リール部品管理システム
【課題】作業者に対して実装部品のスロット装填位置、返却場所を正確且つ迅速に指示できるリール部品管理システムを提供する。
【解決手段】ICタグ12を貼付したリール部品11をマウンタのスロットに装填する際に、携帯型リーダライタ装置21を用いてICタグ12の情報を読み取り、該読み取ったICタグ12の情報を携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示するリール部品管理システムであって、ICタグ12を貼付したリール部品11の保管位置情報を前記ICタグ12に書き込んでおき、マウンタによるリール部品11の実装工程が終了した後、リール部品11をマウンタから取り出す際に、該リール部品11に貼付されたICタグ12の保管位置情報を携帯型リーダライタ装置21で読み出して表示部22に表示し、作業者に指示する。
【解決手段】ICタグ12を貼付したリール部品11をマウンタのスロットに装填する際に、携帯型リーダライタ装置21を用いてICタグ12の情報を読み取り、該読み取ったICタグ12の情報を携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示するリール部品管理システムであって、ICタグ12を貼付したリール部品11の保管位置情報を前記ICタグ12に書き込んでおき、マウンタによるリール部品11の実装工程が終了した後、リール部品11をマウンタから取り出す際に、該リール部品11に貼付されたICタグ12の保管位置情報を携帯型リーダライタ装置21で読み出して表示部22に表示し、作業者に指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウンタに装填するリール部品の装填位置確認及び部品の保管場所確認に非接触式ICタグを用いて管理するリール部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品をマウンタ(部品実装機)により基板に機械実装する場合、実装部品をマウンタのスロットに装填して実装作業を行うが、予め実装プログラムグラムにより基板上の部品実装位置などを登録する等の準備作業を行っている。
また、ICチップ等の電子部品をスロットに装填する場合には、一般に実装する複数の電子部品を各部品別にテープに取付けてリールに巻回し、リール部品としてスロットに装填している。上記実装部品の大半はリール部品であり、各リール部品にはそれぞれ品名、型式、バーコード等が印字されたラベルが貼付される。
【0003】
以下、マウンタによりリール部品をプリント基板に機械実装する場合の作業内容について説明する。
(a)実際に実装する部品が漏れなく準備されているか、型式、数量などの確認を行う。実装部品の確認は、リール部品に貼付されたラベルに印字されている品名、型式などの目視や、ラベルに印字されているバーコードの読み取りなどで行う。
【0004】
(b)準備された部品が正しければ、リール部品のスロット装填位置を確認する。このリール部品のスロット装填位置の確認は、ラベルに印字されている部品の型式を目視やバーコードで読み取り、実装プログラムに記述されている部品の型式と照合することによって行う。
【0005】
(c)リール部品を装填するスロット位置を確認すると、リール部品を所定のスロットに装填する。この場合、装填スロットに間違いがないかを確認するために、他の作業者が装填後のリール部品とスロット位置の確認を再度行っている。
(d)マウンタは、リール部品がスロットに装填されると、実装プログラムに従ってリール部品から電子部品を取り出し、プリント基板への実装を開始する。
【0006】
上記のようにリール部品を機械実装する場合、先ずリール部品を特定のスロットに装填し、プリント基板への部品実装を行う。
また、複数のマウンタを並列使用する場合もあり、同じ部品であっても使用するマウンタや作業が異なると使用数が異なるため、部品の残数を確認して実装する。
【0007】
全てのスロットに正しい実装部品が装填されていれば、部品実装が開始される。部品実装終了後、使用しないリール部品は保管場所へ返却される。
また、本発明に関連する公知技術として、工場や物流センター等において、複数の物品を収納箱に収納する場合、各物品に物品情報を記憶した物品識別タグを貼付すると共に収納箱に収納箱情報を記憶した収納箱識別タグを貼付し、上記収納箱を搬送ラインにより搬送する際、読取装置により上記物品識別タグ及び収納箱識別タグを読み取り、物品情報及び収納箱情報から物品及び収納箱を識別し、予め記憶手段に記憶している物品リストと比較して一致するか否かを判定し、不一致の場合にその情報を音声または画面表示によって知らせるようにした物品確認システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−352436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プリント基板に電子部品を機械実装する場合において、リール部品をマウンタのスロットに装填する際、従来ではリール部品に貼付されているラベルの印字内容を目視で確認したり、あるいはバーコード読み取る等の手段により確認している。しかし、目視による部品確認は人為的ミスなどを生じ易く、誤実装を生じる恐れがある。また、リール部品の装填位置は作業内容で異なるので、その都度、実装プログラムでリール部品の装填スロットを確認して部品実装を行わなければならない。
【0010】
また、バーコード読み取りによる部品確認は、目視に比べると型式の読み違いや作業時間は減るが、長時間に亘って実装部品を扱うとラベルのバーコード印字部の汚れや、破損などによって読み取り不可能となる場合がある。また、バーコード読み取りによる部品確認は、同じリール部品を複数使用する場合、同じリール部品の個別での位置確認ができない。
【0011】
また、リール部品の装填位置や返却先は文字や数字で表示されるので、視覚的に分かり難いという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、リール部品をマウンタのスロットに装填してプリント基板に機械実装する場合、部品確認及び装填位置や返却先を確実に確認でき、リール部品を目的とするスロットに装填できると共に部品の誤実装を防止でき、かつ実装終了後に所定の保管場所へ確実に返却することができるリール部品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ICタグを貼付したリール部品をマウンタのスロットに装填する際に、携帯型リーダライタ装置を用いて前記ICタグの情報を読み取り、該読み取ったICタグの情報を前記携帯型リーダライタ装置の表示部に表示するリール部品管理システムであって、前記ICタグを貼付したリール部品の保管位置情報を該リール部品に貼付されたICタグに書き込んでおき、前記マウンタによる前記リール部品の実装工程が終了した後、前記リール部品を前記マウンタから取り出す際に、該リール部品に貼付されたICタグから保管位置情報を前記携帯型リーダライタ装置で読み出して表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マウンタによるリール部品の実装工程が終了した後、リール部品をマウンタから取り出す際に、該リール部品に貼付されたICタグから保管位置情報を携帯型リーダライタ装置で読み出して表示部に表示することにより、作業者は表示部に表示された保管位置情報に従ってリール部品を指定の保管場所へ正しく返却することができ、作業時間を短縮できると共に人為的なミスを減らして作業の正確性を増すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るリール部品管理システムにおいて、リール部品を機械実装する場合の概略構成図、図2はシステム構成図である。
