レーザートラッカー

【課題】 距離により最適なサーボゲインが異なるレーザートラッカーの制御において、距離情報を用いて、サーボゲインを最適な値にすることができるレーザートラッカーを提供する。
【解決手段】 レーザートラッカー1は、ターゲットTgにレーザービームLbを照射するレーザー光源2と、同レーザービームを直交する2軸回りにそれぞれ角度調整可能な角度調整手段3と、反射光を受光する受光部7と、照射するレーザービームLbと受光した反射光とからターゲットTgまでの距離を測定する測定手段4と、受光部7で認識された位置情報から可変ゲイン設定部に設定されたゲインに基づいて、角度調整手段3による角度を制御する制御手段5とを設ける。さらに測定手段4で測定した距離に反比例したゲインを求めて可変ゲイン設定部に設定するゲイン指令手段16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザートラッカーに関し、例えば、生産分野、計測分野において、素材、生産物や建築物、自然物等の物体の空間的座標を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガイドとなるレーザー光の方向を、2軸のモータで制御し、移動するターゲットに追従させるレーザートラッキング技術が公知である(特許文献1)。この場合、モータに取り付けた2軸のエンコーダを用いて、移動するターゲットの空間的な方向を知ることができる。
ターゲットはレトロリフレクターあるいは単にリフレクターと呼ばれるそれぞれ直交する3枚の鏡を使用した反射鏡を用いるのが一般的である。このリフレクターは、どのような場合でも入射した方向に光を返すことができる。
【0003】
また、レーザーで距離を測る技術は確立されており、例えば、アジレント社(旧ヒューレット・パッカード社)、レニショー社等のレーザー干渉計では、数メートルの距離を、ナノメートル単位の分解能で測定することができる(特許文献2)。
【0004】
これら二つの技術を組み合わせた装置は、レーザートラッカーと称されて、その装置からターゲットまでの距離と空間的な角度を測定し、その装置を基準とした、ターゲットの空間位置を特定することが可能である。それらは、API(Automated Precision Inc.)社、FARO社等から商品化されており、その原理が公開されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−165114号公報
【特許文献2】特開平5−264215号公報
【特許文献3】特表2003−506691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザートラッカーにおいて、ターゲットの座標(X,Y,Z)は、レーザー光で測定した距離 L とその空間的な角度(θ、ψ)の3つの数値から決定することができる。この測定の場合、ターゲットを、ある基準点から非測定物まで移動させ、その間、角度(θ、ψ)をターゲットの方向に従って連続的に追従させる必要がある。そのため、サーボ技術を用いて制御を行うが、ある位置偏差が生じた場合、ターゲットまでの距離により、修正すべき角度量が変わってしまうという欠点がある。
そのため、サーボ系の調整でも、複数の点で確認する必要があり、すべての点に対し最適なサーボ系の調整は困難である。
【0007】
ターゲットが近い場合の状態を図3で説明する。この場合、ターゲットの位置偏差S1に対して、角度補正量はθ1となる。この場合、角度補正量θ1は
θ1 = arctan(S1/L1)
となる。
また、ターゲットが遠い場合の状態を図4で説明する。この場合、ターゲットの位置偏差S2に対して、角度補正量はθ2となる。この場合、角度補正量θ2は
θ2 = arctan(S2/L2)
となる。S1=S2の時、L2>L1 であるため、θ2<θ1 となる。
したがって、ターゲットが遠い場合と近い場合とにおいて、同じ偏差S1を生じたとき、ターゲットが遠い場合の方が角度補正量は少なくて済み、サーボゲインは距離にほぼ比例して高くなり、発振しやすくなるなどの悪影響がある。
【0008】
