説明

レーザーマーク付きパチンコ球、及びそのマーキング装置

【課題】 他店からの球の持ち込みや球の改造などの不正な遊戯使用や、爆弾などに仕込んで使う犯罪への使用、使用済みの球の不法投棄等の多くの問題が発生した場合において、その発生原因となったパチンコ球の出所が確実に判断できるパチンコ球を提供すること。
【解決手段】 パチンコ球1表面にレーザー光線を照射してユーザー名を特定する文字、図形、記号などを刻印してある。パチンコ球1表面にレーザー光線を照射してユーザー名を特定する二次元コード又はバーコードを刻印してある。パチンコ球へのユーザー名などのマーキングを行うレーザー照射装置と、パチンコ球をレーザー照射装置からのレーザー光線が照射されるレーザー照射位置へと移送するとともに、一定期間、当該レーザー照射位置に静止させる移送・静止手段とからなるマーキング装置によって、パチンコ球1に刻印する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザーマーク付きパチンコ球、及びそのマーキング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコは非常に人気のある遊戯の一つとなってきており、老若男女にかかわらず多くの人が遊戯を楽しんでいる。
【0003】
パチンコを楽しむ場合、ホールで購入したパチンコ球(貸し球)を使用するが、市場に流通しているパチンコ球のうち半数は無地であり、他の半数はそれぞれのホールのロゴマークを刻印したものとしてある(例えば、特許文献1)。なお、上記ロゴマーク入りのパチンコ球を使用するのは、自社店のパチンコ球と他社店のそれとが容易に見分けがつくようにするためである。
【0004】
ところで、近年、パチンコ球に関して、他店からの球の持ち込みや球の改造などの不正な遊戯使用や、爆弾などに仕込んで使う犯罪への使用、使用済みの球の不法投棄といった多くの問題が発生しており、これら問題解決のため、出所などの情報についてのトレーサアビリティ(追跡可能性)を高める要望がでてきている。
【0005】
しかしながら、従来は、型材の押し付けにより原球にマークを形成するようにしていたので熱処理後のパチンコ球には刻印を入れることは不可能であり、また、パチンコ球毎(又は少数のパチンコのロット毎)に相違する出所管理用のナンバリング等を入れるのは実質的に不可能であった。
【特許文献1】特開平8−218150
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明では、出所管理をすることができるレーザーマーク付きパチンコ球、及びそのマーキング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球は、パチンコ球表面にレーザー光線を照射してユーザー名を特定する二次元コード又はバーコードを刻印してある。
【0008】
(請求項2記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球は、パチンコ球表面にレーザー光線を照射してユーザー名を特定する文字、図形又は記号を刻印してある。
(請求項3記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球は、上記請求項1記載の発明に関し、二次元コードは、製造年月日の情報を備えたものである。
【0009】
(請求項4記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球は、上記請求項2記載の発明に関し、製造年月日を特定する文字、図形又は記号についても刻印してある。
【0010】
(請求項5記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球は、上記請求項1乃至4のいずれかに記載の発明に関し、レーザー光線の媒質は、Nd:YVO4、Nd:YAG、又はNd:CO2である。
【0011】
(請求項6記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置は、上記請求項1乃至5のいずれかに記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置に関し、パチンコ球へのユーザー名などのマーキングを行うレーザー照射装置と、パチンコ球をレーザー照射装置からのレーザー光線が照射されるレーザー照射位置へと移送するとともに、一定期間、当該レーザー照射位置に静止させる移送・静止手段とからなる。
【0012】
(請求項7記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置は、上記請求項6記載の発明に関し、さらにマーキング後のパチンコ球をレーザー照射位置から排出する排出レールを有し、前記移送・静止手段が、パチンコ球を前記レーザー照射位置へと移送するレール部と、昇降可能なストッパーとの組み合わせからなり、前記ストッパーの昇降操作により、レール部によって移送されてきたパチンコ球をレーザー照射位置に静止させるとともに、マーキング後のパチンコ球を排出レールから排出させるようにしている。
