説明

リードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法

【課題】リードピンを効率的に矯正できるリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を提供すること。
【解決手段】リードピン矯正装置は、リードピンを有する電子部品を保持する保持部と、前記保持部に保持された電子部品を前記リードピンの延出方向に押圧する押圧部と、前記リードピンの矯正後の形状に対応する形状を有する孔部を備える矯正治具とを含み、前記リードピンの先端部を前記矯正治具の前記孔部に挿入した状態で、前記保持部によって保持された前記電子部品を前記押圧部で押圧して前記リードピンを前記孔部に挿入することにより、前記リードピンを前記孔部の形状に矯正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CANタイプ光デバイスのリードピンを、リードピンの根元をCANタイプLDパッケージクランプ機構のクランプ部で押さえた状態で、キャピラリーをリードピンに差し込み、この状態でキャピラリーを変位させることで曲げる方法があった(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の方法では、リードピンを矯正する際に根元にかかる負荷を軽減するために、リードピンの根元をクランプ部で押さえる必要があった。このようにクランプ部を有するため、装置構成が複雑になり、装置のコストも上昇していた。
【0004】
また、従来の方法では、リードピンを1本ずつ矯正しており、作業効率が低かった。
【0005】
以上のように、従来のリードピンの矯正方法では、リードピンの矯正を効率的に行えていないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、リードピンを効率的に矯正できるリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態の一観点のリードピン矯正装置は、リードピンを有する電子部品を保持する保持部と、前記保持部に保持された電子部品を前記リードピンの延出方向に押圧する押圧部と、前記リードピンの矯正後の形状に対応する形状を有する孔部を備える矯正治具とを含み、前記リードピンの先端部を前記矯正治具の前記孔部に挿入した状態で、前記保持部によって保持された前記電子部品を前記押圧部で押圧して前記リードピンを前記孔部に挿入することにより、前記リードピンを前記孔部の形状に矯正する。
【発明の効果】
【0008】
リードピンを効率的に矯正できるリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態のリードピン矯正装置によって矯正される半導体レーザ装置を示す図である。
【図2】半導体レーザ装置50が実装されるプリント基板と、リードピン53が接続されるソケットを示す平面図である。
【図3】実施の形態のリードピン矯正装置に含まれるホルダー10を示す図である。
【図4】ホルダー10で半導体レーザ装置50を保持した状態を示す図である。
【図5】実施の形態のリードピン矯正装置に含まれる押圧部20を示す図である。
【図6】実施の形態のリードピン矯正装置に含まれる矯正治具30を示す図である。
【図7】実施の形態のリードピン矯正装置の矯正治具30を開放した状態を示す側面図である。
【図8】実施の形態のリードピン矯正装置によるリードピンを矯正する工程を示す図である。
【図9】実施の形態のリードピン矯正装置によるリードピンを矯正する工程を示す図である。
【図10】実施の形態のリードピン矯正装置によるリードピンを矯正する工程を示す図である。
【図11】実施の形態のリードピン矯正装置によってリードピンの形状が矯正された半導体レーザ装置50を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、実施の形態のリードピン矯正装置によって矯正される半導体レーザ装置を示す図である。
【0012】
図1に示すように、半導体レーザ装置50は、レーザ部51、ステム部52、及び3本のリードピン53を有する。
【0013】
レーザ部51は、1つの半導体レーザチップを内蔵し、出射孔51Aからレーザ光を出射する。半導体レーザチップは、ステム部52に実装されている。半導体レーザチップをカバーで封止した部分がレーザ部51である。
