説明

レーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法及びレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置

【課題】 高精度な厚みと印刷に好適な表面平滑性による印刷適正が高く且つ完全に継ぎ目のないスリーブ印刷原版を製造することができ、従来のネガフィルム作製工程や溶液現像液工程を不要とすることによる作業性の向上、省資源化及び環境保全を図ること。
【解決手段】 感光性樹脂を押出機2200に注入し、ブリッジシリンダ200と一体化した印刷用スリーブ100をリングダイ2300の内部を走行させながら印刷用スリーブ100の外周面に液状感光性樹脂をシームレス態様で均一な厚みにコーティングした後に、ワーク500を回転させながら高強度な紫外線で露光して光硬化させた感光性樹脂硬化層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー彫刻によるフレキソ印刷版用レリーフ画像の形成、缶印刷などのドライオフセット印刷用レリーフ画像の形成、エンボス加工などの表面加工用パターンの形成、タイルなどの印刷用レリーフ画像形成に適したシームレス(継ぎ目なし)スリーブ印刷用原版に、ディジタル画像データをもとに赤外線レーザービームの選択照射を行い、当該原版に直接画像パターンを形成する印刷版の製造において、感光性樹脂を使用したレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法及びレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルムなどの包装材、壁紙、化粧板などの建築内装材、ラベルなどの印刷用として用いられるフレキソ印刷は、各種の印刷方式の中でも、近年特にその比率を高めている。
このフレキソ印刷に用いられる印刷版は、一般的に感光性樹脂が用いられることが多く、液状の樹脂、或いはシート状に成型された固体樹脂版があり、液状或いは固体版専用の製版装置を使用し、ネガフィルムを介してレリーフ画像が形成された感光性樹脂凸版印刷版が得られ、印刷機の版胴に直接貼り込むか、或いは一旦キャリアシートや印刷用スリーブに貼り込み、そのキャリアシートや印刷用スリーブを版胴に装着して印刷する。
【0003】
また、感光性樹脂固体版には、近年のディジタル画像技術の進展に対応して、ネガフィルムを用いる代わりに、感光性樹脂表面に赤外線レーザーで融除可能な薄い赤外感光層(ブラックレイヤー)を設け、レーザー描画によりマスク画像を作成した後に、このマスクを介して露光を行う構成体(フレキソCTP版と呼ぶ)(特許文献1)や、ディジタル画像情報に基づきフレキソCTP版の赤外感光層を赤外線レーザーにて選択的に融除してマスクを形成する外面ドラム型描画装置(特許文献2)が提示されている。
【0004】
フレキソCTP版では、上記の赤外感光層マスクを介してレリーフ露光を行い、露光された感光性樹脂が光硬化する。この後に、未露光樹脂を塩素系溶剤であるパークロロエチレン(1,1,1−トリクロロエチレン)単独又はn−ブタノールのようなアルコールとの組み合わせ、或いは非塩素系の代替溶剤であるソルビット(商標名、マクダミッド製)のような炭化水素系溶剤現像液で洗い落とすことによりレリーフ画像を形成し、乾燥工程や仕上げ工程(光化学処理や化学処理)を経て、フレキソ印刷版を得るが、このようなフレキソCTP版でも版胴に巻き付けた状態では、やはり通常版と同様に先端と終端との間には、多少なりとも隙間が残るので、シームレス印刷には不適当である。
【0005】
このため、従来の継ぎ目なし(シームレス)エンドレス模様の印刷は、グラビア版による印刷か、加硫されたゴムロールに手彫りで画像を与えた凸版による印刷の何れかの方式に頼ってきた。
グラビア版の製版は、銅シリンダへの感光液の塗布・露光・現像・エッチング・剥膜・クロムメッキなどの一連の複雑な工程を長時間かけて行うため、製版コストが非常に高く、更にセル深度の調整のためにエッチング条件では、非常に微妙なコントロールが要求されるため熟練者の勘に頼る操作に加え、製版工程ではエッチングやメッキなどの操作もあり、廃液公害の発生源となる恐れがある。
【0006】
また、上述した手彫りによるゴムロール凸版は、その作製技術に高い熟練度が要求されることと、手彫りのために細かい図柄が作製不可能であること、更に網点を再現することが出来ないという致命的な欠陥を有する。
しかし、加硫されたゴムは浸蝕性が強い溶剤とともに使用でき、更に良好なインキ転写性、高い弾力性、高い圧縮性を併せ持つとされ、最近ではディジタル画像処理技術やレーザー彫刻技術の進歩により、手彫りに代わり、ディジタル画像信号に基づいて赤外線レーザーで直接ゴムロールを彫刻して凸版印刷版を得ることが可能となっている。
【0007】
商業的に使用されているゴムには、天然物或いは合成物がある。合成ゴムの例として、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーエラストマー(EPDM)があり、これを用いてレーザー彫刻可能なフレキソ印刷版材を提供することができる。天然ゴム又は合成ゴムから製造されるフレキソ印刷版材は、化学的な架橋を行うために硫黄、硫黄含有化合物又は過酸化物による加硫を必要とする。更に、このように加硫された後、印刷に適する均一な厚さと平滑な表面とを得るための研磨を必要とする。これは著しく時間を要し、また作業性が悪くもある。
【0008】
このため、上記のような不具合を解消するために、凸版印刷分野で広く使用されている製法上有利な感光性重合体(液状或いはシート状の固体樹脂版)を応用した数多くのスリーブ印刷原版の製造方法及び装置の提案は、枚挙にいとまがない。
スリーブ上に印刷版を設ける方法として、溶剤で希釈した液状感光材樹脂を用いた継ぎ目なし(シームレス)の連続印刷パターンが印刷可能な版材を製造する方法が知られている(特許文献3)。この特許文献3では、エンドレス状の素材を回転させ、当該回転表面に液状感光性樹脂を供給し、ドクターで平滑化する製造方法を提示している。
【0009】
また、特許文献4では、溶剤で希釈した液状感光材樹脂を噴霧、浸漬、塗布ローラ、カーテンコーター、或いはノズル押出方式にて塗布し、乾燥させて溶剤を気化させる方式を提示している。
また、液状感光性樹脂の代わりに、感光性樹脂固体版を応用した数多くのスリーブ印刷原版の製造方法及び装置も数多く提案されている。
【0010】
例えば、特許文献5では、複数枚の熱可塑性感光性フィルムをシリンダに重ね合わせて巻き付け、加圧・加熱にて得られた一体化した感光性フィルムを正確な寸法にした後、機械的な圧縮、研削或いは研磨による整形処理を施し、カレンダー仕上げする製造方法を提示している。
また、特許文献6では、マンドレルで支持されたスリーブ外周面に、熱可塑性の感光性樹脂を加熱して溶融状態にしておき、カレンダーロール方式による圧延艶出しにてシームレススリーブを製造する方法及び装置を提示している。
【0011】
また、液状感光性樹脂を用いた継ぎ目なし(シームレス)の連続印刷パターンが印刷可能な版材を製造する方法も、本出願人による出願にて知られている(特許文献7)。
この特許文献7では、シリンダを回転させながらシリンダ外周面に液状感光性樹脂を供給する塗布工程、当該塗布された液状樹脂層に活性光線を照射して樹脂硬化層を形成させる露光工程によりシームレス印刷用原版を製造する方法及び製造装置を提示している。
【0012】
