説明

レーザー加工機械及び、該レーザー加工機械の装備替えのための方法

【課題】板状若しくは管状の工作物22の選択的な加工のためのレーザー加工機械1であって、移動装置8を含み、移動装置に、板状の工作物の支持のためのワークテーブル7が、ワークテーブルを加工領域2内へ移動させかつ加工領域内から外側へ移動させるために、連結され、管状の工作物の加工時における管状の工作物22の操作のための操作装置3,4,5,6を含み、操作装置は、管状の工作物の支えのための少なくとも1つの支持装置4,5,6を有している形式のものにおいて、管材加工時のフレキシビリティーを高める。
【解決手段】支持装置5は、管状の工作物の長手方向(X)に加工領域の少なくとも20%に亘って、有利には少なくとも半分に亘って、制御した状態で移動させられるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の工作物と管状の工作物とを選択的に加工するためのレーザー加工機械、特に台式レーザー加工機械であって、移動装置を含み、該移動装置に、板状の工作物の支え又は支持のためのワークテーブルが、該ワークテーブルをレーザー加工機械の加工領域内へ移動させかつ加工領域内から外側へ移動させるために、連結されるようになっており、更に、加工領域内における管状の工作物の加工時における該管状の工作物の操作又は取り扱いのための操作装置を含み、該操作装置は、管状の工作物の加工時における該管状の工作物の支え又は支持のための少なくとも1つの支持装置を有している形式のものに関する。更に、本発明は、レーザー加工機械を板状の工作物の加工用から管状の工作物の加工用に装備替えするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー加工機械を用いて工作物を所定の輪郭に沿って切断するために、レーザービームと工作物とは互いに相対的に運動させられねばならない。このために、切断中若しくは加工中に、レーザー切断ヘッドか、若しくは工作物が運動させられ、或いは両方が運動させられる。該運動は、板状の工作物を加工するか立体的な工作物を加工するかに依存して、それぞれ1つの軸に沿って若しくは複数の軸に沿って行われる。
【0003】
レーザー加工機械の構成は、切断できる工作物範囲を規定することになる。加工される工作物材料は、扁平なシートパネル、薄板若しくはメタルシート又は金属板、管、異形材等、或いは予め加工成形された立体的な工作物、又は立体成形工作物等である。扁平なシートパネル、薄板若しくはメタルシート又は金属板、管及び異形材等は、多種類の材料及び種々の材料寸法若しくは材料強度又は厚さの半製品として標準サイズで市販されるものである。
【0004】
レーザーは、部材若しくは板片を扁平なシートパネル若しくは薄板から切り取るために頻繁に用いられる。二次元の部材においては、シートパネル上の全ての点を通過するために、1つの平面内での運動で十分である。このような目的のためには、いわゆる扁平ベッド型レーザー切断装置若しくはテーブル形レーザー切断装置が最も多く用いられている。この種の装置においては、加工時に、工作物は加工テーブル上に載せられたまま静止しており、レーザー加工ヘッドが、シートパネル上の加工すべき全ての点を通るために、レーザー加工機械の予め規定された加工領域内の1つ(X−Y方向)の平面に沿って工作物の長さに対応して走行させられるようになっている。この場合に、加工領域は、工作物加工のためのレーザー加工ヘッドが(X−Y方向)の平面に沿って運動させられる領域と合致している。
【0005】
扁平ベッド型レーザー機械の加工領域は、管部材若しくは異形材の工作物の加工まで拡大されるようになっている。このために、薄板のための支持部(いわゆるパレット、若しくは支持グリッド又は支持格子)は、レーザー加工機械の加工領域から外側へ移動させられる。次いで、加工領域内では、回転可能なチャックを備える付加的な操作装置が用いられ、チャックは、機械軸に対応して、回転する工作物の加工を可能にするための回転軸を画定するものである。この種のレーザー加工機械は、欧州特許出願公開第0548006A2号明細書に開示されており、工作物の、チャックと相対して位置する端部に装着される心押し台が、工作物の案内のために用いられるようになっている。
【0006】
