説明

レーザマーキング装置及びレーザマーキングシステム

【課題】マーキング異常の原因を推測しやすくすることができるレーザマーキング装置を提供する。
【解決手段】レーザマーカ2と制御装置15を含むコントローラ4とコンソール6とを備え、ガルバノスキャナ13にてマーキングするレーザマーキング装置1に、レーザ出力測定手段とマーキング異常検出手段と、パターン撮像手段と出力地を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させる記憶手段とを備え、レーザ光Lの出力異常の検出に基づきレーザマーカ2に備えられた撮像装置14にて撮像されたパターンの撮像画像と、少なくともレーザ光Lの出力値を含むステータス情報とを対応付けてマーキング異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザマーキング装置及びレーザマーキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザマーキングシステムにおいて、マーキングされた文字・記号・図形等のパターンを撮像するための撮像手段を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。レーザマーキングシステムでは、レーザ光源の故障、経年的な劣化、光学系の部品の配置ずれ、レンズの汚れ等によってレーザ光のワークへの照射エネルギーが低下し、所望のマーキングが行えない場合があるが、特許文献1のようなレーザマーキングシステムでは、マーキングされたパターンを撮像手段にて撮像し、そのパターンの撮像画像と理想パターンとのマッチングによる画像検査を行うことで、正常にマーキングできなかったパターン(例えば、一部が欠けたり、かすれたりしたパターン)を検出することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−220686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなレーザマーキング装置では、パターンの撮像画像に基づきマーキング異常を検出することができるが、そのマーキング異常を引き起こした原因を推測することが難しく、その点においてなお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、マーキング異常の原因を推測しやすくすることができるレーザマーキング装置及びレーザマーキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、レーザ発生手段から発生されマーキング対象物に出射されるレーザ光をガルバノスキャナにより2次元的に走査させ、予め設定されたパターンを前記マーキング対象物にマーキングするレーザマーキング装置であって、前記マーキング対象物に出射される前記レーザ光の出力値を測定するためのレーザ出力測定手段と、前記マーキング対象物のマーキング異常を検出するためのマーキング異常検出手段と、前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき、前記マーキング対象物にマーキングされ撮像手段にて撮像された前記パターンの撮像画像と、少なくとも前記レーザ光の出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させるための記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき、撮像手段にて撮像されたパターンの撮像画像と、少なくともレーザ光の出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させる。このため、マーキング異常時のパターンの撮像画像とステータス情報とから原因を推測することが可能となり、マーキング異常の原因を推測しやすくすることができる。また、パターンが正常にマーキングされた場合には、パターンの撮像画像とステータス情報を保存しないため、保存用に使用する記憶容量を少なく抑えることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザマーキング装置において、前記マーキング異常検出手段は、前記レーザ出力測定手段にて測定された前記レーザ光の出力値に基づいて前記マーキング異常を検出することを特徴とする。
【0009】
この発明では、簡易な構成でマーキング異常を検出することが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のレーザマーキング装置において、前記マーキング異常検出手段は、前記マーキング対象物にマーキングされ撮像手段にて撮像された前記パターンの撮像画像に基づき前記マーキング異常を検出することを特徴とする。
【0010】
この発明では、マーキング異常を高い精度で検出することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置において、前記撮像手段は、前記マーキング対象物に対するマーキングが終了した後に該マーキング対象物にマーキングされたパターンを撮像することを特徴とする。
