説明

レンジポジションのインジケータランプ点灯回路

【課題】ニュートラルの状態でギヤが入っているものとドライバーが誤認しないようにする。
【解決手段】レンジシャフト1のローポジションを検出して接点6がオンとなる常時開の検出スイッチ7と、レンジシャフト1のハイポジションを検出して接点8がオフとなる常時閉の検出スイッチ9と、インジケータローランプ10と、インジケータハイランプ11と、電磁コイル13の励磁によりオフとなる接点14を有するリレー12と、電源15から接点14,ハイランプ11を順次経由してアースに繋がる通電ライン16と、該通電ライン16の接点14より電源15側に並列に接続されて検出スイッチ9,検出スイッチ7,ローランプ10を順次経由してアースに繋がる通電ライン17と、該通電ライン17における検出スイッチ7,9の間に並列に接続されて電磁コイル13を経由してアースに繋がる通電ライン18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジポジションのインジケータランプ点灯回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トレーラを牽引するトラクタ等では牽引時と無牽引時とで車両総重量が大きく異なるため、走行性能の向上を目的として主変速機に高低切換用の副変速機を備えることがある。この種の副変速機には入力側に設けられるスプリッタと出力側に設けられるレンジギヤとがあり、例えば、4段変速が可能な主変速機の前段・後段に、比較的変速比の小さい2段変速のスプリッタと比較的変速比の大きい2段変速のレンジギヤとを挿入し、これら主変速機、スプリッタ、レンジギヤの組み合わせにより、トータルで16段変速が可能な構成としたものがある。
【0003】
尚、このような副変速機の操作は、運転席のシフトレバーのノブに設けられている操作スイッチにより電気的にアクチュエータを操作して行い得るようになっており、下記の特許文献1等に操作系の一例が具体的に開示されている通り、既に周知慣用の技術として知られているところである。
【0004】
前述の如き主変速機に副変速機を備えた多段変速の車両においては、レンジポジション(ハイ又はロー)をドライバーに認識させるためにインジケータランプが設置されており、図4に示す如く、レンジギヤの高低の切り換えを担うレンジシャフトaのローポジションが検出スイッチbにより検出されるようになっている。
【0005】
即ち、前記レンジシャフトaは、レンジシリンダc内に収容されたレンジピストンdと一体的に連結されており、前記レンジピストンdの前後に吸排される作動エアにより前記レンジピストンdと一緒に進退動するようになっていて、図4に示す最も退動した時にレンジギヤがローとなり、図5に示す最も進出した時にレンジギヤがハイとなり、図6に示す中間位置となった時にレンジギヤがニュートラルとなるようにしてある。
【0006】
そして、前記レンジシャフトaには、図4のローポジションの状態において前記検出スイッチbが嵌まり込むようにした溝部eが設けられており、該溝部eに嵌まり込んだ時にだけ接点fがオンとなり、溝部eに嵌まり込んでいない時には接点fがオフとなるようにしてある。
【0007】
前記検出スイッチbの接点fがオンとなった時には、レンジギヤがローであることを示すインジケータローランプgに電源hから通電ラインiを介し通電が成されて前記インジケータローランプgが点灯する一方、通電ラインjを介しリレーkの電磁コイルlにも通電が成され、該電磁コイルlが励磁して接点mがオフとなり、レンジギヤがハイであることを示すインジケータハイランプnへの通電ラインoを介した通電が遮断されて該インジケータハイランプnの点灯が阻止されるようになっている。
【0008】
また、図5のハイポジションの状態においては、検出スイッチbがレンジシャフトaの溝部eから抜け出て接点fがオフとなることにより、インジケータローランプgへの通電ラインiを介した通電が遮断されて該インジケータローランプgが消灯する一方、リレーkの電磁コイルlが非励磁となって接点mがオンとなり、インジケータハイランプnに通電が成されてインジケータハイランプnが点灯するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−328959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、斯かる従来構成においては、図6に示す如く、レンジシャフトaがニュートラルポジションの状態になっても、検出スイッチbがレンジシャフトaの溝部eから抜け出たままで接点fがオフに保たれているため、インジケータハイランプnが点灯し続ける結果となり、熟練ドライバーの素早いシフトチェンジの操作に変速機側が追従しきれずにギヤが入り損なってニュートラルの状態になってしまったような場合でも、前記インジケータハイランプnの点灯により、レンジギヤがハイの状態でギヤが入っているものとドライバーが誤認する虞れがあった。
