説明

レーザプリンタ

【課題】 構成が容易で部品点数の少ないレーザプリンタを提供する。
【解決手段】 レーザプリンタは、トナーカートリッジ1に駆動力を伝達するための挿入部9を含むカップリング2と、カップリング2を付勢するためのばね3と、カップリング2のトナーカートリッジ1に向かう方向における位置を定めるためのカップリング退避アーム4とを備える。カップリング退避アーム4は、1つの部材から形成されている。カップリング退避アーム4は、棒状のアーム部5と、アーム部5の延在軸を回転軸として回転することにより、カップリング2を移動させるための係合部6と、アーム部5に接続され、アーム部5の延在軸を回転軸として回転することにより、トナーカートリッジ1を固定および解除するためのロックレバー部7とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタに関する。特に、レーザプリンタのトナーカートリッジを装着する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタにおいては、レーザ光によって帯電した感光体ドラムの表面にトナーが配置され、感光体ドラムと転写ローラとで紙が挟まれることによって、紙などの表面に転写すべき形状にトナーが配置される。紙などの表面に配置されたトナーは、定着ローラによって紙などに定着されて排出される。
【0003】
一般的に、トナーは、取り替え可能なトナーカートリッジの内部に配置されている。トナーが不足した場合には、トナーカートリッジを取換えることによってトナーを補充する。トナーカートリッジは、レーザプリンタに着脱が可能なように形成されている。
【0004】
図7に、レーザプリンタの内部に配置されているトナーカートリッジの説明図を示す。図7は、レーザプリンタを平面的に見たときの透視図である。トナーカートリッジ1は、筐体45の内部に配置されている。この例におけるトナーカートリッジ1は、平面形状がほぼ長方形になるように形成されている。トナーカートリッジ1の内部には、内部のトナーを攪拌するための攪拌板39およびトナーを感光体ドラムに転写するためのディベロッパロール38が配置されている。
【0005】
攪拌板39は、平面形状がほぼ長方形になるような板状に形成されている。攪拌板39は、平面形状の長方形の1辺に対応する端部を支軸として揺動自在に形成されている。攪拌板39が揺動することによって、トナーカートリッジ1の内部のトナーが攪拌される。また、ディベロッパロール38は、円柱状に形成され、円柱状の中心軸を回転軸として回転するように形成されている。
【0006】
上記のように、トナーカートリッジ1の内部には、攪拌板39などの可動する部材が形成されている。これらの部材の動力は、トナーカートリッジ1の外部から、カップリング56を介して伝達される。すなわち、レーザプリンタ本体から、カップリング56によって動力が伝達される。
【0007】
図7において、トナーカートリッジ1は、矢印68に示す方向にプリンタ本体から着脱が可能に形成されている。カップリング56は、矢印60に示すように移動可能に形成されている。カップリング56は、一部がトナーカートリッジ1に挿入され、またはトナーカートリッジ1から離れるように形成されている。
【0008】
トナーカートリッジ1がレーザプリンタに装着された場合には、トナーカートリッジ1にカップリング56の挿入部が挿入されて、カップリング56とトナーカートリッジ1内部の連結部とが係合する。カップリングは、挿入方向と平行な回転軸で回転することにより、トナーカートリッジ1の内部に動力を伝達する。トナーカートリッジ1を取り外す場合には、カップリング56がトナーカートリッジ1から離れる。
【0009】
図8に、従来の技術に基づくカップリング56と、トナーカートリッジ1のカップリング56が係合される部分の説明図を示す。カップリング56は、筐体の内部に形成された支持フレーム21に支持されている。
【0010】
カップリング56は、ギヤ部50、押圧部55および挿入部53を含む。挿入部53は、トナーカートリッジ1に形成されたカップリング挿入穴11に挿入される部分である。挿入部53が、カップリング挿入穴11に挿入されることによって、ギヤ部50の回転運動をトナーカートリッジ1に伝達することができる。
【0011】
トナーカートリッジ1を装着する場合には、矢印71に示すように、挿入部53の端面に平行な方向に、トナーカートリッジ1が挿入される。ギヤ部50は、トナーカートリッジに向かう向きと平行な方向に、移動可能なように形成されている。トナーカートリッジ1を交換する場合には、カップリング56の挿入部53がトナーカートリッジ1のカップリング挿入穴11から退避するように形成されている。また、カップリング56は、トナーカートリッジ1が装着された場合に、挿入部53がカップリング挿入穴11に挿入されるように形成されている。
