説明

レバー嵌合式コネクタ

【課題】小型化が図られたレバー嵌合式コネクタを提供する。
【解決手段】レバー嵌合式コネクタ1においては、両端に開口部8a,8bを有するフレーム2の周壁部9に、一方の開口部8aに連通して切り欠かれた切欠部10を形成する。フレーム2に回動自在に設けられたレバー3は、開口部8aの側に回動されることにより側壁部3aが周壁部9の内側から露出されて切欠部10を補填して、開口部8aとなるハウジング収納用間口20を有するフード部21をフレーム2と共に形成する。レバー3は、他方の開口部8bの側に回動されることにより側壁部3aが周壁部9の内側に収納されて切欠部10を開放して、フード部21およびハウジング収納用間口20を消失させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一対のコネクタハウジングを備えるコネクタに係り、特に一対のコネクタハウジングをレバー操作により互いに嵌合させてフレーム内に収容するレバー嵌合式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパネルに取り付けるタイプのレバー式コネクタとして、図示及び詳細な説明は省略するが、従来、下記特許文献1に開示されている技術がある。これは先ず、雄側コネクタハウジングを予めパネルの取り付け孔に組み付けて待ち受け状態とする。次に、その雄側コネクタハウジングに対して、レバーを備えた雌側コネクタハウジングを嵌合する。そして、最後にレバー操作により両コネクタハウジングを正規嵌合状態とする。
【0003】
このようにパネルの外側でレバー操作をするコネクタの場合、嵌合状態においてパネルの外側に雌側コネクタハウジングの一部とレバーが突出する。このため、その分のスペースを確保する必要がある。ところが、例えば自動車のドアパネルのヒンジ付近にコネクタを取り付ける場合、ドアパネルの閉扉時にボディパネルとの間に十分なスペースを確保し難い。このため、前述した待ち受けタイプのレバー式コネクタの適用が困難である。
【0004】
そこで、この課題を克服するために、図示及び詳細な説明は省略するが、例えば下記特許文献2に開示されている技術が考え出された。これは先ず、雌雄の両コネクタハウジングをドアパネルの外側で予め嵌合させておく。次に、その嵌合済みの両コネクタハウジングをパネルの取り付け孔に嵌合させる。最後に、両コネクタハウジング及びレバーをドアパネルの内側に収容するという技術である。
【0005】
具体的には、先ず、前端部にフード部を有する雄側コネクタハウジングの後端部に、取り付け孔への係止部を予め設けておく。次に、その雄側コネクタハウジングに回動可能に支持されたレバーを予め待ち受け位置に待機させる。これにより、レバーに形成されたカム溝の入口を予め正面側に開口させておく。続けて、その状態でフード部に雌側コネクタハウジングを浅く嵌め込む。これにより、雌側コネクタハウジングに形成されたカムフォロアをレバーのカム溝に進入させる。その後、レバーを嵌合位置側へ向けて回動させてカムフォロアをカム溝に沿って案内させる。これにより、両コネクタハウジングを嵌合させる。最後に、この雌雄の両コネクタハウジングが互いに嵌合済みの状態となったレバー式コネクタをドアパネルに形成された取り付け孔に取り付ける。すると、雄側コネクタハウジングの後端に形成された係止部が取り付け孔の孔縁に係止される。これにより、レバー式コネクタはパネルの内側に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−245886号公報
【特許文献2】特開2002−359029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献2に開示されている構造によれば、雌側コネクタハウジングを収容するための間口が、雄側コネクタハウジングのフード部とその外側に設けられたレバーとの二重構造で構成されている。このため、小型化が難しい。ひいては、ドアパネルのヒンジ付近など、十分なスペースを確保し難い狭スペースへの取り付け作業が困難となる。
【0008】
本願発明は、以上説明した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、小型化が図られたレバー嵌合式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決して目的を達成するために、本願の請求項1に係るレバー嵌合式コネクタは、両端を開口した周壁部を有するフレームと、該フレームに回動自在に設けられたレバーと、該レバーのカム部に係合する従動子を有しており、該レバーを前記フレームの一方の開口部の側から他方の開口部の側に向けて回動することにより前記従動子が前記カム部に沿って案内されて、前記一方の開口部に連通するハウジング収納用間口を通して前記フレームの内側に収容される一方のコネクタハウジングと、前記他方の開口部を通して前記フレームの内側に収容され、前記一方のコネクタハウジングに嵌合する他方のコネクタハウジングと、を具備するレバー嵌合式コネクタにおいて、前記フレームは、前記周壁部の一部に前記一方の開口部に連通して切り欠かれた切欠部を有する筒形状に形成されており、前記レバーは、前記一方の開口部の側に向けて回動されることにより側壁部の一部が前記周壁部の内側から露出されて前記周壁部の切欠部を補填して、前記ハウジング収納用間口を有するフード部を前記フレームと共に形成するとともに、前記他方の開口部の側に向けて回動されることにより前記側壁部の一部が前記周壁部の内側に収納されて前記周壁部の切欠部を開放して、前記フード部および前記ハウジング収納用間口を消失させる、ことを特徴とする。
