説明

レイヤ2スイッチ切替回路、基地局装置、およびレイヤ2スイッチ切替方法

【課題】各カードのIPパケットの送信先を、専用装置を設けることなく切替えるとともに、同一構成で現用予備方式および両現用方式の両方に対応させる。
【解決手段】レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101は、自己が運用状態/待機状態のいずれであるかを示す状態信号を信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011に送出する。カード(#A〜#C)100A〜100Cは、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011を伝達される状態信号を基にレイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101が運用状態/待機状態のいずれであるかを監視し、監視結果に応じてIPパケットの送信先をレイヤ2スイッチSW(#0)2100またはレイヤ2スイッチSW(#1)2101に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカード間で2つのレイヤ2スイッチのいずれかを経由してIPパケットを伝達する基地局装置等において、各カードのIPパケットの送信先を2つのレイヤ2スイッチのいずれかに切替えるためのレイヤ2スイッチ切替回路、基地局装置、およびレイヤ2スイッチ切替方法に関する。なお、レイヤ2スイッチとは、IPパケットのレイヤ2(データリンク層)のデータに応じてIPパケットを該当するカードに配信するスイッチである。
【背景技術】
【0002】
一般に、冗長構成には、2つの系を全て現用系とする両現用方式と、一方の系を現用系とし他方の系を予備系とする現用予備方式とがある(現用予備方式については、特許文献1〜4参照)。
【0003】
両現用方式と現用予備方式は、システムに応じて使い分ける必要がある。たとえば、伝送路を終端する終端ユニットは、伝送路毎に設置されるのが一般的である。複数の伝送路が設けられたシステムの場合、伝送路および終端ユニットを1組とする系を全て現用系として両現用方式とする。ただし、伝送路を1本しか設けることができない場合は、1本の伝送路に対して終端ユニットを複数設けて、終端ユニットのみを冗長構成とする場合がある。この場合、複数の終端ユニットは、いずれか1つの終端ユニットが現用系となり、それ以外の終端ユニットが予備系となる現用予備方式としてふるまうことになる。
【0004】
このように、同一のシステムにおいても、伝送路の状況に応じて、両現用方式または現用予備方式のいずれにも対応できなければならない。レイヤ2スイッチは、通常、システム内のカードから受信したIPパケットを該当するカードに配信することを行うが、それ以外に、伝送路からのIPパケットを該当するカードに配信することも行うため、終端ユニット内に実装する場合がある。そのため、レイヤ2スイッチは、両現用方式または現用予備方式のいずれにも対応する必要がある。
【特許文献1】特開平02−246646号公報
【特許文献2】特開平05−344144号公報
【特許文献3】特開平09−135244号公報
【特許文献4】特開2003−234757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1〜4に開示された技術は、いずれも現用予備方式にのみ対応するものであり、両現用方式に対応するものではなかった。また、現用系で運用状態であったレイヤ2スイッチに障害等が発生した場合、各カードは、IPパケットの送信先を、他の現用系のレイヤ2スイッチや予備系のレイヤ2スイッチに切替える必要があるが、従来、IPパケットの送信先となるレイヤ2スイッチを切替えるためには、特許文献4に開示されているコントローラのような専用装置が必要であった。
【0006】
また、IPパケットの送信先となるレイヤ2スイッチを切替える場合において、一般的に、レイヤ2スイッチの内部にはIPパケットを滞留させるバッファが存在しているため、切替え前まで運用状態であったレイヤ2スイッチには過去のIPパケットが残ってしまい、パケットロスが発生してしまう。このようなパケットロスを抑える方法としては、切替先のレイヤ2スイッチにIPパケットのレプリカを常に送り込む方法があるが、切替え中にIPパケットのダブリが起きる危険性がある。
【0007】
また、IPパケットの順序については、一般的に、IPネットワークでは保証しなくて良いとされている。しかし、順序の保証がないと、IPパケットの受信側で順序を補正する処理が必要となる。装置内に閉じられたネットワーク、例えば、装置内でのみ構築されているIPネットワークではIPパケットの順序を保証することで、各カードの受信処理を簡略化できる。そこで、装置内に閉じられたIPネットワークでは、IPパケットの順序を保証する冗長構成のレイヤ2スイッチが望まれている。
【0008】
本発明の目的は、各カードのIPパケットの送信先を、専用装置を設けることなく切替えることができ、かつ、同一構成で現用予備方式および両現用方式の両方に対応することができるレイヤ2スイッチ切替回路、基地局装置、およびレイヤ2スイッチ切替方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、IPパケットの送信先となるレイヤ2スイッチを切替える場合に、IPパケットのパケットロス、ダブリ、順序の入れ替えが発生することを防止することができるレイヤ2スイッチ切替回路、基地局装置、およびレイヤ2スイッチ切替方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、冗長構成の2つのレイヤ2スイッチと、前記2つのレイヤ2スイッチのいずれかを経由してIPパケットを互いに伝達する複数のカードとを有してなるレイヤ2スイッチ切替回路において、前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、自己が運用状態または待機状態のいずれであるかを示す状態信号を送出する状態信号送出部を有し、前記複数のカードの各々は、前記2つのレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて前記2つのレイヤ2スイッチの状態を監視し、監視結果に応じてIPパケットの送信先となる前記2つのレイヤ2スイッチの切替を行うカード制御部を有することを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、2つのレイヤ2スイッチの双方が運用状態となる両現用方式とされている場合に、一方のレイヤ2スイッチが待機状態になったとしても、各カードは、IPパケットの送信先を、待機状態になったレイヤ2スイッチから、運用状態を継続中のレイヤ2スイッチに自動的に切替えることが可能となる。それにより、2つのレイヤ2スイッチの両運用状態から、片側のみの運用状態に切替えることが可能となる。
【0012】
また、2つのレイヤ2スイッチの一方が運用状態で、他方が待機状態となる現用予備方式とされている場合に、一方の現用系のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態になったとしても、各カードは、IPパケットの送信先を、運用状態であったレイヤ2スイッチから、待機状態であったレイヤ2スイッチに自動的に切替えることが可能となる。それにより、2つのレイヤ2スイッチの現用予備の切替を行うことが可能となる。
【0013】
以上のように、冗長構成の方式が両現用方式または現用予備方式のいずれの場合においても、従来技術のように専用装置を設けることなく、各カードのIPパケットの送信先を切替えることが可能となる。また、両現用方式または現用予備方式のいずれの場合においても、各カードのIPパケットの送信先を切替えることが可能となるため、同一構成で両現用方式または現用予備方式のいずれにも対応可能な柔軟性に優れたレイヤ2スイッチ切替回路を提供することが可能となる。
【0014】
また、前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、IPパケットを一時的に格納する内部バッファと、他方のレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて該他方のレイヤ2スイッチの状態を監視し、該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知すると、該当するカードへのIPパケットの送信を停止し、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、該当するカードへのIPパケットの送信を再開するスイッチ制御部とをさらに有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、レイヤ2スイッチは、相手のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知しても、相手のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留した全てのIPパケットの送信が完了するまで待機するため、相手のレイヤ2スイッチに過去のIPパケットが残ることによるパケットロスが生じることを防止することが可能となる。また、パケットロスを防止することが可能となるため、従来技術のように切替え前のレイヤ2スイッチから切替先のレイヤ2スイッチにIPパケットのレプリカを常に送り込む必要がなくなり、IPパケットのダブリが生じることも防止することが可能となる。また、レイヤ2スイッチは、相手のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留した全てのIPパケットの送信が完了してから、IPパケットの送信を再開するため、カードへ送信したIPパケットの順序が入れ替わることを防止することが可能となる。
【0016】
また、前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知して該当するカードへのIPパケットの送信を停止している間に、前記複数のカードからIPパケットを受信した場合は、受信したIPパケットを前記内部バッファに格納しておき、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、前記内部バッファに格納したIPパケットの該当するカードへの送信を再開することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、各カードは、IPパケットの送信先を切替え中でも、レイヤ2スイッチにIPパケットを送信することが可能となる。それにより、カード内にIPパケットを滞留させる必要が無くなるため、各カードの構成を簡単にし、各カードの製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0018】