図1において、1はリール部品保管棚で、複数のリール部品11を保管している。リール部品11には、例えば前面側の上部に識別情報及び実装データを記憶するICタグ12、下部にバーコードや文字が印刷されたラベル13が貼付されていると共に、ICチップ等の実装する多数の電子部品が各部品別にテープに取付けてリールに巻回されている。
【0015】
上記ICタグ12は、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる無線通信を利用した非接触による自動認識技術を利用したもので、メモリを内蔵したICチップを使用しており、IC情報登録装置(図示せず)や図2に示す携帯型リーダライタ装置21からの無線通信信号による情報の読み取りや書き込みを可能としている。上記ICタグ12には、固有の識別情報の他、詳細を後述する実装データが書き込まれており、この実装データに基づいて部品管理やマウンタによるプリント基板への機械実装、保管場所への返却等が行われる。
【0016】
上記リール部品保管棚1に保管されたリール部品11は、プリント基板に実装する際に指定された保管位置例えばA−6から取り出されてマウンタのスロット基板3に形成されているスロット4の所定位置例えば2−5の位置に直接装填されるか、あるいは使用リール部品回収棚2へ移される。上記スロット基板3には、複数のスロット4が並行して設けられている。上記使用リール部品回収棚2に収納されたリール部品11は、プリント基板に実装する際に取り出され、上記スロット4の所定位置2−5に装填され、マウンタにより部品が取り出されてプリント基板に実装される。
【0017】
上記リール部品11は、実装作業が終了した後、ICタグ12に書き込まれている実装データにより次の実装作業に使用するか否かチェックされ、次の実装作業に使用するものは回収しやすい使用リール部品回収棚2へ戻され、次の実装作業に使用しないものはリール部品保管棚1の元の位置A−6へ返却される。
【0018】
上記リール部品11を管理する場合、ICタグ12に記憶した実装情報が図2に示す携帯型リーダライタ装置21により読み出され、サーバ24へ送られる。携帯型リーダライタ装置21としては、例えばリストバンド型のものが使用される。上記ICタグ12と携帯型リーダライタ装置21との間はRF−IDシステムによる無線通信を使用して情報の伝達が行われ、携帯型リーダライタ装置21とサーバ24との間は例えばブルートゥース(登録商標)、無線LAN等で通信が行われる。
【0019】
上記サーバ24は、リール部品情報データベース(DB)25を備え、このリール部品情報DB25には、例えば図3(a)〜(e)に示す
(a)部品定格情報テーブル26a
(b)保管部品一覧テーブル26b
(c)実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26c
(d)実装プログラムの実行順序テーブル26d
(e)実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26e
が登録される。
【0020】
上記図3(a)に示す部品定格情報テーブル26aには、リール部品11の品名、型式、数量等の項目がある実装データが複数登録される。
上記図3(b)に示す保管部品一覧テーブル26bには、リール部品11の管理番号、品名、型式、ロット、数量、保管位置等の項目がある実装データが複数登録される。
【0021】
上記図3(c)に示す実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26cには、リール部品11の品名、型式、必要数量、スロット装填位置等の項目がある実装データが複数登録される。
上記図3(d)に示す実装プログラムの実行順序テーブル26dには、部品実装の実行順序、プログラム番号等の項目がある実装データが複数登録される。
【0022】
上記図3(e)に示す実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26eには、リール部品11の管理番号、品名、型式、ロット、使用数量、スロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用の有無、使用履歴等の項目がある実装データが複数登録される。
【0023】
また、リール部品11に貼付されるICタグ12には、固有の識別情報の他、例えば図4に示すようにリール部品11の管理番号(No)、品名、型式、残数、スロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用の有無、使用履歴等の項目がある実装データが記憶されている。これらのデータは、必要に応じて書替えることが可能である。また、これらのデータは、管理番号など項目の一部、もしくは全てがリール部品情報DB25に登録、管理されていてもよい。
【0024】
上記リール部品11には、多数の電子部品が収納されており、1回の実装処理では使用しきれない場合もあるので、実装処理後にリール部品11内に残った部品数が上記実装データの「残数」として書き込まれる。なお、初期状態では、リール部品11に収納された部品数が上記実装データの「残数」として書き込まれる。上記ICタグ12に記憶するデータは、「管理番号」だけでサーバ24上のリール部品情報DB25に紐付けして管理するようにしてもよい。また、上記リール部品11に貼付されるラベル13には、実装する部品の品名、型式等が文字やバーコードで印字されており、目視で確認できるようになっている。
【0025】
上記携帯型リーダライタ装置21としては、例えば図5(a)に示すようにアンテナ及び表示部22を一体に形成したものでも、あるいは図5(b)に示すようにアンテナ23を別に設けたものでもよい。
上記携帯型リーダライタ装置21は、例えば図6に示すようにICタグ12へ質問波を送信するための発振器、変調器、パワーアンプを内蔵した送信部31、ICタグ12からの応答波を復調する復調器等を備えた受信部32、上記送信部31及び受信部32を制御する制御部33、上記送信部31及び受信部32をアンテナ23と電気的に接続するサーキュレータ34により構成される。また、上記制御部33には、例えば読み取動作を指示する読取スイッチ35、部品情報等を表示する上記表示部22、サーバ24と無線通信するためのアンテナ36が接続される。
【0026】
上記制御部33は、読取スイッチ35が操作されると送信部31を動作させ、所定周波数の搬送波及びクロック信号からなる送信波を出力する。この送信波は、サーキュレータ34を経由してアンテナ36に送られ、このアンテナ36からICタグ12へ送信される。ICタグ12は、携帯型リーダライタ装置21からの送られてくる送信波に基づいて識別情報を含む記憶情報を応答波として出力する。携帯型リーダライタ装置21は、ICタグ12から返送される応答波をアンテナ23で受信し、サーキュレータ34を介して受信部32に入力する。この受信部32はICタグ12から送られてきた応答波を復調して制御部33へ出力する。制御部は、ICタグ12の応答波に含まれる部品情報を表示部22に表示すると共にアンテナ36からサーバ24へ無線送信する。