【0010】
この本願の請求項1に係るレバー嵌合式コネクタにおいては、フレーム、レバー、ならびに一方および他方のコネクタハウジングを備えている。フレームは、両端に開口部を有する筒形状に形成されている。そしてフレームは、一方の開口部に連通して切り欠かれた切欠部を周壁部の一部に有している。
【0011】
またレバーは、フレームに回動自在に設けられている。そしてレバーは、一方の開口部の側に向けて回動されることにより側壁部の一部が周壁部の内側から露出されて周壁部の切欠部を補填する。これにより、レバーは、一方の開口部となるハウジング収納用間口を有するフード部をフレームと共に形成する。それとともに、レバーは、フレームの他方の開口部の側に向けて回動されることにより側壁部の一部が周壁部の内側に収納されて周壁部の切欠部を開放する。これにより、レバーは、フード部およびハウジング収納用間口を消失させる。
【0012】
また一方のコネクタハウジングは、レバーのカム部に係合する従動子を有している。そして一方のコネクタハウジングは、レバーをフレームの一方の開口部の側から他方の開口部の側に向けて回動することにより、従動子がカム部に沿って案内される。これにより、一方のコネクタハウジングは、ハウジング収納用間口を通してフレームの内側に収容される。さらに他方のコネクタハウジングは、他方の開口部を通してフレームの内側に収容され、一方のコネクタハウジングに嵌合する。
【0013】
このように、本願の請求項1に係るレバー嵌合式コネクタにおいては、一方のコネクタハウジングをフレーム内に収容する際にのみ、レバーを回動させることによりフレームの周壁部に設けられている切欠部を補填して、ハウジング収納用間口を有するフード部をフレームと共に形成する。一方のコネクタハウジングをフレーム内に収容し終えた後は、レバーを反対側に回動させることにより切欠部を開放して、フード部およびハウジング収納用間口を消失させる。このような構造によれば、本願の請求項1に係るレバー嵌合式コネクタは、フード部とレバーとの二重構造が解消されており、小型化および省スペース化が図られている。
【0014】
また、前記課題を解決して目的を達成するために、本願の請求項2に係るレバー嵌合式コネクタは、本願の請求項1に記載のレバー嵌合式コネクタにおいて、前記フレームの前記周壁部の内側には、前記一方の開口部と前記他方の開口部とを結ぶ方向に沿って延ばされて、かつ、前記レバーの動きとは非干渉にリブが設けられているとともに、前記一方のコネクタハウジングには、前記リブと係合するガイド溝が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この本願の請求項2に係るレバー嵌合式コネクタにおいては、一方のコネクタハウジングに、これが収容されるフレームの周壁部の内側に設けられたリブと係合するガイド溝が設けられている。このような構造によれば、一方のコネクタハウジングは、その姿勢や傾きが規制されて適正な状態でフレーム内に収容される。このため、一方のコネクタハウジングが一旦フレーム内に収容され始めた後は、一方のコネクタハウジングをフレーム内に適正な状態で収容するためのフード部およびハウジング収納用間口は必要なくなる。すなわち、フード部およびハウジング収納用間口を消失させて構わない。したがって、本願の請求項2に係るレバー嵌合式コネクタは、一方のコネクタハウジングをフレーム内に収容し終えた後は、レバーの側壁部の一部をフレームの周壁部の内側に収納して、コンパクトな状態に戻ることができる。
【0016】
さらに、前記課題を解決して目的を達成するために、本願の請求項3に係るレバー嵌合式コネクタは、本願の請求項1または2に記載のレバー嵌合式コネクタにおいて、前記フレームの前記周壁部を前記一方の開口部の側からパネルに貫通して取り付けることを特徴とする。
【0017】
この本願の請求項3に係るレバー嵌合式コネクタにおいては、フレームは、その周壁部を一方の開口部の側からパネルを貫通させて取り付けられる。フレームは、その周壁部に切欠部が設けられているので、小型化および省スペース化が図られている。したがって、本願の請求項3に係るレバー嵌合式コネクタは、ドアパネルのヒンジ付近など、十分なスペースを確保し難い狭スペースへの取り付け作業が行い易い。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本願発明によれば、フード部とレバーとの二重構造が解消されており、小型化および省スペース化が図られているので、小型化が図られたレバー嵌合式コネクタを提供することができる。
【0019】
また、請求項2に記載の本願発明によれば、一方のコネクタハウジングをフレーム内に収容し終えた後は、レバーの側壁部の一部をフレームの周壁部の内側に収納して、コンパクトな状態に戻ることができるので、小型化が図られたレバー嵌合式コネクタを提供することができる。
【0020】
さらに、請求項3に記載の本願発明によれば、ドアパネルのヒンジ付近など、十分なスペースを確保し難い狭スペースへの取り付け作業が行い易い、小型化が図られたレバー嵌合式コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明の一つの実施形態に係るレバー嵌合式コネクタを主な構成部品ごとに分解して示す斜視図である。
【図2】本願発明の一つの実施形態に係るレバー嵌合式コネクタを示す側面図である。
【図3】図2に示すレバー嵌合式コネクタを一方の開口部の側から臨んで示す正面図である。
【図4】図3中破断線A−A'に沿って示す断面図である。
【図5】図3中二点鎖線で囲って示す領域Bを拡大して示す図である。
