リーフシール
【課題】同軸で相対的に回転する2つの構成要素の間にシールを形成するためのリーフシールが提供される。
【解決手段】リーフ42は、環状パック内で向かい合わせに重ねられており、リーフ42は、リーフ42の各々の基部49において構成要素のうちの一方に取り付けることができる。これにより、リーフ42が構成要素のうちの他方に向けて延びて、リーフ42の各々の縁部46が他方の構成要素と摺接するように提供される。環状パックは、複数のスペーサを含み、スペーサの各々は、隣接するリーフ42の間に環状パックを通る軸方向の漏洩流を許容するリーフ間間隙50を形成するように、隣接するリーフ42の基部49を分離し、スペーサ43は、リーフ42を2つ以上のリーフ42のブロックに分割するように、環状パックの周囲に配分され、2つ以上のリーフ42は、基部49において、最も近くのスペーサ43の間に挟まれる。
【解決手段】リーフ42は、環状パック内で向かい合わせに重ねられており、リーフ42は、リーフ42の各々の基部49において構成要素のうちの一方に取り付けることができる。これにより、リーフ42が構成要素のうちの他方に向けて延びて、リーフ42の各々の縁部46が他方の構成要素と摺接するように提供される。環状パックは、複数のスペーサを含み、スペーサの各々は、隣接するリーフ42の間に環状パックを通る軸方向の漏洩流を許容するリーフ間間隙50を形成するように、隣接するリーフ42の基部49を分離し、スペーサ43は、リーフ42を2つ以上のリーフ42のブロックに分割するように、環状パックの周囲に配分され、2つ以上のリーフ42は、基部49において、最も近くのスペーサ43の間に挟まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの、同軸で相対的に回転する構成要素の間を封止するためのリーフシール(leaf seal)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、全体が10で示されるダクト付きファンガスタービンエンジンは、主回転軸X−Xを有する。エンジンは、軸流順序で、吸気口11と、推進ファン12と、中圧圧縮機13と、高圧圧縮機14と、燃焼器15と、高圧タービン16と、中圧タービン17と、低圧タービン18と、コアエンジン排気ノズル19とを備える。ナセル21がエンジン10全体を囲み、吸気口11と、バイパスダクト22と、バイパス排気ノズル23とを画定する。
【0003】
ガスタービンエンジン10は、従来の方法で作動し、吸気口11に流入する空気がファン12で加速されて2つの空気流、すなわち、中圧圧縮機13へ入る第1空気流と、バイパスダクト22を通過して推進推力を与える第2空気流Bとを生成する。中圧圧縮機13は、中圧圧縮機13内へ誘導される空気流Aを、この空気をさらに圧縮する高圧圧縮機14へ送る前に圧縮する。
【0004】
高圧圧縮機14から排出された圧縮空気は、燃焼器15へ誘導され、ここで燃料と混合され、この混合物が燃焼される。結果として得られる高温燃焼生成物は、次に、高圧タービン16、中圧タービン17、および低圧タービン18を通って膨張してこれらを駆動し、その後、ノズル19から排出されて、さらに推進推力を与える。高圧タービン、中圧タービン、および低圧タービンは、それぞれ、適切な相互連結シャフトにより、高圧圧縮機14および中圧圧縮機13およびファン12を駆動する。
【0005】
リーフシールは、リーフ(換言すれば、薄板)材の区分(section)から形成されており、リーフ材は、組立体内にある各々のリーフの、並置されたリーフ縁部でシール面を作り出すために、適切な向きに向けられている。シール遮断部(barrier)を設けるために、リーフの縁部、したがってシール面をシャフトの方へ向ける目的で、通常、リーフは回転シャフトの周りに周方向に並べられる。リーフ要素を正しく並べて、リーフ縁部、したがってシール面を提供するために、通常、スペーサ部材が各リーフの間に設けられる。これらのスペーサは、独立した構成要素であってもよく、各リーフと一体に形成されてもよい。リーフの縁部、また同様にシール面は、回転面に対して、事実上、上下に浮遊する。
【0006】
ガスタービンエンジンでは、リーフシールを使用して、静止している構成要素と回転する構成要素との間、2つの相対的に回転する構成要素の間、または、2つの静止している構成要素の間にでさえ、シールの一方の側で比較的高い圧力を、また、他方の側で比較的低い圧力を維持するためにシールを形成することがある。図2は、例として、リーフシール組立体31の一部の切り欠き斜視図を模式的に示しており、リーフシール組立体31は、カバープレート35付きの支持環34を備えたハウジングに固定されたスペーサ33から延びるリーフ32のパック(pack)を備える。リーフ32は、矢印38によって表される方向に一般に回転する回転構成要素の面37の方へリーフ縁部36を向けている。リーフ32、特にリーフ32のリーフ縁部36は、組立体31を横断してシールを形成するように面37に作用する。面37の回転に合わせて良好なシール効果が確実に生じるように、各リーフ32は、一般に可撓性を有する。
【0007】
図3は、組立体31のリーフパックの一部のより詳細な図を模式的に示す。スペーサ33は、全てのリーフ32の基部の間にある。スペーサ33は、可撓性が確実に得られるように、リーフ32を面37の方へ適切に向けることが一般に求められ、このことは、図示のように、一般には、リーフ32と面37との間に傾斜角を持たせることで行われる。スペーサ33の厚み、リーフの厚み、リーフの長さ、および、リーフが配置される角度を変えることにより、リーフパックの幾何学的形状を変更することができる。例えば、図4に見られるように、スペーサ33とリーフ32の相対的な厚さを変更することにより、シールパックは、非接触型パックから、リーフ縁部36に隣接して接触する(矢印で示す)接触型パックに変えることができる。スペーサ33は、リーフと一体であってもよく、別個の部品であってもよい。
【0008】
シールを通過する流れにより生じるリーフの振動は、リーフ材における疲労破壊の原因となることがあるので、問題となる可能性がある。このような亀裂は急速に成長し、リーフ材の損失につながりやすい。
【0009】
