説明

ルーフ装置

【課題】ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に対するウェザーストリップの取付態様を変更した場合であれ、前側リンク部材とウェザーストリップとの過度の干渉を回避することができる。
【解決手段】サンルーフ装置10は、可動パネル12の開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含む。また、ルーフパネル1のフランジ部1bと可動パネル12の縁部12bとの間をシールするウェザーストリップ90を備える。ここで、可動パネル12を昇降する前側リンク部材50の前側支持ピン及び同ピンを支持するガイドレール20の支持壁部26の双方は可動パネル12の外側端面よりも内側に位置する。また、駆動シュー40はウェザーストリップ90の下方に位置する。また、前側リンク部材50は車幅方向においてガイドレール20の支持壁部26と駆動シュー40との間に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルを開閉作動させるとともに、開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含むルーフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載の装置がある。特許文献1に記載の装置も含めて従来一般のルーフ装置においては、車両のルーフパネルに固定されるとともに車両前後方向に延びるガイドレールと、同ガイドレール上を前後方向に移動可能に設けられる駆動シューとを備えている。そして、モータにより駆動されるベルトを介して、駆動シューを前後方向に移動させると、リンク機構を通じて、可動パネルが開閉作動する。
【0003】
特許文献1に記載のルーフ装置では、ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に、可動パネル(3)の縁部とルーフパネル(2)の開口縁部との間をシールするウェザーストリップが設けられている。また、ガイドレールにおいて可動パネル(3)の縁部の下方には駆動シュー(14)が設けられており、同駆動シュー(14)の車幅方向外側に前側リンク部材(7)が設けられている。前側リンク部材(7)は、可動パネルを支持する機能ブラケット(4)の前部に連結されるとともに、駆動シュー(14)に係合されており、駆動シュー(14)を前後方向に移動させると、これに伴い前側リンク部材(7)が変位することで、機能ブラケット(4)を介して可動パネル(3)が開閉作動する。ここで、前側リンク部材(7)の支持部(11)及び同支持部(11)を支持するガイドレールの支持壁部は共に、ウェザーストリップの下方に配置されている。また、この前側リンク部材(7)の支持部及びガイドレールの支持壁部が鉛直方向上方に位置するほど前側リンク部材(7)を上方に変位させて可動パネル(3)を上方に変位させることができる。すなわち、これら支持部及び支持壁部は、前側リンク部材(7)の鉛直方向上方への変位量を規制するものである。
【0004】
ちなみに、特許文献1に記載のルーフ装置では、ルーフパネルは、車両ボディの上面をなすパネル本体と、同パネル本体の車幅方向内側端部から屈曲して下方に延びるフランジ部とを有している。また、ウェザーストリップはフランジ部の車幅方向内側の側面に両面テープにより取り付けられる取付部と、同取付部から車幅方向内側に突出する中空状のシール部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2078630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載のルーフ装置では、上述したように、ウェザーストリップが前側リンク部材の支持部の上方に位置する構成とされている。また、ルーフパネルのフランジ部に対してウェザーストリップを両面テープにより取り付ける構成とすることで、ウェザーストリップの取付断面を小さくして、前側リンク部材との干渉を回避するようにしている。従って、特許文献1に記載のルーフ装置では、その取付工程が煩雑なものとなるといった問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に対するウェザーストリップの取付態様を変更した場合であれ、前側リンク部材とウェザーストリップとの過度の干渉を回避することのできるルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルを開閉作動させるとともに、前記開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含むルーフ装置であって、前記ルーフパネルに固定されるとともに車両前後方向に延びるガイドレールと、前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動するように駆動される駆動シューと、前記可動パネルを支持する機能ブラケットと、前記機能ブラケットの前部に相対回動可能に連結されるとともに前記ガイドレールの支持壁部に回動可能に支持される支持部を有し、前記駆動シューの移動に伴い自身が変位することで前記機能ブラケットの前部を作動させる前側リンク部材と、前記機能ブラケットの後部に連結されるとともに前記駆動シューの移動に伴い同機能ブラケットの後部を昇降させる昇降機構と、前記ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に取り付けられるとともに同開口縁部と前記可動パネルの縁部との間をシールするウェザーストリップと、を備え、前記ガイドレールの支持壁部及び前記前側リンク部材の支持部の双方は前記可動パネルの車幅方向外側端面よりも車幅方向内側に位置し、前記駆動シューは前記ウェザーストリップの鉛直方向下方に位置し、前記前側リンク部材は車幅方向において前記ガイドレールの支持壁部と前記駆動シューとの間に位置してなることをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、可動パネルの全閉状態から駆動シューを後方に移動させると、これに伴い、昇降機構の作動を通じて機能ブラケットの後端部が上方に持ち上げられる一方、前側リンク部材は駆動シューの移動に伴い回動する。これにより、機能ブラケットの前端部は全閉時の位置にて回動する(チルトアップモード)。
【0010】
次に、チルトアップ作動が完了した状態から駆動シューを更に後方に移動させると、これに伴い、駆動シューにガイドされて前側リンク部材が変位することで、機能ブラケットの前端部が上方に持ち上げられる。これにより、可動パネルは車両前後方向においてルーフパネルに沿った姿勢となり、所謂ポップアップが完了する。
【0011】
次に、ポップアップ作動が完了した状態から駆動シューを更に後方に移動させると、これに伴い、可動パネルは後方にスライドする(スライドモード)。
ここで、上記構成によれば、鉛直方向における前側リンク部材の変位量を規定する支持部が、可動パネルの車幅方向外側端面よりも車幅方向内側に位置するものとされるため、同支持部がウェザーストリップに干渉することはない。すなわち、前側リンク部材によってウェザーストリップの形状が制約を受けることを回避することができる。従って、ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に対するウェザーストリップの取付態様を変更した場合であれ、前側リンク部材とウェザーストリップとの過度の干渉を回避することができるようになる。
【0012】
この場合、請求項2に記載の発明によるように、前記支持部は前記前側リンク部材の本体から車幅方向内側に突出する態様にて設けられてなるといった態様が好ましい。これにより、支持部が駆動シューに干渉することを的確に抑制することができるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のルーフ装置において、前記駆動シューはその本体から車幅方向外側に突出する係合突部を有し、前記ガイドレールには前記ウェザーストリップの直下に前記係合突部と係合して前記駆動シューをガイドする第1ガイド部が形成されてなることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、ウェザーストリップの下方のスペースを有効に活用することができ、ガイドレールの車幅方向における大きさの増大を的確に抑制することができるようになる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のルーフ装置において、前記ガイドレールには前記保持部の直下であって前記第1ガイド部の車幅方向外側に前記駆動シューを駆動するベルトを支持するベルト支持部が形成されてなることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ウェザーストリップの下方のスペースを有効に活用することができ、ガイドレールの車幅方向における大きさの増大を一層的確に抑制することができるようになる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載のルーフ装置において、前記前側リンク部材は、その本体から車幅方向外側に突出する突部である規制突部を有し、前記ガイドレールには、前記可動パネルの全閉状態において前記規制突部の車両後側に位置して前記前側リンク部材の後方への移動を規制する規制面と、前記可動パネルの開閉作動に際して前記規制突部の変位をガイドするガイド面とが形成され、前記ガイド面の車両後側には前記第1ガイド部が接続されてなることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、可動パネルの全閉状態においては、規制突部の車両後側への変位が規制面により規制される。また、可動パネルの開閉作動に際しては、規制突部の変位が規制面及び第1ガイド部によりガイドされる。すなわち、前側リンク部材の移動を規制及びガイドする規制面と、駆動シューの変位をガイドする第1ガイド部とが車幅方向において同一の位置に設けられる。従って、ガイドレールの車幅方向における大きさの増大を一層的確に抑制することができるようになる。