類似の装置が、本出願人により「RotoLas」の名称で、扁平ベッド型レーザー機械のための付属装置として提供されている。回転軸(回転式チャック)に加えて、加工領域には1つ若しくは複数(3つまで)の支えを組み込んであり、該支え(支持部又は支承部)は、パイプ又は管を加工部位近傍で確実に案内するものである。支えは、例えば断面長方形若しくは断面正方形の角形管の加工に際して角形管をディスク状の支えによって支えることにより角形管に発生してしまうことになる未処理領域又はデッド域をも加工できるようにするために、駆動部としての1つの空気圧シリンダーを用いて、支えを複数設けてある場合には一緒に、管長手方向(管縦方向)に、それも約3000mmの加工領域において約220mmの比較的に短い距離に亘って移動させられるようになっている。
【0007】
上述の装置における欠点として、板状の工作物の加工のための加工運転から管及び異形材の加工のための加工運転への装備替えが、煩雑な作業を必要としている。更に、移動可能である支えの位置決めはフレキシブルに行われないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0548006A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式のレーザー加工機械及び、該レーザー加工機械の装備替えのための方法に改良を加えて、管材加工時のフレキシビリティーを高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明によれば、支持装置は、管状の工作物の長手方向にレーザー加工機械の加工領域の20%以上に亘って、有利には加工領域の半分以上に亘って、制御に基づき移動させられるようになっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記構成により、つまり、支持装置を、管状の工作物の長手方向にレーザー加工機械の加工領域の20%以上に亘って、有利には加工領域の半分以上に亘って、制御に基づき移動させることにより、管材加工時のフレキシビリティーを高めることができるようになっている。
【0012】
本発明の有利な形態によれば、支持装置は駆動装置を備えており、駆動装置は、制御装置により制御されて、支持装置を加工領域に亘って管状の工作物の長手方向に自動的に移動させるようになっており、支持装置の移動若しくは運動は、制御に基づき所定の長さ以上に亘って、つまり、加工領域の20%以上に亘って、典型的には加工領域の全長の最大約80%〜90%に亘って行われるようになっている。加工領域は、加工すべき工作物の大きさに依存していて、例えば小サイズの薄板若しくは金属板の場合に約1000mm×2000mmであり、中サイズの薄板若しくは金属板の場合に約1250mm×2500mmであり、大サイズの薄板若しくは金属板の場合に約1500mm×3000mmである。支持装置を長手方向に移動制御する長さは、管状の工作物の長手方向にいくつの支持装置を配置してあるかに依存している。有利には、支持装置は、加工領域の約50%以上の長さに亘って移動させられるようになっている。
【0013】
特に有利には、支持装置の運動とレーザー加工ヘッドの運動とは、互いに協調して行われるようになっており、管状の工作物は、支持装置によって常に、加工にとって最適な部位で支えられる。本明細書において、管状の工作物(ワーク)は、操作装置である回転可能な緊締チャック内に緊締されて、加工のために緊締チャックの回転軸線を中心として回転させられる異形材若しくは形材をも意味するものである。
【0014】
有利な形態によれば、支持装置は、ワークテーブルのための移動装置若しくはレーザー加工ヘッドのための移動装置に連結され若しくは結合固定されるようになっている。ワークテーブルのための移動装置は、ワークテーブルを加工領域の長手方向に移動させるようになっており、加工領域の長手方向は管状の工作物の長手方向に相当している。ワークテーブルの移動装置の駆動部は、管材加工には用いられないものであり、従って有利には、工作物長手方向での支持装置の移動のためにも用いられてよいものである。
【0015】