この発明の目的は、距離により最適なサーボゲインが異なるレーザートラッカーの制御において、距離情報を用いて、サーボゲインを最適な値にすることができるレーザートラッカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のレーザートラッカーは、測定物上に設けられた一つのターゲットの空間座標を求めるレーザートラッカーであって、前記ターゲットに対しレーザービームを照射するレーザー光源と、移動するターゲットに対し、前記レーザービームを直交する2軸回りにそれぞれ角度調整可能な角度調整手段と、前記ターゲットで反射されたレーザービームの反射光の位置情報を認識する受光部と、前記ターゲットで反射されたレーザービームの反射光を受光し、前記レーザー光源の照射するレーザービームと受光した反射光とから前記ターゲットまでの距離を測定する測定手段と、前記受光部で認識された位置情報から、可変ゲイン設定部に設定されたゲインに基づいて、前記角度調整手段による角度を制御する制御手段と、前記測定手段で測定した距離に反比例したゲインを求めて前記可変ゲイン設定部に設定するゲイン指令手段とを有することを特徴とする。
前記位置情報とは、受光部で認識された位置の偏差のデータを表すものである。
【0010】
この構成によると、レーザー光源から発せられたレーザービームは、角度調整手段を経由してターゲットに到達する。このターゲットで反射された反射光は、略同じ経路を通り照射元のレーザートラッカーに戻る。測定手段は、前記反射光を受光し、レーザー光源の照射するレーザービームと受光した反射光とからターゲットまでの距離を測定する。制御手段は、受光部で認識された位置情報から、可変ゲイン設定部に設定されたゲインに基づいて、前記角度調整手段による角度を制御する。
ここで、レーザートラッカーは、ターゲットまでの距離により、前記受光部の出力に対する最適なサーボゲインが異なる。測定物の形状を測定するためターゲットを移動させるとき、基準となるターゲット位置に対する移動後のターゲット位置の角度をθとすると、θが小さい場合、tanθ=θ、arctanθ=θとみなすことができる。したがって偏差は、小さな角度θのため、最適なサーボゲインは反比例する。
【0011】
例えば、サーボゲインg(dB)は、ターゲットまでの距離をL、基準距離をL0とし、基準距離での最適なゲインを0dBとすると、
g=20 log10(L0/L)
として求めればよい。
制御手段は、前記のように求めたサーボゲインに基づいて、前記角度調整手段による角度の制御を行う。これにより、ターゲットまでの距離にかかわらず、適切な、安定したサーボ系をもつレーザートラッカーを実現できる。さらに、サーボ系の調整は、任意の1点で行えばよくなる。
【0012】
前記可変ゲイン設定部はプログラマブルゲインアンプであり、前記ゲイン指令手段は、前記プログラマブルゲインアンプに、求めたゲインを指令するものとしても良い。
前記可変ゲイン設定部は乗算器であり、制御手段は、ゲインに相当する電圧を前記乗算器を用いて信号に乗じたものとしても良い。
前記可変ゲイン設定部は、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、およびプログラマブルロジックコントローラ(略称PLC)のいずれか一つと、ADコンバータと、DAコンバータとを含み、制御手段は、ADコンバータから入力した信号に、適切なゲインを持たせて、DAコンバータで出力するものとしても良い。
【0013】
前記可変ゲイン設定部は、ゲインを変更可能なスイッチを設けたものとしても良い。例えば、複数個のスイッチを用いる場合、ターゲットまでの距離をスイッチと同数のエリアに分割して、それぞれのエリアで適切なゲインになるように各スイッチでのゲインを決定し、エリア毎に指定されたスイッチに切り替える。
【0014】
前記制御手段は、前記角度調整手段の各軸の角度を検出する角度検出手段と、この角度検出手段の検出値を用いて前記角度調整手段を制御する各軸のフィードバック制御部を有し、前記可変ゲイン設定部は、距離によるゲインの変更に加えて、前記各軸のフィードバック制御部のゲインを調整するものであっても良い。