【0019】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明は、請求項6に記載の発明によるように、前記前側リンク部材は、前記機能ブラケットの前部に相対回動可能に連結される連結部、同連結部よりも車両後側に位置するとともに前記駆動シューに相対回動可能に係合するとともに同駆動シューの移動に伴い変位がガイドされる係合部を有し、前記支持部は同係合部よりも車両前側に位置し、前記ガイドレールに設けられるとともに前記可動パネルの開閉作動に際して前記支持部の変位をガイドする前側ガイド部材を備えてなるといった態様をもって具体化することができる。
【0020】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のルーフ装置は、請求項7に記載の発明によるように、前記ガイドレールには前記ルーフパネルの開口縁部の鉛直方向直下に位置するとともに前記ウェザーストリップを保持する保持部を有してなるといった態様をもって具体化することができる。このように、ルーフパネルの開口縁部の直下に保持部が設けられることで、同保持部の下方のスペースが制限される構成であれ、請求項1〜請求項6のいずれか一項に係る発明を適用すれば、ウェザーストリップ及び保持部と、前側リンク部材との的確な配置を両立させることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に対するウェザーストリップの取付態様を変更した場合であれ、前側リンク部材とウェザーストリップとの過度の干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るルーフ装置の第1実施形態について、車両ルーフの斜視構造を概略的に示す斜視図であって、(a)サンルーフ装置が閉鎖状態のときの斜視図、(b)サンルーフ装置が全開状態のときの斜視図。
【図2】同実施形態の全閉状態におけるサンルーフ装置について、可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態の全閉状態におけるサンルーフ装置について、車幅方向左側の前端部を中心とした平面構造を示す平面図。
【図4】図2のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図5】図2のB−B線に沿った断面構造を示す断面図。
【図6】図2のC−C線に沿った断面構造を示す断面図。
【図7】図2のD−D線に沿った断面構造を示す断面図。
【図8】同実施形態におけるウェザーストリップを中心とした縦断面構造示す断面図。
【図9】同実施形態のサンルーフ装置について、チルトアップ作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図10】同実施形態のサンルーフ装置について、ポップアップ作動途中における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図11】同実施形態のサンルーフ装置について、スライド作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図12】図11のE−E線に沿った断面構造を示す断面図。
【図13】図11のF−F線に沿った断面構造を示す断面図。
【図14】本発明に係るルーフ装置の第2実施形態について、全閉状態の可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図15】同実施形態のサンルーフ装置について、チルトアップ作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図16】同実施形態のサンルーフ装置について、ポップアップ作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図17】同実施形態のサンルーフ装置について、スライド作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図18】本発明に係るルーフ装置の第3実施形態について、全閉状態の可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図19】同実施形態のサンルーフ装置について、チルトアップ作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図20】同実施形態のサンルーフ装置について、ポップアップ作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【図21】同実施形態のサンルーフ装置について、スライド作動の完了した状態における可動パネルを中心とした縦断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、図1〜図13を参照して、本発明に係るルーフ装置を自動車に搭載されるサンルーフ装置(以下、「サンルーフ装置10」)として具体化した第1実施形態について詳細に説明する。
【0024】
尚、以降においては、車両前後方向を単に「前後方向」と称するとともに、鉛直方向上方を単に「上方」、鉛直方向下方を単に「下方」と称する。また、車幅方向においてサンルーフ装置10の中心に近接する側を「内側」と称するとともに、サンルーフ装置10の中心から離間する側を「外側」と称する。
【0025】
図1に、サンルーフ装置10の搭載された車両ルーフの斜視構造を概略的に示す。尚、図1(a)は、サンルーフ装置10の閉鎖状態を示すとともに、図1(b)は、サンルーフ装置10の全開状態を示している。
【0026】
図1に示すように、車両ルーフを構成するルーフパネル1には略矩形状の開口部2が設けられており、この開口部2には、車両の前側から順に、可動パネル12及び固定パネル13が設けられている。これら可動パネル12及び固定パネル13は、例えば採光可能なガラス板にて形成されており、サンルーフ装置10の閉鎖状態において開口部2を上方から閉塞する。
【0027】
可動パネル12は、チルトアップ作動及び前後方向へのスライド作動可能に取り付けられている。サンルーフ装置10では、可動パネル12をチルトアップ状態のままスライド作動させる、いわゆるアウタスライド方式が採用されている。
【0028】
固定パネル13は、ルーフパネル1に対して固定されており、固定パネル13の配設位置に対応する開口部2を閉塞した状態に維持するものである。
次に、図2〜図13を参照して、可動パネル12を開閉する機構について詳細に説明する。
【0029】
図2に、全閉状態におけるサンルーフ装置10について、可動パネル12を中心とした縦断面構造を示す。尚、図2では、説明の便宜上、各構成部材を互いに異なる線種にて記載している。
【0030】
また、サンルーフ装置10は基本的に左右対称の構造を有しているものであることから、本実施形態では、サンルーフ装置10の右側の構造について説明することとし、左側の構造については説明を割愛する。
【0031】
図2に示すように、ルーフパネル1は車両ルーフの上面をなすパネル本体1aと、パネル本体1aの後側端部から下方に延びてルーフパネル1の開口縁部をなすフランジ部1bとを有している。フランジ部1bには、フランジ部1bの後側面(図2において右側面)と可動パネル12の前側縁部12aとの間をシールするためのウェザーストリップ90が取り付けられている。
【0032】
