レーザ光出射装置およびその製造方法並びに光電センサおよびその製造方法
【課題】 特定のクラスに属するレーザ素子を用いて、部品コストや管理コストの増加を抑えつつ、異なるレーザクラスの光電センサを得る。
【解決手段】 投光素子19は、クラス2の半導体レーザである。クラス2のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aを選択し、それを本体ケース1内の投光素子19の前面側の収容部1aに配設する。クラス1のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aに替えて部分反射ミラー(部分透過ミラー)14bを選択し、それを上記収容部1aに配設する。
【解決手段】 投光素子19は、クラス2の半導体レーザである。クラス2のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aを選択し、それを本体ケース1内の投光素子19の前面側の収容部1aに配設する。クラス1のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aに替えて部分反射ミラー(部分透過ミラー)14bを選択し、それを上記収容部1aに配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と投光レンズとを備えたレーザ光出射装置およびその製造方法並びに光電センサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電センサにおいて、長距離化・微小物体の検出を目的として、光源である投光素子に半導体レーザに代表されるレーザ素子を採用したレーザセンサが用いられている。レーザセンサは、従来の発光ダイオード(LED)を光源とする光電センサに比べて光強度が強いため長距離化でき、また、レーザ素子はLEDなどに比べると点光源に近く微小スポット光を結ぶことが可能であるため、より微小な物体の検出ができる。特許文献1にはレーザセンサに係る技術が記載されている。
【特許文献1】特開2004−071366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなレーザ素子を用いたレーザ製品は、「レーザ製品の放射安全基準」として、JIS規格(JIS C 6802−1997)によりレーザ出力に応じたクラス分けがなされている。レーザクラスはクラス1からクラス4まであり、クラスごとにその危険度や安全予防策などが定められている。メーカ側は勿論であるが、ユーザ側においてもこの規格に従って定められた事項を遵守しなくてはならない。
【0004】
ところで、近年では例えば半導体装置にもレーザセンサが使用されるようになってきている。半導体装置の場合、検出対象が微小なものであるため、LEDを使った光電センサよりもレーザセンサの方が適している。しかし、半導体装置メーカでは、クラス1のレーザ製品を使うことが原則となっており、ユーザから見てもクラス2以上のレーザ製品を極力使いたがらないという実情がある。これは、第1に、半導体装置ではあまり長い検出距離は必要としておらず、第2に、クラスが高いほどレーザ光が人体に及ぼす危険性が増し、第3に、クラスが高くなるとレーザ製品を設置したときにクラス1では不要であった警告ラベル等を新たに設ける必要が生じ、その取り扱いが煩雑になるためである。このため、クラス1のレーザセンサの提供が強く望まれている。
【0005】
しかしながら、既にレーザ素子を用いてクラス2のレーザ出力を有する光電センサを作っているメーカの場合、クラス2のレーザ出力を得るレーザ素子に替えてクラス1のレーザ出力を得るレーザ素子を採用すると、そのレーザ素子を搭載する回路基板を新規に作らなければならない。また、クラス2のレーザ出力を得るレーザ素子をそのまま使用し、回路を変更することによりそのレーザ素子の出力を絞ってクラス1のレーザ光を出射させる構成とすると、回路を設計し直す必要がある。こうした設計変更を行うと、設計コストや部品コストが高くなり、また、クラス1のレーザ製品とクラス2のレーザ製品とで異なる部品が増加するため、管理コストが増大してしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、特定のクラスに属するレーザ素子を用いて、部品コストや管理コストの増加を抑えつつ、異なるレーザクラスの製品として構成可能なレーザ光出射装置およびその製造方法並びに光電センサおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1のレーザ光出射装置は、
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する少なくとも1つ以上の透光部材が配設されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、レーザ素子から出射された特定のクラスに属するレーザ光は、1つ以上の透光部材を通過することにより減衰し、下位のクラスに属するレーザ光となる。従って、特定クラス(例えばクラス2)のレーザ出力を持つレーザ素子およびそれに付随する回路を変更することなく、出射されたレーザ光を下位のクラス(例えばクラス1)のレーザ光にしてレーザ光出射装置から出射させることができる。本手段によれば、特定クラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とそれよりも下位のクラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とで、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化できるので、部品コストや管理コストを抑えることができる。
【0009】
請求項2のレーザ光出射装置は、上記請求項1の発明において、透光部材を、レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態に配設したことを特徴とする。この構成によれば、透光部材によって反射された光が、レーザ素子に通常備えられる出力を安定化させるためのモニタ用受光素子に、戻り光として入射することを防止することができるため、レーザ素子の出力が不安定になるという現象を抑えることができる。
【0010】
請求項3のレーザ光出射装置は、上記請求項1または2の発明において、投光レンズを、本体ケース内においてレーザ素子と透光部材との間に配置したことを特徴とする。この構成によれば、レーザ素子と投光レンズとの間に透光部材が配設される構成に比べ、レーザ素子と投光レンズとの距離を短くすることできる。その結果、レーザ素子から出射されて拡散するレーザ光のうち投光レンズに入射する光量が増え、レーザ光の利用効率を高めることができる。
【0011】
請求項4のレーザ光出射装置は、上記請求項1の発明において、投光レンズが収容部に固定的に位置決めされ、さらに、投光レンズの後方に直線移動可能に設けられ、その直線移動に伴ってレーザ素子が投光レンズの光軸に沿って直線移動するように該レーザ素子を保持するレーザ素子ホルダと、このレーザ素子ホルダ全体を投光レンズの光軸方向に付勢する付勢手段とを備えている。この構成において、透光部材は、収容部において、投光レンズと付勢手段との間に配置され、付勢手段の付勢力により投光レンズに押さえ付けられる。従って、本体ケース等の部品を共通化したままで且つ簡単な構成により、特定クラスのレーザ光を下位のクラスのレーザ光に減衰させることができる。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項5のレーザ光出射装置は、
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる反射率を有する少なくとも1つ以上の反射部材が、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように配設されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、レーザ素子から出射された特定のクラスに属するレーザ光は、1つ以上の反射部材により折り返されて本体ケースの外に導出される間に減衰し、下位のクラスに属するレーザ光となる。従って、特定クラス(例えばクラス2)のレーザ出力を持つレーザ素子およびそれに付随する回路を変更することなく、出射されたレーザ光を下位のクラス(例えばクラス1)のレーザ光にしてレーザ光出射装置から出射させることができる。本手段によれば、特定クラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とそれよりも下位のクラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とで、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化できるので、部品コストや管理コストを抑えることができる。
【0014】
また、レーザ素子の光軸方向に十分なスペースを確保できなくても、光路を折り返すことにより光路を折り返さない場合と同様の光路長が得られるので、光軸方向においてレーザ光出射装置を小型化することができる。さらに、衝撃などの原因により反射部材が割れると、レーザ素子から出射する光は反射部材により正常に反射されなくなるため、レーザ光が本体ケース外に出射されることがなく、安全側に働くという効果を生ずる。
【0015】
請求項6のレーザ光出射装置は、上記請求項5の発明において、投光レンズを、本体ケース内においてレーザ素子と透光部材との間に配置したことを特徴とする。この構成によれば、レーザ素子と投光レンズとの間に反射部材が配設される構成に比べ、レーザ素子と投光レンズとの距離を短くすることできる。その結果、レーザ素子から出射されて拡散するレーザ光のうち投光レンズに入射する光量が増え、レーザ光の利用効率を高めることができる。
【0016】
請求項7ないし12の光電センサは、検出領域からの反射光を受光する受光素子を備えており、それぞれ請求項1ないし6のレーザ光出射装置と同様の作用および効果が得られる。
【0017】
請求項13のレーザ光出射装置の製造方法は、請求項1のレーザ光出射装置を製造する方法である。製造工程において、レーザ素子から出射された特定クラスのレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する透光部材を選択して着脱可能に設けることにより、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化して異なるクラスのレーザ光出射装置を製造することができる。
【0018】
請求項14のレーザ光出射装置の製造方法は、請求項5のレーザ光出射装置を製造する方法である。製造工程において、レーザ素子から出射された特定クラスのレーザ光を異なるクラスに変換する反射率の異なる少なくとも2つ以上の反射部材から選択した反射部材を着脱可能に設けることにより、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化して異なるクラスのレーザ光出射装置を製造することができる。
【0019】
請求項15、16の光電センサの製造方法は、それぞれ請求項7、11の光電センサを製造する方法であり、それぞれ請求項13、14のレーザ光出射装置の製造方法と同様の作用および効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明をレーザセンサ(光学装置)に適用した第1の実施形態について図1ないし図7を参照しながら説明する。
