説明

レバー装置

【課題】 レバー支持体にレバーを取付けるときの舌片の折損を、レバー支持体の大形化を招来することなくして、回避できるようにする。
【解決手段】 ブラケット26の舌片29をレバー34の突起35を有した面34aより小さく形成して、その面34aが、ブラケット26の舌片29と共にブラケット26の舌片29以外の周辺部分の面にも対向するようにした。これにより、レバー34が、突起35を有した面34aとブラケット26の舌片29との対向方向にブラケット26を動作させるときには、ブラケット26がその荷重を舌片29で受けるだけでなく、舌片29以外の周辺部分の面でも受ける。従って、舌片29に生じる応力も小さくできて、舌片29の折損を回避することができる。又、それにより、舌片29の長さを大きくする必要もなくなるので、ブラケット26の大形化を招来しないようにもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー支持体に対するレバーの取付構造を改良したレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車など車両のターンシグナルやワイパコントロール等に使用されるレバー装置は、図6に示すように、レバー1と、レバー支持体2とを具備して構成されている。そして、そのレバー1には、被係合部として突起3が図7に示すように両側面に形成され、他方、レバー支持体2には、舌片4が同じく両側面に形成されている。この舌片4は、矩形で、その一辺部(図示例では、図6の右辺部)をレバー支持体2に一体に連ねており、他の三辺部をレバー支持体2から離間させている。又、この舌片4には、係合部として孔5が形成され、更に、レバー支持体2のレバー挿入口6の両側部から舌片4の孔5にかけては、内側に溝7,8が漸次その深さを小さくして形成されている。
【0003】
この構成で、レバー1をレバー支持体2のレバー挿入口6からレバー支持体2の内部に挿入し、突起3を、溝7,8に沿い進めて、舌片4を弾性的に押し広げつつ、孔5に合致させる。すると、舌片4が復元して、孔5を突起3に係合させるものであり、かくして、レバー1がレバー支持体2に取付けられている(図7及び図8参照)。
【0004】
しかして、レバー支持体2は、レバー1の突起3を有した面とレバー支持体2の舌片4との対向方向(図7で左右方向)と交差する方向(各図で上方)に、軸部9を有しており、上述の取付状態で、レバー1は、その軸部9を中心にレバー支持体2を回動させることで、図7に矢印Aで示すように、舌片4にこれを押し広げる方向の荷重を加え、レバー1の突起3を有した面と舌片4との対向方向にレバー支持体2を動作させるようになっている。
【特許文献1】特開2004−46698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のものの場合、レバー1が、突起3を有した面とレバー支持体2の舌片4との対向方向にレバー支持体2を動作させるときには、舌片4にこれを押し広げる方向の荷重が加わる。このため、舌片4の強度を増す必要があって、それを一般には舌片4の板厚を大きくすることで実現している。
しかしながら、その結果、レバー支持体2にレバー1を取付けるときに押し広げられる舌片4の応力が大きくなり、舌片4がレバー支持体2に連なった一辺部において亀裂を生じ折損することがある。又、それを回避すべく、舌片4の長さを大きくすることが考えられているが、その場合には、それに伴ってレバー支持体2が大形化する問題がある。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、レバー支持体にレバーを取付けるときの舌片の折損を、レバー支持体の大形化を招来することなくして、回避できるレバー装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のレバー装置は、レバーと、レバー支持体とを具備し、レバー支持体に形成した舌片が有する係合部に、レバーが有する被係合部を、舌片の弾性により、係合させることによって、レバーをレバー支持体に取付け、レバーの被係合部を有した面と舌片との対向方向にレバー支持体をレバーにより動作させるようにしたものにおいて、前記舌片を前記レバーの被係合部を有した面より小さく形成して、その面が舌片と共にレバー支持体の舌片以外の周辺部分の面にも対向するようにしたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0008】
上記手段によれば、レバーの被係合部を有した面が、レバー支持体の舌片と共にレバー支持体の舌片以外の周辺部分の面にも対向することで、レバーが、突起を有した面とレバー支持体の舌片との対向方向にレバー支持体を動作させるときには、レバー支持体はその荷重を舌片で受けるだけでなく、舌片以外の周辺部分の面でも受ける。よって、その分、舌片の板厚を小さくできるものであり、舌片の長さを大きくする必要もない。かくして、レバー支持体にレバーを取付けるときの舌片の折損を、レバー支持体の大形化を招来することなくして、回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図4を参照して説明する。
まず、図3には、自動車用など車両用の、レバー装置を含むレバースイッチ装置を全体的に示しており、スイッチボディ11を主体として、その図中上方にボディカバー12を装着し、同下方にアンダーカバー13を装着している。