【0012】
図9および図10に、カップリングの挿入部を動かすための構造の説明図を示す。図9および図10は、カップリング56の側面図である。図9に示すように、カップリング56は、ギヤ部50、第1カップリング部材51および第2カップリング部材52を含む。挿入部53は、第1カップリング部材51に形成されている。挿入部53は、第2カップリング部材52を貫通するように形成されている。挿入部53は、円柱状に形成されている。
【0013】
第1カップリング部材51の側面には、板状の押圧部55が形成されている。第2カップリング部材52は、側面の形状が傾斜している部分を有する。第2カップリング部材52は、矢印69に示すように、第1カップリング部材51の傾斜部58にはめ込まれるように配置されている。
【0014】
第2カップリング部材52は、動かないように支持フレームに固定されている。第1カップリング部材51は、挿入部53の円柱状の中心軸を回転軸として、回転可能なように形成されている。トナーカートリッジをプリンタに装着した際には、図9に示すように、第2カップリング部材52の表面から、挿入部53が突出するように形成されている。
【0015】
押圧部55は、レーザプリンタのトナーカートリッジの前面に配置された開放扉などに接続され、開放扉を開放などすることによって、押圧部55が押される(または引かれる)ように形成されている。
【0016】
図10は、第1カップリング部材51が回転したときの側面図である。第1カップリング部材51が回転することによって、傾斜部58の形状に沿って、第1カップリング部材51が、矢印70に示す向きに移動する。したがって、第2カップリング部材52の表面から飛び出していた挿入部53が矢印70に示す向きに移動して、トナーカートリッジのカップリング挿入穴から退避する。このように、挿入部が第2カップリング部材52の表面から飛び出したり、引っ込んだりするように形成されている。
【0017】
この他にも、特開2003−345130号公報において、現像ローラを感光体ドライブに適切に圧接させる現像枠体、作動棹の移動により動きが拘束されるロック部材により、現像枠体を画像形成装置に挿着および固定した画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、解除部材の一復帰動作で、感光体ドラムと現像ローラとの離隔とロック解除とを行い、トナーカートリッジの抜き出しを行なうことができると開示されている。
【特許文献1】特開2003−345130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図8から図10に示した従来の技術におけるレーザプリンタにおいては、トナーカートリッジの前側にある開放扉を開閉することによって、カップリングの押圧部が押され(または引かれ)、カップリングの挿入部がトナーカートリッジのカップリング挿入穴に挿入されたり、カップリング挿入穴から退避したりする。
【0019】
しかし、上記のカップリングの構造は、非常に複雑で生産性が悪いという問題があった。また、部品点数が多く、生産性が悪いという問題があった。上記の特許文献1に開示された画像形成装置においても、構造が複雑で、さらに部品点数が多いという問題があった。このため、製造するレーザプリンタが高価になるという問題があった。
【0020】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、構成が容易で部品点数の少ないレーザプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明に基づくレーザプリンタは、レーザプリンタの前側から取出し可能に形成されたトナーカートリッジと、上記トナーカートリッジの側方に配置された支持フレームと、上記支持フレームに支持され、上記トナーカートリッジに向かう側および上記トナーカートリッジに向かう側と反対側に移動可能に形成され、上記トナーカートリッジに向かう側に挿入部を含むカップリングとを備える。また、レーザプリンタは、上記カップリングを上記トナーカートリッジに向かう向きに付勢するばねと、上記カップリングを移動させるためのカップリング退避アームとを備える。