レーザセンサは光電センサの1つであり、投光素子として半導体レーザ(レーザ素子に相当)を備え、検出領域に向けてレーザ光を出射するとともに、検出領域を通過(透過)または反射(帰還)したレーザ光を受けることにより、検出領域内における検出対象物の測定(物体の有無の検出)をするものである。
【0021】
図2は、レーザセンサの側面図であって、本体ケース1から該本体ケース1を保護するケースカバー2を外した状態を示している。本体ケース1は、左右一対の半割体が合体したほぼ箱型の形状をなしており、レーザセンサの筐体は、この本体ケース1とケースカバー2とから構成されている。ケースカバー2は本体ケース1に嵌め合わされるようになっており、本体ケース1に設けられた凸部3がケースカバー2に設けられた穴部4に嵌まり込むことにより両者が離脱不能に一体化される。これにより、後述する本体ケース1の開口部5が閉鎖され、外部からの異物による干渉を阻止することができる。
【0022】
本体ケース1の左右両側面には、筒状収容部6(図5参照)へと連なる開口部5が対向するように(光軸LCを挟んで向かい合う位置に)形成されており、後述するレンズホルダ18(図3、図4参照)の外周面を露出させるようになっている。本体ケース1の側面のうち開口部5の前後領域には薄肉部7が形成されている。
【0023】
図1は、レーザセンサの側断面図である。本体ケース1内にはレーザ光を出射する投光ユニット8と、投受光光学系9と、レーザ光を受光する受光素子10と、外部に連なる信号線11が接続された回路基板12とが収められている。回路基板12は、投光ユニット8に対して電源供給を行うとともに、受光素子10からの受光信号を信号線11を通して外部の制御装置に出力するようになっている。本体ケース1の前面部には光透過部材13が貼り付けられている。
【0024】
投受光光学系9は、反射ミラー14(反射部材に相当)と、ビームスプリッタ15(光分岐手段)と、収束レンズ16とから構成されている。反射ミラー14は、投光ユニット8の前面側の収容部1aに、筒状収容部6に収容された投光ユニット8の光軸に対し45度の傾きを持って設置されている。ビームスプリッタ15は、反射ミラー14によって反射された投光ユニット8からのレーザ光を透過させるようになっており、その透過したレーザ光は光透過部材13を通して検出対象領域に出射される。その検出対象領域からの帰還光は、光透過部材13を通してビームスプリッタ15に入光し、ビームスプリッタ15は、その帰還光を収束レンズ16および受光素子10の光軸方向に反射するようになっている。
【0025】
図3、図4は、それぞれ投光ユニット8の分解側断面図、投光ユニット8の側断面図である。投光ユニット8は、素子ホルダ17と、この素子ホルダ17と螺合するレンズホルダ18と、これらに収容される投光素子19と、収束レンズ20と、シリコンゴム21(弾性部材)とから構成されている。
【0026】
素子ホルダ17は、円筒形状をなしており、縮径部分の外周面にネジ部17aが形成されている。また、素子ホルダ17の外径は本体ケース1の筒状収容部6の内径とほぼ同一の径に設定されている。投光素子19は、例えばレーザダイオード等の半導体レーザ光源から構成されており、素子ホルダ17の上端面から内部へ嵌め込まれ接着により素子ホルダ17に固定される。投光素子19の接続端子と回路基板12とははんだ付けされ、その回路基板12は本体ケース1に接着により取り付けられる。
【0027】
レンズホルダ18は、円筒形状をなしており、その内周面にネジ部18aが形成されている。このネジ部18aは、素子ホルダ17のネジ部17aと螺合されるようになっており、ネジ部18aの下側には段部18bが形成されている。また、外径は本体ケース1の筒状収容部6の内径よりもやや小さい径に設定されており、筒状収容部6に収容された状態で外周面18c(操作部)が上述した開口部5から露出した状態とされるようになっている。
【0028】
収束レンズ20(投光レンズに相当)は、投光素子19からの光を収束するためのものである。この収束レンズ20の入射面側には、光軸LCの方向と直交する方向に突出する環状凸部20aが形成されている。収束レンズ20は、この環状凸部20aがレンズホルダ18の段部18bに係止した状態で、レンズホルダ18に収容されるようになっている。
【0029】
シリコンゴム21は円環形状をなしており、収束レンズ20の入射面と素子ホルダ17の縮径部側の端面との間に介在されている。両ホルダ17、18が螺合した状態において、シリコンゴム21が縮み変形して弾発力が発生し、この弾発力が収束レンズ20に付与される。これにより、レンズホルダ18が光軸LCに沿った方向に付勢されている。なお、シリコンゴム21の光軸LCの方向における寸法はd1とされている。
【0030】
次に、本実施形態の作用について図5ないし図7も参照しながら説明する。
図5は、レーザセンサの分解側断面図である。レーザセンサの組み立ては、一方の半割体に投受光光学系9、受光素子10および光透過部材13をセットし、両半割体を合体させて投光ユニット8を筒状収容部6に収め、回路基板12を本体ケース1に取り付ける。そして、投光素子19に電源供給を行ってレーザ光を出射させ、スポット位置の調整を行う。スポット位置の調整が完了すると、本体ケース1とケースカバー2とを嵌め合わせる。
【0031】
[反射ミラーの選択]
レーザセンサの製造工程において、投受光光学系9の反射ミラー14の選択・配設工程は以下のように行う。図6は、この反射ミラー14の選択・配設工程の説明図である。レーザ製品においては、レーザ出力に応じてJIS規格(JIS C 6802−1997「レーザ製品の放射安全基準」)により定められるレーザクラスが存在し、そのクラス毎に危険度や安全予防策が定められている。
【0032】
本実施形態において、投光素子19としてのレーザ素子は、クラス2の半導体レーザである。従って、クラス2のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aを選択し、それを本体ケース1内の投光素子19の前面側の収容部1aに配設する(図6(a)参照)。これに対し、クラス1のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aに替えて部分反射ミラー(部分透過ミラー)14bを選択し、それを上記収容部1aに配設する(図6(b)参照)。
【0033】
この部分反射ミラー14bは、投光素子19から出射されたクラス2のレーザ光を下位のクラス1のレーザ光に減衰させる反射率を有するもので、例えばハーフミラーにより構成されている。実際の製造工程では、上記全反射ミラー14aと、上記JIS規格に定められた計算式によって求められるクラス1の条件を満たす反射率を持つ部分反射ミラー14bとが準備され、クラス1とクラス2の各生産数に従って、全反射ミラー14aと部分反射ミラー14bの一方を選択して取り付ける。
【0034】
これにより、製品の作り込みの段階で本体ケース1、投光素子19(半導体レーザ)、この投光素子19を駆動するための回路基板12などを共通化して、クラス1のレーザセンサとクラス2のレーザセンサとを作ることができる。また、仕掛かり品についても、クラスの変更が可能となる。従って、各クラスの製品ごとに別々の専用部品を設けた場合に比べ、部品コストや管理コストなどのコストを低く抑えることができる。
【0035】
[スポット位置の調整]
レーザセンサから出射されるレーザ光は、投光レンズとなる収束レンズ20により収束される。この収束レンズ20から出射されるレーザ光はほぼ平行光であるが、実際には微収束光であるため、スポット位置を仕様上の検出距離(検出対象物)に一致させるために、その検出距離に応じてスポット位置を調整する必要がある。この調整工程では、投光ユニット8を本体ケース1の筒状収容部6に収めた状態で、その本体ケース1と検出対象物との距離を仕様上の関係に配置し、スポット位置を確認しながら調整作業を行う。
【0036】
例えば、スポット位置をレーザセンサから遠ざけたい場合には、左右両開口部5からレンズホルダ18の外周面18cをつまんでこれを時計回りの方向に回転させる。すると、レンズホルダ18が上方(光軸に沿った方向)に螺進するとともに、シリコンゴム21が弾縮する。そうすると収束レンズ20が投光素子19に近づき、結果として、スポット位置がレーザセンサ側と反対側(遠点側)に移動することとなる(図7(a)参照)。
【0037】
一方、スポット位置をレーザセンサ側に移動させたい場合には、左右両開口部5からレンズホルダ18の外周面18cをつまんでこれを反時計回りの方向に回転させる。すると、レンズホルダ18が下方(光軸に沿った方向)に螺退するとともに、シリコンゴム21が弾拡する。そうすると収束レンズ20が投光素子19から遠ざかり、結果として、スポット位置がレーザセンサ側(近点側)に移動することとなる(図7(b)参照)。
【0038】
従って、上記の調整を繰り返すことによって、所定位置にスポット位置を移動させることができる。調整作業が完了したら、上述した手順でレーザセンサを組み立てる。なお、シリコンゴム21の寸法は、図3に示すように通常はd1とされており、投光ユニット8が組み立てられた状態においては、素子ホルダ17と収束レンズ20とに挟まれて弾縮状態となり、寸法d1よりも小さい寸法とされている。すなわち、組み立てられた状態では、常に収束レンズ20に弾発力が付与され続けている。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、本体ケース1内に、全反射ミラー14aおよび投光素子19から出射されたレーザ光をクラス2からクラス1に減衰させる透過率を有する部分反射ミラー14bの何れか一方を選択して取り付けることにより、本体ケース1、クラス2の投光素子19、この投光素子19を駆動するための回路基板12などを共通に用いて、クラス1のレーザセンサとクラス2のレーザセンサとを製造することができる。従って、回路基板12の新規設計、レーザクラスに応じた回路の設計変更、クラスの数に応じた部品数の増加などが生じず、部品コストや管理コストを低く抑えることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第2の実施形態について図8を参照しながら説明する。
図8は、本体ケース内における投光ユニット8、投受光光学系22および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このレーザセンサは、投光ユニット8から出射されたレーザ光を直進させる構成となっている。投受光光学系22は、透光部材23、ビームスプリッタ15および収束レンズ16から構成されており、投光ユニット8から出射されたレーザ光は、透光部材23とビームスプリッタ15を通過し、本体ケースの光透過部材13(図1参照)から出射されるようになっている。図8の(a)から(c)は、それぞれ光軸に対する透光部材23の配置角度が異なっている。
【0041】
透光部材23は、クラス2のレーザセンサを製造する場合には透過率100%の透光部材23aが選択されて用いられ、クラス1のレーザセンサを製造する場合にはレーザ光を減衰させる所定の透過率を持つ透光部材23bが選択されて用いられている。この構成により、本体ケース、クラス2の投光素子19、この投光素子19を駆動するための回路基板12(図1参照)などを共通に用いて、クラス1のレーザセンサとクラス2のレーザセンサとを製造することができる。従って、回路基板12の新規設計、レーザクラスに応じた回路の設計変更、クラスの数に応じた部品数の増加などが生じず、部品コストや管理コストを低く抑えることができる。
【0042】