【0010】
上記アンダーカバー13の内部には、回路基板14を収納しており、その上方にインシュレータ15を配置して、更にその上方にはコンタクトホルダ16,17を配置している。コンタクトホルダ16,17は、それぞれインシュレータ15側に可動コンタクト18,19を個別に装着しており、インシュレータ15はコンタクトホルダ16側に固定コンタクト20,21を埋設していて、この固定コンタクト20,21上を可動コンタクト18,19がそれぞれコンタクトホルダ16,17に伴われて別個に摺動するようになっており、そのコンタクトホルダ16、可動コンタクト18、及び固定コンタクト20により、第1のスイッチ本体22を構成し、コンタクトホルダ17、可動コンタクト19、及び固定コンタクト21により、第2のスイッチ本体23を構成している。
なお、回路基板14には、固定コンタクト20,21の端子部20a,21aを接続しており、そのほか、接続器24を装着していて、これに接続線25を接続している。
【0011】
一方、ボディカバー12とスイッチボディ11との間には、レバー支持体であるブラケット26を配置している。このブラケット26は、図中上面部と図の紙面と直交する方向の両側面部以外の面部が開放しており、そのうちの上面部の図中左側部には軸部27を有し、この軸部27を、ボディカバー12に形成した凹部28に嵌合することによって、ブラケット26を軸部27を中心とした図4及び図2中矢印A方向に回動可能に支持している。
【0012】
そして又、ブラケット26の上記両側面部には、図1に示す舌片29を、図2に示すようにそれぞれ形成している。この舌片29は、一辺部(図示例では、図1の右辺部)をブラケット26に一体に連ねており、他の三辺部(図示例では、図1の上辺部と左辺部及び下辺部)をブラケット26から離間させていて、そのブラケット26から離間した先端部である左辺部側より、ブラケット26に連なった基端部である一辺部側を幅広に形成した台形を成している。更に、この舌片29には、係合部としての円形孔30を形成しており、加えて、ブラケット26の左側開口で成るレバー挿入口31(図2参照)の両側部から舌片29の孔30にかけては、内側に溝32,33を漸次その深さを小さくして形成している。
【0013】
これに対して、34はレバーを示しており、このレバー34には、被係合部としての円柱状突起35を図2に示すように両側面に形成しており、更に、この突起35には、図1に示すように、ブラケット26の奥部に臨む側に斜面36を漸次その深さを小さくして形成している。
【0014】
この構成で、レバー34をブラケット26のレバー挿入口31からブラケット26の内部に挿入し、突起35を斜面36側から、溝32,33に沿い進めて、舌片29を弾性的に押し広げつつ、孔30に合致させる。すると、舌片29が復元して、孔30を突起35に係合させるものであり、かくして、レバー34をブラケット26に取付けている。
【0015】
図1は、上記レバー34の取付状態を示しており、この図で明らかなように、ブラケット26の舌片29はレバー34の突起35を有した面34aより小さく形成しており、その面34aが、ブラケット26の舌片29と共にブラケット26の舌片29以外の周辺部分の面(図1に破線の斜線で示した部分)にも対向するようにしている。
【0016】
なお、ブラケット26の内部に挿入したレバー34の基端部には、図3に示す穴37をあらかじめ形成していて、これにスプリング38と節度ピース39とを収納している。又、それに対し、前記スイッチボディ11には、図3の上下方向に斜面40aを有する節度谷40を複数、図4に示すように、前記ブラケット26の軸部27を中心とする円弧の配置に並べて形成しており、この節度谷40の1つに上記節度ピース39をスプリング38の弾発力で圧接させて係合させ、この節度ピース39及びスプリング38と節度谷40とで節度機構41を構成している。又、ブラケット26には、図3に示すように、前記第1のスイッチ本体22のコンタクトホルダ16を係合させている。
更に、レバー34には、シャフト42を回転可能に挿入して設け、これの基端部に突設した授動部43に前記第2のスイッチ本体23のコンタクトホルダ17を係合させている。
【0017】
さて、上述のごとく構成したものの場合、使用者がレバー34を図1及び図3の紙面と直交する方向に操作すると、レバー34の突起35を有した面34aにより、ブラケット26の舌片4とその周辺部分の面(図1に破線の斜線で示した部分)とにこれらを押し広げる方向の荷重が加えられることによって、ブラケット26が軸部27を中心に図2及び図4に矢印Aで示した方向に回動し、すなわち、レバー34の突起35を有した面とブラケット26の舌片29との対向方向に動作する。
【0018】
なお、ブラケット26が上述のように回動すると、節度機構41においては、節度ピース39が順次隣接する節度谷40に係合し、ブラケット26及びレバー34の回動に節度を与える。又、それと共に第1のスイッチ本体22においては、コンタクトホルダ16が可動コンタクト18を伴って固定コンタクト20上を図4に矢印Bで示す方向に摺動し、可動コンタクト18を上記節度機構41による節度の付与と合わせて固定コンタクト20に接離させ、接点の開閉を行う。なお、このときの接点の開閉は、車両の例えばワイパの作動速度コントロールに供するようにしている。
【0019】
