説明

レンズシステム

【課題】レンズ装置にGPS受信機を搭載又は接続し、GPS受信機から取得したGPS情報(撮影位置のデータ)をレンズ装置に接続された外部機器に出力できるようにすることにより、映像編集時等において撮影位置の情報を参照又は利用できるようにしたレンズシステムを提供する。
【解決手段】レンズ装置10のCPU16は、レンズ装置10に接続されたメタデータ収集システ50からメタデータ出力の要求があると、撮影レンズの焦点距離データ、被写体距離データ、F値データと共に、GPS受信機40から取得した撮影位置データと方位センサ42から取得した撮影方位データを外部機器に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズシステムに係り、特にレンズ交換可能なカメラに着脱可能に装着される撮影レンズに対して構築されるレンズシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送用又は業務用のテレビカメラやシネマ用カメラ等において、カメラ本体やカメラ本体に装着された撮影レンズの設定状態を示す撮影データを、カメラで撮影された映像の映像信号に付帯させて映像信号と共に記録媒体に記録しておけるようにしたシステムが知られている(例えば特許文献1、2参照)。例えば、撮影レンズに関する撮影データとして、焦点距離、被写体距離(撮影距離)、絞り値(F値)等のデータが映像信号に付帯して記録される。これによれば、映像編集を行う際等に記録媒体に記録された撮影データを読み取ることによって撮影時のカメラの設定状態の情報を容易に参照又は利用することができる。尚、このように撮影時におけるカメラ(カメラ本体や撮影レンズ)の設定状態を示す撮影データはメタデータと呼ばれている。
【0003】
また、映像編集時等において撮影時におけるカメラの設定状態のみでなく撮影場所(撮影位置)の情報を参照又は利用したいという場合がある。特許文献3〜6には、撮影時において撮影位置の情報をGPS受信機により取得し、その撮影位置の情報を映像信号に対応付けて記録しておくことが開示されている。
【特許文献1】特開2005−39354号公報
【特許文献2】特開2005−43713号公報
【特許文献3】特開平7−248726号公報
【特許文献4】特開平9−27937号公報
【特許文献5】特開平10−285501号公報
【特許文献6】特開平11−259502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3〜6においては、レンズ交換式のカメラに使用されるレンズ装置にGPS受信機を搭載したものはない。従って、既にユーザが使用しているカメラ(カメラ本体)にGPS受信機が内蔵されていない場合、そのカメラでは撮影位置の情報を上記撮影データのように記録しておくことができない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、レンズ交換可能なカメラ(カメラ本体)が撮影位置の情報を取得する機能やその情報を記録装置等に出力する機能を備えていない場合であっても、その撮影位置の情報の取得や出力に関する特別なシステムをユーザが構築することなく、撮影位置の情報を映像編集時等において参照又は利用することができるようにしたレンズシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のレンズシステムは、レンズ交換式のカメラに着脱可能に装着される撮影レンズを備えたレンズ装置と、前記レンズ装置に搭載され、又は、接続されたGPS受信機と、前記レンズ装置に搭載され、前記GPS受信機によりGPS情報を取得するGPS情報取得手段と、前記GPS情報取得手段により取得されたGPS情報を前記レンズ装置に接続された外部機器に出力するGPS情報出力手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、レンズ装置に搭載され、又は、接続されたGPS受信機によって取得されたGPS情報をレンズ装置から出力することができるため、そのGPS情報を記録しておくことによって映像編集時等において撮影位置の情報を参照又は利用することができる。また、カメラ本体に撮影位置の情報を扱う機能がなくても本発明に係るレンズシステムを使用することによって撮影位置の情報を映像編集時等において参照又は利用できるように記録しておくことができる。
【0008】
請求項2に記載のレンズシステムは、請求項1に記載の発明において、前記GPS情報出力手段は、撮影レンズの設定状態を示す撮影データと共に前記GPS情報を出力することを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、レンズ装置が、撮影レンズの設定状態を示す撮影データを出力する機能を備えている場合に、その撮影データと共にGPS情報を出力することによって、GPS情報を出力するための特別な手段を設けることが低減される。