別の形態によれば、レーザー加工ヘッドの運動(長手方向の移動)ための移動装置は、管状の工作物の長手方向への支持装置の制御された運動のためにも用いられるようになっている。この場合には、支持装置は例えば、管材長手方向に移動可能な横桁材の形状の移動ユニットに連結されるようになっており、該移動ユニットにはレーザー加工ヘッドを、例えば横方向(加工領域若しくは管状の工作物の長手方向に対してほぼ垂直な方向)に移動可能に取り付けてある。支持装置をレーザー加工ヘッドのための移動装置若しくは移動ユニットに結合固定若しくは固着してある場合には、管材長手方向でのレーザー加工ヘッドの移動運動と支持装置の移動運動との間の機械的な強制連結が生じており、つまり、レーザー加工ヘッドと支持装置とは、レーザー加工ヘッドの運動の際に互いに一定の間隔に配置されており、つまり、一定の間隔を保って一緒に運動するようになっている。
【0016】
別の形態によれば、ワークテーブルの移動装置のための駆動部を用いて支持装置を運動させるようにすることにより、支持装置の運動とレーザー加工ヘッドの運動とは、両方の駆動部を互いに独立して制御することができるので、機械的な強制連結なしに互いに協調して行われるようになっている。別の形態によれば、支持装置の運動のための追加的な駆動部をレーザー加工機械に設けることも可能である。
【0017】
有利な形態によれば、ワークテーブルの移動及び/又はレーザー加工ヘッドの移動のための移動装置はチェーン駆動部を有している。チェーン駆動部は、該チェーン駆動部により、1回の作業行程で、第1のワークテーブルを加工領域から、加工領域の外側の送り込み兼取り出し位置(供給兼搬出位置)へ移すのに対して、第2のワークテーブルを送り込み兼取り出し位置から加工領域内へ移すことができるので、ワークテーブルの移動にとって有利である。
【0018】
別の形態によれば、チェーン駆動部は、少なくとも1つの連行体を備えたチェーンを有しており、連行体に支持装置が連結若しくは結合されるようになっている。連行体は、支持装置を移動装置に連結するために、移動装置に設けられた連行体用受容部内に係合するようになっている。このために、ワークテーブルに連結される連行体を用いることができ、或いはチェーンに、支持体のための追加的な連行体が設けられている。
【0019】
別の形態によれば、支持装置は、チェーン駆動部のチェーンへの連結のために、チェーンに係合する連結装置を有している。このような係合式の連結装置は、チェーンのチェーンリンクに係合し、例えば引っ掛けられるようになっており、従って、任意の位置でチェーンに連結されるようになっている。チェーンと連結装置との間の簡単な連結を可能にするために、連結装置は、レバー15を有しており、該レバーは、連結装置をチェーンにフック係合させため、若しくは該フック係合を解除するために、チェーンリンク内に係合するフックを昇降させるようになっている。
【0020】
別の形態によれば、レーザー加工機械は、加工領域内における支持装置の移動の際の支持装置の案内のための案内装置を含んでいる。案内装置は、例えば、管材長手方向に走行するガイドレールによって形成されており、ガイドレールに、支持装置が例えばガイドスライダを介して取り付けられるようになっている。これにより、支持装置はより高い精度で管材長手方向に運動させられるようになっている。
【0021】
別の形態によれば、支持装置は、管状の工作物のための支えを形成している。支え(サポート)は、管状の工作物を加工に際して支持するために用いられる。種々の横断面形状の管材の支持のためには、種々の形式又は構造の支えを必要とする。従って、支えとして形成される支持装置は、少なくとも2つの構成部分に分割して形成され、つまり少なくとも2つの構成部分によって形成されていると有利であり、1つの構成部分として、移動装置若しくは案内装置に連結可能なベース支持体と、別の構成部分として、ベース支持体に連結可能な工作物支持体とを有しており、工作物支持体は、加工すべき各管状の工作物に適合されている。
【0022】
別の形態によれば、支持装置は、管状の工作物が軸線方向に通し案内(貫通案内)される通し案内式チャックを形成している。通し案内式チャック(貫通案内式チャック)は、ローラを備える複数(典型的には4つ若しくはそれより多く)の緊締ジョーを有していて、支えを用いる場合と異なり、工作物の回転と一緒に緊締ジョーを回転できるという利点を有しており、その結果、管状の工作物の各横断面輪郭に個別に適合させる必要がなくなっている。これにより、種々の直径の円筒管若しくは円筒パイプ又は丸パイプを支えによって支持する場合に用いられるスペーサ片を省略することができるようになっている。更に、角形管若しくは角パイプの寸法に合わせて成形されるベースプレートや固定プレートも省略される。
【0023】
