レーザー融着性積層材、レーザー融着方法および包装体
【課題】半導体レーザー光で融着しうる、外観に優れる積層材を提供する。
【解決手段】レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする。積層材の熱融着部同士を重ね合わせ、融着部に半導体レーザー光などを照射して熱融着し、袋状に製袋することができる。
【解決手段】レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする。積層材の熱融着部同士を重ね合わせ、融着部に半導体レーザー光などを照射して熱融着し、袋状に製袋することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー融着性積層材、レーザー融着方法および包装体に関し、より詳細には、金属含有層と熱融着層とを有するレーザー融着性積層材、および該積層材からなる包装体、およびレーザー光の照射によって発熱する発熱部材の間に熱融着性樹脂層を重ね合わせ、一方の発熱部材からレーザー光を照射して前記熱融着性樹脂層を融着させるレーザー融着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を照射してプラスチックを加工する方法は公知であり、成型、切断、融着、印字など多方面で使用されている。
例えば、レーザー光を用いた熱可塑性樹脂の融着方法として、透明ポリアミドからなる外側管と内側管との接合対象部位に光吸収マーカーをあらかじめ塗布し、外側から非合焦の赤外・遠赤外線領域波長を多く含む可視光線を発熱用光として照射し、融着する方法がある(特許文献1)。該方法によれば、発熱用光が外側管を透過し、光吸収マーカーの塗布部分だけに吸収されて発熱し、接合対象部位のみを融着させるため、精度のよい融着ができる、という。
【0003】
また、熱可塑性樹脂に所定量の白色顔料を含有した樹脂組成物からなるレーザー光透過性の樹脂部材を形成し、それへ、レーザー光吸収性を有する樹脂部材を重ね合わせ、レーザー光を照射することにより熱融着させることを特徴とするレーザー融着方法もある(特許文献2)。特許文献2は、白色顔料を含有する白色樹脂部材は、顔料がレーザー光を反射したり分散させ易いためにレーザー光を十分に透過させることができず、レーザー融着強度が不十分となることに鑑みてなされたものである。所定の屈折率を有する白色顔料を使用することで少量でも明瞭な白色を示し、レーザー光吸収層を配設することで、レーザー光照射により簡便に融着することができる、という。
【0004】
更に、熱融着性シート材を重ね合わせ、レーザー光の照射により発熱する発熱部材をレーザー光を透過する光透過性部材との間に挟み、前記光透過性部材を介して発熱部材に前記レーザー光を照射することで熱融着性シート材を融着する方法も開示されている(特許文献3)。レーザー光として、ルビーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー、YVO4レーザー、Ne−Heレーザー、Arレーザー、CO2レーザーを例示し、YAGレーザーが好ましいとしている。
【特許文献1】特開2001−191412号公報
【特許文献2】国際公開2005/021245号公報
【特許文献3】特開2004−142225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラスチック多層ラミネートフィルムは、ヒートシール加工によって袋体に成型されることが一般的である。しかしながら、レーザー光はレーザーの波長によって作用が異なり、炭酸ガスレーザーは水に吸収され半導体レーザーなどは色素に吸収されるなど、物質に対する影響が異なる。このためポリエチレンテレフタレートフィルムに炭酸ガスレーザー光を照射した場合には、フィルムをカットしたり、レーザー光がフィルムに吸収されフィルム表面を溶融し、アルミ箔や金属蒸着層を含む積層材からなるパウチのシーラント部分を融着することができず、また、積層材の溶融により製品の外観を損ねる場合がある。また、半導体レーザー光を透明なポリエチレンテレフタレートフィルムに照射してもレーザー光がフィルムを透過し、フィルムを融着することができない。
【0006】
また、プラスチック多層ラミネートフィルムから包装袋を製袋する場合にも、そのサイズや形状に応じてヒートシール形状を変える必要があり、対応するヒートシールバーを製作する必要がある。
【0007】
一方、熱融着性樹脂層は、積層材の最内層を構成する樹脂層であり、内容物と直接接触する層である。したがって、内容物が、栄養補給剤や薬剤、医療用具などの医療関連品や、調味料、冷凍食品、調理済み食品などの食料品の場合には、内容物に対する安全性を確保する必要がある。
【0008】
上記現状に鑑み、表面を傷つけることなく、外観に優れるレーザー融着性積層材、該積層材を使用した包装体、レーザー融着方法を提供することを目的とする。
また、簡便に製袋しうるレーザー融着性積層材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、レーザー光照射によって融着しうる積層材について詳細に検討した結果、半導体レーザーはレーザー吸収層に吸収されるため所定のレーザー吸収層を有する積層体を融着しうること、特にレーザー吸収層を金属含有層で構成し、2枚の金属含有層の間に熱融着性樹脂層を挟んで金属含有層にレーザー光を照射するとレーザー光の熱エネルギーが熱融着性樹脂層に伝熱して熱融着性樹脂層を溶融させうること、特に発振波長750〜1200nmの半導体レーザーや、ファイバーレーザーまたはディスクレーザーであれば、積層材を切断したり積層材表面を溶融することなく熱融着性樹脂層を融着させ、かつ積層材の表面を溶融することなく外観に優れること、および積層材が金属含有層を含まない場合であっても、融着部を金属などの発熱部材からなる押さえ具で挟んでから半導体レーザー光を発熱部材に照射すると熱融着性樹脂層をレーザー融着しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする、レーザー融着性積層材を提供することを目的とする。
【0011】
また、前記レーザー融着性積層材からなる、包装材料を提供することを目的とする。
また、前記包装材料の熱融着部同士を向かい合せて重ねて融着部を形成し、前記融着部に半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して熱融着してなる包装体を提供することを目的とする。
【0012】
また、前記レーザー融着性積層材からなる包装材料Iと、少なくも融着部に熱融着性樹脂層が形成された包装材料IIとからなる包装体であって、前記包装材料Iの熱融着性樹脂層と前記包装材料IIの熱融着性樹脂層とを向かい合わせて重ね、レーザー光の照射により発熱する発熱部材、前記包装材料II、前記包装材料Iとなるように積層し、前記包装材料I側から半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して重ね部を熱融着してなる包装体を提供することを目的とする。
【0013】
更に、レーザー光の照射により発熱する2つの発熱部材の間に、2枚の熱融着性樹脂層を重ね合わせて設置し、前記発熱部材に半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して、前記2枚の熱融着性樹脂層を融着させることを特徴とするレーザー融着方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層材は、金属含有層がレーザー光エネルギーを吸収して最内層の熱融着性樹脂層を溶融するため、熱融着性樹脂層にレーザー光吸収剤を含有させる必要がなく、安全性に優れ、かつレーザー光吸収剤などを使用しないため安価であると共に、環境汚染の影響が少ない。
【0015】
また、半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して融着できるため、表面に傷をつけることなく積層材表面を融着することができ、その外観に優れる。更に、接着剤の使用を回避することができ、生産工程を簡略化することができ、コストも低下させることができる。
【0016】
本発明の積層材は、レーザー光の照射により、短時間にヒートシール形成を行うことができる。
本発明のレーザー融着方法は、融着部を発熱部材からなる押さえ具で挟むことでレーザー光吸収剤を使用することなく熱融着性樹脂層を融着することができる。このため、透明な積層体でもレーザー融着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第一は、レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする、レーザー融着性積層材である。一般に、レーザー融着にはレーザー光吸収剤が使用されるが、本発明では、積層材を熱融着性樹脂層同士を向きあわせて重ね、金属含有層にレーザー光を照射してそのエネルギーを吸収させ、これにより熱融着性樹脂層を融着させることができるため、レーザー光吸収剤を使用することがない。本発明のレーザー融着性積層材は、少なくとも最内層に熱融着性樹脂層を有し、前記積層材の最内層以外のいずれかの層に金属含有層が積層されている必要がある。なお、金属含有層と最内層の熱融着性樹脂層に加え、他の層を有していてもよい。以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
(1)熱融着性樹脂層
本発明の積層材を構成する熱融着性樹脂層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種の熱融着性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。
【0019】
具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、及びそれらの金属架橋物等の樹脂、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。上記の熱融着性樹脂層には、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤が添加されたものであってもよい。
【0020】
熱融着性樹脂層は、一般には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜することができる。
【0021】
本発明において、熱融着性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には15〜200μmの範囲である。上記範囲であれば、半導体レーザー光などによる融着強度に優れるからである。なお、前記熱収縮性基材フィルムの厚さは、熱収縮前の層厚である。
【0022】
なお、本発明では、金属含有層によってレーザー光エネルギーを吸収するため、熱融着性樹脂層にレーザー光吸収剤などを含有する必要がなく、食品や医療用の包装材料として使用する場合にも、安全性に優れる。
【0023】
(2)金属含有層
本発明において、「金属含有層」とは、金属を含有する層であればよく、金属箔、金属薄板、金属厚板のほか、金属蒸着膜、金属塗膜などがある。また、金属としては、レーザー光エネルギーを吸収しうる金属を広く使用することができ、例えば、アルミニウム、鉄、などの金属単体、酸化アルミニウム、酸化アンチモンその他の金属酸化物、クロマイトその他の金属含有化合物、ステンレスなどの合金などがある。
【0024】
金属箔膜としては、例えばアルミニウム箔などの金属箔を好適に使用することができる。金属箔の厚さは、5〜15μmである。
また、金属蒸着膜としては、プラスチック基材フィルムに上記金属の蒸着層を形成したものが例示される。蒸着層の形成方法としては、化学蒸着法でも物理蒸着法でもよい。プラスチック基材フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂などの一種以上を好適に使用することができる。プラスチック基材フィルムは、上記樹脂の未延伸フィルムや一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムなどのいずれのものでも使用することができる。プラスチック基材フィルムの厚さは、好ましくは50〜3000Åである。また、蒸着層の厚さは、100〜1500Åである。
【0025】
一方、金属塗膜としては、プラスチック基材フィルムに金属粒子や金属酸化物を含有した金属塗工層を形成したものなどが例示される。例えば、アルミニウム、酸化アンチモンなどからなる平均粒子径10〜200nmの金属粒子を含有してなる金属塗膜を例示することができる。一般には、プラスチック基材フィルムに上記金属塗膜を形成して金属含有層とする。プラスチック基材フィルムとしては、前記金属蒸着膜層で使用するプラスチック基材フィルムを使用することができる。また、金属塗膜としては、上記金属粒子や金属酸化物を含むインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。更に、染料・顔料等の着色剤を添加してもよい。このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、硝化綿、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。
【0026】
上記金属塗膜は、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他の従来の印刷方式でプラスチック基材フィルム上に形成することができる。各金属塗膜の厚さは、1〜80μmであることが好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
【0027】
金属含有層は、最内層以外であれば積層材のいずれに積層されていてもよいが、融着性に優れる点で熱融着性樹脂層と隣接して積層することが好ましい。金属含有層と熱融着性樹脂層とを積層するには、上記金属含有層を、2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させて押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等の公知の積層方法によって形成することができる。金属含有層は、接着剤層を介して前記熱融着性樹脂層に積層され、または前記熱融着性樹脂層は前記金属含有層に溶融押し出しによって形成されたものを好ましく使用することができる。なお、その際、熱融着性樹脂層側には、プラスチック基材フィルムではなく、金属蒸着層や金属塗膜が向きあわされることが好ましい。