なお、前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、前記内部バッファがIPパケットを格納しているか否かを示すバッファ状態信号を送出するバッファ状態信号送出部をさらに有し、前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチから送出されたバッファ状態信号に基づいて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断することとしても良い。あるいは、前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチの内部バッファの最大容量に基づき該他方のレイヤ2スイッチが該内部バッファに滞留している全てのパケットの送信を完了する最大送信時間を予め計算し、該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知してから前記最大送信時間が経過したか否かに応じて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断することとしても良い。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、複数のカードの各々が、2つのレイヤ2スイッチから送出される状態信号を基に2つのレイヤ2スイッチが運用状態または待機状態のいずれであるかを監視し、その監視結果に応じてIPパケットの送信先を2つのレイヤ2スイッチのいずれかに切替える。
【0020】
それにより、両現用方式または現用予備方式のいずれの場合においても、従来技術のように専用装置を設けることなく、各カードのIPパケットの送信先を切替えることができるという効果を奏する。また、両現用方式または現用予備方式のいずれの場合においても、各カードのIPパケットの送信先を切替えることが可能となるため、両現用方式または現用予備方式のいずれにも対応することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態のレイヤ2スイッチ切替回路の構成を図1および図2に示す。なお、図1と図2とでは、本レイヤ2スイッチ切替回路の構成自体は同一であるが、図1には、本レイヤ2スイッチ切替回路を両現用方式として適用した例が示されており、図2には、本レイヤ2スイッチ切替回路を現用予備方式として適用した例が示されている。
【0023】
図1および図2を参照すると、本実施形態のレイヤ2スイッチ切替回路は、複数のカード(#A〜#C)100A〜100Cと、0系の論理処理部(#0)2000および物理処理部(#0)3000と、1系の論理処理部(#1)2001および物理処理部(#1)3001と、方式設定スイッチ700とを有している。このレイヤ2スイッチ切替回路は、無線または有線の基地局装置等に設けられる。
【0024】
なお、図1および図2においては、3枚のカード(#A〜#C)100A〜100Cのみが図示されているが、カードの数は複数であれば特に制限はない。また、物理処理部(#0,#1)3000,3001は、一般に、物理レイヤカードなどと称されるカードであるが、本明細書では、カード(#A〜#C)100A〜100Cとの混同を避けるために物理処理部と呼ぶ。同様に、論理処理部(#0,#1)2000,2001は、一般に、ハイウェイカードなどと称されるカードであるが、本明細書では論理処理部と呼ぶ。
【0025】
本実施形態は、0系および1系の冗長構成となっており、0系および1系の双方が現用系となる全現用方式、または、0系および1系の一方が現用系で他方が予備系となる現用予備方式のどちらでも動作可能である。また、カード(#A〜#C)100A〜100C間では、情報を伝達するのにIPパケットが使用される。また、全てのIPパケットは、論理処理部(#0,#1)2000,2001の各々に2重化されて設けられているレイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101のいずれかを経由して配信される。
【0026】
物理処理部(#0)3000は、外部から0系の回線である光ファイバー伝送路(#0)6010を引き込んでいる。この物理処理部(#0)3000は、光ファイバー伝送路(#0)6010を介して光信号として伝送されてきたIPパケットを電気信号に変換する光電気変換回路(#0)3200と、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケットの出力先を論理処理部(#0)2000のみに切替えるか、論理処理部(#0)2000および相手の物理処理部(#1)3001の双方に切替える切替回路(#0)3100とを有する。なお、切替回路(#0)3100は、論理処理部(#0)2000からのIPパケットの出力先を光電気変換回路(#0)3200のみに切替えるか、光電気変換回路(#0)3200および相手の物理処理部(#1)3001の双方に切替えることも行う。また、光電気変換回路(#0)3200は、切替回路(#0)3100からのIPパケットを電気信号から光信号に変換して光ファイバー伝送路(#0)6010に送出することも行う。
【0027】
論理処理部(#0)2000は、物理処理部(#0)3000からのIPパケットを装置内部用のパケット形式に変換するネットワークプロセッサ(#0)2300と、ネットワークプロセッサ(#0)2300からのパケットをカード(#A〜#C)100A〜100Cのうち該当するカードに配信するレイヤ2スイッチSW(#0)2100と、レイヤ2スイッチSW(#0)2100を運用状態または待機状態にするための状態指示信号をレイヤ2スイッチSW(#0)2100に出力するスイッチ管理回路(#0)2200とを有している。なお、レイヤ2スイッチSW(#0)2100は、カード(#A〜#C)100A〜100CからのIPパケットを、該当するカードに配信することや、ネットワークプロセッサ(#0)2300に出力することも行う。また、ネットワークプロセッサ(#0)2300は、レイヤ2スイッチSW(#0)2100からの装置内部用のパケット形式のパケットを元の形式のIPパケットに変換して物理処理部(#0)3000に送信することも行う。
【0028】
同様に、物理処理部(#1)3001は、外部から1系の回線である光ファイバー伝送路(#1)6011を引き込んでいる。この物理処理部(#1)3001は、光ファイバー伝送路(#0)6010を介して光信号として伝送されてきたIPパケットを電気信号に変換する光電気変換回路(#1)3201と、光電気変換回路(#1)3201からのIPパケットの出力先を論理処理部(#1)2001のみに切替えるか、論理処理部(#1)2001および相手の物理処理部(#0)3000の双方に切替える切替回路(#1)3101とを有する。なお、切替回路(#1)3101は、論理処理部(#1)2001からのIPパケットの出力先を光電気変換回路(#1)3201のみに切替えるか、光電気変換回路(#1)3201および相手の物理処理部(#0)3000の双方に切替えることも行う。また、光電気変換回路(#1)3201は、切替回路(#1)3101からのIPパケットを電気信号から光信号に変換して光ファイバー伝送路(#1)6011に送出することも行う。
【0029】
論理処理部(#1)2001は、物理処理部(#1)3001から受信したIPパケットを装置内部用のパケット形式に変換するネットワークプロセッサ(#1)2301と、そのIPパケットをカード(#A〜#C)100A〜100Cのうち該当するカードに配信するレイヤ2スイッチSW(#1)2101と、レイヤ2スイッチSW(#1)2101を運用状態または待機状態とするための状態指示信号をレイヤ2スイッチSW(#1)2101に出力するスイッチ管理回路(#1)2201とを有している。なお、レイヤ2スイッチSW(#1)2101は、カード(#A〜#C)100A〜100Cからのパケットを、該当するカードに配信することや、ネットワークプロセッサ(#1)2301に出力することも行う。また、ネットワークプロセッサ(#1)2301は、レイヤ2スイッチSW(#1)2101からの装置内部用のパケット形式のIPパケットを元の形式のIPパケットに変換して物理処理部(#1)3001に送信することも行う。
【0030】
図3を参照すると、レイヤ2スイッチSW(#0)2100は、カード管理回路(#0)2200からの状態指示信号を基にして、自己が運用状態または待機状態のいずれであるかを示す状態信号を信号線SW_CONT#0B 5010に送出する状態信号送出部2130と、カード(#A〜#C)100A〜100Cおよびネットワークプロセッサ(#0)2300からのIPパケットを一時的に格納する内部バッファ2120と、内部バッファ2120がIPパケットを格納しているか否かを示すバッファ状態信号を信号線SW_EMP#0 5020に送出するバッファ状態信号送出部2140と、レイヤ2スイッチSW(#0)2100全体の制御を行うスイッチ制御部2110とを有している。また、レイヤ2スイッチSW(#1)2101は、カード管理回路(#1)2201からの状態指示信号に基づき、自己が運用状態または待機状態のいずれであるかを示す状態信号を信号線SW_CONT#1B 5011に送出する状態信号送出部2131と、カード(#A〜#C)100A〜100Cおよびネットワークプロセッサ(#1)2301からのIPパケットを一時的に格納する内部バッファ2121と、内部バッファ2121がIPパケットを格納しているか否かを示すバッファ状態信号を信号線SW_EMP#1 5021に送出するバッファ状態信号送出部2141と、レイヤ2スイッチSW(#1)2101全体の制御を行うスイッチ制御部2111とを有している。
【0031】
信号線SW_CONT#0B 5010は、相手のレイヤ2スイッチSW(#1)2101に接続され、信号線SW_CONT#1B 5011は、相手のレイヤ2スイッチSW(#0)2100に接続されている。それにより、レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101は、相手のレイヤ2スイッチの状態を監視することが可能となる。また、信号線SW_CONT#0B 5010,SW_CONT#1B 5011は、全てのカード(#A〜#C)100A〜100Cに接続されている。それにより、カード(#A〜#C)100A〜100Cは、レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101の状態を監視し、IPパケットを送信する時に、レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101のどちらに送信すべきかを判断することが可能となる。