上記カップリング退避アームは、1つの部材から形成され、前後方向に軸が延在する棒状のアーム部と、上記アーム部の後側の端部に、直方体の形状に形成され、上記直方体の長手方向における中点を避けた位置で上記アーム部に接続された係合部と、上記アーム部の前側の端部に、平面形状がL字型の平板状に形成され、上記L字型の一方の端部で上記アーム部と接続されたロックレバー部とを含む。上記カップリング退避アームは、上記トナーカートリッジを装着したときに、上記アーム部の延在軸を回転軸として上記ロックレバー部を倒すことによって、上記ロックレバー部が上記トナーカートリッジの前側の面と接触して、さらに、上記係合部の長手方向が上記カップリングの接触面とほぼ平行になって、上記挿入部が上記トナーカートリッジに挿入されるように形成されている。上記カップリング退避アームは、上記トナーカートリッジを取り外すときに、上記アーム部の延在軸を回転軸として上記ロックレバー部を起こすことによって、上記ロックレバー部が上記トナーカートリッジから離脱するように形成され、さらに、上記係合部の長手方向が上記カップリングの接触面とほぼ垂直になって、上記係合部に上記カップリングが押されて、上記挿入部が上記トナーカートリッジから退避するように形成されている。この構成を採用することにより、構成が容易で部品点数の少ないレーザプリンタを提供することができる。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明に基づくレーザプリンタは、トナーカートリッジに向かう向きと平行な方向に移動可能に形成され、上記トナーカートリッジに駆動力を伝達するための挿入部を含むカップリングと、上記カップリングを、上記トナーカートリッジに向かう向きに付勢するための付勢手段と、上記カップリングの上記平行な方向における位置を定めるためのカップリング退避手段とを備える。上記カップリング退避手段は、1つの部材から形成されている。上記カップリング退避手段は、棒状のアーム部と、上記アーム部に接続され、上記アーム部の延在軸を回転軸として回転することにより、上記平行な方向に上記カップリングを移動させるための係合部と、上記アーム部に接続され、上記アーム部の延在軸を回転軸として回転することにより、上記トナーカートリッジを固定および解除するためのロックレバー部とを含む。上記カップリング退避手段は、上記ロックレバー部を一の向きに動かすことにより、上記挿入部が上記トナーカートリッジに挿入されるように形成され、上記ロックレバー部が上記トナーカートリッジの一の面に接触するように形成されている。この構成を採用することにより、構成が容易で部品点数の少ないレーザプリンタを提供することができる。
【0023】
上記発明においては好ましくは、上記ロックレバー部は、上記アーム部の端部に形成され、上記トナーカートリッジを固定する面の形状に沿うように平面的に形成され、上記ロックレバー部の端部に主表面から突出するように形成された突起部を含む。この構成を採用することにより、上記ロックレバー部を簡単な構成で形成することができ、また、上記突起部を引掛けて、容易に上記ロックレバー部を上記トナーカートリッジから退避させることができる。
【0024】
上記発明において好ましくは、上記係合部は、上記アーム部の端部に形成され、長手方向を有するように形成され、上記長手方向における中点を避けた位置に、上記アーム部が接続されている。この構成を採用することにとより、上記係合部を容易に形成することができる。
【0025】
上記発明において好ましくは、上記ロックレバー部は、平面形状がL字型に形成され、上記L字型の一方の端部に上記アーム部が固定され、上記L字型の他方の端部に上記突起部が形成され、上記係合部は、直方体状に形成され、一の表面に上記アーム部が固定されている。この構成を採用することにより、容易な構成で上記ロックレバー部および上記係合部を形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、構成が容易で部品点数の少ないレーザプリンタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(構成)
図1から図6を参照して、本発明に基づく実施の形態におけるレーザプリンタについて説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態におけるレーザプリンタの概略断面図である。レーザプリンタの各部品は、筐体45の内部に配置されている。筐体45の下部には、被印刷物としての紙など(本発明においては、紙やセロハンシートなどの被印刷物を「紙など」という。)が配置された用紙トレイ31が配置されている。用紙トレイ31の端部の上方には、紙などを用紙トレイ31から取出すためのピックローラ32が配置されている。紙などは、搬送経路75に沿って、矢印61に示す向きに搬送される。
