説明

レーザー光源装置、画像表示装置

【課題】駆動系の複雑化やエネルギー効率の低下を招くことなく、スペックルノイズを低減することが可能なレーザー光源装置を提供する。
【解決手段】本発明のレーザー光源装置1は、基本波長の光を発する活性層14と、活性層14から入射した基本波長の光を反射させて折り返す第1反射部12と、第1反射部12とともにレーザー発振を生じさせる共振器を構成し、活性層14から入射した基本波長の光を反射させて折り返す第2反射部17と、活性層14の面方向において互いに独立した複数の発光領域に、活性層14に入射する光を分割して集光する集光部16と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光源装置、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクター等の画像表示装置の分野において、高出力な光が得られる照明光源としてレーザー光源が期待されている。レーザー光源は、高圧水銀ランプに比べて色再現性に優れること、瞬時点灯が容易であること、長寿命であること等の長所を有している。一方で、レーザー光源を用いるとレーザー光の可干渉性に起因してスペックルノイズを生じやすくなる。スペックルノイズを生じると表示された画像にギラツキ感を生じ、画像品質が低下してしまう。
【0003】
スペックルノイズを低減する手法の1つとして、非特許文献1に提案されている手法が挙げられる。非特許文献1は、パルス駆動される面発光型レーザー素子に関するものである。この面発光レーザー素子は、活性層の面方向に複数の発光領域を含んでいる。発光領域ごとにレーザー発振を生じるようにパルス駆動の周期が調整されている。複数の発光領域が互いに独立した複数の発光部として機能し、面発光型レーザー素子から射出されるレーザー光の全体としての可干渉性が低下する。これにより、スペックルノイズが低減されると考えられるが、一方で面発光型レーザー素子をマイクロ秒程度の周期で駆動する必要があるため、駆動回路が複雑になるおそれがある。
【0004】
高周波数でパルス駆動を行わなくともスペックルノイズを低減可能な手法の1つとして、特許文献1に提案されている手法が挙げられる。特許文献1は、面発光型垂直共振器レーザーに関するものである。特許文献1の面発光型垂直共振器レーザーには、共振器内に対象物を含んだ層が設けられている。この層は、対象物を含んでいることにより、反射率と電流注入と利得との少なくとも1以上が面内で不均一になっている。これにより、共振器内の複数の領域でレーザー発振が生じ、非特許文献1と同様の理由によりスペックルノイズが低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2001−521291号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】‘Low−speckle Laser Projection with a Broad−area VCSEL in the Incoherent Emission Regime’,Guy Verschaffelt et al.,SID 08 DIGEST,p2098−2101(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術によれば、駆動回路を複雑にすることなくスペックルノイズが低減可能になると考えられるが、エネルギー効率が低下するおそれがある。
【0008】
特許文献1の技術において、対象物として反射率あるいは利得を変化させるものを採用すると、反射率あるいは利得が異なる部分を経由した光は、レーザー発振の条件を満たさなくなる。したがって、実質的に得られるレーザー光の強度が低下して光の利用効率が低くなり、エネルギー効率が低下してしまう。
【0009】
また、特許文献1の技術において対象物として電流注入を変化させるものを採用すると、抵抗値が変化した部分で発熱を生じて発生した熱エネルギーの分だけエネルギー損失が大きくなり、エネルギー効率が低下してしまう。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑み成されたものであって、駆動系の複雑化やエネルギー効率の低下を招くことなく、スペックルノイズを低減することが可能なレーザー光源装置を提供することを目的の1つとする。また、シンプルな構成でありながら低消費電力であり、しかも高品質な画像が得られる画像表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のレーザー光源装置は、基本波長の光を発する活性層と、前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第1反射部と、前記第1反射部とともにレーザー発振を生じさせる共振器を構成し、前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第2反射部と、前記活性層の面方向において互いに独立した複数の発光領域に、前記活性層に入射する光を分割して集光する集光部と、を含んでいることを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、活性層に入射する光が、集光部により活性層の面方向における複数の発光領域に集光され、複数の発光領域の各々で利得が高くなる。したがって、複数の発光領域で互いに独立してレーザー発振が生じ、互いに独立した複数のレーザー光が得られる。よって、複数のレーザー光の全体としての可干渉性が低くなり、スペックルノイズが格段に低減される。
【0013】
前記の構成によれば、発光領域ごとにパルス駆動の周波数を調整しなくともスペックルノイズを低減することができるので、駆動系をシンプルな構成にすることができる。また、活性層への入射光を発光領域に集光することにより分割しているので、共振器内の反射率を領域ごとに異ならせることにより入射光を分割する場合に比べて、レーザー発振に寄与しない光を減らすことができる。したがって、光の利用効率がほとんど低下しなくなり、エネルギー効率の低下が回避される。このように本発明のレーザー光源装置は、駆動系の複雑化やエネルギー効率の低下を招くことなく、スペックルノイズを低減することが可能なものになっている。
【0014】
また、前記集光部は、光を集光する複数のレンズ部を有するレンズアレイであってもよい。この場合には、前記レンズアレイは、光が入射する面内で光学的距離が部分的に異なるレンズ層により構成されていてもよい。
【0015】
このようにすれば、レンズアレイに入射した光が複数のレンズ部ごとに集光され、活性層に入射する光が活性層の面方向における複数の発光領域に分かれて入射する。また、レンズアレイがレンズ層により構成されていれば、レンズアレイに入射する光を光学的距離の違いにより集光させることができる。レンズ層の部分的な光学的距離は、この部分におけるレンズ層の厚みに屈折率を掛けたものであるので、レンズ層の厚みや屈折率により調整可能である。したがって、レンズ層の厚み分布のみを調整することによりレンズアレイを構成する場合に比べて、レンズアレイの厚み分布、すなわちレンズ層の表面形状に対する制約が緩やかになる。
【0016】
また、前記集光部は、入射する光に対して凹となる複数の反射面を含んでおり、前記第2反射部と一体に形成されている構成にすることもできる。
このようにすれば、第2反射部に入射した光が複数の反射面で反射するとともに集光され、活性層に入射する光が活性層の面方向における複数の発光領域に分かれて入射する。また、活性層に入射する光を反射により集光させるので、透過により集光させる場合に比べて光の損失が低減される。
【0017】
本発明のレーザー光源装置は、基本波長の光を発する活性層と、前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第1反射部と、前記第1反射部とともにレーザー発振を生じさせる共振器を構成し、前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第2反射部と、前記活性層に対して光を生じさせるキャリアを供給する一対の電極と、を含み、前記一対の電極において前記活性層にキャリアを供給する電極面が、前記活性層の面方向において互いに独立した複数の発光領域に前記キャリアが分かれて供給されるように、複数の電極領域に区画されていることを特徴とする。
