説明

リン脂質に対して親和性を有するペプチドおよびその使用

本発明は、脂質ベクターの特異的認識のためのペプチドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン脂質に対して親和性を有するペプチドのファミリーに関するものであり、さらにこのペプチドの、特に薬剤の分野における様々な使用にも関する。
【0002】
一般に、本発明のペプチドは、脂質分子を特異的に認識するのに役立つ。それらは、脂質、特に、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およびリゾホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、およびスフィンゴシン-1-ホスファート等の負に荷電した脂質を認識しかつ封鎖する化合物を作り出し創作するのに使用することができる。
【0003】
上記の脂質は、特に細胞のシグナル伝達において重要な役割を果たし、細胞膜の外面に存在し、かつ/または非常に広範な疾患に伴う事象後に血中を循環する。
【0004】
様々な細胞の事象が、負に荷電した脂質、特に細胞の外面にホスファチジルセリン(PS)の出現をもたらし、これらの事象は、細胞の偶然または疾患による変質、あるいは細胞死またはアポトーシス等のプログラムされた細胞の事象のいずれかに起因する。細胞の外面におけるPSの出現は、したがって、機能障害の存在を反映する重要な「第一のメッセージ」の構成要素となる。血液凝固の過程の場合、その機構は、よく説明されており、血管の内皮細胞内の変質は、突発的な理由またはより複雑な疾患による理由のいずれに対しても、血液環境と接触している細胞の外面においてこのPSメッセージの出現を引き起こす。このメッセージは、ある一定の循環しているタンパク質により直ちに認識され、それが次によく知られた血液凝固の現象をもたらすカスケードを引き起こす。
【0005】
本発明は、脂質エフェクター認識ならびに、アポトーシス、血液凝固疾患、敗血性ショックおよび特に急性炎症性病変の検出の分野における、研究、診断および治療の手段として使用することができる化合物を開発するために、ペプチドが、カルシウムの存在下または非存在下で、脂質特に負に荷電した脂質に結合するという特性をうまく利用する。
【0006】
研究および診断に関しては、本発明のペプチドは、例えば、検出用の分子、例えば、蛍光分子、アビジン-ビオチンシステムのパートナーの1つ、短命の放射性元素、常磁性化合物または電子顕微鏡検査のための金または高密度化合物の粒子にカップリングすることができる。これらの検出用の分子により、例えば、アポトーシスを起こした細胞を検出することまたは負に荷電した細胞膜のミクロドメインを認識することが可能である。
【0007】
本発明のペプチドは、それ故、細胞表面における負の電荷の出現および血液中への小胞の放出を含む病変の「in vitro」検出に使用することができる。
【0008】
本発明のペプチドは、また、これらのペプチドを、例えば短命の放射性元素にカップリングする(単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)または陽電子放出断層撮影法(PET)によりシンチグラフ画像を得る)か、または任意の対照化合物例えば核磁気共鳴映像法(MRI)用のガドリニウム錯体にカップリングするときは、in vivoでの検出、ならびに、アポトーシス病巣、血栓症のゾーン、および一般に負に荷電した脂質を暴露する任意の中心の画像化のために使用することができる。
【0009】
治療に関しては、一般に、本発明のペプチドは、単独または医薬品を調製するための治療分子にカップリングして使用することができる。該医薬品は、例えば、この分子を、アポトーシスを起こした細胞の病巣を示す腫瘍または炎症性腫瘍等の負の電荷を示すゾーンに導くために使用することができる。
【0010】
本発明のペプチドは、例えば、血栓症の治療および予防に使用することができる医薬品を調製するため、またはすべての血栓形成性生体材料を被覆する分子を調製するために、血栓溶解作用をもつ分子にカップリングすることができる。本発明のペプチドは、したがって、血栓溶解性分子を血栓の場所または血栓形成性ゾーンに導くために使用することができる。
【0011】
本発明の応用の他の例においては、本発明のペプチドは、例えば、喘息、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病、敗血性ショック、膠原病および関節炎等の急性の病変に使用することができる医薬品の調製のために単独で使用または抗炎症性分子とカップリングすることができる。
【0012】
その他の応用も、あとに続く説明を読めば当業者にはさらに明らかとなろう。
【背景技術】
【0013】
アネキシンと呼ばれるタンパク質のファミリーは、カルシウム濃度および陰イオン性リン脂質の存在によって調整される、細胞膜への可逆的な機能アンカーを示すものとして従来技術に記載されている。そのアネキシンは、動物および植物の両方の非常に広範な組織中で発現されるタンパク質のファミリーを構成する。それらは、細菌または酵母中のいずれにも発現されないようである。
【0014】
アネキシンの構造は、およそ70のアミノ酸または残基からなる4つのドメインを含み、それは、配列に関しては相同性はそれほど高くないがトポロジーに関しては実質的に全く同一である。
【0015】
文献WO 92/19279で、J. Taitは、リン脂質に対して親和性を有するコンジュゲートについて記載している。特にアネキシン、とりわけ血栓溶解剤として使用することができる活性なコンジュゲートを製造するためのアネキシンVの使用について記載している。
【0016】
その文献に記載され、遺伝子組換法によって完全なアネキシンから調製された化合物は、残念ながら多くの欠点を有しており、特に収率が低く、製造コストが高い。主要な欠点は、特に、不可逆的なアンフォールディングをもたらす複雑なトポリジーのために脆弱なコンジュゲートが得られるという事実である。加えて、これらの分子は、腎臓および心臓に対して顕著な毒性を示す。
【0017】
本発明者等は、出願WO-A-00/20453に、上記の欠点を克服し、リン脂質に対する親和性および改良された安定性を有するペプチドの第1のファミリーについて記載している。
【特許文献1】WO 92/19279
【特許文献2】WO-A-00/20453
【非特許文献1】Kevin Burgess: 「Solid-Phase Organic Synthesis」、Wiley-Interscience; ISBN: 0471318256; (2000年2月)
【非特許文献2】R. JagusおよびG. S. Beckler (1998): 「Overview of eukaryotic in vitro translation and expression systems」、 Current Protocols in Cell Biology 11.1.1〜11.1.13、1989年、John Wiley & Sons, Inc.
