説明

レンジ検出装置

【課題】 スライダとハウジングとの間の摩擦抵抗を低減可能なレンジ検出装置を提供する。
【解決手段】 ハウジング41は、スライダ51を下方から摺動可能に支持する側板452を備える。側板452は、ハウジング台13上のセパレートプレート18に当接する。側板452には、側板452の内面452aと外面452bとを連通する開口42が形成される。開口42は、セパレートプレート18の開口181を介してハウジング台13の作動油供給路300と連通する。作動油供給路300を流れる作動油は、開口181、開口42を経由してハウジング41の内部に導入される。導入される作動油は、スライダ51の側面552とハウジング41の内面452a上の対向面452cとの間に滞留する。これにより、スライダ51は、ハウジング41の内面452aに直接接触することなく、ハウジング41の内部を往復移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動変速機のシフトレンジを検出するレンジ検出装置が知られている。レンジ検出装置は、運転者が操作するシフトレバーによって選択されるレンジに応じて往復移動するスライダ、このスライダを摺動可能に収容するハウジング、およびハウジングに対するスライダの相対位置を検出する位置検出センサを備える。特許文献1には、スライダを摺動案内するハウジングの案内レールに孔部を設け、スライダとハウジングとの摺動面で発生する粉塵をスライダの端部で集めて当該孔部より排出するレンジ検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−118643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレンジ検出装置では、スライダまたはハウジングの摩耗により発生する粉塵がスライダとハウジングとの間に入り込むことでスライダとハウジングとの間の摩擦抵抗が大きくなり、スライダに連結するシフトレバーの操作性が悪化するおそれがある。また、粉塵がスライダとハウジングとの間に入り込んだままスライダが変位することによりスライダまたはハウジングの摩耗が進行しやすくなる。
【0005】
本発明の目的は、スライダとハウジングとの間の摩擦抵抗を低減可能なレンジ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明によると、レンジ検出装置は、スライダ、ハウジング、ハウジングの内部と外部とを連通する開口、および位置検出手段を備える。スライダは、運転者が操作するレンジ選択手段によって選択される前進、後進、中立、及び駐車を含むレンジに対応して移動する。ハウジングは、スライダを往復移動可能に収容する。開口は、スライダの外壁とスライダの外壁に対向するハウジングの内壁との間に形成される隙間に自動変速機で用いられる作動流体を導入する。位置検出手段は、ハウジングに対するスライダの相対位置を検出する。
【0007】
請求項1に記載のレンジ検出装置には、ハウジングの内部と外部とを連通する開口が形成されている。開口は、自動変速機の複数の摩擦要素に供給される作動流体の一部をハウジングの内部に導入する。導入された作動流体は、スライダの外壁とスライダの外壁に対向するハウジングの内壁とにより形成される隙間に滞留する。これにより、スライダはハウジングと直接接触することなく、ハウジングの内部を往復移動することができる。したがって、スライダがハウジングに直接接触する場合に比べて、スライダとハウジングとの間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0008】
また、作動流体がスライダの外壁とハウジングの内壁とにより形成される隙間に滞留することにより、スライダとハウジングとの間の摩耗が発生しない。これにより、従来、スライダまたはハウジングの摩耗により発生するスライダまたはハウジングの変形、また変形によるスライダの固着を防止することができる。
【0009】
また、スライダまたはハウジングに摩耗が発生した場合、摩耗によって発生する粉塵は、開口を介してハウジングの内部に導入される作動流体に取り込まれ、ハウジングの内部から作動流体とともにハウジング外部に排出される。これにより、粉塵の堆積によるスライダまたはハウジングの損傷を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、開口はスライダの重力方向下方に位置する内壁に形成される。
スライダがハウジングの内部を往復移動する場合、スライダの外壁はスライダの自重により、ハウジングの内壁のうち、スライダの重力方向下方に位置する内壁と接触する。請求項2に記載のレンジ検出装置では、開口をスライダの重力方向下方に位置する内壁に形成する。これにより、スライダとハウジングとが直接接触する可能性がある場所に効率的に作動流体を供給することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によると、開口は、レンジ選択手段が前進レンジを選択したときの内壁に形成される。
スライダとハウジングとの摩耗により発生する粉塵は、レンジ検出装置の振動により発生する。レンジ検出装置の振動は、車両のエンジンが稼働中であって、かつ車両が走行中の場合に発生する。さらに、前述の2つの条件下であって、長時間スライダとハウジングとの相対位置が変化しないレンジは、レンジ選択手段により選択されるレンジのうち、前進レンジである。請求項3に記載のレンジ検出装置では、スライダとハウジングとの接触が最も発生しやすい前進レンジを選択しているときの内壁に開口を形成する。これにより、スライダとハウジングとが直接接触する可能性がある場所に効率的に作動流体を供給することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によると、開口は、内壁の中央に形成される。また、請求項5に記載の発明によると、開口は、内壁の両端に形成される。