上記の問題は、リーフがまっすぐであるリーフパックと、リーフ先端部でリーフ同士が接触するリーフパックとの両方で生じる。先端部でリーフ間が大きく干渉すると、この問題が軽減されることが分かった。同様の効果は、非常に厚いリーフでも見られている。
【0010】
直径が大きいシールでは、リーフの先端部で著しいリーフ間干渉を起こすことは不可能である。これは、リーフシールを直径が小さい用途に限定することにつながりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、リーフシールにおいて性能を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の態様では、同軸で相対的に回転する2つの構成要素の間にシールを形成するためのリーフシールであって、リーフの環状パックを備えており、リーフは、環状パック内で向かい合わせに重ねられており、リーフは、リーフの各々の基部において構成要素のうちの一方に取り付けることができ、これにより、リーフが構成要素のうちの他方に向けて延びて、リーフの各々の縁部が他方の構成要素と摺接するように提供される、リーフシールであって、環状パックは、複数のスペーサを含み、スペーサの各々は、隣接するリーフの間に環状パックを通る軸方向の漏洩流を許容するリーフ間間隙を形成するように、隣接するリーフの基部を分離し、スペーサは、リーフを2つ以上のリーフのブロックに分割するように、環状パックの周囲に配分され、2つ以上のリーフは、基部において、最も近くの前記スペーサの間に挟まれる、リーフシールを提供する。
【0013】
本発明は、第2の態様では、第1の態様のリーフシールのためのリーフのパックを提供する。
リーフをスペーサ間のブロックに形成することにより、各ブロック内のリーフは、例えば、図4に示される種類の従来のシールで可能であるものよりも実質的に大きな接触面積にわたって互いに干渉できる。このように干渉させると、リーフ内の疲労亀裂の問題を軽減できることが分かった。具体的には、リーフ間を摩擦接触させることができる。この摩擦と、関連するエネルギー損失により、エネルギーを散逸させ、これによりリーフの振動を減衰させることができる。
【0014】
本発明のオプションとしての特徴を以下に記載する。これらは、単独でも、本発明の任意の態様との任意に組み合わせでも適用できる。
リーフは、分割して、3つ、4つ、8つ、または、それ以上のリーフのブロックにしてもよい。ブロック内のリーフの数を増せば、リーフ間の干渉の全体量を増やすことができ(すなわち、「端部」リーフが少ない)、また、シールを通る漏洩流を減らすこともできる。
【0015】
好ましくは、各ブロック内で、リーフは、ブロック内の直近のリーフと、リーフのそれぞれの基部から、リーフのそれぞれの摺接する縁部までの、リーフの実質的に全長にわたって向かい合わせに接触する。このような大きな面積でのリーフ間の摩擦接触は、リーフ振動の減衰を改善することができる。
【0016】
スペーサは、各ブロック内のリーフの数がパックの周囲で変化するように分配されてもよい。例えば、各ブロック内のリーフの数は、不規則にまたは無秩序に変えてもよい。このような変化は、パックが共鳴するあらゆる傾向を減らすのに役立つことができる。
【0017】
ブロック内のリーフの表面は、リーフ間の摩擦減衰の量を調整するために処理されてもよい。例えば、表面がコーティング(例えば、PTFEで)、研磨および/またはベルト研削され、摩擦減衰の量を増減させてもよい。
【0018】
各ブロック内で、基部は、直線に沿って重ねられ、環状パックの周方向の湾曲は、隣接するブロックを互いに角度方向にずらすことにより生成されることであってもよい。パック組み立てについてのこのような試みは、一定の長さの、パックのまっすぐな区分が小さい弧度に収まる、直径の大きなシールについて最も関係がある。摺接するリーフの縁部は、ブロックのそれぞれの側面を他方の構成要素の半径に合うような形にすることによって作り出すことができる。あるいは、摺接する縁部は、リーフが、他方の構成要素と接触することにより、使用中に摩耗することを許容することで形成することもできる。
【0019】
このリーフシールは、例えば、ガスタービンおよび蒸気タービン、ならびにジェットエンジンで使用することができる。しかし、このリーフシールは、シャフトに沿って高圧領域と低圧領域の間をシールすることが必要である他の用途で使用してもよい。
【0020】
オプションとしての本発明の他の特徴を以下に記載する。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら、例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガスタービンエンジンの模式的な長手方向断面図である。
【図2】リーフシール組立体の一部の模式的な切り欠き斜視図である。
【図3】図2の組立体のリーフパックの部分のより詳細な模式図である。
【図4】図3のリーフパックの変形例を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態による、シール用の環状リーフパックの部分の模式図である。
【図6】最終組み立て前の図5のリーフパックを模式的に示す図である。
【図7】最終組み立て前の図5のリーフパックの変形例を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態による、大径シール用の環状リーフパックの一部を模式的に示す図である。
【図9】図8のリーフパックのリーフのブロックに対応するまっすぐなリーフシール区分を模式的に示す図である。