【0018】
このようにすれば、キャリアが活性層における複数の発光領域に分かれて供給され、複数の発光領域において利得が高くなる。したがって、複数の発光領域で互いに独立してレーザー発振が生じ、互いに独立した複数のレーザー光が得られる。よって、複数のレーザー光の全体としての可干渉性が低くなり、スペックルノイズが格段に低減される。
【0019】
前記の構成によれば、発光領域ごとにパルス駆動の周波数を調整しなくともスペックルノイズを低減することができるので、駆動系をシンプルな構成にすることができる。また、電極面が複数の電極領域に区画されていることによりキャリアが複数の発光領域に分かれて供給されるので、活性層の複数の領域から発光させるために活性層の面方向の抵抗値を不均一にする必要がない。したがって、抵抗値が変化する部分に発熱を生じる不都合を回避することができ、発熱によるエネルギーの損失を低減することができる。このように本発明のレーザー光源装置は、駆動系の複雑化やエネルギー効率の低下を招くことなく、スペックルノイズを低減することが可能になっている。
【0020】
また、前記第1反射部と前記第2反射部との間の光路に、前記基本波長の光を変換波長の光に変換する波長変換素子が配置されていてもよい。
このようにすれば、活性層から直接得られない波長の光を取り出すことが可能になり、所望の波長の光が得られるレーザー光源装置になる。
【0021】
本発明の画像表示装置は、前記の本発明のレーザー光源装置と、前記レーザー光源装置から射出された光を変調する変調装置と、前記変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を含んでいることを特徴とする。
本発明のレーザー光源装置によれば、駆動系の複雑化やエネルギー効率の低下を招くことなくスペックルノイズを低減することができるので、本発明の画像表示装置はシンプルな構成でありながら低消費電力であり、しかも高品質の画像が得られるものになっている。
【0022】
本発明の画像表示装置は、前記の本発明のレーザー光源装置と、前記レーザー光源装置から射出される光を変調する変調装置と、前記変調装置により変調された光を走査させる走査光学系と、を含んでいることを特徴とする。
本発明のレーザー光源装置によれば、駆動系の複雑化やエネルギー効率の低下を招くことなくスペックルノイズを低減することができるので、本発明の画像表示装置はシンプルな構成でありながら低消費電力であり、しかも高品質の画像が得られるものになっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の概略構成を示す、(a)は斜視図、(b)は側断面図である。
【図2】レンズ層の平面構成を示す図である。
【図3】(a)、(b)は、レンズ層16のレンズ作用を模式的に示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、レーザー発振を生じる仕組みを示す説明図である。
【図5】(a)〜(d)は、それぞれレンズ層の変形例1〜4を示す図である。
【図6】第2実施形態の構成を示す、(a)は側断面図、(b)は説明図である。
【図7】第3実施形態の構成を示す、(a)は側断面図、(b)は説明図である。
【図8】第4実施形態の構成を示す、(a)は側断面図、(b)は説明図である。
【図9】第5実施形態の構成を示す模式図である。
【図10】(a)は第6実施形態の模式構成図、(b)は電極面の平面図である。
【図11】画像表示装置の実施形態を示す模式構成図である。
【図12】図11と異なる画像表示装置の実施形態を示す模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。説明に用いる図面において、特徴的な構造を分かりやすく示すために、図面中の構造はその寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせて示す場合がある。また、以下の実施形態において、同様の構成要素には同じ符号を付しており、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0025】
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態のレーザー光源装置1の概略構成を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)のB−B’線矢視断面図である。図1(a)、(b)に示すように、レーザー光源装置1は、例えばGaAs等の半導体材料からなる半導体基板11を基体として製造されている。半導体基板11の一方の面に当接して第1電極10が設けられている。半導体基板11の他方の面に、第1反射部12、第1スペーサ層13、活性層14、第2スペーサ層15、レンズ層16、第2反射部17、及び第2電極19がこの順に積層されている。第1反射部12と第2電極19との間に配置された各層の側面に、絶縁層18が設けられている。レーザー光源装置1は、概略すると以下のように動作する。
【0026】
第1電極10と第2電極19との間に駆動電圧が印加されると、活性層14に電気エネルギーが供給され、活性層14において自然放出による基本波長の光が生じる。活性層14で生じた基本波長の光は、第1反射部12と第2反射部17とにより構成される共振器(内部共振器)内を往復する。共振器内において基本波長の光は、レンズ層16により複数の光束に分割されて活性層に再度入射する。活性層14において基本波長の光が再度入射した領域には、誘導放出による基本波長の光が生じてレーザー発振が生じる。レンズ層16により分割された複数の光束に対応して複数のレーザー光が生じ、複数のレーザー光は第2電極19側から射出される。以下、レーザー光源装置1の各構成要素について説明する。
【0027】
第1電極10、第2電極19は、適宜選択される導電材料により形成される導電膜からなる。第2電極19は、第2反射部17の面方向の周縁部と、面方向に直交する側面とに連続して、シリコン酸化物(SiO)等の絶縁材料からなる絶縁層18上に形成されている。絶縁層18には、第2反射部17の一部を露出させる開口が設けられている。第2電極19は、絶縁層18の開口の内側にまで延設されており、絶縁層18の開口内に露出した第2反射部17と当接している。第2電極19には、第2反射部17の一部を露出させる開口が設けられており、この開口を通してレーザー光源装置1の外部にレーザー光が取り出される。
【0028】
本実施形態の第1反射部12、第2反射部17は、いずれも多層膜反射層により構成されている。多層膜反射層は、例えば屈折率が互いに異なる2種類の膜が交互に積層された構造になっている。第1反射部12、第2反射部17は、いずれも波長選択性を有しており、基本波長の光を反射させるようになっている。第1反射部12、第2反射部17は、共振器内にレーザー発振を生じるように反射率が設定されている。第1反射部12、第2反射部17の反射率については、多層膜反射層を構成する2種類の膜のペア数により調整可能である。例えば、ペア数を増やすほど、多層膜反射層における反射率が高くなる。
【0029】
第1スペーサ層13、第2スペーサ層15は、それぞれ単層の半導体膜や複数層の半導体膜が積層された積層体により構成される。半導体膜は、例えばAlGa(1−x)As(ただし、0<x<1)からなるものである。アルミニウム(Al)とガリウム(Ga)の比率については、半導体基板11の材質や活性層14の材質等に応じて適宜設定することができる。ここでは、半導体基板11に当接して設けられたAl0.9Ga0.1Asからなる下層膜と、下層膜上に積層され下層膜及び活性層14に当接して設けられたAl0.5Ga0.5Asからなる上層膜とにより、第1スペーサ層13が構成されている。また、活性層14上に当接して設けられたAl0.5Ga0.5Asからなる下層膜と、この下層膜上に積層され、下層膜及びレンズ層16に当接して設けられたAl0.9Ga0.1Asからなる上層膜とにより、第2スペーサ層15が構成されている。
