。HycloneのSFX昆虫培地(Hyclone Corporation)は、xAPCのペプチド負荷の間に使用する無血清培地(1×濃度)であり、そして使用前に2℃ないし6℃で保存する。この培地はウシ起源の生成物を含有しない。
【0062】
硫酸銅。硫酸銅(II)五水和物(Aldrich)は、ヒトHLA、共刺激および接着分子を発現させるための改変宿主細胞の誘導に使用する。ストック溶液は、200mMの濃度を達成するようにエンドトキシンを含まない滅菌水に結晶CuSOを溶解すること、およびクラスIIバイオセーフティーキャビネット中で0.2μmフィルターを通して滅菌容器に該溶液を無菌的に濾過することにより、処方する。
【0063】
RPMI。血清および抗生物質を含まないRPMI培地(Invitrogen Corporation若しくはGibcoから入手可能)(1×濃度)はT細胞を増殖させるのに使用する。RPMI培地は使用前に2ないし6℃で保存する。
【0064】
ダルベッコリン酸緩衝生理的食塩水(DPBS)。無菌の非発熱性ダルベッコリン酸緩衝生理的食塩水(DPBS)溶液(Invitrogen Corporation若しくはGibcoから入手可能、1×濃度)は使用前にRTで保存する。DPBSは以下の処置、すなわち、CD8 T細胞およびCD8 T細胞の選択の間にIsolex 300i磁性細胞選別器装置を運転すること;再刺激段階の間に非接着細胞を洗浄すること、および非特異的増殖の間に未結合のOKT3モノクローナル抗体を洗浄すること;ならびにヒトβ2ミクログロブリン、IL−7、CD8ペプチドおよびOKT3を希釈することに使用する。
【0065】
Leibovitz培地。Sigma−Aldrichから入手可能なLeibovitzのL−15培地(L−グルタミンを含まない;1×濃度)は、T細胞活性化過程のペプチド負荷の間の使用前に2℃ないし6℃で保存する。
【0066】
OKT(R)3抗体。臨床使用に承認された無菌溶液としてアンプル中で供給される、T細胞のCD3抗原に特異的なマウスモノクローナル抗体、Orthoclone OKT(R)3(1.0mg/mL)(Orthoから入手可能)は、無菌条件下で単回使用バイアルに分注し、そしてT細胞の活性化での使用前に−80℃で凍結保存する。
【0067】
ジェネチシン(G418)。ジェネチシン(Invitrogen Corporation)は、異種核酸によりコードされる外因性分子の発現を維持するためにショウジョウバエ細胞の培養物中で使用する選択的抗生物質である。ジェネチシンは無菌ストック溶液(50mg/mL)として供給され、そして使用前に2ないし6℃で保存する。
【0068】
塩化カルシウム。塩化カルシウム水和物は、CD8 T細胞の単離若しくは活性化過程で使用される自己血清を生成するためリンパ球除去生成物から得られる自己血漿の凝固のため使用する。塩化カルシウム水和物は結晶性粉末として受領し、ストック溶液(1M)に調合し、そして使用前に2℃ないし6℃で保存する。該ストック溶液は、エンドトキシンを含まない滅菌水に塩化カルシウムを溶解すること、およびクラスIIバイオセーフティーキャビネット中で0.2μmフィルターを通して滅菌容器に無菌的に濾過することにより、処方する。
【0069】
酢酸。IL−2のストック溶液の調製に使用する酢酸(17.4M)はSigma Corporationから得、そして使用前にRTで保存する。
【0070】
FICOLL−PAQUE(R)Plus。Isolex 300i細胞選別器装置を用いるCD8 T細胞およびCD8 T細胞の単離後に、非CD8画分からの単核細胞を、死細胞、好中球および赤血球を除去するのに使用するAmersham Pharmacia Biotechから入手可能ないかなる動物成分も含まないFicoll勾配試薬、FICOLL−PAQUE(R)Plus(1×濃度)を使用して、さらに分画する。該試薬は使用前にRTで保存する。
【0071】
PENTASPAN(R)。PENTASPAN(B.Braun Medical Inc)は、臨床使用のための0.9%塩化ナトリウム中10%ペンタスターチ(pentastarch)の無菌溶液であり(NDC 0264−1972−10)、そして使用前にRTで保存する。それは単離したCD8 T細胞およびCD8 T細胞の低温保存における低温保存剤として使用する(1×濃度)。
【0072】
ジメチルスルホキシド(DMSO)。DMSOは、単離したCD8 T細胞およびCD8 T細胞の低温保存における低温保存剤として使用する。Sigma−Aldrichから入手可能なDMSO溶液(1×濃度)は使用前にRTで保存する。
【0073】
L−グルタミン。Invitrogen Corporationから入手可能な200mM(100×濃度)L−グルタミン(米国薬局方)は、RPMI培地補充物質として使用し、そして使用前に−80℃で保存する。
【0074】
MEMピルビン酸ナトリウム溶液。Invitrogen Corporationから入手可能なMEMピルビン酸ナトリウム溶液(100mM、100×濃度)はRPMI培地を補充するために使用し、そして使用前に2ないし6℃で保存する。
【0075】
非必須アミノ酸。RPMI培地を補充するために使用する、Invitrogen Corporationからの非必須アミノ酸(10mM;100×濃度)は、使用前に2ないし6℃で保存する。
【0076】
HEPES溶液。RPMI培地を補充するために使用する1M(200×濃度)HEPES緩衝溶液(Invitrogen Corporation)は、使用前に2℃ないし6℃で保存する。
【0077】
X−vivo 10細胞培地。BioWhittakerにより供給されるX−vivo 10細胞培地は、使用前に2℃ないし6℃で保存する。血清、フェノールレッドおよび抗生物質を含まないこの培地(1×濃度)は、ペプチド負荷したxAPCへの曝露により活性化されるT細胞の非特異的増殖期の間に使用する。
【0078】
塩化ナトリウム注射剤。Baxter Fenwal Laboratoriesから入手可能な米国薬局方0.9%塩化ナトリウム溶液は、T細胞の収集の間の細胞洗浄処置に使用する。無菌、非発熱性かつ動物成分を含まない該溶液は使用前にRTで保存する。
【0079】
デキストロース+塩化ナトリウム溶液。米国薬局方の5%デキストロースおよび0.9%塩化ナトリウムの注入可能な溶液(Baxter Fenwal Laboratories)は、動物成分を含まない無菌の非発熱性溶液として得られる。活性化T細胞の保存緩衝液として使用する該溶液は、使用前にRTで保存する。