【図10】図10aはT字形状薄片および逆U字形状薄片を模式的に示す図である。図10bはT字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第3実施形態の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図11】図11aはM字形状薄片を模式的に示す図である。図11bはM字形状薄片、T字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第4実施形態の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図12】図12aはT字形状薄片および逆U字形状薄片を模式的に示す図である。図12bはT字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第3実施形態に関する変形例の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図13】図13aはT字形状薄片および逆U字形状薄片を模式的に示す図である。図13bはT字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第3実施形態に関する別の変形例の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図14】図14aはM字形状薄片を模式的に示す図である。図14bはM字形状薄片、T字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第4実施形態に関する変形例の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図5は、本発明の第1実施形態によるシール用環状リーフパックの一部の図を模式的に示す。パックのリーフ42は、それぞれの基部49で、径方向外側の静止しているハウジング(不図示)に取り付けられ、径方向内側のロータの面47と摺接するリーフ縁部46の方へ延びる。
【0023】
スペーサ43が、2つの基部毎に、パックの周りに配置される。スペーサは、このように、パックを複数のリーフブロックに分割する。各ブロックは2つのリーフ42を含み、これらのリーフ42は、基部49から縁部46までの長さ全体にわたって互いに向かい合わせに接触する。スペーサはまた、隣り合ったブロックの端部リーフの間にリーフ間間隙(interleaf gaps)50を形成し、この間隙は、パックを通って軸方向に流れが漏れることを可能にする。
【0024】
図6は、通常は支持環と、カバープレートとを備えるハウジング(不図示)に最終的に組み付ける前の図5のリーフパックを模式的に示す。リーフパックの変形例では、スペーサ43を3つ以上の基部の後に、パックを取り囲むように配置することができる。例えば、図7は、最終組み立て前のリーフパックを模式的に示し、この最終組み立てでは、スペーサがリーフを分割して、各々が3つのリーフ42を備えるブロックにする。実際には、パックを取り囲むスペーサのより不規則または無秩序な分布を採用して、各ブロックにおけるリーフの数がそれに伴い変わるようにすることができる。このような不規則または無秩序な分布は、リーフパックが連成振動(coupled vibration)と共鳴するあらゆる傾向を減らすことができる。
【0025】
有利には、リーフ42を各ブロック内で直接接触するように置くことにより、リーフの間で摩擦接触が生じる。この摩擦および付随するエネルギー損失により、エネルギーを散逸させることができ、これにより、そうでなければ疲労破壊につながるリーフの振動を減衰させることができる。さらに、リーフが、コーティング(例えば、PTFE)、研磨またはベルト研削のような表面処理がなされていれば、摩擦減衰の大きさは制御可能に増減させることができる。リーフは、シート材から打ち抜くことにより形成でき、また、この種の処理は、打ち抜き処置の前にシートに加えることができる。
【0026】
比較的厚いリーフはまた、疲労による亀裂に影響されにくい可能性がある。しかし、厚いリーフを使用することには、リーフの機械的剛性がリーフの厚みの3乗に比例して増大する、という欠点がある。薄いリーフのブロックを使用することにより、同じように疲労による亀裂に影響されにくくできるが、機械的剛性は、線形に増大するのみである(加えて、摩擦のために少し増大する)。
【0027】
直径が大きくて湾曲が少ないシールでは、リーフパックをスペーサで分割してブロックにし、ブロックが多数のリーフ42(例えば、1ブロック当たり50枚のリーフ)を含むようにすることができる。このような配列にすると、図8に模式的に示されるように、大部分のリーフの間で接触面積が増え、リーフ間間隙50が比較的少ししかないこととなる可能性があるため、シールの性能を向上させることができる。つまり、シールの全パッキング比(total packing ratio)(シールを軸方向から見たときの、リーフが占める面積と、リーフおよびリーフ間間隙の合計面積との比)を著しく増やし、一方で、可撓性のあるシールを依然として維持することができるのである。このようなシールを作るための1つの選択肢としては、シールを多数のまっすぐなリーフシール区分から組み立てることがある。各リーフシール区分はリーフのブロックに対応していて、このブロックでは、図9に模式的に示されるように、リーフの基部が直線に沿って重ねられる。区分の各々の、ロータに向き合う側は、ロータの半径に合うような形にすることができる、または、ぴったりと合うように摩耗させることができる。最終的なパック組立体では、区分が互いに角度方向にずらされて、完全なシール環を形成する。通常、各区分は、リーフのブロックを1つ含むが、各区分は、リーフのブロックを2つ以上含むことができ、この場合、各区分内でスペーサがブロックを分割する。
【0028】
リーフパックの周りにスペーサを分配することで、リーフが、基部において直近のスペーサの間に挟まれた2つ以上のリーフのブロックに分割されるようにする、という概念は、複数のリーフパックを有するシールに拡張することができる。例えば、本発明の第3実施形態によるシールで、3つの、軸方向に間隔をあけた環状パックを有するものに関連して、図10は、(a)パックのリーフを形成するT字形状薄片および逆U字形状薄片と、(b)組み立て準備が整った薄片と、を模式的に示す。各T字形状薄片には、1つのリーフ42と、2つのスペーサ部分51とがあり、2つのスペーサ部分51は、リーフの基部の両側から横方向に延びている。各逆U字形状薄片には、2つのリーフ42’、42’’と、スペーサ部分51とがあり、スペーサ部分51は、リーフの基部に橋を架けている。薄片は、T字形状薄片のリーフが中央のリーフパックを形成し、T字形状薄片のスペーサ部分が外側のリーフパックのリーフ間のスペーサを形成するように、一方、逆U字形状薄片のリーフが外側のリーフパックを形成し、逆U字形状薄片のスペーサ部分が中央のリーフパックのリーフ間のスペーサを形成するように、組み立てられる。薄片は組み立てて、T字形状および逆U字形状の薄片が交互するブロックにし(図10(b)に示されるように、ブロック毎に所定の種類の薄片が2つある)、各パックの中で、隣接するスペーサ要素が組合わさってスペーサを形成し、リーフがスペーサで分割されて、直近のスペーサの間に基部が挟まれたリーフのブロックになるようにする。逆U字形状およびT字形状の薄片の他に、パック組立体で(図11(a)に示されるような)3つ叉のM字形状薄片であって、各M字形状薄片に3つのリーフ42、42’、42’’と、3つのスペーサ部分51があるものを使用することも有益でありうる。逆U字形状、T字形状、および、M字形状の薄片を図11(b)に示されるように散在させることにより、図10の実施形態に比べて、漏洩特性および耐震性を改善しうる。