【0032】
また、信号線SW_EMP#1 5021は、レイヤ2スイッチSW(#0)2100と接続されている。それにより、レイヤ2スイッチSW(#0)2100は、相手のレイヤ2スイッチSW(#1)2101の内部バッファ2121の状態を監視することが可能となる。また、信号線SW_EMP#0 5020は、レイヤ2スイッチSW(#1)2101と接続されている。それにより、レイヤ2スイッチSW(#1)2101は、相手のレイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120の状態を監視することが可能となる。
【0033】
複数のカード(#A〜#C)100A〜100Cの各々は、無線基地局等において、呼処理制御カード、ベースバンド処理カード、送受信カード、監視制御カードなどと称されて使用されるカードである。各々のカード(#A〜#C)100A〜100Cは、イーサネット(Ethernet)回線4010,4020と接続されており、イーサネット回線4010,4020を介してレイヤ2スイッチSW(#0)2100とIPパケットを送受信し、また、イーサネット回線4011,4021と接続されており、イーサネット回線4011,4021を介してレイヤ2スイッチSW(#1)2101とIPパケットを送受信する。
【0034】
また、複数のカード(#A〜#C)100A〜100Cの各々は、イーサネット回線4010,4020に対応するPHY(PHYsical layer)回路103およびMAC(Media Access Control)回路102と、イーサネット回線4011,4021に対応するPHY回路105およびMAC回路104と、2つのMAC回路102およびMAC回路104と接続され、いずれか1つまたは両方のMAC回路を通してIPパケットの送受信を行うCPU(Central Processing Unit)であるカード制御部101とを有している。なお、PHY回路103およびPHY回路105は、IPパケットの先頭のレイヤ1のデータ検出処理などを行うLSI(Large Scale Integration)である。また、MAC回路102およびMAC回路104は、IPパケットのレイヤ2のデータに基づきそのパケットの宛先を解析する処理、IPパケットの誤り訂正処理、MACアドレスを管理する処理などを行うLSIである。
【0035】
方式設定スイッチ700は、本レイヤ2スイッチ切替回路を現用予備方式または両現用方式に設定するスイッチであり、ユーザにより手動で操作される。方式設定スイッチ700の論理は、論理処理部(#0)2000のスイッチ管理回路(#0)2200、論理処理部(#1)2001のスイッチ管理回路(#1)2201、物理処理部(#0)3000の切替回路(#0)3100、および物理処理部(#1)3001の切替回路(#1)3101に入力される。
【0036】
なお、図1の例では、本レイヤ2スイッチ切替回路が方式設定スイッチ700により両現用方式に設定されており、光ファイバー伝送路(#0)6010および光ファイバー伝送路(#1)6011の2本が共に現用系の回線として引き込まれている。この例では、光ファイバー伝送路(#0)6010を介して光信号として伝送されてきたIPパケットは、物理処理部(#0)3000の光電気変換回路(#0)3200で電気信号に変換された後、切替回路(#0)3100により論理処理部(#0)2000に出力される。また、光ファイバー伝送路(#1)6011を介して光信号として伝送されてきたIPパケットは、物理処理部(#1)3001の光電気変換回路(#1)3201で電気信号に変換された後、切替回路(#1)3101により論理処理部(#1)2001に出力される。
【0037】
また、図2の例では、本レイヤ2スイッチ切替回路が方式設定スイッチ700により現用予備方式に設定されており、光ファイバー伝送路(#0)6010のみが現用系の回線として引き込まれている。この例では、光ファイバー伝送路(#0)6010を介して光信号として伝送されてきたIPパケットは、物理処理部(#0)3000の光電気変換回路(#0)3200で電気信号に変換された後、切替回路(#0)3100により論理処理部(#0)2000および論理処理部(#1)2001に分配出力される。論理処理部(#0)2000および論理処理部(#1)2001は、必ず一方が運用状態で、他方が待機状態となる現用予備方式として動作するので、該当するカードにIPパケットが二重に配信されることは無い。
【0038】
ここで、論理処理部(#0,#1)2000,2001のスイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の構成と、物理処理部(#0,#1)3000,3001の切替回路(#0,#1)3100,3101の構成について詳細に説明する。
【0039】
最初に、スイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の構成について、図4を参照して説明する。
【0040】
図4を参照すると、スイッチ管理回路(#0)2200は、NANDゲート2210と、NANDゲート2220と、セレクタ2230と、プルアップ抵抗2240とを有している。
【0041】
NANDゲート2210の出力端子は、論理処理部(#1)2001のスイッチ管理回路(#1)2201に接続されている。NANDゲート2210の入力端子には、論理“0”でリセットに設定されたことを示すリセット信号、論理“0”でアラームが発生したことを示すアラーム信号、論理“0”で閉塞状態に設定されたことを示す閉塞信号、論理処理部(#0)2000を現用系から予備系に切替える時に負のパルスを発生するパルス信号、およびセレクタ2230の出力信号が入力されている。NANDゲート2210の出力信号は、“0”で運用状態、“1”で待機状態を示す状態指示信号としてレイヤ2スイッチSW(#0)2100にも入力されている。
【0042】
セレクタ2230は、方式設定スイッチ700からの信号を基に、入力端子Xまたは入力端子Yのいずれかの信号を選択する回路である。セレクタ2230は、方式設定スイッチ700により両現用方式が設定された場合は入力端子Xの信号を選択し、現用予備方式が設定された場合は入力端子Yの信号を選択する。
【0043】
NANDゲート2220の入力端子には、NANDゲート2210の出力信号および論理“0”で閉塞状態が解除されたことを示す閉塞解除信号が入力されている。NANDゲート2220の出力端子は、セレクタ2230の入力端子Xに接続されている。セレクタ2230の入力端子Yには、スイッチ管理回路(#1)2201のNANDゲート2211の出力端子が接続されている。また、セレクタ2230の入力端子Yには、プルアップ抵抗2240が接続されている。
【0044】
なお、NANDゲート2210に入力されるアラーム信号は、本レイヤ2スイッチ切替回路内の不図示のアラーム検出回路にて発生する信号である。また、NANDゲート2210に入力されるリセット信号、閉塞信号、パルス信号、NANDゲート2220に入力される閉塞解除信号は、ユーザが手動により該当する不図示のスイッチを操作することで発生する信号である。例えば、ユーザは、論理処理部(#0)2000をメンテナンスする場合に、論理処理部(#0)2000を閉塞状態とする。
【0045】
同様に、スイッチ管理回路(#1)2201は、NANDゲート2211と、NANDゲート2221と、セレクタ2231と、プルアップ抵抗2241とを有している。
【0046】
NANDゲート2211の出力端子は、論理処理部(#0)2000のスイッチ管理回路(#0)2200に接続されている。NANDゲート2211の入力端子には、論理“0”でリセットに設定されたことを示すリセット信号、論理“0”でアラームが発生したことを示すアラーム信号、論理“0”で閉塞状態に設定されたことを示す閉塞信号、論理処理部(#1)2001を現用系から予備系に切替える時に負のパルスを発生するパルス信号、およびセレクタ2231の出力信号が入力されている。NANDゲート2211の出力信号は、“0”で運用状態、“1”で待機状態を示す状態指示信号としてレイヤ2スイッチSW(#1)2101にも入力されている。
【0047】
セレクタ2231は、方式設定スイッチ700からの信号を基に、入力端子Xまたは入力端子Yのいずれかの信号を選択する回路である。セレクタ2231は、方式設定スイッチ700により両現用方式が設定された場合は入力端子Xの信号を選択し、現用予備方式が設定された場合は入力端子Yの信号を選択する。
【0048】
NANDゲート2221の入力端子には、NANDゲート2211の出力信号および論理“0”で閉塞状態が解除されたことを示す閉塞解除信号が入力されている。NANDゲート2221の出力端子は、セレクタ2231の入力端子Xに接続されている。セレクタ2231の入力端子Yには、スイッチ管理回路2200のNANDゲート2210の出力端子が接続されている。また、セレクタ2231の入力端子Yには、プルアップ抵抗2241が接続されている。
【0049】
なお、NANDゲート2211に入力されるアラーム信号は、本レイヤ2スイッチ切替回路内の不図示のアラーム検出回路にて発生する信号であり、また、NANDゲート2211に入力されるリセット信号、閉塞信号、パルス信号、NANDゲート2221に入力される閉塞解除信号は、ユーザが手動により該当する不図示のスイッチを操作することで発生する信号である。例えば、ユーザは、論理処理部(#1)2001をメンテナンスする場合に、論理処理部(#1)2001を閉塞状態とする。
【0050】
次に、切替回路(#0,#1)3100,3101の構成について、図5を参照して説明する。
【0051】
図5を参照すると、切替回路(#0)3100は、セレクタ3110と、オア回路3120と、セレクタ3130と、オア回路3140とを有している。
【0052】
セレクタ3110の入力端子Xには、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケットが入力されている。セレクタ3110は、2つの入力端子Xおよび入力端子Yを持っており、方式設定スイッチ700からの信号を基に、入力端子Xまたは入力端子Yのいずれかの信号を選択する。セレクタ3110は、方式設定スイッチ700により両現用方式に設定されている時は入力端子Xの信号を選択し、現用予備方式に設定されている時は入力端子Yの信号を選択する。セレクタ3110は、入力端子Xまたは入力端子Yを介して入力されたIPパケットを、論理処理部(#0)2000に渡す。一方、論理処理部(#0)2000からのIPパケットは、セレクタ3130の入力端子Xに入力されている。セレクタ3130は、2つの入力端子Xおよび入力端子Yを持っており、方式設定スイッチ700からの信号を基に、入力端子Xまたは入力端子Yのいずれかの信号を選択する。セレクタ3130は、方式設定スイッチ700により両現用方式に設定されている時は入力端子Xの信号を選択し、現用予備方式に設定されている時は入力端子Yの信号を選択する。セレクタ3130は、入力端子Xまたは入力端子Yを介して入力されたIPパケットを、光電気変換回路(#0)3200に渡す。