典型的な形態によれば、レーザー加工装置は、加工時に回転可能なチャックを有している。回転可能なチャックは、管状の工作物の加工の際の回転軸を成しており、該回転軸を中心として管状の工作物が加工に際して回転させられるようになっている。管状の工作物は、供給装置から回転可能なチャックを通して案内されて、加工領域内へ送り込まれるようになっている。チャックは、永続的に、つまりプレート状の工作物の加工中にもレーザー加工装置に取り付けられていてよいものである。別の形態によれば、管状の工作物の加工を行う場合にのみ、チャックをレーザー加工機械に装着することも可能である。
【0024】
別の形態によれば、レーザー加工機械は、加工領域内で運動可能なレーザー加工ヘッドを含んでいる。典型的な構成では、レーザー加工ヘッドは、加工領域内で縦方向(X軸方向)にも横方向(Y軸方向)にも移動させられて、レーザー加工のためのXY平面の全ての部位を占めるようになっており、該全ての部位が作業領域を規定している。この場合にレーザー加工ヘッドは、縦方向(X軸方向)に移動可能なブリッジに設けられていて、ブリッジに沿って横方向(Y軸方向)に移動させられるようになっている。
【0025】
別の形態によれば、レーザー加工機械は、管状の工作物の長手方向への支持装置の運動とレーザー加工ヘッドの運動とを互いに同調させるための制御装置を含んでいる。このように互いに同調して行われる運動は、支持装置とレーザー加工ヘッドとが、個々に制御可能な2つの駆動部を介して個別に駆動される場合に有利である。同調して行われる運動により、常に工作物の支持のための最適な位置が達成されるようになっている。最適な位置は、一面において、極めて高い精度を得るためには(管状の工作物はたいてい完全に真っ直ぐではなく、また直径が長手方向にわたってわずかに変化しているものである)、レーザー加工ヘッドのできるだけ近くであり、他面において、最適な位置は、支持装置と切断部位との重なりを避けるために、切断ヘッドから離れたところである。
【0026】
本発明は更に、レーザー加工機械を板状の工作物の加工用から管状の工作物の加工用に装備替えするための方法に関するものであり、本発明の構成によれば、管状の工作物の支えのための支持装置は、レーザー加工機械の移動装置に連結されて、管状の工作物の長手方向にレーザー加工機械の加工領域の長さの20%以上に亘って、或いは加工領域の長さの半分以上に亘って、制御に基づき移動若しくは運動させられる。支持装置の制御に基づく移動若しくは運動により、管状の工作物の加工の際のフレキシビリティーが高められる。
【0027】
本発明に係る方法の有利な形態によれば、支持装置は、ワークテーブルのための移動装置若しくはレーザー加工ヘッドのための移動装置に連結される。このような構成により、移動装置の駆動部が、支持装置の移動若しくは運動のために利用される。
【0028】
次に本発明を図示の実施形態に基づき詳細に説明する。明細書に記載の各構成を任意に組み合わせて本発明を実施することができる。本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】板状若しくは管状の工作物の選択的な加工のための本発明に係るレーザー加工機械の実施形態の概略図である。
【図2】管状の工作物を支えるための、ワークテーブルの移動のための移動装置のチェーンに連結された支えの概略図である。
【図3a】複数の連行体を備える、図2のチェーンの概略図である。
【図3b】複数の連行体を備える、図2のチェーンの概略図である。
【図4】ワークテーブルを加工領域内へ移すために、チェーンの連行体が連行体受容部に係合した状態を示す、図3bに対応する図である。
【図5】レーザー加工中に通し案内式チャックによって支えられている管状の工作物の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、プレート状の工作物と管状の工作物とを選択的に加工するための、平台式レーザー機械として形成されたレーザー加工機械のフレームを示している。図1に示してあるように、レーザー加工機械1は、管状の工作物の加工のために設けられている。このために、フレームによって示された長方形の加工領域2の縁部に、回転可能なチャック3を設けてあり、該チャックを通して管状の工作物22が加工領域2内に導入されるようになっている。回転可能なチャック3は、管状の工作物22が加工に際して回転される回転軸を規定している。長手方向若しくは縦方向(X軸方向)では、加工領域2に沿って3つの支え4,5,6を配置してあり、支え(サポート[support])は、加工時に管状の工作物22を支持するために用いられていて、管状の工作物22の中心軸線を、縦方向、つまりX軸方向で水平に、かつレーザー加工機械1の側壁に対して平行に向けるように位置決めされている。加工領域2は、図示の実施形態では3000mmの長さ及び1500mmの幅を有していて、大きなサイズの薄板の加工に用いられるようになっている。