【0029】
複数のパックがあるシールでは、1つまたは2つ以上のパックの詰め込み密度を他のものに対して大きくすることにより、これらのパックの剛性を増大させることができる。例えば、図10の第3実施形態の変形例によるシールで、3つの、軸方向に間隔をあけた環状パックを有するシールに関連して、図12は、(a)パックのリーフを形成するT字形状薄片と逆U字形状薄片、(b)組み立て準備が整った薄片、を模式的に示す。この変形例では、T字形状薄片が逆U字形状薄片よりも多く、中央リーフパックの有効剛性が外側リーフパックの剛性よりも高くなるようにしてある。図10の第3実施形態の別の変形例によるシールで、3つの、軸方向に間隔をあけた環状パックを有するシールに関連して、図13は、(a)パックのリーフを形成するT字形状薄片と逆U字形状薄片、(b)組み立て準備が整った薄片、を模式的に示す。この別の変形例では、T字形状薄片が逆U字形状薄片より多く、中央リーフパックのみが、互いに向き合って接触するリーフ42を含むようにしてある。
【0030】
同様に、図14は、(a)M字形状薄片、および、(b)図11の第4実施形態の変形例による、組み立て準備が整った逆U字形状、T字形状、および、M字形状の薄片、を模式的に示す。図14に示されるように、T字形状薄片の数を逆U字形状薄片に比べて増やすことにより、図12のシールに比べて、中央リーフパックを依然として堅く維持しつつ、漏洩特性および耐震性を改善しうる。
【0031】
第3および第4の実施形態の両方に関連して、T字形状薄片の数を逆U字形状薄片の数に対して増やす代わりに、外側パックを中央パックと比較して堅くするために、逆U字形状薄片の数をT字形状薄片の数に対して増やすことができる。
【0032】
本発明を前述した例示的な実施形態とともに説明したが、この開示内容を与えられると、当業者には数多くの等価な修正例および変形例が明らかとなるであろう。例えば、前述の実施形態では、リーフパックが径方向外側のハウジングに取り付けられ、これらパックのリーフが内側ロータに向けて延びる。しかし、他の実施形態では、パックは径方向内側の構成要素に取り付けられ、パックのリーフが外側の構成要素へ向けて延びることもできる。別の実施形態では、前述の実施形態のリーフパックは、まっすぐなリーフを含む。しかし、別の実施形態では、パックは、変形された(例えば、シャフトの方へ曲げられた、または、シャフトと反対の方へ曲げられた)リーフを含むことができる。リーフは、このように変形させた状態で製造することもできるし、この変形を組み立て後の熱処理過程、リーフ間を拘束すること、または、リーフとロータ間を拘束することにより獲得することもできる。したがって、上記した本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。説明した実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまに変更しうる。
【符号の説明】
【0033】
42 リーフ
43 スペーサ
46 縁部
49 基部
50 リーフ間間隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの、同軸で相対的に回転する構成要素の間を封止するためのリーフシール(leaf seal)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、全体が10で示されるダクト付きファンガスタービンエンジンは、主回転軸X−Xを有する。エンジンは、軸流順序で、吸気口11と、推進ファン12と、中圧圧縮機13と、高圧圧縮機14と、燃焼器15と、高圧タービン16と、中圧タービン17と、低圧タービン18と、コアエンジン排気ノズル19とを備える。ナセル21がエンジン10全体を囲み、吸気口11と、バイパスダクト22と、バイパス排気ノズル23とを画定する。
【0003】
ガスタービンエンジン10は、従来の方法で作動し、吸気口11に流入する空気がファン12で加速されて2つの空気流、すなわち、中圧圧縮機13へ入る第1空気流と、バイパスダクト22を通過して推進推力を与える第2空気流Bとを生成する。中圧圧縮機13は、中圧圧縮機13内へ誘導される空気流Aを、この空気をさらに圧縮する高圧圧縮機14へ送る前に圧縮する。
【0004】
高圧圧縮機14から排出された圧縮空気は、燃焼器15へ誘導され、ここで燃料と混合され、この混合物が燃焼される。結果として得られる高温燃焼生成物は、次に、高圧タービン16、中圧タービン17、および低圧タービン18を通って膨張してこれらを駆動し、その後、ノズル19から排出されて、さらに推進推力を与える。高圧タービン、中圧タービン、および低圧タービンは、それぞれ、適切な相互連結シャフトにより、高圧圧縮機14および中圧圧縮機13およびファン12を駆動する。
【0005】
リーフシールは、リーフ(換言すれば、薄板)材の区分(section)から形成されており、リーフ材は、組立体内にある各々のリーフの、並置されたリーフ縁部でシール面を作り出すために、適切な向きに向けられている。シール遮断部(barrier)を設けるために、リーフの縁部、したがってシール面をシャフトの方へ向ける目的で、通常、リーフは回転シャフトの周りに周方向に並べられる。リーフ要素を正しく並べて、リーフ縁部、したがってシール面を提供するために、通常、スペーサ部材が各リーフの間に設けられる。これらのスペーサは、独立した構成要素であってもよく、各リーフと一体に形成されてもよい。リーフの縁部、また同様にシール面は、回転面に対して、事実上、上下に浮遊する。
