説明

リーチ型フォークリフト

【課題】フォークで荷役を持ち上げるときに、車体の転倒を防止して安定性を保ち、シリンダからの衝撃音を防止できるようにする。
【解決手段】第1管路31を開閉する第1開閉バルブ41と、第4管路34を開閉し、閉じた状態において作動油が第2管路32からオイルタンク80へ逆流することを防止する逆止弁機能を有するポペットバルブからなる第2開閉バルブ42と、第3管路33に設けられ、作動油が第1管路31からオイルタンク80へ逆流することを防止する逆止弁40と、を備え、制御部93は、リーチ型フォークリフトが走行してフォーク66が停止するときには、第1開閉バルブ41を開き、第2開閉バルブ42を閉じて、リーチ型フォークリフトが停止してフォーク66が作動するときには、第1開閉バルブ41及び第2開閉バルブ42を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークで荷役を昇降するリーチ型フォークリフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リーチ型フォークリフトは、車体の前方に設けられた一対のフォークで荷役を昇降するものであり、車体の後方に駆動輪と補助輪とを備える。駆動輪と補助輪とは車体の左右両側に設けられており、駆動輪は、走行モータ及び操舵モータからなる駆動装置で車体の走行と操舵を行い、補助輪は、駆動輪に追従して補助する。運転室を低い位置に設けることができ、車体の安定性を向上するために、駆動輪及び補助輪を油圧シリンダで連結するリーチ型フォークリフトの後輪機構がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6の通り、従来のリーチ型フォークリフトの後輪機構は、駆動装置に連結されたシリンダ71と、補助輪に連結されたシリンダ72と、各シリンダ71,72におけるロッド側の室を接続する管路75と、管路75をオイルタンク70に接続する管路76と、を備える。そして、従来のリーチ型フォークリフトでは、各シリンダ71,72のロッド側の室内の作動油が、管路75,76を通じてオイルタンク70に流出される。
【0004】
そのため、従来のリーチ型フォークリフトは、各シリンダ71,72のロッド側の室内の作動油が管路75,76を通じてオイルタンク70に流出できるようになっているので、フォークで荷役を持ち上げると、重量物である駆動輪と補助輪とが路面に接地したまま各シリンダ71,72が伸びる。即ち、重量物である駆動装置を使って車体のバランスを保持できず、荷役の重量によって車体が前方へ倒れることがある。また、シリンダ71,72のピストン側の室が負圧になり、衝撃音が発生することがある。
【0005】
さらに、従来のリーチ型フォークリフトは、各シリンダ71,72及びオイルタンク70への流入を制御するための切替バルブ77を備える。切替バルブ77は、流路を備えたスプールが軸方向に移動して開閉する直動式スプール弁となっている。直動式スプール弁は密閉性が劣ることがあるので、切替バルブ77は、スプールの流路から作動油が漏れることがあり、リーチ型フォークリフトの車体が下がることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4013348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記した問題点に鑑みて、フォークで荷役を持ち上げるときに、車体の転倒を防止して安定性を保ち、シリンダからの衝撃音を防止でき、さらに、リーチ型フォークリフトの車体が下がらないようにしたリーチ型フォークリフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
一対のフォークで荷役を運搬するリーチ型フォークリフトにおいて、
駆動輪を有するドライブユニットと、
補助輪を有するキャスタユニットと、
駆動輪をロッド部に接続して上下に揺動するドライブシリンダと、
補助輪をロッド部に接続して上下に揺動するキャスタシリンダと、
ドライブシリンダ及びキャストシリンダに作動油を流入及び流出するオイルタンク及びオイルポンプと、
ドライブシリンダにおけるピストン部側の第1室とキャスタシリンダにおけるピストン部側の第1室とを接続する第1管路と、