前記可変ゲイン設定部をサーボゲインを調整する調整手段としても用いる場合に、前記制御手段は、サーボ系の状態を観察してゲインを自動的に変更可能としても良い。この構成によると、サーボが発振気味の場合は、サーボゲインを自動的に小さく変更してサーボを安定方向に持っていくことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明のレーザートラッカーは、測定物上に設けられた一つのターゲットの空間座標を求めるレーザートラッカーであって、前記ターゲットに対しレーザービームを照射するレーザー光源と、移動するターゲットに対し、前記レーザービームを直交する2軸回りにそれぞれ角度調整可能な角度調整手段と、前記ターゲットで反射されたレーザービームの反射光の位置情報を認識する受光部と、前記ターゲットで反射されたレーザービームの反射光を受光し、前記レーザー光源の照射するレーザービームと受光した反射光とから前記ターゲットまでの距離を測定する測定手段と、前記受光部で認識された位置情報から、可変ゲイン設定部に設定されたゲインに基づいて、前記角度調整手段による角度を制御する制御手段と、前記測定手段で測定した距離に反比例したゲインを求めて前記可変ゲイン設定部に設定するゲイン指令手段とを有するため、距離により最適なサーボゲインが異なるレーザートラッカーの制御において、距離情報を用いて、サーボゲインを最適な値にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るレーザートラッカーの原理を概略示す図である。
【図2】参考提案例に係るレーザートラッカーの制御系のブロック図である。
【図3】ターゲットが近い場合の偏差と角度の関係を表す図である。
【図4】ターゲットが遠い場合の偏差と角度の関係を表す図である。
【図5】この発明の第1の実施形態に係るレーザートラッカーの制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図5と共に説明する。
この実施形態に係るレーザートラッカーは、測定物上に設けられた一つのターゲットの動きに追従し、空間座標を求めるものである。以下の説明は、空間座標測定方法についての説明をも含む。図1に示すように、この例では、前記ターゲットTgは、測定物W上の一箇所に静止した状態で取り付けられるものである。ターゲットTgとして、例えば、球状のレトロリフレクターが用いられる。ただし、球状のレトロリフレクターに限定されるものではない。
【0018】
レーザートラッカー1は、主に、レーザー光源2、角度調整手段3、測定手段4、および制御手段5を有する。レーザー光源2は、ターゲットTgにレーザービームLbを照射させるものであり、測定手段4は、前記ターゲットTgで反射したレーザービームLbを用いて前記ターゲットTgまでの距離を測定するものである。測定手段4として、例えば、干渉計または絶対距離計等から成る測長器が使用される。前記レーザー光源2および測長器は、一体化した機器であるレーザー測長器を構成して例えば筒状のケーシング6の内部に収容される。
【0019】
前記角度調整手段3は、移動するターゲットTgに対し、レーザービームLbを直交する2軸回りにそれぞれ角度調整可能なものであり、光学機器および受光部7を含む。
前記光学機器は、ハーフミラー8、θ軸モータ9,角度検出手段であるθ軸エンコーダ10、ψ軸モータ11,角度検出手段であるψ軸エンコーダ12、およびミラー13を有する。θ軸モータ9,ψ軸モータ11におけるθ軸,ψ軸は直交する2軸であり、θ軸が筒状の前記ケーシング6の軸心と平行に配置される。ケーシング6の上端部に、θ軸モータ9およびθ軸エンコーダ10が設けられ、前記θ軸モータ9を介して回転体14が回転駆動可能に支持されている。
したがって、回転体14は、ケーシング6の上端部においてこのケーシング6に対し相対的にθ軸回りに角変位可能に構成されている。回転体14の上端部に、凹形状のフレーム15を介してψ軸モータ11およびψ軸エンコーダ12が支持されている。ψ軸モータ11およびψ軸エンコーダ12の軸心は、θ軸に直交するψ軸に平行であり、前記ミラー13は、このψ軸モータ11およびψ軸エンコーダ12の軸に角変位可能に支持されている。なお、ケーシング6の上端部、回転体14、およびフレーム15には、レーザービーム(反射光も含む)Lbを通す孔hが形成されている。
【0020】