【0006】
ガスタービンエンジンでは、リーフシールを使用して、静止している構成要素と回転する構成要素との間、2つの相対的に回転する構成要素の間、または、2つの静止している構成要素の間にでさえ、シールの一方の側で比較的高い圧力を、また、他方の側で比較的低い圧力を維持するためにシールを形成することがある。図2は、例として、リーフシール組立体31の一部の切り欠き斜視図を模式的に示しており、リーフシール組立体31は、カバープレート35付きの支持環34を備えたハウジングに固定されたスペーサ33から延びるリーフ32のパック(pack)を備える。リーフ32は、矢印38によって表される方向に一般に回転する回転構成要素の面37の方へリーフ縁部36を向けている。リーフ32、特にリーフ32のリーフ縁部36は、組立体31を横断してシールを形成するように面37に作用する。面37の回転に合わせて良好なシール効果が確実に生じるように、各リーフ32は、一般に可撓性を有する。
【0007】
図3は、組立体31のリーフパックの一部のより詳細な図を模式的に示す。スペーサ33は、全てのリーフ32の基部の間にある。スペーサ33は、可撓性が確実に得られるように、リーフ32を面37の方へ適切に向けることが一般に求められ、このことは、図示のように、一般には、リーフ32と面37との間に傾斜角を持たせることで行われる。スペーサ33の厚み、リーフの厚み、リーフの長さ、および、リーフが配置される角度を変えることにより、リーフパックの幾何学的形状を変更することができる。例えば、図4に見られるように、スペーサ33とリーフ32の相対的な厚さを変更することにより、シールパックは、非接触型パックから、リーフ縁部36に隣接して接触する(矢印で示す)接触型パックに変えることができる。スペーサ33は、リーフと一体であってもよく、別個の部品であってもよい。
【0008】
シールを通過する流れにより生じるリーフの振動は、リーフ材における疲労破壊の原因となることがあるので、問題となる可能性がある。このような亀裂は急速に成長し、リーフ材の損失につながりやすい。
【0009】
上記の問題は、リーフがまっすぐであるリーフパックと、リーフ先端部でリーフ同士が接触するリーフパックとの両方で生じる。先端部でリーフ間が大きく干渉すると、この問題が軽減されることが分かった。同様の効果は、非常に厚いリーフでも見られている。
【0010】
直径が大きいシールでは、リーフの先端部で著しいリーフ間干渉を起こすことは不可能である。これは、リーフシールを直径が小さい用途に限定することにつながりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、リーフシールにおいて性能を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の態様では、同軸で相対的に回転する2つの構成要素の間にシールを形成するためのリーフシールであって、リーフの環状パックを備えており、リーフは、環状パック内で向かい合わせに重ねられており、リーフは、リーフの各々の基部において構成要素のうちの一方に取り付けることができ、これにより、リーフが構成要素のうちの他方に向けて延びて、リーフの各々の縁部が他方の構成要素と摺接するように提供される、リーフシールであって、環状パックは、複数のスペーサを含み、スペーサの各々は、隣接するリーフの間に環状パックを通る軸方向の漏洩流を許容するリーフ間間隙を形成するように、隣接するリーフの基部を分離し、スペーサは、リーフを2つ以上のリーフのブロックに分割するように、環状パックの周囲に配分され、2つ以上のリーフは、基部において、最も近くの前記スペーサの間に挟まれる、リーフシールを提供する。
【0013】
本発明は、第2の態様では、第1の態様のリーフシールのためのリーフのパックを提供する。
リーフをスペーサ間のブロックに形成することにより、各ブロック内のリーフは、例えば、図4に示される種類の従来のシールで可能であるものよりも実質的に大きな接触面積にわたって互いに干渉できる。このように干渉させると、リーフ内の疲労亀裂の問題を軽減できることが分かった。具体的には、リーフ間を摩擦接触させることができる。この摩擦と、関連するエネルギー損失により、エネルギーを散逸させ、これによりリーフの振動を減衰させることができる。
【0014】
本発明のオプションとしての特徴を以下に記載する。これらは、単独でも、本発明の任意の態様との任意に組み合わせでも適用できる。
リーフは、分割して、3つ、4つ、8つ、または、それ以上のリーフのブロックにしてもよい。ブロック内のリーフの数を増せば、リーフ間の干渉の全体量を増やすことができ(すなわち、「端部」リーフが少ない)、また、シールを通る漏洩流を減らすこともできる。
【0015】
好ましくは、各ブロック内で、リーフは、ブロック内の直近のリーフと、リーフのそれぞれの基部から、リーフのそれぞれの摺接する縁部までの、リーフの実質的に全長にわたって向かい合わせに接触する。このような大きな面積でのリーフ間の摩擦接触は、リーフ振動の減衰を改善することができる。
【0016】
スペーサは、各ブロック内のリーフの数がパックの周囲で変化するように分配されてもよい。例えば、各ブロック内のリーフの数は、不規則にまたは無秩序に変えてもよい。このような変化は、パックが共鳴するあらゆる傾向を減らすのに役立つことができる。
【0017】
ブロック内のリーフの表面は、リーフ間の摩擦減衰の量を調整するために処理されてもよい。例えば、表面がコーティング(例えば、PTFEで)、研磨および/またはベルト研削され、摩擦減衰の量を増減させてもよい。
【0018】
各ブロック内で、基部は、直線に沿って重ねられ、環状パックの周方向の湾曲は、隣接するブロックを互いに角度方向にずらすことにより生成されることであってもよい。パック組み立てについてのこのような試みは、一定の長さの、パックのまっすぐな区分が小さい弧度に収まる、直径の大きなシールについて最も関係がある。摺接するリーフの縁部は、ブロックのそれぞれの側面を他方の構成要素の半径に合うような形にすることによって作り出すことができる。あるいは、摺接する縁部は、リーフが、他方の構成要素と接触することにより、使用中に摩耗することを許容することで形成することもできる。
【0019】