【0031】
図1には、ワークテーブル7のためのフレームも、加工領域2の外側の送り込み兼取り出し位置で示されており、送り込み兼取り出し位置を介して、板状の工作物若しくは工作物部材が、加工領域内へ送り込まれ若しくは加工領域から取り出されるようになっている。ワークテーブル7は、該ワークテーブル上に装着された板状の工作物の加工のために、送り装置としてのチェーン駆動部8を用いて、縦方向(X軸方向)で送り込み兼取り出し位置から加工領域2内の加工位置へ移されるようになっている。
【0032】
チェーン駆動部8は、管状の工作物の加工のためには基本的には必要とされない。しかしながら、チェーン駆動部8は、管加工中にも、支え4,5,6の1つ若しくは複数を移動させるために用いられてよいものである。支えの移動過程は、図2で中央の支え5を用いて詳細に説明する。
【0033】
中央の支え5は、ベース支持体9を有しており、該ベース支持体は、支え5をX軸方向に案内するために、ガイドレール10に摺動可能に支承されたスライダー11にロックされるようになっている。支え5は、付加的にチェーン駆動部8のチェーン14に連結されるようになっており、このためにベース支持体9は、まずX軸方向の所定の位置へ移動させられる。ベース支持体9には工作物支持体12がロック若しくは係止されており、該工作物支持体にはローラ13が設けられており、該ローラ上には加工時に管状の工作物22が載せられるようになっている。
【0034】
図2に示す実施形態において、支え5はレバー15を有しており、該レバーはフック16の昇降のために用いられており、該フックは任意の部位でチェーン駆動部8のチェーン14に係合するようになっている。つまり、フック16により、支え5はチェーン15に連結されて、チェーン駆動部8を用いて縦方向(X軸方向)に制御に基づき移動させられるようになっている。
【0035】
チェーン駆動部8が、レーザー加工ヘッドの運動のための駆動装置(図示省略)から独立しているので、中央の支え5は、レーザー加工ヘッドから独立して、図1に示す制御装置17を用いて運動させられるようになっている。両方の運動は、支え5がX軸方向で常に所定の工作物若しくは特定の種類の工作物の加工若しくは支えに最適な位置を占めるように、互いに調整若しくは同調されるようになっている。最適な位置は、一面において極めて高い精度を得るために、レーザー加工ヘッドのできるだけ近くであり、他面において支え5と加工輪郭若しくは切断輪郭との間の重なりが避けられるように、レーザー加工ヘッド若しくは切断ヘッドから離されている。支え5の移動範囲(走行範囲)は、図示の実施形態では、縦方向(X軸方向)で加工領域2の長さの約50%以上であり、別(位置不動)の支え4,6によって画定されている。図1に示してあるように、全ての支え4,5,6をチェーン駆動部8のチェーン14に連結して、一緒に移動させるようにしてある場合には、支え4,5,6の移動範囲(移動距離)の最大の長さは、支え4,5,6の相互の間隔に依存している。支え4,5,6の移動範囲は、管状の工作物22の支えにおける十分なフレキシビリティー(融通性)を得るために、加工領域2の全長の少なくとも20%である。
【0036】
レバー15若しくはフック16を用いて支え5をチェーン14に連結する実施形態と異なり、若しくは該実施形態に加えて、支え5は、図3a及び図3bに示してある連行体18に連結されるようになっており、該連行体はチェーン14に取り付けられていて、ワークテーブル7を連行するために用いられるものである。このために、支え5は連行体受容部(図示省略)を有しており、該連行体受容部に、チェーン14の連行体18の1つ若しくは複数が、支え5とチェーン14との間の連結のために係合するようになっている。
【0037】
