説明

レーザ切断装置、レーザ切断方法及びレーザ切断システム

【課題】簡易な制御によって様々な形状の部品をレーザ切断できると共に、切断済みの部品への粉塵等の付着や疵付きを防止でき且つその部品を確実に支持して送り出すことができるレーザ切断装置、レーザ切断方法及びレーザ切断システムを提供する。
【解決手段】本レーザ切断装置5は、板状の材料11を送り方向に移送する材料移送手段Aと、材料に向けてレーザ光を照射可能な加工ヘッドBと、加工ヘッドを材料の送り方向X及び幅方向Yに移動させるためのヘッド移動手段Cと、加工ヘッドの下方部の上流側で材料を支持し、且つ、加工ヘッドの送り方向への移動に伴って材料の支持領域R2を送り方向に拡縮する上流側支持手段(ベルトコンベア機構F)と、加工ヘッドの下方部の下流側で切断済みの部品を支持し、且つ、加工ヘッドの送り方向への移動に伴って切断済みの部品の支持領域R1を送り方向に拡縮する下流側支持手段(ベルトコンベア機構E)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来分野
本発明は、レーザ切断装置、レーザ切断方法及びレーザ切断システムに関する。本発明は、更に詳しくは、簡易な制御によって様々な形状の部品をレーザ切断できると共に、切断済みの部品への粉塵等の付着や疵付きを防止でき且つその部品を確実に支持して送り出すことができるレーザ切断装置及びレーザ切断方法に関する。さらに、本発明は、専用型や板巾の異なる多数のコイル材を必要とせず、それらの在庫数やスペースと共にコイル材の巻き戻し数等を極力低減でき多品種少量生産に好適で極めてコンパクトなレーザ切断システムに関する。
本発明は、例えば、自動車等のプレス部品の素材部品としてのブランク材のレーザ切断及びこれに関連する分野に広く利用される。
【背景技術】
【0002】
背景技術
近年、自動車のモデルチェンジは頻繁に実施され、そのたびにプレス部品は増加の一途である。このため、プレス素材を供給するコイルセンターへの小ロットブランク材の供給要請が増加する。そして、このコイルセンターのブランキングラインでは、歩留り向上の観点より、コイルから巻き出される板状の材料をブランキングプレスにより切断して、ブランク材を得るようにしている。
しかし、上記ブランキングラインでは、各部品毎の専用型を必要とし、それら専用型の保管及び保全のため広大なスペースと人員が必要である。また、多品種のブランク材を加工するために、板巾の異なる多数のコイル材を持つ必要がある。従って、それらの在庫数やスペースが増加し、また、専用コイル材の巻き戻しが増え生産性が低下しそれらの在庫数やスペースも増加する。さらに、海外生産が増えているが、生産量が多くなくブランキングラインの導入が困難であった。
このため最近、ブランキングラインにレーザ切断による異形加工を利用することが検討されている。即ち、従来のレーザ切断システムとして、例えば、コイル材を板状の材料を巻き出し可能に支持するコイル材支持装置と、このコイル材支持装置の下流側に配設され且つ材料を平坦に伸ばすレベラ装置と、このレベラ装置の下流側に配設され且つ材料をレーザ切断するレーザ切断装置と、このレーザ切断装置の下流側に配設され且つ切断済みの部品(製品部品、スクラップ部品等)を回収する回収装置と、を備えるものが知られている{特開2002−59288号公報(以下、特許文献1と記載する。)参照。}。
【0003】
上記レーザ切断装置は、コイル材から巻き出される板状の材料を移送する材料移送手段(ロールフィーダ31)と、材料の送り方向(X軸方向)及び幅方向(Y軸方向)に移動可能で且つ材料に向けてレーザ光を照射可能な加工ヘッド(加工ヘッド54)と、この加工ヘッドの下方部で材料及び切断済みの部品を支持する材料支持手段(剣山コンベア51)と、を備えて構成されている。
そして、コイル材から巻き出された材料が、材料移送手段により送り方向に送り出され、水平面内で移動する加工ヘッドによりレーザ切断され、その後、材料支持手段により切断済みの部品が送り出される。
【0004】
しかし、上記従来のレーザ切断装置では、材料支持手段として、加工ヘッドの下方部で周回可能に設けられる剣山コンベアが用いられているので、加工ヘッドの下方部に、レーザ切断時に発生するスパッタや粉塵(スパッタが冷却されたもの。)等を回収する集塵手段を設けることが実質的に不可能である。その結果、切断済みの部品の裏面に粉塵等が付着し、この付着粉塵等の影響により、後工程のプレス成形品に疵が付いてしまうことがある。従って、切断済みの部品の裏面を一枚ずつウェス等で綺麗に拭き取る必要があり、生産効率が悪く生産コストも高くなっていた。
また、上記剣山コンベアでは、通常、この剣山コンベアを構成する多数の支持部材に、加工ヘッドから照射され材料を透過したレーザ光が直接当たって劣化してしまう。従って、レーザ光が同じ場所に繰返し照射されると、支持部材の強度が低下し切断に至る恐れがあり、定期的な交換が必要であった。
【0005】
そこで、上記問題点を解決する従来のレーザ切断装置として、例えば、コイル材から巻き出される板状の材料(ストリップ材2)を移送する材料移送手段(移動ステーション4)と、材料の幅方向(y軸方向)にのみ移動可能で且つ材料に向けてレーザ光を照射可能な加工ヘッド(焦点合わせヘッド6)と、この加工ヘッドの下方部で材料及び切断済みの部品を支持する材料支持手段(送りテーブル51)と、この加工ヘッドの直下部に配設される集塵手段(収納チャンバ7)と、を備えるものが知られている{特開2001−300754号公報(以下、特許文献2と記載する。)参照。}。
【0006】
これによると、コイル材から巻き出された材料が、材料移送手段により送り方向に送り出され、材料幅方向のみに移動する加工ヘッドによりレーザ切断され、その後、材料支持手段により切断済みの部品が送り出される。そして、レーザ切断時には、集塵手段によってスパッタや粉塵等が吸引回収され、切断済みの部品の裏面に粉塵等が付着することが抑制される。
さらに、材料支持手段(送りテーブル51)を構成する多数の支持部材に、加工ヘッドからのレーザ光が直接当たり劣化することがなく、これらの支持部材の交換を必要としない。
【0007】
しかし、上記特許文献2のレーザ切断装置では、加工領域の下方部に集塵手段を配設するために、加工ヘッドを、送り方向に移動不能で且つ材料幅方向にのみ移動可能な構成としている。従って、材料移送手段による材料の送り方向への移動と、加工ヘッドの材料幅方向への移動とを同調させて材料のレーザ切断が行われる。その結果、製品形状によっては、材料移送手段による材料の送り方向への移動量を頻繁に増減させたり、頻繁に正負に逆転させたりする必要があり、その制御が極めて煩雑なものとなっていた。特に、製品形状として鋭角な部位がある際に材料移送手段の動作が加工ヘッドの動きに追従できない場合があった。