【図6】本願発明の一つの実施形態に係るレバー嵌合式コネクタの組み立て工程を順番に示す側面図である。
【図7】図6に示す各工程を図3中破断線C−C'に沿って示す断面図である。
【図8】本願発明の一つの実施形態に係るレバー嵌合式コネクタにおける一方のコネクタハウジングと他方のコネクタハウジングとの関係を示す断面図である。
【図9】本願発明の他の実施形態に係るレバー嵌合式コネクタにおける一方のコネクタハウジングと他方のコネクタハウジングとの関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願発明の一つの実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1について、図1〜図8を参照しつつ説明する。先ず、本願発明の一実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1の構成及び構造について説明する。
[レバー嵌合式コネクタの構成及び構造]
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1は、フレーム2、レバー3、一方のコネクタハウジング4、および他方のコネクタハウジング5を備えている。このコネクタ1は、自動車のドアのパネル6等に形成された取付孔7にフレーム2を通されることによりパネル6に取り付けられる。なお、図1は、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1を主な構成部品ごとに分解して示す斜視図である。
【0024】
図4に示すように、フレーム2は、両端が開口された略筒形状に形成されている。具体的には、フレーム2は、その本体部が両端に開口部8を有する中空形状の周壁部9からなる。なお、図1〜図3、図5、および図6においては、フレーム2および周壁部9の両端の各開口部8のうち、一方の開口部8aのみを図示し、他方の開口部8bはその図示を省略する。また、図1〜図9においては、説明の便宜上、適宜、一方の開口部8a側を前側、他方の開口部8b側を後側、とそれぞれ称することとする。
【0025】
周壁部9は、その大きさおよび外形をパネル6の取付孔7の開口の大きさおよび形状に合わせられて形成される。本実施形態においては、取付孔7はいわゆる長円形状もしくは小判形状をなして形成されている。したがって、周壁部9は、その正面視における大きさおよび形状を、取付孔7の開口に相似して該開口よりも僅かに小さい略長円形状もしくは略小判形状をなして形成されている。コネクタ1は、フレーム2の周壁部9を、その両端の各開口部8のうちの一方の開口部8aの側からパネル6を貫通させて取り付けられる。なお、以下の説明においては、周壁部9の両端の各開口部8a,8bを結ぶ方向を周壁部9の高さ方向と称することとする。また、この周壁部9の高さ方向とは、筒形状からなるフレーム2の軸方向を意味する。
【0026】
周壁部9の一部には、両端の各開口部8a,8bのうちの一方の開口部8aに連通して切り欠かれた切欠部10が形成されている。具体的には、周壁部9は、その正面視における長軸方向の両端部のうち、一方の端部9aが略半円環形状に形成されて殆どそのまま残されている。以下の説明においては、この周壁部9の残された側の一方の端部9aを湾曲部と称することとする。湾曲部9aの両側部の内側には、一方の開口部8aと前記他方の開口部8bとを結ぶ周壁部9の高さ方向に沿って延ばされて、一対のリブ11が形成されている。それとともに、周壁部9の頂部となる湾曲部9aの周方向に沿った中央部の内側にも、周壁部9の高さ方向に沿って延ばされてフレーム側ガイド溝12が形成されている。これら各リブ11およびガイド溝12は、図6および図7に示すように、後述する一方のコネクタハウジング4を適正な位置および姿勢でフレーム2の内側に案内して収容するために設けられている。また、各リブ11およびガイド溝12は、後述するレバー3の動きを妨げないように、レバー3の回動操作とは非干渉な位置および形状に形成されている。
【0027】
また、湾曲部9aの他方の開口部8b側の端部の外周面上には、パネル6へのフレーム2の過度の進入を防止するためのパネル当たり止め13が4箇所に設けられている。周壁部9をその一方の開口部8aの側からパネル6の取付孔7に挿入していくと、取付孔7の縁部を形成するパネル6の端面に各パネル当たり止め13が当接する。これにより、フレーム2をパネル6に取り付ける際に、周壁部9、すなわちフレーム2のパネル6への進入が適正な位置で止まる。
【0028】
以上説明した周壁部9の湾曲部9a側に対して、周壁部9の他方の端部は実質的に殆ど全て取り除かれて開放されている。以下の説明においては、この周壁部9の開放されている側の端部を周壁部9の開放端部9bと称することとする。また、図1〜図9においては、説明の便宜上、適宜、一方の湾曲部9a側を上側、開放端部9b側を下側、とそれぞれ称することとする。同様に、周壁部9の湾曲部9aを上側、開放端部9bを下側に位置させた姿勢で、かつ、フレーム2をその一方の開口部8a側、すなわち前方から臨んだ正面視において、向かって右側をフレーム2の左側、向かって左側をフレーム2の右側、とそれぞれ称することとする。
【0029】