【0013】
(請求項8記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置は、上記請求項7記載の発明に関し、前記レール部と排出レールとが傾斜して設けられ、パチンコ球がその傾斜に沿って転がるようにしている。
【0014】
(請求項9記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置は、上記請求項8記載の発明に関し、前記排出レールが、その上流端が前記レール部の下流端よりも高い位置に設けられ、レール部の傾斜に沿って転がってきたパチンコ球を、上昇位置にあるストッパーの側面に当接させてレーザー照射位置において静止させ、この状態で1次マーキングを行い、1次マーキング後、ストッパーを下降させてパチンコ球をストッパーの上面に移動させ、この状態で2次マーキングを行い、2次マーキング後、再度ストッパーを上昇させてパチンコ球を排出レールから排出するようにしている。
【0015】
(請求項10記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置は、上記請求項9記載の発明に関し、当該マーキング装置が、前記レール部の上流端に、マーキング前のパチンコ球を収容するパチンコ球供給体を有している。
【0016】
(請求項11記載の発明)
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置は、上記請求項1乃至5のいずれかに記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置に関し、前記移送・静止手段が、パチンコ球を前記レーザー照射位置へと移送する回転体からなり、前記回転体はモータによって断続的に回転するものとして、パチンコ球が、一定期間、レーザー照射部において静止するようにしている。
【発明の効果】
【0017】
この発明のレーザーマーク付きパチンコ球によると、他店からの球の持ち込みや球の改造などの不正な遊戯使用や、爆弾などに仕込んで使う犯罪への使用、使用済みの球の不法投棄といった多くの問題が発生した場合において、その発生原因となったパチンコ球の出所を確実にトレース(追跡)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下にこの発明のレーザーマーク付きパチンコ球、及びそのマーキング装置を実施するための最良の形態としての実施例について詳細に説明する。
【0019】
図1はこの発明のレーザーマーク付きパチンコ球の正面図、図2はこの発明の実施例1のマーキング装置の部分断面正面図、図3はこの発明の実施例1のマーキング装置のマーキング工程を説明した一部断面正面図、図4は図2のマーキング装置の部分断面側面図、図5は図2のマーキング装置の他の部分断面側面図、図6はこの発明の実施例2のマーキング装置の斜視図、図7はこの発明の実施例2のマーキング装置の部分断面側面図を示している。
【0020】
(このパチンコ球1について)
このパチンコ球1は、図1に示すように、球面上にレーザー光線を照射してユーザー名(支店名を含む)を特定する文字及び図柄からなるロゴマーク2が刻印されている。
【0021】
上記ロゴマーク2は、図1に示すように、その幅はパチンコ球の球径の1/4程度の範囲を占めており、上下の線相互間に「パチンコ ○○○ホール」と刻印したものとしてある。したがって、店員からすれば自社店のパチンコ球と他社店のそれとが容易に見分けがつくことになり、計数器内に投入された状態において比較的容易に他店のパチンコ球を取り除くことができるようになっている。
【0022】
(このレーザーマーク付きパチンコ球1の製造方法について)
このレーザーマーク付きパチンコ球1は、大まかにいうと以下の(1)〜(7)の工程を経て製造される(一例)。
(1)棒材をヘッダーマシンにより、球形へと加工するヘッダー工程
(2)荒・中・仕上げの3工程で原球の時点から球精度を高めるフラッシング工程
(3)フラッシング工程が終了した球体の表面を焼き入れる焼き入れ工程
(4)メッキの耐久性を上げるべく鏡面研磨するバレル研磨工程
(5)ユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2を刻印する刻印(マーキング)工程
(6)球体の表面にメッキを施すメッキ工程
(7)検品工程
【0023】
ここで、上記マーキング工程では、レーザー媒質をNd:YAGとしたレーザーマーカー〔例えば、株式会社キーエンス:完全空冷方式YAGレーザーマーカー〕を使用することによりロゴマーク2が刻印できる。この手法によると、パチンコ球毎、ロット毎に相違する出所管理用あるいは識別用のロゴマーク2を入れることができる。さらに、この手法によると、非接触のため刻印印字がいらず、熱処理後の加工ができるので従来の方法より納期短縮ができ、また、刻印を打ち込むという方法を使用しないので球の真球度に対して悪影響を与えるようなことがない、というメリットがある。