【特許文献3】US 6323313、J. F. Tait他
【非特許文献3】Shuang Liu、D. Scott EdwardsおよびJohn A. Barrett: 「99mTc Labeling of Highly Potent Small Peptides」、 Bioconjugate Chem. 1997, 8, 621〜636
【非特許文献4】F. Cordier-Ochsenbein等、J. Mol. Biol. 279, 1177〜1185
【非特許文献5】Circulation Res. 1996, 79, 946〜956
【非特許文献6】Le-Cun Xu 等: 「Bis(Hydroxamamide)-Based Bifunctional Chelating Agent for 99mTc Labelling of Polypeptides」、Biconjugate Chem. 1999, 10, 9〜17
【非特許文献7】P. KANTHI等: 「Synthesis of Charged and Uncharged Complexes of Gadolinium and Yttrium with Cyclic Polyazaphosphinic Acid Ligands for in vivo Applications」、J. CHEM SOC. PEKIN TRANS. 2、1993年、605〜618頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、脂質、特にリン脂質に対して親和性を有するペプチドの新規なファミリーであって、従来技術の製品に対してより特異的であり、なお一層改良されたものを提供することである。
【0019】
本発明のペプチドは、また、従来技術による化合物より化学的により安定であり、従来技術の化合物と比較して高収率および非常に低い製造コストで再現可能な方法により製造することができるという利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のペプチドは、それらが、下記ペプチド配列(I)、
J1-J2-J3-J4-J5-J6-Z7-U8-J9-J10-Ull-Arg-J13-J14-U15-Lys-Gly-X18-Gly-Thr-J2l-Glu-J23-J24-U25-J26-J27-J28-U29-J30-J31-Arg-J33-J34-J35-J36-B37-J38-J39-U40-J41-J42-J43-U44-J45-J46-J47-J48-J49-Arg-J51-U52-J53-J54-Asp-U56-Lys-Ser-Z59-Leu-J61-J62-J63-J64-Z65-J66-J67-U68-J69-J70-J71-U72-J73-J74-J75 (I)
(J、Z、U、XおよびBは、アミノ酸を表し、
- アミノ酸Jは、互いに独立して、少なくともそれらの50%が、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Lys、Orn、Pro、Ser、ThrおよびTyrから選択される極性残基であるように天然アミノ酸またはそれらの誘導体から選択され、
- アミノ酸Uは、Ala、Cys、Gly、Ile、Leu、Met、Phe、Trp、TyrおよびValから選択され、
- アミノ酸X18は、配列の他のアミノ酸とは独立して、Ala、Asn、Cys、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValから選択され、
- アミノ酸B37は、配列の他のアミノ酸とは独立して、Arg、Ala、Cys、Gly、Ile、Leu、Met、Phe、Trp、TyrおよびValから選択され、
- アミノ酸Z7は、配列の他のアミノ酸とは独立して、AspおよびGluから選択され、
- アミノ酸Z59およびZ65は、独立して、Glu、Asp、LysまたはArgから選択され、
J、Z、U、XおよびBの上付き文字は、前記配列におけるこれらのアミノ酸の位置を表す)
を含むことを特徴とする。
【0021】
上のペプチドの配列は、ペプチドの活性型である三次構造をとるように、空間的に折りたたまれる。
【0022】
アミノ酸12、15、16、17、19、20、22、50、55、57、58、59、60および65は、脂質への結合に直接または間接に関わる本発明のアミノ酸または残基であり、すなわち、それらは、負に荷電した脂質の認識を可能にする活性構造をとるようにペプチドの三次元構造に含まれるか、またはペプチドの認識部位に含まれるかのいずれかである。
【0023】
アミノ酸Jは、このペプチドがその折りたたまれた活性な構造にあるときのその表面のアミノ酸、または残基である。これらの残基は、部分的または完全に溶媒にさらされるように、空間的に配列されている。本発明によれば、これらのアミノ酸Jは、例えば、互いに独立して、全天然アミノ酸残基、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Orn、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValから、そして少なくともそれらの50%が、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Lys、Orn、Pro、SerおよびThrから選択される極性の残基であるように選択することができる。付属書類に記載の配列中にいくつかの例が示されている。
【0024】
アミノ酸Uは、このペプチドの核の残基である。そのペプチドの折りたたまれた活性な構造において、それらは空間的に互いに接近して配列されており、溶媒にはさらされない。それらはタンパク質の疎水性の核を構成する。これら残基の原子のコンパクトな集合は、ペプチドの活性な構造の安定性に非常に寄与している。これらの残基は、上記のアミノ酸Uのリストから選択することができる。本発明の配列(I)のペプチドにおける核残基の組合せの様々な例を、次表(1)に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
残基X18の機能は、特に残基Z59およびZ65がGluである場合に、ペプチドの活性型におけるGly-X-Glyのループの構造を維持して、このループの疎水性および親油性の性質を調節し、リン脂質との新たな特異的な相互作用を場合によって提供することである。これは、例えば、残基Asn、Cys、Ser、Thr、TrpおよびTyrの場合である。
【0027】
残基Z59およびZ65は、有利にはリジン残基であり、その効果は、カルシウムイオンをリジンのプラスに荷電した-NH3+基と交換して負に荷電した細胞膜に対するペプチドの親和性を改善することである。
【0028】
本発明のペプチド(I)は、その活性型において、カルシウムイオンと結合するための3つの部位を含み、そこでその部位と複合体を形成したカルシウムイオンが、負に荷電したリン脂質のリガンドの1つを構成する。一次部位と呼ばれるこれらの部位の最初のものは、カルシウムリガンドとして、残基15、18、19および59を含む。二次部位と呼ばれるこれらの部位の第2のものは、カルシウムリガンドとして、残基20および22を含む。これらの部位の第3のものは、親和性の低い二次部位であり、カルシウムリガンドとして、残基57、60および65を含む。
【0029】
リン脂質への結合に全体的に含まれる残基は、残基12、15、16、19、20、22、50、55、57、58、69、60および65である。このリストは、リン脂質がカルシウムリガンドであるカルシウムの結合にかかわる残基を含む。
【0030】
これらの残基は、当然のことながら、本発明によるものと同じ結果が見込まれる同じ機能を達成する残基と置き換えることができる。
【0031】
一例として、本発明によれば、式(I)のペプチドは、有利には、付属書類のペプチドの配列番号1〜配列番号10から選択されたペプチドの配列とすることができる。
【0032】
配列(I)は、本発明のペプチドをそれらの最も短い機能形態で表す。この配列は、また、配列(I)のN末端および/またはC末端に連結して、1以上のアミノ酸、例えば1から15までのアミノ酸、一般には1から10までのアミノ酸を含むことができる。最も好ましくは、これらの追加のアミノ酸は、ペプチドの活性を殆ど変えないか全く変えず、あるいは、それを改良する。
【0033】