【0014】
ステム部52は、ヒートシンク等を有し、レーザ部51が実装される。ステム部52は、例えば、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
【0015】
リードピン53は、例えば、銅製であり、ステム部52を介して、半導体レーザチップに接続されている。3本のリードピン53は、それぞれ、電源用のリードピン、グランド用のリードピン、及び、レーザチップを駆動するための電圧入力用のリードピンである。
【0016】
なお、図1には、一例として、レーザチップを1つだけ含む半導体レーザ装置50を示すが、半導体レーザ装置50は、複数のレーザチップを含んでもよい。この場合は、レーザチップが1つ増える毎に、レーザチップを駆動するための電圧入力用のリードピンが1本ずつ増えることになる。
【0017】
図2は、半導体レーザ装置50が実装されるプリント基板と、リードピン53が接続されるソケットを示す平面図である。
【0018】
図2(A)に示すように、半導体レーザ装置50が実装されるプリント基板60は、半導体レーザ装置50のリードピン53を挿入する3つのスルーホール61を有し、IC(Integrated Circuit)チップ62A、62B、及びコンデンサ63A、63Bが実装される。
【0019】
半導体レーザ装置50のリードピン53は、実施の形態のリードピン矯正装置によって形状が矯正された後に3つのスルーホール61に挿入され、半田付け等によって固定されるとともに、プリント基板60の表面の配線、内層の配線、又は裏面の配線に接続される。
【0020】
また、図2(B)に示すように、半導体レーザ装置50が実装されるソケット70は、ソケット本体71、3つの端子接続部72(一例としてコネクタ)、3本の端子73を有する。
【0021】
ソケット本体71は、絶縁性材料で形成される円柱状の部材であり、例えば、樹脂製である。
【0022】
3つの端子接続部72は、ソケット本体71の内部で、それぞれ、3本の端子73に接続されている。端子接続部72には、それぞれ、リードピン53が挿入されることによって接続される。3本の端子73は、例えば、半導体レーザ装置50を駆動するための電子機器に接続される。
【0023】
次に、実施の形態のリードピン矯正装置について説明する。
【0024】
図3は、実施の形態のリードピン矯正装置に含まれるホルダー10を示す図である。
図4は、ホルダー10で半導体レーザ装置50を保持した状態を示す図である。
【0025】
ホルダー10は、基台11と、把持部12、13を含む。ホルダー10は、保持部の一例である。
【0026】
基台11及び把持部12、13は、例えば、ステンレス(SUS)で形成した後に、表面にシリコン系の樹脂をコーティングすることによって作製される。ホルダー10の表面に樹脂コーティングを行うことにより、静電気による劣化や破壊などを防止できる。
【0027】
基台11は、ホルダー10の基台となる部分であり、図示しない装置に保持されている。
【0028】
把持部12、13は、基台11に固着されている。把持部12、13は、それぞれ、基台11に接続される基部12A、13Aと、湾曲部12B、13Bを含む。
【0029】
基部12A、13Aは、それぞれ、基台11に対して湾曲部12B、13Bを保持している。湾曲部12B、13Bは、半導体レーザ装置50のステム部52を保持する部分である。把持部12、13は、湾曲部12B、13Bの内側の面12B1、13B1を対向させた状態で、基台11に保持されている。
【0030】
湾曲部12B、13Bの内側の面12B1、13B1の曲率は、半導体レーザ装置50のステム部52の曲率と同一の曲率に設定されている。把持部12、13は、半導体レーザ装置50のステム部52を把持した状態で、ステム部52を把持する前の状態よりも互いに離間する方向に撓むように構成されている。
【0031】
すなわち、把持部12、13には、ステム部52を把持した状態で、互いに近接する方向の復元力が働くバネとして機能する。このため、把持部12、13は、図4に示すように半導体レーザ装置50のステム部52を保持することができる。
【0032】