【0053】
オア回路3120は、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号と光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号とのオアを演算して、その演算結果をセレクタ3110の入力端子Yに入力する。また、オア回路3140は、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号と論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号とのオアを演算して、その演算結果をセレクタ3130の入力端子Yに入力する。
【0054】
同様に、切替回路(#1)3101は、セレクタ3111と、オア回路3121と、セレクタ3131と、オア回路3141とを有している。
【0055】
光電気変換回路(#1)3201からのIPパケットは、切替回路(#1)3101のセレクタ3111の入力端子Xに入力されている。セレクタ3111は、2つの入力端子Xおよび入力端子Yを持っており、方式設定スイッチ700からの信号を基に、入力端子Xまたは入力端子Yのいずれかの信号を選択する。セレクタ3111は、方式設定スイッチ700により両現用方式に設定されている時は入力端子Xの信号を選択し、現用予備方式に設定されている時は入力端子Yの信号を選択する。セレクタ3111は、入力端子Xまたは入力端子Yを介して入力されたIPパケットを、論理処理部(#1)2001に渡す。一方、論理処理部(#1)2001からのIPパケットは、セレクタ3131の入力端子Xに入力されている。セレクタ3131は、2つの入力端子Xおよび入力端子Yを持っており、方式設定スイッチ700からの信号を基に、入力端子Xまたは入力端子Yのいずれかの信号を選択する。セレクタ3131は、方式設定スイッチ700により両現用方式に設定されている時は入力端子Xの信号を選択し、現用予備方式に設定されている時は入力端子Yの信号を選択する。セレクタ3131は、入力端子Xまたは入力端子Yを介して入力されたIPパケットを、光電気変換回路(#1)3201に渡す。
【0056】
オア回路3121は、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号と光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号とのオアを演算して、その演算結果をセレクタ3111の入力端子Yに入力する。また、オア回路3141は、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号と論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号とのオアを演算して、その演算結果をセレクタ3131の入力端子Yに入力する。
【0057】
以下、本実施形態のレイヤ2スイッチ切替回路の動作について説明する。ここでは、本実施形態のレイヤ2スイッチ切替回路が、両現用方式として動作する場合と現用予備方式として動作する場合とに分けて説明する。
(A)両現用方式として動作する場合
・スイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の動作
図1および図4を参照して、本レイヤ2スイッチ切替回路が両現用方式として適用される場合における、スイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の動作について説明する。
【0058】
スイッチ管理回路(#0)2200のセレクタ2230と、スイッチ管理回路(#1)2201のセレクタ2231は、方式設定スイッチ700により両現用方式に設定された場合、入力端子Xを選択する。これにより、スイッチ管理回路2200およびスイッチ管理回路2201を互いに接続していた信号は切り離されることになるため、スイッチ管理回路2200とスイッチ管理回路2201とは互いに独立した回路となる。
【0059】
この場合、カード切替回路2200においては、NANDゲート2210の出力信号が、NANDゲート2220を通してNANDゲート2210の入力に帰ってくるため、NANDゲート2210とNANDゲート2220とで1つのフリップフロップが形成されることになる。NANDゲート2210の当初の出力信号は論理“0”であり、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が運用状態となる。この状態で、ユーザ操作によりリセットされてリセット信号が論理“0”となるか、アラーム発生によりアラーム信号が論理“0”となるか、またはユーザ操作により閉塞状態に設定されて閉塞信号が論理“0”となるかにより、NANDゲート2210の入力信号のいずれかが論理“0”となり、NANDゲート2210の出力信号が論理“1”になると、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が待機状態に遷移する。ユーザ操作により閉塞状態が解除されて閉塞解除信号が論理“0”となり、フリップフロップが逆転してNANDゲート2210の出力信号が論理“0”となると、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が運用状態に遷移する。両現用方式では、現用系から予備系への切替え時に負となるパルス信号は使用せず、手動で閉塞信号または閉塞解除信号を操作することにより、レイヤ2スイッチSW(#0)2100を運用状態または待機状態へ切替える。アラーム発生時にはNANDゲート2210の入力端子に論理“0”が入力されるため、自動的にレイヤ2スイッチSW(#0)2100が待機状態に遷移する。
【0060】
同様に、カード切替回路2201においても、NANDゲート2211の出力信号が、NANDゲート2221を通してNANDゲート2211の入力に帰ってくるため、NANDゲート2211とNANDゲート2221とで1つのフリップフロップが形成されることになる。NANDゲート2211の当初の出力信号は論理“0”であり、レイヤ2スイッチSW(#1)2101が運用状態となる。ユーザ操作によりリセットされてリセット信号が論理“0”となるか、アラーム発生によりアラーム信号が論理“0”となるか、またはユーザ操作により閉塞状態に設定されて閉塞信号が論理“0”となるかにより、NANDゲート2210の入力信号のいずれかが論理“0”となり、NANDゲート2211の出力信号が論理“1”になると、レイヤ2スイッチSW(#1)2101が待機状態に遷移する。ユーザ操作により閉塞状態が解除されて閉塞解除信号が論理“0”となり、フリップフロップが逆転してNANDゲート2211の出力信号が論理“0”となると、レイヤ2スイッチSW(#1)2101が運用状態に遷移する。両現用方式では、現用系から予備系への切替え時に負となるパルス信号は使用せず、手動で閉塞信号または閉塞解除信号を操作することにより、レイヤ2スイッチSW(#1)2101を運用状態または待機状態へ切替える。アラーム発生時にはNANDゲート2211の入力端子に論理“0”が入力されるため、自動的にレイヤ2スイッチSW(#1)2101が待機状態に遷移する。
・切替回路(#0,#1)3100,3101の動作
図1および図5を参照して、本レイヤ2スイッチ切替回路が両現用方式として適用される場合における、切替回路(#0,#1)3100,3101の動作について説明する。
【0061】
切替回路(#0)3100のセレクタ3110およびセレクタ3130と、切替回路(#1)3101のセレクタ3111およびセレクタ3131は、方式設定スイッチ700により両現用方式に設定された場合、入力端子Xを選択する。
【0062】
この場合、切替回路(#0)3100においては、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケットは、セレクタ3110を通過してそのまま論理処理部(#0)2000に出力され、論理処理部(#0)2000からのIPパケットは、セレクタ3130を通過してそのまま光電気変換回路(#0)3200に出力される。
【0063】
同様に、切替回路(#1)3101においても、光電気変換回路(#1)3201からのIPパケットは、セレクタ3111を通過してそのまま論理処理部(#1)2001に出力され、論理処理部(#1)2001からのIPパケットは、セレクタ3131を通過してそのまま光電気変換回路(#1)3201に出力される。
【0064】
このように、論理処理部(#0)2000は、物理処理部(#0)3000に接続されて現用系として動作し、また、論理処理部(#1)2001は、物理処理部(#1)3001に接続されて現用系として動作するため、本レイヤ2スイッチ切替回路は両現用方式として動作する。
・レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101とカード(#A〜#C)100A〜100Cの動作
図1、図3および図6を参照して、本レイヤ2スイッチ切替回路が両現用方式として適用される場合における、レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101とカード(#A〜#C)100A〜100Cの動作について説明する。ここでは、説明を簡略化するために、カード(#A〜#C)100A〜100Cの動作のうち、カード(#A,#B)100A,100Bの動作についてのみ説明する。
【0065】
この場合、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101は、両方がACT(運用状態)となっている。また、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011の信号も、両方がアクティブとなっている。なお、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011の信号は、論理“0”でアクティブを示し、論理“1”でインアクティブを示す信号である。
【0066】
論理処理部(#0)2000または論理処理部(#1)2001のいずれかにおいて、障害によりアラームが発生したり、ユーザ操作により閉塞状態に設定されたりすると、障害が発生しまたは閉塞状態になった論理処理部側では、スイッチ管理回路が待機状態を指示する状態指示信号を発生し、レイヤ2スイッチがSTBY(待機状態)となる。すなわち、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の一方がSTBYとなり、他方がACTとなるので、全てのIPパケットがACTのレイヤ2スイッチのみを通るようになる。