【0011】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、ギヤが入っていないニュートラルの状態でギヤが入っているものとドライバーが誤認するような事態を未然に回避し得るレンジポジションのインジケータランプ点灯回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、主変速機に副変速機として備えられたレンジギヤを操作するためのレンジシャフトのローポジションを検出して接点がオンとなる常時開の第一検出スイッチと、前記レンジシャフトのハイポジションを検出して接点がオフとなる常時閉の第二検出スイッチと、レンジギヤがローであることを示すインジケータローランプと、レンジギヤがハイであることを示すインジケータハイランプと、電磁コイルが通電により励磁した時にオフとなる接点を有するリレーと、電源から前記リレーの接点,前記インジケータハイランプを順次経由してアースに繋がる第一通電ラインと、該第一通電ラインの前記リレーの接点より電源側に並列に接続されて前記第二検出スイッチ,前記第一検出スイッチ,前記インジケータローランプを順次経由してアースに繋がる第二通電ラインと、該第二通電ラインにおける前記第二検出スイッチ及び前記第一検出スイッチの間に並列に接続されて前記リレーの電磁コイルを経由してアースに繋がる第三通電ラインとを備えたことを特徴とするレンジポジションのインジケータランプ点灯回路、に係るものである。
【0013】
而して、このようにすれば、レンジシャフトがローポジションにある時に、これを検出した第一検出スイッチの接点がオンとなる一方、第二検出スイッチの接点もオンに保たれているので、インジケータローランプに電源から第一通電ラインを介し通電が成されて該インジケータローランプが点灯することになるが、同時に第三通電ラインを介しリレーの電磁コイルにも通電が成され、該電磁コイルが励磁して接点がオフとなり、インジケータハイランプへの第二通電ラインを介した通電が遮断されて該インジケータハイランプの点灯が阻止される。
【0014】
また、レンジシャフトがハイポジションにある時には、これを検出した第二検出スイッチの接点がオフとなることにより第三通電ラインを介した通電が遮断され、リレーの電磁コイルが非励磁となって接点がオンとなり、これによりインジケータハイランプに電源から第二通電ラインを介し通電が成されて該インジケータハイランプが点灯することになるが、第一検出スイッチの接点はオフに保たれているので、インジケータローランプへの第一通電ラインを介した通電が遮断されて該インジケータローランプの点灯が阻止される。
【0015】
更に、レンジシャフトがニュートラルポジションにある時には、第一検出スイッチの接点がオフに保たれていることによりインジケータローランプへの第一通電ラインを介した通電が遮断されて該インジケータローランプの点灯が阻止される一方、第二検出スイッチの接点もオンに保たれていることにより第三通電ラインを介しリレーの電磁コイルにも通電が成され、該電磁コイルが励磁して接点がオフとなり、インジケータハイランプへの第二通電ラインを介した通電が遮断されて該インジケータハイランプの点灯が阻止される。
【0016】