上述したように、レンジ選択手段が前進レンジを選択したとき、スライダとハウジングとが直接接触することで摩耗し、粉塵が発生する可能性がある。そこで、請求項4に記載のレンジ検出装置では、レンジ選択手段が前進レンジを選択したとき、スライダの外壁に対向するハウジングの内壁の中央に形成される。これにより、スライダとハウジングとが直接接触する可能性がある場所に効率的に作動流体を供給することができる。また、請求項5に記載のレンジ検出装置では、レンジ選択手段が前進レンジを選択したとき、スライダの外壁に対向するハウジングの内壁の両端に開口が形成される。これによっても、スライダとハウジングとが直接接触する可能性がある場所に効率的に作動流体を供給することができる。
【0013】
請求項6に記載の発明によると、開口が隙間に導入する作動流体は、トルクコンバータに供給される作動流体の圧力を制御するトルクコンバータ圧制御弁のドレン流路内の作動流体である。
請求項6に記載のレンジ検出装置では、トルクコンバータに供給される作動流体の圧力を制御するトルクコンバータ圧制御弁のドレン流路から分岐して、スライダの外壁とハウジングの内壁とにより形成される隙間に導入する。これによって、作動流体を導入するための余分な動力を必要としない。
【0014】
請求項7に記載の発明によると、自動変速機用作動流体圧制御装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載のレンジ検出装置、圧力制御弁、流路切換弁、および流路切換弁に作動流体を供給するポンプを備える。圧力制御弁は、自動変速機の複数の摩擦要素を係合または解放する作動流体の圧力を制御する。流路切換弁は、レンジ選択手段によって選択されるレンジに対応して圧力制御弁に供給される作動流体の流路を切り換える。
【0015】
請求項8に記載の発明によると、開口は、流路切換弁の弁ボディに形成され作動流体が導入される導入流路に連通する。
流路切換弁の弁ボディには、作動流体を導入する導入流路が形成されている。スライダの外壁とハウジングの内壁とにより形成される隙間に作動流体を導入する開口は、導入流路と連通する。これにより、スライダとハウジングとの摩擦抵抗を低減する作動流体は、導入流路から開口を介してハウジングの内部に導入される。
【0016】
請求項9に記載の発明によると、開口は、ポンプが吐出する作動流体の圧力を制御するライン圧制御弁のドレン流路内の作動流体をスライダの外壁とハウジングの内壁とにより形成される隙間に導入する。また、請求項10に記載の発明によると、開口は、トルクコンバータに供給される作動流体の圧力を制御するトルクコンバータ圧制御弁のドレン流路内の作動流体を隙間に導入する。
請求項9および10に記載のレンジ検出装置では、作動流体の圧力を調整する際に不要となり、還流される作動流体をドレン流路から分岐して、スライダの外壁とハウジングの内壁とにより形成される隙間に導入する。これによって、作動流体を導入するための余分な動力を必要としない。
【0017】
請求項11に記載の発明によると、開口は、レンジ選択手段が前進レンジを選択したとき流路切換弁が作動流体を流通させる前進レンジ圧流路内の作動流体を隙間に導入する。
上述したように、レンジ選択手段が前進レンジを選択するとき、スライダとハウジングとが直接接触しやすい状態となる。請求項11に記載の自動変速機用作動流体圧制御装置では、レンジ選択手段が前進レンジを選択したとき、作動流体は流路切換弁が作動流体を流通させる前進レンジ圧流路から開口を経由してハウジングの内部に導入される。一方、レンジ選択手段が前進レンジ以外を選択したとき、流路切換弁は前進レンジ圧流路に作動流体を流通させないため、作動流体はハウジングの内部に導入されない。これにより、スライダとハウジングとが直接接触することにより摩耗が発生しやすいときのみ作動流体を導入する一方、摩耗が発生しにくいときは作動流体の導入を停止することができる。したがって、自動変速機用作動流体圧制御装置に使用する作動流体の量を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明の第1実施形態によるレンジ検出装置を用いる自動変速機の模式図である。
【図2】発明の第1実施形態によるレンジ検出装置を用いる自動変速機の一部を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置の構成を説明する説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置の拡大図であって、(a)レンジ検出装置をスライダ側から見た拡大断面図、(b)レンジ検出装置をスライダの移動方向から見た拡大断面図、である。
【図5】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置の作動を説明するための底面図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置の固定センサを示す部分断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置の可動センサを示す断面模式図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置における回路ブロック図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置におけるレンジ決定のパターン表である。
【図10】本発明の第2実施形態によるレンジ検出装置の構成を説明する説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるレンジ検出装置の拡大図であって、(a)レンジ検出装置をスライダ側から見た拡大断面図、(b)レンジ検出装置をスライダの移動方向から見た拡大断面図、である。
