説明

レーザー墨だし方法及びこれに用いる薬剤噴霧装置

【課題】 レーザー光照射による壁面等へのマーキングを人手によることなく転写して墨だしができるレーザー墨だし方法及びこれに用いる薬剤噴霧装置を提供する。
【解決手段】 マーキングすべき壁面1等に感光材料からなる薬剤を塗布し、この薬剤塗布面2にレーザー光4を照射して墨だしを行う。この場合、前記薬剤を噴霧して壁面等に塗布する。また、このとき、薬剤の噴霧器と、該噴霧器を噴霧動作させるアクチュエータと、該噴霧器及びアクチュエータを保持する保持具と、該保持具を先端に装着した伸縮ロッドとからなる薬剤噴霧装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー光を照射して墨だしを行うレーザー墨だし方法及びこれに用いる薬剤噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内部などで墨だしを行う場合、レーザー光を照射してマーキングするレーザー墨だし方法が行われている(例えば特許文献1参照)。レーザー光を用いることにより、高精度で点や直線がマーキングされる。
【0003】
しかしながら、従来のレーザー墨だし方法においては、壁面や天井面にレーザー光でマーキングした状態で、作業員が墨あるいはその他の筆記具でレーザー光のマーキングをなぞって写さなければならなかった。したがって、マーキングの精度は高いものであるが、人手を要するため効率が悪く、特に高い場所での墨だしは脚立などに乗る作業となり不安定な作業であった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−14359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、レーザー光照射による壁面等へのマーキングを人手によることなく転写して墨だしができるレーザー墨だし方法及びこれに用いる薬剤噴霧装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、マーキングすべき壁面等に感光材料からなる薬剤を塗布し、この薬剤塗布面にレーザー光を照射して墨だしを行うことを特徴とするレーザー墨だし方法を提供する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記薬剤を噴霧して壁面等に塗布することを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、薬剤の噴霧器と、該噴霧器を噴霧動作させるアクチュエータと、該噴霧器及びアクチュエータを保持する保持具と、該保持具を先端に装着した伸縮ロッドとからなることを特徴とする請求項2に記載のレーザー墨だし方法を実施するための薬剤噴霧装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、壁面や天井面等のマーキングすべき位置付近に例えば光変色固化性を有する感光性薬剤を塗布し、この薬剤塗布面にレーザー光を照射することにより、レーザー光でマーキングした薬剤が自然に変色して固化するため、人手によりマーキングをなぞることなく、レーザー光による高精度な墨だしができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、スプレー容器などを用いて薬剤を噴霧することにより、壁面や天井面等への薬剤塗布作業が容易にできる。
【0011】
請求項3の発明によれば、特に高い位置の壁面や天井面に薬剤を塗布する場合に、作業員は脚立等に乗ることなく、床上に立ったまま、ロッドを伸ばして手元スイッチの操作により噴霧器のアクチュエータを駆動して薬剤を噴霧することができる。したがって、薬剤噴霧作業が作業員一人で容易に安全にでき、現場での作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の基本構成の説明図である。
マーキングを施すべき壁面1上に光変色固化性を有する感光材料からなる薬剤を塗布して塗布面に薬剤塗膜2を形成する。この薬剤塗膜(薬剤塗布面)2にレーザー照射装置3からレーザー光4を照射する。これにより、レーザー光で照射された部分の薬剤が変色して固化し、レーザー光によるマーキングが壁面に固定される。
【0013】
薬剤としては、X線写真や電子線写真を含む写真技術で用いられる各種感光材料及び青写真法などで用いられる感光材料を用いることができる。具体的には、電子線写真などの写真感光剤として用いるハロゲン化銀、例えば塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀などや重クロム酸塩など及び青写真の感光剤として用いる鉄塩、例えば塩化鉄、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸鉄アンモニウムなどにフェリシアン化カリウムを加えたもの、及びジアゾニウム化合物などを用いることができる。
なお、この場合、使用するレーザー光以外の光には感光しない薬剤を選定する。
【0014】
図2は、本発明のレーザー墨だし方法で用いる薬剤噴霧装置の構成説明図である。
この噴霧装置5は、ノズル6を備えた噴霧器7と、この噴霧器7を固定保持する保持具8と、噴霧器7のノズル6を押圧して噴霧動作させるアクチュエータ9と、保持具8を先端に装着した伸縮ロッド10と、伸縮ロッド10の下端部に備わるアクチュエータ駆動用の手元スイッチ11とにより構成される。噴霧器7には、薬剤ホース12を介して薬剤タンク13を接続してもよい。薬剤ホース12上にポンプ14が備わり、タンク内の薬剤を噴霧器7に供給する。あるいは、霧化用の空気圧供給用のホースを噴霧器7に接続してもよい。
【0015】
作業員は、伸縮ロッド10を伸ばしてこの噴霧装置5を持ち、手元スイッチ11を操作することにより、高い場所の壁面などに薬剤を噴霧することができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、建物内部の壁面等に墨だしを行う場合に高精度の墨だしを容易に効率よく安全に行うことができるようにするための墨だし方法として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の基本構成説明図。
【図2】本発明で用いる薬剤噴霧装置の構成図。
【符号の説明】
【0018】
1:壁面、2:薬剤塗膜、3:レーザー照射装置、4:レーザー光、5:噴霧装置、6:ノズル、7:噴霧器、8:保持具、9:アクチュエータ、10:伸縮ロッド、11:手元スイッチ、12:薬剤ホース、13:薬剤タンク、14:ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキングすべき壁面等に感光材料からなる薬剤を塗布し、この薬剤塗布面にレーザー光を照射して墨だしを行うことを特徴とするレーザー墨だし方法。
【請求項2】
前記薬剤を噴霧して壁面等に塗布することを特徴とする請求項1に記載のレーザー墨だし方法。
【請求項3】
薬剤の噴霧器と、該噴霧器を噴霧動作させるアクチュエータと、該噴霧器及びアクチュエータを保持する保持具と、該保持具を先端に装着した伸縮ロッドとからなることを特徴とする請求項2に記載のレーザー墨だし方法を実施するための薬剤噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−29998(P2006−29998A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209604(P2004−209604)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000222956)東洋熱工業株式会社 (35)
【Fターム(参考)】