説明

レーザー焼結を用いたケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの形成方法

【課題】多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの製造方法を提供。
【解決手段】引き込み可能な表面を引き込ませて焼結室を形成する工程、およびディスペンサーを介して平均粒径が5〜500ミクロンの熱可塑性粒子を焼結室に分配する工程を含む。この方法は、レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子上に集束させる工程、およびレーザービームで熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程をさらに含む研磨パッドの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルプラナリゼーション(CMP)に使用される研磨パッドを形成するための方法、特にレーザー焼結を用いて研磨パッドを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路およびその他の電子デバイスの製造において、導体、半導体、および絶縁材料の複数層が半導体ウェーハの表面に堆積され、又は、その表面から除去される。導体、半導体、および絶縁材料の薄い層は、多数の堆積技術によって堆積させることができる。現在の加工における一般的な堆積技術としては、スパッタリングとしても知られている物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ増強化学蒸着法(PECVD)、および電気化学めっき法(ECP)がある。
【0003】
材料の層が順次堆積および除去されるにつれて、基板の一番上の表面がその全体にわたって平坦でなくなり、平坦化が必要になることがある。表面の平坦化、すなわち表面の「研磨」は、ウェーハの表面から材料を除去して概ね滑らかで平坦な表面を形成するプロセスである。平坦化は、粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ、および汚染された層または材料といった、不都合な表面形状および表面欠陥を除去するのに有用である。また、平坦化は、形態の充填に用いられた余分に堆積された材料を除去することにより基板上に形態を形成することや、後続のメタライゼーションおよび加工のレベルのために平らな表面を提供するのにも有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション、すなわちケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハなどの基板を平坦化するために使用される一般的な手法である。従来のCMPでは、ウェーハキャリヤまたは研磨ヘッドがキャリヤアセンブリに取り付けられ、CMP装置の研磨パッドと接する状態に配置される。このキャリヤアセンブリは、制御可能な圧力を基板に供給して、ウェーハを研磨パッドに押し当てる。このパッドは、外部の駆動力によって基板に対して動かされる(例えば回転させられる)。これと同時に、化学組成物(「スラリー」)またはその他の流体媒体が基板上に流され、ウェーハと研磨パッドの間に流れ込む。このようにして、ウェーハ表面は、パッド表面およびスラリーの化学的かつ機械的な作用によって研磨され、ここで、基板表面から材料を選択的に除去するという仕方で、ウェーハ表面の研磨がなされる。
【0005】
研磨パッドを製造する従来の方法には、例えば、混合ポリウレタン前駆物質および増孔剤の鋳造およびスカイビング、不織フェルトの含浸および引き裂き、ならびに改質不織フェルト上での被覆、凝固、およびバフィングが含まれる。さらに、液体前駆物質の光重合、網状成形、熱成形性ポリマーの押し出し、およびポリマー粉末の焼結(例えば、米国特許第6,017,265号)など、研磨パッドを製造するその他の方法が探求されている。
【0006】
焼結は通常、ガラス転移温度を上回る温度で圧力を受けて圧縮される2種以上の熱可塑性ポリマーに係わるものである。熱可塑性ポリマーの混合物が金型の中に配置され、焼結条件に暴露される。最終結果として、均一な寸法および多孔度を有するパッドが製造される。残念ながら、このパッドは通常、機能的なパッドを製造するための溝加工など追加の加工工程を経なければならない。さらに、従来の焼結法は、様々な多孔度および材料組成を備える研磨パッドを形成する上で制限がある。
【0007】
したがって、要望されているものは、改良された焼結法を用いたケミカルメカニカルプラナリゼーションのための研磨パッド形成方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様においては、引き込み可能な表面を引き込ませて焼結室を形成する工程;ディスペンサーを介して熱可塑性粒子を焼結室の中の中に分配する工程;レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子上に集束させる工程;およびレーザービームで熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程を含む、多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドを製造する方法が提供される。
【0009】