【0080】
乳糖リンゲル液。注射用水中の塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよび乳酸ナトリウムの無菌の低エンドトキシン溶液(動物成分を含まない)である米国薬局方0.9%乳酸リンゲル液(Baxter Healthcare Laboratories)は、T細胞の収集および懸濁における使用前にRTで保存する。
【0081】
蒸留水。メンブレン濾過およびエンドトキシンスクリーニングにより得られる細胞培養等級蒸留水(Invitrogen Corporation)は、硫酸銅、塩化カルシウムおよびインターロイキン−2(IL−2)のストック溶液の調製のための溶媒として使用し、そして使用前にRTで保存する。
【0082】
他の材料。
リンパ球除去生成物は、黒色腫と診断されたヒト被験体から収集し、そして、自己の患者特異的細胞生成物の生成のための使用前にRTで保存する。
【0083】
自己ヒト血清は単離したT細胞の培養のためのタンパク質供給源として使用する。自己ヒト血漿は、フィブリン凝固を達成するために塩化カルシウムを添加すること、およびその後液体血清層を収集することにより、リンパ球除去生成物から調製する。収集した液体血清層は、短期保存のために4℃、および長期保存のために−80℃で保存する。
【0084】
連続的ショウジョウバエxAPC培養物を創製するためのシードストックとして使用する異種ショウジョウバエクローンB由来のショウジョウバエxAPC株は、下述されるとおり得る。
【0085】
手順。
ヒトCD8細胞の単離。
CD8細胞は、抗CD8モノクローナル抗体(抗体1)での陽性選択、次いで磁性ビーズ(SAMビーズ)上に被覆したヒツジ抗マウスIgG(抗体2)を使用するDynabeadsTM(Dynal)単離手順により、Isolex 300i装置(Baxter)を使用して、白血球除去サンプルから単離する。抗ヒトCD8マウスモノクローナル抗体を、1%HSA(Baxter−Hyland)および0.2%クエン酸ナトリウムを補充したダルベッコPBSに再懸濁した洗浄した細胞に添加する。Dynalの磁性ビーズ(DynabeadsTM)を、PBMCの数に依存して1:1ないし1:2のビーズ対細胞比で添加する。単離したCD8細胞を磁性分離により除去する。残存する非CD8画分を収集し、そして再刺激および非特異的増殖段階の間での将来の使用のため低温保存する。CD8細胞−抗体1−抗体2−ビーズ複合体の解離を、それに対し抗体1を生成させたペプチド、CD8ペプチド59−70(AAEGLDTQRFSG)の存在下37℃で45分間のインキュベーションにより達成する。遊離されたビーズを磁性で除去し、そしてCD8細胞を計数しかつて純度を評価するためフローサイトメトリーにより分析する。CD8細胞の回収は典型的に80%以上である。初期細胞洗浄段階の時点で自己血漿を収集することにより熱不活性化血清を調製する。CaClを使用してフィブリンを凝固させかつフィブリン塊を除去する。血清を熱不活性化し、濾過し、分注しかつ−80℃で凍結する。非CD8細胞を陽性選択手順から保持し、そしてFicoll勾配を使用して精製する。これらの細胞をDMSO、Pentaspanおよび熱不活性化自己血清中で低温保存しかつ液体窒素(LN)中で保存する。これらの細胞を再刺激の時点で接着細胞の供給源として使用し、そして抗原提示細胞としての使用前にペプチドでパルスする。
【0086】
精製ヒトCD8 T細胞のin vitro免疫化
一次刺激。トランスフェクトしたショウジョウバエS2細胞を、10%ウシ胎児血清および硫酸銅を補充したSchneider培地中(10細胞/mL)27℃で24ないし72時間インキュベートする。S2細胞(クローン1120−3−9)を収集し、洗浄し、そしてヒトgp100154−162、gp100209−217、gp100280−288、MART−127−35、チロシナーゼ−N369−377およびチロシナーゼ−D369−377ペプチドのそれぞれ0.1μg/mL、ならびに大腸菌(E.coli)から精製したヒトβ2ミクログロブリン組換えタンパク質5μg/mLを含有するHYQ SFX昆虫培地(Hyclone)に再懸濁する。室温(23〜25℃)で4時間のインキュベーション後に、5〜10%自己血清を補充したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)培地(Gibco)中で、S2細胞をCD8細胞と1:10(ショウジョウバエ細胞:T細胞)の比で混合する。細胞混合物を37℃でインキュベートし、その時間の間にショウジョウバエ細胞が死滅する(48時間までに)。第4日に、黒色腫特異的CTL集団を選択的に増殖させるためIL−2(20U/mL)およびIL−7(30U/mL)を添加する。
【0087】
再刺激。リンパ球除去の時点で得かつ将来の使用のため凍結した自己CD8枯渇PBMCを融解し、洗浄し、そして10%自己血清、5μg/mL組換えヒトβ2ミクログロブリン、ならびに5μg/mLのgp100154−162、gp100209−217、gp100280−288、MART−127−35、チロシナーゼ−N369−377およびチロシナーゼ−D369−377ペプチドを含有するRPMI培地に10細胞/mLで再懸濁する。γ線照射(5,000rad)後に、再刺激に使用したフラスコ中で細胞を37℃で2時間インキュベートする。ダルベッコPBSで洗浄することにより非接着細胞を除去する。接着性単球にペプチドエピトープを負荷し、そして1%HSA中5μg/mLヒトβ2ミクログロブリンおよび5μg/mLの各ペプチドを含有するLeibovitz培地中で90分間インキュベートする。上清を除去し、そして、ショウジョウバエ活性化CD8細胞懸濁液(10%自己血清を含むRPMI培地中2.5×10細胞/mL)を1接着性単球に対し約10のCD8細胞の比で添加する。37℃で3ないし4日培養後に、IL−2(20U/mL)およびIL−7(30U/mL)を、黒色腫特異的CTL集団を選択的に増殖させるために培地交換を用いて添加する。
【0088】