このリーフシールは、例えば、ガスタービンおよび蒸気タービン、ならびにジェットエンジンで使用することができる。しかし、このリーフシールは、シャフトに沿って高圧領域と低圧領域の間をシールすることが必要である他の用途で使用してもよい。
【0020】
オプションとしての本発明の他の特徴を以下に記載する。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら、例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガスタービンエンジンの模式的な長手方向断面図である。
【図2】リーフシール組立体の一部の模式的な切り欠き斜視図である。
【図3】図2の組立体のリーフパックの部分のより詳細な模式図である。
【図4】図3のリーフパックの変形例を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態による、シール用の環状リーフパックの部分の模式図である。
【図6】最終組み立て前の図5のリーフパックを模式的に示す図である。
【図7】最終組み立て前の図5のリーフパックの変形例を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態による、大径シール用の環状リーフパックの一部を模式的に示す図である。
【図9】図8のリーフパックのリーフのブロックに対応するまっすぐなリーフシール区分を模式的に示す図である。
【図10】図10aはT字形状薄片および逆U字形状薄片を模式的に示す図である。図10bはT字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第3実施形態の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図11】図11aはM字形状薄片を模式的に示す図である。図11bはM字形状薄片、T字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第4実施形態の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図12】図12aはT字形状薄片および逆U字形状薄片を模式的に示す図である。図12bはT字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第3実施形態に関する変形例の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図13】図13aはT字形状薄片および逆U字形状薄片を模式的に示す図である。図13bはT字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第3実施形態に関する別の変形例の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【図14】図14aはM字形状薄片を模式的に示す図である。図14bはM字形状薄片、T字形状薄片および逆U字形状薄片を組み立てて本発明の第4実施形態に関する変形例の3つのリーフパックにしたものを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図5は、本発明の第1実施形態によるシール用環状リーフパックの一部の図を模式的に示す。パックのリーフ42は、それぞれの基部49で、径方向外側の静止しているハウジング(不図示)に取り付けられ、径方向内側のロータの面47と摺接するリーフ縁部46の方へ延びる。
【0023】
スペーサ43が、2つの基部毎に、パックの周りに配置される。スペーサは、このように、パックを複数のリーフブロックに分割する。各ブロックは2つのリーフ42を含み、これらのリーフ42は、基部49から縁部46までの長さ全体にわたって互いに向かい合わせに接触する。スペーサはまた、隣り合ったブロックの端部リーフの間にリーフ間間隙(interleaf gaps)50を形成し、この間隙は、パックを通って軸方向に流れが漏れることを可能にする。
【0024】
図6は、通常は支持環と、カバープレートとを備えるハウジング(不図示)に最終的に組み付ける前の図5のリーフパックを模式的に示す。リーフパックの変形例では、スペーサ43を3つ以上の基部の後に、パックを取り囲むように配置することができる。例えば、図7は、最終組み立て前のリーフパックを模式的に示し、この最終組み立てでは、スペーサがリーフを分割して、各々が3つのリーフ42を備えるブロックにする。実際には、パックを取り囲むスペーサのより不規則または無秩序な分布を採用して、各ブロックにおけるリーフの数がそれに伴い変わるようにすることができる。このような不規則または無秩序な分布は、リーフパックが連成振動(coupled vibration)と共鳴するあらゆる傾向を減らすことができる。
【0025】
有利には、リーフ42を各ブロック内で直接接触するように置くことにより、リーフの間で摩擦接触が生じる。この摩擦および付随するエネルギー損失により、エネルギーを散逸させることができ、これにより、そうでなければ疲労破壊につながるリーフの振動を減衰させることができる。さらに、リーフが、コーティング(例えば、PTFE)、研磨またはベルト研削のような表面処理がなされていれば、摩擦減衰の大きさは制御可能に増減させることができる。リーフは、シート材から打ち抜くことにより形成でき、また、この種の処理は、打ち抜き処置の前にシートに加えることができる。
【0026】
比較的厚いリーフはまた、疲労による亀裂に影響されにくい可能性がある。しかし、厚いリーフを使用することには、リーフの機械的剛性がリーフの厚みの3乗に比例して増大する、という欠点がある。薄いリーフのブロックを使用することにより、同じように疲労による亀裂に影響されにくくできるが、機械的剛性は、線形に増大するのみである(加えて、摩擦のために少し増大する)。
【0027】