【0024】
(実施例1)
具体的には、上記マーキング工程では、図2に示されるようなマーキング装置3によって、パチンコ球1へのユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2の刻印(マーキング)が行われる。本実施例におけるマーキング装置3は、上記バレル研磨工程後のパチンコ球1を多数収容するパチンコ球供給体4と、パチンコ球1の表面にレーザー光線Rを照射してユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2を刻印するレーザー照射装置5と、パチンコ球供給体4から供給されるパチンコ球1をレーザー照射装置5からのレーザー光線Rが照射されるレーザー照射位置Sへと移送するレール部6と、パチンコ球1を、一定期間、レーザー照射位置Sにおいて静止させるストッパー7と、マーキング後のパチンコ球をレーザー照射位置Sから排出する排出レール8とからなる。ここで、パチンコ球1へのロゴマーク2などの刻印は、パチンコ球1がストッパー7によってレーザー照射位置Sに静止させられている間に行われる。
【0025】
レーザー照射装置5として、本実施例では、上述した株式会社キーエンス社の完全空冷方式YAGレーザーマーカーを使用しており、図2乃至5において、レーザー照射装置5から延びる複数の矢印はレーザー光線Rを表している。また、このレーザー光線Rが照射される範囲をレーザー照射位置Sとしている(図3参照)。なお、レーザー照射装置5は、レーザー照射位置Sにある複数のパチンコ球1に対して一度に複数のレーザー光線Rを照射できるものや、レーザー光線R自体は一本のみでその光線が順次移動してレーザー照射位置Sにある複数のパチンコ球1を照射するようなものでもよい。
【0026】
レール部6は、本実施例において、一端がパチンコ球供給体4に接続された8列のレールからなるものとし、各レール間を7個のパチンコ球1が移送されるものとなっている(図4参照)。また、レール部6は、図2および図3に示されるように、正面視において右下がりに傾斜しており、パチンコ球供給体4から供給されたパチンコ球1が、この傾斜に沿ってレール上を自動的に転がり落ちるものとなっている。さらに、レーザー照射装置5からのレーザー光線Rが照射される範囲(レーザー照射位置S)にあるレール部6を、昇降可能な昇降レール6aとし、後述するように、昇降レール6aを上昇位置へと操作して、レーザー照射位置Sにあるマーキング後の複数のパチンコ球1を一度に排出レール8から排出させるものとしている。昇降レール6aは、図4に示すように、その底部に設けられた軸部を例えばシリンダなどを用いて上下動させることにより、昇降可能としている。
【0027】
レール部6には、さらに、図5に示すように、各レール間において昇降可能な複数の棒状部材からなるシャッター9が設けられ、シャッター9の上昇時には、所定数以上のパチンコ球1がレーザー照射位置Sへと進入することを防止している(図3(c)参照)。シャッター9の複数の棒状部材は、その下端部において連結体9aによって接続され、連結体9aの底面に設けられた軸部を例えばシリンダなどを用いて上下動させることにより、昇降可能としている。
【0028】
ストッパー7は、図2および図3に示されるように、レール部6(昇降レール6a)の下流端部に昇降可能に設置され、上昇時には、レール部6の傾斜に沿って転がってきたパチンコ球1を受け止めるストッパーの役割を果たし、下降時には、最下流側にあるパチンコ球1がストッパー7の上部に移動できるものとしている(図3(c)参照)。なお、ストッパー7のパチンコ球1との接触部を、図2や図3に示されるような断面く字状に形成することにより、ストッパー7の下降に伴うパチンコ球1のストッパー7の上面への移動が容易になるものとしている。ここで、ストッパー7は、パチンコ球1が当接した際にパチンコ球1への傷やへこみを防止するため、ゴムなどの弾性部材からなるものとしてもよい。
【0029】
排出レール8は、レール部6と同様に傾斜した8列のレールからなり、図2および図3に示されるように、その上流端(ストッパー7との係合端部)がレール部7(昇降レール6a)の下流端よりも高い位置にくるように、段差を設けて設置される。この段差により、ストッパー7が下降状態にある場合にも、パチンコ球1が排出レール8から排出されてしまうことを防止する(図3(c)参照)。
【0030】
次に、マーキング装置3によるマーキング工程の流れについて説明すると、先ず、パチンコ球供給体4から供給されたパチンコ球1は、図3(a)に示されるように、レール部6上をその傾斜に沿って転がり落ちる。その後、パチンコ球1は、図3(b)に示されるように、ストッパー7に突き当たってレーザー照射位置Sにおいて静止することとなり、レーザー照射位置Sには所定数(本実施例においては7個×7個の合計49個)のパチンコ球1がセットされる。この状態で、図3(b)に示されるように、レーザー照射装置5からレーザー光線Rを照射することにより、合計49個のパチンコ球1の上面部分に一度にユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2が刻印される(1次マーキング)。