非特異的増殖。2回の再刺激を受けたCD8エフェクター細胞を、OKT3抗体で刺激した後に支持細胞(照射した自己のCD8で選択していない細胞)と一緒に細胞培養袋中で増殖させる。凍結した、CD8で選択していない細胞を融解し、洗浄し、そしてその後γ線照射する(3,500rad)。4:1(支持:エフェクター)の比を、OKT3抗体で被覆したT−225フラスコに入れる。OKT3刺激は、20U/mLのIL−2を補充した10%自己血清を含有する完全RPMI培地中で実施する。2日後に、刺激したT細胞を新鮮培地(X−vivo 10培地)で希釈し、そして増殖のため細胞培養袋に移す。新鮮培地およびIL−2をおよそ2ないし3日ごとに補充して、迅速に増殖するT細胞を養う。
【0089】
CTLの調製および放出
細胞の収集および最終生成物の処方。最終細胞生成物の収集は、培地を除去しかつ細胞を濃縮するための遠心分離により実施する。遠心分離後、1%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有する生理的食塩水で細胞を洗浄し、70μmフィルターを通して濾過し、そしてその後注入媒体で希釈する。注入のための細胞生成物は、300mLの米国薬局方乳糖リンゲル液(76% v/v)、0.9%塩化ナトリウム中5%デキストロース(4% v/v)および25%HSA(20% v/v)中に自己CTLを含有する。最終生成物細胞を、温度データ自記計測器を伴う冷却断熱輸送容器中の1000mL輸送袋に包装する。
【0090】
生成物試験。CTL生成物の放出前に実施する試験を下に列挙する。個々のペプチドに向けられた比活性は、刺激に使用した各個別のペプチドを負荷したクロム標識T2細胞に対するエフェクター細胞の細胞傷害活性を測定することにより評価する。細胞傷害活性は、正常線維芽細胞(Malme 3)、若しくはチロシナーゼ、gp 100およびMART−1について陰性の黒色腫細胞株(01−KN)を対照として使用して、クロム標識黒色腫標的(Malme 3M、M14)に対してもまた測定する。
【0091】
表現型:細胞収集物の一部分を使用して、発送前にCD8生成物の表現型を試験する。最終生成物の規格はCD3、CD8およびTCR発現である。記憶、活性化などと一致するマーカーの付加的な表現型評価を測定かつ記録する。
【0092】
同一性:サンプルのHLA−A2、HLA−CおよびHLA−DR状態を、初期の白血球除去の受領の時点で調製したPBMCサンプル、および収集した細胞生成物から採取した、培養の終了時に収集したCD8+ T細胞から単離したDNA調製物の分析により決定する。DNAサンプルのPCR分析は、Genovisionにより提供されるHLA特異的プライマーオリゴを用いて実施する。最終生成物の規格は第0日サンプルとの同一性である。
【0093】
細胞数:注入のための所望の細胞用量は1010CD8+ T細胞である。最終生成物の注入限界は1010細胞である。生成される細胞の総数は患者依存性である。細胞用量は、該細胞を同一のex vivoプロトコルで生成した以前の試験で平均9×10であった。最終細胞計数は生存細胞の数を決定することにより行う。
【0094】
生存率:最終細胞用量の生存率は>70%である。生存細胞の数は、トリパンブルー色素を排除する細胞を顕微鏡で計数することにより確立する。
【0095】
マイコプラスマ試験:マイコプラスマについての細胞の試験は、細胞を患者に投与して陰性のマイコプラスマ検出を確認する前に実施する。ELISAアッセイもまた包含するRocheのPCRキットを使用する。加えて、T細胞培養物のサンプルを、28日培養手順を満たすために最初のサイトカイン供給時(第6日)に収集しかつBioRelianceに送る。培養の結果はT細胞注入後に受領する。
【0096】
エンドトキシン試験:最終細胞生成物のエンドトキシン試験は、カブトガニ変形細胞ライセート(Limulus Amebocyte Lysate)アッセイ(BioWhittaker、メリーランド州ウォーカーズビル)を使用して実施する。エンドトキシン濃度限界は患者に注入される1kgあたり5EUを超えない。最終細胞生成物の規格は<1EU/mLである。
【0097】
工程内生成物無菌試験:無菌性の工程内試験はBacT/Alert装置を使用して実施する。サンプルを培地交換の時間に採取する。最終用量からのサンプルもまたBacT/Alert装置により試験し、そして最終生成物の規格は増殖の非存在である。
【0098】
ショウジョウバエDNAおよび昆虫ウイルスRNA検出:DNAを最終CD8+ T細胞生成物から単離し、そして、組換えショウジョウバエAPCを調製するのに使用した昆虫ベクターに特異的なプライマーを使用するショウジョウバエDNA PCRアッセイの鋳型として使用する。このサンプルを、陰性対照として作用するナイーブなCD8+サンプルと比較し、また、ショウジョウバエ細胞DNAを陽性対照として使用する。全RNAもまた同一のCD8+ T細胞サンプルから単離し、そして、3種の異なる既知の昆虫ウイルスRNAウイルスのcDNA1μgあたり20コピーを検出し得る定量的リアルタイムRT−PCRを実施する。双方のアッセイについての生成物の規格は、昆虫ゲノムおよびウイルス核酸の陰性検出である。
【0099】
溶解活性:溶解活性は、抗ペプチド活性を測定するためにペプチドを負荷したT2細胞標的、ならびに、黒色腫特異的死滅を評価するために樹立若しくは自己黒色腫細胞HLA−A2標的ならびにドナーをマッチさせた腫瘍および非腫瘍株(Malme 3およびMalme 3M)の双方でのクロム放出アッセイにより、最終的なCD8+ T細胞について評価する。生成物の規格は標的細胞の特異的死滅である。
【0100】
また、モニターすることを容易にするため、上述された放出試験に加えて以下の試験もまた実施しうる。
【0101】
四量体染色:ナイーブな白血球除去由来サンプルのCD8+ T細胞を、CTLをex vivoで生成するのに使用したペプチドエピトープに対する特異性をもつT細胞を数え上げるように設計した四量体分子を用いて、抗原特異的T細胞の存在について評価する。これは、処置後の抗原特異的T細胞のモニタリングを可能にする。
【0102】
末梢血サンプル中の黒色腫腫瘍細胞:感受性の定量的リアルタイムPCRアッセイは、薬物処置前、間および後の患者血液サンプル中の循環黒色腫細胞のモニタリングを見込む。全部のステージIII/IV黒色腫患者が循環腫瘍細胞を示すわけではない一方、これらの細胞の検出を、治療に対する応答の代理マーカーとして使用し得る。
【0103】
上述されたとおり調製したCTL生成物は、以下の実施例で記述される好ましい態様により具体的に説明されるところの本発明の併用療法処置レジメンで使用しうる。