【0010】
請求項3に記載のレンズシステムは、請求項1、又は、2に記載の発明において、前記GPS情報出力手段は、前記外部機器に出力するGPS情報として、撮影位置を示すデータを出力することを特徴としている。本発明は、GPS受信機から得られるGPS情報のうち撮影位置を示すデータを外部機器に出力するようにしたもので、例えば、撮影位置の緯度と経度のデータを出力する態様を示している。
【0011】
請求項4に記載のレンズシステムは、請求項1、2、又は、3に記載の発明において、前記カメラの撮影方位を検出するセンサであって、前記レンズ装置に搭載され、又は、接続された方位センサを備え、前記GPS情報出力手段は、前記GPS情報と共に、前記方位センサから撮影方位の情報を取得し、前記GPS情報出力手段は、前記GPS情報と共に、前記撮影方位の情報を前記外部機器に出力することを特徴としている。
【0012】
本発明は、GPS情報の他に撮影方向の情報もレンズ装置から外部機器に出力するようにした態様を示す。
【0013】
請求項5に記載のレンズシステムは、請求項1〜4のうちいずれか1に記載の発明において、前記外部機器は、前記カメラの設定状態を示す撮影データをメタデータとして収集する機器であることを特徴としている。本発明は、レンズ装置に対してGPS情報を要求する外部機器の一態様として、メタデータを収集する機器がレンズ装置に接続された場合を示している。
【0014】
請求項6に記載のレンズシステムは、レンズ交換式のカメラに着脱可能に装着される撮影レンズを備えたレンズ装置と、前記レンズ装置に搭載され、又は、接続された撮影方位を検出する方位センサと、前記レンズ装置に搭載され、前記方位センサから撮影方位の情報を取得する撮影方位情報取得手段と、前記撮影方位情報取得手段により取得された撮影方位の情報を前記レンズ装置に接続された外部機器に出力する撮影方位情報出力手段と、を備えたことを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、撮影レンズに対して一体的に方位センサを設置して撮影レンズの方向、即ち、撮影方位のデータを取得することができる。特に、撮影レンズ(及びカメラ本体の撮像素子等を含む光学ブロック)をカメラ本体から分離した状態で撮影できるカメラでは、方位センサをカメラ本体に搭載する場合と異なり、撮影方位を的確に検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るレンズシステムによれば、レンズ交換可能なカメラ(カメラ本体)が撮影位置の情報を取得する機能やその情報を記録装置等に出力する機能を備えていない場合であっても、その撮影位置の情報の取得や出力に関する特別なシステムをユーザが構築することなく、撮影位置の情報を映像編集時等において参照又は利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明に係るレンズシステムの最良の実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、本発明に係るレンズシステムの構成を示したブロック図である。同図においてレンズシステムは、詳細な構成を省略した撮影レンズ(光学系)と制御系とを備えたレンズ装置10と、レンズ装置10に接続されるズームデマンド12やフォーカスデマンド14等のコントローラから構成されている。
【0019】
レンズ装置10の撮影レンズは、放送用又は業務用のテレビカメラやシネマ用カメラ等で用いられるレンズ交換可能なカメラ本体(図示せず)にマウントによって着脱可能に装着されるようになっている。この撮影レンズにより結像された被写体像は、カメラ本体に搭載された撮像素子(CCD等)により撮像され、カメラ本体に内蔵された信号処理回路によって所定形式の映像信号が生成されるようになっている。また、カメラ本体で生成された映像信号は、カメラ本体に内蔵又はケーブルで接続されたVTR装置52において録画テープに記録されるようになっている。尚、映像信号を記録する記録媒体はテープ媒体に限らない。
【0020】