ドライブシリンダにおけるロッド部側の第2室とキャスタシリンダにおけるロッド部側の第2室とを接続する第2管路と、
第1管路とオイルポンプとを接続する第3管路と、
第2管路とオイルタンクとを接続する第4管路と、
第1管路を開閉する第1開閉バルブと、
第4管路を開閉し、閉じた状態において作動油が第2管路からオイルタンクへ逆流することを防止する逆止弁機能を有するポペットバルブからなる第2開閉バルブと、
第3管路に設けられ、作動油が第1管路からオイルタンクへ逆流することを防止する逆止弁と、
第1開閉バルブ、第2開閉バルブ及びオイルポンプの駆動を制御する制御部と、
リーチ型フォークリフトの走行及び停止を検出する走行センサーと、
フォークの作動及び停止を検出するフォークセンサーと、
を備え、制御部は、
リーチ型フォークリフトが走行してフォークが停止するときには、第1開閉バルブを開き、第2開閉バルブを閉じて、
リーチ型フォークリフトが停止してフォークが作動するときには、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブを閉じる。
【0009】
好ましくは、上記リーチ型フォークリフトは、
リーチ型フォークリフトの車体の高さを検出する車高センサーを備え、
制御部は、
車体が予め設定した所定の高さよりも低いときには、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブを開き、オイルポンプを駆動して、車高上げ動作を行う。
【0010】
好ましくは、上記リーチ型フォークリフトは、
作動油が高圧になる第1管路又は第3管路と作動油が低圧になる第2管路32又は第4管路34とを接続する第5管路と、
第5管路を開閉する第3開閉バルブと、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るリーチ型フォークリフトは、リーチ型フォークリフトが走行するときには、第1開閉バルブを開き、第2開閉バルブを閉じて、リーチ型フォークリフトが停止してフォークを作動するときには、第1開閉バルブ及び第2開閉バルブを閉じる。これにより、リーチ型フォークリフトが走行するときには、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダの各室の間で作動油が流動可能となるので、駆動輪の上下動に追従して補助輪が上下動して、路面からの振動を吸収する。さらに、リーチ型フォークリフトが停止してフォークを作動するときには、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダの各室の間で作動油が流動不能となるので、各シリンダが伸縮せず駆動装置が車体に固定(ロック)されて車体後方の重量物として作用し、車体バランスが保持され、荷役の重量によって車体が前方へ倒れることを防止できる。
【0012】
さらに、第2開閉バルブは、閉じた状態において作動油が第2管路からオイルタンクへ逆流することを防止する逆止弁機能を有するポペットバルブからなる。また、逆止弁は、第3管路に設けられ、作動油が第1管路からオイルタンクへ逆流することを防止する。そのため、ドライブシリンダ及びキャスタシリンダの作動油は、オイルタンクへの逆流が完全に封止されるので、密閉性に優れ、リーチ型フォークリフトの車体が下がることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】リーチ型フォークリフトの外観を示す斜視図。
【図2】通常時におけるリーチ型フォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【図3】ロック時におけるリーチ型フォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【図4】車高上げ時におけるリーチ型フォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【図5】メンテナンス時(車体下げ時)におけるリーチ型フォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【図6】従来のリーチ型フォークリフトの後輪機構を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明に係るリーチ型フォークリフトについて説明する。