また、周壁部9には、残された湾曲部9aの両側部に円滑に連続して、互いに平行に対向し合う左右一対の側壁部9cが形成されている。これらの各側壁部9cは、周壁部9の長軸方向に沿って略平板形状に形成されている。各側壁部9cは、それらの一方の開口部8aに面する側の略半分が取り除かれている。それとともに、各側壁部9cは、それらの一方の開口部8aおよび開放端部9bに面する側の角部が斜めに取り除かれている。具体的には、各側壁部9cは、それらの周壁部9の長軸方向に沿った長さが周壁部9の一方の開口部8a側から他方の開口部8b側に向かって徐々に長くなるように、略台形状に形成されている。このように、本実施形態においては、正面視における形状を略長円形状に形成された周壁部9のうち、上部の湾曲部9aおよび左右の各側壁部9cからなる部分は、U字を上下逆さまにした略逆U字形状に形成されている。
【0030】
各側壁部9bには、パネル6からのフレーム2の抜け落ちを防止するためのフレーム係止部14がそれぞれ2か所に可撓性を有して設けられている。1つは各側壁部9cの湾曲部9aの両側部との接続部付近に設けられている。またもう一つは、各側壁部9cの斜めに取り除かれた角部付近に設けられている。各フレーム係止部14は、周壁部9の高さ方向に沿って延ばされて形成されている。周壁部9をその一方の開口部8aの側からパネル6の取付孔7に挿入していくと、取付孔7の縁部を形成するパネル6の端面に左右から各フレーム係止部14の爪部14aが係合する。これにより、フレーム2をパネル6に取り付ける際に、周壁部9、すなわちフレーム2がパネル6から外れなくなる。そして、これら各フレーム係止部14と前述した各パネル当たり止め13とによってパネル6をその表裏両面側から挟み込むことにより、フレーム2、ひいてはコネクタ1はパネル6に適正な状態で係止されて取り付けられる。
【0031】
また、各側壁部9cの一方の開口部8aおよび一端部9aに面する側の角部には、後述するレバー3を取り付けるための軸受孔15がそれぞれ1箇所ずつ形成されている。さらに、周壁部9の他方の開口部側8bの端部には、他方の開口部8bの外周に張り出してフランジ部16が形成されている。なお、以下の説明においては、後述するレバー3の各側壁部3aと区別するために、周壁部9の各側壁部9cをフレーム側壁部と称することとする。
【0032】
レバー3は、フレーム2に回動自在に設けられている。レバー3は、フレーム2の周壁部9の開放端部9bおよび切欠部10を部分的に補填する大きさおよび形状に形成されている。前述したように、周壁部9のうち、上部の湾曲部9aおよび左右のフレーム側壁部9cからなる部分は逆U字形状に形成されている。したがって、図3に示すように、レバー3は、その正面視において、周壁部9の逆U字形状の部分を上下逆さまにした略U字形状に形成されている。それとともに、レバー3は、その正面視が略U字形状となる姿勢でフレーム2に取り付けられている。
【0033】
具体的には、レバー3は、左右一対の側壁部3aと、それら各側壁部3aを連結する連結部3bとから構成されている。レバー3の各側壁部3aは、各フレーム側壁部9cと同様に、互いに平行に対向し合う略平板形状に形成されている。そして、レバー3の各側壁部3aの左右両外側の上部には、各フレーム側壁部9cに形成された各軸受孔15に対向する位置に支持軸17がそれぞれ1箇所ずつ突設されている。レバー3は、各支持軸17を各軸受孔15に内側から嵌合させることにより、各フレーム側壁部9cの内側に回動自在に取り付けられる。また、レバー3の各側壁部3aの左右両外側面と各フレーム側壁部9cの左右両外側面とは、互いに略面一に形成および配置されている。したがって、本願発明に係るレバー嵌合式コネクタ1においては、レバー3がフレーム2の外側を覆ったり、フレーム2の外側に張り出したりする嵩張った構造にはなっていない。なお、以下の説明においては、前述した各フレーム側壁部9cと区別するために、レバー3の各側壁部3aをレバー側壁部と称することとする。
【0034】
また、各レバー側壁部3aの左右両内側の上部には、後述する一方のコネクタハウジング4に設けられた従動子19と係合し合うカム部18がそれぞれ1箇所ずつ形成されている。従動子19は、具体的にはコネクタハウジング4の左右両外側に突設されたカムフォロアとしてのボスである。また、各カム部18は、具体的には各ボス19を内側に納めつつ案内するカム溝である。各カム溝18は、各ボス19の進入を容易にするために、その開口部が他の部分に比べて幅広に形成されている。それとともに、各カム溝18は、一旦内部に進入した各ボス19がレバー3の回動時に外れ難い形状に形成されている。また、各カム溝18は、一方のコネクタハウジング4をレバー3の回動に応じてフレーム2の内外に円滑に出し入れすることができる形状に形成されている。
【0035】
具体的には、各カム溝18は、レバー3を周壁部9の一方の開口部8a側から他方の開口部側8b側に向けて回動させることにより、係合する各ボス19をカム溝18に沿ってフレーム2の内部に向けて円滑に案内することができる形状に形成されている。それとともに、各カム溝18は、レバー3を周壁部9の他方の開口部側8b側から一方の開口部8a側に向けて回動させることにより、係合する各ボス19をカム溝18に沿ってフレーム2の外部に向けて円滑に案内することができる形状に形成されている。このような構造によれば、レバー3を回動させることにより、一方のコネクタハウジング4をフレーム2の内部に円滑に案内して収容することができる。
【0036】
また、各レバー側壁部3aは、それらのフレーム2側の縁部の大部分がレバー3の回動状態に係わらず各フレーム側壁部9cに対して常に内側で重なり合っている。これに対して、各レバー側壁部3aのフレーム2側とは反対側の縁部は、レバー3の回動状態に係わらず各フレーム側壁部9cから常に露出されている。そして、それら各レバー側壁部3aの前後両縁部の中間部は、レバー3の回動に伴って各フレーム側壁部9cから露出されたり、あるいは各フレーム側壁部9cの内側に収納されたりする。