【0011】
この発明では、マーキング動作と撮像手段による撮像動作とを別々にできるため、構成を簡単にすることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のレーザマーキング装置において、前記マーキング異常検出手段は、前記マーキング対象物にマーキングしている状態でマーキング異常を検出し、前記撮像手段は、前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき前記マーキング対象物を撮像することを特徴とする。
【0012】
この発明では、マーキング異常が発生した時点での撮像画像及びステータス情報を保存することが可能となるため、マーキング異常の原因をより推測しやすくすることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置において、前記撮像手段は、所定のタイミング毎に前記マーキング対象物を撮像し、前記記憶手段は、前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき前記撮像手段にて撮像された撮像画像と前記ステータス情報とを対応付けて前記メモリに記憶させ、当該撮像画像よりも前に撮像した撮像画像及び後に撮像する撮像画像の少なくとも一方も前記メモリに保存させることを特徴とする。
【0014】
この発明では、マーキング異常の検出に基づき撮像された撮像画像及びステータス情報と、その前後の少なくとも一方の撮像画像とが保存されるため、マーキング異常の原因をより推測しやすくすることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のレーザマーキング装置において、前記所定のタイミングは、前記マーキング対象物へのマーキング終了のタイミングであることを特徴とする。
【0016】
この発明では、複数のマーキング対象物に順次マーキングする際に、あるマーキング対象物においてマーキング異常検出手段にてマーキング異常が検出されたときに、当該マーキング対象物の直前にマーキングしたマーキング対象物及び直後にマーキングするマーキング対象物の少なくとも一方の撮像画像もメモリに保存させることができる。このため、マーキング異常の原因をより推測しやすくすることができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、レーザ発生手段から発生されマーキング対象物に出射されるレーザ光をガルバノスキャナにより2次元的に走査させ、予め設定されたパターンを前記マーキング対象物にマーキングするレーザマーキングシステムであって、前記マーキング対象物に出射される前記レーザ光の出力値を測定するためのレーザ出力測定手段と、前記マーキング対象物のマーキング異常を検出するためのマーキング異常検出手段と、前記マーキング対象物にマーキングされた前記パターンを撮像するための撮像手段と、前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき、前記撮像手段にて撮像された前記パターンの撮像画像と、少なくとも前記レーザ光の出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させるための記憶手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
この発明では、マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき、撮像手段にて撮像されたパターンの撮像画像と、少なくともレーザ光の出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させる。このため、マーキング異常時のパターンの撮像画像とステータス情報とから原因を推測することが可能となり、マーキング異常の原因を推測しやすくすることができる。また、パターンが正常にマーキングされた場合には、パターンの撮像画像とステータス情報を保存しないため、保存用に使用する記憶容量を少なく抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
従って、上記記載の発明によれば、マーキング異常の原因を推測しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態におけるレーザマーキング装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるレーザマーキング装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるマーキング処理を説明するためのフローチャート。