2−CdA若しくはDAB IL−2の投与を伴うおよび伴わない、黒色腫関連ペプチド(MART−1、gp100およびチロシナーゼ)を負荷したショウジョウバエ細胞でex vivoで刺激した自己CD8リンパ球ならびにIFNα−2bおよびIL−2を使用する転移性黒色腫を伴う患者の処置。
【0104】
これらの実施例は、クラドリビンおよびDAB IL2から選択される1種のリンパ球枯渇剤、ならびにサイトカインIL−2およびIFN−α−2bと組合せの黒色腫関連抗原由来のペプチドエピトープに特異的である自己細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の投与を含んでなる処置、ならびに対照処置を具体的に説明する。MART−1、gp100およびチロシナーゼ由来の抗原性ペプチドを負荷したショウジョウバエxAPCを接触させることによりMART−1、gp100およびチロシナーゼを発現する黒色腫細胞をそれらが特異的に標的とするような、活性化した自己CTLを含んでなる細胞治療剤を、MART−1、gp100およびチロシナーゼを発現する黒色腫細胞の患者の免疫ターゲッティングを高めかつ維持するよう設計する。免疫調節物質IFN−α−2bおよびIL−2の添加はCTLの応答を増強するために包含する。非骨髄破壊的しかしリンパ球を枯渇させる調製的レジメン(クラドリビン)若しくは特異的T細胞サブセット枯渇デニロイキンジフリトクス(DAB IL−2)を、CTLの生着を高めるため、CTL注入前に投与する。該処置は、黒色腫特異的CTLの持続により腫瘍退縮および臨床的有益性を生じさせるように設計されている。
【0105】
より具体的には、HLA−A2陽性である進行悪性黒色腫を伴う臨床患者に、クラドリビン(0.12mg/kg/日×5日)若しくはDAB IL−2(18μg/kgの単回注入)いずれかよりなる非骨髄破壊的しかしリンパ球を枯渇させる調製的レジメンを投与する。加えて、インターフェロン−α−2b(IFN−α−2b;10MIU/m)の付随するレジメンを、CTL注入前に皮下注入により連続5日間連日投与する。その後、患者は、CTL表現型を表示するex vivoで生成したショウジョウバエxAPCで刺激した自己CD8 T細胞の単回投与を受領する。細胞注入に直ちに28日間の低用量(例えば3MIU)IL−2の皮下連日投与、次いで腫瘍評価が続く。低用量(例えば3MIU)IL−2の皮下連日投与を、疾患進行の証拠を伴わない患者で継続する。
【0106】
CTLは、精製したナイーブなCD8 T細胞をヒトMHCクラスI拘束の情況で6種の異なる黒色腫関連T細胞ペプチドエピトープを提示するショウジョウバエxAPCで刺激して、培養およそ34日後にMART−1、gp100およびチロシナーゼに対する複数の特異性を表すCTLをもたらす方法により、生成する。
【0107】
患者を試験に適格にするためのスクリーニングで血液を収集し、また、調製的白血球除去手順が第0日若しくは第1日に起こる。患者は、細胞治療剤を製造するために必要とされる十分な白血球を得るために、標準的な、血液容量の2.0〜3.0倍の白血球除去を受ける。示される時点で、分析のための末梢血液細胞を得るため付加的な白血球除去処置(最初のCD8サンプルを得るのに使用した量の1/3の以下)を実施する。これらのサンプルを使用して、抗原特異的T細胞および可能な循環黒色腫腫瘍細胞の存在をモニターする。血漿および血液細胞は、処置前および後サンプルの保管に対する異種移植要件に合致するようにもまた収集する。白血球除去生成物は、CD8 T細胞を単離する施設に輸送し、刺激し、そしておよそ34日間培養する。
【0108】
測定可能病変の評価はCTL注入後4および8週双方に実施する。該試験の一目的は、T細胞注入前のかつ確立された免疫増強サイトカインレジメンとともにの完全な非骨髄破壊的なリンパ球を枯渇する(クラドリビン)若しくは選択的T細胞サブセット枯渇(DAB IL−2)の投与が、付随する客観的腫瘍退縮を伴う抗原特異的T細胞持続をもたらすことができるかどうかを決定することである。
【0109】
細胞傷害性リンパ球の調製
抗CD8抗体での陽性選択により白血球除去サンプルから単離したCD8細胞を、ヒトクラスIおよび共刺激分子(HLA−A2.1、β2ミクログロブリン、B7.1、CD70、ICAM−1およびLFA−3)を発現するショウジョウバエxAPCにより提示されるヒト黒色腫関連抗原ペプチド(チロシナーゼ369−377(native)、チロシナーゼ369−377(modified D371)、MART−127−35、gp100154−163、gp100209−217およびgp100280−288)で刺激する。これら同一CD8細胞を、IL−2およびIL−7の存在下で、2回の自己のペプチドパルスした単核細胞により再刺激する。抗CD3 mAb(OKT3)を用いる非特異的増殖段階もまた細胞の総数を増大させる(すなわち一般に第二の再刺激段階の終了時に得られるものの25倍以上)ために包含する。細胞傷害性T細胞活性をペプチド負荷したT2細胞および一団のA2黒色腫細胞に対し測定する一方、in vitro刺激したCD8 T細胞の純度をフローサイトメトリーにより評価する。加えて、抗原特異的刺激およびペプチド特異的四量体分析に応答してのインターフェロン−γ産生は、生成されるCTLのそれぞれエフェクター機能および特異性を確認する。
【0110】
黒色腫癌患者から単離したナイーブなCD8 T細胞から生成したCTLの効力
末梢血サンプルから単離した抗原特異的CTLが、TCRが向けられる特異的ペプチド/MHC複合体に対する低から高までのアビディティーの範囲にわたる細胞の不均一集団の一部であることが、黒色腫患者で示されている。しかしながら、これらのCTLの大多数は低アビディティーのものであり、そして高アビディティーをもつCTLのみが有意の腫瘍細胞溶解を示す21。加えて、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が黒色腫を伴う患者の腫瘍塊から単離された。高用量IL−2の存在下でのこれらのTILのex vivo増殖は黒色腫患者における客観的応答をもたらしたが;しかしながら、これらの応答は、短期間、かつ、いかなる完全奏功も生成することに失敗したTILから発する高度に反応性のクローン化T細胞のものであった16
【0111】