特許文献8には、印刷用スリーブの外周面に感光性、ことに光重合性の記録用フィルムで被覆して、無端連続層を形成することは公知の技術であり、一例として溶媒塗層或いはリングダイ押出しのような無端フィルム層の直接形成法との記載がある。当技術は溶媒で希釈した液状の感光材樹脂をリングダイ押出方式で印刷用スリーブに塗布した後に、液状の感光材樹脂層を乾燥させて溶媒を蒸散させ、感光材樹脂層を固化させたものであると当時の技術トレンドから推測される。
【0013】
【特許文献1】特開平11−153865号公報
【特許文献2】特開平8−300600号公報
【特許文献3】特開昭52−62503号公報
【特許文献4】特開昭52−32704号公報
【特許文献5】特開昭63−202751号公報
【特許文献6】特許第3209928号公報
【特許文献7】JP2004−005839号公報
【特許文献8】特開昭63−202752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上述した従来のスリーブ印刷原版の製造方法及び製造装置においては、次のような問題がある。
感光性樹脂固体版から継ぎ目なしの凸版印刷版材を得ようとした場合、一般的に、上記特許文献5及び6のようにシリンダ表面に感光性樹脂固体版を巻き付け、端縁部の突き合わせ接合箇所をカレンダーロール等により加圧・加熱して融着させた後に、前述のゴムの場合と同様に版厚均一化と表面平滑化のための研削や研磨工程が行われる。更に、ネガフィルムの代替として、例えば、上記特許文献1のように表層部にピンホールのない均一なカーボンブラックレイヤーを形成し、上記特許文献2のようなディジタル制御されたレーザー描画装置により選択的にカーボンブラックレイヤーを融蝕除去してマスクを制作し、公知の露光、溶剤現像、乾燥、後露光などの工程を経ることによって、継ぎ目のない凸版印刷版が得られる。
【0015】
しかし、上述でも指摘したように完全に継ぎ目がないとは言い難く、しばしば継ぎ目における印刷物の非連続性が問題となる。
上記特許文献3及び4においては、何れも塗布前に感光性樹脂を溶剤で希釈し、塗布後に溶剤を蒸散させて感光性樹脂層を固化させているため臭気や公害の問題、或いは真空吸引を使わずネガフィルムを単に圧接させただけで露光しているため、ネガフィルムと感光性樹脂層との密着不良による画像の太りによる再現性の問題、或いは液状樹脂の宿命である気泡の巻き込み、シームレス印刷版としてのトータル精度が実用域に収まらないなど液状樹脂成型上の問題から実用化までには至っていない。
【0016】
上記特許文献7においては、ドクターブレード上に供給された液状感光性樹脂を印刷用スリーブに塗布するため、塗布終了まで充分な液状感光性樹脂がドクターブレード上に供給されていないと、塗布される感光性樹脂層に大きな気泡が発生する。この樹脂供給量は印刷用スリーブに塗布される樹脂量の約1.5倍必要であることが著者の実験で分かっており、塗布されない余分な感光性樹脂は無駄に消費されて製造コストが高くなる。また、ドクターブレードとスリーブ外周面に塗布された樹脂が分離する瞬間にて、液状樹脂の粘着性のため、既に塗布厚みが均一化された液状樹脂層の一部にドクターブレード側で保持している液状樹脂が転移して塗布厚みムラや凸部の欠陥となって平滑性が損なわれるため、印刷版の精度が印刷適用範囲外となって印刷不良を引き起こす。また、塗布工程で発生した気泡がドクターブレード上の液状感光性樹脂に混入するため、印刷用スリーブ1回転毎の塗布厚は、ドクターブレードと塗布された感光性樹脂表層の隙間を気泡が通過しない距離(約0.1mm)で制御せざるをえず、塗布厚みが厚くなると塗布工程が長時間となり生産性が低いなど幾つかの問題を抱えている。
【0017】
上記特許文献8においては、上記特許文献3及び4の例と同様に、塗布前に感光性樹脂を溶剤で希釈し、塗布後に溶剤を蒸散させて感光性樹脂層を固化させているため臭気や公害の問題や、乾燥工程中の未だ液状である感光性樹脂層の変形や、固化前の感光性樹脂層と接触すると感光性樹脂層にダメージを与える不具合があるため、塗布完了後から乾燥工程迄印刷用スリーブの取り扱いをどうするかなどの問題を抱えている。
【0018】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高精度な厚みと印刷に好適な表面平滑性による印刷適正が高く且つ完全に継ぎ目のないスリーブ印刷原版を製造することができ、従来のネガフィルム作製工程や溶液現像液工程を不要とすることによる作業性の向上、省資源化及び環境保全を図ることができるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法及びレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、感光性樹脂を用いたレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法において、押出機に注入された感光性樹脂をリングダイから円形状に定量供給する樹脂供給工程と、スリーブを前記リングダイの内部を通過させながら当該スリーブの外周面に一様な厚みに感光性樹脂をコーティングする塗布工程と、前記コーティングされた感光性樹脂層に紫外線を照射することにより赤外線レーザーにて彫刻可能なように光硬化させてシームレス態様の感光性樹脂硬化層を形成する露光工程とを含むことを特徴とする。
この方法によれば、スリーブの外周面にシームレス態様にてコーティング厚みが均一で平滑な感光性樹脂硬化層を形成することができる。
【0020】
また、本発明の請求項2によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項1において、前記スリーブは、ブリッジシリンダの外周面に装着して一体化させ、円筒形状を保持するための強度補強されたスリーブであることを特徴とする。
この方法によれば、スリーブの材質や厚みに無関係に任意のスリーブの外周面に感光性樹脂硬化層を形成することができる。
【0021】
また、本発明の請求項3によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項1または2において、前記塗布工程と前記露光工程との間に、前記スリーブ及び前記スリーブ付きブリッジシリンダの何れかの内周面にキャリアシリンダを挿入してキャリアシリンダと一体となったスリーブ及び、スリーブ付きブリッジシリンダの何れかを搬送する引取工程と、冷却手段によりコーティングされた液状の感光性樹脂層を固化或いは粘性流動を低下させる冷却工程との少なくとも1つを更に備えたことを特徴とする。
【0022】
この方法によれば、キャリアシリンダに設けられたジャーナルを挟持することにより、スリーブ或いはスリーブ付きブリッジシリンダの搬送及び回転が自在となり、スリーブ外周面にコーティングされた感光性樹脂層と接触しないで簡単にスリーブを引取ことが可能となる。また、コーティングされた液状の感光性樹脂層を冷却することにより、感光性樹脂層が固化或いは流動抵抗が増えるため、重力や遠心力による感光性樹脂層の変形や樹脂液が滴り落ちる現象を防止することができる。
【0023】
また、本発明の請求項4によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項1において、前記感光性樹脂硬化層の表面を整形する整形工程及び前記スリーブ印刷原版を輪切り態様で複数版に分割する切断工程の少なくとも1つを更に含むことを特徴とする。
この方法によれば、感光性樹脂硬化層の表面を整形するので、高精度な厚みと印刷に好適な表面平滑性を有し、1本のスリーブ印刷原版から複数本のスリーブ印刷原版が容易に製造可能となる。
【0024】