【図4】別例におけるマーキング処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のレーザマーキング装置1(レーザマーキングシステム)は、マーキング対象物としてのワークWを搬送する搬送ラインTRの上方に配置されるレーザマーカ2と、レーザマーカ2にケーブル3を介して接続されたコントローラ4と、コントローラ4にケーブル5を介して接続されたコンソール6とを備えている。レーザマーキング装置1は、順次搬送される複数のワークWの表面に文字・記号・図形等のパターンをそれぞれマーキングするものである。レーザマーカ2は、そのハウジング10内にレーザ光源11、ビームエキスパンダ12、ガルバノスキャナ13、撮像装置14(例えばCCDカメラ等)を備えている(図2参照)。コントローラ4は、図2に示すように、レーザマーキング装置1を統括的に制御するための制御装置15と、制御装置15に接続されたメモリ16を備えている。
【0022】
レーザマーカ2のレーザ光源11は、コントローラ4の制御装置15にてその発振が制御され、マーキング用のレーザ光Lを出射するようになっている。レーザ光源11の後段に配置されたビームエキスパンダ12は、レーザ光源11から出射されたレーザ光Lのビーム径を所定の倍率で一旦拡大する。
【0023】
ビームエキスパンダ12の後段に配置されたガルバノスキャナ13は、ガルバノミラー13aと、そのガルバノミラー13aを駆動するためのガルバノモータ13bとを有している。ガルバノミラー13aは、ビームエキスパンダ12にて径が拡大されたレーザ光Lを反射してその照射方向を変更するものであり、例えば対をなすX軸ミラーとY軸ミラーとで構成されている。ガルバノミラー13aは、制御装置15の制御に基づくガルバノモータ13bの駆動により角度制御され、予め設定された所望のパターンのデータに基づいて2次元的にレーザ光Lを走査する。
【0024】
ガルバノミラー13aの後段に配置された収束レンズ(fθレンズ)17は、レーザ光LをワークWの表面において所定のスポット径となるまで収束させ、マーキングに適したエネルギー密度まで高める。これにより、ワークWにマーキングが施されるようになっている。
【0025】
このような構成のレーザマーカ2において、レーザ光Lの光軸上におけるビームエキスパンダ12とガルバノミラー13aとの間には、コールドミラー21が設けられている。コールドミラー21は、可視光域の光を反射しレーザ光Lは透過させる。
【0026】
コールドミラー21の近傍に設けられた撮像装置14は、その光軸がコールドミラー21により屈曲し、コールドミラー21の後段側(レーザ出射側)において該撮像装置14の光軸がレーザ光Lの光軸と一致するように配置されている。即ち、レーザ光Lの出射部(収束レンズ17部分)から取り込まれてコールドミラー21により反射された可視光は撮像装置14に到達し、これにより、ワークWにマーキングされたパターンを撮像装置14にて撮像することが可能となっている。撮像装置14は、パターンの撮像画像のデータをコントローラ4の制御装置15に出力する。
【0027】
レーザ光源11とビームエキスパンダ12との間には、レーザ光Lの出力値を測定するためのレーザ出力測定部22が設けられている。レーザ出力測定部22は、レーザ光Lの光軸上におけるレーザ光源11とビームエキスパンダ12との間に配置されたビームスプリッター等よりなる光路分岐部22aと、ハウジング10内に設けられた受光素子22bとを備えている。光路分岐部22aは、レーザ光源11から出射されたレーザ光Lの数パーセントを受光素子22bに向かって反射する。そして、受光素子22bには光路分岐部22aにて反射されたレーザ光Lが入射し、該受光素子22bは受光結果に基づく検出信号を制御装置15に出力する。
【0028】
コントローラ4の制御装置15には、コンソール6にて設定されたパターンのデータが入力され、そのパターンのデータに基づいて上記レーザマーカ2を駆動させる。コンソール6はタッチパネル機能を有する表示画面6aを備え、ユーザーはワークWにマーキングする所望のパターンをコンソール6にて設定することが可能であり、コンソール6は設定されたパターンのデータをコントローラ4の制御装置15に出力する。そして、制御装置15は、コンソール6からのパターンのデータをメモリ16に記憶させる。
【0029】
上記のようなレーザマーキング装置1の1つのワークWに対するマーキング処理を図3のフローチャートに従って説明する。
コントローラ4の制御装置15は、コンソール6から入力されたパターンのデータに基づきレーザマーカ2にてワークWに所望のパターンをマーキングさせる(ステップS11)。
【0030】
次に、ステップS12において、制御装置15は、受光素子22bからの検出信号に基づいて、マーキングの開始から終了までの間にレーザ光Lの出力値が予め設定された閾値を下回ったか否かを判定する。レーザ光Lの出力値がマーキングの間常に前記閾値以上であった場合には、レーザ光Lの出力値が正常、即ちマーキングが正常に行われたと判断し、そのワークWに対するマーキング処理を終了する。
【0031】
一方、マーキングの開始から終了までの間にレーザ光Lの出力値が前記閾値を下回っていた場合には、レーザ光Lの出力異常、即ちマーキング異常が発生したと判断し、ステップS13に移行する。
【0032】
ステップS13において、制御装置15は、マーキングされたパターンを撮像装置14にて撮像させ、その撮像画像は制御装置15に入力される。