【0067】
以下、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の両方が運用状態から、片側のレイヤ2スイッチSW(#0)2100のみが待機状態になった場合の動作について説明する。なお、ここでの動作条件として、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101が両方ともACT中、つまり、状態信号送出部2130および状態信号送出部2131の両方が信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011にアクティブの信号を送出している場合は、IPパケットの負荷を分散させるために、カード(#A,#B)100A,100Bごとに、IPパケットの送信先をレイヤ2スイッチSW(#0)2100またはレイヤ2スイッチSW(#1)2101のいずれかにデフォルトで決めておき、カード(#A,#B)100A,100Bの各々のカード制御部101は、デフォルトの送信先にIPパケットを送信する。例えば、左(もしくは右)から偶数番目に配置されたカードはレイヤ2スイッチSW(#0)2100を送信先とし、左(もしくは右)から奇数番目に配置されたカードはレイヤ2スイッチSW(#1)2101を送信先とすることができる。一方のレイヤ2スイッチSW(#0)2100が待機状態となり、他方のレイヤ2スイッチSW(#1)2101のみがACT(運用状態)となった場合には、カード100a,100bの各々のカード制御部101は、無条件でACTのレイヤ2スイッチSW(#1)2101にIPパケットを送信する。
【0068】
ここで、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の双方が運用状態である両現用系の状態から、一方のレイヤ2スイッチSW(#0)2100のみが待機状態に切替えられる場合の動作について、図6のタイミングチャートに沿って説明する。
【0069】
時刻T1以前においては、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101が両方ともACT(運用状態)である。そのため、状態信号送出部2130および状態信号送出部2131の両者は、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011にアクティブの信号を送出している。また、バッファ状態信号送出部2140は、信号線SW_EMP#0 5020に、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120に滞留IPパケットがあることを示す信号を送出している。この場合、信号線SW_EMP#0 5020の信号は論理“0”になる。また、カード(#A)100Aのカード制御部101は、デフォルトの送信先であるレイヤ2スイッチSW(#0)2100へIPパケットを送信中で、カード(#B)100Bのカード制御部101は、デフォルトの送信先であるレイヤ1スイッチ(#1)2101へIPパケットを送信中である。また、レイヤ2スイッチSW(#0)2100のスイッチ制御部2110およびレイヤ1スイッチ(#1)2101のスイッチ制御部2111は、共に、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100Bのうち該当するカードへIPパケットを送信中である。
【0070】
時刻T1において、ユーザ操作により論理処理部(#0)2000側が閉塞状態に設定されると、スイッチ管理回路(#0)2200からの待機状態への遷移指示である状態指示信号がレイヤ2スイッチSW(#0)2100に入力され、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の状態信号送出部2130は、ただちに信号線SW_CONT#0B 5010の信号をインアクティブにする。
【0071】
時刻T1〜T2の間においては、カード(#A)100Aのカード制御部101は、信号線SW_CONT#0B 5010の信号がインアクティブになったことを受けて、信号線SW_CONT#1B 5011を監視する。信号線SW_CONT#1B 5011の信号はアクティブであるため、カード(#A)100Aのカード制御部101は、レイヤ2スイッチSW(#1)2101にIPパケットを送信する。一方、カード(#B)100Bのカード制御部101は、継続してレイヤ2スイッチSW(#1)2101へIPパケットを送信する。
【0072】
レイヤ2スイッチSW(#0)2100のスイッチ制御部2110は、内部バッファ2120に滞留したIPパケットの送信を継続し、滞留した全てのIPパケットの送信を完了させる。一方、レイヤ2スイッチSW(#1)2101のスイッチ制御部2111は、信号線SW_CONT#0B 5010の状態信号に基づきレイヤ2スイッチSW(#0)2100が待機状態に遷移したことを検知すると、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100BからのIPパケットは受け付けて内部バッファ2121に滞留させるが、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100BへのIPパケットの送信は停止する。また、レイヤ2スイッチSW(#1)2101のスイッチ制御部2111は、信号線SW_EMP#0 5020を監視し、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120に滞留した全てのIPパケットの送信が完了して内部バッファ2120が空(Empty)になるまで待つ。なお、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120が空(Empty)になると、信号線SW_EMP#0 5020の信号は論理“1”になる。
【0073】
時刻T2において、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120が空(Empty)になると、レイヤ2スイッチSW(#1)2101のスイッチ制御部2111は、内部バッファ2121に滞留しているIPパケットの送信を再開する。この時点で、レイヤ2スイッチSW(#0)2100は、完全にSTBY(待機状態)に遷移する。
(B)現用予備方式として動作する場合
・スイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の動作
図2および図4を参照して、本レイヤ2スイッチ切替回路が現用予備方式として適用される場合における、スイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の動作について説明する。
【0074】
スイッチ管理回路(#0)2200のセレクタ2230と、スイッチ管理回路(#1)2201のセレクタ2231は、方式設定スイッチ700により現用予備方式に設定された場合、入力端子Yを選択する。
【0075】
NANDゲート2210の出力信号は、セレクタ2231を通してNANDゲート2211へ入力され、NANDゲート2211の出力信号は、セレクタ2230を通してNANDゲート2210へ入力されているため、NANDゲート2210とNANDゲート2211とで1つのフリップフロップ回路が形成されることになる。NANDゲート2210の出力およびNANDゲート2211の出力は、フリップフロップの出力に相当するため、常に、一方が論理“1”ならば他方は論理“0”になる。そのため、現用予備の切替え信号として、NANDゲート2210の出力信号およびNANDゲート2211の出力信号を使用することが可能になる。
【0076】
スイッチ管理回路(#0)2200側が現用系で運用状態である場合、NANDゲート2210の出力信号は論理“0”で、NANDゲート2211の出力信号は論理“1”となってスイッチ管理回路2201は待機状態となっている。この状態で、スイッチ管理回路(#0)2200側でアラームが発生すると、NANDゲート2210の入力信号の1つが論理“0”となるため、NANDゲート2210は論理“1”となる。すると、NANDゲート2211の入力信号は全て論理“1”となるため、NANDゲート2211の出力信号は論理“0”となり、NANDゲート2210に論理“0”を返すため、NANDゲート2210の出力信号は論理“1”に固定される。それにより、アラームの発生したスイッチ管理回路(#0)2200側では運用状態から待機状態に遷移し、スイッチ管理回路2201側では待機状態から運用状態に遷移する。
【0077】
また、ハイウェイカードとしての論理処理部(#0,#1)2000,2001のいずれかが引き抜かれた場合、残りの論理処理部側のスイッチ管理回路が自動的に運用状態になることができる。スイッチ管理回路(#0)2200が運用状態であり、スイッチ管理回路(#1)2201が待機状態である場合において、論理処理部(#0)2000が引き抜かれると、スイッチ管理回路(#1)2201のセレクタ2231の入力端子Yはオープンとなるが、プルアップ抵抗2241により入力端子Yには論理“1”の信号が入力される。この論理“1”の信号はNANDゲート2211に入力されるので、NANDゲート2211の出力信号は論理“0”となりスイッチ管理回路(#1)2201は待機状態から運用状態に遷移する。
【0078】
スイッチ管理回路(#0,#1)2200,2201の現用予備の切替を手動で行う場合は、NANDゲート2210またはNANDゲート2211の入力端子に負のパルスを入力する。スイッチ管理回路(#0)2200が運用状態であり、スイッチ管理回路(#1)2201が待機状態である場合において、NANDゲート2210の入力端子に負のパルスを入力すると、NANDゲート2210の出力信号は一時的に論理“1”となり、セレクタ2231を通してNANDゲート2211の入力信号が一時的に論理“1”となる。すると、NANDゲート2211の出力信号は一時的に論理“0”となって、この論理“0”の出力信号はセレクタ2230を通してNANDゲート2210の入力に返される。よって、NANDゲート2210の出力信号は論理“1”に固定されるので、スイッチ管理回路(#0)2200を運用状態から待機状態へ遷移させ、スイッチ管理回路(#1)2201を待機状態から運用状態へ遷移させることができる。逆の切替えも同様に、NANDゲート2211の入力端子に負のパルスを入力することで行うことができる。
・切替回路(#0,#1)3100,3101の動作