【0030】
活性層14は、注入される光エネルギーや電気エネルギー(キャリア)に応じて光を発するものである。活性層14に正孔(キャリア)と電子(キャリア)とが供給されると、活性層14内で正孔と電子とが結合して結合エネルギーを生じる。この結合エネルギーにより、活性層14に含まれる原子が励起状態になる。活性層14に供給されるエネルギーが大きくなるほど、原子が励起状態になる確率が高くなる。原子が励起状態から基底状態に戻るときに、励起状態のエネルギー準位と基底状態のエネルギー準位との差分に応じた波長の光が自然放出される。活性層14に光エネルギーが供給される場合には、供給された光エネルギーにより活性層に含まれる原子が励起状態になり、電気エネルギーが供給される場合と同様に自然放出による光が生じる。活性層14の材質を選択することにより、自然放出される光の波長を設定することができる。
【0031】
また、励起状態の原子を含んだ活性層14に、光(光子)が入射するとこの光子と進行方向や位相が揃った光(光子)が誘導放出される。換言すると、活性層14において光が入射する領域は、誘導放出による光が発生する発光領域になる。活性層に入射する光子の数が増加するほど、また励起された原子の数が増加するほど、誘導放出される光子の数が増加する。本実施形態の活性層14は、GaAsからなる膜とAl0.3Ga0.7Asからなる膜とが交互に積層された多重量子井戸層により構成されている。
【0032】
図2は、レンズ層16の平面構成を示す図である。図1(b)に示すように、本実施形態のレンズ層16は、屈折率がnの高屈折率部161と、屈折率がn(ただし、n<n)の低屈折率部162とを含んでいる。図2に示すように低屈折率部162は、複数の開口が行列状に設けられた隔壁状のものである。ここでは、開口の平面形状は略円形になっており、複数の開口の各々の内側には、高屈折率部161が設けられている。高屈折率部161の平面形状の寸法については、光の集光の限界を考慮すると活性層14から発せられる光の波長と同程度(例えば1μm)以上にするとよい。また、高屈折率部161の平面形状の寸法については、第2電極19の開口から複数の光束を取り出す観点から、第2電極19の開口内寸の半分以下にするとよい。
【0033】
高屈折率部161全体と高屈折率部161周辺の低屈折率部162とを含んだ領域は、レンズ作用を有するレンズ部165になっている。本実施形態のレンズ層16には複数の高屈折率部161が行列状に配置されているので、レンズ層16は複数のレンズ部165が行列状に配置されたレンズアレイとして機能する。次に、レンズ層16のレンズ作用について説明する。
【0034】
図3(a)、(b)は、レンズ層16のレンズ作用を模式的に示す説明図である。図3(a)には活性層14から第2反射部17に向かう光の波面を示しており、図3(b)には第2反射部17から活性層14に向かう光の波面を示している。
【0035】
本実施形態では、高屈折率部161の厚みdが低屈折率部162の厚みdと略同一(d=d)になっており、レンズ層16の両面において、高屈折率部161と低屈折率部162とが略面一になっている。前記のように、n<nかつd=dであるので、高屈折率部161の光学的距離(d)と、低屈折率部162の光学的距離(d)との間には、n<dという関係式が成り立つ。
【0036】
図3(a)に示すように、活性層14から発せられた光は、平面波S1としてレンズ層16に入射する。前記のように高屈折率部161の光学的距離(d)が、低屈折率部162の光学的距離(d)よりも大きくなっている。したがって、レンズ層16を通った波面S2において、高屈折率部161を通った部分は、低屈折率部162を通った部分に対して位相が遅れている。
【0037】
図3(b)に示すように、波面S2が第2反射部17で反射すると、反射後の波面S3においても高屈折率部161を通った部分は、低屈折率部162を通った部分に対して位相が遅れている。波面S3がレンズ層16に再度入射すると、レンズ層16から射出された波面S4において高屈折率部161を通った部分は、低屈折率部162を通った部分に対する位相遅れが強調される。このようにして、第2反射部17から活性層14に向かって進行する光は、波面が活性層14に向かって凹となる。すなわち、レンズ層16のレンズ部165の各々は、第2反射部17とともに凹面鏡として作用する。なお、凹面鏡は、凸レンズを平面鏡と組み合わせたものと等価であるので、レンズ層16を凸レンズとして扱うことができる。
【0038】
図4(a)〜(c)は、第1反射部12及び第2反射部17を含んで構成される共振器によりレーザー発振を生じる仕組みを模式的に示す説明図である。
図4(a)に示すように、レンズ層16及び第2反射部17は凹面鏡M2と等価であり、活性層14から発せられた光は、凹面鏡M2で反射する。凹面鏡M2で反射した光Lは、波面Sが活性層14に向かって凹となり、活性層14を通って第1反射部12に入射する。第1反射部12は、凹面鏡M2で反射した光のスポットサイズが最小となる位置に配置されている。
【0039】
図4(b)に示すように、仮に凹面鏡M1を凹面鏡M2に対向させて配置すると、凹面鏡M1、M2により凹面−凹面型ファブリ・ペロー共振器が構成される。第1反射部12は、凹面鏡M2で反射した光のスポットサイズが最小となる位置に配置されているので、凹面−凹面型ファブリ・ペロー共振器と光学的に等価である。したがって、第1反射部12と第2反射部17とを含んで、平面−凹面型のファブリ・ペロー共振器が構成される。
【0040】
図4(c)に示すように、活性層14から射出された光L0は、第2反射部17に入射する。光L0のうちの光L1は、第2反射部17を通って外部に射出される。光L0のうちの光L2は、第2反射部17で反射して活性層14に再度入射する。光L0の光子の数に対する光L2の光子の数の比率は、第2反射部17の反射率により定まる。
【0041】
活性層14に光L2が入射すると、活性層14から光L2の光子と位相や進行方向が略同一の光子が誘導放出される。活性層14において励起された原子が多いほど、また光L2の光子の数が多いほど、活性層14から誘導放出される光子の数が多くなる。理論上は、活性層14から射出された光L3における光子の数は、光L2の光子と、活性層14から誘導放出された光子との総数から、活性層14での吸収や反射による光子の損失数を差し引いた数になる。
【0042】
光L3は第1反射部12で反射して、反射した光L4は活性層14に再度入射する。光L4が活性層14に入射すると、活性層14に再度誘導放出が生じる。本実施形態では、活性層14から射出された光が、第2反射部17及び第1反射部12を経て活性層14に帰還したときに、利得が1以上(デシベルが0dB以上)になるようになっている。換言すると、活性層14から射出された光の光子の数に対する、活性層14に帰還した光とこの光により誘導放出された光とが活性層14から再度射出される際の光子の総数の比率が1以上になっている。これにより、活性層14から射出される光子において、位相や進行方向が揃った光子の占める割合が高くなり(1に近づき)、レーザー発振が生じる。レーザー発振が生じると、第2反射部17から射出される光L1において光子の位相や進行方向が揃うことにより、レーザー光が得られる。
【0043】
以上のような構成のレーザー光源装置1にあっては、活性層14に入射する光が複数のレンズ部165により活性層14の複数の領域に集光され、レンズ部165ごとに共振器が構成される。したがって、活性層14において、複数のレンズ部165から光が入射する複数の発光領域で、互いに独立したシード(光子)により誘導放出を生じ、複数の発光領域で互いに位相が独立した複数のレーザー光が生じる。よって、複数のレーザー光の全体としての可干渉性が低下して、スペックルノイズが格段に低減される。
【0044】
また、空間的に独立した複数のレーザー光を発生させているので、時間的に独立した複数のレーザー光を発生させる手法に比べて、駆動条件を時間変化させる必要がなくなり、駆動系を複雑にすることなくスペックルノイズを低減することができる。
【0045】