【0015】
[全体構成]
図1の通り、リーチ型フォークリフトは、車体6に、前側に延出された左右のストラドルアーム62を備える。リーチ型フォークリフトは、左右のストラドルアーム62に沿って前後に進退可能なキャリッジ64を備える。キャリッジ64には、マスト63が上下方向に立設されている。リーチ型フォークリフトは、マスト63に沿って昇降案内されるリフトブラケット65を備える。リフトブラケット65には左右一対のフォーク66が支持されており、マスト63に沿ってリフトブラケット65と共にフォーク66が昇降する。
【0016】
そして、車体6とキャリッジ64とにわたってリーチシリンダ(不図示)が設けられ、リーチシリンダが伸縮動作することで、キャリッジ64の進退がなされる。キャリッジ64には、マスト63に沿ってリフトシリンダ70が立設されており、リフトシリンダ70が伸縮動作することで、リフトブラケット65が昇降する。また、リフトブラケット65には、ティルトシリンダ(不図示)が設けられ、ティルトシリンダが伸縮動作することで、フォーク66の傾倒がなされる。
【0017】
車体6の左後部は、開閉可能なドアにより閉塞される機器収納室61となっており、この機器収納室61内に後述するドライブユニット1(図2)などが搭載されている。車体6の右後部は、後方に開放されて形成された運転席60となっている。機器収納室61の上部から運転席60の前方にかけてトップカバー67により覆われている。このトップカバー67上には、運転席60の左方位置に、操舵を制御するためのハンドル68が設けられている。さらに、車体6の左後部には、車体6の走行と操舵を行う駆動輪10が設けられ、車体6の右後部には、駆動輪10に追従して補助する補助輪20が設けられている。
【0018】
図2の通り、リーチ型フォークリフトは、駆動輪10を有するドライブユニット1と、補助輪20を有するキャスタユニット2とを備える。ドライブユニット1は、車体6を走行させる走行モータ(図示略)と、このモータ等を支持するドライブサポート16とを備える。また、ドライブサポート16は、走行モータの動力を駆動輪10に伝達するギアユニット、駆動輪10を操舵するための操舵モータ等を支持する。ドライブユニット1は、ドライブシリンダ11を備える。ドライブシリンダ11は、ドライブサポート16に接続されている。そして、ドライブシリンダ11の伸縮によって、駆動輪10が上下に揺動する。
【0019】
キャスタユニット2は、補助輪20を支持するキャスタサポート22を備える。キャスタユニット2は、キャスタサポート22に接続されたキャスタシリンダ21を備える。そして、キャスタシリンダ21の伸縮によって、キャスタサポート22を介して補助輪20が上下に揺動する。キャスタサポート22は、スプリング250を介してキャスタシリンダ21に連結されており、スプリング250は、補助輪20の細かな振動を吸収する。
【0020】
ドライブシリンダ11は、ピストン部110及びロッド部111を備える。ドライブシリンダ11は、その内部がピストン部110を介して、ピストン部110側の第1室11aとロッド部111側の第2室11bとに分けられる。そして、ドライブシリンダ11は、第1室11a及び第2室11bに作動油が収納(充填)される。
【0021】
同様に、キャスタシリンダ21は、ピストン部210及びロッド部211を備える。キャスタシリンダ21は、その内部がピストン部210を介して、ピストン部210側の第1室21aとロッド部211側の第2室21bとに分けられる。そして、キャスタシリンダ21は、第1室21a及び第2室21bに作動油が収納(充填)される。
【0022】
ドライブシリンダ11は車体6に固定され、ロッド部111がドライブサポート16に接続されており、ロッド部111の移動によって、駆動輪10が上下に揺動するよう構成されている。また、キャスタシリンダ21は車体6に固定され、ロッド部211がキャスタサポート22に接続されており、ロッド部211の移動によって、補助輪20が上下に揺動するよう構成される。
【0023】
リーチ型フォークリフトは、作動油を収納するオイルタンク80と、オイルタンク80内の作動油を送り出すオイルポンプ81と、オイルポンプ81を駆動するポンプモータ82とを備える。