【0028】
(3)プラスチック基材層
本発明の積層材は、最内層を熱融着性樹脂層とし、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されたものであるが、金属含有層の外側にプラスチック基材層が積層されていてもよい。プラスチック基材層を積層することで金属含有層を保護することができ、積層材の耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質することができる。なお、プラスチック基材層はレーザー光透過性を有することが好ましい。
【0029】
このようなプラスチック基材層としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;6,6−ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリアクリロニトリルフィルム;ポリイミドフィルム等を用いることができる。上記プラスチックは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械強度や寸法安定性を有するものが好ましい。本発明では、上記プラスチックを二軸方向に任意に延伸した二軸延伸フィルムを好適に使用することができる。
【0030】
なお、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数10%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0031】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を任意に使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0032】
また、プラスチック基材層は、単層に限定されず積層フィルムであってもよい。例えばメタキシレンジアミン(MXD)ポリアミド層やエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂層を含む二軸延伸多層ポリアミドフィルム等のガスバリア性フィルムも好適に使用することができる。
【0033】
本発明で使用するプラスチック基材層の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性及び加工性を考慮すると、3〜200μmであることが好ましく、より好ましくは6〜30μmである。
【0034】
プラスチック基材層を積層材中に積層するには、プラスチック基材層を構成する上記フィルムを、2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させて押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等の公知の積層方法によって形成することができる。
【0035】
(4)中間基材層
本発明では、上記プラスチック基材層と熱融着性樹脂層との間に、更に中間基材層を設けることができる。中間基材層によって、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性などを向上させることができる。なお中間基材層は、少なくともレーザー光透過性を有することが好ましい。
【0036】
一般的には、上記プラスチック基材層と同じものを使用することができ、例えば、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムなどが例示できる。また、上記プラスチック基材層と同様に、単層に限定されず、2層以上の積層フィルムであってもよく、MXDポリアミド層やエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂層を含む二軸延伸多層ポリアミドフィルムやアルミニウム箔、アルミニウム等の金属蒸着膜を持つ二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等のガスバリア性フィルムも好適に使用することができる。
【0037】
中間基材層の厚さにも特に限定はなく、積層材の用途に応じて適宜選択することができる。一般的には6〜30μmの範囲である。なお、中間基材層の積層方法も従来公知の方法を採用することができ、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルージョンラミネート法、その他のいずれの公知の積層方法であってもよい。
【0038】
(5)デザイン印刷層
本発明の積層材は、プラスチック基材層、中間基材層などの内側や外側にデザイン印刷層を有するものであってもよい。
【0039】
印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
【0040】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0041】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0042】
上記は、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。また、印刷は、裏印刷でも、表印刷でもよい。
(6)外層
本発明の積層材は、前記プラスチック基材層の表面側に更に外層を設けてもよい。このような外層としては、プラスチック基材層の用途や意匠性などによって適宜選択することができ、積層材表面の滑り性を付与する場合には透明なOPニスを使用することが好ましい。なお、外層は、2層以上の積層とすることができ、外層にデザイン印刷層を形成してもよい。ただし、融着部には外層には印刷層が形成されないことが好ましい。レーザー光の透過性を低下させ、融着を困難とする場合がある。
【0043】
(7)レーザー融着性積層材
本発明のレーザー融着性積層材は、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層、好ましくは前記熱融着性樹脂層に隣接して金属含有層が積層されることを特徴とする。本発明のレーザー融着性積層材の好適な態様として、プラスチック基材フィルム(23)に金属蒸着膜(25)を形成してなる金属含有層(20)を、接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂層(10)に積層したもの(熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(プラスチック基材フィルムに金属蒸着膜を形成:図1)、金属箔からなる金属含有層(20)を接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂層(10)に積層したもの(熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(金属箔):図2)、プラスチック基材フィルム(23)に金属塗膜(27)を形成してなる金属含有層(20)とプラスチック基材層(30)とを接着剤層(50)を介して積層し、この積層体の金属塗膜(27)側に溶融押し出しによって熱融着性樹脂層(10)を積層させたもの(熱融着性樹脂層/金属含有層(金属塗膜を有するプラスチック基材フィルム)/接着剤層/プラスチック基材層:図3)などを例示することができる。更に、熱融着性樹脂層(10)、接着剤層(50)を介して金属箔からなる金属含有層(20)を接着し、この金属含有層(20)に接着剤層(50)を介してプラスチック基材層(30)を接着したもの(熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(金属箔)/接着剤層/プラスチック基材層)、また、熱融着性樹脂層(10)、接着剤層(50)を介して金属箔からなる金属含有層(20)を接着し、この金属含有層(20)に接着剤層(50)を介して中間基材層を接着し、前記中間基材層に接着剤層(50)を介してプラスチック基材層(30)を接着したもの(熱融着性樹脂層/金属含有層(金属箔)/接着剤層/中間基材層/接着剤層/プラスチック基材層)、熱融着性樹脂層(10)が2種の熱融着性樹脂の溶融押し出しなどからなる多層であり、これを接着剤層(50)を介して金属箔からなる金属含有層(20)を接着し、この金属含有層(20)に接着剤層(50)を介してプラスチック基材層(30)を接着したもの(熱融着性樹脂層/熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(金属箔)/接着剤層/プラスチック基材層)などを例示することができる。このような積層材の層構成は、積層材の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の積層材を用いてレトルトパウチを製袋する場合には、密封性に優れ、また、防湿性やガスバリヤ性、その他、耐水性、耐熱性、耐内容物性を確保する必要があり、例えば、積層材の外層から内層に向かって、プラスチック基材層/中間基材層(ガスバリア性フィルム層)/金属含有層/熱融着性樹脂層からなる積層構成を例示することができる。各層間には、押し出しラミネート層、コロナ処理などの表面処理層、アンカーコート層、ラミネート用接着剤層などが更に存在していてもよい。
【0044】
また、本発明では、上記構成によってレーザー融着を可能とするものであるから、少なくとも、レーザー融着性積層材の融着部に限定して上記構成を有していればよく、積層材の全面が上記構成を有する必要はない。したがって、図4に示すように、積層材の融着部のみに金属塗膜(27)とプラスチック基材フィルム(23)とからなる金属含有層(20)が接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂(10)に積層されるが、プラスチック基材フィルム(23)の融着部以外には、デザイン印刷層(60)が形成される態様であってもよい。融着部以外のいずれかの積層個所にデザイン印刷層が形成されると、積層材を包装材料として使用した場合に、内容物の説明などを表示することができる。
【0045】
したがって、本発明の積層材を製造するには、例えば、プラスチック基材層(10)の融着部(LS)に金属塗膜(27)を形成し、同時にその他の部分にデザイン印刷層(60)を形成し、これら金属塗膜(27)やデザイン印刷層(60)のある面に接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂層(10)を積層して製造することができる。なお、エキストルージョンラミネート法によって、接着剤を使用することなく熱融着性樹脂層(10)を積層することもできる。
【0046】
また、いずれかのフィルムや層の積層を行う際に、必要ならば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知の前処理のほか、アンカーコート剤などを使用することができる。
【0047】
(8)レーザー融着方法
(i)金属含有層を含む積層材のレーザー融着
本発明の積層材は、積層材の内層を構成する熱融着性樹脂層(10)を向き合わせて重ね、積層材の外側からレーザー光を照射することで、熱融着性樹脂層(10)を融着させ、積層材を融着させることができる。たとえば、積層材が熱融着性樹脂層(10)と金属箔膜からなる金属含有層(20)とを接着剤層(50)を介して積層したものである場合では、図5に示すように、熱融着性樹脂層(10)同士を向き合わせて重ね、積層材の金属含有層(20)の側からレーザー光を照射すると金属含有層(20)のレーザー光照射部が溶融し、熱融着加工を行うことができる。
【0048】
照射するレーザー光は、金属含有層の厚さなどに応じて適宜選択することができ、特に発振波長750〜1200nmの半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を好適に使用することができる。これらはいずれも、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチック基材層、中間基材層を透過するため、積層材を切断したり、積層材表面を溶融することがなく、外観に優れる包装体を製造することができるからである。なお、照射時間、照射出力などは熱融着性樹脂層(10)の厚さ、種類、積層材の他の層構成などに応じて適宜選択することができる。一般には、レーザー照射条件は、スポット径0.1〜15mm、出力5〜500W、加工速度1〜400mm/secである。これにより実用的な接着強度を確保することができる。なお、融着部にレーザー光照射側から所定の押圧をかけるとより融着が容易である。このような押圧方法として、例えばガラス板などを融着部に載置し、その上部からレーザー光を照射すればよい。図6に、最内層側から熱融着性樹脂層、接着剤層、金属含有層(金属箔)、接着剤層、プラスチック基材層からなるレーザー融着性積層材を、最内層を対向して重ね合わせ、これをガラス板(80)からなる押さえ具で挟み、レーザー光(90)を照射する態様を示す。これにより、プラスチック基材層/接着剤層/金属箔/接着剤層/熱融着性樹脂層/接着剤層/金属箔/接着剤層/プラスチック基材層の多層構造の融着部を得ることができる。なお、押さえ具は、少なくともレーザー光照射側がガラス板や石英などのレーザー光透過性物質で構成されればよい。
【0049】
(ii)金属含有層を含まない熱融着性樹脂のレーザー融着
一方、本発明では、金属含有層を含まない熱融着性樹脂の単層フィルムや2層以上の熱融着性樹脂からなる積層材などであっても、2枚の前記単層フィルムを向かい合わせ、または2枚の前記積層材を向かい合わせ、金属箔、金属板その他の金属膜などの発熱部材からなる押さえ具で挟み、上記半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を照射することでレーザー融着することができる。すなわち本発明の第二は、レーザー光の照射により発熱する2つの発熱部材の間に、2枚の熱融着性樹脂層を重ね合わせて設置し、前記発熱部材に前記レーザー光を照射して、前記2枚の熱融着性樹脂層を融着させることを特徴とするレーザー融着方法である。
【0050】