可動パネル12の下方には、前後方向に延びる形状を有するガイドレール20が可動パネル12に固設されている。ガイドレール20には、その底部21の前部に前側ガイド部材30が取り付けられている。また、ガイドレール20において前側ガイド部材30の後方には、ガイドレール20に沿って前後方向に移動するように駆動される駆動シュー40が設けられている。また、ガイドレール20には、前側リンク部材50及び後側リンク部材60が摺動可能に支持されている。また、これら前側リンク部材50及び後側リンク部材60の上方には、可動パネル12を支持する機能ブラケット70が前側リンク部材50及び後側リンク部材60の双方にそれぞれ連結されている。
【0033】
前側ガイド部材30は、前後方向に延びる前側溝部32、前側溝部32の後端に接続されるとともに斜め後上方に延びる傾斜溝部34、及び傾斜溝部34の後端に接続されて前後方向に延びる後側溝部36を有している。ここで、これら前側溝部32、傾斜溝部34、及び後側溝部36は、上方に位置する上側支持面30aと、上側支持面30aの下方に位置する下側支持面30bと、これら上側支持面30a及び下側支持面30bの前端部においてこれらを連結する連結面30cとによって区画形成されている。前側溝部32はガイドレール20において最も下側に位置する底部21よりも下方に位置し、その前端は連結面30cにより閉塞されている。また、後側溝部36は底部21よりも上方に位置し、その後端は開放されている。
【0034】
駆動シュー40は、前後方向に延びる平板状のシュー本体42と、シュー本体42の内側の側面において前後方向に延びる態様にて形成される2つの溝部(第1溝部44、第2溝部46)とを有している。尚、シュー本体42には、前後方向に移動するように電動モータ(図示略)により駆動されるベルト100が連結されている。
【0035】
第1溝部44は、前後方向に延びる後側溝44aと、後側溝44aの前端に接続されて斜め前上方に延びる前側溝44bとを有している。後側溝44aの後端及び前側溝44bの前端は共に閉塞されている。
【0036】
第2溝部46は、第1溝部44よりも後側に位置するとともに、第1溝部44とは独立している。また、第2溝部46は、前後方向に延びる後側前後溝46aと、後側前後溝46aの前端に接続されて斜め前上方に延びる後側傾斜溝46bと、後側傾斜溝46bの前端に接続されて前後方向に延びる中央前後溝46cと、中央前後溝46cの前端に接続されて斜め前上方に延びる前側傾斜溝46dと、前側傾斜溝46dの前端に接続されて前後方向に延びる前側前後溝46eとを有している。後側前後溝46aの後端及び前側前後溝46eの前端は共に閉塞されている。
【0037】
前側リンク部材50は、略平板状であって側面視において略三角形状をなしている。ここで、全閉時においては、前側リンク部材50はその長辺に相当する部位が前後方向に沿った姿勢となる。
【0038】
前側リンク部材50は、大きくは、前側連結ピン52が設けられるリンク部材前部51aと、前側係合ピン54、前側支持ピン56、及び規制ピン58が設けられるリンク部材本体51bと、これらリンク部材前部51aとリンク部材本体51bとを連結するリンク部材連結部51cとからなる。
【0039】
前側連結ピン52は、前側リンク部材50の最も前側に位置する頂点近傍においてリンク部材前部51aの側面から車幅方向に突出した態様にて設けられている。また、前側連結ピン52は、機能ブラケット70の前端部に形成された前側回動部72に対して相対回動可能に連結されている。
【0040】
前側係合ピン54は、前側リンク部材50の最も後側に位置する頂点近傍においてリンク部材本体51bの側面から車幅方向に突出した態様にて設けられている。また、前側係合ピン54は、前述した駆動シュー40の第1溝部44に挿通されており、駆動シュー40に対して相対回動可能に係合している。ここで、全閉時において、前側係合ピン54は後側溝44a内、より具体的にはその後端に位置している。
【0041】
前側支持ピン56は、前後方向において前側連結ピン52と前側係合ピン54との間であって、これらよりも下側に位置する頂点近傍においてリンク部材本体51bの側面から車幅方向に突出した態様にて設けられている。また、前側支持ピン56は、前述した前側ガイド部材30内に挿通されている。すなわち、前側支持ピン56は、前側ガイド部材30により回動可能に支持されている。ここで、全閉時において、前側支持ピン56は前側溝部32内、より具体的にはその前端に位置している。
【0042】
規制ピン58は、前側係合ピン54の僅かに下側であって且つ僅かに前側に形成されている。ここで、全閉時においては、規制ピン58はガイドレール20の底部21上に固設された規制ブロック80の前側に位置し、規制ブロック80の前側端面である規制面80aに当接している。規制面80aは前側係合ピン54の直下に位置している。また、規制ブロック80は、規制面80aの上端から斜め後上方に延びるガイド面80bを有している。
【0043】
後側リンク部材60は、平板状であって側面視において略三角形状をなすリンク部材本体61と、リンク部材本体61の側面から車幅方向に突出する3つのピン(後側連結ピン62、後側係合ピン64、及び後側支持ピン66)とを有している。ここで、全閉時においては、リンク部材本体61はその長辺に相当する部位が前後方向に沿った姿勢となる。
【0044】
後側連結ピン62は、リンク部材本体61の最も後側に位置する頂点近傍に設けられている。また、後側連結ピン62は、機能ブラケット70の後部に形成された後側回動部74に対して相対回動可能に連結されている。
【0045】
後側支持ピン66は、リンク部材本体61の最も前側に位置する頂点近傍に設けられている。また、後側支持ピン66は、ガイドレール20に回動可能に支持されている。
後側係合ピン64は、前後方向において後側連結ピン62と後側係合ピン64との間であって、これらよりも下側に位置する頂点近傍に設けられている。また、後側係合ピン64は、前述した駆動シュー40の第2溝部46に挿通されている。ここで、全閉時において後側係合ピン64は後側前後溝46a内、より具体的にはその後端に位置している。
【0046】
図3に、全閉状態におけるサンルーフ装置10について、車幅方向右側の前端部を中心とした平面構造を示す。
図3に示すように、サンルーフ装置10には、車幅方向に離間して設けられる一対のガイドレール20を、それらの前端部において連結する前側ハウジング110が設けられている。前側ハウジング110は、車幅方向に延びる横部111と、前後方向に延びるとともに前側リンク部材50や前側ガイド部材30よりも外側に位置する縦部112と、これら横部111と縦部112とを接続するとともに所定の曲率半径をもって湾曲した角部113を有している。
【0047】
リンク部材本体51bは前側ガイド部材30よりも外側に位置している。リンク部材前部51aは前側リンク部材50の前端部をなすとともに前側ガイド部材30よりも内側に位置している。また、リンク部材前部51aの後端とリンク部材本体51bの前端とは車幅方向に延びるリンク部材連結部51cにより連結されている。すなわち、前側リンク部材50の前端に位置する前側連結ピン52は、リンク部材本体51bよりも内側にオフセットされている。
【0048】
ここで、角部113は、前後方向においてリンク部材本体51bの前端に対応する位置から湾曲し始めるとともに、リンク部材前部51aの前方を通って横部111に連結されている。
【0049】
次に、図4〜図7を参照して、ガイドレール20の内部構造、及びガイドレール20と各種構成との位置関係について詳細に説明する。尚、図4〜図7に、図2のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。
【0050】
図4〜図7に併せ示すように、ガイドレール20は、前側ガイド部材30の配設部位を除いて基本的には前後方向におけるいずれの位置においても同一の形状を有している。具体的には、ガイドレール20は、最も下側に位置する底部21と、底部21の外側端部に連結されて斜め上外方に延びる外側傾斜壁部22aと、外側傾斜壁部22aの上端から上方に延びる外側壁部22bと、底部21の内側端部に連結されて上方に延びる内側壁部23とを有している。尚、底部21の内側端部は、車幅方向において可動パネル12の右側縁部12bよりも内側に位置し、底部21の外側端部は、ルーフパネル1のフランジ部1bよりも外側に位置している。
【0051】
図4に示すように、ルーフパネル1のフランジ部1bと可動パネル12の右側縁部12bとの間には、これらの間をシールするウェザーストリップ90が設けられている。また、上述した駆動シュー40はウェザーストリップ90の下方に位置している。
【0052】
外側壁部22bの上端には、ウェザーストリップ90を挟持するための挟持部25が連結されている。挟持部25は、外側壁部22bの上端から内側に向けて延びる横壁部25a、同上端から上方に延びる外側縦壁部25b、横壁部25aの内側端から上方及び下方に延びる内側縦壁部25c、及び内側縦壁部25cの側面から内側に向けて延びる延設部25dを有している。ここで、外側縦壁部25bと内側縦壁部25cとの対向空間にフランジ部1bが位置している。
【0053】