対照的に、ショウジョウバエxAPCを用いてex vivoで生成したCTLは、ペプチド特異的溶解(例えば図1を参照されたい)および強い黒色腫腫瘍細胞死滅が可能な強力な高アビディティーの抗原特異的T細胞である。腫瘍細胞に対する強い細胞溶解活性をもつCTLの再現可能な生成は数種の寄与因子に帰されると考えられる。第一に、ペプチド特異的抗CD8モノクローナル抗体でのCD8精製はCD8の高密度を伴う細胞について選択した一方、特異的ペプチドの存在下での抗体放出はT細胞の非特異的刺激を回避した。第二に、高度に精製したCD8 T細胞(表I)を、高密度の抗原提示が強力な一次T細胞免疫応答をもたらすMHC分子の情況で、特異的T細胞エピトープを提示するxAPCで刺激する。APC上の複数の共刺激分子の包含はT細胞刺激を最適化する。第三に、再刺激段階は、一次刺激で使用される同一の黒色腫関連T細胞エピトープを負荷された自己の単核細胞を取り込み、そして増殖するT細胞に増強を提供する。最後に、OKT3、自己支持細胞および低用量IL−2を用いる単一の非特異的増殖段階は、T細胞の総数を約25倍増大させる一方で、第二の再刺激段階の終了時に記録される抗原特異的T細胞の同一比率を維持する。
【0112】
【表2】

【0113】
このex vivo xAPC CD8 T細胞刺激プロトコルは、ペプチド特異的四量体分子、特異的抗原刺激に応答してのインターフェロン−γ放出および特異的腫瘍溶解での列挙により評価されるとおり、強力な腫瘍細胞溶解、ペプチド/MHC複合体に対する高アビディティー、および抗原特異性をもたらした。
【0114】
以前の研究からの悪性転移性黒色腫におけるCTL治療の評価
ステージIII若しくはステージIV黒色腫を伴う合計55例の被験体を伴った2件のフェーズI試験および1件のフェーズII試験が実施された。試験1、「ショウジョウバエ抗原提示細胞、インターロイキン−2、インターロイキン−7、その後接着性単球およびチロシナーゼペプチドとともにex vivoで連続培養した自己細胞傷害性Tリンパ球(CD8)」は、10例のステージIV黒色腫患者でのオープンラベル試験であった。臨床エンドポイントは、1)in vitro免疫化後の再注入した自己CTLの安全性および忍容性;2)制限希釈分析による全身循環中の注入されたCTLのキネティクスの測定;3)放射シンチグラフィーによる111インジウム標識CTLの全身配置;4)免疫組織化学分析による生検小結節の細胞組成(CTL、T、NK、B細胞)ならびに5)測定可能病変の退縮および2か月にわたる応答持続期間であった22
【0115】
試験2、「進行黒色腫の処置のためのショウジョウバエ細胞で刺激した自己CD8リンパ球の注入を伴う皮下インターフェロン−αのパイロット試験」において、合計15例のステージIII/IV黒色腫患者に、IFNα−2bでのバックグラウンド維持療法上で自己CD8 T細胞を注入した。CTL療法を、1)再注入したCTLの安全性および耐性(toleration)をモニターすること;2)生検小結節の細胞組成;3)
測定可能病変の退縮、ならびに4)3か月にわたる応答持続期間により評価した。経過観察評価(最初の注入後4週)で安定な疾患を有したか若しくは臨床応答を示した被験体に第2サイクルの処置を提供した。15例の被験体のうち8例が第2サイクルのCTL療法を受け、4例の被験体が第3のサイクルに進入し、そして1例の被験体は4サイクルのT細胞療法で処置した23
【0116】
試験3、「進行黒色腫の処置のためのショウジョウバエ細胞で刺激した自己CD8リンパ球の注入を伴う若しくは伴わない皮下インターフェロン−α−2b(IFN)およびインターロイキン−2(IL−2)の無作為化フェーズII試験」において、合計30例のステージIII/IV黒色腫患者を、サイトカイン単独(IFNαおよびIL−2)若しくはサイトカインおよびT細胞で処置した。それは、患者がサイトカインのみアーム(アームA)若しくはサイトカインおよびT細胞アーム(アームB)に進入した無作為化試験であった。アームAに進入しかつそこで進行した患者に、サイトカインおよびT細胞アーム(アームC)にクロスオーバーする機会を提供した。本試験の一次エンドポイントは、2群(アームA対アームB)間の疾患の無増悪期間(TTP)を比較することであった。統計学的有意性は、アームAに進入する患者に対するアームBに進入する者のTTPで達せられた(図11)。アームAからアームCにクロスオーバーした患者で、TTPの統計学的有意性はT細胞を受領する患者でもまた検出された。用量および処方されたスケジュールでのIFNαおよびIL−2の安全性および耐性もまたモニターした24
【0117】
インターフェロン−α−2b(IFN−α−2b)の使用の理論的根拠
インターフェロン−α(IFN−α)は、多様な悪性病変において広範な免疫調節および抗増殖効果を有する。IFN−αの1作用機序は黒色腫細胞上での腫瘍抗原発現の上方制御であると考えられている。それは腫瘍の表面上の免疫学的に重要な分子の発現を高める能力を有する。これらは、MHC抗原、アクセサリー分子、ならびに腫瘍関連抗原を包含する25−27。これらの免疫調節効果は、in vivoで腫瘍細胞を認識かつ攻撃する抗体およびリンパ球双方を包含する免疫系の活性を改善しうる。能動的特異的免疫療法は播種性黒色腫の処置において有意の臨床応答を示した。上で論考された免疫機能研究の結果は、黒色腫ワクチン処置が抗黒色腫CTLの頻度を増大させることを示した。免疫療法のこれら2種の様式が相乗的に作用しうると考えられる。5日クールのIFN−α(10MU/m;皮下で)が試験2に包含され、また、組織のIHC染色の結果は、該タイミングおよび用量が、指定される時間枠で単一患者から得た連続生検サンプル中のクラスIおよび黒色腫関連抗原双方の発現を上方制御するのに十分であったことを示した。臨床試験での同一の5日クールを試験3で包含した。
【0118】
インターロイキン−2の使用の理論的根拠