図2および図5を参照して、本レイヤ2スイッチ切替回路が現用予備方式として適用される場合における、切替回路(#0,#1)3100,3101の動作について説明する。
【0079】
切替回路(#0)3100のセレクタ3110およびセレクタ3130と、切替回路(#1)3101のセレクタ3111およびセレクタ3131は、方式設定スイッチ700により現用予備方式に設定された場合、入力端子Yを選択する。
【0080】
この場合、切替回路(#0)3100においては、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号と光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号とのオアがオア回路3120にて演算されて、その演算結果であるIPパケット信号が論理処理部(#0)2000に出力される。
【0081】
しかし、現用予備方式では、光電気変換回路(#0)3200または光電気変換回路(#1)3201のいずれか一方にのみ、光ファイバ伝送路が接続されているので、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号または光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号のいずれかは論理“0”で固定されている。従って、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号および光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号をオア回路3120を通すことで、有効なパケット信号のみがセレクタ3110の入力端子Yに入力されることになる。つまり、オア回路3120は、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号または光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号のうち、有効なパケット信号を選択する機能を果たしている。
【0082】
また、切替回路(#0)3100においては、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号と論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号とのオアがオア回路3140にて演算されて、その演算結果であるIPパケット信号が光電気変換回路(#0)3200に出力される。
【0083】
しかし、現用予備方式では、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号または論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号のいずれかは論理“0”で固定されている。従って、オア回路3140は、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号または論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号のうち、有効なパケット信号を選択する機能を果たしている。
【0084】
同様に、切替回路(#1)3101においては、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号と光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号とのオアがオア回路3121にて演算されて、その演算結果であるIPパケット信号が論理処理部(#1)2001に出力される。
【0085】
しかし、現用予備方式では、上述のように、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号または光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号のいずれかは論理“0”で固定されている。従って、オア回路3121は、光電気変換回路(#0)3200からのIPパケット信号または光電気変換回路(#1)3201からのIPパケット信号のうち、有効なパケット信号を選択する機能を果たしている。
【0086】
また、切替回路(#1)3101においては、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号と論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号とのオアがオア回路3140にて演算されて、その演算結果であるIPパケット信号が光電気変換回路(#1)3201に出力される。
【0087】
しかし、現用予備方式では、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号または論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号のいずれかは論理“0”で固定されている。従って、オア回路3141は、論理処理部(#0)2000からのIPパケット信号または論理処理部(#1)2001からのIPパケット信号のうち、有効なパケット信号を選択する機能を果たしている。
【0088】
光電気変換回路(#0)3200または光電気変換回路(#1)3201のいずれか一方からのIPパケットは、論理処理部(#0)2000および論理処理部(#1)2001の双方に渡される。また、論理処理部(#0)2000または論理処理部(#1)2001のいずれか一方からのIPパケットは、光電気変換回路(#0)3200および光電気変換回路(#1)3201の双方に渡される。このため、1本の光ファイバ伝送路が論理処理部(#0)2000または論理処理部(#1)2001のどちらに接続されていても、1本の光ファイバ伝送路からのIPパケットは2つの論理処理部(#0)2000および論理処理部(#1)2001の双方に渡されることになり、また、2つの論理処理部(#0)2000および論理処理部(#1)2001からのIPパケットはいずれも光ファイバ伝送路に渡されることになる。
・レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101とカード(#A〜#C)100A〜100Cの動作
図2、図3および図7を参照して、本レイヤ2スイッチ切替回路が現用予備方式として適用される場合における、レイヤ2スイッチSW(#0,#1)2100,2101とカード(#A〜#C)100A〜100Cの動作について説明する。ここでは、説明を簡略化するために、カード(#A〜#C)100A〜100Cの動作のうち、カード(#A,#B)100A,100Bの動作についてのみ説明する。
【0089】
この場合、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101のうち、一方がACT(運用状態)で、他方がSTBY(待機状態)になっている。また、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011の信号は、一方がアクティブで、他方がインアクティブとなっている。
【0090】
以下、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が運用状態で、レイヤ2スイッチSW(#1)2101が待機状態から、レイヤ2スイッチSW(#0)2100に障害が発生する等により、現用予備の切替を行う場合の動作について説明する。なお、信号線SW_CONT#0B 5010、信号線SW_CONT#1B 5011、カード(#A)100A、およびカード(#B)100Bの送信条件は両現用方式と同じとする。
【0091】
ここで、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が運用状態でレイヤ2スイッチSW(#1)2101が待機状態から、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が待機状態でレイヤ2スイッチSW(#1)2101が運用状態に切替えられる場合の動作について、図7のタイミングチャートに沿って説明する。
【0092】
時刻T1以前においては、レイヤ2スイッチSW(#0)2100がACT(運用状態)で、レイヤ2スイッチSW(#1)2101がSTB(待機状態)である。そのため、状態信号送出部2130は、信号線SW_CONT#0B 5010にアクティブの信号を送出し、状態信号送出部2131は、信号線SW_CONT#1B 5011にインアクティブの信号を送出している。また、バッファ状態信号送出部2140は、信号線SW_EMP#0 5020に、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120に滞留IPパケットがあることを示す信号を送出している。また、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100Bの各々のカード制御部101は、共に、レイヤ2スイッチSW(#0)2100へIPパケットを送信中である。また、レイヤ2スイッチSW(#0)2100のスイッチ制御部2110は、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100Bのうち該当するカードへIPパケットを送信中である。また、レイヤ1スイッチ(#1)2101のスイッチ制御部2111は、待機状態であるため、IPパケットの送信を停止している。
【0093】
時刻T1において、ユーザ操作により閉塞状態に設定されると、スイッチ管理回路(#0)2200からの待機状態信号がレイヤ2スイッチSW(#0)2100に入力され、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の状態信号送出部2130は、ただちに信号線SW_CONT#0B 5010の信号をインアクティブにする。
【0094】
時刻T1〜T2の間においては、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100Bの各々のカード制御部101は、信号線SW_CONT#0B 5010の信号がインアクティブになったことを受けて、信号線SW_CONT#1B 5011を監視する。信号線SW_CONT#1B 5011の信号はアクティブであるため、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100Bの各々のカード制御部101は、レイヤ2スイッチSW(#1)2101にIPパケットを送信する。
【0095】