レーザー光源2から発せられたレーザービームLbは、ハーフミラー8を透過し、ミラー13で反射した後前記ターゲットTgに到達する。このターゲットTgで反射したレーザービームLbつまり反射光は、略同じ経路を通り照射元のレーザートラッカー1に戻り、前記ハーフミラー8で反射され、ケーシング6内に配置された受光部7に到達する。この受光部7は、レーザービームLbの反射光の位置情報を認識するものであり、例えば、半導体位置検出素子(略称PSD)または4分割フォトダイオード等により構成される。制御手段5は、この受光部7に到達した反射光が同受光部7の中心に戻るように、θ軸モータ9,ψ軸モータ11を制御する。受光部7が、例えば、二次元の半導体位置検出素子から成る場合、受光部表面に到達したレーザースポットの位置データ「つまり位置情報」そのものを表す電流が得られる。この電流は電圧に変換されて後述するプログラマブルゲインアンプ17に入力される。前記位置情報とは、受光部表面のX、Y座標の基準原点からの偏差である。レーザービームLbがターゲットTgの中心から外れると、受光部表面に到達するレーザースポットは、半導体位置検出素子から外れエラー信号が生成される。多数の空間座標を求めるためにターゲットTgを移動させ、レーザートラッカー1でターゲットTgの動きを追尾させる場合に、前記受光部7からの位置データにより、各ターゲットTgの中心をレーザービームLbで追尾し得る。
受光部7が、例えば、4分割フォトダイオードから成る場合、受光部表面に到達したレーザースポットの投影像の重心位置の変化を計測する。つまり4分割の各領域のフォトダイオードの差動出力から変位を電圧として計測する。
前記レーザートラッカー1に戻った反射光の一部は、ハーフミラー8で反射されずに前記測長器に入り、この測長器は、反射光を受光しレーザー光源2の投光するレーザービームLbと受光した反射光とからターゲットTgまでの距離を測定する。
【0021】
図5に示すように、制御手段5は、ゲイン指令手段16と、可変ゲイン設定部としてのプログラマブルゲインアンプ17と、θ軸制御部18と、ψ軸制御部19と、θ軸ドライバ20と、ψ軸ドライバ21とを有する。これらθ軸制御部18,ψ軸制御部19は、例えばマイクロコンピュータやその他の電子機器で構成される。θ軸制御部18,ψ軸制御部19は、それぞれ受光部7からの信号に基づいて、θ軸ドライバ20,ψ軸ドライバ21に、常にレーザービームLbが受光部中心に戻るように指令する。θ軸モータ9,ψ軸モータ11は指令値に基づいてミラー13を直交するθ軸,ψ軸回りに角変位させる。これによりミラー13を常に適切な方向に向ける。なお参考提案例として図2には、ゲイン指令手段16、およびプログラマブルゲインアンプ17が設けられていない制御手段を含むレーザートラッカーの制御系のブロック図が示されている。この場合、θ軸制御部18、ψ軸制御部19には、それぞれ、固定されたゲインΚθ、Κψが設定されている。この参考提案例の制御手段は、受光部表面に到達したレーザースポットの位置情報に、ゲインΚθ、Κψを用いて、角度調整手段3による角度を制御する。
【0022】
図1に示すように、前記測長器およびθ軸エンコーダ10,ψ軸エンコーダ12には、演算手段22が電気的に接続されている。この演算手段22は、測長器により測定されたターゲットTgまでの距離の測定値と、θ軸エンコーダ10,ψ軸エンコーダ12の測定値より、ターゲットTgの空間座標を求める。
測定物Wの形状を測定するためには、多数の空間座標を求める必要がある。そのため、ターゲットTgを手動または自動的に移動させ、レーザートラッカー1をターゲットTgの動きを追尾させる。つまり移動するターゲットTgに対し、レーザービームLbの角度を変位させ、各位置のターゲットTgにレーザービームLbを照射させる。
【0023】
本発明の実施形態では、前記レーザートラッカー1をターゲットTgの動きを追尾させる場合のサーボ系のゲインを、ターゲットTgまでの距離により最適な値に調整するため、図5に示すように、ゲイン指令手段16とプログラマブルゲインアンプ17を回路上に設けている。受光部7の後段に、プログラマブルゲインアンプ17を介して、θ軸制御部18、ψ軸制御部19が電気的に接続される。前記測長器に、ゲイン指令手段16を介してプログラマブルゲインアンプ17が電気的に接続されている。
ゲイン指令手段16は、測定手段4で測定した距離に反比例したゲインを求めてプログラマブルゲインアンプ17に設定する。つまりゲイン指令手段16に、測長器からの測長結果を伝達すると、ゲイン指令手段16は、その距離情報から後述する式(1)に従って、ゲインを決定し、プログラマブルゲインアンプ17に、決定したゲインを指令する。