また、上記特許文献1及び特許文献2のレーザ切断装置では、多数の支持部材を有する剣山コンベア又は剣山テーブルを使用しているので、剣山のピッチ間隔によっては、切断済みの部品(特に、小物部品等)を確実に支持して送り出すことができないといった問題があった。さらに、剣山コンベア又は剣山テーブルに支持された切断済みの部品を搬送ロボット等を利用して吸着保持する場合、切断済みの部品が剣山コンベア又は剣山テーブルに押圧されることとなり、切断済みの部品の裏面に疵が付いてしまう恐れがあった。
【0008】
従って、上記特許文献1及び特許文献2のレーザ切断装置を用いるレーザ切断システムは、有効なシステムとして確立しておらず、従来のブランキングプレスによってブランク材を切断していることが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、簡易な制御によって様々な形状の部品をレーザ切断できると共に、切断済みの部品への粉塵等の付着や疵付きを防止でき且つその部品を確実に支持して送り出すことができるレーザ切断装置及びレーザ切断方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記レーザ切断装置を用いて、専用型や板巾の異なる多数のコイル材を必要とせず、それらの在庫数やスペースと共にコイル材の巻き戻し数等を極力低減できる多品種少量生産に好適で極めてコンパクトなレーザ切断システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下に示される。
1.板状の材料を送り方向に移送する材料移送手段と、
前記材料に向けてレーザ光を照射可能な加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記材料の送り方向及び幅方向に移動させるためのヘッド移動手段と、
前記材料移送手段により移送される前記材料を支持し、且つ、前記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って前記材料の支持領域を送り方向に拡縮する上流側支持手段と、
前記加工ヘッドにより前記材料をレーザ切断して得られる切断済み部品を支持し、且つ、前記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って前記切断済みの部品の支持領域を送り方向に拡縮する下流側支持手段と、
を備えることを特徴とするレーザ切断装置。
2.前記加工ヘッドの下方部で粉塵を回収する集塵手段を備える上記1.記載のレーザ切断装置。
3.前記材料をせん断により切断する材料切断手段を備える上記1.記載のレーザ切断装置。
4.前記下流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構により構成される上記1.記載のレーザ切断装置。
5.前記上流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構により構成される上記1.記載のレーザ切断装置。
6.前記ベルトコンベア機構が、送り方向に沿って変位自在な変位ローラと、該変位ローラと送り方向に所定の間隔をもって対向し且つ変位不能な基準ローラと、前記変位ローラ及び前記基準ローラの間に巻き回される無端状ベルトと、該無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段と、を有する上記4.又は5.に記載のレーザ切断装置。
7.前記張力調整手段が、送り方向を含む平面内で変位自在で且つ前記無端状ベルトに巻き回される張力調整用ローラを有する上記6.記載のレーザ切断装置。
8.前記変位ローラが、前記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に沿って移動可能なスライド部材に回転自在に支持される上記6.記載のレーザ切断装置。
9.前記材料移送手段が、前記材料を表裏方向から挟持可能な一対の移送ローラと、少なくとも一方の前記移送ローラを回転させる駆動源と、を有する上記1.記載のレーザ切断装置。
10.前記集塵手段が、送り方向に移動可能で且つ前記材料の幅方向に沿う上端開口部を備える集塵箱を有する上記2.記載のレーザ切断装置。
11.前記集塵箱が、前記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に沿って移動可能なスライド部材に固定される上記10.記載のレーザ切断装置。
12.前記材料切断手段が、相対的に近接・離反する上下一対の切断刃を有する上記3.記載のレーザ切断装置。
13.前記加工ヘッドが、光ファイバにより伝送されるレーザ光を照射可能である上記1.記載のレーザ切断装置。
14.上記1.記載のレーザ切断装置を用いるレーザ切断方法であって、
前記材料をレーザ切断する際、前記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って、前記上流側支持手段の前記材料の前記支持領域を送り方向に拡縮させると共に、前記下流側支持手段の前記切断済みの部品の前記支持領域を送り方向に拡縮させることを特徴とするレーザ切断方法。
15.前記材料をレーザ切断する際、前記加工ヘッドの下方部で粉塵を集塵手段により回収する上記14.記載のレーザ切断方法。
16.レーザ切断及びせん断による切断を組み合わせて前記材料を切断する上記14.記載のレーザ切断方法。
17.コイル材から板状の材料を巻き出し可能に該コイル材を支持するコイル材支持装置と、該コイル材支持装置の下流側に配設され且つ前記コイル材から巻き出された前記材料を平坦に伸ばすレベラ装置と、該レベラ装置の下流側に配設され且つ該レベラ装置で平坦に伸ばされた前記材料を切断する上記1.記載の前記レーザ切断装置と、を備えることを特徴とするレーザ切断システム。
18.前記レベラ装置と前記レーザ切断装置との間に配設され、且つ、前記レベラ装置で平坦に伸ばされた前記材料にループ部を形成するためのループ形成装置を備える上記17.記載のレーザ切断システム。