撮影レンズには、鏡胴内において、同図に示すズーム(変倍)レンズ群ZLやフォーカスレンズ群FLが光軸方向に移動可能に配置されて、又、アイリスIが開閉動作可能に配置されている。各ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIは、それぞれモータZM、FM、IMに連結されており、モータZM、FMの駆動力によってズームレンズ群ZLとフォーカスレンズ群FLが光軸方向に前後移動し、モータIMの駆動力によってアイリスIが開閉動作するようになっている。これによってズームレンズ群ZLの位置が変化すると、撮影レンズのズーム倍率(焦点距離)が変化し、撮影画角が変化する。フォーカスレンズ群FLが移動すると、撮影レンズのピント位置が変化し、ピントが合う被写体までの距離(被写体距離)が変化する。アイリスIの位置(開口量)が変化すると、絞り値(F値)が変化し、撮影レンズにより結像される像の明るさが変化する。
【0021】
レンズ装置10の制御系は、同図に示すようにCPU16、A/D変換器18、D/A変換器20、アンプZA、FA、IA、位置センサ22、24、26等から構成されている。また、レンズ装置10には、ズームデマンド12やフォーカスデマンド14等のコントローラがケーブルで接続されている。
【0022】
CPU16からD/A変換器20には、ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIの各々に連結されたモータZM、FM、IMを駆動するための制御信号が出力され、D/A変換器20によってデジタル信号からアナログ信号に変換された後、各モータZM、FM、IMのアンプZA、FA、IAに入力されるようになっている。これによって、各アンプZA、FA、IAに入力された制御信号の値に応じた回転速度で各モータZM、FM、IMが駆動される。そして、各モータZM、FM、IMの回転速度に応じた動作速度でズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIが駆動されるようになっている。従って、ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIの動作速度の制御がCPU16によって行えるようになっている。
【0023】
また、ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIの現在の設定位置(現在位置)がそれぞれ位置センサ22、24、26によって検出され、A/D変換器28を介してCPU16によって読み取れるようなっている。CPU16は、ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIの各々の現在位置と、目標とする位置(目標位置)との差分とが小さくなるように上記制御信号を出力することによって、ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIを所望の目標位置に移動させることができるようになっている。従って、ズームレンズ群ZL、フォーカスレンズ群FL、アイリスIの位置の制御がCPU16によって行えるようになっている。
【0024】
レンズ装置10に接続されたズームデマンド12からは、ズーム操作部材の操作量を示す値のズーム指令信号が出力され、そのズーム指令信号がレンズ装置10に入力されると、A/D変換器18によってアナログ信号からデジタル信号に変換されてCPU16に入力されるようになっている。CPU16は、そのズーム指令信号の値を、例えば、目標とするズーム速度を示す値として取得し、そのズーム速度となるように、D/A変換器20を介してアンプZAに与える制御信号の値を調整してズームレンズ群ZLの移動速度を制御する。
【0025】
フォーカスデマンド14からは、フォーカス操作部材の操作量を示すフォーカス指令信号が出力され、そのフォーカス指令信号がレンズ装置10に入力されると、A/D変換器18によってアナログ信号からデジタル信号に変換されてCPU16に入力されるようになっている。CPU16は、そのフォーカス指令信号の値を、例えば、目標とするフォーカス位置を示す値として取得し、そのフォーカス位置となるように、D/A変換器20を介してアンプFAに与える制御信号の値を調整してフォーカスレンズ群FLの位置を制御する。
【0026】
図示しないカメラ本体からは、アイリスIの位置を指令するアイリス指令信号がCPU16に与えられており、CPU16は、そのアイリス指令信号によって指示された位置となるように、D/A変換器20を介してアンプIAに与える制御信号の値を調整してアイリスIの位置(開口量)を制御する。
【0027】
尚、撮影レンズのズーム、フォーカス、アイリスの動作を指令するためにCPU16に与えられるズーム指令信号、フォーカス指令信号、アイリス指令信号は、上述のようにコントローラやカメラ本体から与えられるものでなくてもよく、例えば、CPU16にシリアル通信により接続されるコンピュータ等の他の装置から与えられるものであってもよい。
【0028】