例えば、以下に機能化配列として言及する小さな配列は、特に標識をペプチドに付加するため、疾患を治療するための分子をペプチドに付加するため、および/または前記ペプチドを担体に付加するために有用であり得る。この機能化配列の長さは、その使用に従って調整する。当然のことながらこの配列は、本発明のペプチドの活性を妨害しないことが好ましい。当業者であれば、彼らが判断する本発明のペプチドの利用法によって、この機能化配列の長さおよび性質を容易に調製することができよう。
【0034】
したがって、本発明の最初の特定の実施形態によれば、本発明のペプチドは、例えばそれらのN末端に3つのアミノ酸の機能化配列を含むことができる。この機能化配列により、疾患を治療するための分子をペプチドに直接付加すること、および/または前記ペプチドを担体に直接付加することが可能となる。この実施形態によるペプチドは、次の配列(II)、
J-2-J-1-J0-Jl-J2-J3-J4-J5-J6-Z7-U8-J9-J10-U11-Arg-J13-J14-U15-Lys-Gly-X18-Gly-Thr-J21-Glu-J23-J24-U25-J26-J27-J28-U29-J30-J31-Arg-J33-J34-J35-J36-B37-J38-J39-U40-J41-J42-J43-U44-J45-J46-J47-J48-J49-Arg-J51-U52-J53-J54-Asp-U56-Lys-Ser-Z59-Leu-J6l-J62-J63-J64-Z65-J66-J67-U68-J69-J70-J71-U72-J73-J74-J75 (II)
(J、Z、U、XおよびBは、上で定義したとおりである)
により規定することができる。
【0035】
例えば、J-2はGlyであり、J-1は、Serであり、J0は、Cys、Thr、Pro、SerまたはGlnであり得る。この配列J-2-J-1-J0-は、例えば、Gly-Ser-Cys-、Gly-Ser-Thr-、Gly-Ser-Pro-、Gly-Ser-Ser-、Gly-Ser-Gly-およびGly-Ser-Gln-から選択することができる。かくて、例えば、上記の各配列番号1〜配列番号10は、好みにより、上記の機能性配列のそれぞれを含むことができる。付属書類に記載の配列の配列番号12は、そのN末端に3つのアミノ酸の機能性配列を含む本発明による配列(I)の非限定の一例に過ぎない。
【0036】
本発明の第2の特定の実施形態によれば、配列(I)のペプチドは、例えば、それらのN末端に、Gly-Ser-Gly-Cys-、Gly-Cys-Gly-Ser-、Gly-Ser-Gly-Ser-、Gly-Cys-Gly-Cys-およびGly-Cys-Gly-Ser-から選択される4つのアミノ酸J-3-J-2-J-1-J0-の機能化配列を含むことができる。この機能化配列は、例えばテクネチウム等の標識のペプチドへの直接の取り付けに役立つ。この実施形態は、以下に開示されている。かくて、例えば、上記の各配列番号1〜配列番号10は、好みにより、上記の機能性配列のそれぞれを含むことができる。付属書類に記載の配列の配列番号11(いくつかの配列が、配列番号11の名前で1つのものとして一緒にされている)は、そのN末端に4つのアミノ酸の機能性配列を含む本発明による配列(I)の非限定の例に過ぎない。
【0037】
本発明の第3の特定の実施形態によれば、配列(I)のペプチドは、例えば、それらのN末端に、7個から11個のアミノ酸の機能化配列を含むことができる。この機能化配列は、例えばテクネチウム等の標識のペプチドへの直接の取り付けに役立つ。この実施形態は、以下に開示されている。かくて、例えば、上記の各配列番号1〜配列番号10は、好みにより、上記の機能性配列のそれぞれを含むことができる。配列番号11〜14の配列Gly-Ser-Gly-Cysを、Gly-Bb1-Gly-Bb2(但し、Bb1およびBb2は、独立して、CysまたはSerである)と置き換えることもできる。付属書類に記載の配列の配列番号13および14(いくつかの配列が、配列番号13または14の名前で1つのものとして一緒にされている)は、本発明による配列(I)の非限定の例に過ぎない。
【0038】
本発明のペプチドは、カルシウムに対する十分な親和性を有しており、脂質エフェクター、とりわけ負に荷電しているもの、例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、リン酸ホスファチジルイノシトール等に可逆的に結合することができる。
【0039】
このようなペプチドは、主たる特性が、組織の正常または病的な機能に関連して細胞膜表面において脂質シグナルの出現を特異的に認識することであるペプチドのファミリーである。
【0040】
本発明のペプチドは、有機化学またはタンパク質化学の通常の合成方法、およびさらに、in vivoまたはin vitroでの遺伝子組換え、遺伝子工学、その他により合成することができる。
【0041】
したがって、本発明は、また、本発明によりペプチドを製造する方法にも関するものであり、前記方法は、前記ペプチドの固相化学合成を含む。その化学合成は、例えば、Applied Biosystems社の433A型自動ペプチド合成装置により行うことができる。それは、例えばアミノ酸のα-アミノ官能基の一時的な保護のためにフルオレニルメチルオキシカルボニル基を使用するFmoc化学により行うことができる。
【0042】
ペプチド合成のこの方法を実施するための技術的要素は、当業者には周知である。それらは、例えば、Kevin Burgess(編集者)による書籍、「Solid-Phase Organic Synthesis」、Wiley-Interscience; ISBN: 0471318256; (2000年2月)に記載されている。
【0043】
本発明のペプチドは、また、例えば
a) 前記ペプチドをコードする塩基配列を含むcDNAを準備する工程、
b) 前記cDNAを適切な発現ベクターに挿入する工程、
c) プラスミドの複製のため、適切な宿主細胞をcDNAを挿入した前記ベクターでトランスフォーメーションする工程、
d) 前記宿主細胞中で前記cDNAを翻訳することにより前記ペプチドを製造する工程、および
e) 合成したペプチドを回収する工程
を含む方法を用いるin vivoでの遺伝子組換えにより製造することができる。
【0044】
本発明によれば、適切な発現ベクターおよび宿主細胞は、遺伝子組換えの通常の技術により選択される。そのベクターは、この技術で一般に使用されるプラスミドの任意の1つ、例えば、ベクターpGEX-2Tのようなプラスミドであり得る。同様に、細胞は、通常の技術により選択することができ、それは、例えば、大腸菌であり得る。
【0045】
in vitroでの遺伝子組替え技術を使用する場合、上記方法のc)およびd)は、それぞれ、プラスミドの複製に適する反応媒体中にcDNAが挿入されているベクターを加える工程としての工程c')に、そして、前記ペプチドを前記適切な反応媒体中での前記cDNAの翻訳によって製造する工程としての工程d')に置き換える。文献、R. JagusおよびG. S. Beckler (1998)の「Overview of eukaryotic in vitro translation and expression systems」、 Current Protocols in Cell Biology 11.1.1〜11.1.13, 1989年、John Wiley & Sons, Inc.は、本発明で使用することができるin vitroでの方法を記載している。
【0046】
本発明は、また、前記ペプチドが互いに連結している同じであっても異なっていてもよい少なくとも2つの本発明のペプチドを含むリン脂質に対して親和性のある化学アセンブリを提供する。これらのアセンブリは、例えば、柔軟なペプチドリンカー、例えばポリグリシンを、本発明のペプチドのC末端残基と第2のペプチドのN末端残基との間になど、末端相互間に配置されているペプチドの数によって、挿入することにより調製することができる。このポリグリシンリンカーは、式-(Gly)n-を有することができ、nは、1から12までの範囲の例えば4より大きい整数である。本発明によれば、アセンブリの少なくとも1つのペプチドは、付属書類に記載の配列の配列番号1〜10から選択された配列を含むペプチドであり得る。
【0047】