【0027】
図7は、リール部品11に貼付されたICタグ12の部品情報を携帯型リーダライタ装置21により読み取って表示部22に表示した場合の例を示したものである。携帯型リーダライタ装置21をリール部品11のICタグ12に近付けて読取スイッチ35を操作することにより、上記したようにICタグ12に記憶されている部品情報が読み取られ、表示部22に例えばリール部品11の「部品名」、「残数」、「使用履歴」等が表示される。この表示部22に表示されるデータにより、リール部品11のデータを正確に確認することができる。また、実装データの紐付けにより、使用するリール部品11のスロットへの装填位置を容易に確認でき、同様に返却データの紐付けにより、リール部品11の返却先を確認することができる。
【0028】
図8は、複数のリール部品11a、11bのICタグ12a、12bを一括して読み取った場合の部品情報表示例を示したものである。携帯型リーダライタ装置21により複数のICタグ12a、12bを一括して読み取ったとき、表示部22に各リール部品11a、11bの部品情報が表示される。この場合、読み取った部品情報の表示は、図8に示すように各リール部品11a、11bの部品を一括して表示部22に表示させても、あるいは各リール部品11a、11bの部品を個別に表示部22に表示させてもよい。例えば複数の部品を表示部22に個別に表示するには、ある一定時間経過後に表示を切替えて各部品を表示させる方法、あるいはボタン操作などのトリガ入力により表示部22を切替えて各部品を表示させる方法を用いる。
【0029】
次に上記リール部品11をマウンタのスロットに装填してプリント基板に実装する場合の処理動作について、図9、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、サーバ24は、操作員の操作に基づき、リール部品情報DB25の部品定格情報テーブル26aに登録されている情報(品名、型式、数量)を読み出し、リーダライタを経由して、部品の管理番号と共にリール部品11に貼付したICタグ12に書き込む(ステップA1)。
【0030】
また、サーバ24は、操作員の操作に基づき、リール部品情報DB25の部品定格情報テーブル26aに登録されている情報(品名、型式、数量)を読み出し、リール部品情報DB25の保管部品一覧テーブル26bに書き込む(ステップA2)。この保管部品一覧テーブル26bには、上記したようにリール部品11の管理番号、品名、型式、使用数、ロット、数量、保管位置の項目がある。管理番号、ロット、保管位置の情報データは、操作員が操作卓からサーバ24に入力する。なお、上記ステップA1とA2は、順序を逆にしてもよい。
【0031】
更にサーバ24は、操作員の操作に基づき、リール部品情報DB25に対し、実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26c(リール部品11の品名、型式、必要数量、スロット装填位置)を作成する(ステップA3)。この実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26cは、サーバ24に実装プログラムを読込むことにより作成することもできる。
【0032】
次にサーバ24に対して実装プログラムの実行順序テーブル26d(実行順序、プログラム番号)を入力し、リール部品情報DB25に登録する(ステップA4)。この実装プログラムの実行順序テーブル26dは、操作員が操作卓からサーバ24に入力するが、サーバ24に実装プログラムを読込むことにより入力してもよい。
【0033】
そして、サーバ24は、リール部品情報DB25の実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26e(リール部品11の管理番号、品名、型式、ロット、使用数量、スロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用の有無)を、保管部品一覧テーブル26b、実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26c、実装プログラムの実行順序テーブル26dから、自動生成する(ステップA5)。
【0034】
サーバ24は、上記実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26eから、実行対象の実装プログラムで使用する部品の品名、型式、保管位置を順次読み出して、携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示させる(ステップA6)。
操作者は、上記携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示された保管位置のリール部品11に貼付されているICタグ12の情報(品名、型式)を携帯型リーダライタ装置21で読み取り、上記表示部22に表示していた情報と照合する(ステップA7)。この照合は、例えば操作者が表示部22に表示された内容を目視で確認すると共に、携帯型リーダライタ装置21がICタグ12から読み取った情報をサーバ24へ送信して照合する(ステップA8)。
【0035】
サーバ24は、上記照合結果が一致しない場合は、携帯型リーダライタ装置21の表示部22に一致しない旨のメッセージあるいはエラーを表示し(ステップA9)、一致すればスロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無の情報を携帯型リーダライタ装置21に送信してICタグ12に書き込む(ステップA10)。
【0036】
操作者は、図11に示すように上記の照合により一致したリール部品11のICタグ12から携帯型リーダライタ装置21により部品名、型式、スロット装填位置を読み出して表示部22に表示する(ステップA11)。または、ICタグ12にスロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無の情報を書き込まずに、一致したリール部品11のスロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの情報を管理番号をキーにしてサーバからリーダライタへ送信し、リーダライタの表示部に表示する方法でもかまわない。
この場合、表示部22には、図12に示すようにスロット装填位置を文字及び図形で表示するようにしてもよい。この場合の例では、スロット4は10個単位で4つのブロック5a〜5dに分割されており、スロット装填位置はブロック5a〜5dを指定するブロック番号とそのブロック内のスロット位置を指定するスロット番号の組み合わせで表示する。例えばスロット装填位置「2−5」は、2番目のブロック5bにおける5番目のスロットを示している。なお、上記図12において、(a)はスロット4のスロット装填位置「2−5」を特定の色で表示した場合、(b)はスロット4のスロット装填位置「2−5」を点滅表示させた場合の例を示している。
【0037】
操作者は、上記携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示されたスロット装填位置に従ってリール部品11を例えばスロット4の2−5の位置に装填し(ステップA12)、プリント基板への機械実装を行う。