レイヤ2スイッチSW(#0)2100のスイッチ制御部2110は、内部バッファ2120に滞留したIPパケットの送信を継続し、滞留した全てのIPパケットの送信を完了させる。一方、レイヤ2スイッチSW(#1)2101のスイッチ制御部2111は、信号線SW_CONT#0B 5010の信号に基づきレイヤ2スイッチSW(#0)2100が待機状態に遷移したことを検知すると、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100BからのIPパケットは受け付けて内部バッファ2121に滞留させるが、カード(#A)100Aおよびカード(#B)100BへのIPパケットの送信は停止する。また、レイヤ2スイッチSW(#1)2101のスイッチ制御部2111は、信号線SW_EMP#0 5020を監視し、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120に滞留した全てのIPパケットの送信が完了して内部バッファ2120が空(Empty)になるまで待つ。
【0096】
時刻T2において、レイヤ2スイッチSW(#0)2100の内部バッファ2120が空(Empty)になると、レイヤ2スイッチSW(#1)2101のスイッチ制御部2111は、内部バッファ2121に滞留しているIPパケットの送信を再開する。この時点で、レイヤ2スイッチSW(#0)2100は、完全にSTBY(待機状態)に遷移する。
【0097】
上述のように本実施形態においては、カード(#A〜#C)100A〜100Cが、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011を伝達される状態信号を基にレイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101が運用状態/待機状態のいずれであるかを監視し、監視結果に応じてIPパケットの送信先をレイヤ2スイッチSW(#0)2100またはレイヤ2スイッチSW(#1)2101に切替えている。
【0098】
そのため、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の双方が運用状態にある両現用方式とされている場合において、一方のレイヤ2スイッチが待機状態になったとしても、カード(#A〜#C)100A〜100Cは、IPパケットの送信先を、待機状態になったレイヤ2スイッチから、運用状態を継続中のレイヤ2スイッチに自動的に切替えることができる。それにより、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の両運用状態から、片側のみの運用状態に切替えることができる。
【0099】
また、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の一方が運用状態にあり、他方が待機状態にある現用予備方式とされている場合において、一方の現用系のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態になったとしても、カード(#A〜#C)100A〜100Cは、IPパケットの送信先を、運用状態であったレイヤ2スイッチから、待機状態であったレイヤ2スイッチに自動的に切替えることができる。それにより、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101の現用予備の切替を行うことができる。
【0100】
以上のように、冗長構成の方式が両現用方式または現用予備方式のいずれの場合においても、従来技術のように専用装置を設けることなく、カード(#A〜#C)100A〜100CのIPパケットの送信先を切替えることが可能となる。また、両現用方式または現用予備方式のいずれの場合においても、カード(#A〜#C)100A〜100CのIPパケットの送信先を切替えることが可能となるため、同一構成で両現用方式または現用予備方式のいずれにも対応可能となる。
【0101】
また、本実施形態においては、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101が、信号線SW_CONT#0B 5010および信号線SW_CONT#1B 5011を伝達される信号を基に相手のレイヤ2スイッチが運用状態/待機状態のいずれであるかを監視し、相手のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知すると、IPパケットの送信を停止し、相手のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留した全てのIPパケットの送信が完了してから、IPパケットの送信を再開している。
【0102】
このように、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101は、相手のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知しても、相手のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留した全てのIPパケットの送信が完了するまで待機するため、相手のレイヤ2スイッチに過去のIPパケットが残ることによるパケットロスが生じることを防止することができる。また、パケットロスを防止することができるため、従来技術のように切替え前のレイヤ2スイッチから切替先のレイヤ2スイッチにIPパケットのレプリカを常に送り込む必要がなくなり、IPパケットのダブリが生じることも防止することができる。また、レイヤ2スイッチSW(#0)2100およびレイヤ2スイッチSW(#1)2101は、相手のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留した全てのIPパケットの送信が完了してから、IPパケットの送信を再開するため、カードへ送信したIPパケットの順序が入れ替わることを防止することができる。
【0103】
なお、本実施形態においては、方式設定スイッチ700の実装場所は各カードから独立しているものとして説明したが、カードに実装することもできる。ただし、いずれかのカードのみに方式設定スイッチ700を実装すると、そのカードについては他のカードと実装条件が異なることになるため、カードの製造面を考慮すると好ましくない。そこで、各カードを同一構成にすることを前提に、方式設定スイッチ700をカードに実装する場合には、2つの方式設定スイッチ700を論理処理部(#0)2000および論理処理部(#1)2001にそれぞれ実装し、2つの方式設定スイッチ700の出力をワイヤードオアすることにより設定信号を1つにすることができる。この場合、2つの方式設定スイッチ700の設定は常に同じ設定としなければならない。
【0104】
また、本実施形態においては、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が運用状態から待機状態に遷移した場合、レイヤ2スイッチSW(#0)2100に滞留したパケットをレイヤ2スイッチSW(#0)2100自身が各カードに配信するものとして説明したが、レイヤ2スイッチSW(#1)2101が代わりに配信することもできる。この場合、レイヤ2スイッチSW(#0)2100とレイヤ2スイッチSW(#1)2101間に専用のイーサネット回線503を設け、レイヤ2スイッチSW(#0)2100が運用状態から待機状態に遷移した時に、レイヤ2スイッチSW(#0)2100内の不図示の読出回路がレイヤ2スイッチSW(#0)2100に滞留している全てのIPパケットを読み出し、その全てのIPパケットをレイヤ2スイッチSW(#1)2101が取得して各カードに配信する。これにより、レイヤ2スイッチSW(#1)2101の障害規模が大きく、レイヤ2スイッチSW(#1)2101に滞留したIPパケットをレイヤ2スイッチSW(#1)2101自身で送信すること困難な状況でも、パケットロスを起こさずに、パケットを配信するレイヤ2スイッチを切替えることが可能になる。
【0105】
また、本実施形態においては、レイヤ2スイッチSW(#0)2100とレイヤ2スイッチSW(#1)2101間に互いに相手の内部バッファの空き状態を示す信号線SW_EMP#0 5020,SW_EMP#1 5021が設けられているが、スイッチデバイスによっては、内部バッファの空き状態を監視することができないものがある。このような場合には、内部バッファの最大容量に基づいて相手のレイヤ2スイッチの内部バッファに滞留している全てのパケットの送信が完了する最大送信時間を予め計算しておき、相手のレイヤ2スイッチが待機状態に遷移してから上記の最大送信時間が経過した時点で、内部バッファに滞留しているIPパケットの量とは無関係に、IPパケットの送信を開始する。それにより、IPパケットの順序が入れ替わるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の一実施形態によるレイヤ2スイッチ切替回路の構成として、両現用方式に適用されている状態を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるレイヤ2スイッチ切替回路の構成として、現用予備方式に適用されている状態を示す図である。
【図3】図1および図2に示したレイヤ2スイッチの構成の一例を示す図である。
【図4】図1および図2に示したスイッチ管理回路の構成の一例を示す図である。
【図5】図1および図2に示した切替回路の構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態によるレイヤ2スイッチ切替回路が両現用方式に適用された場合の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】本発明の一実施形態によるレイヤ2スイッチ切替回路が現用予備方式に適用された場合の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0107】
100A〜100C カード
101 カード制御部
102,104 MAC回路
103,105 PHY回路
2000,2001 論理処理部
2100,2101 レイヤ2スイッチ
2110,2111 スイッチ制御部
2120,2121 内部バッファ
2130,2131 状態信号送出部
2140,2141 バッファ状態信号送出部
2200,2201 スイッチ管理回路
2300,2301 ネットワークプロセッサ
3000,3001 物理処理部
3100,3101 切替回路
3200,3201 光電気変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長構成の2つのレイヤ2スイッチと、前記2つのレイヤ2スイッチのいずれかを経由してIPパケットを互いに伝達する複数のカードとを有してなるレイヤ2スイッチ切替回路において、