チェーンの連行体用の連行体受容部は、図4の実施形態では、ワークテーブル7に設けられた連行体受用条片19によって形成されている。前に述べてあるように、ワークテーブル7を図1に示す送り込み兼取り出し位置から加工領域2内へ移動させるため、及び逆に加工領域2から送り込み兼取り出し位置へ移動させるためには、チェーン駆動部8が用いられる。送り込み兼取り出し位置において、ワークテーブル7は、送り込み兼取り出し位置からの意図しない走出を避けるために、固定ユニット25に連結されている。ワークテーブル7を加工領域2へ移すために、ワークテーブル7は、固定ユニット25から解放され、つまり連結解除又はロック解除されて、連行位置へ持ち上げられ、該連行位置では、チェーン14の連行体18が、ワークテーブル7の連行体受用条片19に係合するようになっている。
【0038】
チェーン14の駆動により、ワークテーブル7は加工領域2内へ引き込まれ、若しくは加工領域2から引き出される。所望の位置が達せられると、ワークテーブル7は連行位置を再び離れ、つまり、下降させられ、若しくは上昇させられるようになっている。送り込み兼取り出し位置にある第1のワークテーブル7と第2(図示省略)のワークテーブルとの交換のために、チェーン14の各1つの連行体18が、それぞれ各ワークテーブルの連行体受容部内に係合される。図示省略の第2のワークテーブルは加工領域2から引き出されるのに対して、第1のワークテーブル7は、作業位置若しくは加工領域2内へ引き込まれる。このことは、チェーン14の上側の半部と下側の半部とが互いに逆の方向に運動するので可能である。
【0039】
支え5として形成された支持装置をチェーン駆動部8のチェーン14に連結する実施形態の変化例として、支持装置をレーザー加工機械1の別の移動装置に連結することも可能であり、別の移動装置は、例えば、図5に示してあるように、X軸方向に移動可能な横桁20であり、該横桁(ブリッジ)は、レーザー加工ヘッド21を横方向(Y軸方向)に移動可能に支承している。該変化例では、管状の工作物22の支えのために、工作物を通し案内する通し案内式チャック23が用いられており、該通し案内式チャックはベース支持体24を用いて横桁20に連結されていて、レーザー加工ヘッド21に対して一定の間隔に保持されている。チャック23は、工作物22の回転に追従できるようにローラを備えた複数の緊締ジョーによって形成されている。
【0040】
図5に示す実施形態においては、チャック23と横桁20との間の間隔Dは一定であり、管状の工作物22の加工中には変化させられないものである。しかしながら間隔Dは、加工作業の前に、種々の長さのベース支持体24を用いることにより、各種の工作物に適合されるようになっている。必要に応じて、ベース支持体24は、間隔Dの調節を加工作業中にも可能にするために、入れ子式若しくはテレスコープ式に形成されていてよいものである。
【0041】
チャック23の部位でも支え5を横桁20に連結することが可能であり、或いは、チャック23は、チェーン駆動部8のチェーン14に連結されるようになっていてよいものである。いずれの場合にも、前述の手段により設けられた移動式の管支持装置は、板状の工作物と管状の工作物とを選択的に加工するためのレーザー加工機械において、管材切断若しくは管材加工を最適化するものである。
【符号の説明】
【0042】
1 レーザー加工機械、 2 加工領域、 3 チャック、 4,5,6 支え、 7 ワークテーブル、 8 チェーン駆動部、 9 ベース支持体、 10 ガイドレール、 11 スライダー、 12 工作物支持体、 14 チェーン、 15 レバー、 16 フック、 17 制御装置、 18 連行体、 19 連行体用条片、 20 横桁、 21 レーザー加工ヘッド、 22 工作物、 23 、チャック、 24 ベース支持体、 25 固定ユニット、 D 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状若しくは管状の工作物(22)の選択的な加工のためのレーザー加工機械(1)、特に平台式レーザー加工機械であって、
移動装置(8)を含んでおり、該移動装置に、板状の工作物(22)の支持のためのワークテーブル(7)が、該ワークテーブル(7)を前記レーザー加工機械(1)の加工領域(2)内へ移動させかつ該加工領域内から外側へ移動させるために、連結されるようになっており、
前記加工領域(2)内における前記管状の工作物(22)の加工時における該管状の工作物(22)の操作のための操作装置(3,4,5,6,23)を含んでおり、