その後、図10のステップA13で機械実装を終了すると、操作者は、マウンタのスロット4からリール部品11を取り出し、貼付されているICタグ12を携帯型リーダライタ装置21で読み取り、表示部22に図13に示すように品名、型式、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無情報を表示部22に表示させる(ステップA14)。この場合、リール部品11の保管位置は、例えば図14に示すように図形表示により指示するようにしてもよい。図14は、リール部品11を保管するリール部品保管棚1を図形表示し、返却先であるA−6の位置を点滅させて表示した場合の例を示している。
【0038】
操作者は、上記ステップA14で、携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示された実装プログラムでの使用有無情報を判断し(ステップA15)、表示部22に「次の実装プログラムでの使用無」と表示されている場合は、表示部22に表示された保管位置A−6に従ってリール部品保管棚1のA−6の保管位置にリール部品11を戻す(ステップA16)。
【0039】
また、上記表示部22に「次の実装プログラムでの使用有」と表示されている場合は、リール部品11を所定の取り出し易い場所、例えば図1に示した使用リール部品回収棚2へ戻す(ステップA17)。
また、上記機械実装を終了し、リール部品11をマウンタのスロット4から取り出してICタグ12を携帯型リーダライタ装置21で読み取った際、部品の残数をICタグ12に書き込む。
【0040】
サーバ24は、上記機械実装を終了した際、実装プログラムにより機械実装で使用した部品数を算出し、算出結果をリール部品情報DB25に格納されている部品残数から差し引いて部品の残数を求め、上記リール部品11をマウンタのスロット4から取り出したときに携帯型リーダライタ装置21により部品の残数をICタグ12に書き込む。例えば図15(a)に示すように前回実装作業を行った際の部品残数が「1500」個で、今回の実装作業で部品を「500」個使用した場合、部品残数は「1000」個となるので、この値を図15(b)に示すようにICタグ12に書き込む。
【0041】
以上でリール部品11の機械実装処理を終了する。
上記実施形態によれば、各リール部品11に貼付されているICタグ12の記憶情報を携帯型リーダライタ装置21で読み取り、実装部品と照合させて型式やスロット4の装着位置、更には保管場所等を確認することにより、作業者に対して実装部品のスロット4への装填、保管場所への返却指示等を正確且つ迅速に行うことができ、作業時間を短縮できると共に人為的なミスを減らして作業の正確性を増すことができる。また、リール部品11の確認作業を一人で行うことができるので、作業者数を減らすことができる。
【0042】
また、機械実装で使用する部品は同じ型式の部品でもリールを複数持ち、複数のマウンタそれぞれで並列使用することがある。部品の残数、使用履歴などはそれぞれのリールやパッケージなどの単位で異なるためにバーコードのみではデータ管理が困難であるが、ICタグ12を用いることで、リール、パッケージ単位のデータを管理することができる。残数が把握できれば在庫を有効に活用することもでき、無駄な在庫を減らすことができ、生産コストを削減することができる。
【0043】
また、リール部品11の返却先の指示は、以降の作業で使用予定がある場合は回収しやすい使用リール部品回収棚2へ返却するよう指示を出し、当分使用予定のないリール部品11は本来の保管場所であるリール部品保管棚1へ返却するよう指示を出すことができる。
【0044】
あるリール部品11を複数前作業で使用し、その部品が使用予定のある部品ではあるが前作業で使用した数ほど使用しない場合、同じ部品であっても個別に指示を出せるので、次作業で使用する部品、使用しない部品にそれぞれの返却指示を出すことができる。上記のようにリール部品11の保管場所の管理を行うことで、無駄な部品を保管せずに済み、作業効率を向上することができる。
【0045】
また、リール部品11を装填するスロット4の位置や返却先を図で表示することにより、目で見て直感的に何処の場所か分かるので作業効率を向上でき、また、文字を使用しなくても作業指示ができるので、装填位置や返却先の字が読めなくても作業することができる。
【0046】
また、携帯型リーダライタ装置21としてリストバンド型のものを使用した場合は、作業者は両手を自由に使うことができ、作業効率を向上することができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るリール部品管理システムにおいて、リール部品を管理及び機械実装する場合の概略構成図である。
【図2】同実施形態におけるシステム構成図である。
【図3】同実施形態において、サーバのリール部品情報データベースに登録するテーブル例を示す図である。
【図4】同実施形態において、リール部品に貼付される部品識別用ICタグに記憶する実装データ例を示す図である。
【図5】同実施形態における携帯型リーダライタ装置の外観構成例を示す斜視図である。
【図6】同実施形態における携帯型リーダライタ装置の概略の回路構成を示すブロック図である。
【図7】同実施形態において、リール部品に貼付されたICタグの実装データを携帯型リーダライタ装置により読み取って表示部に表示した場合の例を示す図である。
【図8】同実施形態において、複数のリール部品のICタグを一括して読み取った場合の部品情報表示例を示したものである。
【図9】同実施形態において、リール部品をマウンタのスロットに装填してプリント基板に実装する場合の処理動作を示すフローチャートである。
【図10】図9における他の部分の処理動作を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態において、リール部品をマウンタのスロットに装填する際、リール部品のICタグから携帯型リーダライタ装置により部品名、型式、スロット装填位置を読み出して表示部に表示した状態を示す図である。
【図12】同実施形態において、リール部品をマウンタのスロットに装填する際、携帯型リーダライタ装置の表示部にスロット装填位置を文字及び図形で表示した場合の例を示す図である。
【図13】同実施形態において、マウンタによる実装終了後、リール部品のICタグを携帯型リーダライタ装置で読み取って品名、型式、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無情報を表示部に表示させた状態を示す図である。
【図14】同実施形態において、マウンタによる実装終了後、リール部品を保管位置に戻す際、返却先であるリール部品保管棚を携帯型リーダライタ装置の表示部に図形表示した場合の例を示す図である。
【図15】同実施形態において、マウンタによる実装終了後、部品残数を演算してICタグに書き込む場合の処理動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1…リール部品保管棚、2…使用リール部品回収棚、3…スロット基板、4…スロット、5a〜5d…ブロック、11、11a、11b…リール部品、12、12a、12b…ICタグ、13…ラベル、21…携帯型リーダライタ装置、22…表示部、23…アンテナ、24…サーバ、25…リール部品情報データベース(DB)、26a…部品定格情報テーブル、26b…保管部品一覧テーブル、26c…必要部品一覧テーブル、26d…実行順序テーブル、26e…使用部品関連情報テーブル、31…送信部、32…受信部、33…制御部、34…サーキュレータ、35…読取スイッチ、36…アンテナ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウンタに装填するリール部品の装填位置確認及び部品の保管場所確認に非接触式ICタグを用いて管理するリール部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品をマウンタ(部品実装機)により基板に機械実装する場合、実装部品をマウンタのスロットに装填して実装作業を行うが、予め実装プログラムグラムにより基板上の部品実装位置などを登録する等の準備作業を行っている。