【0029】
搬送経路75の周りには、紙などを搬送するための搬送ローラ33が配置されている。また、搬送経路75の周りには、トナーを所望の形状に紙などの表面に配置するための感光体ドラム35および転写ローラ34が配置されている。また、搬送経路75の周りには、表面に配置されたトナーを紙などに定着させるための定着ローラ36が配置されている。
【0030】
筐体45のほぼ中央部分には、トナーが充填されたトナーカートリッジ1が配置されている。トナーカートリッジ1の内部にはトナーが充填されている。トナーカートリッジ1は、取替えが可能なように形成され、トナーが不足した場合には、トナーが充填されたトナーカートリッジ1を取り替えることができるように形成されている。本実施の形態においては、トナーカートリッジ1は直方体状に形成されている。
【0031】
図1においては、向かって右側がプリンタの前側であり、トナーカートリッジ1は、レーザプリンタの前側から取出せるように形成されている。このレーザプリンタは、紙などの被印刷物が前側に向かって排出されるように形成されている。
【0032】
トナーカートリッジ1の内部には、充填されたトナーを攪拌するための攪拌板39が形成されている。本実施の形態においては、攪拌板39は、平板状に形成されている。攪拌板39は、主表面がほぼ長方形になるように形成され、攪拌板39の一方の端部が、支持軸40によって支持され、攪拌板39が揺動するように形成されている。攪拌板39は、揺動することによって、内部のトナーが攪拌されるように形成されている。
【0033】
トナーカートリッジ1の内部において、感光体ドラム35に向かう部分には、トナーを感光体ドラム35に配置するためのディベロッパロール38が形成されている。ディベロッパロール38は、幅方向の長さが感光体ドラム35の長さに対応するように、円柱状に形成されている。ディベロッパロール38は、感光体ドラム35と線接触するように配置されている。ディベロッパロール38の側方には、ディベロッパロール38の表面に一方の端部が向かうようにブレード37が形成されている。ブレード37は、ディベロッパロール38の表面に配置された、余分なトナーを落とすことができるように形成されている。
【0034】
トナーカートリッジ1の側面には、攪拌板39などを駆動するための駆動力を受けるためのカップリング挿入穴11が形成されている。レーザプリンタ本体からの駆動力は、カップリング挿入穴を通して、トナーカートリッジ1の内部の攪拌板39などに伝えられる。レーザプリンタ本体からの動力が、カップリングを介してトナーカートリッジに伝えられることは、従来の技術に基づくレーザプリンタと同様である(図7参照)。
【0035】
図2に、トナーカートリッジに動力を伝達するためのカップリングの部分の第1の拡大斜視図を示す。レーザプリンタは、トナーカートリッジ1の側方に配置された支持フレーム21と、支持フレーム21に支持されたカップリング2とを備える。本実施の形態における支持フレーム21は、平板状に形成され、主表面がレーザプリンタの前後方向および上下方向にほぼ平行になるように配置されている。
【0036】
カップリング2は、トナーカートリッジ1に向かう側およびトナーカートリッジ1に向かう側と反対側に移動可能に形成されている。カップリング2は、付勢手段としてのばね3によって、トナーカートリッジに向かう向きに付勢されるように形成されている。すなわち、ばね3は、カップリング2に力を加えない場合に、カップリング2がトナーカートリッジ1に向かう側に移動するように形成されている。ばね3は、支持フレーム21に固定されている。ばね3は、カップリング2が回転しても、カップリング2と共に回らないように形成されている。
【0037】
プリンタ本体には、図示しないカップリング駆動手段が形成されている。カップリング2には、図示しないカップリング駆動手段が接続され、カップリング2が回転するように形成されている。カップリング2は、カップリング駆動手段により、トナーカートリッジに向かう側と平行な回転軸を中心に回転するように形成されている。
【0038】
カップリング2は、円板状に形成された円板部10と、円板部10から突出するように形成された挿入部9を含む。円板部10は、挿入部9の回転軸とカップリング駆動手段の回転軸とが、ほぼ一直線上にあれば、カップリング駆動手段の回転運動を挿入部9に伝達できるように形成されている。挿入部9は、トナーカートリッジに向かう側に形成され、円柱状に形成されている。挿入部9は、トナーカートリッジ1のカップリング挿入穴(図1参照)に挿入され、カップリング挿入穴の内部に形成された連結部と係合するように形成されている。