前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、
自己が運用状態または待機状態のいずれであるかを示す状態信号を送出する状態信号送出部を有し、
前記複数のカードの各々は、
前記2つのレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて前記2つのレイヤ2スイッチの状態を監視し、監視結果に応じてIPパケットの送信先となる前記2つのレイヤ2スイッチの切替を行うカード制御部を有する、レイヤ2スイッチ切替回路。
【請求項2】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、
IPパケットを一時的に格納する内部バッファと、
他方のレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて該他方のレイヤ2スイッチの状態を監視し、該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知すると、該当するカードへのIPパケットの送信を停止し、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、該当するカードへのIPパケットの送信を再開するスイッチ制御部とをさらに有する、請求項1に記載のレイヤ2スイッチ切替回路。
【請求項3】
前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知して該当するカードへのIPパケットの送信を停止している間に、前記複数のカードからIPパケットを受信した場合は、受信したIPパケットを前記内部バッファに格納しておき、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、前記内部バッファに格納したIPパケットの該当するカードへの送信を再開する、請求項2に記載のレイヤ2スイッチ切替回路。
【請求項4】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、
前記内部バッファがIPパケットを格納しているか否かを示すバッファ状態信号を送出するバッファ状態信号送出部をさらに有し、
前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチから送出されたバッファ状態信号に基づいて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断する、請求項2または3に記載のレイヤ2スイッチ切替回路。
【請求項5】
前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチの内部バッファの最大容量に基づき該他方のレイヤ2スイッチが該内部バッファに滞留している全てのパケットの送信を完了する最大送信時間を予め計算し、該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知してから前記最大送信時間が経過したか否かに応じて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断する、請求項2または3に記載のレイヤ2スイッチ切替回路。
【請求項6】
冗長構成の2つのレイヤ2スイッチと、前記2つのレイヤ2スイッチのいずれかを経由してIPパケットを互いに伝達する複数のカードとを具備するレイヤ2スイッチ切替回路を備える基地局装置において、
前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、
自己が運用状態または待機状態のいずれであるかを示す状態信号を送出する状態信号送出部を有し、
前記複数のカードの各々は、
前記2つのレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて前記2つのレイヤ2スイッチの状態を監視し、監視結果に応じてIPパケットの送信先となる前記2つのレイヤ2スイッチの切替を行うカード制御部を有する、基地局装置。
【請求項7】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、
IPパケットを一時的に格納する内部バッファと、
他方のレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて該他方のレイヤ2スイッチの状態を監視し、該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知すると、該当するカードへのIPパケットの送信を停止し、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、該当するカードへのIPパケットの送信を再開するスイッチ制御部とをさらに有する、請求項6に記載の基地局装置。
【請求項8】
前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知して該当するカードへのIPパケットの送信を停止している間に、前記複数のカードからIPパケットを受信した場合は、受信したIPパケットを前記内部バッファに格納しておき、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、前記内部バッファに格納したIPパケットの該当するカードへの送信を再開する、請求項8に記載の基地局装置。
【請求項9】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々は、
前記内部バッファがIPパケットを格納しているか否かを示すバッファ状態信号を送出するバッファ状態信号送出部をさらに有し、
前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチから送出されたバッファ状態信号に基づいて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断する、請求項7または8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記スイッチ制御部は、他方のレイヤ2スイッチの内部バッファの最大容量に基づき該他方のレイヤ2スイッチが該内部バッファに滞留している全てのパケットの送信を完了する最大送信時間を予め計算し、該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知してから前記最大送信時間が経過したか否かに応じて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断する、請求項7または8に記載の基地局装置。
【請求項11】
冗長構成の2つのレイヤ2スイッチと、前記2つのレイヤ2スイッチのいずれかを経由してIPパケットを互いに伝達する複数のカードとを有する回路によるレイヤ2スイッチ切替方法であって、
前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、自己が運用状態または待機状態のいずれであるかを示す状態信号を送出する第1のステップと、
前記複数のカードの各々が、前記2つのレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて前記2つのレイヤ2スイッチの状態を監視し、監視結果に応じてIPパケットの送信先となる前記2つのレイヤ2スイッチの切替を行う第2のステップとを有する、レイヤ2スイッチ切替方法。
【請求項12】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、他方のレイヤ2スイッチから送出された状態信号に基づいて該他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知すると、該当するカードへのIPパケットの送信を停止し、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、該当するカードへのIPパケットの送信を再開する第3のステップとをさらに有する、請求項11に記載のレイヤ2スイッチ切替方法。
【請求項13】
前記第3のステップでは、前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知して該当するカードへのIPパケットの送信を停止している間に、前記複数のカードからIPパケットを受信した場合は、受信したIPパケットを前記内部バッファに格納しておき、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了してから、前記内部バッファに格納したIPパケットの該当するカードへの送信を再開する、請求項12に記載のレイヤ2スイッチ切替方法。
【請求項14】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、前記内部バッファがIPパケットを格納しているか否かを示すバッファ状態信号を送出するステップをさらに有し、
前記第3のステップでは、前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、他方のレイヤ2スイッチから送出されたバッファ状態信号に基づいて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断する、請求項12または13に記載のレイヤ2スイッチ切替方法。
【請求項15】
前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、他方のレイヤ2スイッチの内部バッファの最大容量に基づき該他方のレイヤ2スイッチが該内部バッファに滞留している全てのパケットの送信を完了する最大送信時間を予め計算するステップをさらに有し、
前記第3のステップでは、前記2つのレイヤ2スイッチの各々が、他方のレイヤ2スイッチが運用状態から待機状態に遷移したことを検知してから前記最大送信時間が経過したか否かに応じて、該他方のレイヤ2スイッチが内部バッファに滞留している全てのIPパケットの送信を完了したか否かを判断する、請求項12または13に記載のレイヤ2スイッチ切替方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−165999(P2006−165999A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354306(P2004−354306)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ETHERNET
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】