その後、制御装置15はステップS14において、パターンの撮像画像と、前記閾値を下回ったときのレーザ光Lの出力値(ステータス情報)と、そのワークWに対応する番号とを対応付けてメモリ16に記憶させ、そのワークWに対するマーキング処理を終了する。尚、ステータス情報として、レーザ光Lの出力値だけでなくレーザマーカ2の温度やガルバノミラー13aの角度位置等も保存するようにしてもよい。つまり、ステータス情報は、少なくともレーザ光Lの出力値を含む情報であればよい。また、このとき保存するレーザ光Lの出力値は、1つの値(本実施形態では、閾値を下回ったときのレーザ光Lの出力値)だけでなく、1つの撮像画像につき複数の値を対応付けて保存(例えばマーキング終了時の出力値等も併せて保存したり、マーキングの開始から終了までにレーザ光Lの出力値が前記閾値を複数回下回った場合には、その下回った全ての出力値を保存)するようにしてもよい。
【0033】
以上のマーキング処理が終了すると、レーザマーカ2の下方(マーキング領域)に次のワークWが搬送されてそのワークWに対して以上のマーキング処理が行われる。これが繰り返されて所定の個数のワークWにマーキングが行われるようになっている。
【0034】
そして、ステップS14で対応付けて保存されたパターンの撮像画像とステータス情報は、コンソール6の表示画面6aでの所定の操作に基づき該表示画面6aに表示されるようになっている。これにより、ユーザーは、レーザ光Lの出力値が異常であったと判定されたパターンの撮像画像とステータス情報とを確認することができ、その撮像画像のパターンにマーキング異常が生じている場合、該撮像画像とステータス情報とからマーキング異常の原因を推測することが可能となっている。
【0035】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、制御装置15は、マーキング異常(レーザ光Lの出力異常)の検出に基づき撮像装置14にて撮像されたパターンの撮像画像と、少なくともレーザ光Lの出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリ16に記憶させる。このため、マーキング異常(レーザ光Lの出力値異常)の発生時のパターンの撮像画像とステータス情報とから原因を推測することが可能となり、マーキング異常の原因を推測しやすくすることができる。また、レーザ光Lの出力値が正常な場合には、パターンの撮像画像とステータス情報を保存しないため、保存用に使用する記憶容量を少なく抑えることができる。
【0036】
(2)本実施形態では、制御装置15は、レーザ出力測定部22にて測定されたレーザ光Lの出力値に基づいてマーキング異常を検出するため、簡易な構成でマーキング異常を検出することが可能となる。
【0037】
(3)本実施形態では、撮像装置14は、ワークWに対するマーキングが終了した後に該ワークWにマーキングされたパターンを撮像するため、マーキング動作と撮像装置14による撮像動作とを別々にできるため、構成を簡単にすることができる。
【0038】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、制御装置15は、レーザ光Lの出力異常の検出(ステップS12)に基づき、撮像画像とステータス情報を保存(ステップS14)したが、特にこれに限定されるものではなく、パターンの撮像画像に基づくマーキング異常の判定に基づき、撮像画像とステータス情報を保存するようにしてもよい。
【0039】
例えば図4のフローチャートに示すように、制御装置15は、ステップS21においてレーザマーカ2にてワークWに所望のパターンをマーキングさせる。
次に、制御装置15は、ステップS22において、受光素子22bからの検出信号に基づき測定したレーザ光の出力値を一時的にメモリ16に記憶させる。この記憶させるレーザ光の出力値は、マーキング開始前の出力値、マーキング終了時点の出力値、マーキング途中における所定の時点の出力値、及びマーキングの開始から終了までの間での出力最低値のいずれでもよい。
【0040】
次に、制御装置15は、ステップS23において、ワークWにマーキングされたパターンの撮像画像と予め撮像した基本画像(正常にマーキングされたパターンの撮像画像)とを比較し、マーキングされたパターンの良否を判断する。
【0041】
パターンが正常にマーキングされていると判定した場合には、ステップS24に移行し、一時的にメモリ16に記憶させたレーザ光の出力値を消去し、そのワークWに対するマーキング処理を終了する。
【0042】
一方、マーキング異常が生じたと判定した場合には、ステップS25に移行し、制御装置15は、マーキングされたパターンを撮像装置14にて撮像させ、その撮像画像は制御装置15に入力される。
【0043】
その後、制御装置15は、パターンの撮像画像と、ステップS22で一時的に保存したレーザ光Lの出力値(ステータス情報)と、そのワークWに対応する番号とを対応付けてメモリ16に記憶させる(ステップS26)。
【0044】
以上のような処理を行う構成によっても、上記実施形態の(1)及び(3)と同様の作用効果を得ることができる。更に、上記構成によれば、マーキング異常を高い精度で検出することが可能となる。