図8(a)から(c)は、それぞれ透光部材23を光軸に対し45度傾けた状態に配置したもの、光軸に対し約60度傾けた状態に配置したもの、光軸に対し垂直の状態に配置したものを示している。投光素子19には、モニタ用受光素子を一体に備えたレーザダイオードが用いられており、APC(Auto Power Control)制御によってレーザダイオードからのレーザ光出力を一定に保つようにしている。(a)、(b)に示すように透光部材23を光軸に対し傾けると、透光部材23によって反射されたレーザ光がモニタ用受光素子に戻り光として入射することを防止することができるため、投光素子19(レーザ素子)の出力が不安定になるという現象を抑えることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第3の実施形態について図9を参照しながら説明する。
図9は、投光素子19、投受光光学系24および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このレーザセンサは、第1の実施形態と同様に投光素子19から出射されたクラス2のレーザ光を反射ミラー25を用いて反射してクラス1のレーザ光に減衰させるものであるが、投光素子19に対する反射ミラー25と収束レンズ26との配置関係が異なっている。すなわち、投光素子19の前面側の収容部1aに反射ミラー25が配置され、その反射ミラー25とビームスプリッタ15との間に収束レンズ26が配置されている。この構成によっても、第1の実施形態とほぼ同様の作用および効果を得ることができる。
【0044】
ただし、投光素子19と収束レンズ20との間に反射ミラー14が配置される第1の実施形態と比較すると、投光素子19と収束レンズ26との距離が長くなり易いため、投光素子19から出射されて拡散するレーザ光のうち収束レンズ26に入射する光量が減少し、レーザ光の利用効率が低下する虞がある。従って、レーザ光の有効利用が特に重要となる場合には、第1の実施形態で示したレーザセンサを採用することが好ましい。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第4の実施形態について図10を参照しながら説明する。
図10は、本体ケース内における投光ユニット8、投受光光学系27および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。本体ケース内において、投光素子19の前面側の収容部には反射ミラー28が配置されており、その反射ミラー28とビームスプリッタ15との間には透光部材29が配置されている。
【0046】
投光素子19から出射されたクラス2のレーザ光は、反射ミラー28で反射する際に減衰され、さらに透光部材29を通過することによってクラス1のレーザ光にまで減衰されて出射される。この構成によれば、第1および第2の実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。なお、投光素子19の前面部に透光部材29を設置し、その後に反射ミラー28を設置する構成としてもよい。
【0047】
(第5の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第5の実施形態について図11を参照しながら説明する。
図11は、本体ケース内における投光ユニット8、投受光光学系30および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このレーザセンサは、第2の実施形態と同様に、投光ユニット8から出射されたレーザ光を直進させる構成となっている。投受光光学系30は、2つの透光部材31、32、ビームスプリッタ15および収束レンズ16から構成されており、投光ユニット8から出射されたクラス2のレーザ光は、透光部材31、32とビームスプリッタ15を通過してクラス1のレーザ光に減衰されて出射される。このように、複数(2、3、…)の透光部材を用いることにより、少ない種類の透光部材を用いて多数の異なる減衰率を得ることが可能となる。なお、透光部材31、32のうち、投光ユニット8側の透光部材31を光軸に対し傾けて配置しているのは、第2の実施形態で説明したように、投光素子19(レーザ素子)の出力を安定させるためである。
【0048】
(第6の実施形態)
次に、本発明をスポット調整(焦点位置調整・スポットサイズ調整)機能付の反射型レーザセンサ(光電センサ)に適用した第6の実施形態について図12ないし図14を参照しながら説明する。
【0049】
図12、図13、図14は、それぞれレーザセンサの断面図、平面図、背面図である。これら図12ないし図14において、レーザセンサ33の本体ケース34内には、投光部35と受光部36とが上下2段に設けられている。このレーザセンサ33は、投光部35から本体ケース34の前方に向けてレーザ光を出射し、被検出物体で反射した光を受光部36で受けることにより被検出物体を検出するようになっている。
【0050】
投光部35は、筒状収容部37(収容部に相当)の前面側に形成された孔37aに投光レンズ38を装着し、筒状収容部37内に圧縮コイルバネ39(付勢手段に相当)、LDアッシー40、後述する減光フィルム57(透光部材に相当)およびスリット板PHを挿入し、LDアッシー40に回動体41を連結して構成されている。
【0051】
LDアッシー40は、LDホルダ42(レーザ素子ホルダに相当)の後面にレーザ素子43を装着し、後方よりLDベース44でレーザ素子43を挟み付けることにより構成されている。レーザ素子43は、投光レンズ38の光軸上に位置している。レーザ素子43の後面にはFPC45(Flexible Printed Circuit)が接続されている。
【0052】
本体ケース34の背面には上記回動体41が軸支されている。この回動体41の前面にはオネジ部46が一体に形成されており、そのオネジ部46がLDベース44のメネジ部47と螺合している。回動体41の後面には、円盤部41aが一体に形成されている。その円盤部41aが本体ケース34の背面から後方を臨むことによりスポット調整部48が構成されている。この場合、スポット調整部48は、投光レンズ38の光軸上に位置している。
【0053】
投光レンズ38の後面には減光フィルム57とスリット板PHが配置され、このスリット板PHとLDアッシー40との間には上記圧縮コイルバネ39が介挿されている。スリット板PHは、例えばワッシャ(ピンホール板)であって、中央のレーザ光のみを通過させ周縁のレーザ光をカットするものである。LDアッシー40は、後方すなわち回動体41の向きに付勢されている。これにより、LDベース44のメネジ部47と回動体41のオネジ部46は、それらの山部と谷部とが付勢状態で当接し、両者間の機械的ながたを吸収するようになっている。
【0054】
以上の構成により、投光レンズ38は、本体ケース34内の筒状収容部37に固定的に位置決めされている。また、減光フィルム57は、筒状収容部37において投光レンズ38と圧縮コイルバネ39との間に配置され、圧縮コイルバネ39の付勢力により投光レンズ38に押さえ付けられるように保持されている。スポット調整部48の円盤部41aに対する回動操作は、回動体41からLDアッシー40に伝達される際にLDアッシー40の直線運動に変換され、レーザ素子43は投光レンズ38の光軸に沿って直線移動可能となる。
【0055】
一方、受光部36の前端には受光レンズ49が固定されており、受光部36の後端には受光レンズ49の光軸上となる部位に受光素子50が装着されている。本体ケース34内には、メイン基板51、トップ基板52および受光基板53が配設されている。投光部35から引き出されたFPC45はメイン基板51に接続されており、これによりレーザ素子43への通電が可能となっている。
【0056】
メイン基板51に実装された図示しない制御回路は、受光素子50からの受光信号を処理し、本体ケース34に装着されたケーブル58から外部に出力するようになっている。また、トップ基板52にはLED54が搭載されており、本体ケース34の上面から背面にかけて形成された窓部55を介して視認可能となっている。これにより表示部56が形成されている。
[透光部材(減光フィルム・光減衰フィルタ)の選択]
レーザセンサ33の製造工程において、本体ケース34の筒状収容部37における投光レンズ38と圧縮コイルバネ39との間に配設される透光部材(本実施形態では減光フィルム57)の選択・配役工程は以下のように行う。
【0057】
上述したように、レーザ製品ではレーザ出力に応じてJIS規格により定められるレーザクラスが存在する。本実施形態のレーザ素子43は、クラス2の半導体レーザである。従って、クラス2のレーザセンサ33を製造する場合には透光部材は用いられない。これに対し、クラス1のレーザセンサ33を製造する場合には透光部材を選択し、それを上記筒状収容部37に配設する必要がある。
【0058】
この透光部材は、レーザ素子43から出射されたクラス2のレーザ光を下位のクラス1のレーザ光に減衰させる透過率を有するもので、例えば部分透過フィルムにより構成されている。実際の製造工程では、上記JIS規格に定められた計算式によって求められるクラス1の条件を満たす透過率を持つ減光フィルム57が準備され、クラス1とクラス2の各生産数に従って、減光フィルム57を配設したものと配設しないものとを生産する。
【0059】
これにより、本体ケース34、レーザ素子43、このレーザ素子43を駆動するためのメイン基板51などを共通化して、クラス1のレーザセンサ33とクラス2のレーザセンサ33とを作り分けることができる。また、仕掛かり品についても、クラスの変更が可能となる。従って、各クラスの製品ごとに別々の専用部品を設けた場合に比べ、部品コストや管理コストなどのコストを低く抑えることができる。
【0060】
このように本実施形態によれば、透光部材である減光フィルム57を投光レンズ38の後方に配置して、圧縮コイルバネ39の付勢力(離間力:投光レンズ38とLDアッシー40とを離間させる方向に働く力)を利用して、減光フィルム57を投光レンズ38に押さえ付けるように保持しているので、簡単な構成でもって下位のクラスに対応するレーザ製品を作ることができ、さらに本体ケース34等の設計変更(例えば本体ケース34における投光レンズ38の前面部に透光部材を取り付けるための形状変更)は全く必要とせず部品を共有化できる。
【0061】
また、減光フィルム57を接着剤等により固定する場合とは異なり、接着剤の塗布量が適量でない場合にレーザ光の経路に接着剤がはみ出てレーザ出力を必要以上に低下させたりばらつかせる不具合も回避できる。
【0062】
減光フィルム57の背面(前面でもよい)にスリット板PHを設けたので、周縁部の余分なレーザ光をカットして中央のレーザ光のみを投光レンズ38を通して収束でき、焦点でのスポットサイズをより小さく結ぶことができる。
【0063】
その他、本実施形態によれば、LDホルダ42の後方に位置し投光レンズ38の光軸を軸中心とする回動体41と、本体ケース34に外部操作可能に設けられ外部操作に応じて回動体41を回動させるスポット調整部48(被操作部)と、回動体41の回動運動をLDホルダ42の直線運動に変換する変換手段(オネジ部46、メネジ部47)とを備えているので、スポット径の調整機構を本体ケース34内に配置することができ、スポット調整部48に対する操作によりスポット径を確実に調整することができる。
【0064】
しかも、調整機構を投光レンズ38の光軸上に設けるようにしたので、本体ケース34の厚さ寸法を抑制でき、LDアッシー40に対して偏った力が作用することもない。また、スポット調整部48をセンサ本体の背面側の面に設けるとともに、表示部56の窓部55を本体ケース34の上面から背面にかけて形成したので、表示部56の視認性が向上し、スポット調整の操作性が高まる。