また、ICチップ等の電子部品をスロットに装填する場合には、一般に実装する複数の電子部品を各部品別にテープに取付けてリールに巻回し、リール部品としてスロットに装填している。上記実装部品の大半はリール部品であり、各リール部品にはそれぞれ品名、型式、バーコード等が印字されたラベルが貼付される。
【0003】
以下、マウンタによりリール部品をプリント基板に機械実装する場合の作業内容について説明する。
(a)実際に実装する部品が漏れなく準備されているか、型式、数量などの確認を行う。実装部品の確認は、リール部品に貼付されたラベルに印字されている品名、型式などの目視や、ラベルに印字されているバーコードの読み取りなどで行う。
【0004】
(b)準備された部品が正しければ、リール部品のスロット装填位置を確認する。このリール部品のスロット装填位置の確認は、ラベルに印字されている部品の型式を目視やバーコードで読み取り、実装プログラムに記述されている部品の型式と照合することによって行う。
【0005】
(c)リール部品を装填するスロット位置を確認すると、リール部品を所定のスロットに装填する。この場合、装填スロットに間違いがないかを確認するために、他の作業者が装填後のリール部品とスロット位置の確認を再度行っている。
(d)マウンタは、リール部品がスロットに装填されると、実装プログラムに従ってリール部品から電子部品を取り出し、プリント基板への実装を開始する。
【0006】
上記のようにリール部品を機械実装する場合、先ずリール部品を特定のスロットに装填し、プリント基板への部品実装を行う。
また、複数のマウンタを並列使用する場合もあり、同じ部品であっても使用するマウンタや作業が異なると使用数が異なるため、部品の残数を確認して実装する。
【0007】
全てのスロットに正しい実装部品が装填されていれば、部品実装が開始される。部品実装終了後、使用しないリール部品は保管場所へ返却される。
また、本発明に関連する公知技術として、工場や物流センター等において、複数の物品を収納箱に収納する場合、各物品に物品情報を記憶した物品識別タグを貼付すると共に収納箱に収納箱情報を記憶した収納箱識別タグを貼付し、上記収納箱を搬送ラインにより搬送する際、読取装置により上記物品識別タグ及び収納箱識別タグを読み取り、物品情報及び収納箱情報から物品及び収納箱を識別し、予め記憶手段に記憶している物品リストと比較して一致するか否かを判定し、不一致の場合にその情報を音声または画面表示によって知らせるようにした物品確認システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−352436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
プリント基板に電子部品を機械実装する場合において、リール部品をマウンタのスロットに装填する際、従来ではリール部品に貼付されているラベルの印字内容を目視で確認したり、あるいはバーコード読み取る等の手段により確認している。しかし、目視による部品確認は人為的ミスなどを生じ易く、誤実装を生じる恐れがある。また、リール部品の装填位置は作業内容で異なるので、その都度、実装プログラムでリール部品の装填スロットを確認して部品実装を行わなければならない。
【0010】
また、バーコード読み取りによる部品確認は、目視に比べると型式の読み違いや作業時間は減るが、長時間に亘って実装部品を扱うとラベルのバーコード印字部の汚れや、破損などによって読み取り不可能となる場合がある。また、バーコード読み取りによる部品確認は、同じリール部品を複数使用する場合、同じリール部品の個別での位置確認ができない。
【0011】
また、リール部品の装填位置や返却先は文字や数字で表示されるので、視覚的に分かり難いという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、リール部品をマウンタのスロットに装填してプリント基板に機械実装する場合、部品確認及び装填位置や返却先を確実に確認でき、リール部品を目的とするスロットに装填できると共に部品の誤実装を防止でき、かつ実装終了後に所定の保管場所へ確実に返却することができるリール部品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ICタグを貼付したリール部品をマウンタのスロットに装填する際に、携帯型リーダライタ装置を用いて前記ICタグの情報を読み取り、該読み取ったICタグの情報を前記携帯型リーダライタ装置の表示部に表示するリール部品管理システムであって、前記ICタグを貼付したリール部品の保管位置情報を該リール部品に貼付されたICタグに書き込んでおき、前記マウンタによる前記リール部品の実装工程が終了した後、前記リール部品を前記マウンタから取り出す際に、該リール部品に貼付されたICタグから保管位置情報を前記携帯型リーダライタ装置で読み出して表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マウンタによるリール部品の実装工程が終了した後、リール部品をマウンタから取り出す際に、該リール部品に貼付されたICタグから保管位置情報を携帯型リーダライタ装置で読み出して表示部に表示することにより、作業者は表示部に表示された保管位置情報に従ってリール部品を指定の保管場所へ正しく返却することができ、作業時間を短縮できると共に人為的なミスを減らして作業の正確性を増すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るリール部品管理システムにおいて、リール部品を機械実装する場合の概略構成図、図2はシステム構成図である。
図1において、1はリール部品保管棚で、複数のリール部品11を保管している。リール部品11には、例えば前面側の上部に識別情報及び実装データを記憶するICタグ12、下部にバーコードや文字が印刷されたラベル13が貼付されていると共に、ICチップ等の実装する多数の電子部品が各部品別にテープに取付けてリールに巻回されている。
【0015】
上記ICタグ12は、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる無線通信を利用した非接触による自動認識技術を利用したもので、メモリを内蔵したICチップを使用しており、IC情報登録装置(図示せず)や図2に示す携帯型リーダライタ装置21からの無線通信信号による情報の読み取りや書き込みを可能としている。上記ICタグ12には、固有の識別情報の他、詳細を後述する実装データが書き込まれており、この実装データに基づいて部品管理やマウンタによるプリント基板への機械実装、保管場所への返却等が行われる。
【0016】