プログラマブルゲインアンプ17では、例えば、受光部表面に到達した位置情報に相当する電圧が入力され、この入力電圧を、前記指令されたゲインによる所定の増幅率でもって増幅する。θ軸制御部18、ψ軸制御部19は、固定されたゲインΚθ、Κψに代えて、前記のようにプログラマブルゲインアンプ17で得られた可変のゲインを用いて、角度調整手段3による角度を制御する。プログラマブルゲインアンプ17は、ゲインの入力端子から入力されたゲインによって、増幅率を可変としたアンプである。
【0024】
ここで、レーザートラッカー1は、ターゲットTgまでの距離により最適なサーボゲインが異なる。図3、図4に示すように、移動元のターゲット位置に対する移動後のターゲット位置の角度をθとすると、θが小さい場合、tanθ=θ、arctanθ=θとみなすことができる。したがって、偏差S1、S2は小さな角度θのため、最適なサーボゲインは反比例する。
例えば、サーボゲインg(dB)は、ターゲットTgまでの距離をL、基準距離をL0とし、基準距離での最適なゲインを0dBとすると、
g=20 log10(L0/L) …(1)
として求められる。
前記式(1)に従って、基準距離に対するターゲットTgまでの距離に応じてゲインを決定し、プログラマブルゲインアンプ17に、決定したゲインを指令する。
【0025】
制御手段5は、前記のように求めたサーボゲインに基づいて、角度調整手段3による角度調整の制御を行う。制御手段5における、θ軸制御部18,ψ軸制御部19は、それぞれ受光部7からの信号に基づいて、θ軸ドライバ20,ψ軸ドライバ21に、常にレーザービームLbが受光部中心に戻るように指令する。これと共にθ軸制御部18,ψ軸制御部19は、それぞれθ軸ドライバ20,ψ軸ドライバ21に対し、ターゲットTgまでの距離情報を加味したサーボゲインに基づく指令を与える。θ軸モータ9,ψ軸モータ11は指令値に基づいてミラー13を直交するθ軸,ψ軸回りに角変位させる。
これにより、ターゲットTgまでの距離にかかわらず、適切な、安定したサーボ系をもつレーザートラッカー1を実現できる。さらに、サーボ系の調整は、任意の1点で行えば足りるため、サーボ系の調整を複数点で行う必要がなく工数低減を図ることができる。したがって、ターゲットTgの空間座標を容易に且つ精度良く特定することができる。
【0026】
この発明の他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0027】
前記プログラマブルゲインアンプに代えて乗算器を設け、制御手段5は、ゲインに相当する電圧を前記乗算器を用いて信号に乗じたものとしても良い。
前記プログラマブルゲインアンプに代えて、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、およびプログラマブルロジックコントローラ(略称PLC)のいずれか一つと、ADコンバータと、DAコンバータとを設け、制御手段5は、ADコンバータから入力した信号に、適切なゲインを持たせて、DAコンバータで出力するものとしても良い。
【0028】
前記プログラマブルゲインアンプに代えて、ゲインを変更可能なスイッチを設けたものとしても良い。例えば、複数個のスイッチを設ける場合、ターゲットTgまでの距離をスイッチと同数のエリアに分割して、それぞれのエリアで適切なゲインになるように各スイッチでのゲインを決定し、エリア毎に指定されたスイッチに切り替える。
具体的には、先ず、ターゲットTgまでの距離をもとに測定空間を数箇所ないし数十箇所のエリアに分けておく。ターゲットTgの任意の位置にてレーザービームLbを照射するとき、演算手段22は、測長器により測定されたターゲットTgまでの距離の測定値から存在するエリアを特定する。これにより、特定されたエリアに関連付けられたスイッチに切り替えられる。
【0029】
また、各スイッチ毎にゲインが定められており、これによりθ軸制御部18,ψ軸制御部19は、それぞれθ軸ドライバ20,ψ軸ドライバ21に対し、ターゲットTgまでの距離情報を加味したサーボゲインに基づく指令を与える。θ軸モータ9,ψ軸モータ11は指令値に基づいてミラー13を直交するθ軸,ψ軸回りに角変位させる。したがって、ターゲットTgまでの距離情報を加味したサーボ系をもつレーザートラッカー1を実現できる。