【0024】
ドライブシリンダ11の第1室11aとキャスタシリンダ21の第1室21aとが、第1管路31で接続される。ドライブシリンダ11の第2室11bとキャスタシリンダ21の第2室21bとが、第2管路32で接続される。第1管路31とオイルポンプ81とが、第3管路33で接続される。第2管路32とオイルタンク80とが、第4管路34で接続される。
【0025】
第1管路31には、電磁式の第1開閉バルブ41が設けられる。第1開閉バルブ41は、第1管路31の作動油の流れを連通及び遮断に切り換えるように開閉する。第4管路34には、電磁式の第2開閉バルブ42が設けられる。第2開閉バルブ42は、第4管路34の作動油の流れを連通及び遮断に切り換えるように開閉する。第2開閉バルブ42は、閉じた状態において、作動油が第2管路32からオイルタンク80へ逆流することを防止する逆止弁機能を有するポペットバルブからなる。さらに、第3管路33には、逆止弁40が設けられる。逆止弁40は、作動油が第1管路31からオイルタンク80への逆流を防止する。
リーチ型フォークリフトは、第1開閉バルブ41、第2開閉バルブ42、ポンプモータ82を制御する制御部93を備える。
【0026】
リーチ型フォークリフトは、車体6と路面との距離(地上高H)を検出する地上高センサー(反射型レーザーセンサーなど)94を備える。地上高センサー94は、車体6に固定されており、地上高センサー94とドライブサポート16との距離Lを計測するようになっている。駆動輪10が路面に接地しているため、ドライブサポート16の高さ位置は一定なので、距離Lが、予め設定した所定距離Laよりも小さくなると、車体6が予め設定した所定高さHaよりも下がっていると判断でき、距離Lが、予め設定した所定距離Laよりも大きくなると、車体6が所定高さHaよりも上っていると判断できる。なお、地上高センサー94は、路面との距離を直接計測してもよい。
【0027】
リーチ型フォークリフトは、走行及び停止を検出する走行センサー95を備える。走行センサー95は、駆動輪10の回転動やアクセルの動きなどを検出することで、リーチ型フォークリフトの走行及び停止を検出する。リーチ型フォークリフトは、フォーク66の動作及び停止を検出するフォークセンサー96を備える。フォークセンサー96は、リフトシリンダ70(図1)などの動きを検出することで、フォーク66の動作及び停止を検出する。
【0028】
制御部93は、地上高センサー94、走行センサー95、フォークセンサー96の検出信号に基づいて、第1開閉バルブ41、第2開閉バルブ42、ポンプモータ82の駆動を制御する。以下、制御部93による動作制御を後述する。
【0029】
[通常時(車両走行・フォーク停止)]
図2の通り、走行センサー95がリーチ型フォークリフトの走行を検知し、フォークセンサー96がフォーク66の停止を検知するとき、制御部93は、第1開閉バルブ41を開き、第2開閉バルブ42を閉じる。従って、ドライブシリンダ11の各室11a,11bとキャスタシリンダ21の各室21a,21bとがそれぞれ第1管路31及び第2管路32によって接続される。これにより、駆動輪10と補助輪20とがそれぞれ逆方向に上下に揺動する。
【0030】
即ち、補助輪20に上方向の負荷がかかると、作動油がキャスタシリンダ21の第1室21aから排出され、第1管路31を通じて、ドライブシリンダ11の第1室11aに供給され、さらに、作動油がドライブシリンダ11の第2室11bから排出され、第2管路32を通じて、キャスタシリンダ21の第2室21bに供給され、これによって、駆動輪10に下方向の負荷がかかる。
【0031】
同様に、駆動輪10に上方向の負荷がかかると、作動油がドライブシリンダ11の第1室11aから排出され、第1管路31を通じて、キャスタシリンダ21の第1室21aに供給され、さらに、作動油がキャスタシリンダ21の第2室21bから排出され、第2管路32を通じて、ドライブシリンダ11の第2室11bに供給され、これによって、補助輪20に下方向の負荷がかかる。
【0032】
さらに、逆止弁40及び第2開閉バルブ42の逆止弁機能によって、作動油は、第1管路31及び第2管路32からオイルタンク80への逆流が防止されるので、密閉性に優れ、フォークタンクの車体6が下がることがない。
【0033】