また、活性層14に入射する光を集光しているので、以下の理由により光のムダが格段に低減される。例えば、共振器を構成する共振ミラーの反射率が不均一になっている構成との比較を考える。この構成では、反射率が相対的に低い部分においてレーザー発振が生じなくなり、互いに独立した複数のレーザー光が発生するが、レーザー発振に寄与しない光が通常のレーザーよりも増加してしまう。
【0046】
一方、第1実施形態では、活性層14に入射する光が集光により空間的に分割されるので、レーザー発振に寄与しない光を通常と同程度にすることができる。したがって、光の利用効率が低下することが回避され、エネルギー効率を低下させることなくスペックルノイズを低減することができる。
【0047】
また、高屈折率部161及び低屈折率部162からなるレンズ層16をレンズアレイとして用いているので、レンズ層16上を略面一にすることができる。したがって、レンズ層16上に平坦な膜を形成することができ、第2反射部17を構成する複数の膜の厚み等を高精度にすることができる。よって、共振器内の光路長を高精度に制御することや第2反射部17の反射率を高精度に制御することができ、良好にレーザー発振を生じさせることができる。また、レンズアレイを積層構造の一部として作りこむことができ、活性層14等を含んだ積層体と独立してレンズアレイを設ける場合に比べて、共振器内の光路長を高精度に制御することが容易になるとともに、装置を小型にすることができる。
【0048】
なお、第1実施形態は、本発明の1つの態様を示す例であり、本発明の技術範囲は第1実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能である。例えば、第1電極10を光反射材料で形成することにより、第1電極を第1反射部として機能させることもでき、この場合には多層膜反射層により構成された第1反射部12を省くことが可能である。また、第2反射部17を第2電極19よりもレーザー光源装置1における光の射出側に配置してもよい。例えば、第2スペーサ層15上に第2電極19を形成し、第2電極19に光の取り出し用の開口を設ける。この開口の内側に波長選択性を有する誘電体ミラー等を設けて、誘電体ミラーを第2反射部として機能させてもよい。
【0049】
また、レンズ層を第1反射部12と、活性層14との間に配置してもよいし、レンズ層の構成を変更してもよい。以下、レンズ層の変形例について説明する。
【0050】
図5(a)は変形例1のレンズ層16Aの平面配置を示す図、図5(b)は変形例2のレンズ層16Bの平面配置を示す図、図5(c)は変形例3のレンズ層16Cの断面構造を示す図、図5(d)は変形例4のレンズ層16Dの断面構造を示す図である。
【0051】
図5(a)に示すように、変形例1のレンズ層16Aは、平面形状が略長方形の複数の開口を有する隔壁状の低屈折率部162Aと、複数の開口の各々の内側に設けられた高屈折率部161Aとを含んでいる。高屈折率部161A全体と、高屈折率部161A周辺の低屈折率部162Aとによりレンズ部165Aが構成される。
【0052】
このように、高屈折率部161Aの平面形状については、適宜変更が可能である。高屈折率部の平面形状としては、第1実施形態のような円形や変形例1のような正方形の他に、例えば長円形、3角形や5以上の角を有する多角形、多角形の角を丸めた形状等が挙げられる。高屈折率部の形状を調整することにより、レンズ部によって集光される光束のビーム形状を調整することができ、各々のレンズ部から射出されるレーザー光のビーム形状を調整することができる。
【0053】
図5(b)に示すように、変形例2のレンズ層16Bは、平面形状が略円形の複数の開口を有する隔壁状の低屈折率部162Bと、複数の開口の各々の内側に設けられた高屈折率部161B、163Bとを含んでいる。高屈折率部161Bの平面形状の寸法は、高屈折率部163Bの平面形状の寸法よりも大きくなっている。高屈折率部161B、163Bは、いずれも行列状に配置されている。高屈折率部161Bの行方向、列方向の並びは、高屈折率部163Bの行方向、列方向の並びに対して位相がずれている。高屈折率部161B、163Bは、いわゆる千鳥配置になっている。
【0054】
高屈折率部161B全体と、高屈折率部161B周辺の低屈折率部162Bとによりレンズ部165Bが構成されている。高屈折率部163B全体と、高屈折率部163B周辺の低屈折率部162Bとによりレンズ部166Bが構成されている。高屈折率部161Bの平面形状が高屈折率部163Bと異なることにより、レンズ部165Bの平面形状がレンズ部166Bと異なっている。これにより、レーザー光源装置から射出されるレーザー光は、複数種類(ここでは2種類)のビーム形状のレーザー光により構成される。
【0055】
このように、高屈折率部の配置や寸法、形状については適宜変更が可能である。なお、第1実施形態、変形例1、2では、低屈折率部を隔壁として、隔壁の開口内に高屈折率部が設けられている構成を説明したが、高屈折率部を隔壁として、隔壁の開口内に低屈折率部が設けられている構成にしてもよい。
【0056】
図5(c)に示すように変形例3のレンズ層16Cは、高屈折率部161Cの側面、低屈折率部162Cの側面が、いずれもレンズ層16Cの厚み方向に対して傾斜している。このようなレンズ層16Cにおいて、レンズ層16Cの部分的な光学的距離の面内分布は、高屈折率部161Cの周縁部が低屈折率部162Cの周縁部と重なる部分において連続的に変化する。したがって、レンズ層16Cを通る光の波面が滑らかな形状になり、レンズ層16Cを通る光を良好に集光することが可能になる。
【0057】
このようなレンズ層16Cは、例えば以下のようにして形成可能である。まず、第2スペーサ層15上に島状の複数の高屈折率部161Cを形成する。例えばパターニングに用いるエッチング条件を調整することにより、高屈折率部161Cの側面をテーパー面にしておく。次いで、複数の高屈折率部161Cの間に低屈折率部162Cの形成材料を埋設することにより、レンズ層16Cが得られる。なお、複数の開口を有する隔壁状の高屈折率部を形成しておき、開口の内側に低屈折率部の形成材料を埋設する方法によってもレンズ層を形成可能である。
【0058】
図5(d)に示すように、変形例4のレンズ層16Dは、高屈折率部161Dの厚みが低屈折率部162Dの厚みよりも大きくなっている。ここでは、高屈折率部161Dが低屈折率部162Dと同一の材質により、一体に形成されている。レンズ層16Dにおいて、高屈折率部161Dが凸部になっており、低屈折率部162Dが凹部になっている。凹部内は、レンズ層16Dよりも屈折率が低い材質のものにより充填されるか、もしくは略真空に保持される。例えば、レンズ層16Dが活性層14等を含んだ積層体の最外層に配置され、かつレーザー光源装置が不活性雰囲気内あるいは真空雰囲気内に封止される場合には、凹部内の屈折率がレンズ層16Dよりも小さくなる。
【0059】
なお、高屈折率部の厚みを低屈折率部の厚みよりも大きくするとともに、高屈折率部の材質を低屈折率部の材質と異ならせてもよい。また、1種類の材質からなり凹凸を有するレンズ層において、凹部内にレンズ層の材質よりも屈折率が高い材質を埋設することにより、凹部内を高屈折率部とすることも可能である。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態のレーザー光源装置を説明する。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、第2反射部が活性層を含んだ発光部と独立して設けられている点、第2反射部と発光部との間に波長変換素子が配置されている点、及び波長変換素子と発光部との間にレンズ層に代えてレンズアレイが設けられている点である。
【0061】
図6(a)は、第2実施形態のレーザー光源装置2の概略構成を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、レーザー光源装置2における光の経路を模式的に示す説明図である。図6(a)に示すように、レーザー光源装置2は半導体基板11を基体として形成された発光部2Aを含んでいる。半導体基板11の一方の面に当接して第1電極10が設けられている。半導体基板11の他方の面に、第1反射部12、第1スペーサ層13、活性層14、第2スペーサ層15、多層膜反射層21、及び第2電極19がこの順に積層されている。第1反射部12と第2電極19との間に配置された各層の側面に、絶縁層18が設けられている。