ヒト組換えヒトインターロイキン−2(IL−2)は、組換えDNA技術により製造されるリンホカインであり、多様な生物学的活性を表すことが示されている。IL−2は、標的細胞の表面上の特定の受容体への結合後に免疫系を刺激しかつその生物学的効果を発揮する。in vitroで、それはT細胞増殖およびリンパ球の細胞傷害性を高め、リンホカイン活性化およびナチュラル双方のキラー細胞のキラー活性を誘導し、そしてインターフェロン−γ産生を誘導することが示されている。283例の患者への高用量IL−2の投与は、9例の完全奏功を伴う7%の寛解率を生じ、そして該患者は9から91か月以上まで無病のままであった28。高用量IL−2は低用量連続注入より有効であるようであったとは言え、高用量のIL−2はまたより毒性でもある。最も一般的な副作用は流感様症状であった。最も重篤な副作用は、低血圧、毛細管漏出症候群および低下された臓器灌流であった。養子移入した自己T細胞のレベルを高めかつ維持するために、低用量IL−2(3MIU/日で×28日)の皮下投与を試験3の一部で使用した。それは、抗原特異的T細胞をin vivoで維持するための試みにおいてリンパ球有糸分裂誘発、リンパ球細胞傷害性およびインターフェロン−γ産生を高めるため、短い1クールのIFN−αの後およびCTL注入直後に追加した。
【0119】
非骨髄破壊的免疫抑制性化学療法レジメン後のリンパ球の養子移入
マウスの研究は、T細胞の投与前の化学療法での免疫抑制の誘導が、リンパ球の養子移入が最大の腫瘍退縮を媒介することを可能にするために不可欠であったことを示した29,30。これらの研究に基づき、非骨髄破壊的化学療法レジメンの適用後のリンパ球の養子移入を用いて患者を処置するための臨床プロトコルを開始した16,31。非骨髄破壊的調製的レジメンを使用して、同種骨髄移植片を受領する患者を処置し、そして、これらのレジメンは、養子移入したTリンパ球の効果を高めうる一過性免疫抑制を誘導するのに理想的に適するようである。HLAを一致させた同種移植片を受領する腎細胞癌患者で元は使用されたシクロホスファミドおよびフルダラビンのレジメン32が、転移性黒色腫患者で最近使用されている16,31。T細胞の養子移入前のリンパ球枯渇レジメンの組み込みの理論的根拠は、制御性細胞をおそらく破壊する、恒常性T細胞制御を破壊する(「空間を作成する」)、若しくは移入されたT細胞の生着を潜在的に高め得る他の正常の免疫寛容誘発機構を廃止することであった。処置関連の死亡は観察されず、そして従って、抗腫瘍リンパ球および高用量IL−2と組合せの非骨髄破壊的化学療法は安全であるはずである。非骨髄破壊はフルダラビン(25mg/m)およびシクロホスファミド(60mg/kg)で誘導され、そしてリンパ球注入および高用量IL−2(720,000IU/kg)が続いた。
【0120】
化学療法剤シクロホスファミドおよびフルダラビンの投与は、完全には骨髄破壊的でない一方で、骨髄抑制的であることが示され、好中球、リンパ球、血小板および赤血球に影響を及ぼす。化学療法の開始後第10日に最下点まで下落した好中球レベルは6/mmで記録され、そしてフィルグラスチム(G−CSF)の支持で第14日に500/mmより上に回復した。リンパ球レベルは6/mmの最下点を有し、そして同一期間に200/mmより上に回復した。患者は通常、化学療法の開始2〜3週後に500/mmより上の好中球数および20,000/mmより上の血小板数を表した。骨髄機能を救出するための幹細胞注入を必要とした患者はなく、そして従って処置全体は安全であるようであった。しかしながら、CD4数は持続して低いままであり(およそ第200日の平均CD4数は46/mmと320/mmの間の範囲を伴い156/mmであった)、これはフルダラビンで誘導される免疫抑制の既知の副作用である。日和見感染の発症が起こり(すなわち一過性帯状疱疹の突然の発生)、それは処置の終了後に解消した。
【0121】
フルダラビンに類似のプリンアナログ、クラドリビン(2−CdA、Leustatin(R))は、ヘアリーセル白血病の処置での使用に承認され、そして自己反応性Tリンパ球を減少させる試みにおいて多発性硬化症(MS)患者でもまた評価された。MS患者で、T細胞サブセットの特異的減少が、クラドリビンの異なる用量と相関した33−35。それは、長期間持続するリンパ球減少を誘発する一方で、他のリンパ球溶解薬に関して非常に好都合な毒性プロファイルを有する。リンパ球レベルは、4か月クールの間投与される場合、クラドリビンの最初の注入直後に低下し、5か月で最下点に達し、そして6か月までに回復することを開始する33,34。リンパ球減少は全患者で観察され、また、感染性合併症は重大な問題でなかった。該薬物は、局所刺激を引き起こすことなくかつIV経路に完全に同等のようである薬物動態および治療結果を伴い、便宜的皮下経路により与えうる。
【0122】
ワクチンの状況で制御性T細胞(Treg)を免疫抑制性と同定するヒトでの最近の研究は、CD28、CTLA−4およびGITRと一緒にCD4+/CD25+hi表現型を表すTregサブセットの枯渇後に、高められた抗腫瘍免疫応答を示した38。このT細胞サブセットは、デニロイキンジフチチクス(DAB389IL−2、ONTAK(R))の単回投与後に選択的に枯渇され得る(およそ3週)。単回投与4日後に、Treg細胞の37〜77%枯渇が8例の腎細胞癌患者で示された。T細胞枯渇後、RNA−DCワクチンを投与し、そして、ワクチン抗原に対する免疫応答の10倍増強が、ワクチン単独に対しDAB IL−2およびワクチン双方を受領する患者で示された。従って、抗原特異的CTLの養子移入前6日の同一用量(18μg/kg)が、本発明のレジメンでの使用のための好ましい用量である。
【0123】
患者選択
試験の被験体は、HLA−A2陽性である、転移性黒色腫と診断されたヒト患者である。モノクローナル抗体(BB7.2)をFACS分析によりPBMCサンプルを分析するのに使用し、そして、HLA−A*0201サブタイプを決定するためのOlerup SSPTM PCR試験(GenoVision)を使用してさらなる分析を実施する。
【0124】
処置スキーム
図2は下により詳細に記述される処置レジメンを描く。患者を各コホートに10例を含み被験体の3コホートに分割する。リンパ球枯渇レジメンの対照、コホートAレジメンではCTLおよびサイトカインを投与する。本発明の好ましい一態様であるコホートBレジメンでは、患者はクラドリビン(第0〜4日)およびCTL(第36日)およびサイトカインを受領する。本発明の別の好ましい態様であるコホートBレジメンでは、患者はDAB IL−2(第30日)およびCTL(第36日)およびサイトカインを受領する。実験レジメンを下により詳細に記述する。
【0125】
黒色腫関連抗原に特異的なCTL
悪性黒色腫の細胞傷害性Tリンパ球療法は、黒色腫関連抗原エピトープを有する黒色腫細胞を破壊するのに自己のin vitro活性化CD8 T細胞を利用する。CTLは臨床の場で生成した白血球除去サンプルから調製し、そして、GMPガイドラインのもとでCTLを生成する施設に輸送し、そして注入のため戻す。