これらのアセンブリは、また、有機化学またはタンパク質化学の通常の合成方法、およびさらに遺伝子工学によるin vivoまたはin vitroでの遺伝子組替えなど、例えば上記の方法の1つによって合成することができる。
【0048】
これらのアセンブリの目的は、特に、本発明のペプチドのリン脂質、例えば負に荷電したリン脂質に対する親和性を増大することである。
【0049】
本発明のアセンブリは、治療、研究および診断の3つの目的に使用することができ、非常に多くの使用が存在する。
【0050】
本発明が特に対象とする病状は、(i)血液凝固異常、(ii)アポトーシスの通常の現象以外の、化合物の作用、電離放射線等の物理的影響、または癌組織の形成または壊死と関連するような生物学的影響に続くアポトーシス現象、(iii)炎症性病変、および(iv)細胞と細胞外マトリックスの間の関係、特にコラーゲンと関連する異常である。
【0051】
本発明のペプチドは、また、従来技術の化合物と比較して多くの利点を有しており、それらの折りたたみプロセスの可逆性により、画像化および治療で使用することができる分子を開発することを狙いとした化学修飾のために、高温であるがペプチドの化学的安定性には適する温度で取り扱うことが可能である。
【0052】
加えて、本発明のペプチドは、そのサイズが小さいために、他のタンパク質と容易に結び付いて多機能キメラタンパク質を形成するか、シグナル伝達リン脂質以外のエフェクターを用いて制御メカニズムを導入することができる。
【0053】
本発明のペプチドは、そのようなものとして、固有の抗凝血性および抗炎症性を有するので、治療用または予防用の医薬品の製造に使用することができる。それらにより、細胞表面にコーティングを施すことが可能となり、これら表面での血液凝固および炎症の現象の初期工程に関係する化合物の接近を防ぐことができる。
【0054】
したがって、本発明によれば、本発明のペプチドまたはアセンブリは、そのようなものとして、例えば、血栓症の治療を意図した医薬品、腫瘍の治療を意図した医薬品、および抗炎症作用を有する医薬品から選択される医薬品を調製するために使用することができる。
【0055】
本発明のペプチドは、また、治療分子にカップリングして、これらの分子を、血栓部位または炎症部位または腫瘍の領域等、負の電荷を示す領域に導くために使用することができる。この応用において、本発明のペプチドおよびアセンブリは、例えば、血栓溶解作用を有する分子、抗炎症作用を有する分子または抗腫瘍作用を有する分子にそれぞれカップリングする。本発明により使用することができる血栓溶解作用を有する分子の例としては、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよびプラスミノゲンアクチベータがある。一般に、本発明のペプチドおよびアセンブリは、無差別に、アポトーシス誘発性化合物、抗アポトーシス分子および抗炎症性分子とカップリングすることができる。
【0056】
本発明のペプチドおよびアセンブリは、それ故、血栓溶解活性を有する分子とカップリングして、血栓症の治療および予防に使用することができる医薬品を製造するため、抗炎症作用を有する分子とカップリングして、喘息、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病、敗血症ショック、膠原病、関節炎等の急性の病変を局所的または経静脈的に治療するために使用することができる医薬品を製造するため、または抗腫瘍作用を有する分子とカップリングして、腫瘍を治療するために使用することができる医薬品を製造するために使用することができる。
【0057】
研究または診断用として、本発明のペプチドは、それを検出するための標識分子にカップリングすることができる。この標識分子は、例えば、蛍光分子、電子顕微鏡用のナノ粒子等、金または高密度化合物の粒子、放射性元素、常磁性化合物および、一般に、研究室で通常使用される標識分子の1つであり得る。ある一定の標識または結合を容易にするためにこの分子は、アビジン-ビオチンシステムのパートナーの1つと連結してもよい。
【0058】
本発明によれば、本発明によるペプチドおよび化学アセンブリは、例えばin vivoまたはin vitroでの診断に使用することができる標識化合物を形成するように標識分子とカップリングすることができる。
【0059】
実際、本発明のペプチドは、細胞の表面に負の電荷の出現および血液中に小胞の放出を伴う病変、例えば、凝固障害、急性の炎症性病変など、およびアポトーシスを検出するために使用することができる。
【0060】
それらは、例えば、テクネチウムまたはフッ素18等の半減期の短い放射性元素にカップリングすることができ、あらゆる種類の血管の発作中に、血栓症区域の場所、とりわけアポトーシスおよび炎症の病巣の画像システムを使用する「in vivo」での検出を可能にすることができる。
【0061】
本発明のペプチドは、また、例えばガドリニウム錯体等の常磁性化合物を核磁気共鳴影像法(MRI)で使用することができる造影剤、例えば常磁性化合物または強磁性化合物、または半減期の短い放射性元素にカップリングすることができる。それらは、かくして、血栓症区域、ならびにアポトーシスおよび炎症区域の場所の「in vivo」での検出を可能にすることができる。
【0062】
上記のカップリングは、当業者には周知の、有機化学の任意の従来技術により行うことができる。
【0063】
例えば、テクネチウムの場合は、例えば配列(I)のペプチドが上記のもののような機能化配列を含むときは、それを本発明のペプチドに直接カップリングすることができる。このタイプのカップリングは、J. F. Tait他による文献US 6323313に記載されている。当業者であればテクネチウムと同等の標識もまた、この方法で本発明のペプチドに直接カップリングできることを理解するであろう。
【0064】
テクネチウムまたはその他の本明細書で述べたような金属は、また、本発明のペプチドに間接的にもカップリングすることができる。このカップリングは、例えば、前記金属を錯化するかごを用いて行う。このかごは、上で記載したもののような機能化配列を利用して本発明のペプチドに付加することができる。テクネチウムの例では、本発明により使用することができるテクネチウムのかごは、例えば、文献、「99mTc Labeling of Highly Potent Small Peptides」、Shuang Liu、D. Scott EdwardsおよびJohn A. Barrett、 Bioconjugate Chem. 1997, 8, 621〜636に記載されている。
【0065】
カップリングしているかまたはカップリングの準備ができているペプチドまたはアセンブリは、望ましい応用法によれば、診断キットの形に有利にパッケージすることができる。したがって、本発明は、また、本発明によるペプチドまたはアセンブリを含む診断キットを提供する。この診断キットは、例えば、さらに前記標識分子を検出するための適切な試薬を含むことができる。
【0066】
本発明は、また、細胞の表面における負の電荷を分析および検出するためのキットを提供し、それは、本発明のペプチドまたは化学アセンブリを含み、そのペプチドまたはアセンブリが標識にカップリングすることが可能であることを特徴とする。
【0067】
本発明は、また、血液中の小胞を分析および検出するためのキットを提供し、それは、本発明によるペプチドまたは化学アセンブリを含み、そのペプチドまたはアセンブリが標識にカップリングすることが可能であることを特徴とする。
【0068】
本発明の他の応用においては、本発明のペプチドまたはアセンブリは、例えば、生体適合性材料を包み込むために使用することができる。このタイプの材料は、2つのタイプの条件、i)体外循環、およびii)血液貯蔵、で使用することができる。
【0069】
したがって、本発明のペプチドは、例えば、体外の血液循環で、活性化循環細胞、すなわち、血小板、赤血球、白血球などを補足および回収するためのフィルターの製造における応用法を提供する。患者に再び導入する血液は、したがって、異常な凝固、発熱の反応などを起こす可能性のある細胞が除かれる。このフィルターは、生体適合性ポリマーのひだつきのフィルム状であることができ、そこに本発明のペプチドが何らかの適切な方法でグラフトすることができる。この同じフィルターは、血液を貯蔵する袋に導入するかまたは前記袋の内側にコートすることができる。これらのフィルターは、特に血球が老化した後およびそれらがアポトーシスの過程を受けた後に活性化するそれらを連続的に捕らえることができる袋を含有する「スポンジ」を構成する。