炭酸ガスレーザーは、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどを融着しうるが、積層材の表面を溶融する場合がある。一方、半導体レーザー、ファイバーレーザーまたはディスクレーザーなどの近赤外線レーザー光は、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどを透過するためレーザー光吸収剤が配合され、または上記金属含有層が配設されていない場合には、熱融着性樹脂をヒートシール加工することができない。しかしながら、熱融着性樹脂にレーザー光吸収剤を配合させることなく、また積層材中にレーザー光吸収剤層や金属含有層を含まない場合でも、2枚の熱融着性樹脂層を融着させることができる。前記したように、レーザー光による融着では、ガラス板などを融着部に載置し、その上部からレーザー光を照射するが、ガラス板に代えて、またはガラス板と共にレーザー光の照射により発熱する発熱部材を使用し、2枚の熱融着性樹脂を重ねて一対の発熱部材の間に挟み、いずれか一方の発熱部材にレーザー光を照射して発熱させると、伝熱により熱融着性樹脂を融着させることができる。
【0051】
このような態様を図7に示す。図7は、下押さえ具として金属板(75)を使用し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)を上押さえ具とし、この間に2枚の熱融着性樹脂層を積層し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)側からレーザー光を照射する態様を示す。金属板や金属箔はレーザー光の照射により発熱する部材であり、レーザー光の照射によって発熱し、隣接する2枚の熱融着性樹脂層を融着することができる。なお、2枚の熱融着性樹脂層のみを融着しうるように、前記金属箔(73)の熱融着性樹脂層との接触面には、剥離性を付与しておくことが好ましい。例えば金属板や金属箔を研磨し、鏡面を構成することで剥離性を付与することができる。
【0052】
一方、図8(a)に示すように、ガラス板(80)からなる下押さえ具に金属箔(73)を載置し、次いで、熱融着性樹脂層(10)を2枚、更にその上に金属箔(73)を載置し、ガラス板(80)からなる上押さえ具で押さえ、レーザー光(90)を照射すると、図8(b)に示すように、金属箔(73)を熱融着性樹脂層(10)に融着することができ、その結果、金属箔/熱融着性樹脂層/金属箔となる構成の融着部を得ることができる。この場合、金属箔(73)は、発熱部材として使用され、かつ熱融着性樹脂層の融着後には融着部の一部を構成している。したがって、上記方法は、2枚の熱融着性樹脂層の融着と共に熱融着性樹脂層と金属箔との接着方法としても使用することができる。なお、鏡面を構成しない金属箔は剥離性がなく、溶融した熱融着性樹脂を金属表面にかみ合わせるため熱融着性樹脂層に接着する。
【0053】
本発明において、レーザー光透過側は、他方の金属板(75)にレーザー光を照射しうるように、レーザー光透過性を有することが好ましい。このため、金属箔(73)は厚さ5μm〜10mm、好ましくは5μm〜0.1mmである。一方、金属板(75)はレーザー光透過性の要求がなく、一般には5μm〜100mmのものを好適に使用することができる。
【0054】
前記は、発熱部材として金属箔、金属板を例示したが、発熱部材としては金属含有部材を広く使用することができ、このような金属含有部材としては、例えばアルミ、鉄の他、クロマイトなどの金属化合物、SUSなどの合金などを好適に使用することができる。また、発熱部材の形状として、板状、球状、線状、輪状など各種の形状のものを使用することができる。図7では1対の板状物を示したが、これに限定するものではない。また、2枚の熱融着性樹脂層を挟む一対の発熱部材は同型である必要はなく、例えば、一方が板状であり、他方が線状や球形であってもよい。線状の押さえ部にレーザー光を照射すると、線状に融着させることができる。このため、発熱部材の形状を、例えば融着部と同じ形状にすれば、そのままヒートシールバーとして使用することができる。このように、本発明で使用する発熱部材の形状は、前記融着部材の融着部を押圧する押圧部を形成するものを好適に使用することができる。
【0055】
本発明のレーザー融着方法によれば、2枚の熱融着性樹脂フィルムを重ね合わせて融着することができるが、熱融着性樹脂層は、単層フィルムに限定されるものではない。少なくとも最内層または最外層に熱融着性樹脂を有すれば、これとプラスチック基材層(30)とを接着剤層(50)を介して積層したものなど、他のプラスチック基材層との積層体であってもよい。図9に、熱融着性樹脂層のみの単層フィルムや、少なくとも最内層に熱融着性樹脂層を有する積層材を使用して、周囲をヒートシール加工し、上部以外の三方をヒートシールして製袋する際の融着部(LS)を示す。このような積層材が、最内層から順に熱融着性樹脂(10)/接着剤層(50)/プラスチック基材層(30)との積層材である場合に、この積層材を融着する際の積層の構成を図10に示す。図10では、一対の押さえ具の下押さえ具(120)に2枚の積層材が、最内層の熱融着性樹脂(10)を向き合わせて重ねられ、次いで、融着部の形状に切断した上押さえ具(120’)が融着部に重ねられ、上押さえ具(120’)に矢印で示すレーザー光が照射される態様を示す。これにより、熱融着性樹脂(10)の上押さえ具(120’)で押圧された部分のみが融着部(LS)となる。なお、図10は、図9の包装体(100)の上下に、一対の押さえ具(120、120’)を配置した場合のA−A’線の断面透視図である。一般には融着部は、幅3〜20mmである。
【0056】
さらには、前記したレーザー融着性積層材からなる包装材料の熱融着性樹脂層と、熱融着性樹脂包装材とを向かい合わせて重ね、押さえ具で重ね部を押圧する際に、前記熱融着性樹脂包装材側の押さえ具を金属板で構成し、前記包装材料側の押さえ具をガラス板で構成し、前記熱融着性樹脂包装材側からレーザー光を照射して重ね部を熱融着しても、前記重ね部を熱融着することができる。この態様は、包装材料を構成する金属含有層がレーザー光の照射により発熱する発熱部材の役割を果たし、前記熱融着性樹脂包装材側に配設した金属板と一対の押さえ具を構成し、融着を可能にするものと考えられる。なお、熱融着性樹脂包装材は熱融着性樹脂の単層に限定されず複数の熱融着性樹脂からなる多層構造体であってもよい。
【0057】
本発明では、半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を照射して融着する点に特徴があり、上押さえ具(120’)に前記レーザー光を照射し、上押さえ具(120’)にレーザー光エネルギーを供給し、発熱部材からなる押さえ具で挟まれた熱融着性樹脂層(10)を融着させる。このような押さえ具で融着部を挟むことで融着できる理由は明確ではないが、金属がレーザー光を吸収して発熱する一方、レーザー光の反射板として機能し、この結果、上記押さえ具に挟まれた熱融着性樹脂層(10)が融着すると考えられる。
【0058】
レーザー照射条件は、スポット径0.1〜15mm、出力5〜500W、加工速度1〜400mm/secである。これにより実用的な接着強度を確保することができる。
なお、上記半導体レーザーなどの近赤外線レーザーにガルバノ式スキャニングシステムを併用することでCADでデザインしたシール形状でも容易に融着加工することができる。更に、ヘッド部をロボットアーム駆動とすれば立体シール溶接も行うことができる。その際、下押さえ具(120)をSUS板やアルミ板などの板状物で調製し、上押さえ具(120’)をレーザー光照射部に連設させた球状またはローラ状物にすれば、CADでデザインした軌跡どおりにレーザー光を照射する際に、前記球状またはローラ状の上押さえ具(120’)によって押圧しながらレーザー光を照射することができる。このため、包装体の融着部の形状に合わせて調製するヒートシールバーを使用することなく、種々の形状に簡便に対応してレーザー融着を行うことができる。
【0059】
更に、レーザー光源と融着対象物との間に所定形状のマスクを挿入し、マスクで覆われていない部分にレーザー光を照射して融着する、いわゆるマスク融着の場合には、上押さえ具(120’)を融着部の形状に成型し、上押さえ具(120’)にレーザー光を照射することで、マスク融着と同様の融着を行うことができる。このため、例えば錠剤のマスク融着など、シール形状を自由に設定することができる。
【0060】
(9)包装体
本発明の包装体は、前記レーザー融着性積層材からなる包装材料の熱融着部同士を向かい合せて重ねて融着部を形成し、前記融着部に半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して熱融着してなる包装体である。例えば、上記包装材料の熱融着性樹脂層を対向するように重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方を融着部とし、ガラス板と金属板とからなる押さえ具などで前記融着部を挟み、融着部にガラス板側からレーザー光を照射することで、上部に開封部を有する包装体を製袋することができる。
【0061】
また、包装材料が金属含有層やレーザー光吸収剤層を含まない場合でも、熱融着性樹脂層を対向するように重ね合わせた積層材を、金属板と金属箔などの発熱部材からなる一対の押さえ具で押圧し、少なくとも一方の押さえ具にレーザー光を照射することで、レーザー光照射部を融着させ、包装体を製袋することができる。前記開封部は、内容物充填後に上記と同様にしてヒートシールすればよい。なお、レーザー融着によってシールすることもできる。
【0062】
加えて、本発明では、レーザー融着性積層材からなる包装材料と、熱融着性樹脂包装材とから包装体を製造することができる。すなわち、前記レーザー融着性積層材からなる包装材料Iと、少なくも融着部に熱融着性樹脂層が形成された包装材料IIとからなる包装体であって、前記包装材料Iの熱融着性樹脂層と前記包装材料IIの熱融着性樹脂層とを向かい合わせて重ね、レーザー光の照射により発熱する発熱部材、前記包装材料II、前記包装材料Iとなるように積層し、前記包装材料I側から半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を照射して重ね部を熱融着してなる包装体である。なお、包装材料Iをガラス板や石英板などの、レーザー光透過性部材で押圧しレーザー光を照射してもよい。
【0063】
前記包装材料Iを蓋材とし、包装材料IIを容器本体に成型することで、袋状、カップ形状、深絞り容器、トレー状容器その他の形状のもの製造することができる。例えば、図11に示すように、包装材料IIが、容器本体が開口部に熱融着性樹脂層からなるフランジを有するカップ形状の場合、カップ形状の包装材料IIを金属板(75)に載置し、フランジ上部に熱融着性樹脂層(10)、金属含有層(20)、プラスチック基材層(30)とからなる包装材料Iからなる蓋部を、熱融着性樹脂層(10)側がフランジに接触するように重ね、上記蓋部をガラス板(80)からなる上押さえ具で押さえてレーザー光(90)を照射する。この際、前記フランジ下部に金属板(75)からなる下押さえ具を配置すると、フランジと蓋部とを熱融着することができる。
【0064】
なお、包装体の形状としては、カップ状に限定されず、ピロー包装形態、ガセット包装形態、スタンディング(自立性)パウチ包装形態、パウチ、スパウト、液体小袋、レトルトパウチ、深絞り容器、トレー状その他等の内容物に合った種々の形態からなる包装体を製造し得る。なお、包装体が袋状である場合には、その上部に開封操作を容易にするノッチなどの易開封性手段であってもよい。ノッチは、通常、一字形やV字形などのノッチが使用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に鋭角部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【実施例】
【0065】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(例1)
厚さ15μmの延伸ポリアミドフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔とをドライラミネーション法で積層し、デザイン印刷層を形成した厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのデザイン印刷層側と前記積層体のポリアミド面とをドライラミネーション法によって積層した。ついで、溶融押し出しによって、前記アルミニウム箔面に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレン層を形成し、積層材を調製した。
【0066】
この積層材を縦40mm、横100mmの長方形に切断し、未延伸ポリプロピレン層を向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、ポリエチレンテレフタレート/印刷層/延伸ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/未延伸ポリプロピレン/未延伸ポリプロピレン/アルミニウム箔/延伸ポリアミドフィルム/印刷層/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0067】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力15A、30W、加工速度5mm/secで行った。
【0068】
レーザー照射表面のポリエチレンテレフタレート、延伸ポリアミドフィルムはレーザ光が透過して外傷をつけることなく、積層材内部の未延伸ポリプロピレン/未延伸ポリプロピレンを融着することができた。結果を表1に示す。
【0069】
(例2)
厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、化学蒸着法によって厚さ1500Åのアルミ蒸着処理を行い、次いでアルミ蒸着面に厚さ15μmの延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネーション法で積層して積層材を調製した。
【0070】
積層材を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、延伸ポリプロピレンフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、ポリエチレンテレフタレート/アルミ蒸着層/延伸ポリプロピレン/延伸ポリプロピレン/アルミ蒸着層/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaとした。