[ロック時(車両停止・フォーク作動)]
図3の通り、走行センサー95がリーチ型フォークリフトの車両の停止を検知し、フォークセンサー96がフォーク66の作動を検知するとき、制御部93は、第1開閉バルブ41及び第2開閉バルブ42を閉じる。従って、ドライブシリンダ11の各室11a,11bとキャスタシリンダ21の各室21a,21bとが遮断されるので、作動油がオイルタンク80に流れることがなく、ドライブシリンダ11のロッド部111とキャスタシリンダ21のロッド部211とが固定される。これにより、駆動輪10と補助輪20とが固定(ロック)される。
【0034】
従って、リーチ型フォークリフトの車両を停止して、フォーク66で荷役を昇降するときに、重量物であるドライブユニット1を車体6に固定(ロック)できるので、ドライブユニット1が車体6の後方の重量物として作用し、フォーク66で支持する荷役の重量で車体6が前方へ倒れることなく、前後の重量によって車体6のバランスが保持される。
【0035】
さらに、逆止弁40及び第2開閉バルブ42の逆止弁機能によって、作動油は、第1管路31及び第2管路32からオイルタンク80への逆流が防止されるので、密閉性に優れ、フォークタンクの車体6が下がることがない。
【0036】
[車高上げ時]
図4の通り、車高センサー94が、車体6の高さHが予め設定した所定高さHaよりも下がっていると判断すると、制御部93は、車体6を上げて所定高さHaにするために、次の動作を行う。
【0037】
制御部93は、第1開閉バルブ41及び第2開閉バルブ42を開いて、ポンプモータ82を駆動する。ポンプモータ82の駆動によって、オイルタンク80の作動油が、第3管路33及び第1管路31を通じて、ドライブシリンダ11の第1室11a及びキャスタシリンダ21の第1室21aに流入する。この流入圧によって、ドライブシリンダ11のピストン部110及びキャスタシリンダ21のピストン部210が押し下げられ、ドライブシリンダ11の第2室11b及びキャスタシリンダ21の第2室21bの作動油が、第2管路32及び第4管路34を通じて、オイルタンク80に流出する。
【0038】
ドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21は車体6に固定されているので、上記のドライブシリンダ11及びキャスタシリンダ21の動作によって、車体6が持ち上がる。車高センサー94が、車体6の高さHが予め設定した所定高さ(閾値)Haまで上ったと判断すると、制御部93は、第1開閉バルブ41及び第2開閉バルブ42を閉じ、ポンプモータ82を停止する。これにより、車体6は所定高さHaになり、高さ調整動作が終了する。
【0039】
リーチ型フォークリフトは、第1管路31と第4管路34とを接続する第5管路35を備える。第5管路35は、一端が、オイルポンプ81による作動油の流入で高圧になる高圧管路(第1管路31又は第3管路33)に接続され、他端が、作動油の流出で低圧になる低圧管路(第2管路32又は第4管路34)に接続される。第5管路35は、手動式の第3開閉バルブ43を備える。オイルポンプ81を駆動して高さ調整動作を行っている際に、手動で第3開閉バルブ43を開くと、各管路31〜34内のエア抜きができ、組立て作業及びメンテナンス作業が容易になる。なお、第3開閉バルブ43は、制御部93で開閉できる電磁式バルブでもよい。
【0040】
[メンテナンス時(車体下げ時)]
図5の通り、メンテナンスを行うときは、各管路31〜34内の圧力やエアを抜くために、次の動作を行う。
制御部93は、第1開閉バルブ41及び第2開閉バルブ42を開いて、ポンプモータ82を停止する。さらに、手動又は電磁式制御などによって、第3開閉バルブ43を開く。これにより、高圧側となる第1管路31内のエアが、低圧側となる第3管路33を通じてオイルタンク80へ流出する。そして、エア抜きが終了すると、第3開閉バルブ43を閉じる。
【0041】