【図12】本発明の第3実施形態によるレンジ検出装置を用いる自動変速機の一部を示す模式図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるレンジ検出装置を用いる自動変速機の一部を示す模式図である。
【図14】本発明の第5実施形態によるレンジ検出装置の拡大図であって、(a)スライダの拡大平面図、(b)スライダの拡大断面図、である。
【図15】本発明の第5実施形態によるレンジ検出装置の可動センサを示す断面模式図である。
【図16】本発明の第5実施形態によるレンジ検出装置における回路ブロック図である。
【図17】本発明の第5実施形態によるレンジ検出装置におけるレンジ決定のパターン表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置を図1〜図9に基づいて説明する。
このレンジ検出装置を用いた自動変速機100は、図1に示すように「複数の摩擦要素」としてのクラッチ121、131、101、ブレーキ141、151、および油圧制御装置180を備える。油圧制御装置180は、「圧力制御弁」としてのリニアソレノイド弁123、133、103、143、153、および「流路切換弁」としてのマニュアルバルブ10などから構成される。油圧制御装置180は、クラッチ121、131、101、ブレーキ141、151に供給される「作動流体」としての作動油の油路を切り換えるとともに、作動油の圧力を制御する。
クラッチ121、131、101、およびブレーキ141、151は、内蔵されているクラッチ板が係合または解放することにより車両の変速段を切り換える。クラッチ121、131、101、およびブレーキ141、151には流路122、132、102、142、152を介してそれぞれリニアソレノイド弁123、133、103、143、153が接続する。リニアソレノイド弁123、133、103、143、153には、ポンプ108が吐出する作動油の流路を切り替えるマニュアルバルブ10が流路124、134、104、144、154を介して接続する。マニュアルバルブ10には「レンジ選択手段」としてのシフトレバー106が接続しており、運転者の操作により選択されるレンジに対応してマニュアルバルブ10は、作動油の流路を切り換える。マニュアルバルブ10は、流路107を介してポンプ108に接続する。流路107には、ポンプ108が吐出する作動油の圧力を制御するライン圧制御弁105が設けられる。ライン圧制御弁105は作動油の圧力を制御するとき、不要となる作動油をドレン流路110を介してオイルパン111に戻す。
【0020】
図2には、図1の自動変速機100の一部として、クラッチ101、油圧制御装置180との接続関係を示す。油圧制御装置180は、リニアソレノイド弁103、マニュアルバルブ10の他に、レンジ検出装置40、およびポンプ108を備える。
ポンプ108は、マニュアルバルブ10に向けて加圧された作動油を吐出する。マニュアルバルブ10とポンプ108とを接続する流路107のライン圧制御弁105は、作動油の圧力を制御するとき不要となる作動油をドレン流路110を介してオイルパン111に戻す。ドレン流路110は、マニュアルバルブ10内に形成されている作動油供給路300に接続する。作動油供給路300は、後述するレンジ検出装置40に接続される。また、レンジ検出装置40の入力軸52がマニュアルバルブ10のスプール15の一端に係合する。
【0021】
マニュアルバルブ10では、車両の運転者がシフトレバー106で走行レンジを選択することにより弁ボディ11に対してスプール15が往復移動する。これにより、マニュアルバルブ10は、ポンプ108が吐出する作動油をリニアソレノイド弁123、133、103、143、153のうち少なくとも1つ以上に供給するか、または全てのリニアソレノイド弁への供給を停止する。リニアソレノイド弁103には、トランスミッションコントロールユニット(以下、「TCU」という)109が電気的に接続する。TCU109は、クラッチ101に供給する作動油の圧力の大きさをリニアソレノイド弁103に指令する。リニアソレノイド弁103は、TCU109からの指令を受けて、クラッチ101に供給する作動油の圧力を制御する。
【0022】
次に、図3および図4に基づいてマニュアルバルブ10およびレンジ検出装置40の構成を説明する。なお、図3および図4において、上側を「上」、下側を「下」として説明する。すなわち、図3において重力方向は「下」方向となる。
【0023】
マニュアルバルブ10は、弁ボディ11に形成されているスプール孔12にスプール15が往復移動可能に嵌入されることにより構成される。マニュアルバルブ10は、スプール15の移動位置に応じて作動油の供給先を切り換える。これにより、係合または解放されるクラッチおよびブレーキが選択され、車両の変速段が設定される。本実施形態では、スプール15が図3の「+X」方向に移動するに従ってレンジが駐車、後進、中立、前進の順で切り換わる。また、スプール15が図3の「−X」方向に移動するに従ってレンジが前進、中立、後進、駐車の順で切り換わる。
【0024】
弁ボディ11は、ハウジング台13を備える。ハウジング台13には後述するレンジ検出装置40が固定される。ハウジング台13の内部には、図4に示すように「導入流路」としての作動油供給路300が形成されている。ハウジング台13の上面には、供給口181が形成されているセパレートプレート18が設置される。作動油供給路300は、供給口181を介して弁ボディ11の外部と連通する。
【0025】
シフトレバー106およびスプール15と接続するディテント機構部20は、ディテントプレート22、回動軸24、ディテントレバー26、出力軸28等を含む。ディテントプレート22とディテントレバー26とは回動軸24によって連結される。シフトレバー106の操作に応じてディテントレバー26が回動軸24を中心に回転すると、それに伴ってディテントプレート22が回動する。
【0026】