【0071】
融着部の幅1・4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザ加工機(ガルバノ式スキャニングシステム内蔵)、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力15A、30W、加工速度5mm/secで行った。
【0072】
レーザー照射表面のポリエチレンテレフタレートはレーザ光が透過して外傷をつけることなく、積層材の延伸ポリプロピレンを融着することができた。
また、加工速度を10mm/sec、15mm/secで行い融着の可否を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
(例3)
デザイン印刷層を形成した厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの前記デザイン印刷面と厚さ7μmのアルミニウム箔とをドライラミネーション法で積層し、ついで、ドライラミネーション法によって前記アルミニウム箔面に厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを積層し、積層材を調製した。
【0074】
この積層材を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、延伸ポリプロピレンフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0075】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力18A、30W、加工速度10mm/secで行った。
【0076】
レーザー照射表面のポリエチレンテレフタレートはレーザ光が透過して外傷をつけることなく、積層材内部の低密度ポリエチレン層を融着することができた。結果を表1に示す。
【0077】
(例4)
厚さ7μmのアルミニウム箔と厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネーション法で積層した(積層材4)。また、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔とをドライラミネーション法で積層し、ついで、前記アルミニウム箔面に厚さ70μmの延伸ポリプロピレンフィルムを重ね合わせた(積層材4’)。
【0078】
積層材4と積層材4’を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、双方の延伸ポリプロピレンフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、アルミニウム箔/延伸ポリプロピレンフィルム/延伸ポリプロピレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0079】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力17A、30W、加工速度10mm/secで行った。
【0080】
レーザー照射によりポリエチレンテレフタレートを切断することなく、積層材内部のポリプロピレン/ポリプロピレンを融着することができた。
また、出力と加工速度を表1のように変化させて融着し、融着の可否を評価した。結果を表1に示す。
【0081】
(例5)
厚さ9μmのアルミニウム箔に厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを接着せずに重ね合せたもの2組を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。なお、アルミニウム箔は、鏡面側をポリエチレンテレフタレートフィルムに重ね合わせた。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔となる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0082】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力25A,30W、加工速度95mm/secで行った。
【0083】
レーザー照射により、アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートは接着せず、積層材内部のポリエチレンテレフタレート層のみを融着することができた。結果を表1に示す。
【0084】
(例6)
厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンを縦100mm、横40mmの長方形に切断し、重ねて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、未延伸ポリプロピレン/未延伸ポリプロピレンとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0085】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザー加工機、波長940nmを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力15A,30W、加工速度10mm/secで行った。
【0086】
ポリプロピレン層は融着しなかった。結果を表1に示す。
(例7)
厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルムを縦100mm、横40mmの長方形に切断し、重ねて0.1mm厚さのSUS板上に載置し、融着部に一対のSUS板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部SUS板側から、延伸ポリプロピレン/延伸ポリプロピレンとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0087】
融着部の幅1.4mmに、SUS板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザー加工機(ガルバノ式スキャニングシステム内蔵)、波長940nmを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力30A,100W、加工速度50mm/secで行った。
【0088】
レーザー照射によりポリプロピレンを融着することができた。結果を表1に示す。
(例8)
厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに溶融押し出しにより直鎖状低密度ポリエチレンを厚さ60μmに積層し、積層材を調製した。
【0089】
この積層材を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、双方の直鎖状低密度ポリエチレンを向き合わせて、融着部に一対のSUS板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部SUS板側から、ポリエチレンテレフタレート/直鎖状低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0090】
融着部の幅1.4mmに、SUS板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機(ガルバノ式スキャニングシステム内蔵)、波長940nmを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力30A,100W、加工速度50mm/secで行った。
【0091】
レーザー照射により積層材内部の低密度ポリエチレン層を融着することができた。結果を表1に示す。なお、表中PET:ポリエチレンテレフタレート、ONy:延伸ポリアミド、CPP:未延伸ポリプロピレン、AL箔:アルミニウム箔、ALVW:アルミ蒸着層、OPP:延伸ポリプリピレン、LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレンを示す。
【0092】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の積層材は、半導体レーザー光で融着することができ生産性高く、かつ接着剤を使用することなく、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の積層材の層構成の一例を示す説明図であり、金属含有層がプラスチック基材フィルムに金属蒸着膜を形成してなる態様を示す。
【図2】図2は、本発明の積層材の他の層構成の一例を示す説明図であり、金属含有層が金属箔からなる態様を示す。る。
【図3】図3は、本発明の積層材の他の層構成の一例を示す説明図であり、金属含有層がプラスチック基材フィルムに金属塗膜を形成した態様であり、金属含有層の外層にプラスチック基材層を積層した積層材を示す。
【図4】図4は、本発明の積層材において、金属含有層が、融着部にのみ形成される態様を示す図である。
【図5】図5は、本発明の積層材を、熱融着性樹脂層を向き合わせて重ね、融着部にレーザー光を照射し、融着部を形成することを説明する図である。
【図6】最内層側から熱融着性樹脂層、接着剤層、金属含有層(金属箔)、接着剤層、プラスチック基材層からなるレーザー融着性積層材を、最内層を対向して重ね合わせ、これをガラス板(80)からなる押さえ具で挟み、レーザー光(90)を照射する、本発明のレーザー融着方法の態様の一例を示す図である。
【図7】下押さえ具として金属板(75)を使用し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)を上押さえ具とし、この間に2枚の熱融着性樹脂層を積層し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)側からレーザー光を照射する、本発明のレーザー融着方法の態様の一例を示す横断面図である。
【図8】ガラス板(80)からなる下押さえ具に金属箔(73)を載置し、次いで、熱融着性樹脂層(10)を2枚、更にその上に金属箔(73)を載置し、ガラス板(80)からなる上押さえ具で押さえ、レーザー光(90)を照射する、本発明のレーザー融着方法の態様の一例を示す横断面図である。また、図8(b)は、図8(a)により、得られた融着物の層構成を示す横断面図である。
【図9】図9は、本発明の包装体を製造する際に、積層材の周囲の融着部を説明する図である。
【図10】図10は、本発明のレーザー融着方法を行う際の積層材の層構成および押さえ具による融着部への押し圧のかけ方を説明する図である。
【図11】図11は、本発明のレーザー融着性積層材からなる包装材料Iの熱融着性樹脂層を蓋材とし、熱融着性樹脂層からなる包装材料IIをカップ状容器とし、包装材料I,IIの熱融着性樹脂層を向かい合わせて重ねてレーザー融着する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0095】
10・・・熱融着性樹脂層、
20・・・金属含有層、
23・・・プラスチック基材フィルム、
25・・・金属蒸着膜、
27・・・金属塗膜、
30・・・プラスチック基材層、
50・・・接着剤層、
60・・・デザイン印刷層、
70・・・発熱部材
73・・・金属箔、
75・・・金属板、
80・・・ガラス板、
90・・・レーザー光、
LS・・・融着部、
100・・・包装体、
120・・・下押さえ具
120’・・・上押さえ具。
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー融着性積層材、レーザー融着方法および包装体に関し、より詳細には、金属含有層と熱融着層とを有するレーザー融着性積層材、および該積層材からなる包装体、およびレーザー光の照射によって発熱する発熱部材の間に熱融着性樹脂層を重ね合わせ、一方の発熱部材からレーザー光を照射して前記熱融着性樹脂層を融着させるレーザー融着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を照射してプラスチックを加工する方法は公知であり、成型、切断、融着、印字など多方面で使用されている。
例えば、レーザー光を用いた熱可塑性樹脂の融着方法として、透明ポリアミドからなる外側管と内側管との接合対象部位に光吸収マーカーをあらかじめ塗布し、外側から非合焦の赤外・遠赤外線領域波長を多く含む可視光線を発熱用光として照射し、融着する方法がある(特許文献1)。該方法によれば、発熱用光が外側管を透過し、光吸収マーカーの塗布部分だけに吸収されて発熱し、接合対象部位のみを融着させるため、精度のよい融着ができる、という。
【0003】
また、熱可塑性樹脂に所定量の白色顔料を含有した樹脂組成物からなるレーザー光透過性の樹脂部材を形成し、それへ、レーザー光吸収性を有する樹脂部材を重ね合わせ、レーザー光を照射することにより熱融着させることを特徴とするレーザー融着方法もある(特許文献2)。特許文献2は、白色顔料を含有する白色樹脂部材は、顔料がレーザー光を反射したり分散させ易いためにレーザー光を十分に透過させることができず、レーザー融着強度が不十分となることに鑑みてなされたものである。所定の屈折率を有する白色顔料を使用することで少量でも明瞭な白色を示し、レーザー光吸収層を配設することで、レーザー光照射により簡便に融着することができる、という。
【0004】
更に、熱融着性シート材を重ね合わせ、レーザー光の照射により発熱する発熱部材をレーザー光を透過する光透過性部材との間に挟み、前記光透過性部材を介して発熱部材に前記レーザー光を照射することで熱融着性シート材を融着する方法も開示されている(特許文献3)。レーザー光として、ルビーレーザー、半導体レーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー、YVO4レーザー、Ne−Heレーザー、Arレーザー、CO2レーザーを例示し、YAGレーザーが好ましいとしている。
【特許文献1】特開2001−191412号公報
【特許文献2】国際公開2005/021245号公報