また、本発明の請求項5によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項4において、前記整形工程及び前記切断工程の何れかの後に、洗浄手段により前記感光性樹脂硬化層を洗浄する洗浄工程と、乾燥手段により前記感光性樹脂硬化層を乾燥させる乾燥工程とを更に含むことを特徴とする。
この方法によれば、整形工程及び切断工程で感光性樹脂硬化表層に発生する整形屑、切断屑及びゴミを容易に洗い流し、洗浄液が付着した感光性樹脂硬化層を乾燥させることが可能となる。特に、粘着性の強い感光性樹脂表層の場合には、温水洗浄或いはスチーム洗浄が効果的である。
【0025】
また、本発明の請求項6によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項5において、前記洗浄工程及び前記乾燥工程の何れかの後に、感光性樹脂硬化層に再度紫外線を照射する後露光工程を更に含むことを特徴とする。
この方法によれば、感光性樹脂硬化層の印刷版としての物性向上及び表面粘着性除去を行うことができる。
【0026】
また、本発明の請求項7によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項1において、前記樹脂供給工程が、異なる感光性樹脂を複数の押出機に注入して、多色リングダイから前記スリーブの外周面にエンドレス態様で異なる感光性樹脂を積層コーティングする樹脂複層供給工程であることを特徴とする。
この方法によれば、異なる硬化物性を有する多層の感光性樹脂硬化層を形成することが可能となり、多様な印刷環境及び品質要求に対応できる。
【0027】
また、本発明の請求項8によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項1において、前記スリーブの外周面には、感光性樹脂硬化層を強固に固定するための接着剤層の形成、或いは柔弾性を有するクッションテープが貼り込まれ該テープ最外周面が感光性樹脂硬化層を強固に固定するための表面特性を有することを特徴とする。
この方法によれば、多様な印刷環境及び品質要求に対応できる。
【0028】
また、本発明の請求項9によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法は、請求項1において、前記樹脂供給工程において、注入される感光性樹脂が液状感光性樹脂であり、樹脂粘度は、20℃において6Pa・s以上で50kPa・s以下であり、前記露光工程の紫外線は、波長域200〜400nmで且つ紫外線強度が10mW/cm以上であることを特徴とする。
【0029】
この方法によれば、液状感光性樹脂の粘度を、20℃において6Pa・s以上で50kPa・s以下としたので、重力や回転による遠心力などに影響されずに感光性樹脂層のコーティング形状を保持することができる。また、露光用の紫外線に、波長域200〜400nmで且つ紫外線強度が10mW/cm以上のものを用いることによって、印刷適正を向上させた感光性樹脂硬化層を形成することができ、当該感光性樹脂硬化層が波長域0.7〜15マイクロメーターの赤外線レーザーにて彫刻可能となる。このように、高強度な紫外線を照射することによって感光性樹脂硬化層の印刷適正を向上させると、低強度の蛍光灯型紫外線光源と比較して耐ノッチ性が約2倍向上して欠けにくくなると共に、ショアAで約5度硬度が低下してベタのインクの載りが改良される。
【0030】
また、本発明の請求項10によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、感光性樹脂を用いたレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置において、押出機に注入された感光性樹脂をリングダイに定量の押出し、該リングダイから円形状に感光性樹脂を供給する樹脂供給機構と、前記リングダイの内部を通過するスリーブの外周面に一様な厚みに感光性樹脂をコーティングするスリーブ供給機構と、そのコーティングされた感光性樹脂層に紫外線を照射する紫外線照射機構とを備えたことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、感光性樹脂を押出機に注入し、該押出機から定量の該感光性樹脂をリングダイに押出、該リングダイから円形状に該感光性樹脂を供給することによって、該リングダイ内部を通過するスリーブの外周面に一様厚みに感光性樹脂をコーティングし、該コーティングされた感光性樹脂層に紫外線を照射することにより、スリーブ外周面にシームレス態様で高精度な厚みと、印刷に好適な表面平滑性を有する感光性樹脂硬化層が形成されたスリーブ印刷原版が容易に製造可能となる。
【0032】
また、本発明の請求項11によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項10において、ブリッジシリンダと連結及び分離が可能であり、前記連結時に前記スリーブを当該ブリッジシリンダと一体化する圧気供給機構とを更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ブリッジシリンダと圧気供給機構を連結させ、該圧気供給機構から供給された圧気が中空状のブリッジシリンダ外周面に点在する圧気吹き出し口より吹き出し、前記スリーブを膨らませながら挿入することにより該ブリッジシリンダに装着され、圧気を遮断すれば該スリーブが締まってブリッジシリンダとの一体化が可能となるため、スリーブが変形しやすい薄肉タイプの場合でも、外力に対して容易に変形しない構成体となる。
【0033】
また、本発明の請求項12によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項10または11において、キャリアシリンダを有するスリーブの引取機構と、コーディングされた液状の感光性樹脂を冷却して固化或いは粘性流動を低下させる冷却機構との少なくとも1つを更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、前記スリーブ或いは前記スリーブ付きブリッジシリンダの内周面にキャリアシリンダを挿入してキャリアシリンダと一体となったスリーブ或いはスリーブ付きブリッジシリンダを搬送することが可能となるため、前記引取機構がコーティングされた感光性樹脂層と接触してダメージを与えることもなく安全に露光工程へ搬送することが可能となる。また、コーティングされた液状の感光性樹脂層を強制冷却することが可能となるため、感光性樹脂層を固化或いは粘性流動を低下させ、感光性樹脂硬化層が形成するまでの重力や回転遠心力による変形作用や滴下作用を防止することが可能となる。
【0034】
また、本発明の請求項13によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項10において、前記感光性樹脂硬化層の研削機構、研磨機構及び切断機構の少なくとも1つを更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、感光性樹脂硬化層の表面を整形することができるので、より高精度の表面厚みと印刷に好適な表面平滑性が得られるし、切断することで、1本のスリーブ印刷原版から複数のスリーブ印刷原版を製造することが可能となり生産効率が向上する。
【0035】
また、本発明の請求項14によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項13において、前記感光性樹脂硬化層を洗浄する洗浄機構と、その洗浄された感光性樹脂硬化層を乾燥させる乾燥機構とを更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、前記整形工程及び前記切断工程において発生する粉体状の研削屑、研磨屑や切断屑に洗浄液を吹き付けて感光性樹脂硬化層から洗い流すため、表面が綺麗で乾いた感光性樹脂硬化層を得ることが可能となる。