19.前記前記レーザ切断装置の下流側に配設され、且つ、切断済みの部品である製品部品及びスクラップ部品を分離して回収する分離回収装置を備える上記17.記載のレーザ切断システム。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレーザ切断装置によると、材料の送り方向及び幅方向に移動する加工ヘッドによって材料がレーザ切断される。従って、複雑な形状の部品であっても、材料移送手段の制御を必要最小限としてレーザ切断することができる。
また、レーザ切断の際に、加工ヘッドの送り方向への移動に伴って、上流側支持手段による材料の支持領域が送り方向に拡縮されると共に、下流側支持手段による切断済みの部品の支持領域が送り方向に拡縮される。従って、上流側支持手段と下流側支持手段との間であって加工ヘッドの直下部には常に空間が形成され、材料を透過するレーザ光が上流側及び下流側支持手段に直接当たることがなく、これらの支持手段を定期的に交換する必要がない。さらに、上記空間に集塵手段を設ければ、切断済みの部品への粉塵等の付着を防止することができる。
【0012】
さらに、加工ヘッドから照射されるレーザ光が、上流側支持手段及び下流側支持手段に直接当たることがないので、上流側支持手段及び下流側支持手段を、切断済みの部品の大きさ・形状に拘わらず、その部品を確実に支持して送り出し得る構造とすることができる。
また、前記加工ヘッドの下方部で粉塵を回収する集塵手段を備える場合は、レーザ切断時に発生する粉塵を確実に回収することができる。
また、前記材料をせん断により切断する材料切断手段を備える場合は、レーザ切断及びせん断による切断を選択的に組み合わせることができ、部品の形状によっては、生産効率を極めて向上させることができる。
【0013】
また、前記下流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構により構成される場合は、下流側支持手段によって、材料や切断済みの部品を疵付けることなくより確実に支持して送り出すことができる。
また、前記上流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構により構成される場合は、上流側支持手段によって、材料を疵付けることなくより確実に支持して送り出すことができる。
【0014】
また、前記ベルトコンベア機構が、変位ローラ、基準ローラ、無端状ベルト及び張力調整手段を有する場合は、変位ローラの送り方向への変位によって無端状ベルトの支持領域が拡縮され、このとき張力調整手段によって無端状ベルトの張力が適正な値に保持される。従って、無端状ベルトの上面に載せられる材料や切断済みの部品を疵付けることなくより確実に支持して送り出すことができる。
また、前記張力調整手段が、送り方向を含む平面内で変位自在で且つ前記無端状ベルトに巻き回される張力調整用ローラを有する場合は、無端状ベルトの張力をより確実に適正な値に保持することができる。
【0015】
また、前記変位ローラが、前記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に沿って移動可能なスライド部材に回転自在に支持される場合は、加工ヘッド及び変位ローラを一体的に送り方向へ移動させて、加工ヘッドの移動とベルトコンベア機構の支持領域の拡縮動作とをより正確に同調させることができる。また、変位ローラを変位させるための専用の駆動源を必要とせず、ベルトコンベア機構をより簡易・安価な構造とすることができる。
また、前記材料移送手段が、前記材料を表裏方向から挟持可能な一対の移送ローラと、少なくとも一方の前記移送ローラを回転させる駆動源と、を有する場合は、材料をより確実に送り方向に送り出すことができると共に、移送手段を簡易・安価な構造とすることができる。
【0016】
また、前記集塵手段が、送り方向に移動可能で且つ前記材料の幅方向に沿う上端開口部を備える集塵箱を有する場合は、粉塵等をより確実に回収することができると共に、集塵手段を簡易・安価な構造とすることができる。
また、前記集塵箱が、前記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に沿って移動可能なスライド部材に固定される場合は、加工ヘッドと集塵箱とを正確に同調させて送り方向へ移動させることができる。また、集塵箱を移動させるための専用の駆動源を必要とせず、集塵手段をより簡易・安価な構造とすることができる。
また、前記材料切断手段が、相対的に近接・離反する上下一対の切断刃を有する場合は、材料をより速く切断できると共に、材料切断手段を簡易・安価な構造とすることができる。
さらに、前記加工ヘッドが、光ファイバにより伝送されるレーザ光を照射可能である場合は、ヘッド移動手段の軽量化を図ることができ、高速レーザ切断を実現できる。
【0017】
本発明のレーザ切断方法によると、材料の送り方向及び幅方向に移動する加工ヘッドによって材料がレーザ切断される。従って、複雑な形状の部品であっても、材料移送手段の制御を必要最小限としてレーザ切断することができる。
また、レーザ切断の際に、加工ヘッドの送り方向への移動に伴って、上流側支持手段による材料の支持領域が送り方向に拡縮されると共に、下流側支持手段による切断済みの部品の支持領域が送り方向に拡縮される。従って、上流側支持手段と下流側支持手段との間であって加工ヘッドの直下部には常に空間が形成され、材料を透過するレーザ光が上流側及び下流側支持手段に直接当たることがなく、これらの支持手段を定期的に交換する必要がない。さらに、上記空間に集塵手段を設ければ、切断済みの部品への粉塵等の付着を防止することができる。
【0018】
さらに、加工ヘッドから照射されるレーザ光が、上流側支持手段及び下流側支持手段に直接当たることがないので、上流側支持手段及び下流側支持手段を、切断済みの部品の大きさ・形状に拘わらず、その部品を確実に支持して送り出し得る構造とすることができる。
また、前記材料をレーザ切断する際、前記加工ヘッドの下方部で粉塵を集塵手段により回収する場合は、切断済みの部品への粉塵等の付着をより確実に防止することができる。
さらに、レーザ切断及びせん断による切断を選択的に組み合わせて前記材料を切断する場合は、部品の形状によっては、生産効率良く材料を切断することができる。
【0019】