【0126】
第0日に、転移性黒色腫を伴う患者が白血球除去を受ける(患者の体重および状態に依存しておよそ10〜15リットルの運転)。得られた細胞を、GMP製造施設での処理のため室温で翌日配達で発送する。適切な時点で白血球除去を実施して分析のための末梢血リンパ球を得る。これらのサンプルを使用して、抗原特異的T細胞の存在および循環黒色腫腫瘍細胞の存在をモニターする。モニタリング白血球除去処置は、臨床の場でおよそ5リットルの末梢血(若しくは、その後の注入のためのCD8細胞を得るため初回白血球除去で収集した容量の1/3)を処理し、そしてGMP製造施設に発送する。PCRアッセイを使用して、治療後の循環黒色腫細胞のレベルの低下を測定する。循環黒色腫細胞の検出は、感受性の定量的リアルタイムPCRアッセイにより測定し得る39−41。抗原特異的T細胞の存在を、ペプチド特異的/HLA−A2四量体を用いて評価する。
【0127】
注入のための最終CTL調製物は、76%(v/v)乳糖リンゲル液、4%(v/v)D5NSおよび20%(v/v)の25%ヒト血清アルブミン(HSA)に含有される300mL中に1×1010自己CTLを含有する。CTL生成物を氷上で保持した注入に適する滅菌袋中で調製し、そして調製42時間以内に30分にわたり注入する。
【0128】
注入前に、CTLを溶解活性(ペプチド負荷した標的細胞および黒色腫腫瘍細胞双方の溶解)、生存率、ならびにFACS分析による純度についてモニターする。ショウジョウバエ細胞DNAおよび昆虫ウイルスRNA双方の非存在を、感受性の定量的リアルタイムPCRアッセイで確認する。無菌性は、BacT/Alert(R)分析、マイコプラスマ試験およびグラム染色分析により決定する。
【0129】
患者は、CTLが向けられている抗原をin vivoで発現する細胞を標的とすることが可能な細胞傷害性Tリンパ球になるようにex vivoで刺激かつ増殖したおよそ1010自己T細胞のCTL注入を受領する。細胞はIFN−α処置後の終了後に注入し、そしてIL−2レジメンの開始にすぐ先行する。
【0130】
サイトカイン
インターロイキン−2(IL−2)はChiron Corporation(カリフォルニア州エメリービル)から得る。それはおよそ0.17mgの第一および0.89mgの第二リン酸ナトリウムで7.5(範囲7.2ないし7.8)のpHに緩衝した、50mgマンニトールおよび0.18mgドデシル硫酸ナトリウムを含む無菌の白色ないし灰白色凍結乾燥ケーキとして22百万IU(約1.3mg)のIL−2を含有する単回使用バイアルとして供給される。該粉末を1.2mLの米国薬局方注射用滅菌水で再構成し、そして生じる濃度は18百万IU/mlすなわち1.1mg/mLである。無傷のバイアルは冷蔵庫(2°〜8℃)中で保存しかつ光から保護する。再構成したIL−2を、2.4mLのD5%水でさらに希釈する。該最終濃度(6MU/mL)は、プラスチック製シリンジに一旦吸い込まれれば、2〜8℃で冷蔵保存される場合に再構成後14日間十分である。IL−2の最終希釈を、CTL注入直後に開始しかつ疾患の進行まで毎日、3百万単位(3MIU)の用量で皮下に外来で自己投与する。
【0131】
INTRON−A(R)はSchering−Plough Corporation(ニュージャージー州ケニルワース)から得る。このIFN−α−2b製品は、凍結乾燥粉末若しくは注入のための溶液いずれかとして滅菌5mlバイアル中で供給される。1バイアルはおよそ3×10U若しくは18×10UのIFNを含有する。凍結乾燥粉末は、静菌剤が包含されていないため、好ましくは使用直前に再構成し;未使用の凍結乾燥粉末は冷蔵庫若しくは冷凍庫(−4℃ないし−20℃)で保存する。該剤が注入可能な溶液として供給される場合はそれを冷蔵庫に保存する(2°〜8℃すなわち36°〜46°F)。IFN−□の最終希釈を、皮下注入として第31〜35日に10MU/mで外来で自己投与する。
【0132】
DAB389IL−2
DAB389IL−2(デニロイキンジフチトクス、ONTAK(R))は、大腸菌(E.coli)で発現される、ジフテリア毒素フラグメントAおよびBのアミノ酸配列、次いでインターロイキン2の配列から構成される、組換えDNA由来の細胞傷害性タンパク質である。それは標的を定められた薬物であり、それらの表面上にCD25(IL−2R)を発現する細胞に結合する。それは悪性若しくは正常の制御性T(Treg)細胞の表面上の高アフィニティーIL−2受容体と相互作用して細胞内タンパク質合成を阻害し、迅速に細胞死に至る。DAB389IL−2は、静脈内(IV)投与に意図している無菌の凍結溶液として単回使用バイアル中で供給される。ONTAKの各2mLバイアルは、米国薬局方注射用水中クエン酸(20nM)、EDTA(0.05mM)およびポリソルベート20(<1%)の無菌溶液中に300mcgの組換えDAB−IL2を含有する。該溶液は6.9〜7.2のpHを有する。無傷のバイアルは凍結すなわち−10℃で保存するがしかし再凍結しない。該物質は、冷蔵庫中で24時間を超えない間若しくは室温(25℃すなわち77°F)で1〜2時間融解することにより用量を調製する前に室温にもたらし、そしてNSで≧15mcg/mLの濃度に希釈する。DAB389IL−2は静脈内注入、好ましくは最低15分にわたる注入により投与する。コホートCに割り当てられた患者は第30日(IFN−□の開始1日前かつCTLの注入6日前である)にDAB IL−2の単回皮下注入を受領する。該用量は18μg/kgである。
【0133】
クラドリビン