このようなホルダー10は、基台11と把持部12、13とが一体的に形成されてもよく、別々に形成され、基台11に対して把持部12、13が接続されてもよい。
【0033】
図5は、実施の形態のリードピン矯正装置に含まれる押圧部20を示す図である。
【0034】
押圧部20は、側面視T字型の部材であり、基部21と延出部22を有する。
【0035】
基部21は、T字型の頂部の部分であり、図示しない駆動装置に接続されて固定されている。
【0036】
延出部22は、基部21の中央部から延出しており、基部21とともにT字型の押圧部20を形成している。延出部22の先端部22Aは、ホルダー10の把持部12、13の湾曲部12B、13Bの内側の面12B1、13B1の間の空間に入ることのできる大きさを有している。
【0037】
押圧部20は、図示しない駆動装置によって駆動されることにより、ホルダー10の把持部12、13によって保持された半導体レーザ装置50のレーザ部51の上面を延出部22の先端部22Aで下方向に押圧する。
【0038】
押圧部20は、例えば、ステンレス(SUS)で基部21、及び延出部22を一体的に形成した後に、表面にシリコン系の樹脂をコーティングすることによって形成される。宇押圧部20の表面に樹脂コーティングを行うことにより、静電気による劣化や破壊などを防止できる。
【0039】
なお、ステンレス(SUS)で基部21と延出部22を別々に形成した後に、基部21と延出部22を接続し、その後に表面にシリコン系の樹脂をコーティングしてもよい。
【0040】
図6は、実施の形態のリードピン矯正装置に含まれる矯正治具30を示す図である。図6(A)は、矯正治具30を示す斜視図、図6(B)は矯正治具30を示す側面図、図6(C)は矯正治具30の平面図、図6(D)は矯正治具30の底面図である。
【0041】
図6(A)〜(D)に示すように、矯正治具30は、3本の管部31、32、33と、接続部34A、34B、34Cを有する。
【0042】
管部31〜33は、それぞれ、内部が中空の管状の部材であり、上端31A〜33Aと、下端31B〜33Bとを有する。
【0043】
管部31は、上端31Aと下端31Bとの間に、直線部31C、31D、31Eを有する。直線部31C、31Dの間、及び、直線部31D、31Eの間は、それぞれ、折り曲げ部31F、31Gで折り曲げられている。
【0044】
管部32は、上端32Aと下端32Bとの間に、直線部32C、32D、32Eを有する。直線部32C、32Dの間、及び、直線部32D、32Eの間は、それぞれ、折り曲げ部32F、32Gで折り曲げられている。
【0045】
管部33は、上端33Aと下端33Bとの間に、直線部33C、33D、33Eを有する。直線部33C、33Dの間、及び、直線部33D、33Eの間は、それぞれ、折り曲げ部33F、33Gで折り曲げられている。
【0046】
なお、管部31、32、33は、長手方向(リードピン53の挿入方向)に沿って分割されている。この構成については、図7を用いて後述する。
【0047】
管部31、32、33は、図6(C)、(D)に示すように、平面視及び底面視で、直線部31D、32D、33Dが120°間隔で均等に並ぶように、接続部34A、34B、34Cで接続されている。
【0048】
管部31の直線部31Cと、管部32の直線部32Cとの間は、接続部34Aによって接続されている。管部32の直線部32Cと、管部33の直線部33Cとの間は、接続部34Bによって接続されている。管部33の直線部33Cと、管部31の直線部31Cとの間は、接続部34Cによって接続されている。
【0049】
接続部34A、34B、34Cは、それぞれ、板状の部材である。接続部34Aは、管部31の直線部31Cと、管部32の直線部32Cとの間を接続している。接続部34Bは、管部32の直線部32Cと、管部33の直線部33Cとの間を接続している。接続部34Cは、管部33の直線部33Cと、管部31の直線部31Cとの間を接続している。
【0050】
管部31〜33と接続部34A〜34Cとは、例えば、半田付け、又は、溶接によって接続されている。
【0051】
このような矯正治具30の管部31、32、33は、上端31A〜33Aから下端31B〜33Bまで貫通する孔部を有する。管部31、32、33の孔部の形状は、半導体レーザ装置50のリードピン53を矯正した後の形状に対応している。
【0052】