【0031】
1次マーキング後、図3(c)に示されるように、シャッター9を上昇させるとともに、ストッパー7を下降させることにより、レーザー照射位置Sへのマーキング前のパチンコ球1の進入を防止しつつ、レーザー照射位置Sにあるパチンコ球1を半回転させる。つまり、ストッパー7を下降させると、ストッパー7の側面に当接していたパチンコ球1がストッパー7の上面に乗っかる態様で回転移動(半回転)するため、その他のパチンコ球1も同様に回転移動することとなる。ここで、排出レール8は、前述したように、レール部6(昇降レール6a)の下流端部よりも高い位置に段差を設けて設置されているため、ストッパー7の上面に移動したパチンコ球1が排出レール8から排出されてしまうことはない。この状態で、図3(c)に示されるように、レーザー照射装置5から2回目のレーザー光線Rを照射することにより、1次マーキングとは180°反対のパチンコ球表面にユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2を刻印することができる(2次マーキング)。なお、2次マーキングが施される場所は、ストッパー7の幅7aによって決まる。本実施例では、ストッパー7の幅7aをパチンコ球1の半周分としているため、ストッパー7の降下によりパチンコ球1が半回転するので、1次マーキングとは180°反対の表面に2次マーキングが施される。したがって、ストッパー7の幅7aを適宜変更することにより、2次マーキングの刻印箇所を自由に変更できる。
【0032】
2次マーキング後、図3(d)に示されるように、排出レール8の段差分、昇降レール6aとストッパー7を上昇させることにより、マーキング後のパチンコ球1を排出レール8へと送り出して回収できる。そして、レーザー照射位置Sにある全てのパチンコ球1を排出した後は、上昇位置にあるシャッター9及び昇降レール6aを下降させることにより、図3(a)に示される状態に戻るため、マーキング前のパチンコ球1が新たにレーザー照射位置Sにセットされることとなる。なお、パチンコ球1へのマーキング操作や、昇降レール6a、ストッパー7、シャッター9の各部材の昇降操作などは、コントローラ10によって行われるものとしている。
【0033】
上述したマーキング装置3では、パチンコ球供給体4にパチンコ球1を供給するだけで、一連の流れにおいて自動的にパチンコ球表面へのユーザー名を特定するロゴマーク2の刻印からマーキング後のパチンコ球1の回収までを行うことができる。また、レーザー照射位置Sにある複数のパチンコ球1に対し一度にまとめて刻印を施すことができるため、作業効率が飛躍的に向上する。さらに、上記マーキング装置3では、一連の流れにおいてパチンコ球1の両面に刻印を施すことができる。両面に刻印を施したものは、片面のみの場合と比較して、自社のパチンコ球か他社の、あるいは不正なパチンコ球かの目視による確認がより容易となる。
【0034】
(実施例2)
なお、上記マーキング工程では、図6および図7に示されるようなマーキング装置3´によって、パチンコ球1へのユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2の刻印(マーキング)が行われるものとしてもよい。本実施例におけるマーキング装置3´は、上記バレル研磨工程後のパチンコ球1を多数収容するパチンコ球供給体4と、パチンコ球1の表面にレーザー光線Rを照射してユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2を刻印するレーザー照射装置5と、パチンコ球供給体4から供給されるパチンコ球1をレーザー照射装置5からのレーザー光線Rが照射されるレーザー照射位置Sへと移送するとともに、レーザー照射位置Sにおいて一定期間静止させる回転装置11とからなる。なお、上記実施例1と同じ部材については、同じ参照番号を付している。
【0035】
回転装置11は、複数の保持孔Hを有する回転体11aと、その下部に設けられた支持板11bと、本体部11cとからなり、回転体11aは、例えばステッピングモータMによって所定間隔に断続的に回転するものとしている。保持孔Hはパチンコ球1よりも大きく形成され、パチンコ球供給体4から保持孔Hへと供給されたパチンコ球1は、支持板11bの上に置かれる。このとき、支持板11b上に置かれたパチンコ球1の上部が保持孔Hから突出するように、回転体11aと支持板11bとの距離は調節されている。これは、パチンコ球1の上部を保持孔Hから突出させることにより、レーザー照射装置5からのレーザー光線Rがパチンコ球表面に照射され易くするためである。
【0036】