ディテントプレート22の外縁には、ディテントプレート22の回転方向に複数の溝22aが形成されている。ディテントプレート22の回動位置に応じて図示しないディテントスプリングがいずれかの溝22aに嵌合することで、シフトレバー106の非操作時にディテントプレート22の回動が規制される。
【0027】
出力軸28は、一端がディテントプレート22に固定され、他端がスプール15の溝16と係合している。この結果、ディテントプレート22の回転運動がスプール15の直線運動に変換され、シフトレバー106の操作に応じてスプール15が弁ボディ11に対して往復移動する。
【0028】
レンジ検出装置40は、ハウジング41、スライダ51、入力軸52から構成される。スライダ51は、ハウジング41の内部に摺動可能に収容され、ハウジング41に対して往復移動をする。入力軸52は、スライダ51の略中央に固定されており、スプール15の一端に形成されている溝17に係合する。
【0029】
ハウジング41は、断面がコの字状の略直方体の形状を成している。ハウジング41は、耐油性の樹脂材料、例えばポリフェニレンサルファイドで成形される。ハウジング41は、図4に示すようにベース部43、およびベース部43のスライダ51の移動方向に平行な辺に沿って設けられる側板451、452、および案内レール471、472を設けている。側板451は、スライダ51を上方から摺動可能に支持する。側板452は、スライダ51を下方から摺動可能に支持する。案内レール471、472は、スライダ51のベース部43からの距離を規制する。
【0030】
側板452は、図4(b)に示すように弁ボディ11のハウジング台13側に位置し、セパレートプレート18に当接する。側板452には、側板452の内面452aと外面452bとを連通する開口42が形成される。具体的には、開口42は、後述する位置センサ70が前進レンジを検出するときのスライダ51の位置において、スライダ51のスライダ側面552とハウジング41の側板452の内面452aであってスライダ側面552に対向する「内壁」としての対向面452cとにより形成される隙間A(図4の破線A部)に連通するように対向面452cの中央に形成されている。レンジ検出装置40が弁ボディ11に固定されるとき、開口42は、セパレートプレート18に形成される供給口181を介して作動油供給路300と連通する。
【0031】
ハウジング41のベース部43は、スライダ51が摺動する側にベース面44を有している。ハウジング41は、ベース面44がスプール15の移動方向と略平行になるように設置される。また、ベース部43は、ベース面44とは反対側に基板収容室49を有している。基板収容室49には、ホール素子H1、H2、H3を搭載する回路基板等から構成される固定センサ71が収容される。
【0032】
スライダ51は、平板状をなしている。スライダ51の露出面53は、入力軸52が固定される。露出面53と反対側のセンサ面54は、図7に示すように可動センサ72として磁石M1、M2、M3が設けられる。スライダ51は、例えば、ポリフェニレンサルファイドに鉄粉を混合したプラスチックマグネットで成形されることで、磁石M1、M2、M3を内包することができる。
【0033】
スライダ51は、ハウジング41内を摺動するとき、スライダ側面552がハウジング41の側板452の内面452aと摺動する。このとき、ハウジング台13の作動油供給路300を流れる作動油は、供給口181、開口42を経由してハウジング41内に導入される。導入される作動油は、スライダ51の側面552とハウジング41の内面452a上の対向面452cとの隙間Aに滞留する。これにより、スライダ51は、ハウジング41の内面452aに直接接触することなく、ハウジング41内を往復移動する。
【0034】
入力軸52は、スライダ51の露出面53から略垂直に突出するように露出面53に接続する。入力軸52は、スプール15の溝17に係合する(図3参照)。スプール15の移動による作用が入力軸52に入力されることにより、スライダ51は、スプール15の移動に追従して摺動する。これにより、スライダ51は、図5に示すように駐車、後進、中立、前進の各レンジの選択に応じた位置に移動する。また、シフトレバー106の非操作時にディテントプレート22の回動が規制されるため、スライダ51は、各レンジの選択に応じた位置で移動が規制される。
【0035】
次に、スライダ51の位置検出について、図6〜図9に基づいて説明する。「位置検出手段」としての位置センサ70は、固定センサ71および可動センサ72から構成される。固定センサ71は、磁石が発生する磁界を検出する磁気検出素子により構成される。また、可動センサ72は、磁石により構成される。これにより、固定センサ71と可動センサ72とが接触することなくスライダ51の位置を検出することができる。すなわち、位置センサ70は、非接触式の位置検出手段である。
【0036】
図6に示すように、固定センサ71を構成する磁気検出素子としての3つのホール素子H1、H2、H3は、ハウジング41のベース部43に埋設されている。ホール素子H1、H2、H3は、スライダ51の移動方向と直交する方向に互いに間隔をあけて配列されている。ホール素子H1、H2、H3を結ぶ仮想線は、検出ラインUを構成する。
【0037】
図7に示すように、可動センサ72を構成する3つの磁石M1、M2、M3は、スライダ51の移動方向と直交する方向に互いに間隔をあけてスライダ51に埋設されている。磁石M1、M2、M3の位置は、ハウジング41のホール素子H1、H2、H3の位置に対応している。磁石M1、M2、M3は、それぞれS極およびN極が異なるパターンで形成されている。
【0038】
駐車、後進、中立、前進の各レンジに対応するスライダ51の各移動位置(図5参照)に対して固定センサ71の検出ラインUに重なる仮想線を被検出ラインVp、Vr、Vn、Vdとする。さらに、駐車、後進、中立、前進の各レンジの中間位置に対応する仮想線を被検出ラインVp−r、Vr−n、Vn−dとする。これら7つの被検出ライン上では、磁石M1、M2、M3のS極またはN極の組合せがそれぞれ異なる。