リードピン53は、矯正される際に、管部31、32、33の上端31A、32A、33Aから挿入される。このため、管部31、32、33の上端31A、32A、33Aの間隔は、矯正前の半導体レーザ装置50のリードピン53の間隔に対応している。
【0053】
図7は、実施の形態のリードピン矯正装置の矯正治具30を開放した状態を示す側面図である。図7(A)は、矯正治具30を示す分解斜視図、図7(B)は矯正治具30を示す分解側面図、図7(C)は矯正治具30の分解平面図、図7(D)は矯正治具30の分解底面図である。
【0054】
図6では管部31、32、33と、接続部34A、34B、34Cとの関係を説明するために図示を省略したが、管部31、32、33は、長手方向に沿って2分割されている。
【0055】
管部31、32、33の上端31A、32A、33Aは、同一円周上に位置する。また、管部31、32、33の下端31B、32B、33Bは、同一円周上に位置する。
【0056】
ここでは、上端31A、32A、33Aにおいて管部31、32、33の各中心が位置する円を第1の円と称し、下端31B、32B、33Bにおいて管部31、32、33の各中心が位置する円を第2の円と称す。第2の円は、第1の円よりも直径が大きい。
【0057】
管部31は、平面視において、上端31Aでは第1の円の内側と外側で2分割され、下端31Bでは第2の円の内側と外側で2分割される。これは、上端31Aと下端31Bとの間でも同様である。
【0058】
管部31のうち、第1の円及び第2の円における内側に位置する部分が部材311であり、外側に位置する部分が部材312である。部材311は、第1溝部を有する第1部の一例であり、部材312は、第2溝部を有する第2部の一例である。
【0059】
すなわち、図7(A)〜(D)に示すように、管部31は、部材311と部材312とに分割されており、部材311と部材312とを合わせることにより、図6(A)〜(D)に示すように、管部31が形成される。
【0060】
管部32は、平面視において、上端32Aでは第1の円の内側と外側で2分割され、下端32Bでは第2の円の内側と外側で2分割される。これは、上端32Aと下端32Bとの間でも同様である。
【0061】
管部32のうち、第1の円及び第2の円における内側に位置する部分が部材321であり、外側に位置する部分が部材322である。部材321は、第1溝部を有する第1部の一例であり、部材322は、第2溝部を有する第2部の一例である。
【0062】
すなわち、図7(A)〜(D)に示すように、管部32は、部材321と部材322とに分割されており、部材321と部材322とを合わせることにより、図6(A)〜(D)に示すように、管部32が形成される。
【0063】
管部33は、平面視において、上端33Aでは第1の円の内側と外側で2分割され、下端33Bでは第2の円の内側と外側で2分割される。これは、上端33Aと下端33Bとの間でも同様である。
【0064】
管部33のうち、第1の円及び第2の円における内側に位置する部分が部材331であり、外側に位置する部分が部材332である。部材331は、第1溝部を有する第1部の一例であり、部材332は、第2溝部を有する第2部の一例である。
【0065】
すなわち、図7(A)〜(D)に示すように、管部33は、部材331と部材332とに分割されており、部材331と部材332とを合わせることにより、図6(A)〜(D)に示すように、管部33が形成される。
【0066】
このような矯正治具30では、部材311と部材321が接続部34Aによって接続されている。また、部材321と部材331が接続部34Bによって接続されている。また、部材331と部材311が接続部34Cによって接続されている。
【0067】
部材312、322、332は、図示しない駆動装置によって、それぞれ、部材311、321、331に合わせられた位置(図6(A)〜(D)参照)と、部材311、321、331から離間した位置(図7(A)〜(D)参照)との間を移動可能に構成されている。
【0068】
なお、部材311、312に分割された管部31は、1本の管部を折り曲げ部31F、31Gで折り曲げた後に、長手方向に沿って切断することによって部材311と部材312に分割してもよい。また、部材311と部材312とを初めから別々に作製してもよい。
【0069】