【0045】
・上記実施形態では、パターンの撮像画像とステータス情報とを対応付けて保存する対象をレーザ光Lの出力異常が検出されたワークWのみとしたが、レーザ光Lの出力異常が検出されたワークWの1つ前のワークWと1つ後のワークWの少なくとも一方も保存対象としてもよい。例えば、前後両方のワークWも保存対象とする場合、制御装置15は、レーザ光Lの出力異常の判定(ステップS12)の前にパターンの撮像(ステップS13)を行い、その撮像画像を一時的にメモリ16に記憶させる。そして、制御装置15は、あるワークWでレーザ光の出力異常が検出されると、その1つ前にマーキングしたワークWの撮像画像とステータス情報とを対応付けてメモリ16に記憶させ、1つ後にマーキングするワークWについてもマーキング終了後にその撮像画像とステータス情報とを対応付けてメモリ16に記憶させる。また、制御装置15は、正常にマーキングされたという判定されたワークWが2つ連続した場合、その連続する2つのうち先にマーキングを行ったワークWのパターンの撮像画像とステータス情報を消去する。これにより、レーザ光Lの出力異常が検出されたワークW及びその前後のワークWのパターンに関する撮像画像とステータス情報のみが最終的に保存され、保存用の記憶容量を小さく抑えることができる。
【0046】
このように、レーザ光Lの出力異常が検出されたワークWのパターンを保存対象とするだけでなく、1つ前のワークWと1つ後のワークWの少なくとも一方に関しても保存対象とすることで、マーキング異常の原因をより推測しやすくすることができる。
【0047】
・上記実施形態では、制御装置15は、ワークWに対するマーキングが終了した後にマーキング異常を検出し、その後、ワークWにマーキングされたパターンを撮像装置14にて撮像させたが、これ以外に例えば、制御装置15はマーキングしている状態でマーキング異常を検出し、その異常検出に基づき撮像装置14にてワークW(マーキング領域)を撮像させるように構成してもよい。この構成によれば、マーキング異常が発生した時点での撮像画像及びステータス情報を保存することが可能となるため、マーキング異常の原因をより推測しやすくすることができる。
【0048】
また、制御装置15は、撮像装置14にて所定のタイミング毎にワークWを撮像(1つのワークWに対して複数撮像、若しくは1つのワークWにつきマーキング終了後に1回撮像するタイミングで撮像)させ、マーキング異常の検出に基づき撮像装置14にて撮像された撮像画像とステータス情報とを対応付けてメモリ16に記憶させ、当該撮像画像よりも前に撮像した撮像画像及び後に撮像する撮像画像の少なくとも一方もメモリ16に保存させるようにしてもよい。この構成によれば、マーキング異常が発生した時点での撮像画像及びステータス情報と、その前後の少なくとも一方の撮像画像とが保存されるため、マーキング異常の原因をより推測しやすくすることができる。尚、マーキング異常の検出に基づき撮像された撮像画像よりも前に(又は後に)撮像した撮像画像は、マーキング異常の検出に基づき撮像された撮像画像の直前(又は直後)の所定数の撮像画像としてもよく、また、マーキング異常の検出に基づき撮像された撮像画像よりも所定時間分だけ前の(又は後の)撮像画像としてもよい。また、マーキング異常の検出に基づき撮像された撮像画像とその前に(又は後に)撮像した撮像画像は、マーキング異常が検出されたワークWとその前後のワークWとに跨っていてもよい。
【0049】
・上記実施形態において、制御装置15は、マーキング異常が検出されたワークWが連続した場合にマーキングを停止するようにしてもよい。
・上記実施形態において、制御装置15は、メモリ16に記憶させた撮像画像とステータス情報のデータが所定数に達した場合に、そのデータのうちの例えば古いものを消去するようにしてもよい。この構成によれば、撮像画像とステータス情報の保存用に使用する記憶容量を少なく抑えることができる。
【0050】
・上記実施形態では、制御装置15は、レーザ光Lの出力値に基づいてマーキング異常を検出したが、これ以外に例えば、マーキング中に発生する音や、ワークWから放たれる熱(赤外線)や、ワークWからの反射光等に基づいてマーキング異常を検出してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、撮像装置14がレーザマーカ2内に設けられたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、レーザマーカ2の外部に撮像装置を設置し、その撮像装置とコントローラ4とをケーブル等で接続する構成としてもよい。
【0052】