外側壁部22bの下端には、内側に向けて延びる第1仕切壁部24aが形成されている。第1仕切壁部24aの内側端には、上方に向けて延びる第2仕切壁部24bが形成されている。第2仕切壁部24bの側面には、内側に延びる第3仕切壁部24cが形成されている。また、横壁部25aの下面には、下方に延びる第4仕切壁部24dが形成されている。第3仕切壁部24cの内側端は、挟持部25の内側縦壁部25cの直下に位置している。また、第2仕切壁部24bは、第4仕切壁部24dの直下に位置している。
【0054】
ここで、内側縦壁部25c、横壁部25a、第4仕切壁部24d、第2仕切壁部24b、第3仕切壁部24cによって、後述する駆動シュー40の係合突部48と係合して駆動シュー40をガイドする第1ガイド部27が形成される。また、第2仕切壁部24b、第1仕切壁部24a、外側壁部22b、横壁部25a、及び第4仕切壁部24dによってベルト100を支持するベルト支持部28が形成される。
【0055】
一方、図4及び図5に併せ示すように、内側壁部23の上端には、内側に向けて延びる第1支持壁部26aが形成されている。第1支持壁部26aの内側端には、上方に延びる第2支持壁部26bが形成されている。第2支持壁部26bの上端には、外側に向けて延びる第3支持壁部26cが形成されている。また、第3支持壁部26cの外側端は、内側壁部23よりも内側に位置している。
【0056】
ここで、第1支持壁部26a、第2支持壁部26b、第3支持壁部26cによって、前側リンク部材50の前側支持ピン56及び後側リンク部材60の後側支持ピン66を支持する支持壁部26が形成される。ここで、図4〜図7に併せ示すように、支持壁部26は可動パネル12の外側端面よりも内側に位置している。また、前側リンク部材50は車幅方向においてガイドレール20の支持壁部26と駆動シュー40との間に位置している。
【0057】
図4に示すように、前側係合ピン54の存在する位置では、上下方向において底部21と第3仕切壁部24cとの間に、規制ブロック80が固設されている。また、車幅方向において内側壁部23と内側縦壁部25c及び第3仕切壁部24cとの間には、前側リンク部材50及び駆動シュー40が位置している。
【0058】
図5に示すように、後側支持ピン66の存在する位置では、車幅方向において内側壁部23と駆動シュー40との間に後側リンク部材60のリンク部材本体61が位置している。ここで、支持壁部26内にはリンク部材本体61の側面から内側に突出する後側支持ピン66が挿通されている。
【0059】
図6に示すように、後側係合ピン64の存在する位置では、シュー本体42の側面から外側に突設された係合突部48が第1ガイド部27により支持されている。具体的には、係合突部48はその先端が基端に比べて上方に拡大されており、この先端と内側縦壁部25cとが係合している。これにより、駆動シュー40の車幅方向及び上下方向における変位が規制されている。
【0060】
また、駆動シュー40の後側前後溝46a内には、後側リンク部材60の後側係合ピン64が挿通されている。
図7に示すように、後側連結ピン62の存在する位置では、機能ブラケット70は後側リンク部材60よりも内側に位置しており、後側連結ピン62を介して後側リンク部材60に連結されている。
【0061】
ここで、図8を参照して、ウェザーストリップ90の構造について説明する。
図8に、図4〜図7に示したウェザーストリップ90を中心とした断面構造を拡大して示す。尚、図8では、取り付けられる前の状態のウェザーストリップ90を二点鎖線にて示している。また、図2において示したウェザーストリップ90と基本的には同一の形状を有している。
【0062】
図8に示すように、ゴム材料により成形されるウェザーストリップ90はルーフパネル1のフランジ部1bを内包する基部91を有している。この基部91は前述した挟持部25により下方から挟持されている。
【0063】
具体的には、基部91は、断面略U字状をなすとともにその内側端(図8において左上端)にシール部97が連結される基部本体92、基部本体92の内部に埋設される断面略U字状の芯金93を有している。ここで、内側縦壁部25cはフランジ部1bよりも内側に位置するとともに、外側縦壁部25bはフランジ部1bよりも外側に位置している。また、基部91には、基部本体92の内周面から斜め下方に延びる複数の突起(内側突起94a,94b、外側突起95)が形成されている。また、基部本体92の外側端(図8において右上端)には上側突起96が連結されている。
【0064】
シール部97は、断面略C字状をなすとともにその両端が基部本体92に連結されるシール部本体98、及びシール部本体98に連結される延設突部99を有している。シール部本体98の内周面と基部本体92の外周面とによって内部空間が形成される。
【0065】
シール部97は、可動パネル12の全閉時にシール部本体98の外周面、特に側面が可動パネル12の右側縁部12bに当接する。また、可動パネル12により押圧されてシール部97が撓んだ状態において、シール部本体98の下面が延設部25dの上面に当接する。
【0066】
次に、図9を参照して、可動パネル12のチルトアップ作動態様について説明する。
図9に、チルトアップ作動の完了した状態におけるサンルーフ装置10について、可動パネル12を中心とした縦断面構造を示す。尚、図9では、先の図2と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて描かれている。
【0067】
図9に示すように、全閉状態から駆動シュー40を後方に移動させると、これに伴い、前側係合ピン54は第1溝部44の後側溝44a内を前方に相対移動する。ただしこのとき、駆動シュー40が後方に移動しても前側リンク部材50は実際には後方に移動しない。
【0068】
一方、このとき、後側係合ピン64は第2溝部46の後側前後溝46a、後側傾斜溝46b、中央前後溝46c内を順に前方向に相対移動する。ここで、第2溝部46は前側ほど上方に位置するものとされているため、駆動シュー40の後方への移動に伴い後側係合ピン64が上方に変位する。また、後側リンク部材60は後方に移動することなく後側支持ピン66を中心に反時計回りに回動する。すなわち、後側リンク部材60は後側支持ピン66がガイドレール20の支持壁部26にガイドされるとともに、後側係合ピン64が第2溝部46にガイドされて変位することで、機能ブラケット70の後端部を上方に持ち上げる。
【0069】
これらのことから、機能ブラケット70は後方に移動することなく前側回動部72を中心に反時計回りに回動してその後端部が上方に変位する、すなわちチルトアップ作動する。
【0070】
ここで、全閉状態からチルトアップ作動が完了するまでは、前側支持ピン56の上方及び下方にはそれぞれ前側溝部32の上側支持面30a及び下側支持面30bが近接しているため、前側支持ピン56は鉛直方向双方において前側ガイド部材30により支持されている。
【0071】
ところで、チルトアップ作動に際して、可動パネル12が前側連結ピン52を中心に回動する。このため、可動パネル12が回動する際に、可動パネル12の前側縁部12aがその前方に位置するウェザーストリップ90を前方に押圧しつつ下方に押し下げることとなる。ここで、ウェザーストリップ90が大きく押圧されることが繰り返されるとウェザーストリップ90の劣化が進行しやすくなるといった不都合が生じる。また、これを回避するためには、ルーフパネル1のフランジ部1bを前方にずらさなければならないといった必要性が生じることとなる。
【0072】
そこで、本実施形態では、可動パネル12の全閉状態において、前側連結ピン52が前後方向において前側縁部12aと前側支持ピン56との間に位置するとともに、上下方向において前側縁部12aと前側支持ピン56との間に位置するものとすることで、上述した不都合を解消するようにしている。
【0073】
次に、図10を参照して、可動パネル12のポップアップ作動態様について説明する。また、図11を参照して、可動パネル12のスライド作動態様について説明する。ポップアップ作動では、可動パネル12のスライド作動に先立ち、チルトアップ作動が完了した状態から可動パネル12を後方に移動させつつ可動パネル12の前端部を更に上昇させる。
【0074】
図10に、ポップアップ作動途中におけるサンルーフ装置10について、可動パネル12を中心とした縦断面構造を示す。また、図11に、スライド作動の完了した状態におけるサンルーフ装置10について、可動パネル12を中心とした縦断面構造を示す。尚、図10及び図11では、先の図2と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて描かれている。
【0075】
図10に示すように、チルトアップ作動の完了した状態から駆動シュー40を後方に移動させると、これに伴い、前側係合ピン54は第1溝部44の後側溝44aから前側溝44bに相対移動して、最終的には前側溝44bの前端まで相対移動する。このとき、規制ピン58は規制ブロック80のガイド面80bに沿って斜め後上方に変位する。またこのとき、前側支持ピン56は前側溝部32内を後方に移動し、前側溝部32の後端まで変位する。これらのことから、前側リンク部材50は、後方に移動しつつ、前側支持ピン56を中心に反時計回りに回動する。すなわち、前側リンク部材50は前側係合ピン54が駆動シュー40の第1溝部44にガイドされ、前側支持ピン56が前側ガイド部材30にガイドされて変位することで、機能ブラケット70の前端部を上方に持ち上げる。