本発明のレーザ切断システムによると、コイル材から巻き出された板状の材料を連続的に高速・高精度でレーザ切断することができる。従って、従来のブランキングプレスによる材料切断のように専用型の保管及び保全のための広大なスペースや人員を必要としない。また、1つの板巾の材料より多品種のブランク材を加工することができる。その結果、板巾の異なる多数のコイル材を持つ必要がなく、コイル材の在庫数やスペースと共に巻き戻し数等を極力低減させることができ、しかも生産効率や歩留りを大幅に向上させてブランク材を加工することができる。また、レーザ切断することで、切断する材料の板厚の制限がなく、必要最小の剛性でもって極めてコンパクトな設備とすることができる。また、多品種少量生産部品のブランク材を集約して加工・納入することができる。さらに、海外生産部品向けのブランク材を集約して加工・梱包・輸出することができ、海外工場でそのブランク材を利用することができる。以上より、プレスを中心とした需要家に対して大いに貢献でき、またコイル材加工の新分野を提供することができる。
また、前記レベラ装置と前記レーザ切断装置との間に配設され、且つ、前記レベラ装置で平坦に伸ばされた前記材料にループ部を形成するためのループ形成装置を備える場合は、レベラ装置とレーザ切断装置との間の材料送り量の差を吸収することができる。
さらに、前記前記レーザ切断装置の下流側に配設され、且つ、切断済みの部品である製品部品及びスクラップ部品を分離して回収する分離回収装置を備える場合は、製品部品及びスクラップ部品を容易に分離して回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の開示
本発明について以下に詳しく説明する。
(レーザ切断システム)
本実施形態に係るレーザ切断システムは、以下に述べるコイル材支持装置、レベラ装置及びレーザ切断装置を備えて構成される。
このレーザ切断システムは、例えば、以下に述べるループ形成装置、分離回収装置及びレーザ溶接装置のうちの少なくとも一方を備えることができる。
【0021】
上記「コイル材支持装置」は、コイル材から板状の材料を巻き出し可能にコイル材を支持し得る限り、その構造、大きさ等は特に問わない。
上記「レベラ装置」は、上記コイル材支持装置の下流側に配設され、且つ、コイル材から巻き出された材料を平坦に延ばし得る限り、その構造、大きさ等は特に問わない。
上記「ループ形成装置」は、上記レベラ装置と後述するレーザ切断装置との間に配設され、且つ、レベラ装置で平坦に伸ばされた材料にループ部を形成させ得る限り、その構造、大きさ等は特に問わない。
【0022】
尚、上記レーザ切断システムは、例えば、ループ形成装置を備えないことができる。即ち、上記レベラ装置で平坦に延ばされた材料を、ループ部を形成することなく、後述するレーザ切断装置に送り込むことができる。これにより、レーザ切断システムを極めてコンパクト化することができる。
上記「分離回収装置」は、後述するレーザ切断装置の下流側に配設され、且つ、切断済みの部品である製品部品とスクラップ部品とを分離して回収し得る限り、その構造、大きさ等は特に問わない。
【0023】
この分離回収装置としては、例えば、以下に示す(1)形態、(2)形態、(3)形態のうちの1つの形態又は2以上を組み合わせてなる形態等を挙げることができる。
(1)後述する下流側支持手段により送り出される製品部品を案内するガイド手段と、このガイド手段により案内される製品部品を集積して回収する集積回収手段と、後述する下流側支持手段により送り出されるスクラップ部品を回収する回収手段とを備える形態(図7参照。)。(2)搬送手段(例えば、搬送ロボット等)と、この搬送手段により搬送される移載部材と、この移載部材に設けられ且つ製品部材を吸着するための吸着手段と、この移載部材に設けられ且つスクラップ部品を下方に押圧するための押圧手段と、上記吸着手段の吸着・解除を制御する制御手段と、を備える形態{図6(a)参照。}。(3)搬送手段(例えば、搬送ロボット等)と、この搬送手段により搬送される移載部材と、この移載部材に設けられ且つ製品部品を吸着するための第1吸着手段と、この移載部材に設けられ且つスクラップ部品を吸着するための第2吸着手段と、これら第1及び第2吸着手段の吸着・解除を制御する制御手段と、を備える形態{図6(b)参照。}。
【0024】
尚、上記移載部材は、通常、搬送ロボットの可動アームの先端部に取着されている。また、(1)形態は、通常、切断済みの部品の形状・方向が同じ場合に使用される。さらに、(2)形態及び(3)形態は、通常、切断済みの部品の形状や方向が異なる場合に使用される。
【0025】
上記レーザ溶接装置は、例えば、後述するレーザ切断装置の下流側に配設されることができる。これにより、従来のようにブランキングプレスを用いるシステムに比べ、型保管・保全に係る問題を解決できると共に、歩留り、生産効率を飛躍的に向上させてテーラード・ブランク材を得ることができる。
【0026】
(レーザ切断装置)
本実施形態に係るレーザ切断装置は、以下に述べる材料移送手段、加工ヘッド、ヘッド移動手段、上流側支持手段及び下流側支持手段を備える。
このレーザ切断装置は、例えば、以下に述べる集塵手段及び材料切断手段のうちの少なくとも一方を備えることができる。
【0027】
上記「材料移送手段」は、板状の材料を送り方向に移送し得る限り、その移送形態、構造、大きさ等は特に問わない。この材料移送手段の移送形態としては、例えば、(1)レーザ切断時に材料を移送しない形態、(2)レーザ切断時に材料を一定速度で移送する形態、(3)レーザ切断時に材料を変速移送する形態等を挙げることができる。特に、(1)形態の場合には、材料移送手段が、材料を間欠移送可能であると共に材料を位置決め固定可能であることが好ましい。これにより、レーザ切断の際に、材料移送手段によって位置決め固定された状態の材料をレーザ切断することができ、レーザ切断時に材料移送手段の材料移送制御を全く必要としない。
【0028】
また、上記材料移送手段は、例えば、材料の側縁部等を把持可能で且つ送り方向に沿って移動可能なグリップ機構を有することができる。より簡易・安価な構造とし得るといった観点から、材料移送手段が、材料を表裏方向から挟持可能な一対の移送ローラと、一方の移送ローラを駆動させる駆動源と、を有することが好ましい。また、この材料移送手段は、例えば、上記レベラ装置により構成されることができる。これにより、レベラ装置で送り方向に移送される材料をレーザ切断することができ、システム全体をより簡易・安価な構造とすることができる。
【0029】
上記「加工ヘッド」は、材料に向けてレーザ光を照射し得る限り、そのレーザ種類、構造、大きさ等は特に問わない。このレーザ光の種類としては、例えば、YAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)レーザ光、ルビーレーザ光、COレーザ光、Arレーザ光等を挙げることができる。また、この加工ヘッドは、例えば、レーザ光を照射するノズル部材を有することができる。そして、このノズル部材のノズルの外径は、通常、2〜10mm程度である。さらに、この加工ヘッドは、例えば、材料との対向間隔を検出する検出手段(例えば、近接スイッチ、静電容量センサ等)を有することができる。これにより、加工ヘッドの先端側と材料との隙間を一定に保ちさらに両者の衝突を防止することができる。