また、車体6の重量によって、ドライブシリンダ11の第1室11a及びキャスタシリンダ21の第1室21aの作動油は、第3開閉バルブ43が開いているので、第1管路31から第5管路35を通じ、第4管路34から第2管路32を通じて、ドライブシリンダ11の第2室11b及びキャスタシリンダ21の第2室21bへ流れる。さらに、ドライブシリンダ11の第1室11aと第2室11bとの体積差(ロッド111の体積)及びキャスタシリンダ21の第1室21aと第2室21bとの体積差(ロッド211の体積)の作動油が、第4管路34を通じてオイルタンク80へ流出される。これにより、車体6を下げることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ドライブユニット
10 駆動輪
11 ドライブシリンダ
110 ドライブシリンダのピストン部
111 ドライブシリンダのロッド部
11a ドライブシリンダの第1室
11b ドライブシリンダの第2室
2 キャスタユニット
20 補助輪
21 キャスタシリンダ
210 キャスタシリンダのピストン部
211 キャスタシリンダのロッド部
21a キャスタシリンダの第1室
21b キャスタシリンダの第2室
31 第1管路
32 第2管路
33 第3管路
34 第4管路
35 第5管路
40 逆止弁
41 第1開閉バルブ
42 第2開閉バルブ
43 第3開閉バルブ
6 車体
66 フォーク
80 オイルタンク
81 オイルポンプ
93 制御部
94 車高センサー
95 走行センサー
96 フォークセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフォークで荷役を運搬するリーチ型フォークリフトにおいて、
駆動輪を有するドライブユニットと、
補助輪を有するキャスタユニットと、
前記駆動輪をロッド部に接続して上下に揺動するドライブシリンダと、
前記補助輪をロッド部に接続して上下に揺動するキャスタシリンダと、
前記ドライブシリンダ及び前記キャストシリンダに作動油を流入及び流出するオイルタンク及びオイルポンプと、
前記ドライブシリンダにおけるピストン部側の第1室と前記キャスタシリンダにおけるピストン部側の第1室とを接続する第1管路と、
前記ドライブシリンダにおけるロッド部側の第2室と前記キャスタシリンダにおけるロッド部側の第2室とを接続する第2管路と、
前記第1管路と前記オイルポンプとを接続する第3管路と、
前記第2管路と前記オイルタンクとを接続する第4管路と、
前記第1管路を開閉する第1開閉バルブと、
前記第4管路を開閉し、閉じた状態において前記作動油が前記第2管路から前記オイルタンクへ逆流することを防止する逆止弁機能を有するポペットバルブからなる第2開閉バルブと、
前記第3管路に設けられ、前記作動油が前記第1管路から前記オイルタンクへ逆流することを防止する逆止弁と、
前記第1開閉バルブ、前記第2開閉バルブ及びオイルポンプの駆動を制御する制御部と、
前記リーチ型フォークリフトの走行及び停止を検出する走行センサーと、
前記フォークの作動及び停止を検出するフォークセンサーと、
を備え、前記制御部は、
前記リーチ型フォークリフトが走行して前記フォークが停止するときには、前記第1開閉バルブを開き、前記第2開閉バルブを閉じて、
前記リーチ型フォークリフトが停止して前記フォークが作動するときには、前記第1開閉バルブ及び前記第2開閉バルブを閉じることを特徴とするリーチ型フォークリフト。
【請求項2】
前記リーチ型フォークリフトの車体の高さを検出する車高センサーを備え、
前記制御部は、
前記車体が予め設定した所定の高さよりも低いときには、前記第1開閉バルブ及び前記第2開閉バルブを開き、前記オイルポンプを駆動して、車高上げ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のリーチ型フォークリフト。
【請求項3】
作動油が高圧になる前記第1管路又は前記第3管路と作動油が低圧になる前記第2管路32又は前記第4管路34とを接続する第5管路と、
前記第5管路を開閉する第3開閉バルブと、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のリーチ型フォークリフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240831(P2012−240831A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115547(P2011−115547)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】