【0039】
レーザプリンタは、カップリング2をトナーカートリッジに向かう側およびトナーカートリッジに向かう側と反対側に移動させるためのカップリング退避アーム4を備える。言い換えれば、カップリング2のトナーカートリッジに向かう向きと平行な方向における位置を定めるためのカップリング退避手段として、カップリング退避アーム4が形成されている。カップリング退避アーム4は、1つの部材から形成されている。
【0040】
カップリング退避アーム4は、レーザプリンタの前後方向に軸が延在するように形成された棒状のアーム部5を含む。以下、アーム部が延在する方向のアーム部の軸を「延在軸」という。カップリング退避アーム4は、アーム部5の端部のうち、カップリング2が配置されている側(プリンタの後側)の端部に形成された係合部6を含む。
【0041】
図5に、係合部6の拡大斜視図を示す。係合部6は、ほぼ直方体の形状に形成され、該直方体の長手方向における中点を避けた位置で、アーム部5に接続されている。係合部6は、主表面がアーム部5の延在軸と垂直になるように形成されている。係合部6は、直方体の長手方向における一方の側の端部における断面が半円状なるように形成されている。すなわち、係合部6は、直方体の一方の端部において、角となる部分を削った形状を有する。
【0042】
図2において、カップリング退避アーム4は、アーム部5がアームガイド12に支持されている。アームガイド12は、図示しない固定手段を介して、支持フレーム21に固定されている。アームガイド12は、複数形成され、アーム部5が回転可能なように形成されている。
【0043】
アーム部5のカップリングが配置されている側と反対側(プリンタの前側)の端部には、平面形状がL字型の平板状に形成されたロックレバー部7が形成されている。ロックレバー部7は、該L字型の一方の端部がアーム部5に接続されている。ロックレバー部7の該L字型の他方の端部には、表面からレーザプリンタの前側に突出するように突起部8が形成されている。本実施の形態においては、ロックレバー部7は、トナーカートリッジ1の正面の形状に沿うように形成されている。すなわち、トナーカートリッジ1の正面の形状である長方形の輪郭に沿うように、平面形状がL字型に形成されている。
【0044】
カップリング退避アーム4は、アーム部5の延在軸を回転軸として、回転が可能なように形成されている。すなわち、カップリング退避アーム4は、アーム部の長手方向に平行な方向に回転軸を有する。図2に示おいては、矢印63に示す向きに、ロックレバー部7を起こすことができるように形成されている。
【0045】
図3に、トナーカートリッジの内部の動力を伝達するカップリングの部分の第2の拡大斜視図を示す。カップリング退避アーム4は、矢印65に示すように、アーム部5の延在軸を回転軸として、ロックレバー部7を倒すことができるように形成されている。
【0046】
ロックレバー部7は、図2に示すように、矢印63に示す向きに起こしたときに、トナーカートリッジ1を前側から取出せるように形成されている。また、ロックレバー部7は、図3に示すように、矢印65に示す向きに倒したときに、トナーカートリッジ1が前側に飛び出さないようにトナーカートリッジ1の正面を固定できるように形成されている。
【0047】
図2に示すように、カップリング退避アーム4は、ロックレバー部7を長手方向がほぼ鉛直方向になるように起こしたときに、係合部6の長手方向がカップリング2のトナーカートリッジ1に向かう方向とほぼ平行になるように形成されている。すなわち、係合部6の長手方向とカップリングの接触面とがほぼ垂直になるように配置されている。また、図3に示すように、カップリング退避アーム4は、ロックレバー部7を長手方向がほぼ水平方向となるように倒したときに、係合部6の長手方向がカップリング2のトナーカートリッジ1に向かう方向とほぼ垂直になるように形成されている。すなわち、係合部6の長手方向とカップリングの接触面とがほぼ平行になるように配置されている。
【0048】
ロックレバー部7に形成された突起部8は、レーザプリンタの前側に突出するように形成されている。また、突起部8は、ロックレバー部を動かしても支持フレーム21およびトナーカートリッジ1に干渉しないように形成されている。
【0049】
(作用・効果)
図1において、被印刷物としての紙などは、用紙トレイ31に配置される。紙などは、搬送経路75に沿って搬送される。紙などは、ピックローラ32によって用紙トレイ31から1枚ずつ取出され、搬送ローラ33によって、感光体ドラム35に向かって搬送される。