通常、上記コイル材の寸法精度は正方向に許容されるので、上記加工ヘッドが、材料の幅方向の中心を原点位置とすることが好ましい。
また、YAGレーザ光を使用する場合、例えば、出力分岐やタイムシェアによって、複数の加工ヘッドでレーザ切断を行うことができる。これにより、材料の巾方向の端部のスリット加工と異形材の加工とを同時に行うことができ、生産性を大幅に向上させることができる。
【0030】
上記「ヘッド移動手段」は、上記加工ヘッドを、少なくとも材料の送り方向及び幅方向に移動させ得る限り、その移動形態、構造、大きさ等は特に問わない。このヘッド移送手段は、例えば、固定側の支持フレームに設けられた案内部(例えば、ガイドレール等)に送り方向に沿って移動自在に支持されるスライド部材と、このスライド部材に支持され且つ上記加工ヘッドを固定状態に支持する伸縮アーム具と、スライド部材を移動させる駆動源と、を有することができる。また、このヘッド移送手段は、例えば、固定側の支持フレームに設けられた案内部(例えば、ガイドレール等)に送り方向に沿って移動自在に支持される第1スライド部材と、この第1スライド部材に設けられた案内部(例えば、ガイドレール等)に材料の幅方向に沿って移動自在に支持される第2スライド部材と、この第2スライド部材に設けられた案内部(例えば、ガイドレール等)に上下方向に沿って移動自在に支持され且つ上記加工ヘッドを固定状態に支持する第3スライド部材と、これら第1,第2及び第3スライド部材を移動させるための各駆動源(例えば、各駆動モータ等)と、を有することができる。ここで、上記各スライド部材と各駆動源との間には、通常、適宜動力伝達機構(例えば、ボールネジ機構等)が介在されている。
尚、上記ヘッド移動手段は、例えば、NCデータに基づいて制御されることができる。このNCデータは、通常、CADデータから変換されたデータである。従って、段取り替え等の際にデータ交換するだけで簡易にこれに対応することができ、従来のようにブランキングプレスを用いるものに比べ、型保管、型保全のための広大なスペースを必要としない。
【0031】
上記「上流側支持手段」は、上記材料移送手段により移送される材料を支持し、且つ、上記加工ヘッドの送り方向への移動に同期して材料の支持領域を送り方向に伸縮し得る限り、その伸縮量、構造、大きさ等は特に問わない。この上流側支持手段としては、例えば、伸縮コンベア機構、伸縮テーブル機構、伸縮シャッタ機構等を挙げることができる。この伸縮コンベア機構としては、例えば、ベルトコンベア機構、ローラコンベア機構、キャタピタコンベア機構、剣山コンベア機構等を挙げることができる。材料を確実に支持できると共に、簡易・安価な構造にできるといった観点から、上流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構であることが好ましい。また、この上流側支持手段は、通常、加工ヘッドの下方部の上流側で材料を支持している。さらに、この上流側支持手段は、通常、加工ヘッドの送り方向への移動量と同じ伸縮量でもって、材料の支持領域を送り方向に伸縮する。
【0032】
上記「下流側支持手段」は、上記加工ヘッドにより材料をレーザ切断して得られる切断済みの部品(製品部品、スクラップ部品等)を支持し、且つ、上記加工ヘッドの送り方向への移動に同期して切断済みの部品の支持領域を送り方向に伸縮し得る限り、その伸縮量、構造、大きさ等は特に問わない。この下流側支持手段としては、例えば、伸縮コンベア機構、伸縮テーブル機構、伸縮シャッタ機構等を挙げることができる。この伸縮コンベア機構としては、例えば、ベルトコンベア機構、ローラコンベア機構、キャタピラコンベア機構、剣山コンベア機構等を挙げることができる。切断済みの部品を確実に支持できると共に、簡易・安価な構造にできるといった観点から、この下流側支持手段がベルトコンベア機構であることが好ましい。また、上記下流側支持手段は、通常、加工ヘッドの下方部の下流側で主に切断済みの部品を支持している。さらに、この下流側支持手段は、通常、加工ヘッドの送り方向への移動量と同じ伸縮量でもって、切断済みの部品の支持領域を送り方向に伸縮する。
尚、上記下流側支持手段には、切断済みの部品の他に、切断前の材料の送り方向の先端部が支持されることとなる。
【0033】
ここで、上記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って、通常、上記上流側支持手段が材料の支持領域を送り方向に拡大(又は縮小)すると共に、上記下流側支持手段が切断済みの部品の支持領域を送り方向に縮小(又は拡大)するようになっている。即ち、材料の支持領域及び切断済みの部品の支持領域が送り方向に拡縮しても、材料の支持領域と切断済みの部品の支持領域との和が所定値となる。これにより、上流側支持手段及び下流側支持手段の夫々の支持領域を必要最小限に抑制してスペース効率を向上させることができる。
また、上記上流側支持手段及び下流側支持手段は、例えば、上記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に移動可能なスライド部材に連繋され、このスライド部材の送り方向への移動によって、夫々の支持領域が送り方向に拡縮されることができる。即ち、上記上流側支持手段及び下流側支持手段は、例えば、上記ヘッド移動手段を構成する駆動源により夫々の支持領域が送り方向に拡縮されることができる。これにより、加工ヘッドの送り方向への移動動作と、上流側支持手段及び下流側支持手段の拡縮動作とをより確実に同期させることができる。さらに、上流側支持手段及び下流側支持手段の専用の駆動源を必要とせず、装置全体として簡易・安価な構造とすることができる。
【0034】
上記「ベルトコンベア機構」は、例えば、送り方向に沿って対向して配設される変位ローラ及び基準ローラと、これらの変位ローラ及び基準ローラの間に巻き回される無端状ベルトと、この無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段と、を有することができる。