【0065】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について図15を参照しながら説明する。
図15はスポット調整機能付の反射型レーザセンサの断面図で、図12と同一部分には同一符号を付している。このレーザセンサ59は、第6の実施形態で説明したレーザセンサ33と比べ、スポット調整部61の回動体62を空回り可能に構成したことを特徴とする。回動体62の後面には、円盤部62aが一体に形成されている。
【0066】
LDアッシー63は、LDホルダ42の後面にレーザ素子43を装着し、後方よりLDベース64でレーザ素子43を挟み付けることにより構成されている。本体ケース60の背面に軸支された回動体62の前面にはネジ部65が一体に形成されている。このネジ部65において、その先端部よりの所定の中間領域にはオネジ部65aが形成されており、そのオネジ部65aが投光部35を構成するLDベース64に形成されたメネジ部66と蝶合している。また、ネジ部65において、オネジ部65aの端部から前後方向となる端部領域にはシャフト部65bが形成されている。
【0067】
回動体62とメイン基板51との間にOリング67が設けられており、このOリング67の弾性力により、回動体62には常に投光レンズ38から離間する方向に付勢力が作用している。LDアッシー63は、レーザ素子43背面側の直線移動可能範囲がメイン基板51により制限されており、このメイン基板51に当接する直前で、オネジ部65aとメネジ部66との螺合が外れて空回りするようになっている。また、LDアッシー63は、投光レンズ38側の直線移動可能範囲が本体ケース60の内壁面68により制限されており、この内壁面68に当接する直前(手前)で、オネジ部65aとメネジ部66との螺合が外れて空回りするようになっている。
【0068】
以上説明した本実施形態によっても、減光フィルム57を投光レンズ38の後方に配置し、圧縮コイルバネ39の付勢力により減光フィルム57を投光レンズ38に押さえ付けるように保持しているので、部品の共通化を図りつつ下位のクラスに対応するレーザ製品を作ることができる。
【0069】
また、回動体62が空回りする構成を付加し、LDアッシー63が所定範囲内でのみ直線移動可能となるように構成したので、回動体62に無理な力が作用してオネジ部65aとメネジ部66が破損してしまうことを防止することができる。しかも、Oリング67および圧縮コイルばね39の付勢力を利用して、オネジ部65aとメネジ部66との螺合状態に容易に復帰するようにしたので、使用者が螺合状態に復帰させるための特別な換作を行う必要がない。
【0070】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
上記各実施形態では、反射型のレーザセンサ(光電センサ)を例に挙げて説明したが、透過型のレーザセンサ(光電センサ)にも応用できる。この場合、投光器に投光素子19、収束レンズ20および反射ミラー14を備え、投光器と対向して配置される受光器に受光素子10および収束レンズ16を備えればよい。また、本発明はレーザセンサ以外の光学装置に適用してもよい。
【0071】
各実施形態では、投光素子19(レーザ素子43)としてクラス2のレーザ出力を得るレーザ素子を用いてクラス1のレーザ光を得る手段を説明したが、投光素子19(レーザ素子43)としてクラス3A、3B、4のレーザ素子を用いて、そのレーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる構成としてもよい。
第2の実施形態において、透光部材23を投光素子19と収束レンズ20との間に配置してもよい。同様に、第5の実施形態において、透光部材31、32を投光素子19と収束レンズ20との間に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すレーザセンサの側断面図
【図2】レーザセンサの側面図
【図3】投光ユニットの分解側断面図
【図4】投光ユニットの側断面図
【図5】レーザセンサの分解側断面図
【図6】反射ミラーの取り付け状態を示す図
【図7】筒状収容部および投光ユニットの断面図
【図8】本発明の第2の実施形態であって、本体ケース内における投光ユニット、投受光光学系および受光素子の配置関係を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態であって、本体ケース内における投光素子、投受光光学系および受光素子の配置関係を示す図
【図10】本発明の第4の実施形態を示す図8相当図
【図11】本発明の第5の実施形態を示す図8相当図
【図12】本発明の第6の実施形態を示す図1相当図
【図13】レーザセンサの平面図
【図14】レーザセンサの背面図
【図15】本発明の第7の実施形態を示す図1相当図
【符号の説明】
【0073】
1、34、60は本体ケース、1aは収容部、10、50は受光素子、14、25、28は反射ミラー(反射部材)、19は投光素子(レーザ素子)、20、26は収束レンズ(投光レンズ)、23、23a、23b、29、31、32は透光部材、33、59はレーザセンサ(光電センサ)、37は筒状収容部(収容部)、38は投光レンズ、39は圧縮コイルバネ(付勢手段)、42はLDホルダ(レーザ素子ホルダ)、43はレーザ素子、57は減光フィルム(透光部材)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と投光レンズとを備えたレーザ光出射装置およびその製造方法並びに光電センサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電センサにおいて、長距離化・微小物体の検出を目的として、光源である投光素子に半導体レーザに代表されるレーザ素子を採用したレーザセンサが用いられている。レーザセンサは、従来の発光ダイオード(LED)を光源とする光電センサに比べて光強度が強いため長距離化でき、また、レーザ素子はLEDなどに比べると点光源に近く微小スポット光を結ぶことが可能であるため、より微小な物体の検出ができる。特許文献1にはレーザセンサに係る技術が記載されている。
【特許文献1】特開2004−071366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなレーザ素子を用いたレーザ製品は、「レーザ製品の放射安全基準」として、JIS規格(JIS C 6802−1997)によりレーザ出力に応じたクラス分けがなされている。レーザクラスはクラス1からクラス4まであり、クラスごとにその危険度や安全予防策などが定められている。メーカ側は勿論であるが、ユーザ側においてもこの規格に従って定められた事項を遵守しなくてはならない。
【0004】
ところで、近年では例えば半導体装置にもレーザセンサが使用されるようになってきている。半導体装置の場合、検出対象が微小なものであるため、LEDを使った光電センサよりもレーザセンサの方が適している。しかし、半導体装置メーカでは、クラス1のレーザ製品を使うことが原則となっており、ユーザから見てもクラス2以上のレーザ製品を極力使いたがらないという実情がある。これは、第1に、半導体装置ではあまり長い検出距離は必要としておらず、第2に、クラスが高いほどレーザ光が人体に及ぼす危険性が増し、第3に、クラスが高くなるとレーザ製品を設置したときにクラス1では不要であった警告ラベル等を新たに設ける必要が生じ、その取り扱いが煩雑になるためである。このため、クラス1のレーザセンサの提供が強く望まれている。
【0005】
しかしながら、既にレーザ素子を用いてクラス2のレーザ出力を有する光電センサを作っているメーカの場合、クラス2のレーザ出力を得るレーザ素子に替えてクラス1のレーザ出力を得るレーザ素子を採用すると、そのレーザ素子を搭載する回路基板を新規に作らなければならない。また、クラス2のレーザ出力を得るレーザ素子をそのまま使用し、回路を変更することによりそのレーザ素子の出力を絞ってクラス1のレーザ光を出射させる構成とすると、回路を設計し直す必要がある。こうした設計変更を行うと、設計コストや部品コストが高くなり、また、クラス1のレーザ製品とクラス2のレーザ製品とで異なる部品が増加するため、管理コストが増大してしまう。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、特定のクラスに属するレーザ素子を用いて、部品コストや管理コストの増加を抑えつつ、異なるレーザクラスの製品として構成可能なレーザ光出射装置およびその製造方法並びに光電センサおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1のレーザ光出射装置は、
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する少なくとも1つ以上の透光部材が配設されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、レーザ素子から出射された特定のクラスに属するレーザ光は、1つ以上の透光部材を通過することにより減衰し、下位のクラスに属するレーザ光となる。従って、特定クラス(例えばクラス2)のレーザ出力を持つレーザ素子およびそれに付随する回路を変更することなく、出射されたレーザ光を下位のクラス(例えばクラス1)のレーザ光にしてレーザ光出射装置から出射させることができる。本手段によれば、特定クラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とそれよりも下位のクラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とで、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化できるので、部品コストや管理コストを抑えることができる。
【0009】
請求項2のレーザ光出射装置は、上記請求項1の発明において、透光部材を、レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態に配設したことを特徴とする。この構成によれば、透光部材によって反射された光が、レーザ素子に通常備えられる出力を安定化させるためのモニタ用受光素子に、戻り光として入射することを防止することができるため、レーザ素子の出力が不安定になるという現象を抑えることができる。
【0010】
請求項3のレーザ光出射装置は、上記請求項1または2の発明において、投光レンズを、本体ケース内においてレーザ素子と透光部材との間に配置したことを特徴とする。この構成によれば、レーザ素子と投光レンズとの間に透光部材が配設される構成に比べ、レーザ素子と投光レンズとの距離を短くすることできる。その結果、レーザ素子から出射されて拡散するレーザ光のうち投光レンズに入射する光量が増え、レーザ光の利用効率を高めることができる。
【0011】
請求項4のレーザ光出射装置は、上記請求項1の発明において、投光レンズが収容部に固定的に位置決めされ、さらに、投光レンズの後方に直線移動可能に設けられ、その直線移動に伴ってレーザ素子が投光レンズの光軸に沿って直線移動するように該レーザ素子を保持するレーザ素子ホルダと、このレーザ素子ホルダ全体を投光レンズの光軸方向に付勢する付勢手段とを備えている。この構成において、透光部材は、収容部において、投光レンズと付勢手段との間に配置され、付勢手段の付勢力により投光レンズに押さえ付けられる。従って、本体ケース等の部品を共通化したままで且つ簡単な構成により、特定クラスのレーザ光を下位のクラスのレーザ光に減衰させることができる。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項5のレーザ光出射装置は、