また、レンズ装置10にはシリアルインターフェース用のコネクタ32が設けられており、そのコネクタ32に接続された外部機器との間でCPU16はSCI(シリアルコミュニケーションインターフェース)30を通じて各種情報のやり取りを行う機能を備えている。同図には、コネクタ32にメタデータ収集システム50(例えば、パソコン)が接続されている態様が示されている。
【0029】
メタデータ収集システム50は、撮影時におけるカメラの設定状態を示す撮影データ(後述)をメタデータとして収集する装置である。同図では、レンズ装置10から撮影レンズの設定状態等を示す撮影データを収集する構成のみ示されているが、カメラ本体からもカメラ本体の設定状態を示す撮影データを収集している。尚、本実施の形態ではカメラ本体から収集する撮影データについては省略する。
【0030】
メタデータ収集システム50により収集されたメタデータは、VTR装置52に出力され、カメラ本体で生成された映像信号と共に、その映像信号に付帯して録画テープに記録される。映像信号にメタデータを付帯させる方法としては、映像信号中のブランキング期間にメタデータの信号を合成してもよいし、映像信号とは別のトラックにメタデータの信号を記録してもよく、また、これら以外の方法であってもよい。
【0031】
また、メタデータは、録画テープに記録される映像信号のうち、そのメタデータ(撮影データ)がレンズ装置10において取得された時点で撮影された映像(コマ画像)の信号部分に対応させて記録される。これにより、映像信号の各時刻の映像を撮影したときのレンズ装置10の設定状態を示すメタデータが映像信号に対応付けられて記録され、映像編集時等において映像信号に対応付けられたメタデータを読み取ることによってその映像を撮影したときの撮影レンズの設定状態等を参照又は利用することができるようになっている。
【0032】
レンズ装置10のCPU16は、メタデータ収集システム50からメタデータ出力の要求があった場合には、必要な撮影データを取得、生成してその撮影データをメタデータとしてメタデータ収集システム50に出力する。
【0033】
ここで、CPU16がメタデータとしてメタデータ収集システム50に出力する撮影データには、撮影レンズの焦点距離(焦点距離データ)、被写体距離(被写体距離データ)、F値(F値データ)、撮影位置(撮影位置データ)、撮影方位(撮影方位データ)等がある。撮影位置データと撮影方位データは、本来、レンズ装置10の設定状態を示す撮影データとは異なるが、本実施の形態では、撮影位置データと撮影方位データもレンズ装置10の設定状態を示す撮影データと共にメタデータとしてメタデータ収集システム50に出力されるようになっている。
【0034】
焦点距離データは、撮影レンズの焦点距離を表すデータであり、CPU16は、ズームレンズ群ZLの現在位置を位置センサ22から読み込み、そのズームレンズ群ZLの現在位置を焦点距離のデータに変換することによって焦点距離データを生成する。撮影距離データは、ピントが合う被写体までの被写体距離を表すデータであり、CPU16は、フォーカスレンズ群FLの現在位置を位置センサ24から読み込み、そのフォーカスレンズ群FLの現在位置を被写体距離のデータに変換することによって被写体距離データを生成する。F値データは、撮影レンズの明るさを表すデータであり、CPU16は、絞りIの現在位置を位置センサ26から読み込み、その絞りIの現在位置をF値のデータに変換することによってF値データを生成する。
【0035】
撮影位置データは、カメラが設置されている場所の緯度と経度を表すデータである。この撮影位置データを取得するためレンズ装置10にはGPS受信機40が搭載されている。尚、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)は、周知のようにGPS衛星からの電波を利用して、GPS受信機40が置かれている緯度、経度、高度などを検出できるようにしたシステムである。CPU16は、そのGPS受信機40から緯度、経度、高度等のGPS情報を取得し、そのGPS情報から撮影位置データを生成する。尚、撮影位置データとして、緯度と経度のみでなく高度のデータを含めてもよいし、また、GPS受信機40から得られるGPS情報のうち全て、又は、一部(少なくとも撮影位置データは含む)のGPS情報を撮影位置データの代わりにメタデータとして出力するようにしてもよい。
【0036】