本発明の別の局面においては、引き込み可能な表面を引き込ませて第1焼結室を形成する工程;ディスペンサーを介して第1熱可塑性粒子を第1焼結室の中に分配する工程;レーザーからのレーザービームを第1熱可塑性粒子上に集束させる工程;レーザービームで第1熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程;引き込み可能な表面を引き込ませて第2焼結室を形成する工程;ディスペンサーを介して第2熱可塑性粒子を第2焼結室の中に分配する工程;レーザーからのレーザービームを第2熱可塑性粒子上に集束させる工程;およびレーザービームで第2熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程を含む、多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドを製造する方法が提供される。
【0010】
本発明の別の態様においては、引き込み可能な表面を引き込ませて第1焼結室を形成する工程;ディスペンサーを介して熱可塑性粒子を第1焼結室の中に分配する工程;レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子上に集束させる工程;レーザービームで熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程;引き込み可能な表面を引き込ませて第2焼結室を形成する工程;ディスペンサーを介して熱可塑性粒子を第2焼結室の中に分配する工程;レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子に集束させる工程;およびレーザービームで熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程を含む、多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドを製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面を参照すると、図1に本発明の選択的レーザー焼結プロセスおよび装置100を示している。この方法および装置は有利なことに、多孔度および材料組成が望みどおりに制御される、連続的に相互連結された多孔性構造を有する研磨パッドを提供する。本発明の研磨パッドは、エレクトロケミカルメカニカルポリッシング用途において特に有用である。図1を参照すると、装置100は、雰囲気との望ましくない相互作用を低減するために、窒素などの不活性ガスを収容する密閉された反応槽36を備えている。本明細書において用いる「不活性ガス」という用語は、通常のまたは予想される化学反応または生物反応を引き起こさない任意のガスを意味する。さらに、槽36は温度制御される。すなわち、所望の熱可塑性粒子の選択的レーザー焼結を一層容易に促進させる温度において制御される。言い換えれば、本発明においては、レーザー焼結プロセスの動作温度に近い温度に保たれるため、レーザー10は最小限の温度上昇を提供するだけでよいため、選択的レーザー焼結をさらに高速で生じさせることが可能になる。これにより、レーザー焼結される研磨パッドに対する費用効果に優れた処理がもたらされる。
【0012】
装置100は、熱可塑性粒子16(「熱可塑性を有する粒子」)を焼結させるためのエネルギーを提供する熱レーザー10をさらに含む。レーザービームは、検流計またはスキャナーを利用した適用システム12を用いて方向制御され、変調される。熱可塑性粒子16は、粒子16を焼結室18の中に掃き入れる分配ロッド(「ディスペンサー」)14を用いて焼結室18内に配され、圧縮される。この室18は、引き込み可能な台または表面20を降下させることにより形成されて、「空隙」が形成される。この「空隙」は、焼結される研磨層または研磨パッドを形成するのに適した量の熱可塑性粒子16を保持するのに十分なものである。このようにして、本発明の焼結される研磨パッドを、所望により、単一または複数の焼結層によって形成することができる。
【0013】
熱可塑性ポリマー16は一般に粘弾性を持つため、その温度/粘度挙動が複雑になることがある。低温では、ポリマーはガラス状脆性固体として振る舞い、主に弾性挙動を示す。この範囲の上限温度は、しばしばガラス転移温度または「Tg」と呼ばれる。Tgを上回るがポリマーの融点を下回る温度では、粘性がより有意なものになり、ポリマーは粘性効果と弾性効果の両方を示す。この温度範囲においては、ポリマーに応力を加えたときに、ポリマーを大きく変形させることができる。応力を除かれても、ポリマーの分子構造の永久的な移動および転位が原因で、完全な回復が生じないことがある。融点を上回る温度では、ポリマーは粘性液体として振舞う傾向があり、一般に、応力が加えられたときに永久的な変形を示す。
【0014】
本発明のプロセスは、用いる熱可塑性粒子材料の融点を下回る温度で実施することが好ましい。特に、正確に調整された均一な多孔構造が好ましいが、材料の融点を上回る温度では、液体焼結が急速に進行するため、プロセスを制御することが困難になる。融点を上回る温度ではさらに、温度勾配が焼結速度を変動させる傾向にあり、最終物品における多孔構造が不均一になることがある。また、ポリマーの融点を上回る温度での焼結では、粘性流のせいで、焼結された製品に望ましくない変形が生じる傾向がある。
【0015】