【0076】
一方、このとき、後側係合ピン64は前側傾斜溝46d及び前側前後溝46e内を順に前方に相対移動して、前側前後溝46eの前端まで移動する。ここで、第2溝部46は前側に位置する部位ほど上方に位置するものとされている。このため、駆動シュー40が後方に移動すると、これに伴い後側係合ピン64が上方に変位する。これにより、後側リンク部材60は後方に移動しつつ、後側支持ピン66を中心に反時計回りに回動する。
【0077】
これらのことから、機能ブラケット70は後方に移動しつつ、前側回動部72を中心に反時計回りに回動してその後端部が上方に持ち上げられる。
前側係合ピン54が前側溝44bの前端にて係合しているため、図10に示した状態から駆動シュー40を更に後方に移動させると、これに伴い、前側リンク部材50は駆動シュー40と共に後方に移動する。またこのとき、前側支持ピン56は前側ガイド部材30の傾斜溝部34及び後側溝部36内を順に後方に移動し、後側溝部36の後端まで移動する。これらのことから、前側リンク部材50は、後方に移動しつつ、前側係合ピン54を中心に時計回りに回動する。
【0078】
一方、このとき、後側リンク部材60は、駆動シュー40の後方への移動に伴って後方に移動する。
これらのことから、機能ブラケット70は後方に移動しつつ、後側回動部74を中心に時計回りに回動してその前端部が上方に持ち上げられる。これにより、可動パネル12は前後方向においてルーフパネル1に沿った姿勢となり、ポップアップ作動が完了する。
【0079】
図11に示すように、ポップアップ作動が完了した状態から駆動シュー40を更に後方に移動させると、これに伴い、可動パネル12は後方にスライド作動する。
次に、図12及び図13を参照して、ガイドレール20と各種構成との位置関係について詳細に説明する。尚、図12及び図13に、図11のE−E線、F−F線に沿った縦断面構造をそれぞれ示す。
【0080】
図12に示すように、前側支持ピン56の存在する位置では、ガイドレール20の支持壁部26内に前側支持ピン56が挿通されている。前側ガイド部材30の後側溝部36の後端には支持壁部26が接続されている。このため、前側支持ピン56は後側溝部36から支持壁部26に移動することとなる。ここで、図12に示すように、前側リンク部材50の前側支持ピン56が可動パネル12の外側端面よりも内側に位置するものとなっている。
【0081】
図13に示すように、規制ピン58の存在する位置では、前側リンク部材50の下部から外側に突出した規制ピン58が、第1ガイド部27により支持されている。このとき、規制ピン58の上面にはシュー本体42の下面が当接している。
【0082】
尚、上記実施形態において、規制ピン58が本発明に係る規制突部に相当する。また、後側リンク部材60が本発明に係る昇降機構に相当する。また、挟持部25が本発明に係る保持部に相当する。
【0083】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ガイドレール20の支持壁部26及び前側リンク部材50の前側支持ピン56の双方が可動パネル12の外側端面よりも内側に位置するものとしている。また、駆動シュー40はウェザーストリップ90の下方に位置するものとしている。また、前側リンク部材50は車幅方向においてガイドレール20の支持壁部26と駆動シュー40との間に位置するものとしている。このように、鉛直方向における前側リンク部材50の変位量を規定する前側支持ピン56が、可動パネル12の外側端面よりも内側に位置するものとされるため、前側支持ピン56がウェザーストリップ90に干渉することはない。すなわち、前側リンク部材50によってウェザーストリップ90の形状が制約を受けることを回避することができる。従って、ルーフパネル1の車両前後方向に延びるフランジ部1bに対するウェザーストリップ90の取付態様を変更した場合であれ、前側リンク部材50とウェザーストリップ90との過度の干渉を回避することができるようになる。
【0084】
(2)本実施形態では、前側支持ピン56はリンク部材本体51bから内側に突出する態様にて設けられるものとしている。前側支持ピン56が駆動シュー40に干渉することを的確に抑制することができるようになる。
【0085】
(3)本実施形態では、駆動シュー40はシュー本体42から外側に突出する係合突部48を有し、ガイドレール20にはウェザーストリップ90の直下、具体的には、挟持部25の直下に係合突部48と係合して駆動シュー40をガイドする第1ガイド部27が形成されるものとしている。これにより、挟持部25の下方のスペースを有効に活用することができ、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制することができるようになる。
【0086】
(4)本実施形態では、ガイドレール20にはウェザーストリップ90の直下、具体的には、挟持部25の直下であって第1ガイド部27の車幅方向外側に駆動シュー40を駆動するベルト100を支持するベルト支持部28が形成されるものとしている。これにより、挟持部25の下方のスペースを有効に活用することができ、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制することができるようになる。
【0087】
(5)本実施形態では、前側リンク部材50は、リンク部材本体51bから外側に突出する突部であって前側係合ピン54よりも前側且つ下側に位置する規制ピン58を有するものとした。また、ガイドレール20には、可動パネル12の全閉状態において規制ピン58の後側に位置して前側リンク部材50の後方への移動を規制する規制面80aと、可動パネル12の開閉作動に際して規制ピン58の変位をガイドするガイド面80bとが形成されるものとした。また、ガイド面80bの後側には第1ガイド部27が接続されるものとした。こうした構成によれば、可動パネル12の全閉状態においては、規制ピン58の後側への変位が規制面80aにより規制される。また、可動パネル12の開閉作動に際しては、規制ピン58の変位がガイド面80b及び第1ガイド部27によりガイドされる。すなわち、前側リンク部材50の移動を規制する規制面80a及びガイドするガイド面80bと、駆動シュー40の変位をガイドする第1ガイド部27とが車幅方向において同一の位置に設けられる。従って、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制することができるようになる。
【0088】
(6)本実施形態では、ガイドレール20にはルーフパネル1のフランジ部1bの直下に位置するとともにウェザーストリップ90を保持する挟持部25を有するものとしている。このように、フランジ部1bの直下に挟持部25が設けられることで、挟持部25の下方のスペースが制限される構成であれ、ウェザーストリップ90及び挟持部25と、前側リンク部材50との的確な配置を両立させることができるようになる。
【0089】
(7)本実施形態では、リンク部材本体51bは前側係合ピン54及び前側支持ピン56を有するとともに前側ガイド部材30よりも外側に位置し、前側連結ピン52は前側リンク部材50の前側の端部をなすとともに前側ガイド部材30よりも内側に位置するものとしている。これにより、前側リンク部材50の前端部に位置する前側連結ピン52が前側係合ピン54及び前側支持ピン56を有するリンク部材本体51bよりも内側にオフセットされる。このため、このようにオフセットされない構成に比べて、サンルーフ装置10の前端部の形状、特に車幅方向に離間して設けられる一対のガイドレール20をそれらの前端部において連結する前側ハウジング110についてその角部113の曲率半径を大きくすることができ、前側ハウジング110の軽量化を図ることができるようになる。従って、前側ハウジング110の設計自由度を向上させることができるようになる。
【0090】
(8)本実施形態では、ガイドレール20は前側リンク部材50の前側支持ピン56と後側支持ピン66の双方を共通の支持壁部26により支持するものとしている。こうした構成によれば、ガイドレール20に設けられる支持壁部26の前側において前側リンク部材50の前側支持ピン56が支持され、支持壁部26の車両後側において後側リンク部材60の後側支持ピン66が支持される。従って、これら前側支持ピンを支持する部位と後側支持ピンを支持する部位とを車幅方向において離間して配置する構成に比べて、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制することができるようになる。
[第2実施形態]
以下、図14〜図17を参照して、本発明に係るルーフ装置の第2実施形態について詳細に説明する。
【0091】