【0036】
また、本発明の請求項15によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項14において、前記感光性樹脂硬化層の洗浄或いは乾燥後に、当該感光性樹脂硬化層に再度紫外線を照射する後露光用紫外線照射機構を更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、レリーフ画像の印刷版としての十分な物性向上及び表面粘着性除去効果を得ることができる。
【0037】
また、本発明の請求項16によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項10において、前記樹脂供給機構は、リングダイを多色リングダイに代え、この多色リングダイから複数の感光性樹脂を積層状態に供給する樹脂複層供給機構であることを特徴とする。
この構成によれば、物性の異なる複数の感光性樹脂層を形成することが可能となるので、多様な印刷環境や印刷品質要求に応えることが可能となる。
【0038】
また、本発明の請求項17によるレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置は、請求項10において、前記押出機は、感光性樹脂を温度制御する温調機構及び脱気するベント機構を更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、押出機に注入された感光性樹脂を加熱することにより、固体感光性樹脂の液状化或いは高粘度液状感光性樹脂の押出が容易となり、感光性樹脂組成選択の幅が広がり、感光性樹脂を脱気して供給することが可能となるため、感光性樹脂硬化層に気泡による空隙欠損部がない品質良好なスリーブ印刷原版の製造が可能となる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように本発明によれば、感光性樹脂をリングダイから押出ながら、スリーブをリングダイの内部を通過させることによって、スリーブの外周面に一様厚みに感光性樹脂をコーティングする。この後、コーティングされた感光性樹脂層に紫外線を照射して光硬化させることで、厚みが均一で平滑な感光性樹脂硬化層を形成することができる。
また、感光性樹脂硬化層の表面を整形するので、高精度な厚みと、印刷に好適な表面平滑性を有するスリーブ印刷原版(シームレス印刷用原版ともいう)が容易に製造可能となり、更に、高強度の紫外線露光によって感光性樹脂硬化層の印刷適正の改善を図ることができる。
従って、高精度な厚みと印刷に好適な表面平滑性による印刷適正が高く且つ完全に継ぎ目のないスリーブ印刷原版を製造することができ、従来のネガフィルム作製工程や溶液現像液工程を不要とすることによる作業性の向上、省資源化及び環境保全を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のスリーブ印刷原版の製造方法が容易に実施可能な製造装置を、図面に基づいて言及しながら、本発明のスリーブ印刷原版の製造装置の一実施の形態を説明する。
但し、本発明は、以下の説明及び図1〜図4により理解されるものであるが、本発明の実施の形態が、それらに限定されるものではない。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係るスリーブ印刷原版の製造装置(本製造装置と称す)の概略構成を説明するための側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るスリーブ印刷原版の製造装置の概略構成を説明するための平面図である。
これら図1及び図2に示す本製造装置は、ブリッジシリンダに装着され一体化した印刷用薄肉スリーブの外周面に、リングダイ押出方式にて均一な厚みで、且つ気泡などの欠陥が生じないように液状の感光性樹脂をエンドレス態様でコーティングした後に、コーティングされた液状の感光性樹脂層を強制冷却装置で冷却して樹脂の粘度を上げ、露光硬化工程までの間に重力や遠心力などの作用により感光性樹脂層が変形或いは樹脂液が滴下することを防止する。次に、高強度の紫外線露光により、コーティングされた感光性樹脂層を光硬化させ印刷適正が向上した樹脂硬化層を形成する。次に、整形及び切断の一連の機械加工を行うが、このような機械加工の後には洗浄処理を行うことにより、機械加工で発生する加工屑やゴミを樹脂硬化層から洗い流し、更に樹脂硬化層表面の水分を乾燥させることによって印刷に好適なスリーブ印刷原版を製造するものである。
【0042】
図3は印刷用スリーブ100が、ブリッジシリンダ200に挿入されてブリッジシリンダと一体化した構成体400(以降ブリッジスリーブと呼ぶ)の説明図である。
図4は上記のブリッジスリーブ400が、キャリアシリンダ300に挿入されてキャリアシリンダと一体化した構成体500(以降ワークと呼ぶ)の説明図である。
ブリッジシリンダ本体210とキャリアシリンダ本体310の外周面には圧気吹き出し孔230・350備えているため、挿入する物体を圧気で膨張させて容易に挿入することが可能となる。また、外部コンプレッサ(図示なし)から供給される圧気をシリンダの内部に導く圧気供給口220・340を備えている。また、キャリアシリンダ本体310には、両端にハンドリング用のジャーナル320及び330が設けられた構造となっている。
【0043】
本製造装置は、図1及び図2に示すように、印刷用スリーブ100の供給手段としては、予め印刷用スリーブ100がブリッジシリンダ200に挿入されているブリッジスリーブ400を複数本数収納可能なブリッジスリーブストック装置1000と、スリーブ供給機構1100とを備えている。また、ブリッジスリーブストック装置1000は収納しているブリッジスリーブ400をスリーブ供給機構1100のセット位置まで次々と送り出す機構(図示なし)を備え、スリーブ供給機構1100はセットされたブリッジスリーブ400の後端部を押しながらリングダイ2300内部に移送するコンベア機構1200を備えている。
【0044】
感光性樹脂の一例として、本実施の形態では液状の感光性樹脂を例に説明するが、液体や固体などの感光性樹脂の性状に限定されるものではない。
感光性樹脂の供給手段としては、液状感光性樹脂を収容する樹脂タンク2000と、樹脂タンク2000から液状感光性樹脂を押出機2200に定量注入する圧送ポンプ2100と、注入された液状感光性樹脂をリングダイ2300に定量押し出す押出機2200とを備えている。また、上記の押出機2200は、液状感光性樹脂の粘度を下げて負荷を小さくする或いはペレット状の感光性樹脂を液状化するための温度制御機構(図示なし)と、液状の感光性樹脂が気泡を含まないように真空脱気方式のベント機構(図示なし)とを装備してあることが好ましい。また、上記の樹脂タンク2000には、レベルセンサにより収容している液状感光性樹脂の容量計測が可能であり、樹脂タンク2000から押出機2200までの液状感光性樹脂の注入経路には、液状感光性樹脂の温度を安定(最終目的は樹脂粘度を安定させて圧送ポンプ2100の定量供給性能を上げる)させるための温度制御機構(図示なし)が装備してあることが好ましい。
【0045】