注意すべきことに、低温粉砕などの従来技術を用いて熱可塑性材料を粉末に容易に変えることができる。粉末になった熱可塑性材料は一般に、温度が熱可塑性材料の融点に近づくにつれて、熱的安定性など、はっきりとした熱的特性を示す。熱可塑性材料は、硬度、弾性率、化学的耐久性、耐摩耗性に応じて選択することができる。本発明のプロセスで使用できる熱可塑性ポリマーの例は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリル酸塩(メタクリレートおよびアクリレートを含む)、ポリスルホン、ポリエステル、ポリオレフィン、ならびにこれらの混合物およびコポリマーである。
【0016】
好ましくは、本発明の熱可塑性ポリマーは、34ミリニュートン/メートル以上、より好ましくは37ミリニュートン/メートル以上、最も好ましくは40ミリニュートン/メートル以上の臨界表面張力を提供できる十分な親水性を有する。臨界表面張力は、液体が有することができる最低表面張力であって、それでもなお、その固体上の、ゼロ度を上回る接触角を示すことができる最低表面張力を意味することにより、固体表面の湿潤性を規定する。このため、高い臨界表面張力を有するポリマーほど湿りやすく、その結果、親水性が高くなる。
【0017】
好ましい熱可塑性粒子16には、ウレタン、カーボネート、アミド、スルホン、塩化ビニル、アクリレート、メタクリレート、ビニルアルコール、エステル、またはアクリルアミドが含まれる。本発明による有用な熱可塑性材料(これから粉末が作られる)は、1〜200メガパスカルの弾性率と、25%〜1000%、より好ましくは50%〜500%、最も好ましくは100%〜350%の範囲の破断点伸びとを有する。
【0018】
図2および図3を参照すると、ディスペンサー14が粒子16を焼結室18の中に掃き入れる、すなわち分配する。粒子16が焼結室18の中に掃き入れられ、過剰な粉末24が、焼結される領域外に動かされる。このようにして、熱可塑性粒子16が焼結室18内に均一に収容、配分される。例えば、熱レーザー10によって形成される焼結層の所望厚さに一致するように引き込み可能な表面20を引き込ませることにより、焼結室18の容積および深さが所望により変更される。
【0019】
図4を参照すると、焼結室18が充填されると、次に熱可塑性粒子16が、レーザー10からのレーザービーム26によって確定される特定の焼結条件に従って、焼結熱可塑性層28が形成される。特に、熱可塑性粒子16の温度が熱レーザー10からのレーザービーム26の存在下でガラス転移温度を上回るまでに上昇して、焼結熱可塑性層28が形成され、望みどおりにさらに変更されて、本発明の研磨パッドが形成される。例えば、単一の層が0.1mm〜0.6mm、好ましくは0.15mm〜0.3mmの厚さを有することができる。したがって、例えば、80ミル(2.03mm)の厚さを有する焼結研磨パッドを製造するために、レーザー10が、個別のレーザービームを室18内の粒子16に最大20回当てて、それぞれ4ミル(0.1mm)の厚さを有する複数の焼結層を形成することができる。
【0020】
また、熱可塑性粒子16のレーザービーム26への暴露の強度、パターン、および期間を調節して、所望の特定の研磨パッドの幾何学的形態を生成することができる。さらに、レーザービーム26で特定の領域のみ焼結させるように熱レーザー10を構成することもできる。これにより、例えば、未焼結粒子を払い落としたり振り払うだけで、非接触領域を未焼結のままにして、パッドから取り除くことが可能になる。このようにして、本発明によって、焼結領域と未焼結領域の関係を制御することで、パッド内に溝またはその他の機能的領域を生成することが可能になる(図6に関してさらに詳しく説明する)。また、熱可塑性自体に応じて、または熱可塑性粒子16の比率を変更することで、多孔度および材料組成を変更することもできる。
【0021】
好ましくは、本発明の研磨パッドは10〜50%の多孔度を有する。より好ましくは、研磨パッドは10〜40%の多孔度を有する。最も好ましくは、研磨パッドは20〜30%の多孔度を有する。また、本発明の研磨パッドは0.3g/cm3〜1.5g/cm3の密度を有する。より好ましくは、研磨パッドは約0.5g/cm3〜約1.4g/cm3の密度を有する。最も好ましくは、研磨パッドは約0.8g/cm3〜約1.2g/cm3の密度を有する。
【0022】
多層研磨パッドを形成する方法をさらに例示する図5を参照すると、特に、多層パッドは、熱可塑性粒子16で形成された下方の焼結研磨層30および上方の焼結研磨層を有する。特に、望ましい熱可塑性粒子(焼結研磨層30を形成する)が、粒子を第1焼結室32の中に掃き入れる分配ロッド14を用いて第1焼結室32内に配置され、圧縮される。第1焼結室32を形成するため、引き込み可能な台20を降下させて空隙を形成するものであり、この空隙は、所望の焼結研磨層30を形成するのに適した量の熱可塑性粒子を保持するのに十分なものである。特に、装置100は、熱可塑性粒子を焼結させて焼結研磨層30を形成するためのエネルギーを供給する熱レーザー10を備えている。レーザービームは、検流計またはスキャナーを利用した適用システム12を用いて方向性制御され、変調される。
【0023】
次に、粒子16を第2焼結室34の中に掃き入れる分配ロッド14を用いて、所望の熱可塑性粒子16が第2焼結室34の中に配され、圧縮されて、別の(上方の)焼結研磨層が形成される。第2焼結室34を形成するため、引き込み可能な台20をさらに降下させて別の空隙を形成するものであり、この別の空隙は、別の焼結研磨層を形成するのに適した量の熱可塑性粒子16を保持するのに十分なものである。特に、熱レーザー10が、熱可塑性粒子16を焼結させて別の焼結研磨層を形成するためのエネルギーを供給するレーザービームを提供する。この場合も、レーザービームは、検流計またはスキャナーを利用した適用システム12を用いて方向性制御され、変調される。