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる反射率を有する少なくとも1つ以上の反射部材が、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように配設されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、レーザ素子から出射された特定のクラスに属するレーザ光は、1つ以上の反射部材により折り返されて本体ケースの外に導出される間に減衰し、下位のクラスに属するレーザ光となる。従って、特定クラス(例えばクラス2)のレーザ出力を持つレーザ素子およびそれに付随する回路を変更することなく、出射されたレーザ光を下位のクラス(例えばクラス1)のレーザ光にしてレーザ光出射装置から出射させることができる。本手段によれば、特定クラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とそれよりも下位のクラスのレーザ光を出射するレーザ光出射装置とで、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化できるので、部品コストや管理コストを抑えることができる。
【0014】
また、レーザ素子の光軸方向に十分なスペースを確保できなくても、光路を折り返すことにより光路を折り返さない場合と同様の光路長が得られるので、光軸方向においてレーザ光出射装置を小型化することができる。さらに、衝撃などの原因により反射部材が割れると、レーザ素子から出射する光は反射部材により正常に反射されなくなるため、レーザ光が本体ケース外に出射されることがなく、安全側に働くという効果を生ずる。
【0015】
請求項6のレーザ光出射装置は、上記請求項5の発明において、投光レンズを、本体ケース内においてレーザ素子と透光部材との間に配置したことを特徴とする。この構成によれば、レーザ素子と投光レンズとの間に反射部材が配設される構成に比べ、レーザ素子と投光レンズとの距離を短くすることできる。その結果、レーザ素子から出射されて拡散するレーザ光のうち投光レンズに入射する光量が増え、レーザ光の利用効率を高めることができる。
【0016】
請求項7ないし12の光電センサは、検出領域からの反射光を受光する受光素子を備えており、それぞれ請求項1ないし6のレーザ光出射装置と同様の作用および効果が得られる。
【0017】
請求項13のレーザ光出射装置の製造方法は、請求項1のレーザ光出射装置を製造する方法である。製造工程において、レーザ素子から出射された特定クラスのレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する透光部材を選択して着脱可能に設けることにより、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化して異なるクラスのレーザ光出射装置を製造することができる。
【0018】
請求項14のレーザ光出射装置の製造方法は、請求項5のレーザ光出射装置を製造する方法である。製造工程において、レーザ素子から出射された特定クラスのレーザ光を異なるクラスに変換する反射率の異なる少なくとも2つ以上の反射部材から選択した反射部材を着脱可能に設けることにより、レーザ素子、回路基板などの構成部品を共通化して異なるクラスのレーザ光出射装置を製造することができる。
【0019】
請求項15、16の光電センサの製造方法は、それぞれ請求項7、11の光電センサを製造する方法であり、それぞれ請求項13、14のレーザ光出射装置の製造方法と同様の作用および効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明をレーザセンサ(光学装置)に適用した第1の実施形態について図1ないし図7を参照しながら説明する。
レーザセンサは光電センサの1つであり、投光素子として半導体レーザ(レーザ素子に相当)を備え、検出領域に向けてレーザ光を出射するとともに、検出領域を通過(透過)または反射(帰還)したレーザ光を受けることにより、検出領域内における検出対象物の測定(物体の有無の検出)をするものである。
【0021】
図2は、レーザセンサの側面図であって、本体ケース1から該本体ケース1を保護するケースカバー2を外した状態を示している。本体ケース1は、左右一対の半割体が合体したほぼ箱型の形状をなしており、レーザセンサの筐体は、この本体ケース1とケースカバー2とから構成されている。ケースカバー2は本体ケース1に嵌め合わされるようになっており、本体ケース1に設けられた凸部3がケースカバー2に設けられた穴部4に嵌まり込むことにより両者が離脱不能に一体化される。これにより、後述する本体ケース1の開口部5が閉鎖され、外部からの異物による干渉を阻止することができる。
【0022】
本体ケース1の左右両側面には、筒状収容部6(図5参照)へと連なる開口部5が対向するように(光軸LCを挟んで向かい合う位置に)形成されており、後述するレンズホルダ18(図3、図4参照)の外周面を露出させるようになっている。本体ケース1の側面のうち開口部5の前後領域には薄肉部7が形成されている。
【0023】
図1は、レーザセンサの側断面図である。本体ケース1内にはレーザ光を出射する投光ユニット8と、投受光光学系9と、レーザ光を受光する受光素子10と、外部に連なる信号線11が接続された回路基板12とが収められている。回路基板12は、投光ユニット8に対して電源供給を行うとともに、受光素子10からの受光信号を信号線11を通して外部の制御装置に出力するようになっている。本体ケース1の前面部には光透過部材13が貼り付けられている。
【0024】
投受光光学系9は、反射ミラー14(反射部材に相当)と、ビームスプリッタ15(光分岐手段)と、収束レンズ16とから構成されている。反射ミラー14は、投光ユニット8の前面側の収容部1aに、筒状収容部6に収容された投光ユニット8の光軸に対し45度の傾きを持って設置されている。ビームスプリッタ15は、反射ミラー14によって反射された投光ユニット8からのレーザ光を透過させるようになっており、その透過したレーザ光は光透過部材13を通して検出対象領域に出射される。その検出対象領域からの帰還光は、光透過部材13を通してビームスプリッタ15に入光し、ビームスプリッタ15は、その帰還光を収束レンズ16および受光素子10の光軸方向に反射するようになっている。
【0025】
図3、図4は、それぞれ投光ユニット8の分解側断面図、投光ユニット8の側断面図である。投光ユニット8は、素子ホルダ17と、この素子ホルダ17と螺合するレンズホルダ18と、これらに収容される投光素子19と、収束レンズ20と、シリコンゴム21(弾性部材)とから構成されている。
【0026】
素子ホルダ17は、円筒形状をなしており、縮径部分の外周面にネジ部17aが形成されている。また、素子ホルダ17の外径は本体ケース1の筒状収容部6の内径とほぼ同一の径に設定されている。投光素子19は、例えばレーザダイオード等の半導体レーザ光源から構成されており、素子ホルダ17の上端面から内部へ嵌め込まれ接着により素子ホルダ17に固定される。投光素子19の接続端子と回路基板12とははんだ付けされ、その回路基板12は本体ケース1に接着により取り付けられる。
【0027】
レンズホルダ18は、円筒形状をなしており、その内周面にネジ部18aが形成されている。このネジ部18aは、素子ホルダ17のネジ部17aと螺合されるようになっており、ネジ部18aの下側には段部18bが形成されている。また、外径は本体ケース1の筒状収容部6の内径よりもやや小さい径に設定されており、筒状収容部6に収容された状態で外周面18c(操作部)が上述した開口部5から露出した状態とされるようになっている。
【0028】
収束レンズ20(投光レンズに相当)は、投光素子19からの光を収束するためのものである。この収束レンズ20の入射面側には、光軸LCの方向と直交する方向に突出する環状凸部20aが形成されている。収束レンズ20は、この環状凸部20aがレンズホルダ18の段部18bに係止した状態で、レンズホルダ18に収容されるようになっている。
【0029】
シリコンゴム21は円環形状をなしており、収束レンズ20の入射面と素子ホルダ17の縮径部側の端面との間に介在されている。両ホルダ17、18が螺合した状態において、シリコンゴム21が縮み変形して弾発力が発生し、この弾発力が収束レンズ20に付与される。これにより、レンズホルダ18が光軸LCに沿った方向に付勢されている。なお、シリコンゴム21の光軸LCの方向における寸法はd1とされている。
【0030】
次に、本実施形態の作用について図5ないし図7も参照しながら説明する。
図5は、レーザセンサの分解側断面図である。レーザセンサの組み立ては、一方の半割体に投受光光学系9、受光素子10および光透過部材13をセットし、両半割体を合体させて投光ユニット8を筒状収容部6に収め、回路基板12を本体ケース1に取り付ける。そして、投光素子19に電源供給を行ってレーザ光を出射させ、スポット位置の調整を行う。スポット位置の調整が完了すると、本体ケース1とケースカバー2とを嵌め合わせる。
【0031】
[反射ミラーの選択]
レーザセンサの製造工程において、投受光光学系9の反射ミラー14の選択・配設工程は以下のように行う。図6は、この反射ミラー14の選択・配設工程の説明図である。レーザ製品においては、レーザ出力に応じてJIS規格(JIS C 6802−1997「レーザ製品の放射安全基準」)により定められるレーザクラスが存在し、そのクラス毎に危険度や安全予防策が定められている。
【0032】
本実施形態において、投光素子19としてのレーザ素子は、クラス2の半導体レーザである。従って、クラス2のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aを選択し、それを本体ケース1内の投光素子19の前面側の収容部1aに配設する(図6(a)参照)。これに対し、クラス1のレーザセンサを製造する場合には、全反射ミラー14aに替えて部分反射ミラー(部分透過ミラー)14bを選択し、それを上記収容部1aに配設する(図6(b)参照)。
【0033】
この部分反射ミラー14bは、投光素子19から出射されたクラス2のレーザ光を下位のクラス1のレーザ光に減衰させる反射率を有するもので、例えばハーフミラーにより構成されている。実際の製造工程では、上記全反射ミラー14aと、上記JIS規格に定められた計算式によって求められるクラス1の条件を満たす反射率を持つ部分反射ミラー14bとが準備され、クラス1とクラス2の各生産数に従って、全反射ミラー14aと部分反射ミラー14bの一方を選択して取り付ける。
【0034】
これにより、製品の作り込みの段階で本体ケース1、投光素子19(半導体レーザ)、この投光素子19を駆動するための回路基板12などを共通化して、クラス1のレーザセンサとクラス2のレーザセンサとを作ることができる。また、仕掛かり品についても、クラスの変更が可能となる。従って、各クラスの製品ごとに別々の専用部品を設けた場合に比べ、部品コストや管理コストなどのコストを低く抑えることができる。
【0035】
[スポット位置の調整]
レーザセンサから出射されるレーザ光は、投光レンズとなる収束レンズ20により収束される。この収束レンズ20から出射されるレーザ光はほぼ平行光であるが、実際には微収束光であるため、スポット位置を仕様上の検出距離(検出対象物)に一致させるために、その検出距離に応じてスポット位置を調整する必要がある。この調整工程では、投光ユニット8を本体ケース1の筒状収容部6に収めた状態で、その本体ケース1と検出対象物との距離を仕様上の関係に配置し、スポット位置を確認しながら調整作業を行う。