印刷用スリーブ100の外周面に液状感光性樹脂がコーティングされたブリッジスリーブ400を引き取る手段としては、キャリアシリンダ300を複数本収納可能であるキャリアシリンダストック装置3000と、チャック手段(図示なし)にてキャリアシリンダ300のジャーナル320を挟持して片持ち態様で移送しつつ、圧気吹き出し孔350から圧気を噴出させてブリッジスリーブ400を膨張させながらブリッジスリーブ400内部に挿入してブリッジスリーブ400とキャリアシリンダ300とを一体化させた後にワーク500を引き取る機構3100と、引取機構3100のチャックを解放し引取機構3100から切り離されたワーク500を露光工程に送り出す搬送コンベア3200と、コーティングされた感光性樹脂層に冷却風を吹き付けるための強制冷却装置2500とを備えている。また、固体状感光性樹脂であれば強制冷却装置2500に代えて、一般的なパイプ被覆用押出成型機で採用されている冷却水槽(図示なし)を使用して、加熱により液状化している感光性樹脂を固体化することも可能である。
【0046】
コーティングされた感光性樹脂層を露光する手段としては、高強度な紫外線を発生しワーク500の外径に応じて昇降可能な機構4100を有する露光ユニット4000と、ワーク500を連結し所定位置で連続回転させる回転連結機構4300と、搬送コンベア(図示なし)を有するワークストック装置4400とを備えている。また、ワークストック装置4400には、ワーク500のジャーナル320及び330を保持して次工程へ移送するワーク搬送装置4500Aを備えている。
【0047】
高強度な紫外線を発生させ、且つワーク500の幅に対応したロングアーク光源として、本実施の形態では、紫外線波長域200〜400nm(ナノメートル)を主体に発光するメタルハライドランプ4200を例示しているが、感光性樹脂に添加されている光増感剤の吸収スペクトルに応じて、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、マイクロウエーブ式無電極型紫外線ランプ、及びその他の高強度な紫外線ランプなどの、効率的な波長域で発光するものを選択することが好ましい。
【0048】
感光性樹脂硬化層を整形する手段としては、ワーク500をチャック機構と芯押し台(図示なし)で連結して連続回転させる旋盤態様の回転連結機構5100Aを4セット有するメリーゴーランド状のワーク回転装置5000Aと、ワーク回転装置5000Aの外周に配置されて、時計回りで90度の位置にはワーク500軸心に対し線形移動可能な砥石荒研削装置5200と、180度の位置にはスイング可能なブラシ洗浄装置5500と、270度の位置にはワーク500軸心に対し線形移動可能な砥石仕上げ研削装置5600とを備えている。更に180度の位置には、ブラシ洗浄装置5500の他に、ワーク外径測定時に、移送機構5400にて待機位置から該位置に移動させられる昇降可能なレーザー検知方式のワーク外径計測装置5300とを備えている。また、砥石研削装置5200,5600のその他の付帯設備として、真空吸引機構及びエアーブラスト機構(図示なし)を備えることによって研削屑を効率的に集塵する構造となっていることが好ましい。また、砥石仕上げ研削装置5600には研削液を供給して湿式研削が可能な構造となっていることが好ましい。また、ワーク回転装置5000Aの原点には、ワーク500のジャーナル320及び330を保持して次工程へ移送するワーク搬送装置4500Bを備えている。
【0049】
研削された感光性樹脂硬化層の研磨及び切断手段としては、上記ワーク搬送装置4500Bにて移送されたワーク500を、チャック機構と芯押し台(図示なし)で連結して連続回転させる旋盤態様の回転連結機構5100Bを4セット有するメリーゴーランド状のワーク回転装置5000Bと、ワーク回転装置5000Bの外周に配置されて、時計回りで90度の位置にワーク500軸心に対し線形移動可能な研磨装置6000と、180度の位置にワーク500軸心に対し線形移動可能で洗浄及び水切り手段を有する切削装置6100とを備えている。更に180度の位置には、切削装置6100の他に、上記研削工程のワーク外径測定と同様にワーク外径計測装置5300にて研磨終了後のワーク外径が測定可能な構造となっている。更に、切削装置6100には洗浄水噴射機構と圧気噴射機構とを備えている。また、研磨装置6000及び切削装置6100のその他の付帯設備として、真空吸引機構及びエアーブラスト機構(図示なし)を備えることによって研磨屑及び切削屑を効率的に集塵する構造となっていることが好ましい。また、研磨装置6000には研磨液を供給して湿式研磨が可能な構造となっていることが好ましい。
【0050】
感光性樹脂硬化層表層の乾燥手段としては、送風機構を有する強制乾燥装置7000とワーク搬送コンベア7100とを備えている。また、上記の機械加工終了後に感光性樹脂硬化層が粘着性を有する場合には、強制乾燥装置7000の後に露光ユニット4000と同様の後露光用露光ユニット(図示なし)を備えることが好ましい。
このような構成の本製造装置を用いたスリーブ印刷原版の製造方法を説明する。
【0051】
本実施の形態で使用される液状感光性樹脂は、塗布厚みが0.1〜5mmと厚く塗布されるため、重力や回転による遠心力などに影響されず、塗布形状を保持するためには高粘度が必要であることから、6Pa・s以上で50kPa・s以下(20℃)、より好ましくは100Pa・s以上20kPa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以上10kPa・s以下の粘度を有する液体感光性樹脂が好ましい。
【0052】
本実施の形態で使用した液状感光性樹脂は、プレポリマー:67重量部、モノマー:33重量部、フィラー:5.14重量部、添加剤:2.8重量部、光重合開始剤:1〜2重量部を組成とし、粘度は340Pa・s(20℃)である。
プレポリマー:ポリカーボネート系ポリウレタン末端メタクリレート。
モノマー:ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールモノメタクリレート。
フィラー:珪酸系無機質充填材(球状、多孔質)。
添加剤:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン。
光重合開始剤:ベンゾフェノン。
印刷用スリーブ100は、厚みが0.1〜数十mmのFRP(Fiber Reinforced Plastic)製或いはプラスチック製或いは金属製であり、本製造装置においては、ワーク幅1000mm、外径200〜500mmまで対応可能となっている。
【0053】
また、印刷用スリーブ100の外周面には、例えば、液状感光性樹脂の光硬化過程で接着力が増強されるような表面処理、或いはスーパーX No.8008(セメダイン社製)のような接着剤の塗布、或いは柔弾性を有するクッションテープの貼り込み、或いは当該テープ最外周面に前記の表面処理が予め施されていることが好ましい。
図1及び図2で示すように、印刷用スリーブ100は予めブリッジシリンダ200に挿入され一体化したブリッジスリーブ400としてブリッジスリーブストック装置1000に、キャリアシリンダ300はキャリアシリンダストック装置3000に載置しておく。
【0054】
液状感光性樹脂の供給工程は、樹脂タンク2000に収容されている液状感光性樹脂を圧送ポンプ2100にて押出機2200へと定量送液し、押出機2200からリングダイ2300に液状感光性樹脂を定量押し出しする。更に、リングダイ2300から円形状に液状感光性樹脂を供給しつつ、ブリッジスリーブストック装置1000から移送されてスリーブ供給機構1100にセットされているブリッジスリーブ400が、コンベア機構1200にてリングダイ2300の軸心方向へと移動しながらリングダイ2300の内部を通過することによって印刷用スリーブ100の外周面に厚みが均一でエンドレス態様の液状感光性樹脂層が形成される。また、押出機2200に備えられた温度制御機構にて感光性樹脂の粘度を下げて押出効率を上げたり、真空脱気方式のベント機構により樹脂内部の気泡を除去したりすることが好ましい。但し、ブリッジスリーブ400のリングダイ移動速度は0.3〜3m/分が好ましい。