【0030】
さらに他の実施形態として、前記プログラマブルゲインアンプ17を、ターゲットTgまでの距離によるゲインの変更だけでなく、サーボゲインそのものを調整する調整手段としても用いても良い。すなわち制御手段5は、角度調整手段3の各軸(θ軸,ψ軸)の角度を検出するθ軸エンコーダ10,ψ軸エンコーダ12と、このθ軸エンコーダ10,ψ軸エンコーダ12の検出値を用いて角度調整手段3を制御する前記θ軸,ψ軸のフィードバック制御部のゲインを調整するものとしても良い。
この場合、サーボゲインをa(dB)とすると全体のゲインgは
g=20 a log10(L0/L)
となる。
【0031】
前記プログラマブルゲインアンプ17をサーボゲインを調整する調整手段としても用いる場合に、制御手段5は、サーボ系の状態を観察してゲインを自動的に変更可能としても良い。この構成によると、サーボが発振気味の場合は、サーボゲインaを自動的に小さく変更してサーボを安定方向に持っていくことができる。
【符号の説明】
【0032】
1…レーザートラッカー
2…レーザー光源
3…角度調整手段
4…測定手段
5…制御手段
7…受光部
10…θ軸エンコーダ
12…ψ軸エンコーダ
16…ゲイン指令手段
17…プログラマブルゲインアンプ
Lb…レーザービーム
Tg…ターゲット
W…測定物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定物上に設けられた一つのターゲットの空間座標を求めるレーザートラッカーであって、
前記ターゲットに対しレーザービームを照射するレーザー光源と、
移動するターゲットに対し、前記レーザービームを直交する2軸回りにそれぞれ角度調整可能な角度調整手段と、
前記ターゲットで反射されたレーザービームの反射光の位置情報を認識する受光部と、
前記ターゲットで反射されたレーザービームの反射光を受光し、前記レーザー光源の照射するレーザービームと受光した反射光とから前記ターゲットまでの距離を測定する測定手段と、
前記受光部で認識された位置情報から、可変ゲイン設定部に設定されたゲインに基づいて、前記角度調整手段による角度を制御する制御手段と、
前記測定手段で測定した距離に反比例したゲインを求めて前記可変ゲイン設定部に設定するゲイン指令手段とを有することを特徴とするレーザートラッカー。
【請求項2】
請求項1において、前記可変ゲイン設定部はプログラマブルゲインアンプであり、前記ゲイン指令手段は、前記プログラマブルゲインアンプに、求めたゲインを指令するものとしたレーザートラッカー。
【請求項3】
請求項1において、前記可変ゲイン設定部は乗算器であり、制御手段は、ゲインに相当する電圧を前記乗算器を用いて信号に乗じたものとしたレーザートラッカー。
【請求項4】
請求項1において、前記可変ゲイン設定部は、マイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、およびプログラマブルロジックコントローラのいずれか一つと、ADコンバータと、DAコンバータとを含み、制御手段は、ADコンバータから入力した信号に、適切なゲインを持たせて、DAコンバータで出力するものとしたレーザートラッカー。
【請求項5】
請求項1において、前記可変ゲイン設定部は、ゲインを変更可能なスイッチであるレーザートラッカー。
【請求項6】
請求項1において、前記制御手段は、前記角度調整手段の各軸の角度を検出する角度検出手段と、この角度検出手段の検出値を用いて前記角度調整手段を制御する各軸のフィードバック制御部を有し、前記可変ゲイン設定部は、距離によるゲインの変更に加えて、前記各軸のフィードバック制御部のゲインを調整するレーザートラッカー。
【請求項7】
請求項6において、前記制御手段は、サーボ系の状態を観察してゲインを自動的に変更可能としたレーザートラッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−103227(P2012−103227A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254497(P2010−254497)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (8,941)
【Fターム(参考)】