次に、マーキング装置3´によるマーキング工程の流れについて説明すると、図6および図7に示されるように、先ずパチンコ球供給体4に収容されたパチンコ球1が、1個ずつ回転体11aの保持孔Hに保持される態様で支持板11b上に落とされる。このとき、回転体11aは、ステッピングモータMによって断続的に反時計回りに回転するよう設定されているため、保持孔Hに保持されたパチンコ球1は支持板11b上を反時計回りに摺動移動あるいは回転移動する。その後、レーザー照射位置Sまで回転移送されたパチンコ球1は、回転体11aが静止状態にある間にレーザー照射装置5からのレーザー光線Rによってその表面にユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2が刻印(マーキング)される。マーキング後のパチンコ球1は、同図に示されるように、支持板11bに設けられた排出孔12を介して排出、回収される。なお、回転装置11は、本体部11cに設けられた電源などの各種スイッチを有するコントローラ部の操作により、ステッピングモータMの回転方向や回転間隔を制御可能としている。
【0037】
上記したようなマーキング装置3´では、パチンコ球供給体4にパチンコ球1を供給するだけで、一連の流れにおいて自動的にパチンコ球表面へのユーザー名を特定するロゴマーク2の刻印からマーキング後のパチンコ球1の回収までを行うことができる。また、マーキング装置3´は装置全体が小型であり、構造が比較的単純であるため、安価に製造可能である。
(このパチンコ球1の優れた点について)
このパチンコ球1には、ユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマーク2が刻印されているから、当該パチンコ球1の出所(ユーザー名(支店名を含む))が確実に且つ迅速に調べがつくことになる。
【0038】
したがって、他店からの球の持ち込みや球の改造などの不正な遊戯使用や、爆弾などに仕込んで使う犯罪への使用、使用済みの球の不法投棄等の多くの問題が発生した場合において、トレーサアビリティ効果により事件の解決が素早くできる可能性が高くなる。
(その他について)
上記実施例1では、レール部6を複数のレールからなるものとしているが、1本のレールからなるものでもよく、またレーザー照射位置Sの範囲を昇降可能な昇降レール6aとしているが、これに限らず、レール部6全体が昇降可能なものとしてもよい。あるいはレール部6が昇降機能を有さないものであっても、ストッパー7の昇降操作によってパチンコ球1を排出レール8から排出するようなものや、排出レール8を昇降可能としてもよい。
【0039】
また、上記実施例では、ユーザー名(支店名を含む)を特定する文字及び図柄からなるロゴマーク2を刻印してあるが、これに限られず、ユーザー名(支店名を含む)を特定する複数の数字や、数字以外の文字(平仮名、外国語の文字等)あるいは記号であってもよい。なお、レーザー照射によれば、従来の型材の押し付けでは難しかった比較的小さいサイズのマークを刻印でき、ユーザー名(支店名を含む)を特定する数字などの印幅を0.04mm程度とすると共に一個の数字の大きさを約0.2〜0.3mm程度にできる。なお、数字の桁数は、ユーザー名(支店名を含む)が特定できるものであればよいが、製造年月日が特定できる程度の桁数を有することが好ましい。また、この数字は一個一個が相互に相違するものとしてもよいし、また、数百個、数千個を一ロットとして数字を変えるようにしてもよい。
【0040】
さらに、ユーザー名(支店名を含む)を特定する文字及び図柄からなるロゴマーク2に変えてバーコード又は二次元コード(スタック型二次元コード:従来のバーコードを縦に積み上げたもの、マトリクス型二次元コード:QRコード/Data Matrix/Veri Code)の刻印とすることができる。このような二次元コードの読み取りについては読取器(例えば株式会社キーエンス:TL800)を使用すればよい。
【0041】
上記実施例では、ユーザー名(支店名を含む)を特定する複数の数字3の刻印手段を、レーザー媒質をNd:YAGとしたレーザーマーカーに変えて、レーザー媒質をNd:YVO4としたレーザーマーカー、あるいはNd:CO2としたレーザーマーカーとしてもよい。
【0042】
また、既知の虹色発色加工法を利用して、パチンコ球1に施されたロゴマーク2などの刻印を虹色発色させるようにしてもよい。これにより、蛍光灯などの光でロゴマーク2が照明されると、反射光沢の色合いが見る方向によって虹模様に変化し、加飾効果が向上すると共に、店員からすれば自社店のパチンコ球と他社店のそれとが容易に見分けがつくことになり、計数器内に投入された状態において比較的容易に他店のパチンコ球を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施例のパチンコ球にユーザー名(支店名を含む)を特定するロゴマークを入れた状態を示す正面図。
【図2】この発明の実施例1のマーキング装置の部分断面正面図。
【図3】この発明の実施例1のマーキング装置のマーキング工程を説明した一部断面正面図。
【図4】図2のマーキング装置の部分断面側面図。
【図5】図2のマーキング装置の他の部分断面側面図。