【特許文献3】特開2004−142225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラスチック多層ラミネートフィルムは、ヒートシール加工によって袋体に成型されることが一般的である。しかしながら、レーザー光はレーザーの波長によって作用が異なり、炭酸ガスレーザーは水に吸収され半導体レーザーなどは色素に吸収されるなど、物質に対する影響が異なる。このためポリエチレンテレフタレートフィルムに炭酸ガスレーザー光を照射した場合には、フィルムをカットしたり、レーザー光がフィルムに吸収されフィルム表面を溶融し、アルミ箔や金属蒸着層を含む積層材からなるパウチのシーラント部分を融着することができず、また、積層材の溶融により製品の外観を損ねる場合がある。また、半導体レーザー光を透明なポリエチレンテレフタレートフィルムに照射してもレーザー光がフィルムを透過し、フィルムを融着することができない。
【0006】
また、プラスチック多層ラミネートフィルムから包装袋を製袋する場合にも、そのサイズや形状に応じてヒートシール形状を変える必要があり、対応するヒートシールバーを製作する必要がある。
【0007】
一方、熱融着性樹脂層は、積層材の最内層を構成する樹脂層であり、内容物と直接接触する層である。したがって、内容物が、栄養補給剤や薬剤、医療用具などの医療関連品や、調味料、冷凍食品、調理済み食品などの食料品の場合には、内容物に対する安全性を確保する必要がある。
【0008】
上記現状に鑑み、表面を傷つけることなく、外観に優れるレーザー融着性積層材、該積層材を使用した包装体、レーザー融着方法を提供することを目的とする。
また、簡便に製袋しうるレーザー融着性積層材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、レーザー光照射によって融着しうる積層材について詳細に検討した結果、半導体レーザーはレーザー吸収層に吸収されるため所定のレーザー吸収層を有する積層体を融着しうること、特にレーザー吸収層を金属含有層で構成し、2枚の金属含有層の間に熱融着性樹脂層を挟んで金属含有層にレーザー光を照射するとレーザー光の熱エネルギーが熱融着性樹脂層に伝熱して熱融着性樹脂層を溶融させうること、特に発振波長750〜1200nmの半導体レーザーや、ファイバーレーザーまたはディスクレーザーであれば、積層材を切断したり積層材表面を溶融することなく熱融着性樹脂層を融着させ、かつ積層材の表面を溶融することなく外観に優れること、および積層材が金属含有層を含まない場合であっても、融着部を金属などの発熱部材からなる押さえ具で挟んでから半導体レーザー光を発熱部材に照射すると熱融着性樹脂層をレーザー融着しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする、レーザー融着性積層材を提供することを目的とする。
【0011】
また、前記レーザー融着性積層材からなる、包装材料を提供することを目的とする。
また、前記包装材料の熱融着部同士を向かい合せて重ねて融着部を形成し、前記融着部に半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して熱融着してなる包装体を提供することを目的とする。
【0012】
また、前記レーザー融着性積層材からなる包装材料Iと、少なくも融着部に熱融着性樹脂層が形成された包装材料IIとからなる包装体であって、前記包装材料Iの熱融着性樹脂層と前記包装材料IIの熱融着性樹脂層とを向かい合わせて重ね、レーザー光の照射により発熱する発熱部材、前記包装材料II、前記包装材料Iとなるように積層し、前記包装材料I側から半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して重ね部を熱融着してなる包装体を提供することを目的とする。
【0013】
更に、レーザー光の照射により発熱する2つの発熱部材の間に、2枚の熱融着性樹脂層を重ね合わせて設置し、前記発熱部材に半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して、前記2枚の熱融着性樹脂層を融着させることを特徴とするレーザー融着方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層材は、金属含有層がレーザー光エネルギーを吸収して最内層の熱融着性樹脂層を溶融するため、熱融着性樹脂層にレーザー光吸収剤を含有させる必要がなく、安全性に優れ、かつレーザー光吸収剤などを使用しないため安価であると共に、環境汚染の影響が少ない。
【0015】
また、半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して融着できるため、表面に傷をつけることなく積層材表面を融着することができ、その外観に優れる。更に、接着剤の使用を回避することができ、生産工程を簡略化することができ、コストも低下させることができる。
【0016】
本発明の積層材は、レーザー光の照射により、短時間にヒートシール形成を行うことができる。
本発明のレーザー融着方法は、融着部を発熱部材からなる押さえ具で挟むことでレーザー光吸収剤を使用することなく熱融着性樹脂層を融着することができる。このため、透明な積層体でもレーザー融着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第一は、レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする、レーザー融着性積層材である。一般に、レーザー融着にはレーザー光吸収剤が使用されるが、本発明では、積層材を熱融着性樹脂層同士を向きあわせて重ね、金属含有層にレーザー光を照射してそのエネルギーを吸収させ、これにより熱融着性樹脂層を融着させることができるため、レーザー光吸収剤を使用することがない。本発明のレーザー融着性積層材は、少なくとも最内層に熱融着性樹脂層を有し、前記積層材の最内層以外のいずれかの層に金属含有層が積層されている必要がある。なお、金属含有層と最内層の熱融着性樹脂層に加え、他の層を有していてもよい。以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
(1)熱融着性樹脂層
本発明の積層材を構成する熱融着性樹脂層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種の熱融着性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。
【0019】
具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、及びそれらの金属架橋物等の樹脂、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。上記の熱融着性樹脂層には、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤が添加されたものであってもよい。
【0020】
熱融着性樹脂層は、一般には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜することができる。
【0021】
本発明において、熱融着性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には15〜200μmの範囲である。上記範囲であれば、半導体レーザー光などによる融着強度に優れるからである。なお、前記熱収縮性基材フィルムの厚さは、熱収縮前の層厚である。
【0022】
なお、本発明では、金属含有層によってレーザー光エネルギーを吸収するため、熱融着性樹脂層にレーザー光吸収剤などを含有する必要がなく、食品や医療用の包装材料として使用する場合にも、安全性に優れる。
【0023】
(2)金属含有層
本発明において、「金属含有層」とは、金属を含有する層であればよく、金属箔、金属薄板、金属厚板のほか、金属蒸着膜、金属塗膜などがある。また、金属としては、レーザー光エネルギーを吸収しうる金属を広く使用することができ、例えば、アルミニウム、鉄、などの金属単体、酸化アルミニウム、酸化アンチモンその他の金属酸化物、クロマイトその他の金属含有化合物、ステンレスなどの合金などがある。
【0024】
金属箔膜としては、例えばアルミニウム箔などの金属箔を好適に使用することができる。金属箔の厚さは、5〜15μmである。
また、金属蒸着膜としては、プラスチック基材フィルムに上記金属の蒸着層を形成したものが例示される。蒸着層の形成方法としては、化学蒸着法でも物理蒸着法でもよい。プラスチック基材フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂などの一種以上を好適に使用することができる。プラスチック基材フィルムは、上記樹脂の未延伸フィルムや一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムなどのいずれのものでも使用することができる。プラスチック基材フィルムの厚さは、好ましくは50〜3000Åである。また、蒸着層の厚さは、100〜1500Åである。
【0025】
一方、金属塗膜としては、プラスチック基材フィルムに金属粒子や金属酸化物を含有した金属塗工層を形成したものなどが例示される。例えば、アルミニウム、酸化アンチモンなどからなる平均粒子径10〜200nmの金属粒子を含有してなる金属塗膜を例示することができる。一般には、プラスチック基材フィルムに上記金属塗膜を形成して金属含有層とする。プラスチック基材フィルムとしては、前記金属蒸着膜層で使用するプラスチック基材フィルムを使用することができる。また、金属塗膜としては、上記金属粒子や金属酸化物を含むインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。更に、染料・顔料等の着色剤を添加してもよい。このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、硝化綿、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。
【0026】
上記金属塗膜は、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他の従来の印刷方式でプラスチック基材フィルム上に形成することができる。各金属塗膜の厚さは、1〜80μmであることが好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
【0027】
金属含有層は、最内層以外であれば積層材のいずれに積層されていてもよいが、融着性に優れる点で熱融着性樹脂層と隣接して積層することが好ましい。金属含有層と熱融着性樹脂層とを積層するには、上記金属含有層を、2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させて押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等の公知の積層方法によって形成することができる。金属含有層は、接着剤層を介して前記熱融着性樹脂層に積層され、または前記熱融着性樹脂層は前記金属含有層に溶融押し出しによって形成されたものを好ましく使用することができる。なお、その際、熱融着性樹脂層側には、プラスチック基材フィルムではなく、金属蒸着層や金属塗膜が向きあわされることが好ましい。
【0028】
(3)プラスチック基材層
本発明の積層材は、最内層を熱融着性樹脂層とし、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されたものであるが、金属含有層の外側にプラスチック基材層が積層されていてもよい。プラスチック基材層を積層することで金属含有層を保護することができ、積層材の耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質することができる。なお、プラスチック基材層はレーザー光透過性を有することが好ましい。
【0029】
このようなプラスチック基材層としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルム;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;6,6−ナイロン等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリアクリロニトリルフィルム;ポリイミドフィルム等を用いることができる。上記プラスチックは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械強度や寸法安定性を有するものが好ましい。本発明では、上記プラスチックを二軸方向に任意に延伸した二軸延伸フィルムを好適に使用することができる。
【0030】
なお、上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数10%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0031】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を任意に使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0032】
また、プラスチック基材層は、単層に限定されず積層フィルムであってもよい。例えばメタキシレンジアミン(MXD)ポリアミド層やエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂層を含む二軸延伸多層ポリアミドフィルム等のガスバリア性フィルムも好適に使用することができる。
【0033】
本発明で使用するプラスチック基材層の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性及び加工性を考慮すると、3〜200μmであることが好ましく、より好ましくは6〜30μmである。
【0034】
プラスチック基材層を積層材中に積層するには、プラスチック基材層を構成する上記フィルムを、2液反応硬化型接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融させて押し出し貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等の公知の積層方法によって形成することができる。
【0035】
(4)中間基材層