【0036】
例えば、スポット位置をレーザセンサから遠ざけたい場合には、左右両開口部5からレンズホルダ18の外周面18cをつまんでこれを時計回りの方向に回転させる。すると、レンズホルダ18が上方(光軸に沿った方向)に螺進するとともに、シリコンゴム21が弾縮する。そうすると収束レンズ20が投光素子19に近づき、結果として、スポット位置がレーザセンサ側と反対側(遠点側)に移動することとなる(図7(a)参照)。
【0037】
一方、スポット位置をレーザセンサ側に移動させたい場合には、左右両開口部5からレンズホルダ18の外周面18cをつまんでこれを反時計回りの方向に回転させる。すると、レンズホルダ18が下方(光軸に沿った方向)に螺退するとともに、シリコンゴム21が弾拡する。そうすると収束レンズ20が投光素子19から遠ざかり、結果として、スポット位置がレーザセンサ側(近点側)に移動することとなる(図7(b)参照)。
【0038】
従って、上記の調整を繰り返すことによって、所定位置にスポット位置を移動させることができる。調整作業が完了したら、上述した手順でレーザセンサを組み立てる。なお、シリコンゴム21の寸法は、図3に示すように通常はd1とされており、投光ユニット8が組み立てられた状態においては、素子ホルダ17と収束レンズ20とに挟まれて弾縮状態となり、寸法d1よりも小さい寸法とされている。すなわち、組み立てられた状態では、常に収束レンズ20に弾発力が付与され続けている。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、本体ケース1内に、全反射ミラー14aおよび投光素子19から出射されたレーザ光をクラス2からクラス1に減衰させる透過率を有する部分反射ミラー14bの何れか一方を選択して取り付けることにより、本体ケース1、クラス2の投光素子19、この投光素子19を駆動するための回路基板12などを共通に用いて、クラス1のレーザセンサとクラス2のレーザセンサとを製造することができる。従って、回路基板12の新規設計、レーザクラスに応じた回路の設計変更、クラスの数に応じた部品数の増加などが生じず、部品コストや管理コストを低く抑えることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第2の実施形態について図8を参照しながら説明する。
図8は、本体ケース内における投光ユニット8、投受光光学系22および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このレーザセンサは、投光ユニット8から出射されたレーザ光を直進させる構成となっている。投受光光学系22は、透光部材23、ビームスプリッタ15および収束レンズ16から構成されており、投光ユニット8から出射されたレーザ光は、透光部材23とビームスプリッタ15を通過し、本体ケースの光透過部材13(図1参照)から出射されるようになっている。図8の(a)から(c)は、それぞれ光軸に対する透光部材23の配置角度が異なっている。
【0041】
透光部材23は、クラス2のレーザセンサを製造する場合には透過率100%の透光部材23aが選択されて用いられ、クラス1のレーザセンサを製造する場合にはレーザ光を減衰させる所定の透過率を持つ透光部材23bが選択されて用いられている。この構成により、本体ケース、クラス2の投光素子19、この投光素子19を駆動するための回路基板12(図1参照)などを共通に用いて、クラス1のレーザセンサとクラス2のレーザセンサとを製造することができる。従って、回路基板12の新規設計、レーザクラスに応じた回路の設計変更、クラスの数に応じた部品数の増加などが生じず、部品コストや管理コストを低く抑えることができる。
【0042】
図8(a)から(c)は、それぞれ透光部材23を光軸に対し45度傾けた状態に配置したもの、光軸に対し約60度傾けた状態に配置したもの、光軸に対し垂直の状態に配置したものを示している。投光素子19には、モニタ用受光素子を一体に備えたレーザダイオードが用いられており、APC(Auto Power Control)制御によってレーザダイオードからのレーザ光出力を一定に保つようにしている。(a)、(b)に示すように透光部材23を光軸に対し傾けると、透光部材23によって反射されたレーザ光がモニタ用受光素子に戻り光として入射することを防止することができるため、投光素子19(レーザ素子)の出力が不安定になるという現象を抑えることができる。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第3の実施形態について図9を参照しながら説明する。
図9は、投光素子19、投受光光学系24および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このレーザセンサは、第1の実施形態と同様に投光素子19から出射されたクラス2のレーザ光を反射ミラー25を用いて反射してクラス1のレーザ光に減衰させるものであるが、投光素子19に対する反射ミラー25と収束レンズ26との配置関係が異なっている。すなわち、投光素子19の前面側の収容部1aに反射ミラー25が配置され、その反射ミラー25とビームスプリッタ15との間に収束レンズ26が配置されている。この構成によっても、第1の実施形態とほぼ同様の作用および効果を得ることができる。
【0044】
ただし、投光素子19と収束レンズ20との間に反射ミラー14が配置される第1の実施形態と比較すると、投光素子19と収束レンズ26との距離が長くなり易いため、投光素子19から出射されて拡散するレーザ光のうち収束レンズ26に入射する光量が減少し、レーザ光の利用効率が低下する虞がある。従って、レーザ光の有効利用が特に重要となる場合には、第1の実施形態で示したレーザセンサを採用することが好ましい。
【0045】
(第4の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第4の実施形態について図10を参照しながら説明する。
図10は、本体ケース内における投光ユニット8、投受光光学系27および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。本体ケース内において、投光素子19の前面側の収容部には反射ミラー28が配置されており、その反射ミラー28とビームスプリッタ15との間には透光部材29が配置されている。
【0046】
投光素子19から出射されたクラス2のレーザ光は、反射ミラー28で反射する際に減衰され、さらに透光部材29を通過することによってクラス1のレーザ光にまで減衰されて出射される。この構成によれば、第1および第2の実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。なお、投光素子19の前面部に透光部材29を設置し、その後に反射ミラー28を設置する構成としてもよい。
【0047】
(第5の実施形態)
次に、本発明をレーザセンサに適用した第5の実施形態について図11を参照しながら説明する。
図11は、本体ケース内における投光ユニット8、投受光光学系30および受光素子10の配置関係を示したもので、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このレーザセンサは、第2の実施形態と同様に、投光ユニット8から出射されたレーザ光を直進させる構成となっている。投受光光学系30は、2つの透光部材31、32、ビームスプリッタ15および収束レンズ16から構成されており、投光ユニット8から出射されたクラス2のレーザ光は、透光部材31、32とビームスプリッタ15を通過してクラス1のレーザ光に減衰されて出射される。このように、複数(2、3、…)の透光部材を用いることにより、少ない種類の透光部材を用いて多数の異なる減衰率を得ることが可能となる。なお、透光部材31、32のうち、投光ユニット8側の透光部材31を光軸に対し傾けて配置しているのは、第2の実施形態で説明したように、投光素子19(レーザ素子)の出力を安定させるためである。
【0048】
(第6の実施形態)
次に、本発明をスポット調整(焦点位置調整・スポットサイズ調整)機能付の反射型レーザセンサ(光電センサ)に適用した第6の実施形態について図12ないし図14を参照しながら説明する。
【0049】
図12、図13、図14は、それぞれレーザセンサの断面図、平面図、背面図である。これら図12ないし図14において、レーザセンサ33の本体ケース34内には、投光部35と受光部36とが上下2段に設けられている。このレーザセンサ33は、投光部35から本体ケース34の前方に向けてレーザ光を出射し、被検出物体で反射した光を受光部36で受けることにより被検出物体を検出するようになっている。
【0050】
投光部35は、筒状収容部37(収容部に相当)の前面側に形成された孔37aに投光レンズ38を装着し、筒状収容部37内に圧縮コイルバネ39(付勢手段に相当)、LDアッシー40、後述する減光フィルム57(透光部材に相当)およびスリット板PHを挿入し、LDアッシー40に回動体41を連結して構成されている。
【0051】
LDアッシー40は、LDホルダ42(レーザ素子ホルダに相当)の後面にレーザ素子43を装着し、後方よりLDベース44でレーザ素子43を挟み付けることにより構成されている。レーザ素子43は、投光レンズ38の光軸上に位置している。レーザ素子43の後面にはFPC45(Flexible Printed Circuit)が接続されている。
【0052】
本体ケース34の背面には上記回動体41が軸支されている。この回動体41の前面にはオネジ部46が一体に形成されており、そのオネジ部46がLDベース44のメネジ部47と螺合している。回動体41の後面には、円盤部41aが一体に形成されている。その円盤部41aが本体ケース34の背面から後方を臨むことによりスポット調整部48が構成されている。この場合、スポット調整部48は、投光レンズ38の光軸上に位置している。
【0053】
投光レンズ38の後面には減光フィルム57とスリット板PHが配置され、このスリット板PHとLDアッシー40との間には上記圧縮コイルバネ39が介挿されている。スリット板PHは、例えばワッシャ(ピンホール板)であって、中央のレーザ光のみを通過させ周縁のレーザ光をカットするものである。LDアッシー40は、後方すなわち回動体41の向きに付勢されている。これにより、LDベース44のメネジ部47と回動体41のオネジ部46は、それらの山部と谷部とが付勢状態で当接し、両者間の機械的ながたを吸収するようになっている。
【0054】
以上の構成により、投光レンズ38は、本体ケース34内の筒状収容部37に固定的に位置決めされている。また、減光フィルム57は、筒状収容部37において投光レンズ38と圧縮コイルバネ39との間に配置され、圧縮コイルバネ39の付勢力により投光レンズ38に押さえ付けられるように保持されている。スポット調整部48の円盤部41aに対する回動操作は、回動体41からLDアッシー40に伝達される際にLDアッシー40の直線運動に変換され、レーザ素子43は投光レンズ38の光軸に沿って直線移動可能となる。
【0055】
一方、受光部36の前端には受光レンズ49が固定されており、受光部36の後端には受光レンズ49の光軸上となる部位に受光素子50が装着されている。本体ケース34内には、メイン基板51、トップ基板52および受光基板53が配設されている。投光部35から引き出されたFPC45はメイン基板51に接続されており、これによりレーザ素子43への通電が可能となっている。
【0056】