この変位ローラ及び/又は基準ローラは、例えば、駆動源(例えば、駆動モータ等)により回転駆動されることができる。また、この変位ローラは、例えば、専用の駆動源(例えば、流体シリンダ等)により変位可能であることができる。より簡易・安価な構造にできるといった観点から、この変位ローラが、上述のヘッド移動手段を構成するスライド部材に回転自在に支持されることが好ましい。また、上記無端状ベルトは、例えば、ゴム材(好ましくはウレタンゴム材)よりなることができる。さらに、この無端状ベルトには、例えば、その表面側にシリコン層を設けることができる。
【0035】
また、上記張力調整手段は、例えば、送り方向を含む平面内で変位自在で且つ上記無端状ベルトを押圧する押圧部材を有することができる。より簡易に張力を調整できるといった観点から、張力調整手段が、送り方向を含む平面内で変位自在で且つ無端状ベルトに巻き回される張力調整用ローラを有することが好ましい。この張力調整用ローラは、例えば、専用の駆動源(例えば、流体シリンダ等)によって変位可能であることができる。さらに、上下方向のスペース効率を向上させ得るといった観点から、この張力調整ローラが送り方向に変位可能であることが好ましい。
【0036】
また、上記ベルトコンベア機構は、例えば、上記無端状ベルトの表面に接触する清掃手段(例えば、ブラシ部材等)を有することができる。これにより、無端状ベルトの表面を清掃して、ベルト表面に飛散し付着した粉塵やゴミ等を除去し、製品部品への付着を防止することができる。
さらに、上記ベルトコンベア機構は、例えば、上記無端状ベルトの上側周回部の裏面を支持する支持部材(例えば、支持板材等)を有することができる。これにより無端状ベルトの上側周回部の弛み等を防止することができる。この支持部材は、例えば、材料の幅方向に沿って設けられることができる。また、支持部材は、例えば、上述のヘッド移動手段を構成する上記スライド部材に設けられることができる。
【0037】
上記「ローラコンベア機構」は、例えば、後述する実施例で説明するように、送り方向に沿って移動自在でかつ収納位置に収納可能なシャッタ部材と、このシャッタ部材に回転自在に支持される複数の支持ローラと、を有することができる(図13及び図14参照。)。また、このローラコンベア機構は、例えば、周回可能な無端状ベルトと、この無端状ベルトに回転自在に支持される複数の支持ローラと、を有することができる(図15参照。)。
さらに、上記ローラコンベア機構は、例えば、送り方向に沿って伸縮可能な伸縮具と、この伸縮具に送り方向に沿って設けられる複数の支持部と、複数の支持部に回転自在に支持される複数の支持ローラと、を有することができる。
【0038】
上記「集塵手段」は、上記加工ヘッドの下方部で粉塵等を回収し得る限り、その集塵形態、構造、大きさ等は特に問わない。この集塵手段は、例えば、送り方向に沿って移動自在で且つ材料の幅方向に沿う上端開口部を形成してなる集塵箱を有することができる。また、集塵手段は、例えば、集塵箱に気密に連なる吸気手段(例えば、吸引ブロア等)を有することができる。また、上記集塵箱は、専用の駆動源(例えば、流体シリンダ等)により移動可能であることができる。より簡易・安価な構造にできるといった観点から、この集塵箱が、上述のヘッド移動手段を構成する上記スライド部材に固定されることが好ましい。さらに、この集塵箱は、例えば、傾斜状の底面部を有することができる。これにより、集塵箱内に回収された粉塵等の撒きあがりを抑制することができる。
【0039】
上記「材料切断手段」は、材料をせん断により切断し得る限り、その切断形態、構造、大きさ等は特に問わない。この材料切断手段は、例えば、上記材料移送手段と上記上流側支持手段との間に配設されることができる。また、この材料切断手段は、例えば、互いに近接・離反する上下一対の切断刃を有することができる。
尚、上記「板状の材料」としては、例えば、コイル材から巻き出された連続的な板材、コイル材から巻き出され予め切断された所定の大きさの板材等を挙げることができる。
また、上記レーザ切断システムによる加工形態としては、例えば、切断済みの部品としての製品部品を連続的に加工する形態{例えば、図10(b)参照。}、切断済みの部品として製品部品及びスクラップ部品を連続的に加工する形態{例えば、図2及び図10(a)参照。}等を挙げることができる。上記「製品部品」とは、通常、プレス部品の素材となるものを意味する。上記「スクラップ部品」とは、通常、再利用又は廃棄される残材を意味する。
【0040】
(レーザ切断方法)
本実施形態に係るレーザ切断方法は、材料をレーザ切断する際、上記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って、上記上流側支持手段の材料の支持領域を送り方向に拡大(又は縮小)させると共に、上記下流側支持手段の切断済みの部品の支持領域を送り方向に縮小(又は拡大)させる。ここで、通常、材料の支持領域及び切断済みの部品の支持領域が送り方向に拡縮しても、材料の支持領域と切断済みの部品の支持領域との和が所定値となっている。
このレーザ切断方法では、例えば、位置決め固定された状態の材料をレーザ切断することができる。また、このレーザ切断方法では、例えば、加工ヘッドの下方部で粉塵等を回収しつつ材料をレーザ切断することができる。さらに、このレーザ切断方法では、例えば、レーザ切断及びせん断による切断を選択的に組み合わせて材料を切断することができる。
【0041】
参考までに、本実施形態におけるレーザ光を照射可能な加工ヘッドを、プラズマを照射可能な加工ヘッドに置換してプラズマ切断装置を構成することができる。
【実施例】
【0042】
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して実施例により本発明を具体的に説明する。
尚、以下の実施例では、「左」「右」とは、板状の材料(以下、単に板材と記載する。)11の幅方向Yを示し、「前」「後」とは、板材の送り方向Xを示すものとする。
【0043】
1.レーザ切断システムの構成
本実施例に係るレーザ切断システム1は、図1に示すように、最上流側に配設されるコイル材支持装置2、このコイル材支持装置2の下流側に配設されるレベラ装置3、このレベラ装置3の下流側に配設されるループ形成部4、このループ形成部4の下流側に配設されるレーザ切断装置5及びこのレーザ切断装置5の下流側に配設される分離回収装置6を備えて基本的に構成される。
尚、図2に示すように、分離回収装置6を構成する搬送ロボット8の搬送範囲内には、製品部品を集積回収する2箇所の集積回収部7a,7bが設定されている。
【0044】