また、本発明においては、レンジシャフトが長手方向に距離を隔てた二箇所に第一溝部と第二溝部とを備え、前記レンジシャフトがローポジションにある時に該レンジシャフトの第一溝部に嵌まり込んで接点がオンとなるように第一検出スイッチが構成され、前記レンジシャフトがハイポジションにある時に該レンジシャフトの第二溝部に嵌まり込んで接点がオフとなるように第二検出スイッチが構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明のレンジポジションのインジケータランプ点灯回路によれば、従来の回路構成に僅かな改良を施すだけで、レンジシャフトがローポジションにある時にインジケータローランプのみを確実に点灯させ、しかも、レンジシャフトがハイポジションにある時にはインジケータハイランプのみを確実に点灯させ、レンジシャフトがニュートラルポジションにある時にはインジケータローランプ及びインジケータハイランプの何れの点灯も確実に阻止することができるので、ギヤが入っていないニュートラルの状態でギヤが入っているものとドライバーが誤認するような事態を未然に回避することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の形態例のレンジシャフトがローポジションにある時の回路図である。
【図2】図1のレンジシャフトがハイポジションにある時の回路図である。
【図3】図1のレンジシャフトがニュートラルポジションにある時の回路図である。
【図4】従来例のレンジシャフトがローポジションにある時の回路図である。
【図5】図4のレンジシャフトがハイポジションにある時の回路図である。
【図6】図4のレンジシャフトがニュートラルポジションにある時の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中1は主変速機に副変速機として備えられたレンジギヤを操作するためのレンジシャフトを示し、該レンジシャフト1は、レンジシリンダ2内に収容されたレンジピストン3と一体的に連結されており、前記レンジピストン3の前後に吸排される作動エアにより前記レンジピストン3と一緒に進退動するようになっていて、図1に示す最も退動した時にレンジギヤがローとなり、図2に示す最も進出した時にレンジギヤがハイとなり、図3に示す中間位置となった時にレンジギヤがニュートラルとなるようにしてある。
【0021】
そして、前記レンジシャフト1には、その長手方向に距離を隔てた二箇所に溝部4(第一溝部)及び溝部5(第二溝部)が夫々設けられており、その近傍位置には、前記レンジシャフト1がローポジション(図1参照)にある時に該レンジシャフト1の溝部4に嵌まり込んで接点6がオンとなる常時開の検出スイッチ7(第一検出スイッチ)が備えられ、前記レンジシャフト1がハイポジション(図2参照)にある時に該レンジシャフト1の溝部5に嵌まり込んで接点8がオフとなる常時閉の検出スイッチ9(第二検出スイッチ)が備えられている。
【0022】
尚、前記レンジシャフト1がニュートラルポジション(図3参照)にある時に、前記各検出スイッチ7,9が両方とも前記各溝部4,5から抜け出てリフトアップされた状態に維持される、即ち、前記各検出スイッチ7,9の何れか一方が他方のための溝部4,5に嵌まり込むような不具合が起こらないように、前記各溝部4,5の形成位置が考慮されていることは勿論である。
【0023】
また、図中10はレンジギヤがローであることを示すインジケータローランプ、11はレンジギヤがハイであることを示すインジケータハイランプ、12は電磁コイル13が通電により励磁した時にオフとなる接点14を有するリレー、15は電源(バッテリ)を夫々示しており、電源15から前記リレー12の接点14,前記インジケータハイランプ11を順次経由してアースに繋がる通電ライン16(第一通電ライン)と、該通電ライン16の前記リレー12の接点14より電源15側に並列に接続されて前記検出スイッチ9,前記検出スイッチ7,前記インジケータローランプ10を順次経由してアースに繋がる通電ライン17(第二通電ライン)と、該通電ライン17における前記検出スイッチ9及び前記検出スイッチ7の間に並列に接続されて前記リレー12の電磁コイル13を経由してアースに繋がる通電ライン18(第三通電ライン)とが配索されている。
【0024】
而して、このようにすれば、図1に示す如く、レンジシャフト1がローポジションにある時に、これを検出した検出スイッチ7の接点6がオンとなる一方、検出スイッチ9の接点8もオンに保たれているので、インジケータローランプ10に電源15から通電ライン16を介し通電が成されて該インジケータローランプ10が点灯することになるが、同時に通電ライン18を介しリレー12の電磁コイル13にも通電が成され、該電磁コイル13が励磁して接点14がオフとなり、インジケータハイランプ11への通電ライン17を介した通電が遮断されて該インジケータハイランプ11の点灯が阻止される。
【0025】