【0039】
ホール素子H1、H2、H3は、検出ラインUがS極と重なるときオン電圧を出力し、検出ラインUがN極と重なるときオフとなる。その結果、図9のパターン表に示すように、ホール素子H1、H2、H3のオンオフの組合せとレンジ位置とが一対一に対応する。
【0040】
図8に示すように、可動センサ71を構成するホール素子H1、H2、H3は、上述のオン電圧をTCU75に出力する。なお、図中のVは電源を示す。TCU75は、電圧検出手段76、パターン判定手段77、レンジ判定手段78から構成される。電圧検出手段76は、ホール素子H1、H2、H3からの出力に基づく信号S1、S2、S3を検出する。パターン判断手段77およびレンジ判断手段78は、信号S1、S2、S3に基づき図9のパターン表にしたがってパターンを判定し、レンジを判定する。なお、図9中の○は、オン電圧を示す。
【0041】
(作用)
シフトレバー106によりレンジが選択されると、弁ボディ11のスプール孔12に嵌入されたスプール15が弁ボディ11に対して往復移動する。これによりマニュアルバルブ10はリニアソレノイド弁123、133、103、143、153のうち少なくとも1つに作動油を供給するか、または全てのリニアソレノイド弁への供給を停止する。また、レンジ検出装置40のスライダ51は、スプール15の往復移動に追従してハウジング41内を往復移動する。レンジ検出装置40の位置センサ70は、スライダ51の移動位置に応じたオン電圧をTCU75へ出力し、TCU75は、選択されたレンジを判定する。
【0042】
スライダ51がハウジング41内を往復移動するとき、スライダ51のスライダ側面552はハウジング41の側板452の内面452aと摺動する。このとき、ライン圧制御弁105からオイルパン111に戻される作動油の一部がハウジング台13の作動油供給路300、供給口181、および開口42を経由してハウジング41内に導入される。導入される作動油は、スライダ51のスライダ側面552とハウジング41の内面452aの対向面452cとにより形成される隙間Aに滞留する。これにより、スライダ51のスライダ側面552は、ハウジング41の内面452aに直接接触することなく、ハウジング41内を往復移動する。
【0043】
(効果)
(A)第1実施形態のレンジ検出装置40では、スライダ51のスライダ側面552はハウジング41の側板452の内面452aに支持されている。このとき、側板452に形成されている開口42を介して、作動油供給路300の作動油がハウジング41内に導入される。導入される作動油は、スライダ51のスライダ側面552と側板452の内面452aの対向面452cとの間に滞留する。滞留する作動油によってスライダ側面552と内面452aとは直接接触することなく、スライダ51はハウジング41内を往復移動する。これにより、スライダ51がハウジング41内を往復移動するとき発生する摩擦抵抗を低減することができる。したがって、運転者がシフトレバー106を操作するときの操作フィーリングを向上することができる。
【0044】
(B)上述したように、スライダ51のスライダ側面552と側板452の内面452aの対向面452cとの間に滞留する作動油によってスライダ51のスライダ側面552と側板452の内面452aとの摩耗が低減する。これにより、摩耗を原因とするスライダ41およびハウジング51の変形によるスライダ41の固着を防止することができる。
【0045】
(C)従来、作動油に含まれる異物がスライダ51のスライダ側面552と側板452の内面452aとの間に入り込むことにより、スライダ51またはハウジング41が損傷するおそれがあった。しかしながら、第1実施形態のレンジ検出装置40では、開口42を介して作動油がハウジング41内に積極的に導入されるため、作動油に含まれる異物はハウジング41内に留まることなく、作動油とともにハウジング41の外部に排出される。また、スライダ51とハウジング41との摩耗により発生する粉塵は、ハウジング41内に導入される作動油に取り込まれて作動油とともにハウジング41の外部に排出される。これにより、異物または粉塵によるスライダ51およびハウジング41の損傷を防止することができる。
【0046】
(D)レンジ検出装置40では、位置センサ70が前進レンジを検出するとき、スライダ51とハウジング41との摩耗が最も発生しやすい。これは、シフトレバー106により前進レンジが選択されているとき、エンジンが稼働中であって、車両が走行中であるため、レンジ検出装置40自体が振動し、さらにこの振動が長時間継続するためである。しかしながら、第1実施形態のレンジ検出装置40では、開口42は位置センサ70が前進レンジを検出するときのスライダ51の位置において形成される隙間Aに連通するように形成されている。これにより、スライダ51とハウジング41との間には開口42を経由して導入される作動油が滞留するため、スライダ51とハウジング41とは直接接触しない。したがって、摩擦が発生する可能性がある場所に効率的に作動油を導入することができる。
【0047】
(E)第1実施形態のレンジ検出装置40では、スライダ51とハウジング41との間に形成される隙間Aに滞留する作動油は、流路107に設けられるライン圧制御弁105のドレン流路110から供給される。ドレン流路110には、ライン圧制御弁105における作動油の圧力制御によって不要となった作動油が流れる。第1実施形態のレンジ検出装置40では、不要となった作動油を隙間Aに導入することによりスライダ41とハウジング51とが直接接触することなく、スライダ41が往復移動する。これにより、スライダ41とハウジング51との摩擦抵抗を低減するために動力を必要としないため、クラッチ101を係合または解放するための動力を節約することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図10、11に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して、バルブボディに対するレンジ検出装置の設置方向および開口の形成位置が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図10に示すように、第2実施形態のレンジ検出装置40は、弁ボディ11に対して水平横置きに設けられている。