【0070】
上で開示した様々な標識、カップリングおよび付加は、最も好ましくは、本発明のペプチドの活性を維持しながら、一般に、本発明のペプチドの末端もしくは末端部分または表面残基上で行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
本発明のその他の利点および特徴は、付属の図面を参照しながらの以下の限定されない説明のための実施例を読むことによりさらに明らかとなろう。
【0072】
配列表の簡単な説明
- 付属の配列番号1〜配列番号14は、本発明のペプチド配列(I)および(II)を含むペプチドの例である。
【0073】
特に、配列番号11、配列番号13および配列番号14は、本発明のペプチドの配列を含むペプチドの例であり、そこにはカルシウムおよびリン脂質に対する親和性を増大させるために変異が導入されている。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
遺伝子組替えによる合成: 本発明の配列番号1〜配列番号12のペプチドの発現および精製
配列番号1〜配列番号14を、F. Cordier-Ochsenbein等によりJ. Mol. Biol. 279, 1177〜1185に記載されているものと同じ手順により、大腸菌の過剰発現により調製した。
【0075】
これら配列の各々のcDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて調製した。それらを、ベクターpGEX-2T (Smith & Johnson, 1998)中に挿入した。図2は、そのcDNAのベクター中への挿入を説明する図である。PCRにより誘導される変異が存在しないことは、配列を求めることによって確認した。
【0076】
ペプチドの製造は、上記の発現ベクターを含有する大腸菌の菌株BL21を用いて行う。イソプロピルチオガラクトピラノシド(IPTG、100μm)により、600nmにおいて1の光学濃度まで誘導した後、プラトーに到達するまで、すなわち約3時間培養を続ける。遠心分離の後、その細菌を、50mMのトリス-HCl、pH8、10mMのEDTA、500mMのNaCl、5%(v/v)のグリセロール、1% (v/v)のTriton X100、1mMのジチオトレイトール(DTT)、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および20μg/mlのアプロチニンを含む溶菌バッファー中に再懸濁させる。
【0077】
精製は、次の方法で行った。つまり、超音波処理および10000gでの遠心分離の後、可溶性タンパク質を含有する上澄み液を、グルタチオン/アガロースビーズと共に培養し、これらのビーズにGSTドメイン融合タンパクを特異的に結合させる。1MのNaCl、50mMのトリス-HClを含有するpH8の溶液で洗浄した後、培養液1リットル当り70ユニットのトロンビンを加えて配列を溶離する。
【0078】
配列を、次に、Pharmacia社により提供される16/10タイプのproRPC(商標)カラムで、FPLCシステムを使用し、0.1%(v/v)のトリフルオロ酢酸(TFA)を含有するMillipore(商標)品質の水と0.1%のTFAを含有するアセトニトリルとのリニアーグラジエントで精製する。流速は、2.5ml/分に調節する。配列は、次いで凍結乾燥する。
【0079】
各ペプチドの最終的な収率は、培養液1リットル当り約8mgの配列である。
【0080】
(実施例2)
本発明のペプチドの化学合成例
この実施例において、本発明のペプチドは、Applied Biosystemsの433A型自動ペプチド合成装置、およびアミノ酸のα-アミノ官能基の一時的な保護のためにフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基を使用するFmoc化学を用いる固相化学合成により製造した。
【0081】
このFmoc方法において、アミノ酸側鎖の副反応を防止するために使用した保護基は、Ser、ThrおよびTyr残基に対してはt-ブチルエーテル(tBu); AspおよびGluに対しては、t-ブチルエステル(OtBu); Gln、Asn、CysおよびHisに対しては、トリチル(Trt); Lysに対しては、t-ブチルオキシカルボニル(Boc); そしてArgに対しては、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル(Pmc)である。
【0082】
カップリング反応は、樹脂(0.1mmol)に対して10当量過剰のアミノ酸(1mmol)を用いて行う。保護されているアミノ酸を、N-メチルピロリドン(NMP)の1mlおよび1-N-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)の溶媒NMP中の1M溶液の1mlに溶解する。N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の1M溶液の1mlを次に加える。40〜50分間活性化した後、形成された活性エステルを、樹脂を含有する反応器に移す。その移動および続くカップリングの工程の前に、樹脂は、NMP中のピペラジンの20%溶液でそのFmoc基について脱保護をする。約5分から10分後過剰のピペラジンをMNPで洗浄して除去する。
【0083】
脱保護の間、305nmにおいてジベンゾフルベン-ピペラジン付加物を検出することにより、合成の正確な進行をモニターすることが可能である。実際、付加物の定量化により、Fmoc基の脱保護の有効性、したがって、組み込まれた最後のアミノ酸のカップリングの有効性を判断することが可能となる。
【0084】
樹脂と側鎖に存在する保護基との開裂は、樹脂に連結されているペプチドをトリフルオロ酢酸(TFA)で処理することにより同時に行った。その開裂を行う前に樹脂をジクロロメタン(DCM)で数回洗浄し、最後に乾燥させた。開裂で使用した反応物は、81.5%のTFAおよびトリイソプロピルシラン(1%)、エタンジチオール(ペプチドがシステインを含むとき2.5%)、水(5%)、およびフェノールスカベンジャー(5%)を含有する酸混合物である。樹脂をこの混合物で、周囲温度において樹脂のグラム当り100mlの溶液の割合で3時間撹拌して、処理した。溶液中の遊離のペプチドを濾過して回収した。そのペプチドを次いで沈殿させ、冷たい条件下でジイソプロピルエーテル中で洗浄し20%酢酸に溶解して凍結乾燥した。
【0085】
凍結乾燥後回収したペプチド(合成により得られたクルードな物質)は、還元された形態、すなわち、鎖間のジスルフィドの架橋が形成されていない形態である。
【0086】
そのペプチドを、次に、Pharmacia社により提供される16/10タイプのproRPC(商標)カラムで、FPLCシステムを使用して、0.1容量%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含有するMillipore(商標)品質の水と0.1%のTFAを含有するアセトニトリルとのリニアーグラジエントで精製する。流速は、2.5ml/分に調節する。そのペプチドは、次いで凍結乾燥する。
【0087】
得られた生成物を質量分析法により分析した。
【0088】
(実施例3)
配列番号1〜配列番号14の安定性
この実施例は、本発明のペプチドが安定するように折りたたまれたタンパク質を構成することを示す。
【0089】
ブランクの組成(対照):
50mMトリス、150mM NaCl、1mM DTT、pH8 10μl
H2O 990μl
pH8に調整
【0090】
試料の組成:
試料: 150mM NaClを含有し、pH8、およその濃度: 200mg/mlの50mMのトリスバッファー中で精製したドメイン
ドメイン: 10μl、すなわち、300μMの最終濃度
H2O: 990μl
pH測定値 7.8
【0091】
ハードウェアおよびソフトウェアの構成:
Jobin Yvon CD6 デバイス
CD-max ソフトウェア
測定キュベットの光学距離: 1cm
【0092】
付属書類中の図1は、200nmの波長での遠紫外における円偏光二色性シグナルを用いて測定した温度の関数としてのAFIMのらせん度を表す。