本実施形態では、前側ガイド部材230の溝の形状、駆動シュー240の溝の形状、及び前側リンク部材250の形状、具体的には前側回動ピン259を備える構造であることが、先の第1実施形態と相違している。そこで、以下においては、相違点を中心に説明する。また、先の第1実施形態と同一又は対応する部材については「200」を加算した符号を付すことにより、重複する説明を割愛している。
【0092】
図14に、全閉状態におけるサンルーフ装置210について、可動パネル212を中心とした縦断面構造を示す。尚、図14では、説明の便宜上、各構成部材を互いに異なる線種にて記載している。また、図14では機能ブラケットが割愛されている。
【0093】
図14に示すように、前側ガイド部材230には、後上方に向けて湾曲しつつ延びる湾曲溝232が形成されている。湾曲溝232の下端には前側支持ピン256が挿通されている。
【0094】
シュー本体242の内側の側面には、前後方向に延びる態様にて1つの溝部244が形成されている。
溝部244は、前後方向に延びる第1前後溝244a、第1前後溝244aの前端に接続されて斜め前上方に延びる第1傾斜溝244b、第1傾斜溝244bの前端に接続されて前後方向に延びる第2前後溝244c、及び第2前後溝244cの前端に接続されて斜め前上方に延びる第2傾斜溝244dを有している。また、溝部244は、第2傾斜溝244dの前端に接続されて前後方向に延びる第3前後溝244e、第3前後溝244eの前端に接続されて斜め前下方に延びる第3傾斜溝244f、及び第3傾斜溝244fの前端に接続されて下方に延びる上下溝244gを有している。尚、第1前後溝244aの後端及び上下溝244gの下端は共に閉塞されている。
【0095】
前側リンク部材250のリンク部材本体251bには、前後方向において前側連結ピン252と前側係合ピン254との間に位置する前側回動ピン259が設けられている。
ここで、前側係合ピン254は第3前後溝244e内に挿通されている。また、後側係合ピン264は第1前後溝244a内に挿通されている。
【0096】
また、前側回動ピン259及び後側支持ピン266は、ガイドレール220の支持壁部226により支持されている。
次に、図15を参照して、可動パネル212のチルトアップ作動態様について説明する。
【0097】
図15に、チルトアップ作動の完了した状態におけるサンルーフ装置210について、可動パネル212を中心とした縦断面構造を示す。尚、図15では、先の図2と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて描かれている。
【0098】
図15に示すように、全閉状態から駆動シュー240を後方に移動させると、これに伴い、前側係合ピン254は第3前後溝244e内を前方に相対移動する。ただしこのとき、駆動シュー240が後方に移動しても前側リンク部材250は実際には後方に移動しない。
【0099】
一方、このとき、後側係合ピン264は第1前後溝244a、第1傾斜溝244b、及び第2前後溝244c内を順に前方向に相対移動する。ここで、これらの溝244a,244b,244cは前側ほど上方に位置するものとされているため、駆動シュー240の後方への移動に伴い後側係合ピン264が上方に変位する。また、後側リンク部材260は後方に移動することなく後側支持ピン266を中心に反時計回りに回動する。すなわち、後側リンク部材260は後側支持ピン266がガイドレール20の支持壁部226にガイドされるとともに、後側係合ピン264が溝部244にガイドされて変位することで、可動パネル212の後端部を上方に持ち上げる。
【0100】
これらのことから、可動パネル212は後方に移動することなくその前端部を中心に反時計回りに回動してその後端部が上方に変位する、すなわちチルトアップ作動する。
次に、図16を参照して、可動パネル212のポップアップ作動態様について説明する。
【0101】
図16に、ポップアップ作動の完了した状態におけるサンルーフ装置210について、可動パネル212を中心とした縦断面構造を示す。尚、図16では、先の図14と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて描かれている。
【0102】
図16に示すように、チルトアップ作動の完了した状態から駆動シュー240を後方に移動させると、これに伴い、前側係合ピン254は、第3前後溝244e、第3傾斜溝244fから上下溝244gに移動して、最終的には上下溝244gの下端まで移動する。このとき、前側支持ピン256は湾曲溝232内を後上方に移動し、湾曲溝232の後端まで変位する。
【0103】
これらのことから、前側リンク部材250は、後方に移動しつつ、前側回動ピン259を中心に時計回りに回動する。すなわち、前側リンク部材250は前側係合ピン254が駆動シュー40にガイドされ、前側支持ピン256が前側ガイド部材30にガイドされて変位することで、可動パネル212の前端部を上方に持ち上げる。
【0104】
一方、このとき、後側係合ピン264は第2前後溝244c及び第2傾斜溝244d内を順に前方に相対移動して、第3前後溝244eの後端まで移動する。ここで、これらの溝244c,244d,244eは前側に位置する部位ほど上方に位置するものとされている。このため、駆動シュー240が後方に移動すると、これに伴い後側係合ピン264が上方に変位する。これにより、後側リンク部材260は後方に移動しつつ、後側支持ピン266を中心に反時計回りに回動する。
【0105】
これらのことから、可動パネル212は、後方に移動しつつ、前後方向において固定パネル213に沿った姿勢となり、ポップアップ作動が完了する。
図16に示した状態から駆動シュー240を更に後方に移動させると、これに伴い、図17に示すように、可動パネル212は後方にスライド作動する。
【0106】
以上詳述したように、本実施形態によれば、先の第1実施形態の効果(1)〜(4)、(6)〜(8)に準じた効果が得られるようになる。
[第3実施形態]
以下、図18〜図21を参照して、本発明に係るルーフ装置の第3実施形態について詳細に説明する。
【0107】
本実施形態では、前側ガイド部材330の溝の形状、前側リンク部材350の構造、具体的には前側回動ピン359を備える構造であることが、先の第1実施形態と相違している。また、駆動シュー340の溝の形状、及び前側リンク部材350の構造が、先の第2実施形態と相違している。そこで、以下においては、相違点を中心に説明する。また、先の第1実施形態と同一又は対応する部材については「300」を加算した符号を付すことにより、重複する説明を割愛している。
【0108】
図18に、全閉状態におけるサンルーフ装置310について、可動パネル312を中心とした縦断面構造を示す。尚、図18では、説明の便宜上、各構成部材を互いに異なる線種にて記載している。また、図18では機能ブラケットが割愛されている。
【0109】
図18に示すように、前側ガイド部材330は、先の第2実施形態と基本的には同一の構造を有している。
駆動シュー340には、シュー本体242の内側の側面に、先の第1実施形態と基本的には同一の形状を有する第1溝部344及び第2溝部346が形成されている。
【0110】
前側リンク部材350は、略平板状であって側面視において略三角形状をなしている。ここで、全閉時においては、前側リンク部材350はその長辺に相当する部位が前後方向に沿った姿勢となる。
【0111】
前側リンク部材350は、大きくは、前側連結ピン352が設けられるリンク部材前部351aと、前側係合ピン354、前側支持ピン356、及び前側回動ピン359が設けられるリンク部材本体351bと、これらリンク部材前部351aとリンク部材本体351bとを連結するリンク部材連結部(図示略)とからなる。
【0112】
前側連結ピン352は、前側リンク部材50の最も前側に位置する頂点近傍においてリンク部材前部351aの側面から内側に突出した態様にて設けられている。
前側回動ピン359は、前側リンク部材350の最も後側に位置する頂点近傍においてリンク部材本体351bの側面から内側に突出した態様にて設けられている。また、前側回動ピン359は、ガイドレール320の支持壁部326に支持されている。
【0113】
前側支持ピン356は、前後方向において前側連結ピン352と前側回動ピン359との間であって、これらよりも下側に位置する頂点近傍においてリンク部材本体351bの側面から内側に突出した態様にて設けられている。また、前側支持ピン356は、前述した前側ガイド部材330内に挿通されている。ここで、全閉時において、前側支持ピン356は湾曲溝332内、より具体的にはその下端に位置している。
【0114】
前側係合ピン354は、前後方向及び上下方向において前側支持ピン356と前側係合ピン354との間においてリンク部材本体351bの側面から外側に突出した態様にて設けられている。また、前側係合ピン354は、前述した駆動シュー340の第1溝部344に挿通されており、駆動シュー340に対して相対回動可能に係合している。ここで、全閉時において、前側係合ピン354は後側溝344a内、より具体的にはその後部に位置している。