【0062】
多層膜反射層21は、第1反射部12とともに内部共振器を構成している。多層膜反射層21は、第1実施形態の第2反射部17と同様の構成になっているが、第2反射部17よりも多層膜のペア数が少なくなっている。これにより多層膜反射層21の反射率が第2反射部17よりも低くなる。内部共振器内を往復する光は、レーザー発振が生じない程度(例えば、前記した利得が1未満)に位相や進行方向が揃えられ、多層膜反射層21を通して射出される。本実施形態では、基本波長の光として、例えば中心波長が1064nm程度の赤外光IR20が多層膜反射層21から射出される。
【0063】
図6(b)に示すように、多層膜反射層21から射出された赤外光IR20は、レンズアレイ22に入射する。レンズアレイ22は、平凸型の複数のレンズ部221がアレイ状に配置されたものである。ここでは、レンズ部221において多層膜反射層21側の面、すなわち多層膜反射層21からレンズアレイ22に赤外光IR20が入射する面が、多層膜反射層21に向かって凸になっている。レンズ部221において、多層膜反射層21と反対側の面は、平面状になっている。この平面に当接して、バンドパスフィルタ等により構成される波長選択膜23が設けられている。波長選択膜23は、基本波長の光を通すとともに後述する変換波長の光を反射させる特性を有している。
【0064】
レンズアレイ22、波長選択膜23を通った赤外光IR20は、波長変換素子24に入射する。波長変換素子24は、入射光のうちの少なくとも一部を略半分の波長の光(2次高調波)に変換するものである。波長変換素子24に入射した基本波長の光(例えば、中心波長が1064nmの赤外光IR20)は、その一部が変換波長の光(例えば、中心波長が532nmの緑色光G21)に変換される。波長変換素子24は、例えばPPLN等の非線形光学結晶により構成される。
【0065】
波長変換素子24により、波長が変換された緑色光G21は、波長が変換されなかった赤外光IR21とともに射出され、第2反射部25に入射する。本実施形態の第2反射部25は、体積ブラッグ回折光学素子(VBG)等の波長選択性を有する反射部材により構成される。第2反射部25は、基本波長の光を反射するとともに、変換波長の光を透過させる特性を有している。
【0066】
第2反射部25に入射した緑色光G21は、第2反射部25を通って外部に取り出される。第2反射部25に入射した赤外光IR21は、第2反射部25で反射して折り返され、波長変換素子24に再度入射する。波長変換素子24に再度入射した赤外光IR21は、その一部が緑色光G22に変換される。緑色光G22は、赤外光IR21のうちの波長が変換されなかった赤外光IR22とともに射出され、波長選択膜23に入射する。
【0067】
波長選択膜23に入射した緑色光G22は、波長選択膜23で反射して、波長変換素子24、第2反射部25を通って外部に取り出される。波長選択膜23に入射した赤外光IR22は、波長選択膜23を通って複数のレンズ部221に空間的に分かれて入射する。レンズ部221に入射した赤外光IR22は、レンズ部221ごとに集光されつつ、多層膜反射層21を通って活性層14に入射する。これにより、第1実施形態と同様に、活性層14から誘導放出により光が射出される。誘導放出による光と、赤外光IR22は第1反射部12上にて焦点を結ぶとともに第1反射部12で反射する。
【0068】
第1反射部12で反射した光は、活性層14に帰還して、再度誘導放出を生じさせる。このように、第2反射部25は第1反射部12とともに外部共振器を構成している。ここでは、活性層14から射出された光がレンズ部221により略平行光となり、第2反射部25に入射するようになっている。多層膜反射層21の反射率や第2反射部25の反射率は、外部共振器と内部共振器とによる誘導放出の利得が1以上となるように調整されており、レーザー発振を生じるようになっている。
【0069】
以上のような構成のレーザー光源装置2にあっては、複数のレンズ部221の各々に対応して複数の共振器が構成され、互いに位相が独立した複数のレーザー光が生じる。これにより、レーザー光全体としての可干渉性が低下するので、駆動系を複雑にすることなくスペックルノイズを低減することができる。また、活性層14に入射する光を集光しているので、光のムダが格段に低減され、エネルギー効率を低下させることなくせることなくスペックルノイズを低減することができる。また、波長変換素子24により変換波長の光が得られるので、活性層から直接得られない波長の光を取り出すことが可能になり、所望の波長の光が得られる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態のレーザー光源装置を説明する。第3実施形態が第2実施形態と異なる点は、集光部が複数の反射面を含んでおり、第2反射部と一体に形成されている点である。
【0071】
図7(a)は、第3実施形態のレーザー光源装置3の概略構成を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、レーザー光源装置3における光の経路を模式的に示す説明図である。図7(a)に示すように、レーザー光源装置3は、第2実施形態と同様の発光部2Aを含んでいる。第2反射部31は、発光部2Aと独立して設けられている。第2反射部31は、発光部2Aに向かって凹となる複数の反射面311を含んでいる。反射面311は、基本波長の光を反射させるとともに変換波長の光を透過させる特性を有している。発光部2Aと第2反射部31との間に、波長変換素子24が配置されている。波長変換素子24において、発光部2Aから光が入射する端面には、波長選択膜23が設けられている。
【0072】
図7(b)に示すように、多層膜反射層21から射出された赤外光IR30は、波長選択膜23を通って波長変換素子24に入射する。波長変換素子24に入射した赤外光IR30は、その一部が緑色光G31に変換される。緑色光G31は、波長が変換されなかった赤外光IR31とともに波長変換素子24から射出され、第2反射部31に入射する。第2反射部31に入射した緑色光G31は、反射面311を通って外部に取り出される。第2反射部31に入射した赤外光IR31は、反射面311で反射するとともに集光される。
【0073】
反射面311で反射した赤外光IR31は、波長変換素子24に再度入射する。波長変換素子24に再度入射した赤外光IR31は、その一部が緑色光G32に変換される。緑色光G32は、波長が変換されなかった赤外光IR32とともに射出され、波長選択膜23に入射する。波長選択膜23に入射した緑色光G32は、波長選択膜23で反射して、波長変換素子24、第2反射部31を通って外部に取り出される。波長選択膜23に入射した赤外光IR32は、波長選択膜23を通って集光されつつ、多層膜反射層21を通って活性層14に入射する。これにより、第1実施形態と同様に、活性層14から誘導放出により光が射出される。誘導放出による光と、赤外光IR32は第1反射部12上にて焦点を結ぶとともに第1反射部12で反射する。
【0074】
第1反射部12で反射した光は、活性層14に帰還して、再度誘導放出を生じさせる。このように、第2反射部31は、第1反射部12とともに外部共振器を構成している。多層膜反射層21の反射率や第2反射部31の反射率は、外部共振器と内部共振器とによる誘導放出の利得が1以上となるように調整されており、レーザー発振を生じるようになっている。
【0075】
以上のような構成のレーザー光源装置3にあっては、複数の反射面311の各々に対応して複数の共振器が構成され、互いに位相が独立した複数のレーザー光が生じる。これにより、駆動系を複雑にすることなくスペックルノイズを低減することができる。活性層14に入射する光を集光しているので、光のムダが格段に低減され、エネルギー効率を低下させることなくせることなくスペックルノイズを低減することができる。波長変換素子24により変換波長の光が得られるので、活性層から直接得られない波長の光を取り出すことが可能になり、所望の波長の光が得られる。
【0076】