上記リール部品保管棚1に保管されたリール部品11は、プリント基板に実装する際に指定された保管位置例えばA−6から取り出されてマウンタのスロット基板3に形成されているスロット4の所定位置例えば2−5の位置に直接装填されるか、あるいは使用リール部品回収棚2へ移される。上記スロット基板3には、複数のスロット4が並行して設けられている。上記使用リール部品回収棚2に収納されたリール部品11は、プリント基板に実装する際に取り出され、上記スロット4の所定位置2−5に装填され、マウンタにより部品が取り出されてプリント基板に実装される。
【0017】
上記リール部品11は、実装作業が終了した後、ICタグ12に書き込まれている実装データにより次の実装作業に使用するか否かチェックされ、次の実装作業に使用するものは回収しやすい使用リール部品回収棚2へ戻され、次の実装作業に使用しないものはリール部品保管棚1の元の位置A−6へ返却される。
【0018】
上記リール部品11を管理する場合、ICタグ12に記憶した実装情報が図2に示す携帯型リーダライタ装置21により読み出され、サーバ24へ送られる。携帯型リーダライタ装置21としては、例えばリストバンド型のものが使用される。上記ICタグ12と携帯型リーダライタ装置21との間はRF−IDシステムによる無線通信を使用して情報の伝達が行われ、携帯型リーダライタ装置21とサーバ24との間は例えばブルートゥース(登録商標)、無線LAN等で通信が行われる。
【0019】
上記サーバ24は、リール部品情報データベース(DB)25を備え、このリール部品情報DB25には、例えば図3(a)〜(e)に示す
(a)部品定格情報テーブル26a
(b)保管部品一覧テーブル26b
(c)実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26c
(d)実装プログラムの実行順序テーブル26d
(e)実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26e
が登録される。
【0020】
上記図3(a)に示す部品定格情報テーブル26aには、リール部品11の品名、型式、数量等の項目がある実装データが複数登録される。
上記図3(b)に示す保管部品一覧テーブル26bには、リール部品11の管理番号、品名、型式、ロット、数量、保管位置等の項目がある実装データが複数登録される。
【0021】
上記図3(c)に示す実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26cには、リール部品11の品名、型式、必要数量、スロット装填位置等の項目がある実装データが複数登録される。
上記図3(d)に示す実装プログラムの実行順序テーブル26dには、部品実装の実行順序、プログラム番号等の項目がある実装データが複数登録される。
【0022】
上記図3(e)に示す実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26eには、リール部品11の管理番号、品名、型式、ロット、使用数量、スロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用の有無、使用履歴等の項目がある実装データが複数登録される。
【0023】
また、リール部品11に貼付されるICタグ12には、固有の識別情報の他、例えば図4に示すようにリール部品11の管理番号(No)、品名、型式、残数、スロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用の有無、使用履歴等の項目がある実装データが記憶されている。これらのデータは、必要に応じて書替えることが可能である。また、これらのデータは、管理番号など項目の一部、もしくは全てがリール部品情報DB25に登録、管理されていてもよい。
【0024】
上記リール部品11には、多数の電子部品が収納されており、1回の実装処理では使用しきれない場合もあるので、実装処理後にリール部品11内に残った部品数が上記実装データの「残数」として書き込まれる。なお、初期状態では、リール部品11に収納された部品数が上記実装データの「残数」として書き込まれる。上記ICタグ12に記憶するデータは、「管理番号」だけでサーバ24上のリール部品情報DB25に紐付けして管理するようにしてもよい。また、上記リール部品11に貼付されるラベル13には、実装する部品の品名、型式等が文字やバーコードで印字されており、目視で確認できるようになっている。
【0025】
上記携帯型リーダライタ装置21としては、例えば図5(a)に示すようにアンテナ及び表示部22を一体に形成したものでも、あるいは図5(b)に示すようにアンテナ23を別に設けたものでもよい。
上記携帯型リーダライタ装置21は、例えば図6に示すようにICタグ12へ質問波を送信するための発振器、変調器、パワーアンプを内蔵した送信部31、ICタグ12からの応答波を復調する復調器等を備えた受信部32、上記送信部31及び受信部32を制御する制御部33、上記送信部31及び受信部32をアンテナ23と電気的に接続するサーキュレータ34により構成される。また、上記制御部33には、例えば読み取動作を指示する読取スイッチ35、部品情報等を表示する上記表示部22、サーバ24と無線通信するためのアンテナ36が接続される。
【0026】
上記制御部33は、読取スイッチ35が操作されると送信部31を動作させ、所定周波数の搬送波及びクロック信号からなる送信波を出力する。この送信波は、サーキュレータ34を経由してアンテナ36に送られ、このアンテナ36からICタグ12へ送信される。ICタグ12は、携帯型リーダライタ装置21からの送られてくる送信波に基づいて識別情報を含む記憶情報を応答波として出力する。携帯型リーダライタ装置21は、ICタグ12から返送される応答波をアンテナ23で受信し、サーキュレータ34を介して受信部32に入力する。この受信部32はICタグ12から送られてきた応答波を復調して制御部33へ出力する。制御部は、ICタグ12の応答波に含まれる部品情報を表示部22に表示すると共にアンテナ36からサーバ24へ無線送信する。
【0027】
図7は、リール部品11に貼付されたICタグ12の部品情報を携帯型リーダライタ装置21により読み取って表示部22に表示した場合の例を示したものである。携帯型リーダライタ装置21をリール部品11のICタグ12に近付けて読取スイッチ35を操作することにより、上記したようにICタグ12に記憶されている部品情報が読み取られ、表示部22に例えばリール部品11の「部品名」、「残数」、「使用履歴」等が表示される。この表示部22に表示されるデータにより、リール部品11のデータを正確に確認することができる。また、実装データの紐付けにより、使用するリール部品11のスロットへの装填位置を容易に確認でき、同様に返却データの紐付けにより、リール部品11の返却先を確認することができる。
【0028】
図8は、複数のリール部品11a、11bのICタグ12a、12bを一括して読み取った場合の部品情報表示例を示したものである。携帯型リーダライタ装置21により複数のICタグ12a、12bを一括して読み取ったとき、表示部22に各リール部品11a、11bの部品情報が表示される。この場合、読み取った部品情報の表示は、図8に示すように各リール部品11a、11bの部品を一括して表示部22に表示させても、あるいは各リール部品11a、11bの部品を個別に表示部22に表示させてもよい。例えば複数の部品を表示部22に個別に表示するには、ある一定時間経過後に表示を切替えて各部品を表示させる方法、あるいはボタン操作などのトリガ入力により表示部22を切替えて各部品を表示させる方法を用いる。