【0037】
図2、図6中左および中央の図、ならびに図8に示すように、レバー3の上側縁部が周壁部9の湾曲部9aの下側縁部と当接してその回動を規制されるまで、レバー3を周壁部9の一方の開口部8aの側に向けて回動させる。以下の説明において、この状態を待ち受け状態と称することとする。この待ち受け状態においては、各レバー側壁部3aは、各フレーム側壁部9cから最も大きく露出されている。そして、このようにレバー3が最も前側に引き出された状態において、レバー3の各側壁部3aは、周壁部9の切欠部10を略全面的に覆う大きさおよび形状に形成されている。またこの際、各レバー側壁部3aは、それらの一方の開口部8a側の縁部が周壁部9の湾曲部9aの一方の開口部8a側の縁部と略面一となる大きさおよび形状に形成されている。それとともに、各レバー側壁部3aは、それらを連結する連結部3bが各フレーム側壁部9cの下端よりも下方に位置する大きさおよび形状に形成されている。なお、図2は、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1を示す側面図である。
【0038】
このような構造によれば、フレーム2は、一方の開口部8aを他方の開口部8bと同等以上の大きさで確保して一方のコネクタハウジング4を内部に円滑に収容することができる。すなわち、レバー3は、一方のコネクタハウジング4をフレーム2の内部に収容する際には、一方の開口部8aの側に向けて引き出されて、ハウジング収納用間口20を有するフード部21をフレーム2と共に構成することができる。この際、一方のコネクタハウジング4が通されるハウジング収納用間口20は、フレーム2のおよび周壁部9の一方の開口部8aと実質的に同一となる。
【0039】
また、図6中右側の図に示すように、レバー3の連結部3bが周壁部9のフランジ部16の前面と当接してその回動を規制されるまで、レバー3を周壁部9の他方の開口部8bの側に向けて回動させる。以下の説明において、この状態を収容状態と称することとする。この収容状態においては、各レバー側壁部3aは、各フレーム側壁部9cからの露出が最も小さくなっている。そして、このようにレバー3が最も後側に押し戻された状態において、各レバー側壁部3aは、各フレーム側壁部9cの外形に沿って周壁部9の切欠部10を部分的に覆う大きさおよび形状に形成されている。またこの際、各レバー側壁部3aは、それらの一方の開口部8a側の縁部の一部が周壁部9の湾曲部9aの一方の開口部8a側の縁部と略面一となる大きさおよび形状に形成されている。したがって、周壁部9の切欠部10は、その殆どを各レバー側壁部3aから開放されている。そして、レバー3の各側壁部3aは、それらを連結する連結部3bが各フレーム側壁部9cの下端よりも下方に位置する大きさおよび形状に形成されている。
【0040】
さらに、各レバー側壁部3aの連結部3b側の角部は、各フレーム側壁部9cの一方の開口部8aおよび開放端部9bに面する側の角部と同様に、斜めに取り除かれている。具体的には、各レバー側壁部3aの連結部3b側の角部のうち、各フレーム側壁部9cと対向し合う側で、かつ、周壁部9の他方の開口部8bおよび開放端部9bに面する側の角部が斜めに切り取られている。すなわち、各レバー側壁部3aは、各フレーム側壁部9cとは反対に、それらの周壁部9の長軸方向に沿った長さが周壁部9の一方の開口部8a側から他方の開口部8b側に向かって徐々に短くなるように、略台形状に形成されている。さらに、各レバー側壁部3aは、レバー3が最も他方の開口部8b側に回動された状態において、斜めに切り取られた角部の縁部が周壁部9の他方の開口部8b側の縁部と略面一となる大きさおよび形状に形成されている。そして、レバー3は、それら各レバー側壁部3aの斜めに切り取られた角部が、周壁部9の各側壁部9cの斜めに切り取られた角部と互いに対向し合う向きでフレーム2に取り付けられている。
【0041】
このような構造によれば、レバー3は、収容状態では、一方の開口部8aを他方の開口部8bと同等以上の大きさで確保しつつ周壁部9の開放端部9bをその下側から覆うことができる。これにより、レバー3は、フレーム2の内部に収容した一方および他方の各コネクタハウジング4,5を、それらと互いに干渉し合うことなく保護することができる。また、後述するように、一方のコネクタハウジング4をフレーム2の内部に収容し終えた収容状態では、各レバー側壁部3aの大部分は各フレーム側壁部9cの内側に収納されて殆ど露出していない。この結果、フレーム2とレバー3とで構成されていたフード部21の構成が解除されて消失する。ひいては、フード部21の開口部となっていたハウジング収納用間口20が消失する。
【0042】
一方のコネクタハウジング4は、本実施形態においては雄型のコネクタハウジングとする。また、この雄型コネクタハウジング4は、上下2個のコネクタハウジング4a,4bで構成されている。
【0043】
図3に示すように、上側のコネクタハウジング4aの左右両外側面の上部には、前述したフレーム2の湾曲部9aの内側に突設されている各リブ11と互いに係合し合う一対のリブ溝22が形成されている。これら各リブ溝22は、フレーム2の一方の開口部8aと前記他方の開口部8bとを結ぶ周壁部9の高さ方向に沿うように、上側コネクタハウジング4aの前後方向に沿って延ばされて形成されている。この方向は、雄型コネクタハウジング4をフレーム2の内部に収容する際の収容方向である。なお、図3は、図2に示すレバー嵌合式コネクタ1を一方の開口部8aの側から臨んで示す正面図である。また、これら各リブ11と各リブ溝22とによる構成の理解を容易にするために、図3中二点鎖線で囲って示す領域Bを、図5において拡大して示す。図5中破線で囲んで示す2つの領域Dが各リブ11と各リブ溝22との係合構造を示す部分である。