直径が大きくて湾曲が少ないシールでは、リーフパックをスペーサで分割してブロックにし、ブロックが多数のリーフ42(例えば、1ブロック当たり50枚のリーフ)を含むようにすることができる。このような配列にすると、図8に模式的に示されるように、大部分のリーフの間で接触面積が増え、リーフ間間隙50が比較的少ししかないこととなる可能性があるため、シールの性能を向上させることができる。つまり、シールの全パッキング比(total packing ratio)(シールを軸方向から見たときの、リーフが占める面積と、リーフおよびリーフ間間隙の合計面積との比)を著しく増やし、一方で、可撓性のあるシールを依然として維持することができるのである。このようなシールを作るための1つの選択肢としては、シールを多数のまっすぐなリーフシール区分から組み立てることがある。各リーフシール区分はリーフのブロックに対応していて、このブロックでは、図9に模式的に示されるように、リーフの基部が直線に沿って重ねられる。区分の各々の、ロータに向き合う側は、ロータの半径に合うような形にすることができる、または、ぴったりと合うように摩耗させることができる。最終的なパック組立体では、区分が互いに角度方向にずらされて、完全なシール環を形成する。通常、各区分は、リーフのブロックを1つ含むが、各区分は、リーフのブロックを2つ以上含むことができ、この場合、各区分内でスペーサがブロックを分割する。
【0028】
リーフパックの周りにスペーサを分配することで、リーフが、基部において直近のスペーサの間に挟まれた2つ以上のリーフのブロックに分割されるようにする、という概念は、複数のリーフパックを有するシールに拡張することができる。例えば、本発明の第3実施形態によるシールで、3つの、軸方向に間隔をあけた環状パックを有するものに関連して、図10は、(a)パックのリーフを形成するT字形状薄片および逆U字形状薄片と、(b)組み立て準備が整った薄片と、を模式的に示す。各T字形状薄片には、1つのリーフ42と、2つのスペーサ部分51とがあり、2つのスペーサ部分51は、リーフの基部の両側から横方向に延びている。各逆U字形状薄片には、2つのリーフ42’、42’’と、スペーサ部分51とがあり、スペーサ部分51は、リーフの基部に橋を架けている。薄片は、T字形状薄片のリーフが中央のリーフパックを形成し、T字形状薄片のスペーサ部分が外側のリーフパックのリーフ間のスペーサを形成するように、一方、逆U字形状薄片のリーフが外側のリーフパックを形成し、逆U字形状薄片のスペーサ部分が中央のリーフパックのリーフ間のスペーサを形成するように、組み立てられる。薄片は組み立てて、T字形状および逆U字形状の薄片が交互するブロックにし(図10(b)に示されるように、ブロック毎に所定の種類の薄片が2つある)、各パックの中で、隣接するスペーサ要素が組合わさってスペーサを形成し、リーフがスペーサで分割されて、直近のスペーサの間に基部が挟まれたリーフのブロックになるようにする。逆U字形状およびT字形状の薄片の他に、パック組立体で(図11(a)に示されるような)3つ叉のM字形状薄片であって、各M字形状薄片に3つのリーフ42、42’、42’’と、3つのスペーサ部分51があるものを使用することも有益でありうる。逆U字形状、T字形状、および、M字形状の薄片を図11(b)に示されるように散在させることにより、図10の実施形態に比べて、漏洩特性および耐震性を改善しうる。
【0029】
複数のパックがあるシールでは、1つまたは2つ以上のパックの詰め込み密度を他のものに対して大きくすることにより、これらのパックの剛性を増大させることができる。例えば、図10の第3実施形態の変形例によるシールで、3つの、軸方向に間隔をあけた環状パックを有するシールに関連して、図12は、(a)パックのリーフを形成するT字形状薄片と逆U字形状薄片、(b)組み立て準備が整った薄片、を模式的に示す。この変形例では、T字形状薄片が逆U字形状薄片よりも多く、中央リーフパックの有効剛性が外側リーフパックの剛性よりも高くなるようにしてある。図10の第3実施形態の別の変形例によるシールで、3つの、軸方向に間隔をあけた環状パックを有するシールに関連して、図13は、(a)パックのリーフを形成するT字形状薄片と逆U字形状薄片、(b)組み立て準備が整った薄片、を模式的に示す。この別の変形例では、T字形状薄片が逆U字形状薄片より多く、中央リーフパックのみが、互いに向き合って接触するリーフ42を含むようにしてある。
【0030】
同様に、図14は、(a)M字形状薄片、および、(b)図11の第4実施形態の変形例による、組み立て準備が整った逆U字形状、T字形状、および、M字形状の薄片、を模式的に示す。図14に示されるように、T字形状薄片の数を逆U字形状薄片に比べて増やすことにより、図12のシールに比べて、中央リーフパックを依然として堅く維持しつつ、漏洩特性および耐震性を改善しうる。
【0031】
第3および第4の実施形態の両方に関連して、T字形状薄片の数を逆U字形状薄片の数に対して増やす代わりに、外側パックを中央パックと比較して堅くするために、逆U字形状薄片の数をT字形状薄片の数に対して増やすことができる。
【0032】
本発明を前述した例示的な実施形態とともに説明したが、この開示内容を与えられると、当業者には数多くの等価な修正例および変形例が明らかとなるであろう。例えば、前述の実施形態では、リーフパックが径方向外側のハウジングに取り付けられ、これらパックのリーフが内側ロータに向けて延びる。しかし、他の実施形態では、パックは径方向内側の構成要素に取り付けられ、パックのリーフが外側の構成要素へ向けて延びることもできる。別の実施形態では、前述の実施形態のリーフパックは、まっすぐなリーフを含む。しかし、別の実施形態では、パックは、変形された(例えば、シャフトの方へ曲げられた、または、シャフトと反対の方へ曲げられた)リーフを含むことができる。リーフは、このように変形させた状態で製造することもできるし、この変形を組み立て後の熱処理過程、リーフ間を拘束すること、または、リーフとロータ間を拘束することにより獲得することもできる。したがって、上記した本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。説明した実施形態は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまに変更しうる。
【符号の説明】
【0033】
42 リーフ
43 スペーサ
46 縁部
49 基部