メイン基板51に実装された図示しない制御回路は、受光素子50からの受光信号を処理し、本体ケース34に装着されたケーブル58から外部に出力するようになっている。また、トップ基板52にはLED54が搭載されており、本体ケース34の上面から背面にかけて形成された窓部55を介して視認可能となっている。これにより表示部56が形成されている。
[透光部材(減光フィルム・光減衰フィルタ)の選択]
レーザセンサ33の製造工程において、本体ケース34の筒状収容部37における投光レンズ38と圧縮コイルバネ39との間に配設される透光部材(本実施形態では減光フィルム57)の選択・配役工程は以下のように行う。
【0057】
上述したように、レーザ製品ではレーザ出力に応じてJIS規格により定められるレーザクラスが存在する。本実施形態のレーザ素子43は、クラス2の半導体レーザである。従って、クラス2のレーザセンサ33を製造する場合には透光部材は用いられない。これに対し、クラス1のレーザセンサ33を製造する場合には透光部材を選択し、それを上記筒状収容部37に配設する必要がある。
【0058】
この透光部材は、レーザ素子43から出射されたクラス2のレーザ光を下位のクラス1のレーザ光に減衰させる透過率を有するもので、例えば部分透過フィルムにより構成されている。実際の製造工程では、上記JIS規格に定められた計算式によって求められるクラス1の条件を満たす透過率を持つ減光フィルム57が準備され、クラス1とクラス2の各生産数に従って、減光フィルム57を配設したものと配設しないものとを生産する。
【0059】
これにより、本体ケース34、レーザ素子43、このレーザ素子43を駆動するためのメイン基板51などを共通化して、クラス1のレーザセンサ33とクラス2のレーザセンサ33とを作り分けることができる。また、仕掛かり品についても、クラスの変更が可能となる。従って、各クラスの製品ごとに別々の専用部品を設けた場合に比べ、部品コストや管理コストなどのコストを低く抑えることができる。
【0060】
このように本実施形態によれば、透光部材である減光フィルム57を投光レンズ38の後方に配置して、圧縮コイルバネ39の付勢力(離間力:投光レンズ38とLDアッシー40とを離間させる方向に働く力)を利用して、減光フィルム57を投光レンズ38に押さえ付けるように保持しているので、簡単な構成でもって下位のクラスに対応するレーザ製品を作ることができ、さらに本体ケース34等の設計変更(例えば本体ケース34における投光レンズ38の前面部に透光部材を取り付けるための形状変更)は全く必要とせず部品を共有化できる。
【0061】
また、減光フィルム57を接着剤等により固定する場合とは異なり、接着剤の塗布量が適量でない場合にレーザ光の経路に接着剤がはみ出てレーザ出力を必要以上に低下させたりばらつかせる不具合も回避できる。
【0062】
減光フィルム57の背面(前面でもよい)にスリット板PHを設けたので、周縁部の余分なレーザ光をカットして中央のレーザ光のみを投光レンズ38を通して収束でき、焦点でのスポットサイズをより小さく結ぶことができる。
【0063】
その他、本実施形態によれば、LDホルダ42の後方に位置し投光レンズ38の光軸を軸中心とする回動体41と、本体ケース34に外部操作可能に設けられ外部操作に応じて回動体41を回動させるスポット調整部48(被操作部)と、回動体41の回動運動をLDホルダ42の直線運動に変換する変換手段(オネジ部46、メネジ部47)とを備えているので、スポット径の調整機構を本体ケース34内に配置することができ、スポット調整部48に対する操作によりスポット径を確実に調整することができる。
【0064】
しかも、調整機構を投光レンズ38の光軸上に設けるようにしたので、本体ケース34の厚さ寸法を抑制でき、LDアッシー40に対して偏った力が作用することもない。また、スポット調整部48をセンサ本体の背面側の面に設けるとともに、表示部56の窓部55を本体ケース34の上面から背面にかけて形成したので、表示部56の視認性が向上し、スポット調整の操作性が高まる。
【0065】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について図15を参照しながら説明する。
図15はスポット調整機能付の反射型レーザセンサの断面図で、図12と同一部分には同一符号を付している。このレーザセンサ59は、第6の実施形態で説明したレーザセンサ33と比べ、スポット調整部61の回動体62を空回り可能に構成したことを特徴とする。回動体62の後面には、円盤部62aが一体に形成されている。
【0066】
LDアッシー63は、LDホルダ42の後面にレーザ素子43を装着し、後方よりLDベース64でレーザ素子43を挟み付けることにより構成されている。本体ケース60の背面に軸支された回動体62の前面にはネジ部65が一体に形成されている。このネジ部65において、その先端部よりの所定の中間領域にはオネジ部65aが形成されており、そのオネジ部65aが投光部35を構成するLDベース64に形成されたメネジ部66と蝶合している。また、ネジ部65において、オネジ部65aの端部から前後方向となる端部領域にはシャフト部65bが形成されている。
【0067】
回動体62とメイン基板51との間にOリング67が設けられており、このOリング67の弾性力により、回動体62には常に投光レンズ38から離間する方向に付勢力が作用している。LDアッシー63は、レーザ素子43背面側の直線移動可能範囲がメイン基板51により制限されており、このメイン基板51に当接する直前で、オネジ部65aとメネジ部66との螺合が外れて空回りするようになっている。また、LDアッシー63は、投光レンズ38側の直線移動可能範囲が本体ケース60の内壁面68により制限されており、この内壁面68に当接する直前(手前)で、オネジ部65aとメネジ部66との螺合が外れて空回りするようになっている。
【0068】
以上説明した本実施形態によっても、減光フィルム57を投光レンズ38の後方に配置し、圧縮コイルバネ39の付勢力により減光フィルム57を投光レンズ38に押さえ付けるように保持しているので、部品の共通化を図りつつ下位のクラスに対応するレーザ製品を作ることができる。
【0069】
また、回動体62が空回りする構成を付加し、LDアッシー63が所定範囲内でのみ直線移動可能となるように構成したので、回動体62に無理な力が作用してオネジ部65aとメネジ部66が破損してしまうことを防止することができる。しかも、Oリング67および圧縮コイルばね39の付勢力を利用して、オネジ部65aとメネジ部66との螺合状態に容易に復帰するようにしたので、使用者が螺合状態に復帰させるための特別な換作を行う必要がない。
【0070】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
上記各実施形態では、反射型のレーザセンサ(光電センサ)を例に挙げて説明したが、透過型のレーザセンサ(光電センサ)にも応用できる。この場合、投光器に投光素子19、収束レンズ20および反射ミラー14を備え、投光器と対向して配置される受光器に受光素子10および収束レンズ16を備えればよい。また、本発明はレーザセンサ以外の光学装置に適用してもよい。
【0071】
各実施形態では、投光素子19(レーザ素子43)としてクラス2のレーザ出力を得るレーザ素子を用いてクラス1のレーザ光を得る手段を説明したが、投光素子19(レーザ素子43)としてクラス3A、3B、4のレーザ素子を用いて、そのレーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる構成としてもよい。
第2の実施形態において、透光部材23を投光素子19と収束レンズ20との間に配置してもよい。同様に、第5の実施形態において、透光部材31、32を投光素子19と収束レンズ20との間に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すレーザセンサの側断面図
【図2】レーザセンサの側面図
【図3】投光ユニットの分解側断面図
【図4】投光ユニットの側断面図
【図5】レーザセンサの分解側断面図
【図6】反射ミラーの取り付け状態を示す図
【図7】筒状収容部および投光ユニットの断面図
【図8】本発明の第2の実施形態であって、本体ケース内における投光ユニット、投受光光学系および受光素子の配置関係を示す図
【図9】本発明の第3の実施形態であって、本体ケース内における投光素子、投受光光学系および受光素子の配置関係を示す図
【図10】本発明の第4の実施形態を示す図8相当図
【図11】本発明の第5の実施形態を示す図8相当図
【図12】本発明の第6の実施形態を示す図1相当図
【図13】レーザセンサの平面図
【図14】レーザセンサの背面図
【図15】本発明の第7の実施形態を示す図1相当図
【符号の説明】
【0073】
1、34、60は本体ケース、1aは収容部、10、50は受光素子、14、25、28は反射ミラー(反射部材)、19は投光素子(レーザ素子)、20、26は収束レンズ(投光レンズ)、23、23a、23b、29、31、32は透光部材、33、59はレーザセンサ(光電センサ)、37は筒状収容部(収容部)、38は投光レンズ、39は圧縮コイルバネ(付勢手段)、42はLDホルダ(レーザ素子ホルダ)、43はレーザ素子、57は減光フィルム(透光部材)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する少なくとも1つ以上の透光部材が配設されていることを特徴とするレーザ光出射装置。
【請求項2】
前記透光部材は、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で配設されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光出射装置。
【請求項3】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記透光部材との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ光出射装置。
【請求項4】
前記投光レンズは、前記収容部に固定的に位置決めされ、
前記投光レンズの後方に直線移動可能に設けられ、その直線移動に伴って前記レーザ素子が前記投光レンズの光軸に沿って直線移動するように該レーザ素子を保持するレーザ素子ホルダと、
このレーザ素子ホルダ全体を前記投光レンズの光軸方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記透光部材は、前記収容部において、前記投光レンズと前記付勢手段との間に配置され、前記付勢手段の付勢力により前記投光レンズに押さえ付けられるように保持されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光出射装置。
【請求項5】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる反射率を有する少なくとも1つ以上の反射部材が、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように配設されていることを特徴とするレーザ光出射装置。
【請求項6】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記反射部材との間に配置されていることを特徴とする請求項5記載のレーザ光出射装置。
【請求項7】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと、