【0044】
また、図7に示すように、上側コネクタハウジング4aの上面の後部には、前述したフレーム2の湾曲部9aの内側に形成されているガイド溝12と互いに係合し合う上部ガイド23が突設されている。雄型コネクタハウジング4は、これに形成されている各リブ溝22および上部ガイド23がフレーム2の湾曲部9aに形成されている各リブ11およびガイド溝12と互いに係合し合うことにより、適正な位置および姿勢でフレーム2の内側に案内されて収容される。
【0045】
また、上側コネクタハウジング4aの左右両外側面には、その後部の各リブ溝22の直下に一対のハウジング当たり止め24が突設されている。図4に示すように、これら各ハウジング当たり止め24は、各フレーム側壁部9cの内側に可撓性を有して設けられた一対のハウジング係止部25の爪部25aと互いに係合し合う大きさおよび形状に形成されている。したがって、雄型コネクタハウジング4を一方の開口部8a側からフレーム2の内部に進入させていくと、各ハウジング当たり止め24がハウジング係止部25の爪部25aに係合する。これにより、雄型コネクタハウジング4は、そのフレーム2内部への進入を適正な位置で止められる。なお、図4は、図3中破断線A−A'に沿って示す断面図である。
【0046】
さらに、図7に示すように、上側コネクタハウジング4aの下部には、ハウジング組み立て用溝26が2箇所に形成されている。これに対応して、下側コネクタハウジング4bの上部には、ハウジング組み立て用リブ27が2箇所に突設されている。上側コネクタハウジング4aと下側コネクタハウジング4bとは、各ハウジング組み立て用溝26と各ハウジング組み立て用リブ27とを互いに係合させることにより、一体に組み立てられる。さらに、下側コネクタハウジング4bの上部の中央部には、前述したボス19が各ハウジング組み立て用リブ27の間に突設されている。そして、上側コネクタハウジング4aの下部の中央部には、各ハウジング組み立て用溝26の間のボス19と対向する位置に、ボス19が嵌入する従動子受け部としてのボス用凹部28が形成されている。このような構造により、上側コネクタハウジング4aと下側コネクタハウジング4bとは、がたつくことなく適正な状態で一体に組み立てられる。
【0047】
他方のコネクタハウジング5は、前述した一方のコネクタハウジング4に対応して、本実施形態においては雌型のコネクタハウジングとする。この雌型コネクタハウジング5も、雄型コネクタハウジング4と同様に上下2個のコネクタハウジング5a,5bで構成されている。ただし、雄型コネクタハウジング4と異なり、それら上下のコネクタハウジング5a,5bは一体化されることなく、それぞれ個別に取り扱われる。各コネクタハウジング5a,5bは、雄型コネクタハウジング4とは反対に、他方の開口部8bを通してフレーム2の内部に収容される。
【0048】
各雌型コネクタハウジング5a,5bは、各雄型コネクタハウジング4a,4bに先立って、予めフレーム2の内部に収容される。そして、各雄型コネクタハウジング4a,4bがフレーム2の内部に適正に収容された際には、各雄型コネクタハウジング4a,4bと各雌型コネクタハウジング5a,5bとが互いに嵌合し合う。そして、各雄型コネクタハウジング4a,4bが備える複数個の雄端子4cが、各雌型コネクタハウジング5a,5bが備える複数個の雌端子5cに結合する。なお、図示および詳細な説明は省略するが、各雄型コネクタハウジング4a,4bおよび各雌型コネクタハウジング5a,5bからは、各雄端子4cおよび各雌端子5cに電気的に接続された導線が引き出されている。
【0049】
次に、主に図6および図7を参照しつつ、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1の組み立て方について説明する。図6は、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1の組み立て工程を、コネクタ1の左側から臨んで工程順に示す側面図である。また、図7は、図6に示す各工程を図3中破断線C−C'に沿って同じくコネクタ1の左側から臨んで示す断面図である。
[レバー嵌合式コネクタの組み立て方法]
【0050】
先ず、図6および図7の左側の図に示すように、フレーム2にレバー3を予め回動自在に取り付けておく。また、上下各雌型コネクタハウジング5a,5bを、予めフレーム2の内部に収容しておく。続けて、レバー3を周壁部9の一方の開口部8a側、すなわちフレーム2の前方に向けて止まるまで回動させて、待ち受け状態に設定する。これにより、各レバー側壁部3aが各フレーム側壁部9cから最も大きく露出して、フレーム2の一方の開口部8a側にフレーム2とレバー3とから構成されたフード部21が形成される。それとともに、図1に示すように、このフード部21の端面にハウジング収納用間口20が形成される。また、これらの作業とは別途、雄型の上側コネクタハウジング4aと下側コネクタハウジング4bとを、予め一体に組み上げておく。この後、上下各コネクタハウジング4a,4bが一体になった雄型コネクタハウジング4をフード部21のハウジング収納用間口20を通してフレーム2の内側に挿入する。
【0051】
次に、図2、ならびに図6および図7の中央の図に示すように、雄型コネクタハウジング4が有する一対のボス19をレバー3のカム溝18に嵌入させる。続けて、雄型コネクタハウジング4をフレーム2の内側にさらに進入させて、レバー3によるハウジング収容操作が可能な位置まで各ボス19をレバー3のカム溝18の内部に進入させる。