これにより、ハウジング41の案内レール471、472は、セパレートプレート18、19を介してハウジング台13、14上に設置される。セパレートプレート18には、供給口181が2個形成されている。2個の供給口181は、図11(b)に示すように作動油供給路300と連通する。また、セパレートプレート19には、供給口191が2個形成されている。2個の供給口191は、図11(b)に示すように作動油供給路400と連通する。スライダ51は、図11(b)に示すようにハウジング41の案内レール471、472に支持されて往復移動する。案内レール471、472には、セパレートプレート18、19に形成されている供給口181、191と連通する開口421、422、423、424が形成されている。案内レール471の開口421、422および案内レール472の開口423,424は、図11(a)に示すように、シフトレバー106により前進レンジが選択されるときのスプール15の移動位置に対応したスライダ51の露出面53に対向するハウジング41の内面471a、472aの対向面471b、472bの両端に形成されている。
【0050】
スライダ51がハウジング41の内部を往復移動するとき、スライダ51の露出面53はハウジング41の案内レール471、472の内面471a、472aに摺動する。このとき、ライン圧制御弁105で不要となった作動油の一部がハウジング台13、14の作動油供給路300、400、供給口181、191および開口421、422、423、424を経由してハウジング41内に導入される。導入される作動油は、スライダ51の露出面53とハウジング41の内面471a、472aの対向面471b、472bとの隙間Aに滞留する。これにより、スライダ51の露出面53は、ハウジング41の内面471a、472aに直接接触することなく、ハウジング41内を往復移動する。
【0051】
第2実施形態のレンジ検出装置40では、スライダ41とハウジング51との間に作動油が滞留することにより、スライダ41とハウジング51とが直接接触することなく、スライダ41はハウジング51内を往復移動する。これにより、第1実施形態の効果(A)〜(E)と同様の効果が得られる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図12に基づいて説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対して、レンジ検出装置に供給される作動流体の供給源が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図12に第3実施形態のレンジ検出装置40とトルクコンバータ201との関係を示す。トルクコンバータ201は、エンジンが出力する回転力を例えば、無段自動変速機に伝達する。
【0054】
トルクコンバータ201には、トルクコンバータ圧制御弁203が接続する。トルクコンバータ圧制御弁203は、流路204を介してマニュアルバルブ10と接続するとともに、流路202を介してトルクコンバータ201と接続する。トルクコンバータ圧制御弁203は、マニュアルバルブ10が供給する作動油の圧力を制御する。トルクコンバータ圧制御弁203は、圧力を制御した作動油を流路202を介してトルクコンバータ201に供給する。トルクコンバータ圧制御弁203には、作動油の圧力を制御するとき不要となる作動油をオイルパン111に戻すドレン流路206が接続されている。第3実施形態のレンジ検出装置40では、ドレン流路206を流れる作動油の一部を作動油供給路300、開口42を経由してハウジング41内に導入する。導入される作動油は、第1実施形態と同様にスライダ51のスライダ側面552とハウジング51の内面452aの対向面452cとの間に滞留する。滞留する作動油によってスライダ側面552と内面452aとが直接接触することなく、スライダ51はハウジング41内を往復移動する。
【0055】
第3実施形態のレンジ検出装置40では、スライダ41とハウジング51との間に作動油が滞留することにより、スライダ41とハウジング51とが直接接触することなく、スライダ41はハウジング51内を往復移動する。これにより、第1実施形態の効果(A)〜(E)と同様の効果が得られる。
【0056】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図13に基づいて説明する。第4実施形態は、第1実施形態に対して、レンジ検出装置に供給される作動流体の供給源が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図13に第4実施形態のレンジ検出装置40とクラッチ101との関係を示す。ここで、クラッチ101は、車両が前進するとき内蔵されるクラッチ板が係合するクラッチである。このため、マニュアルバルブ10とリニアソレノイド弁103とを接続する前進レンジ圧流路304には、車両が前進するときのみに作動油が流れる。
【0058】
前進レンジ圧流路304には供給路112の一端が接続する。供給路112の他端は、マニュアルバルブ10の弁ボディ11に形成されている作動油供給路300に接続する。第4実施形態のレンジ検出装置40では、前進レンジ圧流路304を流れる作動油の一部を供給路112、作動油供給路300、開口42を経由してハウジング41内に導入する。導入される作動油は、第1実施形態と同様にスライダ51のスライダ側面552とハウジング51の内面452aの対向面452cとの間に滞留する。滞留する作動油によってスライダ側面552と内面452aとが直接接触することなく、スライダ51はハウジング41内を往復移動する。