上記コイル材支持装置2は、コイル材10の中空部に挿入可能な適宜挿入具(図示せず。)を有している。この挿入具によって、板材11を連続的に巻き出し得るようにコイル材10が支持されている。また、上記レベラ装置3は、千鳥状に配置された上下ローラ15a,15bを有している。これらの上下ローラ15a,15bによって、コイル材10から巻き出される板材11が平坦に伸ばされ、くせ取りされる。また、上記ループ形成部4は、レベラ装置3でくせ取りされた板材11にループ部を形成するための複数の上流側及び下流側の支持ローラ16a,16bを有している。
【0045】
次に、上記レーザ切断装置5について説明する。このレーザ切断装置5は、図3及び図4に示すように、材料移送手段A、加工ヘッドB、ヘッド移動手段C、集塵手段D、ベルトコンベア機構E(下流側支持手段として例示する。)及びベルトコンベア機構F(上流側支持手段として例示する。)を備えて基本的に構成される。
先ず、材料移送手段Aについて説明する。支持フレーム17には、上下一対の移送ローラ18a,18bが配設されている。これら一対の移送ローラ18a,18bは、駆動モータM1(図2参照。)によって間欠的に回転駆動され、移送ローラ18a,18b間に挟持される板材11を送り方向Xに沿って間欠的に移送し得るようになっている。また、各移送ローラ18a,18bは、板材11の段取り替え等のために、駆動シリンダ(図示せず。)により互いに近接・離反可能とされている。さらに、これら一対の移送ローラ18a,18bの上流側には、板材11の下面側を案内支持する縦案内ローラ(図示せず。)、及び板材11の側面側を案内支持する横案内ローラ(図示せず。)が配設されている。
【0046】
次に、上記ヘッド移動手段Cについて説明する。支持フレーム19には一側部に、送り方向Xに沿って延びるガイドレール20が配設されている。このガイドレール20には、スライド部材21が移動自在に支持されている。そして、このスライド部材21は、適宜駆動モータ(図示せず。)に連結されるボールネジ機構(図示せず。)によって送り方向にスライドするようになっている。
上記スライド部材21には、可動アーム具22の基端側が支持されている。この可動アーム具22の先端側には、板材11にYAGレーザ光を照射可能な上記加工ヘッドBが固定されている。従って、この加工ヘッドBは、送り方向X、板材幅方向Y及び上下方向Zに3次元移動するようになっている。尚、上記加工ヘッドBに対するレーザ発振器(図示せず。)からのYAGレーザの伝送には光ファイバ23が使用されている。
【0047】
次に、上記集塵手段Dについて説明する。図4に示すように、左右の支持フレーム25a,25bには、送り方向Xに沿って延びる左右のガイドレール26a,26bが配設されている。これら左右のガイドレール26a,26bには、左右のスライドブロック27a,27bが移動自在に支持されている。一方のスライドブロック27bには、連結部28を介して上述のスライド部材21が連結されている。また、各スライドブロック27a,27bには、連結部29を介して集塵箱30の両側部が固定されている。従って、各スライドブロック27a,27bは、スライド部材21及び加工ヘッドBの送り方向Xへの移動に伴って、送り方向Xにスライドするようになっている。
上記集塵箱30は、板材幅方向Yの左右の側壁31a,31b、送り方向Xの前後の側壁32a,32b、及び底壁33より形成されている。一方の側壁31bに形成された連結パイプ部34には適宜吸引源(例えば、吸引ブロア等)が接続され、集塵箱30内に適当な吸引気流を発生させ、レーザ切断時に発生するスパッタや粉塵等が吸引回収されるようになっている。
尚、上記加工ヘッドBの原点位置は、送り方向Xの最上流側で、且つ、板材幅方向Yの中央で、さらに、上下方向Zの最上方側に設定されている。
【0048】
次に、上記ベルトコンベア機構Eについて説明する。支持フレーム(図示せず。)には、図3及び図4に示すように、基準ローラ36及び複数(図中2つ)の案内ローラ37が回転自在に支持されている。この基準ローラ36の回転軸には駆動モータM2の駆動軸(図2参照。)が連結されている。また、上述の左右のスライドブロック27a,27bの間には、変位ローラ38が回転自在に支持されている。また、上下方向に沿って配設される駆動シリンダS1のピストンロッドS1aの先端側には張力調整ローラ39が回転自在に支持されている。さらに、基準ローラ36、各案内ローラ37、変位ローラ38及び張力調整用ローラ39には、ウレタンゴム製の無端状ベルト40が巻き回されている。従って、駆動モータM2の駆動によって無端状ベルト40が所定方向に周回移動されるようになっている。
そして、図5に示すように、スライド部材21の送り方向Xへの移動に伴って、変位ローラ38が送り方向Xに沿って移動すると共に、駆動シリンダS1の作用によって張力調整ローラ39が上下方向に移動する。その結果、加工ヘッドBの所定の加工範囲H(例えば、1000mm)内での送り方向Xへの移動に伴って、ベルトコンベア機構Eによる切断済みの部品の支持領域R1が拡縮されるようになっている。
【0049】
次に、上記ベルトコンベア機構Fについて説明する。支持フレーム(図示せず。)には、図3及び図4に示すように、基準ローラ46及び複数(図中2つ)の案内ローラ47が回転自在に支持されている。この基準ローラ46の回転軸には駆動モータM3の駆動軸(図2参照。)が連結されている。また、上述の左右のスライドブロック27a,27bの間には、変位ローラ48が回転自在に支持されている。また、上下方向に沿って配設される駆動シリンダS2のピストンロッドS2aの先端側には張力調整ローラ49が回転自在に支持されている。さらに、基準ローラ46、各案内ローラ47、変位ローラ48及び張力調整用ローラ49には、ウレタンゴム製の無端状ベルト50が巻き回されている。従って、駆動モータM3の駆動によって無端状ベルト50が所定方向に周回移動されるようになっている。
そして、図5に示すように、スライド部材21の送り方向Xへの移動に伴って、変位ローラ48が送り方向Xに沿って移動すると共に、駆動シリンダS2の作用によって張力調整ローラ49が上下方向に移動する。その結果、加工ヘッドBの所定の加工範囲H(例えば、1000mm)内での送り方向Xへの移動に伴って、ベルトコンベア機構Fによる材料の支持領域R2が拡縮される。
【0050】
尚、図3に示すように、各無端状ベルト40,50の下側周回部には、各ベルトの表面に接触するブラシ部材41,42が配設されている。また、各無端状ベルト50の上側周回部の裏面には、板材幅方向Yに沿って延びる弛み防止板43,44が配設されている。これら弛み防止板43,44は、上述の左右のスライドブロック27a,27bに固着されている。従って、スライド部材21及び加工ヘッドBの送り方向Xへの移動に伴って、弛み防止板43,44が送り方向Xに移動するようになっている。