本発明では、上記プラスチック基材層と熱融着性樹脂層との間に、更に中間基材層を設けることができる。中間基材層によって、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性などを向上させることができる。なお中間基材層は、少なくともレーザー光透過性を有することが好ましい。
【0036】
一般的には、上記プラスチック基材層と同じものを使用することができ、例えば、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムなどが例示できる。また、上記プラスチック基材層と同様に、単層に限定されず、2層以上の積層フィルムであってもよく、MXDポリアミド層やエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂層を含む二軸延伸多層ポリアミドフィルムやアルミニウム箔、アルミニウム等の金属蒸着膜を持つ二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等のガスバリア性フィルムも好適に使用することができる。
【0037】
中間基材層の厚さにも特に限定はなく、積層材の用途に応じて適宜選択することができる。一般的には6〜30μmの範囲である。なお、中間基材層の積層方法も従来公知の方法を採用することができ、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルージョンラミネート法、その他のいずれの公知の積層方法であってもよい。
【0038】
(5)デザイン印刷層
本発明の積層材は、プラスチック基材層、中間基材層などの内側や外側にデザイン印刷層を有するものであってもよい。
【0039】
印刷層としては、樹脂と溶媒から通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を調製し、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の助剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。
【0040】
このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。インクビヒクルは、版から被印刷物に着色剤を運び、被膜として固着させる働きをする。
【0041】
また、溶剤によってインキの乾燥性が異なる。印刷インキに使用される主な溶剤は、トルエン、MEK、酢酸エチル、IPAであり、速く乾燥させるために沸点の低い溶剤を用いるが、乾燥が速すぎると印刷物がかすれたり、うまく印刷できない場合があり、沸点の高い溶剤を適宜混合することができる。これによって、細かい文字もきれいに印刷できるようになる。着色剤には、溶剤に溶ける染料と、溶剤には溶けない顔料とがあり、グラビアインキでは顔料を使用する。顔料は無機顔料と有機顔料に分けられ、無機顔料としては酸化チタン(白色)、カーボンブラック(黒色)、アルミ粉末(金銀色)などがあり、有機顔料としてはアゾ系のものを好適に使用することができる。
【0042】
上記は、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。また、印刷は、裏印刷でも、表印刷でもよい。
(6)外層
本発明の積層材は、前記プラスチック基材層の表面側に更に外層を設けてもよい。このような外層としては、プラスチック基材層の用途や意匠性などによって適宜選択することができ、積層材表面の滑り性を付与する場合には透明なOPニスを使用することが好ましい。なお、外層は、2層以上の積層とすることができ、外層にデザイン印刷層を形成してもよい。ただし、融着部には外層には印刷層が形成されないことが好ましい。レーザー光の透過性を低下させ、融着を困難とする場合がある。
【0043】
(7)レーザー融着性積層材
本発明のレーザー融着性積層材は、最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層、好ましくは前記熱融着性樹脂層に隣接して金属含有層が積層されることを特徴とする。本発明のレーザー融着性積層材の好適な態様として、プラスチック基材フィルム(23)に金属蒸着膜(25)を形成してなる金属含有層(20)を、接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂層(10)に積層したもの(熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(プラスチック基材フィルムに金属蒸着膜を形成:図1)、金属箔からなる金属含有層(20)を接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂層(10)に積層したもの(熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(金属箔):図2)、プラスチック基材フィルム(23)に金属塗膜(27)を形成してなる金属含有層(20)とプラスチック基材層(30)とを接着剤層(50)を介して積層し、この積層体の金属塗膜(27)側に溶融押し出しによって熱融着性樹脂層(10)を積層させたもの(熱融着性樹脂層/金属含有層(金属塗膜を有するプラスチック基材フィルム)/接着剤層/プラスチック基材層:図3)などを例示することができる。更に、熱融着性樹脂層(10)、接着剤層(50)を介して金属箔からなる金属含有層(20)を接着し、この金属含有層(20)に接着剤層(50)を介してプラスチック基材層(30)を接着したもの(熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(金属箔)/接着剤層/プラスチック基材層)、また、熱融着性樹脂層(10)、接着剤層(50)を介して金属箔からなる金属含有層(20)を接着し、この金属含有層(20)に接着剤層(50)を介して中間基材層を接着し、前記中間基材層に接着剤層(50)を介してプラスチック基材層(30)を接着したもの(熱融着性樹脂層/金属含有層(金属箔)/接着剤層/中間基材層/接着剤層/プラスチック基材層)、熱融着性樹脂層(10)が2種の熱融着性樹脂の溶融押し出しなどからなる多層であり、これを接着剤層(50)を介して金属箔からなる金属含有層(20)を接着し、この金属含有層(20)に接着剤層(50)を介してプラスチック基材層(30)を接着したもの(熱融着性樹脂層/熱融着性樹脂層/接着剤層/金属含有層(金属箔)/接着剤層/プラスチック基材層)などを例示することができる。このような積層材の層構成は、積層材の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の積層材を用いてレトルトパウチを製袋する場合には、密封性に優れ、また、防湿性やガスバリヤ性、その他、耐水性、耐熱性、耐内容物性を確保する必要があり、例えば、積層材の外層から内層に向かって、プラスチック基材層/中間基材層(ガスバリア性フィルム層)/金属含有層/熱融着性樹脂層からなる積層構成を例示することができる。各層間には、押し出しラミネート層、コロナ処理などの表面処理層、アンカーコート層、ラミネート用接着剤層などが更に存在していてもよい。
【0044】
また、本発明では、上記構成によってレーザー融着を可能とするものであるから、少なくとも、レーザー融着性積層材の融着部に限定して上記構成を有していればよく、積層材の全面が上記構成を有する必要はない。したがって、図4に示すように、積層材の融着部のみに金属塗膜(27)とプラスチック基材フィルム(23)とからなる金属含有層(20)が接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂(10)に積層されるが、プラスチック基材フィルム(23)の融着部以外には、デザイン印刷層(60)が形成される態様であってもよい。融着部以外のいずれかの積層個所にデザイン印刷層が形成されると、積層材を包装材料として使用した場合に、内容物の説明などを表示することができる。
【0045】
したがって、本発明の積層材を製造するには、例えば、プラスチック基材層(10)の融着部(LS)に金属塗膜(27)を形成し、同時にその他の部分にデザイン印刷層(60)を形成し、これら金属塗膜(27)やデザイン印刷層(60)のある面に接着剤層(50)を介して熱融着性樹脂層(10)を積層して製造することができる。なお、エキストルージョンラミネート法によって、接着剤を使用することなく熱融着性樹脂層(10)を積層することもできる。
【0046】
また、いずれかのフィルムや層の積層を行う際に、必要ならば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知の前処理のほか、アンカーコート剤などを使用することができる。
【0047】
(8)レーザー融着方法
(i)金属含有層を含む積層材のレーザー融着
本発明の積層材は、積層材の内層を構成する熱融着性樹脂層(10)を向き合わせて重ね、積層材の外側からレーザー光を照射することで、熱融着性樹脂層(10)を融着させ、積層材を融着させることができる。たとえば、積層材が熱融着性樹脂層(10)と金属箔膜からなる金属含有層(20)とを接着剤層(50)を介して積層したものである場合では、図5に示すように、熱融着性樹脂層(10)同士を向き合わせて重ね、積層材の金属含有層(20)の側からレーザー光を照射すると金属含有層(20)のレーザー光照射部が溶融し、熱融着加工を行うことができる。
【0048】
照射するレーザー光は、金属含有層の厚さなどに応じて適宜選択することができ、特に発振波長750〜1200nmの半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を好適に使用することができる。これらはいずれも、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチック基材層、中間基材層を透過するため、積層材を切断したり、積層材表面を溶融することがなく、外観に優れる包装体を製造することができるからである。なお、照射時間、照射出力などは熱融着性樹脂層(10)の厚さ、種類、積層材の他の層構成などに応じて適宜選択することができる。一般には、レーザー照射条件は、スポット径0.1〜15mm、出力5〜500W、加工速度1〜400mm/secである。これにより実用的な接着強度を確保することができる。なお、融着部にレーザー光照射側から所定の押圧をかけるとより融着が容易である。このような押圧方法として、例えばガラス板などを融着部に載置し、その上部からレーザー光を照射すればよい。図6に、最内層側から熱融着性樹脂層、接着剤層、金属含有層(金属箔)、接着剤層、プラスチック基材層からなるレーザー融着性積層材を、最内層を対向して重ね合わせ、これをガラス板(80)からなる押さえ具で挟み、レーザー光(90)を照射する態様を示す。これにより、プラスチック基材層/接着剤層/金属箔/接着剤層/熱融着性樹脂層/接着剤層/金属箔/接着剤層/プラスチック基材層の多層構造の融着部を得ることができる。なお、押さえ具は、少なくともレーザー光照射側がガラス板や石英などのレーザー光透過性物質で構成されればよい。
【0049】
(ii)金属含有層を含まない熱融着性樹脂のレーザー融着
一方、本発明では、金属含有層を含まない熱融着性樹脂の単層フィルムや2層以上の熱融着性樹脂からなる積層材などであっても、2枚の前記単層フィルムを向かい合わせ、または2枚の前記積層材を向かい合わせ、金属箔、金属板その他の金属膜などの発熱部材からなる押さえ具で挟み、上記半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を照射することでレーザー融着することができる。すなわち本発明の第二は、レーザー光の照射により発熱する2つの発熱部材の間に、2枚の熱融着性樹脂層を重ね合わせて設置し、前記発熱部材に前記レーザー光を照射して、前記2枚の熱融着性樹脂層を融着させることを特徴とするレーザー融着方法である。
【0050】
炭酸ガスレーザーは、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどを融着しうるが、積層材の表面を溶融する場合がある。一方、半導体レーザー、ファイバーレーザーまたはディスクレーザーなどの近赤外線レーザー光は、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどを透過するためレーザー光吸収剤が配合され、または上記金属含有層が配設されていない場合には、熱融着性樹脂をヒートシール加工することができない。しかしながら、熱融着性樹脂にレーザー光吸収剤を配合させることなく、また積層材中にレーザー光吸収剤層や金属含有層を含まない場合でも、2枚の熱融着性樹脂層を融着させることができる。前記したように、レーザー光による融着では、ガラス板などを融着部に載置し、その上部からレーザー光を照射するが、ガラス板に代えて、またはガラス板と共にレーザー光の照射により発熱する発熱部材を使用し、2枚の熱融着性樹脂を重ねて一対の発熱部材の間に挟み、いずれか一方の発熱部材にレーザー光を照射して発熱させると、伝熱により熱融着性樹脂を融着させることができる。
【0051】
このような態様を図7に示す。図7は、下押さえ具として金属板(75)を使用し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)を上押さえ具とし、この間に2枚の熱融着性樹脂層を積層し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)側からレーザー光を照射する態様を示す。金属板や金属箔はレーザー光の照射により発熱する部材であり、レーザー光の照射によって発熱し、隣接する2枚の熱融着性樹脂層を融着することができる。なお、2枚の熱融着性樹脂層のみを融着しうるように、前記金属箔(73)の熱融着性樹脂層との接触面には、剥離性を付与しておくことが好ましい。例えば金属板や金属箔を研磨し、鏡面を構成することで剥離性を付与することができる。
【0052】
一方、図8(a)に示すように、ガラス板(80)からなる下押さえ具に金属箔(73)を載置し、次いで、熱融着性樹脂層(10)を2枚、更にその上に金属箔(73)を載置し、ガラス板(80)からなる上押さえ具で押さえ、レーザー光(90)を照射すると、図8(b)に示すように、金属箔(73)を熱融着性樹脂層(10)に融着することができ、その結果、金属箔/熱融着性樹脂層/金属箔となる構成の融着部を得ることができる。この場合、金属箔(73)は、発熱部材として使用され、かつ熱融着性樹脂層の融着後には融着部の一部を構成している。したがって、上記方法は、2枚の熱融着性樹脂層の融着と共に熱融着性樹脂層と金属箔との接着方法としても使用することができる。なお、鏡面を構成しない金属箔は剥離性がなく、溶融した熱融着性樹脂を金属表面にかみ合わせるため熱融着性樹脂層に接着する。