【0059】
第4実施形態においても、スライダ51とハウジング41との間に作動油が滞留することにより、スライダ51とハウジング41とが直接接触することなく、スライダ51はハウジング41内を往復移動する。これにより、第1実施形態の効果(A)〜(E)と同様の効果が得られる。
【0060】
また、第4実施形態のレンジ検出装置40では、前進レンジ圧流路304に作動油が流れるときにのみハウジング41内に作動油が導入される。シフトレバー106によって前進レンジを選択されているとき、稼働中のエンジンの振動、車両の走行によってスライダ51とハウジング41とは最も接触しやすい。したがって、ハウジング41内に作動油を導入することにより、スライダ51とハウジング41とが直接接触することを防止することができる。一方、シフトレバー106により選択されたレンジが前進レンジ以外の場合、スライダ51とハウジング41との摩耗は発生しにくい。この場合、作動油の効率的な利用の観点からハウジング51内への作動油の供給を停止することが望ましい。第4実施形態のレンジ検出装置40では、前進レンジ圧流路304以外に作動油が流れるため、ハウジング41内に作動油は導入されない。これにより、第1実施形態の効果(A)〜(E)に加えて、クラッチ101で使用する作動油の量を節約することができる。
【0061】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を図14〜17に基づいて説明する。第5実施形態は、第1実施形態に対して、スライダの位置を検出する位置検出手段が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
第5実施形態のレンジ検出装置60では、「位置検出手段」としての位置センサ80(図16参照)は、固定センサ81および可動センサ82から構成される。固定センサ81は、電極プレートにより構成され、可動センサ82は、電極プレートに接触する接点を有するターミナルにより構成される。これにより、固定センサ81と可動センサ82とが接触してスライダの位置を検出することができる。すなわち、位置センサ80は、接触式の位置検出手段である。
【0063】
図14に示すように、ハウジング91のベース面94に対向するスライダ61のセンサ面64に4つのターミナルT1、T2、T3、T4が設けられている。ターミナルT1、T2、T3、T4は、スライダ61のセンサ面64に基端部が固定され、スライダ側面651、652と平行な方向に互いに間隔をあけて配列されている。ターミナルT1、T2、T3、T4は、可動センサ82を構成する。ターミナルT1、T2、T3、T4の先端部を結ぶ仮想線は、検出ラインUを構成する。
【0064】
図15に示すように、固定センサ81を構成する4つの電極プレートE1、E2、E3、E4は、ハウジング91のベース部93に埋設されている。電極プレートE1、E2、E3、E4は、スライダ61の摺動方向と直交する方向に互いに間隔をあけて配列されている。電極プレートE1、E2、E3、E4の位置は、スライダ61のターミナルT1、T2、T3、T4の位置に対応している。電極プレートE1、E2、E3、E4は、スライダ61の摺動方向に延びている。電極プレートE1、E2、E3は、それぞれ導通部Cおよび絶縁部Iが異なるパターンで形成されている。電極プレートE4は、導通部Cのみから構成され、図16に示すように接地されている。
【0065】
駐車、後進、中立、前進の各レンジに対応するスライダ61の各移動位置において可動センサ82の検出ラインUが重なる仮想線を被検出ラインVp、Vr、Vn、Vdと表す。さらに、駐車、後進、中立、前進レンジの各中間位置に対応する仮想線を被検出ラインVp−r、Vr−n、Vn−dと表す。これら7つの被検出ライン上では、電極プレートE1、E2、E3、E4の導通部Cまたは絶縁部Iの組合せがそれぞれ異なる。
【0066】
ターミナルT1、T2、T3、T4の先端部は、電極プレートE1、E2、E3、E4に接触している。ターミナルT1、T2、T3、T4の先端部すなわち検出ラインUが電極プレートE1、E2、E3、E4の導通部Cと接触するときオン電圧が出力され、検出ラインUが電極プレートE1、E2、E3、E4の絶縁部Iと接触するときオフとなる。その結果、図17のパターン表に示すように、ターミナルT1、T2、T3、T4および電極プレートE1、E2、E3、E4間のオンオフの組合せとレンジ位置とが一対一に対応する。
【0067】
図16に示すように、位置センサ80は、上述のオン電圧をTCU75に出力する。なお、図16中のVは、電源を示す。TCU75は、電圧検出手段76、パターン判断手段77、レンジ判断手段78から構成される。電圧検出手段76は、位置センサ80からの出力に基づく信号S1、S2、S3を検出する。パターン判断手段77およびレンジ判断手段78は、信号S1、S2、S3に基づき図17のパターン表にしたがってパターンを判断し、レンジを判定する。なお、図中の○は、オン電圧を示す。
【0068】
第5実施形態においても、スライダ61とハウジング91との間に作動油が滞留することにより、スライダ61とハウジング91とが直接接触することなく、スライダ61はハウジング91内を往復移動する。これにより、第1実施形態の効果と同様の効果が得られる。
【0069】
(他の実施形態)
(ア)上述の実施形態では、レンジ検出装置の開口はマニュアルバルブの弁ボディに形成されている作動油供給路に連通するとした。しかしながら、開口の連通先はこれに限定されない。例えば、第1実施形態の変形例として、レンジ検出装置の開口は、ライン圧制御弁のドレン流路に直接連通してもよい。すなわち、弁ボディに形成される作動油供給路を介さずにハウジングの内部に作動油が導入されてもよい。第2実施形態から第5実施形態においても同様である。
【0070】