【0029】
次に上記リール部品11をマウンタのスロットに装填してプリント基板に実装する場合の処理動作について、図9、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、サーバ24は、操作員の操作に基づき、リール部品情報DB25の部品定格情報テーブル26aに登録されている情報(品名、型式、数量)を読み出し、リーダライタを経由して、部品の管理番号と共にリール部品11に貼付したICタグ12に書き込む(ステップA1)。
【0030】
また、サーバ24は、操作員の操作に基づき、リール部品情報DB25の部品定格情報テーブル26aに登録されている情報(品名、型式、数量)を読み出し、リール部品情報DB25の保管部品一覧テーブル26bに書き込む(ステップA2)。この保管部品一覧テーブル26bには、上記したようにリール部品11の管理番号、品名、型式、使用数、ロット、数量、保管位置の項目がある。管理番号、ロット、保管位置の情報データは、操作員が操作卓からサーバ24に入力する。なお、上記ステップA1とA2は、順序を逆にしてもよい。
【0031】
更にサーバ24は、操作員の操作に基づき、リール部品情報DB25に対し、実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26c(リール部品11の品名、型式、必要数量、スロット装填位置)を作成する(ステップA3)。この実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26cは、サーバ24に実装プログラムを読込むことにより作成することもできる。
【0032】
次にサーバ24に対して実装プログラムの実行順序テーブル26d(実行順序、プログラム番号)を入力し、リール部品情報DB25に登録する(ステップA4)。この実装プログラムの実行順序テーブル26dは、操作員が操作卓からサーバ24に入力するが、サーバ24に実装プログラムを読込むことにより入力してもよい。
【0033】
そして、サーバ24は、リール部品情報DB25の実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26e(リール部品11の管理番号、品名、型式、ロット、使用数量、スロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用の有無)を、保管部品一覧テーブル26b、実装プログラム対応の必要部品一覧テーブル26c、実装プログラムの実行順序テーブル26dから、自動生成する(ステップA5)。
【0034】
サーバ24は、上記実装プログラム毎の使用部品関連情報テーブル26eから、実行対象の実装プログラムで使用する部品の品名、型式、保管位置を順次読み出して、携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示させる(ステップA6)。
操作者は、上記携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示された保管位置のリール部品11に貼付されているICタグ12の情報(品名、型式)を携帯型リーダライタ装置21で読み取り、上記表示部22に表示していた情報と照合する(ステップA7)。この照合は、例えば操作者が表示部22に表示された内容を目視で確認すると共に、携帯型リーダライタ装置21がICタグ12から読み取った情報をサーバ24へ送信して照合する(ステップA8)。
【0035】
サーバ24は、上記照合結果が一致しない場合は、携帯型リーダライタ装置21の表示部22に一致しない旨のメッセージあるいはエラーを表示し(ステップA9)、一致すればスロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無の情報を携帯型リーダライタ装置21に送信してICタグ12に書き込む(ステップA10)。
【0036】
操作者は、図11に示すように上記の照合により一致したリール部品11のICタグ12から携帯型リーダライタ装置21により部品名、型式、スロット装填位置を読み出して表示部22に表示する(ステップA11)。または、ICタグ12にスロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無の情報を書き込まずに、一致したリール部品11のスロット装填位置、保管位置、次の実装プログラムでの情報を管理番号をキーにしてサーバからリーダライタへ送信し、リーダライタの表示部に表示する方法でもかまわない。
この場合、表示部22には、図12に示すようにスロット装填位置を文字及び図形で表示するようにしてもよい。この場合の例では、スロット4は10個単位で4つのブロック5a〜5dに分割されており、スロット装填位置はブロック5a〜5dを指定するブロック番号とそのブロック内のスロット位置を指定するスロット番号の組み合わせで表示する。例えばスロット装填位置「2−5」は、2番目のブロック5bにおける5番目のスロットを示している。なお、上記図12において、(a)はスロット4のスロット装填位置「2−5」を特定の色で表示した場合、(b)はスロット4のスロット装填位置「2−5」を点滅表示させた場合の例を示している。
【0037】
操作者は、上記携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示されたスロット装填位置に従ってリール部品11を例えばスロット4の2−5の位置に装填し(ステップA12)、プリント基板への機械実装を行う。
その後、図10のステップA13で機械実装を終了すると、操作者は、マウンタのスロット4からリール部品11を取り出し、貼付されているICタグ12を携帯型リーダライタ装置21で読み取り、表示部22に図13に示すように品名、型式、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無情報を表示部22に表示させる(ステップA14)。この場合、リール部品11の保管位置は、例えば図14に示すように図形表示により指示するようにしてもよい。図14は、リール部品11を保管するリール部品保管棚1を図形表示し、返却先であるA−6の位置を点滅させて表示した場合の例を示している。
【0038】
操作者は、上記ステップA14で、携帯型リーダライタ装置21の表示部22に表示された実装プログラムでの使用有無情報を判断し(ステップA15)、表示部22に「次の実装プログラムでの使用無」と表示されている場合は、表示部22に表示された保管位置A−6に従ってリール部品保管棚1のA−6の保管位置にリール部品11を戻す(ステップA16)。
【0039】
また、上記表示部22に「次の実装プログラムでの使用有」と表示されている場合は、リール部品11を所定の取り出し易い場所、例えば図1に示した使用リール部品回収棚2へ戻す(ステップA17)。
また、上記機械実装を終了し、リール部品11をマウンタのスロット4から取り出してICタグ12を携帯型リーダライタ装置21で読み取った際、部品の残数をICタグ12に書き込む。
【0040】
サーバ24は、上記機械実装を終了した際、実装プログラムにより機械実装で使用した部品数を算出し、算出結果をリール部品情報DB25に格納されている部品残数から差し引いて部品の残数を求め、上記リール部品11をマウンタのスロット4から取り出したときに携帯型リーダライタ装置21により部品の残数をICタグ12に書き込む。例えば図15(a)に示すように前回実装作業を行った際の部品残数が「1500」個で、今回の実装作業で部品を「500」個使用した場合、部品残数は「1000」個となるので、この値を図15(b)に示すようにICタグ12に書き込む。