撮影方位データは、カメラの向き(撮影方向)を表すデータである。この撮影方位データを取得するためレンズ装置10には方位センサ42が搭載されている。方位センサ42は、例えば磁気方位センサであり、地磁気を利用して例えば北の方角を基準(0度=360度)として方位センサ42の基準の向きの方位を0〜360度の角度で検出する。また、水平方向を基準として上下方向の傾斜角度を検出する。CPU16は、方位センサ42からその方位データを取得し、その方位データからカメラの撮影方位を示す撮影方位データを生成する。尚、方位センサ42の基準の向きがレンズ装置10の光軸前向きとなるように方位センサ42をレンズ装置10に設置すれば、方位センサ42から取得した方位データの示す方位がそのまま撮影方位データの示す方位となる。また、カメラがパンニングやチルティング可能な雲台に搭載されている場合に、その雲台からパンニングやチルティングの角度を検出するセンサの出力を取得し、その出力と方位センサ42の出力の両方に基づいて撮影方位データの精度を向上させるようにしてもよい。
【0037】
CPU16は、このような撮影データを取得、生成してメタデータとしてメタデータ収集システム50に出力する。メタデータ収集システム50は、上記のようにCPU16から出力されたメタデータを取得してそのメタデータをVTR装置52に出力してカメラ本体で得られた映像信号と共にそのメタデータをVTR装置52の録画テープに記録させる。
【0038】
図2は、レンズ装置10のCPU16におけるメタデータ出力に関する処理手順を示したフローチャートである。CPU16は、まず、所要の初期設定を行い(ステップS10)、メタデータ出力以外の処理を実行する(ステップS12)。次にCPU16は、コネクタ32に接続された外部機器(図1でのメタデータ収集システム50)からメタデータの出力が要求されたか否かを判定する(ステップS14)。NOと判定した場合には、ステップS12に戻る。一方、YESと判定した場合には、ズームレンズ群ZLの位置を位置センサ22から読み込む(ステップS16)。そして、そのズームレンズ群ZLの位置を焦点距離データに変換する(ステップS18)。
【0039】
次に、CPU16は、フォーカスレンズ群FLの位置を位置センサ24から読み込む(ステップS20)。そして、そのフォーカスレンズ群FLの位置を被写体距離データに変換する(ステップS22)。
【0040】
次に、CPU16は、アイリスIの位置を位置センサ26から読み込む(ステップS24)。そして、そのアイリスIの位置をF値データに変換する(ステップS26)。
【0041】
次に、CPU16は、GPS受信機40からGPS情報を読み込む(ステップS28)。そして、そのGPS情報を撮影位置データ(緯度と経度のデータ)に変換する(ステップS30)。
【0042】
次に、CPU16は、方位センサ42から方位データを読み込む(ステップS32)。そして、その方位データを撮影方位データに変換する(ステップS34)。
【0043】
以上のステップS18、ステップS24、ステップS26、ステップS30、ステップS32により焦点距離データ、被写体距離データ、F値データ、撮影位置データ、撮影方位データを生成すると、CPU16は、それらの撮影データをコネクタ32に接続された外部機器にメタデータとして出力し(ステップS36)、ステップS12に戻る。
【0044】
以上のCPU16の処理手順により、外部機器の要求に応じて焦点距離データ、被写体距離データ、F値データ、撮影位置データ、撮影方位データが外部機器に出力される。
【0045】
以上、上記実施の形態では、撮影位置データと撮影方位データのうち、両方のデータが外部機器に出力されるが、必ずしも両方のデータを出力する必要はなく、撮影位置データのみ外部機器に出力するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、撮影位置データと撮影方位データが、他の撮影データ(焦点距離データ等)と共に外部機器に出力されるようになっているが、撮影位置データと撮影方位データを他の撮影データとは関係なく外部機器に出力できるようにしてもよい。
【0047】
また、メタデータを出力する外部機器として特定のコネクタに接続されたものだけでなく、レンズ装置10に接続された任意の機器、例えば、カメラ本体等であってもメタデータの出力が要求された場合にはその機器にメタデータを出力できるようにすることも可能である。
【0048】
また、上記実施の形態では、GPS受信機40や方位センサ42がレンズ装置10に搭載されているものとしたが、GPS受信機40や方位センサ42は、レンズ装置10以外の装置(外付けする装置等)に搭載してもよい。その場合には、GPS受信機40や方位センサ42の出力端子をケーブルなどでレンズ装置10の所定のコネクタに接続することによって、GPS受信機40や方位センサ42の出力をCPU16で取得できるようにしておく。
【0049】