また、集光部が複数の反射面311により構成されているとともに第2反射部31と一体に形成されているので、外部共振器内において光が通る界面の数を減らすことができる。これにより、界面での光の損失を減らすことができるので、光の利用効率を高めることができ、消費電力を低減することができる。
【0077】
通常、第2反射部31のような共振器を構成する反射部材は、高度な位置精度で配置される。第3実施形態のように集光部が第2反射部31と一体になっていれば、位置合わせコストを増加させることなく、集光部を第1反射部12に対して高度な位置精度で配置することができる。これにより、共振器の安定性を確保することができ、光の利用効率の低下を回避することができる。
【0078】
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態のレーザー光源装置を説明する。第4実施形態が第1〜第3実施形態と異なる点は、励起用の光源から供給される光エネルギーにより活性層を励起して光を発生させる点、及び励起用の光源から射出される光を活性層の複数の領域に分けて集光する点である。
【0079】
図8(a)は、第4実施形態のレーザー光源装置4の概略構成を模式的に示す断面図であり、図8(b)は、レーザー光源装置4における光の経路を模式的に示す説明図である。図8(a)に示すように、レーザー光源装置4は第1発光部4A、レンズアレイ22、及び第2発光部4Bを含んでいる。レンズアレイ22は、第2実施形態と同様のものである。第1発光部4Aは第2実施形態と同様のものであるが、第1反射部12に代えて第1多層膜反射層41が設けられている点と、多層膜反射層21に代えて第2多層膜反射層42が設けられている点とが異なる。
【0080】
活性層14に電気エネルギーが供給されると、活性層14において自然放出により光が生じる。第1多層膜反射層41は、第2多層膜反射層42とともに共振器を構成している。活性層14から発せられた光が共振器内を往復することにより、レーザー発振を生じるようになっている。レーザー発振により生じた励起光L40は、第2多層膜反射層42を通って射出される。
【0081】
第1発光部4Aから射出された励起光L40は、第2実施形態と同様のレンズアレイ22に入射する。レンズアレイ22に入射した励起光L40は、レンズ部221ごとに集光されつつ第2発光部4Bに入射する。
【0082】
第2発光部4Bは、基板40を基体として形成されている。基板40の一方の面には、第1反射部43、第3スペーサ層44、第2活性層45、第4スペーサ層46、第2反射部47がこの順に設けられている。ここでは、レンズアレイ22を通った励起光L40が第2反射部47に入射するようになっている。
【0083】
第1反射部43、第2反射部47は、多層膜反射層等により構成される。第1反射部43、第2反射部47は、いずれも励起光L40を透過させるとともに、後述する基本波長の光を反射させる特性を有している。第1反射部43は、第2反射部47とともに共振器を構成している。
【0084】
第2反射部47を通って第2発光部4Bに入射した励起光40は、第2活性層45の面方向における複数の領域に集光される。第2活性層45に励起光L40が入射すると、第2活性層45に含まれる原子が励起される。第2活性層45において原子が励起状態から基底状態に戻るときに、自然放出による光が生じる。ここでは、励起光L40と中心波長が異なる出力光L41が、基本波長の光として自然放出される。出力光L41は、第1反射部43と第2反射部とを含んで構成される共振器内を往復する。出力光L41が、第2活性層45に入射するたびに誘導放出による光が生じ、共振器内においてレーザー発振を生じる。レーザー発振により生じたレーザー光は、基板40を通って外部に取り出される。
【0085】
以上のような構成のレーザー光源装置4にあっては、複数のレンズ部221を通った励起光L40が、第2活性層45の面方向における複数の領域に分かれて集光される。第2活性層45において励起光L40が入射する複数の領域の各々は、自然放出により光を発する発光領域になる。複数の発光領域の各々から発せられた光は、互いに独立してレーザー発振を生じて、互いに位相が独立した複数のレーザー光が生じる。これにより、駆動系を複雑にすることなくスペックルノイズを低減することができる。第2活性層45に入射する光を集光しているので、光のムダが格段に低減され、エネルギー効率を低下させることなくせることなくスペックルノイズを低減することができる。
【0086】
なお、第4実施形態では、第1発光部4Aと第2発光部4Bを互いに独立させているが、第1発光部4Aと第2発光部4Bとを一体に形成してもよい。例えば、第2電極19上に、適宜、平坦化層を形成し、この平坦化層上に第1実施形態で説明したレンズ層を形成する。このレンズ層上に第2発光部4Bを構成する各層を積層することにより、第1発光部4Aと第2発光部4Bとを一体に形成することができる。レンズ層は、第1実施形態と同様に第1発光部4Aの内部に設けることも可能である。第1発光部4Aと第2発光部4Bとを一体に形成することにより、基板40を省くこともできる。
【0087】
[第5実施形態]
次に、本発明に係る第5実施形態のレーザー光源装置を説明する。第5実施形態が第4実施形態と異なる点は、励起用の光源の光軸が、基本波長の光を射出する発光部の光軸とずれている点、発光部と独立して第2反射部が設けられている点、発光部と第2反射部との間に波長変換素子が配置されている点である。
【0088】
図9は、第5実施形態のレーザー光源装置5の概略構成を示す模式図である。図9に示すように、レーザー光源装置5は、励起用光源50、レンズアレイ22、発光部5A、波長選択膜23、波長変換素子24、第2反射部25を含んでいる。励起用光源50は、面発光型レーザー素子や端面発光レーザー素子、LED等の各種光源により構成される。例起用光源50から射出された光(ここでは、赤外光IR50)は、レンズアレイ22の複数のレンズ部221に分かれて入射する。レンズ部221に入射した赤外光IR50は、レンズ部221ごとに集光されつつ、発光部5Aに入射する。
【0089】
発光部5Aは、基板51を基体にして形成されている。発光部5Aは、基板51を基体として形成されている。基板51の一方の面には、第1反射部52、第1スペーサ層53、活性層54、第2スペーサ層55、多層膜反射層56がこの順に設けられている。多層膜反射層56は、赤外光IR50を透過させるとともに後述する基本波長の光を反射させる特性を有している。レンズアレイ22を通った赤外光IR50は、多層膜反射層56を通って活性層54の面方向における複数の領域に集光される。
【0090】
活性層54に赤外光IR50が入射すると、活性層54に含まれる原子が励起される。活性層54において原子が励起状態から基底状態に戻るときに、自然放出による光が生じる。ここでは、赤外光IR50と中心波長が異なる赤外光IR51が、基本波長の光として自然放出される。赤外光IR51は、第1反射部52と多層膜反射層56とを含んで構成される共振器内を往復する。これにより、赤外光IR51は、レーザー発振を生じない程度に位相や波長が揃えられ、多層膜反射層56を通って射出される。
【0091】
多層膜反射層56から射出された赤外光IR51は、波長選択膜23を通って波長変換素子24に入射する。波長変換素子24に入射した赤外光IR51は、その一部が緑色光G51に変換される。緑色光G51は、波長が変換されなかった赤外光IR52とともに波長変換素子24から射出され、第2反射部25に入射する。第2反射部25に入射した緑色光G51は、第2反射部25を通って取り出される。第2反射部25に入射した赤外光IR52は、第2反射部25で反射して波長変換素子24に再度入射する。
【0092】
波長変換素子24に再度入射した赤外光IR52は、その一部が緑色光G52に変換される。緑色光G52は、波長が変換されなかった赤外光IR53とともに射出され、波長選択膜23に入射する。波長選択膜23に入射した緑色光G52は、波長選択膜23で反射して、波長変換素子24、第2反射部25を通って外部に取り出される。波長選択膜23に入射した赤外光IR53は、波長選択膜23、多層膜反射層56を通って活性層54に入射する。活性層54に入射した赤外光IR53は、活性層54に誘導放出を生じさせる。赤外光IR53と誘導放出による光は、第1反射部52で反射して活性層54に再度入射し、再度誘導放出を生じさせる。