・上記実施形態において、コールドミラー21の配置位置、及びコールドミラー21に付随して配置される撮像装置14の配置位置を適宜変更してもよい。上記実施形態では、コールドミラー21はビームエキスパンダ12とガルバノミラー13aとの間に配置されたが、これ以外に例えば、ガルバノミラー13aと収束レンズ17との間に配置してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、レーザマーカ2とコントローラ4とを別体で構成したが、これに限らず一体に構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…レーザマーキング装置、11…レーザ発生手段としてのレーザ光源、13…ガルバノスキャナ、14…撮像手段としての撮像装置、15…レーザ出力測定手段、マーキング異常検出手段(出力異常検出手段)及び記憶手段を構成する制御装置、16…メモリ、22…レーザ出力測定手段を構成するレーザ出力測定部、L…レーザ光、W…マーキング対象物としてのワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発生手段から発生されマーキング対象物に出射されるレーザ光をガルバノスキャナにより2次元的に走査させ、予め設定されたパターンを前記マーキング対象物にマーキングするレーザマーキング装置であって、
前記マーキング対象物に出射される前記レーザ光の出力値を測定するためのレーザ出力測定手段と、
前記マーキング対象物のマーキング異常を検出するためのマーキング異常検出手段と、
前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき、前記マーキング対象物にマーキングされ撮像手段にて撮像された前記パターンの撮像画像と、少なくとも前記レーザ光の出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させるための記憶手段と
を備えたことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザマーキング装置において、
前記マーキング異常検出手段は、前記レーザ出力測定手段にて測定された前記レーザ光の出力値に基づいて前記マーキング異常を検出することを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のレーザマーキング装置において、
前記マーキング異常検出手段は、前記マーキング対象物にマーキングされ撮像手段にて撮像された前記パターンの撮像画像に基づき前記マーキング異常を検出することを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置において、
前記撮像手段は、前記マーキング対象物に対するマーキングが終了した後に該マーキング対象物にマーキングされたパターンを撮像することを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のレーザマーキング装置において、
前記マーキング異常検出手段は、前記マーキング対象物にマーキングしている状態でマーキング異常を検出し、
前記撮像手段は、前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき前記マーキング対象物を撮像することを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザマーキング装置において、
前記撮像手段は、所定のタイミング毎に前記マーキング対象物を撮像し、
前記記憶手段は、前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき前記撮像手段にて撮像された撮像画像と前記ステータス情報とを対応付けて前記メモリに記憶させ、当該撮像画像よりも前に撮像した撮像画像及び後に撮像する撮像画像の少なくとも一方も前記メモリに保存させることを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザマーキング装置において、
前記所定のタイミングは、前記マーキング対象物へのマーキング終了のタイミングであることを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項8】
レーザ発生手段から発生されマーキング対象物に出射されるレーザ光をガルバノスキャナにより2次元的に走査させ、予め設定されたパターンを前記マーキング対象物にマーキングするレーザマーキングシステムであって、
前記マーキング対象物に出射される前記レーザ光の出力値を測定するためのレーザ出力測定手段と、
前記マーキング対象物のマーキング異常を検出するためのマーキング異常検出手段と、
前記マーキング対象物にマーキングされた前記パターンを撮像するための撮像手段と、
前記マーキング異常検出手段によるマーキング異常の検出に基づき、前記撮像手段にて撮像された前記パターンの撮像画像と、少なくとも前記レーザ光の出力値を含むステータス情報とを対応付けてメモリに記憶させるための記憶手段と
を備えたことを特徴とするレーザマーキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−50978(P2011−50978A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200956(P2009−200956)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】