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサであって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する少なくとも1つ以上の透光部材が配設されていることを特徴とする光電センサ。
【請求項8】
前記透光部材は、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で配設されていることを特徴とする請求項7記載の光電センサ。
【請求項9】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記透光部材との間に配置されていることを特徴とする請求項7または8記載の光電センサ。
【請求項10】
前記投光レンズは、前記収容部に固定的に位置決めされ、
前記投光レンズの後方に直線移動可能に設けられ、その直線移動に伴って前記レーザ素子が前記投光レンズの光軸に沿って直線移動するように該レーザ素子を保持するレーザ素子ホルダと、
このレーザ素子ホルダ全体を前記投光レンズの光軸方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記透光部材は、前記収容部において、前記投光レンズと前記付勢手段との間に配置され、前記付勢手段の付勢力により前記投光レンズに押さえ付けられるように保持されていることを特徴とする請求項7記載の光電センサ。
【請求項11】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと、
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサであって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる反射率を有する少なくとも1つ以上の反射部材が、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように配設されていることを特徴とする光電センサ。
【請求項12】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記反射部材との間に配置されていることを特徴とする請求項11記載の光電センサ。
【請求項13】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置の製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する透光部材を着脱可能に配設することを特徴とするレーザ光出射装置の製造方法。
【請求項14】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置の製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を異なるクラスに変換する反射率の異なる少なくとも2つ以上の反射部材から選択した反射部材を、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように交換可能に配設することを特徴とするレーザ光出射装置の製造方法。
【請求項15】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサの製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する透光部材を着脱可能に配設することを特徴とする光電センサの製造方法。
【請求項16】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサの製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を異なるクラスに変換する反射率の異なる少なくとも2つ以上の反射部材から選択した反射部材を、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように交換可能に配設することを特徴とする光電センサの製造方法。
【請求項1】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する少なくとも1つ以上の透光部材が配設されていることを特徴とするレーザ光出射装置。
【請求項2】
前記透光部材は、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で配設されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光出射装置。
【請求項3】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記透光部材との間に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のレーザ光出射装置。
【請求項4】
前記投光レンズは、前記収容部に固定的に位置決めされ、
前記投光レンズの後方に直線移動可能に設けられ、その直線移動に伴って前記レーザ素子が前記投光レンズの光軸に沿って直線移動するように該レーザ素子を保持するレーザ素子ホルダと、
このレーザ素子ホルダ全体を前記投光レンズの光軸方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記透光部材は、前記収容部において、前記投光レンズと前記付勢手段との間に配置され、前記付勢手段の付勢力により前記投光レンズに押さえ付けられるように保持されていることを特徴とする請求項1記載のレーザ光出射装置。
【請求項5】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置であって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる反射率を有する少なくとも1つ以上の反射部材が、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように配設されていることを特徴とするレーザ光出射装置。
【請求項6】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記反射部材との間に配置されていることを特徴とする請求項5記載のレーザ光出射装置。
【請求項7】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと、
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサであって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する少なくとも1つ以上の透光部材が配設されていることを特徴とする光電センサ。
【請求項8】
前記透光部材は、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で配設されていることを特徴とする請求項7記載の光電センサ。
【請求項9】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記透光部材との間に配置されていることを特徴とする請求項7または8記載の光電センサ。
【請求項10】
前記投光レンズは、前記収容部に固定的に位置決めされ、
前記投光レンズの後方に直線移動可能に設けられ、その直線移動に伴って前記レーザ素子が前記投光レンズの光軸に沿って直線移動するように該レーザ素子を保持するレーザ素子ホルダと、
このレーザ素子ホルダ全体を前記投光レンズの光軸方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記透光部材は、前記収容部において、前記投光レンズと前記付勢手段との間に配置され、前記付勢手段の付勢力により前記投光レンズに押さえ付けられるように保持されていることを特徴とする請求項7記載の光電センサ。
【請求項11】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと、
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサであって、
前記本体ケース内における前記レーザ素子の前面側に収容部を備え、
この収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる反射率を有する少なくとも1つ以上の反射部材が、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けられた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように配設されていることを特徴とする光電センサ。
【請求項12】
前記投光レンズは、前記本体ケース内において、前記レーザ素子と前記反射部材との間に配置されていることを特徴とする請求項11記載の光電センサ。
【請求項13】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置の製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する透光部材を着脱可能に配設することを特徴とするレーザ光出射装置の製造方法。
【請求項14】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて前方に出射する投光レンズとを備えたレーザ光出射装置の製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を異なるクラスに変換する反射率の異なる少なくとも2つ以上の反射部材から選択した反射部材を、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように交換可能に配設することを特徴とするレーザ光出射装置の製造方法。
【請求項15】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサの製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を下位のクラスに減衰させる透過率を有する透光部材を着脱可能に配設することを特徴とする光電センサの製造方法。
【請求項16】
本体ケースと、
この本体ケース内に収容され、特定のクラスに属するレーザ光を出射するレーザ素子と、
このレーザ素子からのレーザ光を収束させて検出領域に照射する投光レンズと
前記検出領域からの反射光を受光する受光素子とを備え、
前記受光素子からの受光信号に基づいて前記検出領域内の物体を検出する光電センサの製造方法であって、
前記本体ケース内に備えられた前記レーザ素子の前面側の収容部に、前記レーザ素子から出射されたレーザ光を異なるクラスに変換する反射率の異なる少なくとも2つ以上の反射部材から選択した反射部材を、前記レーザ素子の光軸に対して所定角度傾けた状態で且つ前記レーザ素子から出射されるレーザ光が当該反射部材により折り返されて前記本体ケースの外に導出されるように交換可能に配設することを特徴とする光電センサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−13443(P2006−13443A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115717(P2005−115717)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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