又、レバー34を図1及び図3に矢印Cで示す方向、すなわち、レバー34の突起35を有した面34aとブラケット26の舌片29との対向方向と交差する方向に操作すると、レバー34は突起35を軸部としてこれを中心に同方向に回動し、それと共に第1のスイッチ本体22においては、コンタクトホルダ16が可動コンタクト18を伴って固定コンタクト20上を図3に矢印Dで示す方向に摺動し、接点の開閉を行う。なお、このときの接点の開閉は、車両の例えばウォッシャコントロールに供するようにしている。
【0020】
加えて、シャフト42を回転操作すると、授動部43により、第2のスイッチ本体23において、コンタクトホルダ17が可動コンタクト19を伴って固定コンタクト21上を図4に矢印Eで示す方向に摺動し、接点の開閉を行う。なお、このときの接点の開閉は、車両の例えばワイパの間欠作動時間コントロールに供するようにしている。
【0021】
このように本構成のものでは、ブラケット26の舌片29をレバー34の突起35を有した面34aより小さく形成して、その面34aが、ブラケット26の舌片29と共にブラケット26の舌片29以外の周辺部分の面(図1に破線の斜線で示した部分)にも対向するようにしたことによって、レバー34が、突起35を有した面34aとブラケット26の舌片29との対向方向にブラケット26を動作させるときには、ブラケット26がその荷重を舌片29で受けるだけでなく、舌片29以外の周辺部分の面でも受ける。
【0022】
従って、その分、舌片29の板厚を従来のもののように大きくする必要がなく、小さくできるから、ブラケット26にレバー34を取付けるときの、舌片29に生じる応力も小さくできて、舌片29の折損を回避することができる。又、それにより、舌片29の長さを大きくする必要もなくなるので、ブラケット26の大形化を招来しないようにもできる。
【0023】
加えて、特に本構成のものの場合には、舌片29の、ブラケット26から離間した先端部側より、ブラケット26に連なった基端部側を、幅広に形成している。これは、レバー34の突起35を有した面34aとブラケット26の舌片29との対向方向と交差する方向にレバー34が動作可能であるからであり、レバー34がその方向に動作されると、舌片29には、基端部側に大きな荷重がかかるため、それに耐える強度を舌片29の基端部側に付与しているのであって、これによっても、舌片29の折損を回避することができる。
【0024】
以上に対して、図5は本発明の第2実施例(第2の実施形態)を示すもので、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
このものの場合、前述の舌片29に代え、舌片51の、ブラケット26に連なった基端部側を、ブラケット26から離間した先端部側と等しい幅に形成している。
レバー34の突起35を有した面34aとブラケット26の舌片29との対向方向と交差する方向にレバー34が動作可能でないものの場合には、このようにすれば良い。
【0025】
このほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、特に、レバー34の突起35(凸部)で例示した被係合部と、ブラケット(レバー支持体)26の孔30(凹部)で例示した係合部は、その凹凸関係を逆に設けられていても良いし、更に、全体として車両用以外のレバー装置にも適用できるなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例を示す主要部分の正面図
【図2】主要部分の側面図
【図3】主要部分を含むレバースイッチ装置全体の縦断面図
【図4】レバースイッチ装置全体の、ボディカバーを取除いた状態での平面図
【図5】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図6】従来例を示す主要部分の分解正面図
【図7】図2相当図
【図8】図1相当図
【符号の説明】
【0027】
図面中、26はブラケット(レバー支持体)、29は舌片、30は孔(係合部)、34はレバー、35は突起(被係合部)、51は舌片を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバーと、
レバー支持体とを具備し、
レバー支持体に形成した舌片が有する係合部に、レバーが有する被係合部を、舌片の弾性により、係合させることによって、レバーをレバー支持体に取付け、レバーの被係合部を有した面と舌片との対向方向にレバー支持体をレバーにより動作させるようにしたものにおいて、
前記舌片を前記レバーの被係合部を有した面より小さく形成して、その面が舌片と共にレバー支持体の舌片以外の周辺部分の面にも対向するようにしたことを特徴とするレバー装置。
【請求項2】
レバーの被係合部を有した面と舌片との対向方向と交差する方向にレバーが動作可能であって、
舌片の、レバー支持体から離間した先端部側より、レバー支持体に連なった基端部側を、幅広に形成したことを特徴とする請求項1記載のレバー装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−215960(P2006−215960A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30472(P2005−30472)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】