【0115】
また、後側支持ピン366は、ガイドレール320の支持壁部326により支持されている。
次に、図19を参照して、可動パネル312のチルトアップ作動態様について説明する。
【0116】
図19に、チルトアップ作動の完了した状態におけるサンルーフ装置310について、可動パネル312を中心とした縦断面構造を示す。尚、図19では、先の図18と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて描かれている。
【0117】
図19に示すように、全閉状態から駆動シュー340を後方に移動させると、これに伴い、前側係合ピン354は後側溝344a内を前方に相対移動する。
一方、このとき、後側係合ピン364は、後側前後溝346a、後側傾斜溝346b、及び中央前後溝346c内を順に前方向に相対移動するとともに、上方に変位する。また、後側リンク部材360は後方に移動することなく後側支持ピン366を中心に反時計回りに回動する。これにより、可動パネル312の後端部が上方に持ち上げられる。
【0118】
これらのことから、可動パネル312は後方に移動することなくその前端部を中心に反時計回りに回動してその後端部が上方に変位する、すなわちチルトアップ作動する。
次に、図20を参照して、可動パネル312のポップアップ作動態様について説明する。
【0119】
図20に、ポップアップ作動の完了した状態におけるサンルーフ装置310について、可動パネル312を中心とした縦断面構造を示す。尚、図20では、先の図18と同様に、各構成部材が互いに異なる線種にて描かれている。
【0120】
図20に示すように、チルトアップ作動の完了した状態から駆動シュー340を後方に移動させると、これに伴い、前側係合ピン354は、後側溝344aから前側溝344bに移動して、最終的には後側溝344aの上端まで移動する。このとき、前側支持ピン356は湾曲溝332内を後上方に移動し、湾曲溝332の後端まで変位する。
【0121】
これらのことから、前側リンク部材350は、後方に移動しつつ、前側回動ピン359を中心に時計回りに回動する。これにより、可動パネル212の前端部が上方に持ち上げられる。
【0122】
一方、このとき、後側係合ピン364は、中央前後溝346c及び前側傾斜溝346d内を順に前方に相対移動して、前側前後溝346eの後端まで移動する。また、後側係合ピン364が上方に変位することにより、後側リンク部材360は後方に移動しつつ、後側支持ピン366を中心に反時計回りに回動する。
【0123】
これらのことから、可動パネル312は、後方に移動しつつ、前後方向において固定パネル313に沿った姿勢となり、ポップアップ作動が完了する。
図20に示した状態から駆動シュー340を更に後方に移動させると、これに伴い、図21に示すように、可動パネル312は後方にスライド作動する。
【0124】
以上詳述したように、本実施形態によれば、先の第1実施形態の効果(1)〜(4)、(6)〜(8)に準じた効果が得られるようになる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0125】
・上記第1実施形態によるように、ガイドレール20を、前側支持ピン56と後側支持ピン66の双方を共通の支持壁部26により支持するものとすることが、ガイドレールの車幅方向における大きさの増大を抑制する上では望ましい(第2、第3実施形態についても同様)。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、前側支持ピンを支持する部位と、後側支持ピンを支持する部位とが異なるものとすることもできる。
【0126】
・上記各実施形態によるように、リンク部材本体51bを、前側係合ピン54及び前側支持ピン56を有するとともに前側ガイド部材30よりも外側に位置し、前側連結ピン52は前側リンク部材50の前側の端部をなすとともに前側ガイド部材30よりも内側に位置するものとすることが、前側ハウジング110の角部113の曲率半径を大きくして前側ハウジング110の軽量化を図る上では望ましい。しかしながら、本発明に係る前側リンク部材は上記実施形態において例示したものに限定されるものではなく、前側連結ピンを前側リンク部材の本体と共に前側ガイド部材よりも車幅方向外側に位置するものとすることもできる。
【0127】
・上記各実施形態では、ウェザーストリップ90の基部91が内側縦壁部25c及び外側縦壁部25bの双方とフランジ部1bとにより挟持される構成について例示したが、ウェザーストリップの基部を保持する保持部の構成はこれに限られるものではない。他に例えば、内側縦壁部25cを割愛し、外側縦壁部25bとフランジ部1bとにより基部91を挟み込む態様にてこれを保持する構造を採用することもできる。また、外側縦壁部25bを割愛し、内側縦壁部25cとフランジ部1bとにより基部91を挟み込む態様にてこれを保持する構造を採用することもできる。
【0128】
・本発明に係るウェザーストリップの基部の構造は上記各実施形態において例示したものに限定されるものではなく、基部本体92の内周面に形成される突起の数や配設位置を適宜変更することもできる。
【0129】
・上記各実施形態によるように、規制ブロック80のガイド面80bの後側に第1ガイド部27が接続される構造を採用して、ガイド面80bと第1ガイド部27とを車幅方向において同一の位置とすることが、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制する上では望ましい。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、規制面の後側に第1ガイド部が接続されない構成であってもよい。すなわち、規制面と第1ガイド部とが車幅方向において異なる位置に設けられるものであってもよい。
【0130】
・上記各実施形態によるように、ガイドレール20において挟持部25の直下であって第1ガイド部27の車幅方向外側にベルト支持部28を設けることが、挟持部25の下方のスペースを有効に活用して、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制する上では望ましい。しかしながら、駆動シューを駆動するベルトの収納位置はこれに限られるものではなく、他に例えば駆動シューの下方にベルトを収納するようにしてもよい。また、前後方向において駆動シューとベルトとが重なり合わないようにベルトを配置することもできる。
【0131】
・上記各実施形態によるように、ガイドレール20において挟持部25の直下に係合突部48と係合して駆動シュー40をガイドする第1ガイド部27を設けることが、挟持部25の下方のスペースを有効に活用して、ガイドレール20の車幅方向における大きさの増大を的確に抑制する上では望ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、係合突部がシュー本体から上方に延びる態様にて設けられる場合には、そうした係合突部を支持する部位をガイドレールに設けるようにすればよい。
【0132】
・上記各実施形態によるように、シュー本体42をリンク部材本体51bの外側に位置するものとすることが、車室内における可動パネル12の開口幅が小さくなることを抑制する上では望ましい。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、シュー本体を前側リンク部材の本体の内側に位置するものとしてもよい。またこの場合には、前側支持ピンを前側リンク部材の本体から外側に突出する態様にて設けるようにすればよい。これにより、前側支持ピンが駆動シューに干渉することを的確に抑制することができるようになる。
【0133】
・上記各実施形態では、フランジ部1bの直下に位置するとともにウェザーストリップ90を保持する挟持部25(保持部)をガイドレール20に設けるようにした。しかしながら、本発明に係るウェザーストリップの取付構造はこれに限定されるものではない。要するに、ルーフパネルの前後方向に延びる開口縁部と可動パネルの縁部との間をシールするウェザーストリップであって、同開口縁部に取り付けられるものであれば、その取付構造として任意の構造を採用することができる。
【0134】
・本発明に係る昇降機構は、上記実施形態にて例示した後側リンク部材60に限られるものではない。他に例えば、前側リンク部材を駆動する駆動シューとは別の駆動シューによって後側リンク部材を昇降させるようにしてもよい。この場合、前側リンク部材の駆動シューの移動に連動して後側リンク部材のシューを駆動するようにすればよい。
【0135】