【0050】
トナーカートリッジ1の内部では、ディベロッパロール38が回転することによって、トナーカートリッジ1の内部に配置されたトナーが、感光体ドラム35に供給される。感光体ドラム35と転写ローラ34とに挟まれて運搬されることによって、紙などの表面には、所望の印刷の形状にトナーが配置される。
【0051】
転写ローラ34と感光体ドラム35とに挟まれる部分を通過した紙などは、定着ローラ36に向かって搬送される。定着ローラ36にトナーが配置された紙などが接触することにより、トナーが紙などに定着する。この後に、搬送ローラなどで取出口に搬送される。このように、紙などの被印刷物に対して印刷が行なわれる。
【0052】
図2に示すように、トナーカートリッジ1をレーザプリンタ本体から取出すときには、アーム部5の延在軸を回転軸として、矢印63に示すようにロックレバー部7を起こす。ロックレバー部7は、トナーカートリッジ1の前面から離脱する。ロックレバー部7の引起こしは、突起部8を指などで引掛けることによって、容易に行なうことができる。
【0053】
本実施の形態においては、ロックレバー部7を起こすことによって、アーム部5が回転して、アーム部5の後側の端部に配置された係合部6がほぼ90°回転する(図5の矢印66参照)。係合部6は、アーム部5の延在軸を回転軸として回転する。係合部6の長手方向がカップリング2の円板部10の表面とほぼ垂直になる。このように、係合部6が回転することによって、カップリング2の円板部10の表面が係合部6に押圧される。
【0054】
カップリング2が係合部6に押圧されることにとよって、矢印62に示す向きにカップリング2が移動する。カップリング2が移動することによって、カップリング2の挿入部9が、トナーカートリッジ1のカップリング挿入穴11から退避する(図1参照)。このように、カップリング2がトナーカートリッジ1から退避したのちに、トナーカートリッジ1をカップリング退避アームのロックレバー部が形成されている側(本実施の形態においては、レーザプリンタ本体の前側)から取出すことができる。または、トナーカートリッジ1をカップリング退避アームのロックレバー部が形成されている側からレーザプリンタの本体に向かって挿入することができる。
【0055】
図3に示すように、トナーカートリッジ1をレーザプリンタ本体に挿入した際には、アーム部5の延在軸を回転軸として、矢印65に示すようにロックレバー部7を倒す。本実施の形態においては、カップリング退避アーム4のロックレバー部7を矢印65に示すように90°回転して倒す。ロックレバー部7を倒す際には、突起部8を指などで引掛けることによって、容易に倒すことができる。
【0056】
図4に、ロックレバー部7を倒したときの斜視図を示す。ロックレバー部7を倒すことによって、ロックレバー部7がトナーカートリッジ1の表面(本実施の形態においては、前面)に接触する。ロックレバー部7が、トナーカートリッジ1の前面に接触することによって、トナーカートリッジ1が前側に移動しないように固定することができる。
【0057】
図3に示すように、ロックレバー部7を倒すことによって、係合部6の長手方向がカップリング2の円板部10の表面とほぼ平行になる。カップリング2は、ばね3の付勢力により、矢印64に示す向きに移動する。カップリング2の挿入部9は、トナーカートリッジ1のカップリング挿入穴11(図1および図4参照)に挿入される。挿入部9がカップリング挿入穴に挿入されることによって、カップリング2の挿入部とトナーカートリッジ1の内部に形成された駆動の連結部とが機械的に連結される。
【0058】
レーザプリンタの駆動中においては、カップリング2が回転することにより、トナーカートリッジ1の内部に駆動力が伝達され、トナーカートリッジ1の内部に形成された攪拌板などが駆動される。
【0059】
このように、本実施の形態においては、カップリング退避手段としてのカップリング退避アームが1つの部材から形成され、カップリング退避アームは、棒状のアーム部と、カップリングを移動させるための係合部と、トナーカートリッジを固定および解除するためのロックレバー部とを含む。この構成を採用することにより、構成が簡単で部品点数の少ないレーザプリンタを提供することができる。
【0060】
また、ロックレバー部は、アーム部の一方の端部に形成され、トナーカートリッジを固定する面の形状に沿うように形成されている。この構成を採用することにより、ロックレバー部を起こした際には、トナーカートリッジを取出すときの障害となることを回避できる。また、ロックレバー部を倒したときには、トナーカートリッジをロックレバー部で固定することができる。また、ロックレバー部を小さくすることができ、生産性が向上するとともに、レーザプリンタの小型化を図ることができる。