【0093】
このように、第2反射部25は、第1反射部52とともに外部共振器を構成している。多層膜反射層56の反射率や第2反射部25の反射率は、外部共振器と内部共振器とによる誘導放出の利得が1以上となるように調整されており、レーザー発振を生じるようになっている。
【0094】
以上のような構成のレーザー光源装置5にあっては、複数のレンズ部221を通った赤外光IR50が、活性層54の面方向における複数の領域に分かれて集光される。活性層54において赤外光IR50が入射する複数の領域の各々は、自然放出により光を発する発光領域になる。複数の発光領域の各々から発せられた光は、互いに独立してレーザー発振を生じて、互いに位相が独立した複数のレーザー光が生じる。これにより、駆動系を複雑にすることなくスペックルノイズを低減することができる。活性層54に入射する光を集光しているので、光のムダが格段に低減され、エネルギー効率を低下させることなくスペックルノイズを低減することができる。また、第2実施形態と同様に、所望の波長の光を取り出すことが可能になっている。
【0095】
[第6実施形態]
次に、本発明に係る第6実施形態のレーザー光源装置を説明する。第6実施形態が第2実施形態と異なる点は、活性層に供給される電気エネルギーを活性層の面方向の複数の領域に分けて注入させる点、及びレンズアレイ22が設けられていない点である。第1〜第6実施形態は、活性層を通るエネルギー(電気や光)の流束を複数の領域に分けるとともに集中させる(エネルギー密度を高める)点で共通している。
【0096】
図10(a)は、第6実施形態のレーザー光源装置6概略構成を示す模式図であり、図10(b)は電極面の平面構成を示す図である。図10(a)に示すように、レーザー光源装置6は、発光部6A、波長選択膜23、波長変換素子24、第2反射部25を含んでいる。発光部6Aが、発光部2Aと異なる点は、半導体基板11の一方の面に凹部が設けられており、凹部内に絶縁部61が埋設されている点である。ここでは、半導体基板11の一方の面において凹部の間の凸部上と、絶縁部61上とが略面一になっている。凸部上と絶縁部61上とに連続して第1電極10が設けられている。第1電極10において、凸部と当接する複数の領域の各々が電極領域10aになっている。本実施形態では、図10(b)に示すように電極領域10aの平面形状が略円形になっている。複数の電極領域10aは、行列状に配置されている。
【0097】
以上のようなレーザー光源装置6において、第1電極10と第2電極19との間に電圧が印加されると、複数の電極領域10aの各々を通して、第1電極10と第2電極19との間にキャリア(電流Is)が流れる。これにより、活性層に供給される電気エネルギー(キャリア)が活性層の面方向の複数の領域に分かれて注入され、複数の領域の各々が自然放出により基本波長の光を発する発光領域になる。
【0098】
複数の発光領域の各々から発せられた基本波長の光は、第1反射部12と多層膜反射層21とを含んで構成される共振器内を往復する。これにより、共振器内で基本波長の光は、レーザー発振を生じない程度に位相等が揃えられ、多層膜反射層21を通って射出される。ここでは、多層膜反射層21から赤外光IR20が射出される。赤外光IR20は、波長選択膜23を通って波長変換素子24に入射し、その一部が緑色光に変換される。変換された緑色光は、第2反射部25を通って外部に取り出される。波長変換素子24で波長が変換されなかった赤外光が、活性層14に帰還して誘導放出を生じさせることにより、レーザー発振を生じるようになっている。
【0099】
以上のようなレーザー光源装置6にあっては、活性層14の複数の発光領域の各々から発せられた光が互いに独立してレーザー発振を生じ、互いに位相が独立した複数のレーザー光が生じる。これにより、駆動系を複雑にすることなくスペックルノイズを低減することができる。活性層14に供給される電気エネルギーを複数の発光領域に分けるとともに集中させて注入しているので、以下の理由により消費電力のムダが格段に低減される。
【0100】
例えば、活性層において抵抗値を不均一にする手法との比較を考える。この手法では、抵抗値が相対的に高い部分において原子が励起状態になる確率が低下することにより、レーザー発振を生じにくくなり、複数の領域で互い独立した複数のレーザー光が発生すると考えられる。しかしながら、抵抗値が変化する部分において発熱を生じ、発生した熱エネルギーの分だけエネルギー損失が大きくなり、エネルギー効率が低下してしまう。
【0101】
一方、第6実施形態のレーザー光源装置6にあっては、活性層に供給される電気エネルギーが活性層の面方向の複数の領域に分かれて注入されるので、レーザー発振に寄与しない電気エネルギーを通常と同程度にすることができる。したがって、光のムダが格段に低減され、エネルギー効率を低下させることなくせることなくスペックルノイズを低減することができる。また、絶縁部61に要求される加工精度は、レンズ層等のレンズアレイに要求される加工精度よりも低いので、第1〜第5実施形態よりも容易に装置を構成することができる。
【0102】
なお、第6実施形態では、半導体基板11に凹部を設けて凹部内に絶縁部61を埋設しているが、半導体基板11上に例えば開口を有する隔壁状の絶縁部を設けて、開口内に第1電極10の形成材料を埋設するようにしてもよい。
【0103】
[画像表示装置]
次に、本発明の画像表示装置の実施形態を説明する。図11は、本実施形態である投射型のプロジェクター(画像形成装置)7を示す概略構成図である。図11に示すように、プロジェクター7は、レーザー光源装置71R、71G、71B、透過型の液晶ライトバルブ(変調装置)73R、73G、73Bと、ダイクロイックプリズム74と、投射光学系75とを備えている。レーザー光源装置71R、71G、71Bは、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を射出し、射出された各色光は、それぞれ液晶ライトバルブ73R、73G、73Bに変調される。変調された各色光は、ダイクロイックプリズム74によって合成され、合成された光は投射光学系75によって投射される。
【0104】
また、本実施形態のプロジェクター7は、照度均一化光学系72R、72G、72Bを含んでいる。照度均一化光学系72R、72G、72Bは、レーザー光源装置71R、71G、71Bから射出されたレーザー光の照度分布を均一化する。照度均一化光学系72Rは、ホログラム721Rとフィールドレンズ722R等により構成されている。照度均一化光学系72G、72Bは、照度均一化光学系72Rと同様の構成になっている。
【0105】
液晶ライトバルブ73R、73G、73Bの各々により変調された色光は、ダイクロイックプリズム74に入射する。ダイクロイックプリズム74は4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面(直角プリズムの表面)に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。3つの色光は、これらの誘電体多層膜によって合成され、カラー画像を表す光になる。合成された光が投射光学系75によりスクリーンや壁等の被投射面9に拡大投射されることにより、投射画像が表示される。
【0106】
本実施形態のプロジェクター7にあっては、レーザー光源装置71R、71G、71Bが本発明のレーザー光源装置により構成されている。したがって、シンプルな構成でありながら低消費電力であり、しかも高品質の画像が得られるものになっている。
【0107】
なお、変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、反射型のライトバルブを用いてもよい。また、液晶以外の変調装置、例えばDMD(登録商標)等を用いてもよい。投射光学系の構成は、使用される変調装置の種類によって適宜変更すればよい。また、色光合成素子としてダイクロイックプリズムを用いているが、この他にも、ダイクロイックミラーをクロス配置とし色光を合成するものや、ダイクロイックミラーを平行に配置し色光を合成するもの等を用いることができる。