次に、上記各実施形態及び変形例から把握することのできる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項7に記載のルーフ装置において、ルーフパネルの本体から鉛直方向下方に延びるフランジ部が前記ルーフパネルの開口縁部をなし、前記ウェザーストリップは前記フランジ部を内包する基部を有し、前記保持部は、鉛直方向に沿って延びる縦壁部であって前記フランジ部よりも車幅方向内側に位置する内側縦壁部及び外側に位置する外側縦壁部の少なくとも一方を有し、前記基部は、前記内側縦壁部及び前記外側縦壁部の少なくとも一方と前記フランジ部とにより挟持されてなることを特徴とするルーフ装置。
【0136】
(ロ)請求項1〜請求項7のいずれか一項、又は上記技術的思想(イ)に記載のルーフ装置において、前記前側リンク部材は、前記機能ブラケットの前部に相対回動可能に連結される連結部、同連結部よりも車両後側に位置するとともに前記駆動シューに相対回動可能に係合するとともに同駆動シューの移動に伴い変位がガイドされる係合部、及び同係合部よりも車両前側に位置するとともに前記ガイドレールにより回動可能に支持される支持部を有し、前記ガイドレールに設けられるとともに前記可動パネルの開閉作動に際して前記支持部の変位をガイドする前側ガイド部材を備え、前記前側リンク部材の本体は前記係合部及び前記支持部を有するとともに前記前側ガイド部材よりも車幅方向外側に位置し、前記連結部は前記前側リンク部材の車両前側の端部をなすとともに前記前側ガイド部材よりも車幅方向内側に位置してなることを特徴とするルーフ装置。
【0137】
同構成によれば、前側リンク部材の前端部に位置する連結部が係合部及び支持部を有する本体よりも車幅方向内側にオフセットされる。このため、このようにオフセットされない構成に比べて、ルーフ装置の前端部の形状、特に車幅方向に離間して設けられる一対のガイドレールをそれらの前端部において連結するハウジングについてその角部の曲率半径を大きくすることができ、ハウジングの軽量化を図ることができるようになる。従って、ハウジングの設計自由度を向上させることができるようになる。
【0138】
(ハ)請求項1〜請求項7のいずれか一項、又は上記技術的思想(イ)、又は上記技術的思想(ロ)に記載のルーフ装置において、前記昇降機構として、前記機能ブラケットの後部に相対回動可能に連結される後側連結部、同後側連結部よりも車両前側に位置するとともに前記駆動シューに相対回動可能に係合するとともに同駆動シューの移動に伴い変位がガイドされる後側係合部、及び同後側係合部よりも車両前側に位置するとともに前記ガイドレールにより回動可能に支持される後側支持部を有する後側リンク部材を備え、前記ガイドレールは前記前側リンク部材の支持部と前記後側支持部の双方を共通の支持壁部により支持してなることを特徴とするルーフ装置。
【0139】
同構成によれば、可動パネルの全閉状態から駆動シューを後方に移動させると、これに伴い、後側リンク部材は後側支持部がガイドレールに支持されるとともに、後側係合部が駆動シューにガイドされて機能ブラケットの後端部が上方に持ち上げられる(チルトアップモード)。
【0140】
次に、チルトアップ作動が完了した状態から駆動シューを更に後方に移動させると、これに伴い、後側リンク部材は後側支持部がガイドレールに支持されるとともに後側係合部が駆動シューにガイドされて機能ブラケットの後端部が上方に更に持ち上げられる(ポップアップ完了)。
【0141】
ここで、上記構成によれば、ガイドレールに設けられる支持壁部の車両前側において前側リンク部材の支持部が支持され、同支持壁部の車両後側において後側リンク部材の後側支持部が支持される。従って、これら支持部を支持する部位と後側支持部を支持する部位とを車幅方向において離間して配置する構成に比べて、ガイドレールの車幅方向における大きさの増大を的確に抑制することができるようになる。
【符号の説明】
【0142】
1…ルーフパネル、1a…パネル本体、1b…フランジ部(開口縁部)、2…開口部、10…サンルーフ装置(ルーフ装置)、12…可動パネル、20…ガイドレール、24…仕切壁部、25…挟持部(保持部)、25b…外側縦壁部、25c…内側縦壁部、26…支持壁部、27…第1ガイド部、28…ベルト支持部、30…前側ガイド部材、40…駆動シュー、42…シュー本体、48…係合突部、50…前側リンク部材、51a…リンク部材前部、51b…リンク部材本体、51c…リンク部材連結部、52…前側連結ピン(連結部)、54…前側係合ピン(係合部)、56…前側支持ピン(支持部)、58…規制ピン(規制突部)、60…後側リンク部材(昇降機構)、61…リンク部材本体、62…後側連結ピン(後側連結部)、64…後側係合ピン(後側係合部)、66…後側支持ピン(後側支持部)、70…機能ブラケット、72…前側回動部、74…後側回動部、80…規制ブロック、80a…規制面、80b…ガイド面、90…ウェザーストリップ、91…基部、100…ベルト、110…前側ハウジング、113…角部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルの開口部に設けられる可動パネルを開閉作動させるとともに、前記開閉作動のモードとしてチルトアップモードとスライドモードとを含むルーフ装置であって、
前記ルーフパネルに固定されるとともに車両前後方向に延びるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って車両前後方向に移動するように駆動される駆動シューと、
前記可動パネルを支持する機能ブラケットと、
前記機能ブラケットの前部に相対回動可能に連結されるとともに前記ガイドレールの支持壁部に回動可能に支持される支持部を有し、前記駆動シューの移動に伴い自身が変位することで前記機能ブラケットの前部を作動させる前側リンク部材と、
前記機能ブラケットの後部に連結されるとともに前記駆動シューの移動に伴い同機能ブラケットの後部を昇降させる昇降機構と、
前記ルーフパネルの車両前後方向に延びる開口縁部に取り付けられるとともに同開口縁部と前記可動パネルの縁部との間をシールするウェザーストリップと、を備え、
前記ガイドレールの支持壁部及び前記前側リンク部材の支持部の双方は前記可動パネルの車幅方向外側端面よりも車幅方向内側に位置し、
前記駆動シューは前記ウェザーストリップの鉛直方向下方に位置し、
前記前側リンク部材は車幅方向において前記ガイドレールの支持壁部と前記駆動シューとの間に位置してなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフ装置において、
前記支持部は前記前側リンク部材の本体から車幅方向内側に突出する態様にて設けられてなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のルーフ装置において、
前記駆動シューはその本体から車幅方向外側に突出する係合突部を有し、
前記ガイドレールには前記ウェザーストリップの直下に前記係合突部と係合して前記駆動シューをガイドする第1ガイド部が形成されてなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のルーフ装置は、
前記ガイドレールには前記ウェザーストリップの直下であって前記第1ガイド部の車幅方向外側に前記駆動シューを駆動するベルトを支持するベルト支持部が形成されてなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のルーフ装置において、
前記前側リンク部材は、その本体から車幅方向外側に突出する突部である規制突部を有し、
前記ガイドレールには、前記可動パネルの全閉状態において前記規制突部の車両後側に位置して前記前側リンク部材の後方への移動を規制する規制面と、前記可動パネルの開閉作動に際して前記規制突部の変位をガイドするガイド面とが形成され、
前記ガイド面の車両後側には前記第1ガイド部が接続されてなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のルーフ装置において、
前記前側リンク部材は、前記機能ブラケットの前部に相対回動可能に連結される連結部、同連結部よりも車両後側に位置するとともに前記駆動シューに相対回動可能に係合するとともに同駆動シューの移動に伴い変位がガイドされる係合部を有し、前記支持部は同係合部よりも車両前側に位置し、
前記ガイドレールに設けられるとともに前記可動パネルの開閉作動に際して前記支持部の変位をガイドする前側ガイド部材を備えてなる
ことを特徴とするルーフ装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のルーフ装置において、
前記ガイドレールには前記ルーフパネルの開口縁部の鉛直方向直下に位置するとともに前記ウェザーストリップを保持する保持部を有してなる
ことを特徴とするルーフ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−96766(P2012−96766A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248697(P2010−248697)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】