【図6】この発明の実施例2のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置5の斜視図。
【図7】この発明の実施例2のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置5の部分断面側面図。
【符号の説明】
【0044】
H 保持孔
R レーザー光線
S レーザー照射位置
1 パチンコ球
2 ロゴマーク
3 マーキング装置
4 パチンコ球供給体
5 レーザー照射装置
6 レール部
7 ストッパー
8 排出レール
9 シャッター
11 回転装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ球表面にレーザー光線を照射してユーザー名を特定する二次元コード又はバーコードを刻印してあることを特徴とするレーザーマーク付きパチンコ球。
【請求項2】
パチンコ球表面にレーザー光線を照射してユーザー名を特定する文字、図形又は記号を刻印してあることを特徴とするレーザーマーク付きパチンコ球。
【請求項3】
二次元コードは、製造年月日の情報を備えたものであることを特徴とする請求項1記載のレーザーマーク付きパチンコ球。
【請求項4】
製造年月日を特定する文字、図形又は記号についても刻印してあることを特徴とする請求項2記載のレーザーマーク付きパチンコ球。
【請求項5】
レーザー光線の媒質は、Nd:YVO4、Nd:YAG、又はNd:CO2であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のレーザーマーク付きパチンコ球。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置であって、
パチンコ球へのユーザー名などのマーキングを行うレーザー照射装置と、
パチンコ球をレーザー照射装置からのレーザー光線が照射されるレーザー照射位置へと移送するとともに、一定期間、当該レーザー照射位置に静止させる移送・静止手段と
からなるマーキング装置。
【請求項7】
請求項6記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置であって、
さらにマーキング後のパチンコ球をレーザー照射位置から排出する排出レールを有し、
前記移送・静止手段が、パチンコ球を前記レーザー照射位置へと移送するレール部と、昇降可能なストッパーとの組み合わせからなり、
前記ストッパーの昇降操作により、レール部によって移送されてきたパチンコ球をレーザー照射位置に静止させるとともに、マーキング後のパチンコ球を排出レールから排出させるようにしたことを特徴とするマーキング装置。
【請求項8】
請求項7記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置であって、
前記レール部と排出レールとが傾斜して設けられ、パチンコ球がその傾斜に沿って転がるようにしたことを特徴とするマーキング装置。
【請求項9】
請求項8記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置であって、
前記排出レールが、その上流端が前記レール部の下流端よりも高い位置に設けられ、
レール部の傾斜に沿って転がってきたパチンコ球を、上昇位置にあるストッパーの側面に当接させてレーザー照射位置において静止させ、この状態で1次マーキングを行い、
1次マーキング後、ストッパーを下降させてパチンコ球をストッパーの上面に移動させ、この状態で2次マーキングを行い、
2次マーキング後、再度ストッパーを上昇させてパチンコ球を排出レールから排出するようにしたことを特徴とするマーキング装置。
【請求項10】
請求項9記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置であって、
当該マーキング装置が、前記レール部の上流端に、マーキング前のパチンコ球を収容するパチンコ球供給体を有している
ことを特徴とするレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置。
【請求項11】
請求項6記載のレーザーマーク付きパチンコ球のマーキング装置であって、
前記移送・静止手段が、パチンコ球を前記レーザー照射位置へと移送する回転体からなり、
前記回転体はモータによって断続的に回転するものとして、パチンコ球が、一定期間、レーザー照射部において静止するようにしたことを特徴とするマーキング装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−137044(P2008−137044A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326546(P2006−326546)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(305026448)有限会社富士工業 (5)
【Fターム(参考)】