同様に、部材321、322に分割された管部32は、1本の管部を折り曲げ部32F、32Gで折り曲げた後に、長手方向に沿って切断することによって部材321と部材322に分割してもよい。また、部材321と部材322とを初めから別々に作製してもよい。
【0070】
部材331、332に分割された管部33は、1本の管部を折り曲げ部33F、33Gで折り曲げた後に、長手方向に沿って切断することによって部材331と部材332に分割してもよい。また、部材331と部材332とを初めから別々に作製してもよい。
【0071】
また、管部31、32、33は、例えば、ステンレス(SUS)で形成した後に、表面にシリコン系の樹脂をコーティングすることによって作製される。管部31、32、33の表面に樹脂コーティングを行うことにより、静電気による劣化や破壊などを防止できる。
【0072】
次に、図8乃至図11を用いて、実施の形態のリードピン矯正装置を用いて半導体レーザ装置50のリードピン53の形状を矯正する方法について説明する。
【0073】
図8乃至図10は、実施の形態のリードピン矯正装置によるリードピンを矯正する工程を示す図である。図11は、実施の形態のリードピン矯正装置によってリードピンの形状が矯正された半導体レーザ装置50を示す斜視図である。
【0074】
まず、図8に示すように、ホルダー10に半導体レーザ装置50を保持させた状態で、半導体レーザ装置50のリードピン53の先端部を矯正治具30に挿入する。このとき、リードピン53は、管部31、32、33の直線部31C、32C、33Cまで挿入させておく。
【0075】
すなわち、この状態において、リードピン53の先端は、折り曲げ部31F、32F、33Fよりも手前の状態、又は、折り曲げ部31F、32F、33Fの内壁に当接した状態である。
【0076】
また、このとき、押圧部20を駆動装置によって下降させ、先端部22Aを半導体レーザ装置50のレーザ部51の上面に当接させておく。
【0077】
なお、リードピン53と管部31、32、33の位置合わせは、例えば、画像処理でリードピン53の位置を検出し、管部31、32、33の位置を表す基準となる画像と照合することによって行えばよい。なお、リードピン53と管部31、32、33の位置合わせは、上述の手法以外に、周知のあらゆる手法を用いて行うことができる。
【0078】
次に、押圧部20を駆動装置で下降させることにより、半導体レーザ装置50を下方に押圧する。このとき、半導体レーザ装置50のステム部52は、ホルダー10の湾曲部12B、13Bの内側の面12B1、13B1に沿って下方へ移動し、リードピン53は、矯正治具30の管部31、32、33の奥まで押し込まれて行く。
【0079】
図9は、押圧部20で半導体レーザ装置50を完全に押し下げた状態を示す。この状態では、リードピン53は、矯正治具30の管部31、32、33に根元付近まで挿入された状態になっている。
【0080】
次に、図10に示すように、矯正治具30の管部31、32、33の部材312、322、332を駆動装置によって離間させる。これにより、半導体レーザ装置50は、矯正治具30から取り外せる状態になる。図示しない駆動装置によって半導体レーザ装置50のステム部52を保持し、半導体レーザ50を矯正治具30から取り出すと、図11に示すように、リードピン53の形状が矯正された半導体レーザ装置50が得られる。
【0081】
以上により、実施の形態のリードピン矯正装置によるリードピンの矯正処理が終了する。
【0082】
矯正後のリードピン53の先端は、矯正治具30の管部31、32、33の下端31B、32B、33Bが位置する第2の円上に位置する。すなわち、リードピン53の先端は、実施の形態のリードピン矯正装置による矯正により、第1の円上から第2の円上に位置するように放射状に広げられたことになる。
【0083】
以上、実施の形態のリードピン矯正装置100によれば、半導体レーザ装置50のリードピン53を効率的に矯正することができる。
【0084】
従来の矯正方法では、リードピンの根元をクランプ部で押さえる必要があるため、装置構成が複雑になり、装置のコストも上昇していた。また、リードピンを1本ずつ矯正しており、作業効率が低かった。
【0085】
これに対して、実施の形態のリードピン矯正装置100では、矯正治具30を含む簡易な構成で、複数のリードを一度の処理で同時に矯正することができるため、半導体レーザ装置50のリードピン53を効率的に矯正することができる。