50 リーフ間間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸で相対的に回転する2つの構成要素の間にシールを形成するためのリーフシールであって、リーフの環状パックを備えており、前記リーフは、前記環状パック内で向かい合わせに重ねられており、前記リーフは、前記リーフの各々の基部において前記構成要素のうちの一方に取り付けることができ、これにより、前記リーフが前記構成要素のうちの他方に向けて延びて、前記リーフの各々の縁部が前記他方の構成要素と摺接するように提供される、リーフシールであって、
前記環状パックは、複数のスペーサを含み、前記スペーサの各々は、隣接するリーフの間に前記環状パックを通る軸方向の漏洩流を許容するリーフ間間隙を形成するように、前記隣接するリーフの前記基部を分離し、
前記スペーサは、前記リーフを2つ以上のリーフのブロックに分割するように、前記環状パックの周囲に配分され、前記2つ以上のリーフは、前記基部において、最も近くの前記スペーサの間に挟まれる、
リーフシール。
【請求項2】
各ブロック内において、前記リーフは、前記リーフの各々の前記基部から前記リーフの各々の摺接する前記縁部までの前記リーフの実質的に全長にわたって、前記ブロック内の最も近くのリーフと向かい合わせに接触する、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項3】
前記スペーサは、各ブロック内の前記リーフの数が前記パックの周囲で変化するように配分される、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項4】
前記スペーサは、各ブロック内の前記リーフの数が前記パックの周囲で変化するように配分される、請求項2に記載のリーフシール。
【請求項5】
前記ブロック内の前記リーフの表面は、前記リーフ間の摩擦減衰の量を調整するように処理される、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項6】
前記ブロック内の前記リーフの表面は、前記リーフ間の摩擦減衰の量を調整するように処理される、請求項2に記載のリーフシール。
【請求項7】
各ブロック内で、前記基部は、直線に沿って重ねられ、前記環状パックの周方向の湾曲は、隣接するブロックを互いに角度方向にずらすことにより形成される、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項8】
各ブロック内で、前記基部は、直線に沿って重ねられ、前記環状パックの周方向の湾曲は、隣接するブロックを互いに角度方向にずらすことにより形成される、請求項2に記載のリーフシール。
【請求項9】
請求項1のリーフシールのためのリーフのパック。
【請求項10】
請求項2のリーフシールのためのリーフのパック。
【請求項1】
同軸で相対的に回転する2つの構成要素の間にシールを形成するためのリーフシールであって、リーフの環状パックを備えており、前記リーフは、前記環状パック内で向かい合わせに重ねられており、前記リーフは、前記リーフの各々の基部において前記構成要素のうちの一方に取り付けることができ、これにより、前記リーフが前記構成要素のうちの他方に向けて延びて、前記リーフの各々の縁部が前記他方の構成要素と摺接するように提供される、リーフシールであって、
前記環状パックは、複数のスペーサを含み、前記スペーサの各々は、隣接するリーフの間に前記環状パックを通る軸方向の漏洩流を許容するリーフ間間隙を形成するように、前記隣接するリーフの前記基部を分離し、
前記スペーサは、前記リーフを2つ以上のリーフのブロックに分割するように、前記環状パックの周囲に配分され、前記2つ以上のリーフは、前記基部において、最も近くの前記スペーサの間に挟まれる、
リーフシール。
【請求項2】
各ブロック内において、前記リーフは、前記リーフの各々の前記基部から前記リーフの各々の摺接する前記縁部までの前記リーフの実質的に全長にわたって、前記ブロック内の最も近くのリーフと向かい合わせに接触する、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項3】
前記スペーサは、各ブロック内の前記リーフの数が前記パックの周囲で変化するように配分される、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項4】
前記スペーサは、各ブロック内の前記リーフの数が前記パックの周囲で変化するように配分される、請求項2に記載のリーフシール。
【請求項5】
前記ブロック内の前記リーフの表面は、前記リーフ間の摩擦減衰の量を調整するように処理される、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項6】
前記ブロック内の前記リーフの表面は、前記リーフ間の摩擦減衰の量を調整するように処理される、請求項2に記載のリーフシール。
【請求項7】
各ブロック内で、前記基部は、直線に沿って重ねられ、前記環状パックの周方向の湾曲は、隣接するブロックを互いに角度方向にずらすことにより形成される、請求項1に記載のリーフシール。
【請求項8】
各ブロック内で、前記基部は、直線に沿って重ねられ、前記環状パックの周方向の湾曲は、隣接するブロックを互いに角度方向にずらすことにより形成される、請求項2に記載のリーフシール。
【請求項9】
請求項1のリーフシールのためのリーフのパック。
【請求項10】
請求項2のリーフシールのためのリーフのパック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−104562(P2013−104562A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−249273(P2012−249273)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【出願人】(591005785)ロールス・ロイス・ピーエルシー (88)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249273(P2012−249273)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【出願人】(591005785)ロールス・ロイス・ピーエルシー (88)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]