【0055】
ブリッジスリーブ400がリングダイ2300を通過すると、強制冷却装置2500にてコーティングされた液状感光性樹脂層が冷却されて樹脂粘度が上がり、重量や回転による遠心力などで容易に変形しなくなる。また、ブリッジスリーブ400の先端が強制冷却装置2500を通過したタイミングにて、キャリアシリンダストック装置3000に収納されているキャリアシリンダ300の一方のジャーナル320をチャックで挟持して片持ち態様で引取機構3100にて保持されたキャリアシリンダ300が強制冷却装置2500の軸心方向へと移動する。
【0056】
キャリアシリンダ300の移動中に、圧気吹き出し孔350から圧気を噴出しつつ、ブリッジスリーブ400の内部にキャリアシリンダ300が挿入される。挿入工程が終了すると、キャリアシリンダ300の移動と圧気が停止し、ブリッジスリーブ400は一体となったキャリアシリンダ300と一緒にワーク500として搬送コンベア3200方向に引き取られる。
【0057】
ワーク500が所定位置に到達すると、引取機構3100はチャックを解放してワーク500を切り離し、搬送コンベア3200に載置する。次に、ワーク500は搬送コンベア3200にて回転連結機構4300位置まで移動して回転連結機構4300にて回転可能な状態となる。
また、露光ユニット4000は昇降機構4100にてワーク500の外径に応じて適宜所定高さまで移動し、ワーク500の回転と共に、既に点灯しているメタルハライドランプ4200の紫外線出力を待機状態から露光状態へと約2〜4倍増加させ、メカニカルシャッター(図示なし)が開の状態に移行して紫外線露光工程がスタートし、印刷用スリーブ100の外周面にコーティングされた液状感光性樹脂層は光硬化して樹脂硬化層へと遷移する。
【0058】
露光量は、紫外線積算光量計或いは紫外線強度計と露光時間で制御されることが好ましい。また、波長域200〜400nmの紫外線で、且つ紫外線強度が10mW/cm以上、より好ましくは50mW/cm以上、更に好ましくは100mW/cm以上である高強度な紫外線を照射することによって印刷適正を向上させた感光性樹脂硬化層を形成し、当該感光性樹脂硬化層が波長域0.7〜15マイクロメーターの赤外線レーザーにて彫刻可能となることが好ましい。
【0059】
上記のように、高強度な紫外線を照射することによって感光性樹脂硬化層の印刷適正を向上させると、低強度の蛍光灯型紫外線光源と比較して耐ノッチ性が約2倍向上して欠けにくくなると共に、ショアAで約5度硬度が低下してベタのインクの載りが改良される。
また、露光工程終了後の感光性樹脂硬化層の厚み精度はコーティング厚みの約10%以下に収めることが可能であるが、中級或いは高級な印刷品質を要求されるスリーブ印刷原版の厚み精度としては今一歩であるため、整形工程が必要となる。
【0060】
上記の露光工程が完了すると、回転連結機構4300からワーク500が外されワークストック装置4400へと移送される。ワークストック装置4400に収納されたワーク500は、ワーク搬送装置4500Aにてジャーナル320及び330を保持されて整形工程に移送される。
整形工程に移送されたワーク500は、ワーク回転装置5000Aに装備してあるチャック機構と芯押し台(図示なし)を有するワーク回転連結機構5100Aにてジャーナル320及び330を挟持されて連続回転が可能な状態となる。次に、ワーク回転装置5000Aが時計方向へ90度の位置まで回転した後に、ワーク回転連結機構5100Aにてワーク500を回転させながら、砥石荒研削装置5200に備えた砥石が回転を初め、砥石荒研削装置5200は所定速度でワーク500軸心方向に線形移動しながら荒研削加工がスタートする。荒研削加工が終了すると、ワーク500の回転及び砥石の回転が停止して、砥石荒研削装置5200は待機位置へと復帰する。また、荒研削加工中は、真空吸引機構及びエアーブラスト機構(図示なし)を作動させて研削屑を集塵している。
【0061】
次に、回転装置5000Aが時計方向へ更に90度の位置まで回転した後に、ブラシ洗浄装置5500に備えたロータリブラシがスイング機構(図示なし)にてワーク500の感光性樹脂硬化層と接触する位置に到達する。次に、ワーク回転連結機構5100Aにてワーク500を回転させながら、ロータリブラシを強制回転させて、ロータリブラシに洗浄液を流すことにより、ワーク500の感光性樹脂硬化層に付着している研削屑を洗い落とす洗浄工程がスタートする。
【0062】
この洗浄工程が終了すると、ワーク500の回転及びロータリブラシの回転を停止してブラシ洗浄装置5500はスイング機構にて待機位置へと移動する。この後、ワーク外径計測装置5300がワーク外径計測装置移送機構5400にて待機位置からワーク外径測定位置まで移動して、所定位置まで降下したらワーク500の外径をレーザー測長方式にて測定する。
【0063】
外径測定が終了すると、ワーク回転装置5000Aが時計方向へ更に90度の位置まで回転した後に、ワーク回転連結機構5100Aにてワーク500を回転させながら、砥石仕上げ研削装置5600に備えた砥石が回転を初め、砥石仕上げ研削装置5600は所定速度でワーク500軸心方向に線形移動しながら仕上げ研削加工がスタートする。仕上げ研削加工が終了すると、ワーク500の回転及び砥石の回転が停止して、砥石仕上げ研削装置5600は待機位置へと復帰する。また、仕上げ研削加工中は、真空吸引機構及びエアーブラスト機構(図示なし)を作動させて研削屑を集塵している。
【0064】
次に、ワーク回転装置5000Aが時計方向へ更に90度の位置まで回転して原点位置へと復帰する。この原点位置にてワーク500はワーク回転連結機構5100Aから外され、待機しているワーク搬送装置4500Bにセットされて研磨工程へと移送される。
上記の研削工程では、先ずワーク500を所定回転速度(標準的なゴム研削と殆ど同じ条件:ワーク外径が250mmφの場合で600〜1300rpm)で回転させ、次に待機位置にある砥石研削装置5200及び5600がワーク500先端から所定距離にある研削開始位置に移動して砥石研削装置5200及び5600に備えた砥石を回転させて研削加工がスタートする。最初の研削加工は荒研削で、次研削は仕上げ研削と呼んでいる。荒研削で使用する砥石はGC60〜120HH或いはGC60〜120GG(テイケン社製)の粒度の粗いものを使用しており、仕上げ研削ではGC150〜250HH或いはGC150〜250GG(テイケン社製)の粒度の細かいものを使用している。
【0065】
砥石の標準回転数は、どちらもワークの外周長に応じて600〜1300rpm前後であり、所定送り速度はワーク500の外周長に応じて、荒研削での送り速度は大凡1.5〜5m/分、仕上げ研削での送り速度は大凡0.1〜0.5m/分で、研削量は荒研削では1〜10μm前後、仕上げ研削では0.1〜1μm前後に設定している。
研削完了後の樹脂硬化層表面のRa(平均表面粗さ)は、0.1〜0.2μm前後と紙印刷などには殆ど影響を与えない表面平滑度を得ることが可能である。
また、所望のRaに応じて砥石仕上げ研削装置5600には、研削液注入機構(図示なし)にて研削液を砥石に供給することが好ましい。また、砥石と樹脂硬化層加工表面に冷風を高速で吹き付けることにより、加工面の冷却効果に加え、研削屑の樹脂硬化層への再溶着を防止することが好ましい。
【0066】