【0086】
また、矯正治具30を含む簡易な構成で効率的にリードピン53を矯正できるので、リードピン矯正装置100の製造コストを低廉に押さえることができる。
【0087】
また、矯正治具30の形状によって矯正後のリードピン53の形状が決まるので、形状の矯正を高精度に行うことができ、特に、リードピン53が複数ある場合には、均等化を図ることができる。この結果、高画質の書き込み画像が得られ、生産性が高い画像形成装置を提供できる。
【0088】
また、矯正治具30は、リードピン53が挿入される上端31A、32A、33A側に、リードピン53の形状を矯正前の状態で直線的に案内する直線部31C、32C、33C(図6(A)、(B)参照)を有する。リードピン53を矯正前の状態で案内するとは、リードピン53を矯正することなく直線的に案内することをいう。
【0089】
このため、折り曲げ部31F、32F、33Fよりも下端31B、32B、33B側で折り曲げられる前に、リードピン53を直線部31C、32C、33Cで保持することができる。
【0090】
従って、リードピン53が折り曲げ部31F、32F、33Fよりも下端31B、32B、33B側で折り曲げられる際に、リードピン53の根元(ステム部52側)に余計な応力が掛かることが抑制され、半導体レーザ装置50の破損等を抑制できる。
【0091】
なお、以上では、矯正治具30が3本の管部31〜33を有する形態について説明したが、管部の本数は、半導体レーザ装置50のリードピン53の本数に合わせればよく、何本であってもよい。
【0092】
また、以上では、矯正治具30の管部31、32、33が互いに対称な形状を有する形態について説明したが、管部31、32、33は、矯正後のリードピン53の形状に合わせて、それぞれ異なる形状を有してもよい。
【0093】
また、以上では、矯正治具30が管部31〜33を有する形態について説明したが、管部31〜33ではなく、管部31〜33が有する孔部と同一の孔部を有する金型として教示治具30を形成してもよい。
【0094】
この場合は、例えば、部材311、312が有する溝部と同一の溝部を有する一対の金型を管部31の代わりに用いればよい。同様に、部材321、322が有する溝部と同一の溝部を有する一対の金型を管部32の代わりに用いればよく、部材331、332が有する溝部と同一の溝部を有する一対の金型を管部33の代わりに用いればよい。
【0095】
以上では、管部31、32、33が第1の円及び第2の円の内側の部材311、321、331と、外側の部材312、322、332とに分割される形態について説明したが、管部31、32、33の分割の仕方は、これに限られない。
【0096】
管部31、32、33は、長手方向(リードピン53の挿入方向)に沿って分割されることにより、リードピン53の形状を矯正した後に、リードピン53を取り出せるように構成されていれば、分割の仕方は、図7(A)〜(D)に示す分割の仕方以外の態様であってもよい。
【0097】
また、管部31〜33を構成する部材312、322、332が駆動装置によって移動されて、部材311、321、331から離間する形態について説明した。しかしながら、部材312、322、332は、それぞれ、蝶番によって部材311、321、331に開閉できるように取り付けられていてもよい。
【0098】
また、以上では、リードピン53の形状を矯正した後に、矯正治具30をリードピン53から取り外す形態について説明したが、矯正治具30をリードピン53から取り外さずに、形状を矯正した後に、リードピン53を覆うカバーとして残してもよい。
【0099】
また、以上では、基台11及び把持部12、13を有するホルダー10を用いる形態について説明したが、リードピン53の形状を矯正する際に半導体レーザ装置50を保持できるのであれば、ホルダー10の形状や構成等は、上述のものに限られず、他の形状や構成であってもよい。
【0100】
また、以上では、基部21及び延出部22を有するT字型の押圧部20を用いる形態について説明したが、リードピン53の形状を矯正する際に半導体レーザ装置50を押圧することができるのであれば、押圧部20の形状や構成は、上述のものに限られず、他の形状や構成等であってもよい。
【0101】