【0093】
この図において、14℃におけるシグナルの値は、ペプチドのらせん含量の100%とみなされる。ペプチドの熱変性は、明らかに協同的であって、低温において、特に37℃において、タンパク質は、適切に折りたたまれて改善された安定性を示すことが示された。
【0094】
(実施例4)
本発明の2つのペプチドのアセンブリ
前記の実施例1に記載した方法を用いて、配列番号1-(Gly)4-配列番号1のペプチド配列を合成する。
【0095】
アセンブリの最終的収率は、培養液1リットル当り約14mgである。
【0096】
(実施例5)
本発明のペプチドのフルオレセイン標識
以下の実施例において本発明のペプチドは、AFIM-SHと呼ぶ。それは、配列(I)で定義したペプチドの配列を有する。配列番号1〜配列番号14を試験する。
【0097】
フルオレセインは、それを488nmの波長で励起すると525nmの波長の緑色の蛍光を発する。その緑色の光の放出をカメラまたは光電子増倍管により検出する。AFIMのフルオレセインへのこのカップリングにより、小動物のin vitroおよびin vivo両方でのPSを示す細胞の存在を検出することが可能となる。
【0098】
本発明によれば、脂質膜に結合する機能に悪影響を及ぼさないという条件で、表面残基のレベルで、AFIMの表面(表面残基)に存在する任意のアミノ酸の代わりに導入される任意のシステイン上でAFIMを標識することができる。かくして修飾されたAFIMは、以後AFIM-SHと称する。
【0099】
フルオレセインのカップリングは、下に示すマレイミド官能基を用いてAFIM上に官能基SHにより行う。
【0100】
フルオレセインはマレイミド官能基を用いて、配列の1つ以上のシステインと共有結合する。
【0101】
一般的な標識スキーム(スキーム1):
【0102】
【化1】

【0103】
標識は、すべて20℃より低い温度で行う。
【0104】
AFIM-SHは、NaCl(150mM)を含有し、pH=7.4のトリスバッファー(50mM)中の溶液に存在する。同じバッファー中の5当量のDTTの溶液をそのAFIM-SH溶液に加える。その媒体を30分間撹拌する。
【0105】
暗所で、フルオレセイン(AFIM-SHの5当量+DTTの2等量)を計量し、DMFに溶解し、上の溶液に加える。その混合物全体を撹拌し、反応を30分間継続する。その媒体を次に、pH=7.4のPBSバッファー(20mMのホスファート、150mM NaCl)の150ml中に希釈し、YM3膜(商標)により限外濾過する。試料を再希釈し、数回限外濾過にかけて濾液のUVスペクトルを記録する。
【0106】
濾液中にフルオレセイン(490nmのピーク)がもはや存在しなくなったら、試料を2〜3mlまで濃縮し、4℃に冷やして貯蔵する。
【0107】
AFIM-フルオレセインの生成物は、以下の実施例6に記載の方法により、in vitroではフローサイトメトリーにより、そしてさらにin vivoでは動物中のアポトーシスを起こした細胞を検出するために使用した。
【0108】
(実施例6)
AFIM-フルオレセイン生成物によるアポトーシスを起こした細胞標識の結果
ラットにおける梗塞形成後のアポトーシスを起こした心臓細胞の画像化。
【0109】
Circulation Res. 1996, 79, 946〜956に発表された論文に記載されているようにラットにおけるアポトーシスのモデルを使用する。
【0110】
簡単にのべると、4匹のラット(それぞれ300gの重量)を、麻酔、挿管および酸素供給した。冠状動脈の一時的な閉塞により心筋虚血が引き起こされた。30分間の閉塞の後その冠状動脈を、1時間再灌流させた。
【0111】
その再灌流時間の終わりに、実施例5のAFIM-フルオレセインペプチドを、2匹のラットのそれぞれに対してペプチドを200μgの割合で合計1mlの容積を頚静脈に注射した。
【0112】
比較として、200μgのアネキシン5-フルオレセイン(従来技術の化合物)を他の2匹のラットのそれぞれに対して同一条件で合計1mlの容積を注射した。
【0113】
ラットは、60分後に犠牲にした。
【0114】
この研究のために、心臓、肺、腎臓、肝臓および脳の5つの臓器を保存した。それらは、ホルマリンの存在中で洗浄してリンスした。その臓器を次に脱水し、パラフィンに約12時間浸漬し、次いで7μmの切片に切断した。
【0115】
いくつかの画分は、ヘマトキシリンで染色した。画分は蛍光顕微鏡のもとで調べ、ヘマトキシリンで染色した隣接する画分は可視光顕微鏡で調べた。ヘマトキシリンで染色した画分(付属書類の図1および図2にそれぞれH1およびH2と標記されている)は、組織の構造を視覚化することを可能にし、蛍光顕微鏡は、AFIM-フルオレセイン(AFIM-F)によるかまたはアネキシン5-フルオレセイン(A5-F)による標識を検出することを可能にする。
【0116】
付属の図1は、アポトーシスを起こした心臓について得られた画像を示し、付属の図2は、腎臓について得られた画像を示す。
【0117】
図1は、アポトーシスを起こした細胞中の標識の蓄積に対応する過剰のフルオレセインをはっきりと示している。コントラストは、本発明のAFIMによる方が従来技術のアネキシン5によるよりも視覚的にはるかに良好である。
【0118】
図2は、腎臓の標識を示し、生成物の部分脱離と関連している。AFIMの場合、糸球体は、標識されて出現しておらず、尿細管のみが部分的に標識されている。他方、従来技術のアネキシン5の場合、腎組織全体が強く標識されており、それはこのタンパク質について見られる腎毒性と一致している。
【0119】
この実施例で得られた結果は、本発明のペプチドの細胞標識についての大きな特異性を実証している。
【0120】
AFIMペプチド、例えば配列番号1〜10、のフルオレセインによる標識は、それ故、プログラムされた細胞死(アポトーシス)、血液凝固または炎症性反応等の生理病理学的過程に伴って細胞の外面に出現するホスファチジルセリン(PS)を効果的に検出することを可能にする。
【0121】
(実施例7)
本発明のペプチドのテクネチウム99mTcによる標識
AFIMの99mTcによる標識は、フルオレセインのように、プログラムされた細胞死(アポトーシス)、血液凝固または炎症性反応等の生理病理学的過程に伴って細胞の外面に出現するホスファチジルセリン(PS)を効果的に検出することを可能にする。99mTcは、γ-線エミッターで、体のどの部位のAFIMでもγ-線を検出する様々なタイプのカメラを用いて検出することを可能にする。AFIMの99mTcへのこのカップリングにより、任意の生物においてPSをin vivoで示す細胞の存在を検出することが可能となる。
【0122】
この実施例では、2つのタイプのテクネチウム標識、間接標識(A)および直接標識(B)を開示する。
【0123】
A) 間接標識
この実施例において、AFIM-SHは、その配列内のシステインのところで、99mTcイオンを特異的に受け入れることができるかご型分子と呼ばれる錯化分子にカップリングする。そのカップリング反応を以下に図式的に表す(スキームII)。
【0124】
選択したかご型分子は、次の文献、「Bis(Hydroxamamide)-Based Bifunctional Chelating Agent for 99mTc Labelling of Polypeptides」、 Le-Cun Xu 等、 Biconjugate Chem. 1999, 10, 9〜17、に記載されているNH2-C3(Bham)2(2)である。このかごは、スキーム(II)に従ってマレイミド誘導体(1)にカップリングし、標識(3)を生じ、それが次にAFIM-SHにカップリングしてAFIM-かごと呼ばれる化合物(スキーム(II))を生じる。そのカップリングは、以下の方法で実施する。
【0125】
AFIM-SHを、NaCl(150mM)を含有し、pH=7.4のトリスバッファーの溶液にしておく。5当量のトリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)塩酸塩を計量し、同じバッファーに溶解してAFIM-SHに加える。その媒体を撹拌し、周囲温度で30分間放置する。
【0126】
この時間の間に、10当量の(1)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して、同容量のDMF中の20当量のかご(2)に移す。10分間の反応の後、生成物をAFIM-SHに加える。