研磨工程に移送されたワーク500は、上記の研削工程と同様にワーク回転装置5000Bに装備してあるチャック機構と芯押し台(図示なし)を有するワーク回転連結機構5100Bにてジャーナル320及び330を挟持されて連続回転が可能な状態となる。次に、ワーク回転装置5000Bが時計方向へ90度の位置まで回転した後に、ワーク回転連結機構5100Bにてワーク500を回転させながら、研磨装置6000に備えた研磨フィルムが揺動を初め、研磨装置6000は所定速度でワーク500軸心方向に線形移動しながら研磨加工がスタートする。研磨加工が終了すると、ワーク500の回転及び研磨フィルムの揺動が停止して、研磨装置6000は待機位置へと復帰する。また、研磨加工中は、真空吸引機構及びエアーブラスト機構(図示なし)を作動させて研磨屑を集塵している。また、所望のRaに応じて研磨装置6000には、研磨液注入機構(図示なし)にて研磨液を研磨フィルムに供給することが好ましい。
【0067】
この研磨工程は、例えば上級コート紙やフィルム印刷のように研削工程でのRaより更に良好なRaが必要な場合に処理されるものであり、この研磨加工では、一例として、フィルムを基材に微小砥粒〜#20万を塗布した研磨材と研磨液を併用したラッピング加工すればRaは0.1μm未満まで平滑度が向上する。
次に、回転装置5000Bが時計方向へ更に90度の位置まで回転した後に、ワーク外径計測装置5300がワーク外径計測装置移送機構5400にて待機位置からワーク外径測定位置まで移動して、所定位置まで降下したら研磨工程終了後のワーク500の外径をレーザー測長方式にて測定する。
【0068】
ワーク500の外径測定が終了すると、ワーク回転連結機構5100Bにてワーク500を回転させながら、切削装置6100が1回目の切断位置に移動してワーク500の輪切り切断がスタートする。切削装置6100が印刷用スリーブ100の内壁を切断完了する位置まで到達したら1回目の輪切り切断加工は終了となり、切削装置6100は次の切断位置に移動して次の輪切り切断を繰り返す。この切断工程が完了すると、切削装置6100は待機位置に復帰する。また、切断加工中は、真空吸引機構及びエアーブラスト機構(図示なし)を作動させて切断屑を集塵している。
【0069】
ワーク500の回転は継続したままで、切削装置6100が所定速度でワーク500軸心方向に線形移動しながら、切削装置6100に備えた洗浄水噴射機構と圧気噴射機構(図示なし)にて洗浄及び水切り工程がスタートする。この洗浄工程及び水切り工程が完了すると、ワーク500の回転が停止して切削装置6100が待機位置に復帰する。
次に、ワーク回転装置5000Bが時計方向へ更に90度の位置まで回転した後に、ワーク500はワーク回転連結機構5100Bから外されて搬送コンベア7100にセットされる。この後、搬送コンベア7100にてワーク500が移送されながら、強制乾燥装置7000にてワーク500は乾燥される。
【0070】
ワーク回転装置5000Bは時計方向へ更に90度の原点位置まで回転し、ワーク500の載荷待機状態となる。
かくして単一の液状感光性樹脂を使用した均一な厚みの感光性樹脂硬化層がワーク500の外周面に形成でき、レーザー彫刻用のスリーブ印刷原版が得られる。
更に、少なくとも1種類以上の異なる液状感光性樹脂を使用して、相当する樹脂タンク2000と、圧送ポンプ2100と、押出機2200とを装備して、上記の単色リングダイ2300を多色リングダイ(図示なし)に代えることにより、複数の液状感光性樹脂層を印刷用スリーブ100の外周面に積層させた後、露光ユニット4000にて一括露光することによって、特性の異なる複層の感光性樹脂硬化層を形成させることが好ましい。
【0071】
また、上記と同様に少なくとも1種類以上の異なる液状感光性樹脂を使用して、樹脂供給工程から露光工程までに備えられたブリッジスリーブストック装置1000と、スリーブ供給機構1100と、コンベア機構1200と、樹脂タンク2000と、圧送ポンプ2100と、押出機2200と、リングダイ2300と、強制冷却装置2500と、キャリアシリンダストック装置3000と、引取機構3100と、搬送コンベア3200と、露光ユニット4000と、昇降機構4100と、メタルハライドランプ4200と、回転連結機構4300と、ワークストック装置4400とを必要相当分装備して、1層目の液状感光性樹脂のコーティング及び露光工程が完了したワーク500から、キャリアシリンダ300とブリッジスリーブ400とを分離する。この分離したキャリアシリンダ300とブリッジスリーブ400とを次層目のキャリアシリンダストック装置3000とブリッジスリーブストック装置1000に載置させ、既に光硬化した1層目の感光性樹脂硬化層の上に、更に次層目のコーティング及び露光工程を行い、これを繰り返すことで複数の感光性樹脂硬化層を積層させることが好ましい。
【0072】
一例として2種類の異なった液状感光性樹脂を使用して、光硬化後の硬度が異なる2層の感光性樹脂硬化層を形成させて印刷品質の改善を図ることが可能となる。その2層の感光性樹脂硬化層は、感光性樹脂硬化層の厚みが3mmの場合には、上層は高硬度で厚みが約0.5mm、下層は低硬度で約2.5mmを形成させるのが良い。
また、上記と同様に2種類の異なった液状感光性樹脂を使用するが、特にインクの受理及び転移性の均質化やバウンシング現象を解消するため、感光性樹脂硬化層の下層には厚みが約0.5mmで気泡を多量に含有した液状感光性樹脂を使用してクッション性を与え、上層のレリーフ画像が形成される領域は気泡無し感光性樹脂を使用して、特性の異なる2層を有する感光性樹脂硬化層を形成させるのが良い。
【0073】
更に、上記の乾燥工程終了後に感光性樹脂硬化層に後露光を行うことが好ましい。後露光工程は、ワーク500の感光性樹脂硬化層の物性向上及び表面粘着性除去のために行われるもので、この後露光工程は上記露光工程と同様に、露光ユニットを用いた同じ方法にて処理される。しかし、十分な表面粘着性除去効果を得るための適正後露光量は、感光性樹脂組成、感光性水素引抜剤の種類、樹脂組成に対する感光性水素引抜剤の含有量により異なるので、少なくとも500mJ/cm以上を必要とし、通常1000〜10000mJ/cmの範囲で後露光することが好ましい。10000mJ/cm以上の過剰な後露光量では、版表面に微妙なクラックが生じるので好ましくない。
また、液状感光性樹脂は、光硬化後の赤外線レーザーによる直接彫刻性に秀でた樹脂が用いられているので、本発明の一実施の形態により製造されたシームレス印刷用原版は、乾式手法であるレーザー直接彫刻によるレリーフ画像形成が簡便に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態に係るスリーブ印刷原版の製造装置の概略構成を説明するための側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るスリーブ印刷原版の製造装置の概略構成を説明するための平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る印刷用スリーブがブリッジシリンダに装着されて一体化した構成体の概略構成を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るブリッジスリーブがキャリアシリンダに装着されて一体化した構成体の概略構成を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0075】
11 固定網
100 印刷用スリーブ
200 ブリッジシリンダ
210 ブリッジシリンダ本体
220 圧気供給口
230 圧気吹き出し孔
300 キャリアシリンダ