また、以上では、押圧部20及び矯正治具30を駆動装置が駆動する形態について説明したが、押圧部20及び矯正治具30は、人間が駆動してもよい。
【0102】
また、以上では、半導体レーザ装置50のリードピン53の形状を矯正する形態について説明したが、リードピン53を有する電子装置であれば、半導体レーザ装置50以外の電子装置についても、実施の形態のリードピン矯正装置を適用することができる。例えば、トランジスタ、又は三端子レギュレータ等の電子装置であってもよい。
【0103】
また、ホルダー10、押圧部20、矯正治具30の表面に、樹脂コーティングを施す形態について説明したが、樹脂コーティングは必ずしも行わなくてもよい。また、ホルダー10、押圧部20、矯正治具30を絶縁性材料で形成してもよい。
【0104】
以上、本発明の例示的な実施の形態のリードピン矯正装置、及び、リードピンの矯正方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 ホルダー
11 基台
12、13 把持部
12A、13A 基部
12B、13B 湾曲部
12B1、13B1 面
20 押圧部
21 基部
22 延出部
22A 先端部
30 矯正治具
31、32、33 管部
31A 上端
31B 下端
31C、31D、31E 直線部
31F、31G 折り曲げ部
32A 上端
32B 下端
32C、32D、32E 直線部
32F、32G 折り曲げ部
33A 上端
33B 下端
33C、33D、33E 直線部
33F、33G 折り曲げ部
34A、34B、34C 接続部
50 半導体レーザ装置
51 レーザ部
52 ステム部
53 リードピン
51A 出射孔
60 プリント基板
61 スルーホール
70 ソケット
71 ソケット本体
72 端子接続部
73 端子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2002−222907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードピンを有する電子部品を保持する保持部と、
前記保持部に保持された電子部品を前記リードピンの延出方向に押圧する押圧部と、
前記リードピンの矯正後の形状に対応する形状を有する孔部を備える矯正治具と
を含み、前記リードピンの先端部を前記矯正治具の前記孔部に挿入した状態で、前記保持部によって保持された前記電子部品を前記押圧部で押圧して前記リードピンを前記孔部に挿入することにより、前記リードピンを前記孔部の形状に矯正する、リードピン矯正装置。
【請求項2】
前記矯正治具の前記孔部は、前記リードピンが挿入される側の端部に、前記リードピンを矯正前の状態で直線的に誘導する直線部を有する、請求項1記載のリードピン矯正装置。
【請求項3】
前記矯正治具の前記孔部は、前記リードピンの挿入方向に沿って分割されている、請求項1又は2記載のリードピン矯正装置。
【請求項4】
前記矯正治具は、
前記リードピンの挿入方向に対する第1側に位置し、前記孔部の一部を構成する第1溝部を有する第1部と、
前記第1溝部に対応する第2溝部を有し、前記第1部に合わせられることにより、前記第2溝部が前記第1溝部とともに前記孔部を構成する第2部と
を有する、請求項3記載のリードピン矯正装置。
【請求項5】
前記矯正治具は、前記孔部を有する管状部材を有する、請求項1乃至4のいずれか一項記載のリードピン矯正装置。
【請求項6】
リードピンを有する電子部品を保持部で保持する工程と、
前記保持部に保持された電子部品を前記リードピンの延出方向に押圧部で押圧する工程と、
前記リードピンの矯正後の形状に対応する形状を有する孔部を備える矯正治具に前記リードピンの先端部を挿入した状態で、前記保持部によって保持された前記電子部品を前記押圧部で押圧して前記リードピンを前記孔部に挿入する工程と
を含む、リードピンの矯正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−46923(P2013−46923A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186268(P2011−186268)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】