また、レンズ装置10には方位センサ42のみを搭載し、GPS受信機40は他の装置に搭載してもよい。例えば、レンズ装置10とカメラ本体の光学ブロック(通常カメラ本体内に搭載される撮像素子や光学系(色分解プリズム等))等からなるレンズ部をカメラ本体から分離して、レンズ部をケーブルでカメラ本体に接続することによって、レンズ部のみの位置や向きを替えて撮影を行えるようにしたカメラが知られている。この場合に、レンズ部をカメラ本体から取り外して動かしても撮影位置は大きく変化しないためGPS受信機40は必ずしもレンズ部に搭載されていなくてもよいが、撮影方位は、レンズ部の姿勢によって決まるため方位センサ42はレンズ部に設置されていることが望ましい。そこで、このような場合に、方位センサ42のみをレンズ装置10に搭載し、又は、レンズ装置10に外付け等で設置してケーブル等でレンズ装置10の所定のコネクタに電気的に接続することによって、方位センサ42の出力をレンズ装置10のCPU16で取得できるようにしておくと、少なくともレンズ部の正確な撮影方位データをその方位センサ42の出力から求めることができるため有効である。方位センサ42から取得した撮影方位データは、他の撮影データ(焦点距離データ等)と共に、又は、他の撮影データとは関係なく外部機器に出力できるようにしておく。外部機器としてカメラ本体などレンズ装置10に接続された任意の機器に対して撮影方位データを出力できるようにすることが可能である。
【0050】
また、本発明は、レンズ交換式のカメラに着脱可能の装着される撮影レンズを構成要素とするレンズシステムであれば、どのような種類のカメラに使用されるものであっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明に係るレンズシステムの構成を示したブロック図である。
【図2】図2は、レンズ装置のCPUにおけるメタデータ出力の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
10…レンズ装置、12…ズームデマンド、14…フォーカスデマンド、16…CPU、40…GPS受信機、42…方位センサ、50…メタデータ収集システム、52…VTR装置、ZL…ズームレンズ、FL…フォーカスレンズ、I…アイリス、ZM、FM、IM…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ交換式のカメラに着脱可能に装着される撮影レンズを備えたレンズ装置と、
前記レンズ装置に搭載され、又は、接続されたGPS受信機と、
前記レンズ装置に搭載され、前記GPS受信機によりGPS情報を取得するGPS情報取得手段と、
前記GPS情報取得手段により取得されたGPS情報を前記レンズ装置に接続された外部機器に出力するGPS情報出力手段と、
を備えたことを特徴とするレンズシステム。
【請求項2】
前記GPS情報出力手段は、撮影レンズの設定状態を示す撮影データと共に前記GPS情報を出力することを特徴とする請求項1のレンズシステム。
【請求項3】
前記GPS情報出力手段は、前記外部機器に出力するGPS情報として、撮影位置を示すデータを出力することを特徴とする請求項1、又は、2のレンズシステム。
【請求項4】
前記カメラの撮影方位を検出するセンサであって、前記レンズ装置に搭載され、又は、接続された方位センサを備え、前記GPS情報出力手段は、前記GPS情報と共に、前記方位センサから撮影方位の情報を取得し、前記GPS情報出力手段は、前記GPS情報と共に、前記撮影方位の情報を前記外部機器に出力することを特徴とする請求項1、2、又は、3のレンズシステム。
【請求項5】
前記外部機器は、前記カメラの設定状態を示す撮影データをメタデータとして収集する機器であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1に記載のレンズシステム。
【請求項6】
レンズ交換式のカメラに着脱可能に装着される撮影レンズを備えたレンズ装置と、
前記レンズ装置に搭載され、又は、接続された撮影方位を検出する方位センサと、
前記レンズ装置に搭載され、前記方位センサから撮影方位の情報を取得する撮影方位情報取得手段と、
前記撮影方位情報取得手段により取得された撮影方位の情報を前記レンズ装置に接続された外部機器に出力する撮影方位情報出力手段と、
を備えたことを特徴とするレンズシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−212674(P2007−212674A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31408(P2006−31408)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【出願人】(594044646)株式会社エヌエイチケイテクニカルサービス (20)
【Fターム(参考)】