【0127】
その混合物全体を撹拌し、周囲温度で30分間反応を続ける。その媒体を次に、NaCl(150ml)を含有し、pH=7.4の150mlのトリスバッファー(50mM)中に溶解し、YM3膜(商標)により限外濾過する。同じものを再希釈し、数回限外濾過にかけて濾液のUVスペクトルを記録する。濾液中にDMF(214nmのピーク)がもはや存在しなくなったら、試料を2〜3mlまで濃縮し、4℃に冷やして貯蔵する。
【0128】
【化2】

【0129】
この実施例で調製したテクネチウムのかご(AFIM-かご)にカップリングしたペプチドを、動物の大きさに適する量とり、SnCl2(ペプチドに対して6当量)の水溶液を加える。99mTcO4-溶液を加えて、反応を周囲温度で30分間続ける。
【0130】
標識したペプチド(AFIM-99mTc)の溶液を、次に動物に直接静脈注射する。
【0131】
γ-線を検出することができるカメラ(SPECTまたはその他のカメラ)を用いて次に画像を収集する。
【0132】
B) 直接標識
この実施例においては、AFIMは、かご無しのテクネチウムで標識する。このため、AFIMは、直接テクネチウムに結合する4つのアミノ酸の機能化配列を提供する。
【0133】
この実施例では、ペプチドの配列番号11を使用する。その機能化の配列は、N末端側のGly-Ser-Gly-Cysであり、配列番号11の残基5から79は、本発明の配列(I)を形成しているものである。
【0134】
標識のために、配列番号11のペプチドおよび5当量のTCEPを生理食塩水に溶解し、15分間平衡させる。10当量のSnCl2を次に加える。この溶液は凍結乾燥し、窒素下で貯蔵することができる。
【0135】
標識は、99mTcO4-の溶液を加えることにより行う。15分間のインキュベーションの後、その溶液は、PD10(商標)カラムを通過させる。
【0136】
テクネチウムで直接標識した配列番号11(AFIM-99mTc)を、静脈内に注射する。
【0137】
次に画像を上で使用したものと同じようなカメラにより収集する。
【0138】
(実施例8)
本発明のペプチドのガドリニウム標識
ガドリニウムにカップリングしたAFIM: AFIM-かご-Gd(間接標識)
【0139】
AFIMのガドリニウムによる標識は、先の標識についてと同様、プログラムされた細胞死(アポトーシス)、血液凝固または炎症性反応等の生理病理学的過程に伴って細胞の外面に出現するホスファチジルセリン(PS)を検出することを可能にする。ガドリニウムは、体のどの部位のAFIMでも核磁気共鳴映像法を用いて検出することを可能にする常磁性剤である。このAFIMのガドリニウムへのカップリングによって、PSを示す細胞の存在を、どんな生物でもin vivoで、最大1mmにまで及ぶ解像度で検出することができる。
【0140】
フルオレセインに関しては、AFIMは、システインのところで、ガドリニウムイオンを特異的に受け入れることができる化学分子にカップリングすることができる。このガドリニウムのかごが構成されたならば、カップリングは、下記のようにAFIMによって行う。
【0141】
AFIM-SHは、NaCl(150mM)を含有し、pH=7.4のトリスバッファー(50mM)中の溶液にしておく。5当量のTCEPを計量し、同じバッファー中に溶解し、AFIM-SHに加える。その媒体を撹拌し、周囲温度で30分間放置する。
【0142】
使用するそのガドリニウムのかごは、P. KANTHI等の文献、「Synthesis of Charged and Uncharged Complexes of Gadolinium and Yttrium with Cyclic Polyazaphosphinic Acid Ligands for in vivo Applications」、J. CHEM SOC. PEKIN TRANS. 2、1993年、605〜618頁、に記載されているものである。
【0143】
AFIM-SHに対して5当量のかごをDMFに溶解し、AFIM-SHに加える。その混合物全体を撹拌し、反応を周囲温度で30分間続ける。その媒体を次にNaCl(150mM)を含有し、pH=7.4の150mlのトリスバッファー(50mM)に溶解し、YM3膜により限外濾過する。その試料を、濾液のUVスペクトルを記録しながら数回再溶解して限外濾過する。濾液中にDMF(214nmのピーク)がもはや存在しなくなったら試料を2〜3mlまで濃縮し、4℃に冷却して貯蔵する。
【0144】
精製した後、その生成物を静脈内に注射する。
【0145】
画像を検出用カメラを用いて収集する。
【0146】
(実施例9)
本発明のペプチドの金による標識
AFIMの金による標識は、直接の標識である。それにより、プログラムされた細胞死(アポトーシス)、血液凝固または炎症性反応等の生理病理学的過程に伴って細胞の外面に出現するホスファチジルセリン(PS)を検出することが可能となる。
【0147】
金は電子密度の高い金属であり、そのことは、それを電子顕微鏡で利用できることを意味する。このAFIMの金へのカップリングによって、細胞および細胞内区間のスケールでホスファチジルセリンを検出し、場所の確認をすることが可能となる。そのカップリングした生成物は、in vitroで使用することができる。
【0148】
AFIM-SHを、NaCl(150mM)を含有し、pH=7.4のトリスバッファー(50mM)に溶解する。同じバッファーの溶液のトリス-(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)5当量を、AFIM-SHに加える。その媒体を15分間撹拌する。
【0149】
修飾した金のビード(グラフトしたマレイミド: Nanogold Monomaleimide Interchim(登録商標))を、20μlのDMSOおよび200μlの水に溶解し、上の溶液に加える(タンパク質に対して2当量のビード)。
【0150】
その混合物全体を撹拌し、反応を1時間継続する。その媒体を次にゲル濾過カラム(Pharmacia PD-10(商標))で精製し、pH=7.4のPBSバッファー(20mMのホスファート、150mMのNaCl)で溶出する。
【0151】
AFIM-Auは、組織部位または単離した細胞について使用することができる。分析は、電素顕微鏡により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】図1は、アポトーシスを起こした心臓の組織切片から得た顕微鏡写真である。この切片は、第一には本発明のAFIM-フルオレセイン(AFIM-F)ペプチドにより染色(左の画像)し、第二にはアネキシン5-フルオレセイン(A5-F)(従来技術の化合物)により染色(右の画像)して入手した (蛍光顕微鏡、倍率40倍)。中央の画像は、ヘマトキシリンにより入手した(可視光線顕微鏡、倍率40倍)。上と下の写真は、異なる心臓部分を示す。
【図2】図2は、アポトーシスを起こした腎臓の組織切片から得た顕微鏡写真である。この切片は、第一には本発明のAFIM-フルオレセイン(AFIM-F)ペプチドにより染色(左の画像)、第二にはアネキシン5-フルオレセイン(A5-F)(従来技術の化合物)により染色(右の画像)して入手した (蛍光顕微鏡、倍率40倍)。
【図3】本発明によるペプチドの、温度℃の関数としてのらせん度「H」(%として)を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ペプチド配列(I)、
J1-J2-J3-J4-J5-J6-Z7-U8-J9-J10-U11-Arg-J13-J14-U15-Lys-Gly-X18-Gly-Thr-J21-Glu-J23-J24-U25-J26-J27-J28-U29-J30-J31-Arg-J33-J34-J35-J36-B37-J38-J39-U40-J41-J42-J43-U44-J45-J46-J47-J48-J49-Arg-J51-U52-J53-J54-Asp-U56-Lys-Ser-Z59-Leu-J61-J62-J63-J64-Z65-J66-J67-U68-J69-J70-J71-U72-J73-J74-J75 (I)
(J、Z、U、XおよびBは、アミノ酸を表し、