また、レンジシャフト1がハイポジションにある時には、これを検出した検出スイッチ9の接点8がオフとなることにより通電ライン18を介した通電が遮断され、リレー12の電磁コイル13が非励磁となって接点14がオンとなり、これによりインジケータハイランプ11に電源15から通電ライン17を介し通電が成されて該インジケータハイランプ11が点灯することになるが、検出スイッチ7の接点6はオフに保たれているので、インジケータローランプ10への通電ライン16を介した通電が遮断されて該インジケータローランプ10の点灯が阻止される。
【0026】
更に、レンジシャフト1がニュートラルポジションにある時には、検出スイッチ7の接点6がオフに保たれていることによりインジケータローランプ10への通電ライン16を介した通電が遮断されて該インジケータローランプ10の点灯が阻止される一方、検出スイッチ9の接点8もオンに保たれていることにより通電ライン18を介しリレー12の電磁コイル13にも通電が成され、該電磁コイル13が励磁して接点14がオフとなり、インジケータハイランプ11への通電ライン17を介した通電が遮断されて該インジケータハイランプ11の点灯が阻止される。
【0027】
従って、上記形態例によれば、先の図4〜図6に示した従来の回路構成に僅かな改良を施すだけで、レンジシャフト1がローポジションにある時にインジケータローランプ10のみを確実に点灯させ、しかも、レンジシャフト1がハイポジションにある時にはインジケータハイランプ11のみを確実に点灯させ、レンジシャフト1がニュートラルポジションにある時にはインジケータローランプ10及びインジケータハイランプ11の何れの点灯も確実に阻止することができるので、ギヤが入っていないニュートラルの状態でギヤが入っているものとドライバーが誤認するような事態を未然に回避することができる。
【0028】
尚、本発明のレンジポジションのインジケータランプ点灯回路は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 レンジシャフト
4 溝部(第一溝部)
5 溝部(第二溝部)
6 接点
7 検出スイッチ(第一検出スイッチ)
8 接点
9 検出スイッチ(第二検出スイッチ)
10 インジケータローランプ
11 インジケータハイランプ
12 リレー
13 電磁コイル
14 接点
15 電源
16 通電ライン(第一通電ライン)
17 通電ライン(第二通電ライン)
18 通電ライン(第三通電ライン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主変速機に副変速機として備えられたレンジギヤを操作するためのレンジシャフトのローポジションを検出して接点がオンとなる常時開の第一検出スイッチと、前記レンジシャフトのハイポジションを検出して接点がオフとなる常時閉の第二検出スイッチと、レンジギヤがローであることを示すインジケータローランプと、レンジギヤがハイであることを示すインジケータハイランプと、電磁コイルが通電により励磁した時にオフとなる接点を有するリレーと、電源から前記リレーの接点,前記インジケータハイランプを順次経由してアースに繋がる第一通電ラインと、該第一通電ラインの前記リレーの接点より電源側に並列に接続されて前記第二検出スイッチ,前記第一検出スイッチ,前記インジケータローランプを順次経由してアースに繋がる第二通電ラインと、該第二通電ラインにおける前記第二検出スイッチ及び前記第一検出スイッチの間に並列に接続されて前記リレーの電磁コイルを経由してアースに繋がる第三通電ラインとを備えたことを特徴とするレンジポジションのインジケータランプ点灯回路。
【請求項2】
レンジシャフトが長手方向に距離を隔てた二箇所に第一溝部と第二溝部とを備え、前記レンジシャフトがローポジションにある時に該レンジシャフトの第一溝部に嵌まり込んで接点がオンとなるように第一検出スイッチが構成され、前記レンジシャフトがハイポジションにある時に該レンジシャフトの第二溝部に嵌まり込んで接点がオフとなるように第二検出スイッチが構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンジポジションのインジケータランプ点灯回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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