(イ)上述の第1実施形態では、ハウジングに形成される開口の位置を対向面の中央とした。また。上述の第2実施形態では、ハウジングに形成される開口の位置を対向面の両端とした。しかしながら、ハウジングに形成される開口の位置はこれに限定されない。スライダとハウジングとが摺動する範囲内のスライダ側面または露出面に対向するハウジングの対向面であればよい。また、開口の形成位置は対向面の中央と両端との組み合わせであってもよい。
【0071】
(ウ)上述の実施形態では、スライダに対する開口の位置を重力方向下方の内面とした。しかしながら、スライダに対する開口の位置はこれに限定されない。重力方向上方であってもよいし、重力方向に対して水平方向であってもよい。
【0072】
(エ)上述の第1実施形態では、ハウジングに形成される開口の数を1つとした。また。上述の第2実施形態では、ハウジングに形成される開口の数を4つとした。しかしながら、ハウジングに形成される開口の数はこれに限定されない。開口の数は2つまたは3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0073】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 ・・・マニュアルバルブ(流路切換弁)、
11 ・・・弁ボディ、
40 ・・・レンジ検出装置(レンジ検出装置)
41、91 ・・・ハウジング、
42、421、422、423、424 ・・・開口、
452c、471b、472b ・・・対向面(内壁)、
51、61 ・・・スライダ、
53 ・・・露出面(外壁)、
551、552、651、652 ・・・スライダ側面(外壁)、
70、80 ・・・位置センサ(位置検出手段)、
100 ・・・自動変速機、
101、121、131 ・・・クラッチ(摩擦要素)、
141、151 ・・・ブレーキ(摩擦要素)、
103、123、133、143、153・・・リニアソレノイド弁(圧力制御弁)
105 ・・・ライン圧制御弁、
106 ・・・シフトレバー(レンジ選択手段)、
108 ・・・ポンプ、
110、206 ・・・ドレン流路、
180 ・・・油圧制御装置(自動変速機用作動流体圧制御装置)、
201 ・・・トルクコンバータ、
203 ・・・トルクコンバータ圧制御弁、
300、400 ・・・作動油供給路(導入流路)、
304 ・・・前進レンジ圧流路、
A ・・・隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が操作するレンジ選択手段によって選択される前進、後進、中立、及び駐車を含むレンジに対応して移動するスライダと、
前記スライダを往復移動可能に収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部と外部とを連通し、前記スライダの外壁及び前記外壁に対向する前記ハウジングの内壁により形成される隙間に自動変速機の複数の摩擦要素の係合または解放を制御する作動流体を導入する開口と、
前記ハウジングに対する前記スライダの相対位置を検出する位置検出手段と、
を備えることを特徴とするレンジ検出装置。
【請求項2】
前記開口は、前記スライダの重力方向下方に位置する前記内壁に形成されることを特徴とする請求項1に記載のレンジ検出装置。
【請求項3】
前記開口は、前記レンジ選択手段が前進レンジを選択したときの前記内壁に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のレンジ検出装置。
【請求項4】
前記開口は、前記外壁に対向する前記ハウジングの前記内壁の中央に形成されることを特徴とする請求項3に記載のレンジ検出装置。
【請求項5】
前記開口は、前記外壁に対向する前記ハウジングの前記内壁の両端に形成されることを特徴とする請求項3に記載のレンジ検出装置。
【請求項6】
前記開口が前記隙間に導入する作動流体は、トルクコンバータに供給される作動流体の圧力を制御するトルクコンバータ圧制御弁のドレン流路内の作動流体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のレンジ検出装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載のレンジ検出装置と、
前記自動変速機の複数の前記摩擦要素を係合または解放する作動流体の圧力を制御する圧力制御弁と、
前記圧力制御弁に供給される作動流体の流路を前記選択レンジ手段のレンジに対応して切り換える流路切換弁と、
前記流路切換弁に作動流体を供給するポンプと、
を備えることを特徴とする自動変速機用作動流体圧制御装置。
【請求項8】
前記開口は、前記流路切換弁の弁ボディに形成され作動流体が導入される導入流路に連通することを特徴とする請求項7に記載の自動変速機用作動流体圧制御装置。
【請求項9】
前記開口が前記隙間に導入する作動流体は、前記ポンプが吐出する作動流体の圧力を制御するライン圧制御弁のドレン流路内の作動流体であることを特徴とする請求項7または8に記載の自動変速機用作動流体圧制御装置。
【請求項10】
前記開口が前記隙間に導入する作動流体は、トルクコンバータに供給される作動流体の圧力を制御するトルクコンバータ圧制御弁のドレン流路内の作動流体であることを特徴とする請求項7または8に記載の自動変速機用作動流体圧制御装置。
【請求項11】
前記開口が前記隙間に導入する作動流体は、前記レンジ選択手段が前進レンジを選択したとき前記流路切換弁が作動流体を流通させる前進レンジ用流路内の作動流体であることを特徴とする請求項7または8に記載の自動変速機用作動流体圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−50168(P2013−50168A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188553(P2011−188553)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】