310 キャリアシリンダ本体
320 ジャーナル
330 ジャーナル
340 圧気供給口
350 圧気吹き出し孔
400 ブリッジスリーブ
500 ワーク
1000 ブリッジスリーブストック装置
1100 スリーブ供給機構
1200 コンベア機構
2000 樹脂タンク
2100 圧送ポンプ
2200 押出機
2300 リングダイ
2500 強制冷却装置
3000 キャリアシリンダストック装置
3100 引取機構
3200 搬送コンベア
4000 露光ユニット
4100 昇降機構
4200 メタルハライドランプ
4300 回転連結機構
4400 ワークストック装置
4500AB ワーク搬送装置
5000AB ワーク回転装置
5100AB ワーク回転連結機構
5200 砥石荒研削装置
5300 ワーク外径計測装置
5400 ワーク外径計測装置移送機構
5500 ブラシ洗浄装置
5600 砥石仕上げ研削装置
6000 研磨装置
6100 切削装置(洗浄水噴射及び圧気噴射機能付き)
7000 強制乾燥装置
7100 搬送コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂を用いたレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法において、
押出機に注入された感光性樹脂をリングダイから円形状に定量供給する樹脂供給工程と、スリーブを前記リングダイの内部を通過させながら当該スリーブの外周面に一様な厚みに感光性樹脂をコーティングする塗布工程と、前記コーティングされた感光性樹脂層に紫外線を照射することにより赤外線レーザーにて彫刻可能なように光硬化させてシームレス態様の感光性樹脂硬化層を形成する露光工程とを含むことを特徴とするレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項2】
前記スリーブは、ブリッジシリンダの外周面に装着して一体化させ、円筒形状を保持するための強度補強されたスリーブであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程と前記露光工程との間に、前記スリーブ及び前記スリーブ付きブリッジシリンダの何れかの内周面にキャリアシリンダを挿入してキャリアシリンダと一体となったスリーブ及び、スリーブ付きブリッジシリンダの何れかを搬送する引取工程と、冷却手段によりコーティングされた液状の感光性樹脂層を固化或いは粘性流動を低下させる冷却工程との少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項4】
前記感光性樹脂硬化層の表面を整形する整形工程及び前記スリーブ印刷原版を輪切り態様で複数版に分割する切断工程の少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項5】
前記整形工程及び前記切断工程の何れかの後に、洗浄手段により前記感光性樹脂硬化層を洗浄する洗浄工程と、乾燥手段により前記感光性樹脂硬化層を乾燥させる乾燥工程とを更に含むことを特徴とする請求項4に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項6】
前記洗浄工程及び前記乾燥工程の何れかの後に、感光性樹脂硬化層に再度紫外線を照射する後露光工程を更に含むことを特徴とする請求項5に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂供給工程が、異なる感光性樹脂を複数の押出機に注入して、多色リングダイから前記スリーブの外周面にエンドレス態様で異なる感光性樹脂を積層コーティングする樹脂複層供給工程であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項8】
前記スリーブの外周面には、感光性樹脂硬化層を強固に固定するための接着剤層の形成、或いは柔弾性を有するクッションテープが貼り込まれ該テープ最外周面が感光性樹脂硬化層を強固に固定するための表面特性を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂供給工程において、注入される感光性樹脂が液状感光性樹脂であり、樹脂粘度は、20℃において6Pa・s以上で50kPa・s以下であり、前記露光工程の紫外線は、波長域200〜400nmで且つ紫外線強度が10mW/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造方法。
【請求項10】
感光性樹脂を用いたレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置において、
押出機に注入された感光性樹脂をリングダイに定量の押出し、該リングダイから円形状に感光性樹脂を供給する樹脂供給機構と、前記リングダイの内部を通過するスリーブの外周面に一様な厚みに感光性樹脂をコーティングするスリーブ供給機構と、そのコーティングされた感光性樹脂層に紫外線を照射する紫外線照射機構とを備えたことを特徴とするレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項11】
ブリッジシリンダと連結及び分離が可能であり、前記連結時に前記スリーブを当該ブリッジシリンダと一体化する圧気供給機構とを更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項12】
キャリアシリンダを有するスリーブの引取機構と、コーディングされた液状の感光性樹脂を冷却して固化或いは粘性流動を低下させる冷却機構との少なくとも1つを更に備えたことを特徴とする請求項10または11に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項13】
前記感光性樹脂硬化層の研削機構、研磨機構及び切断機構の少なくとも1つを更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項14】
前記感光性樹脂硬化層を洗浄する洗浄機構と、その洗浄された感光性樹脂硬化層を乾燥させる乾燥機構とを更に備えたことを特徴とする請求項12に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項15】
前記感光性樹脂硬化層の洗浄或いは乾燥後に、当該感光性樹脂硬化層に再度紫外線を照射する後露光用紫外線照射機構を更に備えたことを特徴とする請求項14に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項16】
前記樹脂供給機構は、リングダイを多色リングダイに代え、この多色リングダイから複数の感光性樹脂を積層状態に供給する樹脂複層供給機構であることを特徴とする請求項10に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。
【請求項17】
前記押出機は、感光性樹脂を温度制御する温調機構及び脱気するベント機構を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のレーザー彫刻用スリーブ印刷原版の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−326938(P2006−326938A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151402(P2005−151402)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】