- アミノ酸Jは、互いに独立して、少なくともそれらの50%が、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Lys、Orn、Pro、Ser、ThrおよびTyrから選択される極性残基であるように天然アミノ酸またはそれらの誘導体から選択され、
- アミノ酸Uは、Ala、Cys、Gly、Ile、Leu、Met、Phe、Trp、TyrおよびValから選択され、
- アミノ酸X18は、配列の他のアミノ酸とは独立して、Ala、Asn、Cys、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Met、Phe、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValから選択され、
- アミノ酸B37は、配列の他のアミノ酸とは独立して、Arg、Ala、Cys、Gly、Ile、Leu、Met、Phe、Trp、TyrおよびValから選択され、
- アミノ酸Z7は、配列の他のアミノ酸とは独立して、AspおよびGluから選択され、
- アミノ酸Z59およびZ65は、独立して、Glu、Asp、LysまたはArgから選択され、
J、Z、U、XおよびBの上付き数字は、前記配列におけるこれらのアミノ酸の位置を表す)
からなることを特徴とするペプチド。
【請求項2】
アミノ酸Jが、互いに独立して、少なくともそれらの50%が、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Gly、His、Lys、Pro、SerおよびThrから選択される極性の残基であるようにAla、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValから選択される請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
配列(I)のアミノ酸UおよびBが、次表1、
【表1】

に開示の例a)からj)の1つに準じて選択される請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
付属書類に記載の配列の配列番号1〜配列番号10から選択された配列からなるペプチド。
【請求項5】
付属書類に記載の配列の配列番号1からなるペプチド。
【請求項6】
Gly-Ser-Cys-、Gly-Ser-Thr-、Gly-Ser-Pro-、Gly-Ser-Ser-、Gly-Ser-Gly-、およびGly-Ser-Gln-から選択したアミノ酸配列を配列(I)のN末端に連結してさらに含む請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
アミノ酸配列Gly-Ser-Gly-Cys-、Gly-Cys-Gly-Ser-、Gly-Ser-Gly-Ser-、Gly-Cys-Gly-Cys-またはGly-Cys-Gly-Ser-を配列(I)のN末端に連結してさらに含む請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項8】
付属書類に記載の配列の配列番号11または配列番号12からなるペプチド。
【請求項9】
付属書類に記載の配列の配列番号13または配列番号14からなるペプチド。
【請求項10】
前記ペプチドの固相化学合成を含む請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドを製造する方法。
【請求項11】
請求項1から9の一項に記載のペプチドを培養液中で製造する方法であって、
a) 前記ペプチドをコードする塩基配列を含むcDNAを準備する工程、
b) 前記cDNAを適切な発現ベクターに挿入する工程、
c) プラスミドの複製のため、前記cDNAを挿入した前記ベクターで適切な宿主細胞を形質転換する工程、
d) 前記宿主細胞中で前記cDNAを翻訳することにより前記ペプチドを製造する工程、および
e) 合成したペプチドを回収する工程
を含む方法。
【請求項12】
ベクターがプラスミドである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ベクターがベクターpGEX-2Tである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
宿主細胞が大腸菌である請求項11、12または13に記載の方法。
【請求項15】
リン脂質に対して親和性を有する化学アセンブリであって、同一であっても異なっていてもよい請求項1から9に記載の少なくとも2つのペプチドを含み、前記ペプチドが互いに連結していることを特徴とする化学アセンブリ。
【請求項16】
ペプチドの少なくとも1つが、請求項4に記載のペプチドの1つである請求項15に記載の化学アセンブリ。
【請求項17】
生体材料を被覆するための請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
【請求項18】
活性化した循環する血球を捕捉するフィルターの製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドの使用。
【請求項19】
標識分子または電子顕微鏡検査において高密度であるナノ粒子にカップリングした請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドを含む標識化合物。
【請求項20】
標識分子または電子顕微鏡検査において高密度であるナノ粒子にカップリングした請求項15または16に記載のアセンブリを含むことを特徴とする、標識化合物。
【請求項21】
標識分子が蛍光分子である請求項19または20に記載の化合物。
【請求項22】
標識分子がアビジン-ビオチンシステムのパートナーの1つからなる、請求項19または20に記載の化合物。
【請求項23】
標識分子が放射性元素である請求項19または20に記載の化合物。
【請求項24】
標識分子が核磁気共鳴映像法の造影剤である請求項19または20に記載の化合物。
【請求項25】
標識分子がテクネチウムである請求項19または20に記載の化合物。
【請求項26】
電子顕微鏡検査において高密度であるナノ粒子が金のナノ粒子である、請求項19または20に記載の化合物。
【請求項27】
請求項19および20のいずれか一項に記載の化合物を含む診断キット。
【請求項28】
前記標識分子を検出するための適切な試薬をさらに含む請求項27に記載の診断キット。
【請求項29】
請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドを含むことを特徴とする、細胞の表面における負の電荷を分析および検出するためのキット。
【請求項30】
請求項15または16に記載のアセンブリを含むことを特徴とする、細胞の表面における負の電荷を分析および検出するためのキット。
【請求項31】
請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドを含むことを特徴とする、血液中の小胞を分析および検出するためのキット。
【請求項32】
請求項15または16に記載のアセンブリを含むことを特徴とする、血液中の小胞を分析および検出するためのキット。
【請求項33】
ペプチドが標識にカップリングしている、請求項29または31に記載のキット。
【請求項34】
アセンブリが標識にカップリングしている、請求項30または32に記載のキット。
【請求項35】
請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチドを含むことを特徴とする、活性化した循環する血球を透析するためのフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−514605(P2006−514605A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−516899(P2004−516899)
【出願日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002025
【国際公開番号】WO2004/003015
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【出願人】(505002200)ユニヴェルシテ・ピエール・エ・マリー・キュリー(パリ・シース) (3)
【Fターム(参考)】