【0041】
以上でリール部品11の機械実装処理を終了する。
上記実施形態によれば、各リール部品11に貼付されているICタグ12の記憶情報を携帯型リーダライタ装置21で読み取り、実装部品と照合させて型式やスロット4の装着位置、更には保管場所等を確認することにより、作業者に対して実装部品のスロット4への装填、保管場所への返却指示等を正確且つ迅速に行うことができ、作業時間を短縮できると共に人為的なミスを減らして作業の正確性を増すことができる。また、リール部品11の確認作業を一人で行うことができるので、作業者数を減らすことができる。
【0042】
また、機械実装で使用する部品は同じ型式の部品でもリールを複数持ち、複数のマウンタそれぞれで並列使用することがある。部品の残数、使用履歴などはそれぞれのリールやパッケージなどの単位で異なるためにバーコードのみではデータ管理が困難であるが、ICタグ12を用いることで、リール、パッケージ単位のデータを管理することができる。残数が把握できれば在庫を有効に活用することもでき、無駄な在庫を減らすことができ、生産コストを削減することができる。
【0043】
また、リール部品11の返却先の指示は、以降の作業で使用予定がある場合は回収しやすい使用リール部品回収棚2へ返却するよう指示を出し、当分使用予定のないリール部品11は本来の保管場所であるリール部品保管棚1へ返却するよう指示を出すことができる。
【0044】
あるリール部品11を複数前作業で使用し、その部品が使用予定のある部品ではあるが前作業で使用した数ほど使用しない場合、同じ部品であっても個別に指示を出せるので、次作業で使用する部品、使用しない部品にそれぞれの返却指示を出すことができる。上記のようにリール部品11の保管場所の管理を行うことで、無駄な部品を保管せずに済み、作業効率を向上することができる。
【0045】
また、リール部品11を装填するスロット4の位置や返却先を図で表示することにより、目で見て直感的に何処の場所か分かるので作業効率を向上でき、また、文字を使用しなくても作業指示ができるので、装填位置や返却先の字が読めなくても作業することができる。
【0046】
また、携帯型リーダライタ装置21としてリストバンド型のものを使用した場合は、作業者は両手を自由に使うことができ、作業効率を向上することができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るリール部品管理システムにおいて、リール部品を管理及び機械実装する場合の概略構成図である。
【図2】同実施形態におけるシステム構成図である。
【図3】同実施形態において、サーバのリール部品情報データベースに登録するテーブル例を示す図である。
【図4】同実施形態において、リール部品に貼付される部品識別用ICタグに記憶する実装データ例を示す図である。
【図5】同実施形態における携帯型リーダライタ装置の外観構成例を示す斜視図である。
【図6】同実施形態における携帯型リーダライタ装置の概略の回路構成を示すブロック図である。
【図7】同実施形態において、リール部品に貼付されたICタグの実装データを携帯型リーダライタ装置により読み取って表示部に表示した場合の例を示す図である。
【図8】同実施形態において、複数のリール部品のICタグを一括して読み取った場合の部品情報表示例を示したものである。
【図9】同実施形態において、リール部品をマウンタのスロットに装填してプリント基板に実装する場合の処理動作を示すフローチャートである。
【図10】図9における他の部分の処理動作を示すフローチャートである。
【図11】同実施形態において、リール部品をマウンタのスロットに装填する際、リール部品のICタグから携帯型リーダライタ装置により部品名、型式、スロット装填位置を読み出して表示部に表示した状態を示す図である。
【図12】同実施形態において、リール部品をマウンタのスロットに装填する際、携帯型リーダライタ装置の表示部にスロット装填位置を文字及び図形で表示した場合の例を示す図である。
【図13】同実施形態において、マウンタによる実装終了後、リール部品のICタグを携帯型リーダライタ装置で読み取って品名、型式、保管位置、次の実装プログラムでの使用有無情報を表示部に表示させた状態を示す図である。
【図14】同実施形態において、マウンタによる実装終了後、リール部品を保管位置に戻す際、返却先であるリール部品保管棚を携帯型リーダライタ装置の表示部に図形表示した場合の例を示す図である。
【図15】同実施形態において、マウンタによる実装終了後、部品残数を演算してICタグに書き込む場合の処理動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1…リール部品保管棚、2…使用リール部品回収棚、3…スロット基板、4…スロット、5a〜5d…ブロック、11、11a、11b…リール部品、12、12a、12b…ICタグ、13…ラベル、21…携帯型リーダライタ装置、22…表示部、23…アンテナ、24…サーバ、25…リール部品情報データベース(DB)、26a…部品定格情報テーブル、26b…保管部品一覧テーブル、26c…必要部品一覧テーブル、26d…実行順序テーブル、26e…使用部品関連情報テーブル、31…送信部、32…受信部、33…制御部、34…サーキュレータ、35…読取スイッチ、36…アンテナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグを貼付したリール部品をマウンタのスロットに装填する際に、携帯型リーダライタ装置を用いて前記ICタグの情報を読み取り、該読み取ったICタグの情報を前記携帯型リーダライタ装置の表示部に表示するリール部品管理システムであって、
前記ICタグを貼付したリール部品の保管位置情報を該リール部品に貼付されたICタグに書き込んでおき、前記マウンタによる前記リール部品の実装工程が終了した後、前記リール部品を前記マウンタから取り出す際に、該リール部品に貼付されたICタグから保管位置情報を前記携帯型リーダライタ装置で読み出して表示部に表示することを特徴とするリール部品管理システム。
【請求項1】
ICタグを貼付したリール部品をマウンタのスロットに装填する際に、携帯型リーダライタ装置を用いて前記ICタグの情報を読み取り、該読み取ったICタグの情報を前記携帯型リーダライタ装置の表示部に表示するリール部品管理システムであって、
前記ICタグを貼付したリール部品の保管位置情報を該リール部品に貼付されたICタグに書き込んでおき、前記マウンタによる前記リール部品の実装工程が終了した後、前記リール部品を前記マウンタから取り出す際に、該リール部品に貼付されたICタグから保管位置情報を前記携帯型リーダライタ装置で読み出して表示部に表示することを特徴とするリール部品管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−80613(P2010−80613A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246120(P2008−246120)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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