Leustatin(R)(2−クロロ−2’デオキシ−□−D−アデノシン)は合成抗腫瘍剤である。それはアデノシンデアミナーゼの作用に抵抗性のプリンヌクレオシドアナログであり、優先的なリンパ球傷害性をもたらす。デオキシヌクレオチダーゼに対するデオキシシチジンキナーゼの高い比を伴う細胞(例えばリンパ球および単球)で、クラドリビンは活性の三リン酸デオキシヌクレオチド2−CdATPにリン酸化され、蓄積して細胞代謝の破壊、DNA損傷およびその後の細胞死を引き起こす。該薬物はクラドリビン10mg(1mg/mL)を含有する単回使用バイアル中で供給される、澄明無色の無菌の保存剤を含まない等張溶液である。クラドリビンの各mLは、1mgの有効成分、および不活性成分として9mg(0.15mEq)の塩化ナトリウムを含有する。該溶液は5.5ないし8.0のpH範囲を有する。リン酸および/若しくは第二リン酸ナトリウムを添加して6.3±0.3にpHを調節してもよい。無傷のバイアルは冷蔵保存(2〜8℃)する。コホートBのクラドリビンの用量は合計5日間0.12mg/kg/日であり、最大3.0ccを単一部位に投与する3〜4部位に細分する。総クラドリビン用量は0.6mg/kgである。(この同一スケジュール(連続5日)および0.14mg/kg/日の用量(総用量=0.7mg/kg)で皮下投与されるクラドリビンは、ヘアリーセル白血病患者で安全であることが報告された37。加えて、60例の患者にこのスケジュールおよび用量で投与したクラドリビンは、単一サイクル後に臨床上同一の骨髄抑制を伴いおよそ70%のリンパ球枯渇を生じた。標準化における変化の結果として、Leustatinは、実験室で合成したクラドリビンストックと比較して、以前の臨床研究で報告されたより12%より高いことが見出された。0.1mg/kgであると報告された用量は現在、実際にわずか0.087mg/kgであったことが推定されている33。2〜3部位に細分したLeustatin(R)製剤での皮下投与の安全性に関して、再発−寛解型多発性硬化症患者での研究は、2.1mg/kgの総累積用量に月1回6か月間0.07mg/kg/日×5日を使用した36。合計27例の患者を処置薬物アームに無作為化した。感染症は、2例のクラドリビン処置患者およびプラセボを受領する1例の患者で発生した軽度の部分的帯状疱疹のエピソードに制限された。重大な血小板減少症、貧血顆粒球減少症若しくは全身骨髄抑制の個別症例は存在しなかった。)
【0134】
任意の支持療法
患者は処置の間およびその後、IFN−αおよびIL−2毒性を排除するため、以下、すなわちアセトアミノフェン(650mg PO 必要に応じ4時間ごと)、ジフェンヒドラミン(50mg IM若しくはPO 必要に応じ4時間ごと)、インドメタシン(25mg PO 1日3回若しくは75mg徐放1日1回)、プロクロルペラジン(10mg IV若しくはPO 必要に応じ4時間ごと、吐き気)、Zantac(R)(150mg 1日2回、胃炎)のいずれかを受領しうる。とりわけ処方されない他の抗炎症剤および制吐剤を上の支持薬物のいずれの代わりに用いてもよい。
【0135】
本発明は具体的に説明する実施例および好ましい態様に関して上に詳述されたとは言え、当業者は、本発明の範囲が前述の記述により定義されず、しかし、特許法の原理のもとで適正に解釈されるとおり付随する請求の範囲により定義されることを理解するであろう。
【0136】
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【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】ペプチド負荷した標的細胞に向けられた、ex vivoで生成したCTLの細胞溶解活性を具体的に説明する。黒色腫患者から単離したCD8 T細胞を、5種の異なる黒色腫関連ペプチドエピトープを負荷したショウジョウバエAPCでin vitroで免疫した。活性化CD8 T細胞を、黒色腫特異的CTLを選択的に増殖させるため、IL−2およびIL−7を使用してin vitroで培養した。活性は、各ペプチドを個別に負荷した51Cr標識T2標的細胞の特異的溶解として評価した(HLA−A2対照ペプチドを負荷したT2細胞に対するTyr−1689、Tyr−2792、gp100−1817、gp100−2853若しくはMART−1819)。
【図2】対照レジメンと一緒の本発明の処置レジメンの2種の好ましい態様の図解を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被験体からナイーブなCD8+ T細胞を得ること;
(b)1種若しくはそれ以上のペプチド抗原を負荷した異種抗原提示細胞と該ナイーブなCD8+ T細胞を接触させて、それにより、前記1種若しくはそれ以上のペプチド抗原を発現する細胞を標的とする活性化CTLを生成すること;
(c)該活性化CTLを該被験体に投与すること;
(d)CTL持続性を遂げる最低2種のサイトカインを該被験体に投与すること;ならびに
(e)クラドリビンおよびデニロイキンジフチトクスよりなる群から選択される白血球枯渇剤を該被験体に投与すること
を含んでなる、癌の処置の必要な被験体の処置方法。
【請求項2】
前記最低2種のサイトカインがインターフェロン−α−2bおよびインターロイキン−2を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種若しくはそれ以上のペプチド抗原が、gp100、チロシナーゼおよびMART−1から選択されるタンパク質由来のアミノ酸配列を含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1種若しくはそれ以上のペプチド抗原が、ヒトgp100、チロシナーゼおよびMART−1タンパク質由来のペプチド抗原よりなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1種若しくはそれ以上のペプチド抗原のそれぞれが、YMNGTMSQV(配列番号1)、YMDGTMSQV(配列番号2)、AAGIGILTV(配列番号3)、ITDQVPFSV(配列番号4)、YLEPGPVTA(配列番号5)およびKTWGQYWQV(配列番号6)よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が黒色腫である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
リンパ球枯渇剤の投与が活性化CTLの投与前に開始する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−531303(P2009−531303A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557314(P2008−557314)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/004841
【国際公開番号】WO2007/103009
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】