[画像表示装置]
次に、前記の投射型のプロジェクターと異なる構成の本発明の画像表示装置の実施形態を説明する。図12は、本実施形態である走査型のプロジェクター(画像形成装置)8を示す概略構成図である。図12に示すように、プロジェクター8は、画像信号処理系(変調部)80、レーザー光源装置81、リレー光学系82、走査光学系83を含んでいる。
【0108】
画像信号処理系80は、インターフェース801、画像信号処理回路802、変調回路803、タイミング生成回路804、及びミラー駆動回路805を含んでいる。インターフェース801は、信号源95から画像信号や同期信号を含んだ電気信号を受け取り、この電気信号を画像信号と同期信号とに分離する。分離された画像信号は画像信号処理回路802に伝達され、分離された同期信号はタイミング生成回路804に伝達される。
【0109】
タイミング生成回路804は、画像の解像度やフレームレート、走査方式等に応じて、画像に含まれる複数の画素に対して画素ごとの表示タイミングを示すタイミング信号を生成する。タイミング信号により、信号源95から供給される画像信号をプロジェクター8の走査方式に整合した形式に変換することが可能になっている。生成されたタイミング信号は、画像信号処理回路802やミラー駆動回路805に伝達される。ミラー駆動回路805は、タイミング信号に基づいて、走査光学系83を構成する第1偏向ミラー831、第2偏向ミラー832の駆動量を走査光学系83に出力する。
【0110】
画像信号処理回路802は、画像信号にガンマ処理等の各種画像処理を行うとともに、画像信号に含まれる画素データが走査される時間順次で変調回路803に伝達されるように、タイミング信号に基づいて画像信号を調整する。
【0111】
変調回路803は、レーザー光源装置81から射出される光Lの強度が画素ごとの階調に対応して時間変化するように、画像信号に基づいてレーザー光源装置81の出力を調整する。レーザー光源装置81は、実際には、射出するレーザー光の波長が異なる複数のレーザー光源装置により構成されている。変調回路803は、複数のレーザー光源装置の各々に対して出力を調整する。出力が調整された複数のレーザー光が合成された光Lが、レーザー光源装置81から射出される。
【0112】
リレー光学系82は、コリメート光学系821及び集光光学系822を含んでいる。レーザー光源装置81から射出された光Lは、コリメート光学系821により平行化された後に、集光光学系822により集光される。リレー光学系82に関しては、画像形成装置の構成に応じて、適宜変更することができる。例えば、光源から射出される光の平行度が極めて高い場合には、リレー光学系を簡略化、あるいは省略することもできる。また、光源から射出される光の光軸に直交する面における光束の断面形状や寸法を調整する機能(ビーム成形機能)等をリレー光学系に持たせてもよい。
【0113】
走査光学系83は、入射光の光軸を被投射面9において主走査方向に変化させる第1偏向ミラー831と、入射光の光軸を被投射面9において副走査方向に変化させる第2偏向ミラー832とを含んでいる。例えば、主走査方向は被投射面における水平方向であり、副走査方向は被投射面において水平方向と直交する垂直方向である。
【0114】
第1偏向ミラー831は、ミラー駆動部(図示略)に駆動される。ミラー駆動部は、ミラー駆動回路805から駆動量を受け取り、所定の回転軸まわりに第1偏向ミラー131を駆動量に応じた角速度、振幅で回転させる。これにより、第1偏向ミラー131において光が入射する面の法線方向が、入射する光Lの光軸に対して変化し、この面で反射した光の光軸がタイミング信号に応じて変化する。第2偏向ミラー132は、第1偏向ミラー131と同様にミラー駆動部により駆動される。
【0115】
以上のような構成により、画素に対応した階調に変調された光が、画素の位置に対応したタイミングで被投射面9上を走査することにより、被投射面9に画像が描画(表示)される。
【0116】
本実施形態のプロジェクター8にあっては、レーザー光源装置81が本発明のレーザー光源装置により構成されている。したがって、シンプルな構成でありながら低消費電力であり、しかも高品質の画像が得られるものになっている。
【符号の説明】
【0117】
1、2、3、4、5、6、71R、71G、71B、81・・・レーザー光源装置、7、8・・・プロジェクター、12、43、52・・・第1反射部、14、45、54・・・活性層、16、16A、16B、16C、16D・・・レンズ層(レンズアレイ)、17、25、31、47・・・第2反射部、22・・・レンズアレイ、24・・・波長変換素子、75・・・投射光学系、83・・・走査光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本波長の光を発する活性層と、
前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第1反射部と、
前記第1反射部とともにレーザー発振を生じさせる共振器を構成し、前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第2反射部と、
前記活性層の面方向において互いに独立した複数の発光領域に、前記活性層に入射する光を分割して集光する集光部と、を含んでいることを特徴とするレーザー光源装置。
【請求項2】
前記集光部は、光を集光する複数のレンズ部を有するレンズアレイであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源装置。
【請求項3】
前記レンズアレイは、光が入射する面内で光学的距離が部分的に異なるレンズ層により構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー光源装置。
【請求項4】
前記集光部は、入射する光に対して凹となる複数の反射面を含んでおり、前記第2反射部と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザー光源装置。
【請求項5】
基本波長の光を発する活性層と、
前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第1反射部と、
前記第1反射部とともにレーザー発振を生じさせる共振器を構成し、前記活性層から入射した前記基本波長の光を反射させて折り返す第1反射部と、
前記活性層に対して光を生じさせるキャリアを供給する一対の電極と、を含み、
前記一対の電極において前記活性層にキャリアを供給する電極面が、前記活性層の面方向において互いに独立した複数の発光領域に前記キャリアが分かれて供給されるように、複数の電極領域に区画されていることを特徴とするレーザー光源装置。
【請求項6】
前記第1反射部と前記第2反射部との間の光路に、前記基本波長の光を変換波長の光に変換する波長変換素子が配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザー光源装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザー光源装置と、
前記レーザー光源装置から射出された光を変調する変調装置と、
前記変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を含んでいることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザー光源装置と、
前記レーザー光源装置から射出される光を変調する変調装置と、
前記変調装置により変調された光を走査させる走査光学系と、を含んでいることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−161105(P2010−161105A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−807(P2009−807)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】