【0024】
上記のように、また図6Aおよび図6Bでさらに例示するように、図5の方法を使用して同じまたは異なる材料組成を用いて形成された各種パッドの幾何形状を示している。例えば、図6Aは、同じ熱可塑性粒子を使用して均等な焼結条件で形成された多層研磨パッドを示している。図6Bは、例えば、異なる熱可塑性層、異なる焼結条件、またはその両方によって形成される多層研磨パッドを示している。また、これらの各層は、熱可塑性材料の混合物からなることができる。上記のように、熱可塑性粒子のレーザービームへの暴露の強度、パターン、および期間を変更して、所望の特定の研磨パッドの幾何学的形態を生成することができる。さらに、レーザービームで特定の領域のみ焼結させるように熱レーザーを構成することもできる。これにより、例えば、未焼結粒子を払い落とし、または振り払うだけで、非接触領域を未焼結のままにして、パッドから取り除くことが可能になる。このようにして、本発明によって、焼結領域と未焼結領域の関係を制御することで、パッド内に溝またはその他の機能的領域を生成することが可能になる。また、熱可塑性自体に応じて、または熱可塑性粒子の比率を変更することで、多孔度および材料組成を変更することもできる。
【0025】
注意すべきことに、熱可塑性粒子を使用する場合、少なくとも約20重量%の熱可塑性粒子が上記のように親水性を有すること、例えば34ミリニュートン/メートル以上の臨界表面張力を提供することが好ましい。各種の熱可塑性粒子または熱可塑性材料を混合することができるし、その混合物から粉末を生成することもできる。または、各種の熱可塑性材料を個別に粉末にした後、異種粉末の混合物として組み合わせることができる。各種の熱可塑性材料を組み合わせることで、加工性の向上など、処理能力を向上させるように物理特性を選択することができる。また、本発明の熱可塑性粒子を利用すれば、バック側の空隙充填といった柔軟な処理を達成することもできる。パッド性能を高めるために向上した親水性、向上した破断点伸び、向上した耐塑性流動性などを有する、その他の熱可塑性材料を選択することができる。
【0026】
任意の大きさの粒子を使用することができるが、好ましくは、本発明のプロセスでは5〜500ミクロンの平均直径を有する粒子を使用する。より好ましくは、本発明では2〜200ミクロンの平均直径を有する粒子を使用する。その平均直径範囲は、大きな隙間または割れ目がない、微視的に滑らかな最終パッド表面を製造するためのレーザー焼結に適している。これにより、焼結製品の力学的耐久性が高まり、パッドの研磨能力が向上する。焼結の進行に伴い、粒子境界における塑性流動によって粒子融合が生じ、それに対応して粒子間の空隙容量が減少する。
【0027】
様々な熱可塑性材料が市販されており、それらを本発明における開始材料として使用できるが、2種の異なる熱可塑性粉末の混合物を利用すれば、実用性の範囲を大幅に広げることができる。2種の材料を十分に混合することで、個別の材料とは異なることがある機械的性質を有する複合構造材料を製造することができるし、また、材料の不適合性が原因で直接合成することができない異種物質を製造することもできる。ある成分が他の成分よりも低い融点を有するような混合物を使用すると、特に実用的である。融点が低い成分の融点を超えない温度で当該の混合物を処理した場合、レーザー焼結に伴って変形が生じる可能性が大幅に低くなる。
【0028】
粒子の好ましい組み合わせには、ポリウレタンを含有する粒子と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、またはこれらの組み合わせを含有する粒子との混合物が含まれる。ポリウレタン粒子は有利なパッド特性(例えば、弾性率、破断点伸び、臨界表面張力など)を提供することができ、その他の粒子は、加工性を高めるうえで特に有用であることが判明している。一態様においては、少なくとも10重量%の粒子がポリウレタンを含んでおり、より好ましくは少なくとも20重量%の粒子、最も好ましくは少なくとも65重量%の粒子がポリウレタンを含む。ポリウレタン粒子と混合される好ましい粒子はポリエチレンを含む。
【0029】
注意すべきことに、上記のように、望みどおりに多種多様な設計または構成に対応できるように、レーザー10からのレーザービームを任意の方向(すなわち、x平面、y平面、またはz平面)に動かすことができる。また、望みどおりに多種多様な設計または構成にさらに対応できるように、任意の支持部材(例えば、台20)をレーザービームに対して動かすこともできる。さらに、引き込み可能な台20の温度を制御して(例えば冷却によって)熱を下げ、製造時間を短縮することもできる。
【0030】
この態様においては、レーザー焼結に用いるレーザー10は、比較的低いデューティサイクルを有するパルス熱レーザーであってもよい。場合により、レーザー12は、シャッター付きの連続レーザー(すなわち、パルス幅(時間)がパルス間の時間に比べ大幅に短い)であってもよい。レーザーのピーク強度およびフルエンスは次の式で与えられる。
強度(ワット/cm2)=ピーク電力(W)/焦点面積(cm2
フルエンス(ジュール/cm2)=レーザーパルスエネルギー(J)/焦点面積(cm2
一方、ピーク電力は次の式で与えられる。
ピーク電力(W)=パルスエネルギー(J)/パルス幅(秒)
レーザーの例として、PRC Laser CorporationのSTS(商標)シリーズレーザーが挙げられる。熱レーザーアブレーションが好ましい。