【0061】
本実施の形態においては、ロックレバー部の平面形状がL字型に形成されているが、特にこの形態に限られず、任意の形状で構わない。たとえば、ロックレバー部の平面形状が円弧状になるように形成されていても構わない。
【0062】
本実施の形態においては、ロックレバー部の端部に、ロックレバー部の主表面から突出するように形成された突起部を含む。この構成を採用することにより、指などで引掛けることにより、容易にロックレバー部を倒したり、または起こしたりすることができる。
【0063】
本実施の形態において、係合部は、カップリング退避アームのアーム部の端部に形成され、さらに、長手方向を有するように形成され、この長手方向における中点を避けた位置に、アーム部が接続されている。この構成を採用することにより、容易に係合部を形成することができる。
【0064】
本実施の形態においては、図5の矢印66に示すように、アーム部5を回転させることにより、係合部6が回転して、カップリング2を移動させることができるように形成されている。特に、本実施の形態においては、係合部6が直方体状に形成され、この直方体状の一方の端部の断面形状が曲線状になっている。この構成を採用することにより、カップリング退避アームを動かしたときに、係合部とカップリングとの接触部の擦り合わせを滑らかにすることができ、容易にカップリング退避アームを動かすことができる。
【0065】
本実施の形態においては、係合部は、長手方向を有していたが、特にこの形態に限られず、たとえば、図6に示すように、係合部は、平面形状が円形になるように形成されていても構わない。図6においては、係合部15が円柱状に形成され、一の端面において、平面形状の円の中心を避けた位置に、アーム部5が接続されている。また、係合部15は、アーム部5の軸と表面とが垂直になるように形成されている。アーム部5が矢印67に示す方向に回転することによって、カップリングを移動させることができる。このように、係合部は、長手方向を有していなくてもよい。すなわち、係合部は、アーム部の軸を回転軸としてアーム部を回転させたときに、カップリングを移動させることができるように形成されていれば構わない。
【0066】
また、本実施の形態においては、カップリング退避アームのロックレバー部は、平面形状がL字型に形成され、L字型の一方の端部にアーム部が固定され、L字型の他方の端部に突起部が形成されている。また、係合部は、直方体状に形成され、一の表面にアーム部が固定されている。この構成を採用することにより、容易にカップリング退避アームに、係合部とロックレバー部とを形成することができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、カップリング退避アームのロックレバー部は、レーザプリンタの前側に配置されているが、特にこの形態に限られず、トナーカートリッジの一の面に接触するように配置されていれば構わない。たとえば、トナーカートリッジが、レーザプリンタの上側から着脱するように形成されていた場合には、カップリング退避アームのロックレバー部が、トナーカートリッジの上面を押えるようにレーザプリンタの上側に配置されていても構わない。
【0068】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】レーザプリンタの概略断面図である。
【図2】実施の形態におけるカップリングの部分の第1の拡大斜視図である。
【図3】実施の形態におけるカップリングの部分の第2の拡大斜視図である。
【図4】実施の形態におけるカップリング退避アームのロックレバー部を倒したときの拡大斜視図である。
【図5】実施の形態における係合部の拡大斜視図である。
【図6】実施の形態における他の係合部の拡大斜視図である。
【図7】レーザプリンタ本体からトナーカートリッジに対して駆動力を伝達する部分を説明する概略断面図である。
【図8】従来の技術に基づくトナーカートリッジに駆動力を伝達するためのカップリングの部分の拡大斜視図である。
【図9】従来の技術に基づくカップリングの第1の側面図である。