【0053】
本発明において、レーザー光透過側は、他方の金属板(75)にレーザー光を照射しうるように、レーザー光透過性を有することが好ましい。このため、金属箔(73)は厚さ5μm〜10mm、好ましくは5μm〜0.1mmである。一方、金属板(75)はレーザー光透過性の要求がなく、一般には5μm〜100mmのものを好適に使用することができる。
【0054】
前記は、発熱部材として金属箔、金属板を例示したが、発熱部材としては金属含有部材を広く使用することができ、このような金属含有部材としては、例えばアルミ、鉄の他、クロマイトなどの金属化合物、SUSなどの合金などを好適に使用することができる。また、発熱部材の形状として、板状、球状、線状、輪状など各種の形状のものを使用することができる。図7では1対の板状物を示したが、これに限定するものではない。また、2枚の熱融着性樹脂層を挟む一対の発熱部材は同型である必要はなく、例えば、一方が板状であり、他方が線状や球形であってもよい。線状の押さえ部にレーザー光を照射すると、線状に融着させることができる。このため、発熱部材の形状を、例えば融着部と同じ形状にすれば、そのままヒートシールバーとして使用することができる。このように、本発明で使用する発熱部材の形状は、前記融着部材の融着部を押圧する押圧部を形成するものを好適に使用することができる。
【0055】
本発明のレーザー融着方法によれば、2枚の熱融着性樹脂フィルムを重ね合わせて融着することができるが、熱融着性樹脂層は、単層フィルムに限定されるものではない。少なくとも最内層または最外層に熱融着性樹脂を有すれば、これとプラスチック基材層(30)とを接着剤層(50)を介して積層したものなど、他のプラスチック基材層との積層体であってもよい。図9に、熱融着性樹脂層のみの単層フィルムや、少なくとも最内層に熱融着性樹脂層を有する積層材を使用して、周囲をヒートシール加工し、上部以外の三方をヒートシールして製袋する際の融着部(LS)を示す。このような積層材が、最内層から順に熱融着性樹脂(10)/接着剤層(50)/プラスチック基材層(30)との積層材である場合に、この積層材を融着する際の積層の構成を図10に示す。図10では、一対の押さえ具の下押さえ具(120)に2枚の積層材が、最内層の熱融着性樹脂(10)を向き合わせて重ねられ、次いで、融着部の形状に切断した上押さえ具(120’)が融着部に重ねられ、上押さえ具(120’)に矢印で示すレーザー光が照射される態様を示す。これにより、熱融着性樹脂(10)の上押さえ具(120’)で押圧された部分のみが融着部(LS)となる。なお、図10は、図9の包装体(100)の上下に、一対の押さえ具(120、120’)を配置した場合のA−A’線の断面透視図である。一般には融着部は、幅3〜20mmである。
【0056】
さらには、前記したレーザー融着性積層材からなる包装材料の熱融着性樹脂層と、熱融着性樹脂包装材とを向かい合わせて重ね、押さえ具で重ね部を押圧する際に、前記熱融着性樹脂包装材側の押さえ具を金属板で構成し、前記包装材料側の押さえ具をガラス板で構成し、前記熱融着性樹脂包装材側からレーザー光を照射して重ね部を熱融着しても、前記重ね部を熱融着することができる。この態様は、包装材料を構成する金属含有層がレーザー光の照射により発熱する発熱部材の役割を果たし、前記熱融着性樹脂包装材側に配設した金属板と一対の押さえ具を構成し、融着を可能にするものと考えられる。なお、熱融着性樹脂包装材は熱融着性樹脂の単層に限定されず複数の熱融着性樹脂からなる多層構造体であってもよい。
【0057】
本発明では、半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を照射して融着する点に特徴があり、上押さえ具(120’)に前記レーザー光を照射し、上押さえ具(120’)にレーザー光エネルギーを供給し、発熱部材からなる押さえ具で挟まれた熱融着性樹脂層(10)を融着させる。このような押さえ具で融着部を挟むことで融着できる理由は明確ではないが、金属がレーザー光を吸収して発熱する一方、レーザー光の反射板として機能し、この結果、上記押さえ具に挟まれた熱融着性樹脂層(10)が融着すると考えられる。
【0058】
レーザー照射条件は、スポット径0.1〜15mm、出力5〜500W、加工速度1〜400mm/secである。これにより実用的な接着強度を確保することができる。
なお、上記半導体レーザーなどの近赤外線レーザーにガルバノ式スキャニングシステムを併用することでCADでデザインしたシール形状でも容易に融着加工することができる。更に、ヘッド部をロボットアーム駆動とすれば立体シール溶接も行うことができる。その際、下押さえ具(120)をSUS板やアルミ板などの板状物で調製し、上押さえ具(120’)をレーザー光照射部に連設させた球状またはローラ状物にすれば、CADでデザインした軌跡どおりにレーザー光を照射する際に、前記球状またはローラ状の上押さえ具(120’)によって押圧しながらレーザー光を照射することができる。このため、包装体の融着部の形状に合わせて調製するヒートシールバーを使用することなく、種々の形状に簡便に対応してレーザー融着を行うことができる。
【0059】
更に、レーザー光源と融着対象物との間に所定形状のマスクを挿入し、マスクで覆われていない部分にレーザー光を照射して融着する、いわゆるマスク融着の場合には、上押さえ具(120’)を融着部の形状に成型し、上押さえ具(120’)にレーザー光を照射することで、マスク融着と同様の融着を行うことができる。このため、例えば錠剤のマスク融着など、シール形状を自由に設定することができる。
【0060】
(9)包装体
本発明の包装体は、前記レーザー融着性積層材からなる包装材料の熱融着部同士を向かい合せて重ねて融着部を形成し、前記融着部に半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光を照射して熱融着してなる包装体である。例えば、上記包装材料の熱融着性樹脂層を対向するように重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方を融着部とし、ガラス板と金属板とからなる押さえ具などで前記融着部を挟み、融着部にガラス板側からレーザー光を照射することで、上部に開封部を有する包装体を製袋することができる。
【0061】
また、包装材料が金属含有層やレーザー光吸収剤層を含まない場合でも、熱融着性樹脂層を対向するように重ね合わせた積層材を、金属板と金属箔などの発熱部材からなる一対の押さえ具で押圧し、少なくとも一方の押さえ具にレーザー光を照射することで、レーザー光照射部を融着させ、包装体を製袋することができる。前記開封部は、内容物充填後に上記と同様にしてヒートシールすればよい。なお、レーザー融着によってシールすることもできる。
【0062】
加えて、本発明では、レーザー融着性積層材からなる包装材料と、熱融着性樹脂包装材とから包装体を製造することができる。すなわち、前記レーザー融着性積層材からなる包装材料Iと、少なくも融着部に熱融着性樹脂層が形成された包装材料IIとからなる包装体であって、前記包装材料Iの熱融着性樹脂層と前記包装材料IIの熱融着性樹脂層とを向かい合わせて重ね、レーザー光の照射により発熱する発熱部材、前記包装材料II、前記包装材料Iとなるように積層し、前記包装材料I側から半導体レーザー光、ファイバーレーザー光またはディスクレーザー光などの近赤外線レーザー光を照射して重ね部を熱融着してなる包装体である。なお、包装材料Iをガラス板や石英板などの、レーザー光透過性部材で押圧しレーザー光を照射してもよい。
【0063】
前記包装材料Iを蓋材とし、包装材料IIを容器本体に成型することで、袋状、カップ形状、深絞り容器、トレー状容器その他の形状のもの製造することができる。例えば、図11に示すように、包装材料IIが、容器本体が開口部に熱融着性樹脂層からなるフランジを有するカップ形状の場合、カップ形状の包装材料IIを金属板(75)に載置し、フランジ上部に熱融着性樹脂層(10)、金属含有層(20)、プラスチック基材層(30)とからなる包装材料Iからなる蓋部を、熱融着性樹脂層(10)側がフランジに接触するように重ね、上記蓋部をガラス板(80)からなる上押さえ具で押さえてレーザー光(90)を照射する。この際、前記フランジ下部に金属板(75)からなる下押さえ具を配置すると、フランジと蓋部とを熱融着することができる。
【0064】
なお、包装体の形状としては、カップ状に限定されず、ピロー包装形態、ガセット包装形態、スタンディング(自立性)パウチ包装形態、パウチ、スパウト、液体小袋、レトルトパウチ、深絞り容器、トレー状その他等の内容物に合った種々の形態からなる包装体を製造し得る。なお、包装体が袋状である場合には、その上部に開封操作を容易にするノッチなどの易開封性手段であってもよい。ノッチは、通常、一字形やV字形などのノッチが使用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に鋭角部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【実施例】
【0065】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(例1)
厚さ15μmの延伸ポリアミドフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔とをドライラミネーション法で積層し、デザイン印刷層を形成した厚さが12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのデザイン印刷層側と前記積層体のポリアミド面とをドライラミネーション法によって積層した。ついで、溶融押し出しによって、前記アルミニウム箔面に厚さ60μmの未延伸ポリプロピレン層を形成し、積層材を調製した。
【0066】
この積層材を縦40mm、横100mmの長方形に切断し、未延伸ポリプロピレン層を向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、ポリエチレンテレフタレート/印刷層/延伸ポリアミドフィルム/アルミニウム箔/未延伸ポリプロピレン/未延伸ポリプロピレン/アルミニウム箔/延伸ポリアミドフィルム/印刷層/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0067】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力15A、30W、加工速度5mm/secで行った。
【0068】
レーザー照射表面のポリエチレンテレフタレート、延伸ポリアミドフィルムはレーザ光が透過して外傷をつけることなく、積層材内部の未延伸ポリプロピレン/未延伸ポリプロピレンを融着することができた。結果を表1に示す。
【0069】
(例2)
厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、化学蒸着法によって厚さ1500Åのアルミ蒸着処理を行い、次いでアルミ蒸着面に厚さ15μmの延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネーション法で積層して積層材を調製した。
【0070】
積層材を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、延伸ポリプロピレンフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、ポリエチレンテレフタレート/アルミ蒸着層/延伸ポリプロピレン/延伸ポリプロピレン/アルミ蒸着層/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaとした。
【0071】
融着部の幅1・4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザ加工機(ガルバノ式スキャニングシステム内蔵)、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力15A、30W、加工速度5mm/secで行った。
【0072】
レーザー照射表面のポリエチレンテレフタレートはレーザ光が透過して外傷をつけることなく、積層材の延伸ポリプロピレンを融着することができた。
また、加工速度を10mm/sec、15mm/secで行い融着の可否を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
(例3)
デザイン印刷層を形成した厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの前記デザイン印刷面と厚さ7μmのアルミニウム箔とをドライラミネーション法で積層し、ついで、ドライラミネーション法によって前記アルミニウム箔面に厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを積層し、積層材を調製した。
【0074】
この積層材を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、延伸ポリプロピレンフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0075】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力18A、30W、加工速度10mm/secで行った。
【0076】
レーザー照射表面のポリエチレンテレフタレートはレーザ光が透過して外傷をつけることなく、積層材内部の低密度ポリエチレン層を融着することができた。結果を表1に示す。
【0077】
(例4)
厚さ7μmのアルミニウム箔と厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネーション法で積層した(積層材4)。また、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔とをドライラミネーション法で積層し、ついで、前記アルミニウム箔面に厚さ70μmの延伸ポリプロピレンフィルムを重ね合わせた(積層材4’)。
【0078】