【0031】
したがって、本発明は、熱レーザーアブレーション法を用いて研磨パッドを製造する方法を提供する。特に、所定の最終パッド幾何形状、および溝などの特定の形態を有する研磨パッドを形成することができる。また、熱可塑特性およびレーザーアブレーション条件に応じて、また熱可塑性粒子の比率を変更することで、多孔度および材料組成を変更することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のレーザー焼結装置を使用して研磨パッドを形成する方法を示す図である。
【図2】本発明のレーザー焼結装置を使用して研磨パッドを形成する方法を示す図である。
【図3】本発明のレーザー焼結装置を使用して研磨パッドを形成する方法を示す図である。
【図4】本発明のレーザー焼結装置を使用して研磨パッドを形成する方法を示す図である。
【図5】本発明のレーザー焼結装置を使用して研磨パッドを形成する方法を示す図である。
【図6】本発明の方法を使用して形成された様々なパッド構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの製造方法であって、
引き込み可能な表面を引き込ませて焼結室を形成する工程;
ディスペンサーを介して熱可塑性粒子を焼結室の中に分配する工程;
レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子上に集束させる工程;および
レーザービームで、熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程
を含む方法。
【請求項2】
焼結される熱可塑性粒子が、5〜500ミクロンの平均粒子サイズを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粒子が、ウレタン、カーボネート、アミド、スルホン、塩化ビニル、アクリレート、メタクリレート、ビニルアルコール、エステル、およびアクリルアミドから選択される熱可塑性を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
研磨パッドが、約10〜50%の多孔度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
研磨パッドが、約0.3g/cm3〜約1.5g/cm3の密度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの製造方法であって、
引き込み可能な表面を引き込ませて第1焼結室を形成する工程;
ディスペンサーを介して第1熱可塑性粒子を第1焼結室に分配する工程;
レーザーからのレーザービームを第1熱可塑性粒子上に集束させる工程;
レーザービームで第1熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程;
引き込み可能な表面を引き込ませて第2焼結室を形成する工程;
ディスペンサーを介して第2熱可塑性粒子を第2焼結室に中に分配する工程;
レーザーからのレーザービームを第2熱可塑性粒子上に集束させる工程;および
レーザービームで第2熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程
を含む方法。
【請求項7】
少なくとも10重量%の粒子が、ポリウレタンを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
(チェック:AとBと が正しいかどうか)
粒子が、ポリウレタンを含有する粒子と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される物質を含有する粒子との混合物を含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
混合物が、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、メタクリレート、アクリレート、ポリスルホン、ポリエステル、ポリオレフィン、ならびにこれらの混合物およびコポリマーからなる群より選択される熱可塑性ポリマーを含む、請求項6記載の研磨パッド。
【請求項10】
多孔性ケミカルメカニカルポリッシング用の研磨パッドの製造方法であって、
引き込み可能な表面を引き込ませて第1焼結室を形成する工程;
ディスペンサーを介して熱可塑性粒子を第1焼結室に分配する工程;
レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子に集束させる工程;
レーザービームで熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程;
引き込み可能な表面を引き込ませて第2焼結室を形成する工程;
ディスペンサーを介して熱可塑性粒子を第2焼結室に分配する工程;
レーザーからのレーザービームを熱可塑性粒子に集束させる工程;および
レーザービームで熱可塑性粒子を選択的に焼結させる工程
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−301715(P2007−301715A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−100014(P2007−100014)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】