【0052】
次に、図6および図7の右側の図に示すように、レバー3を周壁部9の他方の開口部8b側、すなわちフレーム2の後方に向けて止まるまで回動させて、収容状態に設定する。この収容状態においては、各レバー側壁部3aの大部分は各フレーム側壁部9cの内側に収納されて殆ど露出していない。すなわち、待ち受け状態においてフレーム2とレバー3とで構成されていたフード部21、およびフード部21の開口部となっていたハウジング収納用間口20が消失している。
【0053】
また、この収容状態においては、図6の右側の図中破線Fで囲んで示すように、雄型コネクタハウジング4の各ボス19はレバー3のカム溝18に沿ってその最深部まで案内される。これにより、雄型コネクタハウジング4のフレーム2の内部への収容が終了する。それとともに、雄型コネクタハウジング4は、フレーム2の内部に予め収容されている雌型コネクタハウジング5と互いに適正に嵌合し合う。この結果、雄型コネクタハウジング4の各雄端子4cが、雌型コネクタハウジング5の各雌端子5cに適正に結合する。そして、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1によれば、図6および図7の右側の図中二点鎖線Eで囲んで示すように、収容状態においては、フレーム2に収容された雄型コネクタハウジング4の下方にスペースが作り出されている。
【0054】
これまでの工程により、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1の組み立て作業を終了とする。この後、図7の右側の図に示すように、組み立てが完了したコネクタ1を、フレーム2の湾曲部9aに突設されている各パネル当たり止め13がパネル6の端面と当接するまで、周壁部9の前方側からパネル6の取付孔7に挿入していく。すると、パネル6の端面と各フレーム側壁部9cに形成されている各フレーム係止部14の爪部14aとが互いに係合し合う。この結果、パネル6はその表裏両面側から各フレーム係止部14と各パネル当たり止め13とによって挟み込まれて、コネクタ1はパネル6に適正な状態で取り付けられる。以上で本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1のパネル6への取り付け作業を終了とする。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1においては、雄型および雌型の各コネクタハウジング4,5を収容するフレーム2の周壁部9に切欠部10が設けられている。そして、雄型コネクタハウジング4をフレーム2内に収容する際にのみ、レバー3を回動させることにより切欠部10を補填して、ハウジング収納用間口20を有するフード部21をフレーム2と共に形成する。雄型コネクタハウジング4をフレーム2内に収容し終えた後は、レバー3を反対側に回動させることにより切欠部10を開放して、フード部21およびハウジング収納用間口20を消失させる。このような構造によれば、レバー嵌合式コネクタ1は、フード部21とレバー3との二重構造が解消されており、小型化および省スペース化が図られている。すなわち、本実施形態によれば、小型化が図られたレバー嵌合式コネクタ1を提供することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1においては、雄型コネクタハウジング4に、フレーム2の周壁部9の内側に設けられたリブ11と係合するガイド溝22が設けられている。このような構造によれば、雄型コネクタハウジング4は、その姿勢や傾きが規制されて適正な状態でフレーム2内に収容される。このため、雄型コネクタハウジング4が一旦フレーム2内に収容され始めた後は、雄型コネクタハウジング4をフレーム2内に適正な状態で収容するためのフード部21およびハウジング収納用間口20は必要なくなる。すなわち、フード部21およびハウジング収納用間口20を消失させて構わない。したがって、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1は、収容状態においては、各レバー側壁部3aの一部をフレーム2の周壁部9の内側に収納して、コンパクトな状態に戻ることができる。よって、本実施形態によれば、小型化が図られたレバー嵌合式コネクタ1を提供することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るレバー嵌合式コネクタ1においては、フレーム2の周壁部9に切欠部10が設けられているとともに、収容状態においてはフレーム2に収容された雄型コネクタハウジング4の下方にスペースが作り出されている。このため、小型化および省スペース化が図られている。したがって、レバー嵌合式コネクタ1は、自動車のドアパネル6のヒンジ付近など、十分なスペースを確保し難い狭スペースへの取り付け作業が行い易い。
【0058】
なお、本願発明に係るレバー嵌合式コネクタ1は、以上説明した一実施形態には制約されない。本願発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば、その構成や形状あるいは設定等々を種々様々に変更したり、あるいは組み合わせたりして実施して構わない。
【0059】
例えば、図8に示すように、前述した一実施形態では、フレーム2の一方の開口部8a側からレバー3の回動操作によりフレーム2の内部に収容する一方のコネクタハウジング4を雄型コネクタハウジングとした。それとともに、この雄型コネクタハウジング4の収容に先立って、フレーム2の他方の開口部8b側からフレーム2の内部に予め収容しておく他方のコネクタハウジング5を雌型コネクタハウジングとした。しかし、図9に示すように、前述した一実施形態とは反対に、一方のコネクタハウジング4を雌型コネクタハウジングとするとともに、他方のコネクタハウジング5を雄型コネクタハウジングとしても構わないのはもちろんである。