【図10】従来の技術に基づくカップリングの第2の側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 トナーカートリッジ、2,56 カップリング、3 ばね、4 カップリング退避アーム、5 アーム部、6,15 係合部、7 ロックレバー部、8 突起部、9 挿入部、10 円板部、11 カップリング挿入穴、12 アームガイド、21 支持フレーム、31 用紙トレイ、32 ピックローラ、33 搬送ローラ、34 転写ローラ、35 感光体ドラム、36 定着ローラ、37 ブレード、38 ディベロッパロール、39 攪拌板、40 支持軸、45 筐体、50 ギヤ部、51 第1カップリング部材、52 第2カップリング部材、53 挿入部、55 押圧部、58 傾斜部、60〜71 矢印、75 搬送経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザプリンタの前側から取出し可能に形成されたトナーカートリッジと、
前記トナーカートリッジの側方に配置された支持フレームと、
前記支持フレームに支持され、前記トナーカートリッジに向かう側および前記トナーカートリッジに向かう側と反対側に移動可能に形成され、前記トナーカートリッジに向かう側に挿入部を含むカップリングと、
前記カップリングを前記トナーカートリッジに向かう向きに付勢するばねと、
前記カップリングを移動させるためのカップリング退避アームと
を備え、前記カップリング退避アームは、1つの部材から形成され、
前後方向に軸が延在する棒状のアーム部と、
前記アーム部の後側の端部に、直方体の形状に形成され、前記直方体の長手方向における中点を避けた位置で前記アーム部に接続された係合部と、
前記アーム部の前側の端部に、平面形状がL字型の平板状に形成され、前記L字型の一方の端部で前記アーム部と接続されたロックレバー部と
を含み、前記カップリング退避アームは、
前記トナーカートリッジを装着したときに、前記アーム部の延在軸を回転軸として前記ロックレバー部を倒すことによって、前記ロックレバー部が前記トナーカートリッジの前側の面と接触して、さらに、前記係合部の長手方向が前記カップリングの接触面とほぼ平行になって、前記挿入部が前記トナーカートリッジに挿入されるように形成され、
前記トナーカートリッジを取り外すときに、前記アーム部の延在軸を回転軸として前記ロックレバー部を起こすことによって、前記ロックレバー部が前記トナーカートリッジから離脱するように形成され、さらに、前記係合部の長手方向が前記カップリングの接触面とほぼ垂直になって、前記係合部に前記カップリングが押されて、前記挿入部が前記トナーカートリッジから退避するように形成された、レーザプリンタ。
【請求項2】
トナーカートリッジに向かう向きと平行な方向に移動可能に形成され、前記トナーカートリッジに駆動力を伝達するための挿入部を含むカップリングと、
前記カップリングを、前記トナーカートリッジに向かう向きに付勢するための付勢手段と、
前記カップリングの前記平行な方向における位置を定めるためのカップリング退避手段と
を備え、前記カップリング退避手段は、1つの部材から形成され、
棒状のアーム部と、
前記アーム部に接続され、前記アーム部の延在軸を回転軸として回転することにより、前記平行な方向に前記カップリングを移動させるための係合部と、
前記アーム部に接続され、前記アーム部の延在軸を回転軸として回転することにより、前記トナーカートリッジを固定および解除するためのロックレバー部と
を含み、
前記カップリング退避手段は、前記ロックレバー部を一の向きに動かすことにより、前記挿入部が前記トナーカートリッジに挿入されるように形成され、前記ロックレバー部が前記トナーカートリッジの一の面に接触するように形成された、レーザプリンタ。
【請求項3】
前記ロックレバー部は、前記アーム部の端部に形成され、
前記トナーカートリッジを固定する面の形状に沿うように平面的に形成され、
前記ロックレバー部の端部に主表面から突出するように形成された突起部を含む、請求項2に記載のレーザプリンタ。
【請求項4】
前記係合部は、前記アーム部の端部に形成され、
長手方向を有するように形成され、
前記長手方向における中点を避けた位置に、前記アーム部が接続された、請求項2または3に記載のレーザプリンタ。
【請求項5】
前記ロックレバー部は、平面形状がL字型に形成され、
前記L字型の一方の端部に前記アーム部が固定され、前記L字型の他方の端部に前記突起部が形成され、
前記係合部は、直方体状に形成され、一の表面に前記アーム部が固定された、請求項2から4のいずれかに記載のレーザプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−3590(P2006−3590A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179443(P2004−179443)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】