該操作装置は、前記管状の工作物(22)の加工時における該管状の工作物(22)の支えのための少なくとも1つの支持装置(4,5,6,23)を有している形式のものにおいて、
前記支持装置(5,23)は、前記管状の工作物(22)の長手方向(X)に前記加工領域(2)の20%以上に亘って、有利には該加工領域(2)の半分以上に亘って、制御に基づき移動させられるようになっていることを特徴とするレーザー加工機械。
【請求項2】
前記支持装置(5,23)は、前記ワークテーブル(7)のための前記移動装置(8)に若しくはレーザー加工ヘッド(21)のための移動装置(20)に連結されるようになっている請求項1に記載のレーザー加工機械。
【請求項3】
前記移動装置はチェーン駆動部(8)を有している請求項2に記載のレーザー加工機械。
【請求項4】
前記チェーン駆動部(8)は、少なくとも1つの連行体(18)を備えたチェーン(14)を有しており、前記連行体に前記支持装置(5)が連結されるようになっている請求項3に記載のレーザー加工機械。
【請求項5】
前記支持装置(5)は、前記チェーン駆動部(8)の前記チェーン(14)への連結のために、連結装置(15,16)を有しており、該連結装置は、前記チェーン(14)に係合するようになっている請求項3又は4に記載のレーザー加工機械。
【請求項6】
該レーザー加工機械は、前記加工領域(2)内における前記支持装置(5)の移動の際の該支持装置の案内のための案内装置(10,11)を含んでいる請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザー加工機械。
【請求項7】
前記支持装置は、前記管状の工作物(22)のための支え(5)を形成している請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザー加工機械。
【請求項8】
前記支持装置は、前記管状の工作物(22)の通し案内式チャック(23)を形成している請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザー加工機械。
【請求項9】
該レーザー加工機械は、前記管状の工作物(22)のための回転軸としての回転可能なチャック(3)を含んでいる請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザー加工機械。
【請求項10】
該レーザー加工機械は、前記加工領域(2)内で運動可能なレーザー加工ヘッド(21)を含んでいる請求項1から9のいずれか1項に記載のレーザー加工機械。
【請求項11】
該レーザー加工機械は、前記管状の工作物(22)の長手方向(X)での支持装置(5,23)及び前記レーザー加工ヘッド(21)の運動の連結のための制御装置(17)を含んでいる請求項10に記載のレーザー加工機械。
【請求項12】
レーザー加工機械(1)を板状の工作物の加工用から管状の工作物(22)の加工用に装備替えするための方法において、前記管状の工作物(22)の支えのための支持装置(5,23)を、該支持装置(5,23)の、前記管状の工作物(22)の長手方向(X)での加工領域(2)の20%以上に亘る、若しくは有利には加工領域(2)の半分以上に亘る制御に基づく移動のために、前記レーザー加工機械(1)の移動装置(8,20)に連結することを特徴とする、レーザー加工機械の装備替のための方法。
【請求項13】
前記支持装置(5,23)を、ワークテーブル(7)のための移動装置(8)若しくはレーザー加工ヘッド(21)のための移動装置(20)に連結する請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−224659(P2011−224659A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92849(P2011−92849)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(502300646)トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (76)
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann−Maus−Strasse 2,D−71254 Ditzingen,Germany
【Fターム(参考)】