積層材4と積層材4’を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、双方の延伸ポリプロピレンフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、アルミニウム箔/延伸ポリプロピレンフィルム/延伸ポリプロピレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0079】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力17A、30W、加工速度10mm/secで行った。
【0080】
レーザー照射によりポリエチレンテレフタレートを切断することなく、積層材内部のポリプロピレン/ポリプロピレンを融着することができた。
また、出力と加工速度を表1のように変化させて融着し、融着の可否を評価した。結果を表1に示す。
【0081】
(例5)
厚さ9μmのアルミニウム箔に厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを接着せずに重ね合せたもの2組を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを向き合わせて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。なお、アルミニウム箔は、鏡面側をポリエチレンテレフタレートフィルムに重ね合わせた。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム箔となる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0082】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機、波長940nm、最大出力30Wを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力25A,30W、加工速度95mm/secで行った。
【0083】
レーザー照射により、アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートは接着せず、積層材内部のポリエチレンテレフタレート層のみを融着することができた。結果を表1に示す。
【0084】
(例6)
厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンを縦100mm、横40mmの長方形に切断し、重ねて石英ガラス板上に載置し、融着部に一対の石英ガラス板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部石英ガラス板側から、未延伸ポリプロピレン/未延伸ポリプロピレンとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0085】
融着部の幅1.4mmに、石英ガラス板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザー加工機、波長940nmを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力15A,30W、加工速度10mm/secで行った。
【0086】
ポリプロピレン層は融着しなかった。結果を表1に示す。
(例7)
厚さ50μmの延伸ポリプロピレンフィルムを縦100mm、横40mmの長方形に切断し、重ねて0.1mm厚さのSUS板上に載置し、融着部に一対のSUS板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部SUS板側から、延伸ポリプロピレン/延伸ポリプロピレンとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0087】
融着部の幅1.4mmに、SUS板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体レーザー加工機(ガルバノ式スキャニングシステム内蔵)、波長940nmを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力30A,100W、加工速度50mm/secで行った。
【0088】
レーザー照射によりポリプロピレンを融着することができた。結果を表1に示す。
(例8)
厚さ40μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに溶融押し出しにより直鎖状低密度ポリエチレンを厚さ60μmに積層し、積層材を調製した。
【0089】
この積層材を縦100mm、横40mmの長方形に切断し、双方の直鎖状低密度ポリエチレンを向き合わせて、融着部に一対のSUS板を圧着させて固定した。前記融着部は、下部SUS板側から、ポリエチレンテレフタレート/直鎖状低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートとなる。押さえ圧は、0.7Mpaであった。
【0090】
融着部の幅1.4mmに、SUS板の上部から半導体レーザー光を照射して融着した。照射は、半導体励起ファイバーレーザー、パーカーコーポレーション製ノボラスLDレーザ加工機(ガルバノ式スキャニングシステム内蔵)、波長940nmを使用し、スポットサイズ1.2mm、出力30A,100W、加工速度50mm/secで行った。
【0091】
レーザー照射により積層材内部の低密度ポリエチレン層を融着することができた。結果を表1に示す。なお、表中PET:ポリエチレンテレフタレート、ONy:延伸ポリアミド、CPP:未延伸ポリプロピレン、AL箔:アルミニウム箔、ALVW:アルミ蒸着層、OPP:延伸ポリプリピレン、LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレンを示す。
【0092】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の積層材は、半導体レーザー光で融着することができ生産性高く、かつ接着剤を使用することなく、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の積層材の層構成の一例を示す説明図であり、金属含有層がプラスチック基材フィルムに金属蒸着膜を形成してなる態様を示す。
【図2】図2は、本発明の積層材の他の層構成の一例を示す説明図であり、金属含有層が金属箔からなる態様を示す。る。
【図3】図3は、本発明の積層材の他の層構成の一例を示す説明図であり、金属含有層がプラスチック基材フィルムに金属塗膜を形成した態様であり、金属含有層の外層にプラスチック基材層を積層した積層材を示す。
【図4】図4は、本発明の積層材において、金属含有層が、融着部にのみ形成される態様を示す図である。
【図5】図5は、本発明の積層材を、熱融着性樹脂層を向き合わせて重ね、融着部にレーザー光を照射し、融着部を形成することを説明する図である。
【図6】最内層側から熱融着性樹脂層、接着剤層、金属含有層(金属箔)、接着剤層、プラスチック基材層からなるレーザー融着性積層材を、最内層を対向して重ね合わせ、これをガラス板(80)からなる押さえ具で挟み、レーザー光(90)を照射する、本発明のレーザー融着方法の態様の一例を示す図である。
【図7】下押さえ具として金属板(75)を使用し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)を上押さえ具とし、この間に2枚の熱融着性樹脂層を積層し、金属箔(73)を接着したガラス板(80)側からレーザー光を照射する、本発明のレーザー融着方法の態様の一例を示す横断面図である。
【図8】ガラス板(80)からなる下押さえ具に金属箔(73)を載置し、次いで、熱融着性樹脂層(10)を2枚、更にその上に金属箔(73)を載置し、ガラス板(80)からなる上押さえ具で押さえ、レーザー光(90)を照射する、本発明のレーザー融着方法の態様の一例を示す横断面図である。また、図8(b)は、図8(a)により、得られた融着物の層構成を示す横断面図である。
【図9】図9は、本発明の包装体を製造する際に、積層材の周囲の融着部を説明する図である。
【図10】図10は、本発明のレーザー融着方法を行う際の積層材の層構成および押さえ具による融着部への押し圧のかけ方を説明する図である。
【図11】図11は、本発明のレーザー融着性積層材からなる包装材料Iの熱融着性樹脂層を蓋材とし、熱融着性樹脂層からなる包装材料IIをカップ状容器とし、包装材料I,IIの熱融着性樹脂層を向かい合わせて重ねてレーザー融着する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0095】
10・・・熱融着性樹脂層、
20・・・金属含有層、
23・・・プラスチック基材フィルム、
25・・・金属蒸着膜、
27・・・金属塗膜、
30・・・プラスチック基材層、
50・・・接着剤層、
60・・・デザイン印刷層、
70・・・発熱部材
73・・・金属箔、
75・・・金属板、
80・・・ガラス板、
90・・・レーザー光、
LS・・・融着部、
100・・・包装体、
120・・・下押さえ具
120’・・・上押さえ具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、
最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする、レーザー融着性積層材。
【請求項2】
前記金属含有層は、接着剤層を介して前記熱融着性樹脂層に積層され、または前記熱融着性樹脂層は前記金属含有層に溶融押し出しによって形成されたものである、請求項1記載のレーザー融着性積層材。
【請求項3】
前記金属含有層は、レーザー融着性積層材の融着部に限定して積層されることを特徴とする、請求項1または2記載のレーザー融着性積層材。
【請求項4】
前記金属含有層は、金属箔膜、プラスチック基材フィルムに金属蒸着層を形成したもの、またはプラスチック基材フィルムに金属塗膜を形成したもののいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー融着性積層材。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー融着性積層材からなる、包装材料。
【請求項6】
請求項5記載の包装材料の熱融着部同士を向かい合せて重ねて融着部を形成し、前記包装材料の最外層から近赤外線レーザー光を照射して前記融着部を熱融着してなる包装体。
【請求項7】
請求項5記載のレーザー融着性積層材からなる包装材料Iと、少なくも融着部に熱融着性樹脂層が形成された包装材料IIとからなる包装体であって、
前記包装材料Iの熱融着性樹脂層と前記包装材料IIの熱融着性樹脂層とを向かい合わせて重ね、レーザー光の照射により発熱する発熱部材、前記包装材料II、前記包装材料Iとなるように積層し、前記包装材料I側から近赤外線レーザー光を照射して重ね部を熱融着してなる包装体。
【請求項8】
レーザー光の照射により発熱する2つの発熱部材の間に、2枚の熱融着性樹脂層を重ね合わせて設置し、
前記発熱部材に近赤外線レーザー光を照射して、前記2枚の熱融着性樹脂層を融着させることを特徴とするレーザー融着方法。
【請求項9】
前記発熱部材は、金属含有部材である、請求項8記載のレーザー融着方法。
【請求項10】
前記発熱部材の形状は、前記融着部材の融着部を押圧する押圧部を形成するものである、請求項8または9に記載のレーザー融着方法。
【請求項11】
1層以上の熱融着性樹脂層からなり、レーザー光の照射により融着しうるレーザー融着性フィルム。
【請求項1】
レーザー光の照射により融着しうる積層材であって、
最内層が熱融着性樹脂層であり、前記積層材のいずれかの層に金属含有層が積層されることを特徴とする、レーザー融着性積層材。
【請求項2】
前記金属含有層は、接着剤層を介して前記熱融着性樹脂層に積層され、または前記熱融着性樹脂層は前記金属含有層に溶融押し出しによって形成されたものである、請求項1記載のレーザー融着性積層材。
【請求項3】
前記金属含有層は、レーザー融着性積層材の融着部に限定して積層されることを特徴とする、請求項1または2記載のレーザー融着性積層材。
【請求項4】
前記金属含有層は、金属箔膜、プラスチック基材フィルムに金属蒸着層を形成したもの、またはプラスチック基材フィルムに金属塗膜を形成したもののいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー融着性積層材。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー融着性積層材からなる、包装材料。
【請求項6】
請求項5記載の包装材料の熱融着部同士を向かい合せて重ねて融着部を形成し、前記包装材料の最外層から近赤外線レーザー光を照射して前記融着部を熱融着してなる包装体。
【請求項7】
請求項5記載のレーザー融着性積層材からなる包装材料Iと、少なくも融着部に熱融着性樹脂層が形成された包装材料IIとからなる包装体であって、
前記包装材料Iの熱融着性樹脂層と前記包装材料IIの熱融着性樹脂層とを向かい合わせて重ね、レーザー光の照射により発熱する発熱部材、前記包装材料II、前記包装材料Iとなるように積層し、前記包装材料I側から近赤外線レーザー光を照射して重ね部を熱融着してなる包装体。
【請求項8】
レーザー光の照射により発熱する2つの発熱部材の間に、2枚の熱融着性樹脂層を重ね合わせて設置し、
前記発熱部材に近赤外線レーザー光を照射して、前記2枚の熱融着性樹脂層を融着させることを特徴とするレーザー融着方法。
【請求項9】
前記発熱部材は、金属含有部材である、請求項8記載のレーザー融着方法。
【請求項10】
前記発熱部材の形状は、前記融着部材の融着部を押圧する押圧部を形成するものである、請求項8または9に記載のレーザー融着方法。
【請求項11】
1層以上の熱融着性樹脂層からなり、レーザー光の照射により融着しうるレーザー融着性フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−119807(P2009−119807A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298816(P2007−298816)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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