【0060】
また、前述した一実施形態ではパネル6を用いたが、本願発明に係るレバー嵌合式コネクタ1は必ずしもパネル6に取り付けられる必要はない。例えば、図示は省略するが、パネル6を用いずに、ワイヤハーネスの雄・雌コネクタ4,5同士を嵌合させても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本願発明に係るレバー嵌合式コネクタにおいては、一方のコネクタハウジングをフレーム内に収容する際にのみ、レバーを回動させて一方のコネクタハウジングを収容するためのハウジング収納用間口を有するフード部をフレームと共に形成する。一方のコネクタハウジングをフレーム内に収容し終えた後は、レバーを反対側に回動させることにより切欠部を開放して、フード部およびハウジング収納用間口を消失させる。したがって、フード部とレバーとの二重構造が解消されており、小型化および省スペース化を図るために利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 レバー嵌合式コネクタ
2 フレーム
3 レバー
3a レバー側壁部
3b レバー連結部
4 雄型コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
4a 上側の雄型コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
4b 下側の雄型コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
4c 雄型端子
5 雌型コネクタハウジング(他方のコネクタハウジング)
5a 上側の雌型コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
5b 下側の雌型コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
5c 雌型端子
6 パネル
7 取付孔
8 フレームの開口部
8a フレームの一方の開口部
8b フレームの他方の開口部
9 フレーム周壁部
9a 周壁部の湾曲部
9b 周壁部の開放端部
9c 周壁部の側壁部
10 周壁部の切欠部
11 リブ
12 ガイド溝
13 当たり止め
14 フレーム係止部
14a フレーム係止部の爪部
15 軸受孔
16 フランジ部
17 支持軸
18 カム溝(カム部)
19 ボス(従動子)
20 ハウジング収納用間口
21 フード部
22 リブ溝
23 上部ガイド
24 ハウジング当たり止め
25 ハウジング係止部
25a ハウジング係止部の爪部
26 ハウジング組み立て用溝
27 ハウジング組み立て用リブ
28 ボス用凹部(従動子受け部)
D リブとリブ溝との嵌合部分
E 収容状態において生まれたスペース
F ボス(従動子)とカム溝(カム部)との係合部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を開口した周壁部を有するフレームと、
該フレームに回動自在に設けられたレバーと、
該レバーのカム部に係合する従動子を有しており、該レバーを前記フレームの一方の開口部の側から他方の開口部の側に向けて回動することにより前記従動子が前記カム部に沿って案内されて、前記一方の開口部に連通するハウジング収納用間口を通して前記フレームの内側に収容される一方のコネクタハウジングと、
前記他方の開口部を通して前記フレームの内側に収容され、前記一方のコネクタハウジングに嵌合する他方のコネクタハウジングと、
を具備するレバー嵌合式コネクタにおいて、
前記フレームは、前記周壁部の一部に前記一方の開口部に連通して切り欠かれた切欠部を有する筒形状に形成されており、
前記レバーは、前記一方の開口部の側に向けて回動されることにより側壁部の一部が前記周壁部の内側から露出されて前記周壁部の切欠部を補填して、前記ハウジング収納用間口を有するフード部を前記フレームと共に形成するとともに、前記他方の開口部の側に向けて回動されることにより前記側壁部の一部が前記周壁部の内側に収納されて前記周壁部の切欠部を開放して、前記フード部および前記ハウジング収納用間口を消失させる、ことを特徴とするレバー嵌合式コネクタ。
【請求項2】
前記フレームの前記周壁部の内側には、前記一方の開口部と前記他方の開口部とを結ぶ方向に沿って延ばされて、かつ、前記レバーの動きとは非干渉にリブが設けられているとともに、前記一方のコネクタハウジングには、前記リブと係合するガイド溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレバー嵌合式コネクタ。
【請求項3】
前記フレームの前記周壁部を前記一方の開口部の側からパネルに貫通して取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載のレバー嵌合式コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−16294(P2013−16294A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147106(P2011−147106)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】