【0051】
次に、上記分離回収装置6について説明する。この分離回収装置6は、複数の可動アーム9a,9bを有する搬送ロボット8を備えている(図1参照。)。この搬送ロボット8の可動アーム9aの先端側には、移載部材52が支持されている。この移載部材52の下面側には、図6(a)に示すように、切断済みの部品のうち製品部品12に対向する位置に、バキューム部材53がバネを介して上下動自在に支持されている。また、移載部材52の下面側には、切断済みの部品のうちのスクラップ部品13に対向する位置に、押圧部材54がバネを介して上下動自在に支持されている。この押圧部材54のストローク長さは、上記バキューム部材53のストーク長さより大きな値に設定されている。
従って、搬送ロボット8の作用で、無端状ベルト40の下流側に対向した状態の移載部材52を下降させると、押圧部材54でスクラップ部品13が無端状ベルト40の表面に押圧されると共に、バキューム部材53で製品部品12が吸着される。その後、移載部材52を上昇させれば、バキューム部材53で吸着された製品部品12も上昇され、この移載部材52を搬送して集積回収部7a(7b)に製品部品12が集積される。一方、無端状ベルト40の周回によって、このベルト40の表面に残されたスクラップ部品13が搬送され、回収箱80(図1参照。)に回収される。
【0052】
尚、上記実施例では、移載部材52にバキューム部材53及び押圧部材54を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図6(b)に示すように、移載部材56にバキューム部材57a,57bを設けることができる。この場合、無端状ベルト40の表面の製品部品12をバキューム部材57aで吸着すると共に、スクラップ部品13をバキューム部材57bで吸着して、適宜制御手段により移載部材56の搬送及び各バキューム部材57a,57bの吸着・解除を制御して、製品部品12を集積回収部7a(7b)に集積させると共に、スクラップ部品13を回収箱80に回収させる。
【0053】
また、図7に示すように、無端状ベルト40の製品部品12の排出側に、製品部品12を集積回収部7に案内して流し込むためのガイド部材59を設けて分離回収装置60を構成してもよい。これにより、同じ形状で同じ向きの製品部品12{図10(b)参照。}を効率良く回収することができる。さらに、このようなガイド部材59及び集積回収部7からなる分離回収装置60に加えて、上述の移載部材52(56)及び搬送ロボット8からなる分離回収装置6を備え、製品部品12の形状・向き等によって、これら分離回収装置60,6を選択的に使い分けることもできる。
【0054】
2.レーザ切断システムの作用
次に、以上のように構成されたレーザ切断システム1の作用について説明する。先ず、図1に示すように、コイル材支持装置2で支持されるコイル材10から連続的に板材11が巻き出される。そのコイル材10から巻き出された板材11は、レベラ装置3でくせ取りされた後、ループ形成部4でループ部が形成され、一対の移送ローラ18a,18b間に送り込まれている。ここで、図3に示すように、上記加工ヘッドBは原点位置に位置している。従って、ベルトコンベア機構Fによる板材の支持領域R2が最縮小状態であり、且つ、ベルトコンベア機構Eによる切断済みの部品の支持領域R1が最拡大状態である。この状態より、一対の移送ローラ18a,18bで板材11が間欠的に送り方向Xに送り出されると、その板材11は、ベルトコンベア機構Fの無端状ベルト50の上側表面で支持される。さらに、その板材11の先端縁部は、ベルトコンベア機構Eの無端状ベルト40の上側表面に支持される。そして、一対の移送ローラ18a,18b間で板材11が位置決め固定される。
【0055】
その後、スライド部材21をスライドさせると共に可動アーム具22を作動させて、加工ヘッドBを送り方向X、板材幅方向Y及び上下方向Zへ3次元移動させる。そして、この加工ヘッドBから照射されるYAGレーザ光で板材11がレーザ切断され、製品部品12及びスクラップ部品13が得られることとなる(図2参照。)。このレーザ切断の際に、図5に示すように、加工ヘッドBの送り方向Xへの移動に伴って、ベルトコンベア機構Fによる板材11の支持領域R2が拡大(又は縮小)されると共に、ベルトコンベア機構Eによる切断済みの部品の支持領域R1が縮小(又は拡大)される。さらに、加工ヘッドBと共に送り方向Xに移動する集塵箱30によって、レーザ切断時に発生するスパッタや粉塵等が吸引回収される。
その後、一連のレーザ切断作用が終了すると、加工ヘッドBを再び原点位置に戻した状態で、切断済み部品12,13の搬送作用及び板材の送出作用が行われることとなる。即ち、無端状ベルト40の周回駆動によって切断済みの部品12,13が送り方向Xに所定量送り出されると共に、この無端状ベルト40の周回駆動と同調して、無端状ベルト50が周回駆動されると共に、上述のように一対の移送ローラ18a,18bにより板材11が間欠的に送り方向Xへ所定量送り出される。
【0056】
次いで、搬送ロボット8の作用で移載部材52{図6(a)参照。}を、無端状ベルト40の最下流側の表面に支持された切断済みの部品12,13と対向させ、その対向状態より下降させる。そして、バキューム部材53で製品部品12を吸着保持させる一方、押圧部材54によりスクラップ部品13を無端状ベルト40の表面に押圧する。その後、移載部材52の搬送及びバキューム部材53の吸着・解除を適宜制御して、製品部品12が集積回収部7a(7b)に集積回収される。一方、無端状ベルト40の表面に残されたスクラップ部品12は、次回の板材11の搬送作用で排出され、回収箱80で回収されることとなる。
【0057】
3.実施例の効果
以上のように本実施例では、ベルトコンベア機構E,Fを有するレーザ切断装置5を用いてレーザ切断システム1を構成したので、コイル材10から巻き出された板材11を連続的に高速・高精度にレーザ切断することができる。従って、従来のブランキングプレスによる材料切断のように専用型の保管及び保全のための広大なスペースや人員を必要としない。また、1つの板巾の材料より多品種のブランク材を加工することができる。その結果、板巾の異なる多数のコイル材を持つ必要がなく、コイル材の在庫数やスペースと共に巻き戻し数等を極力低減させることができ、しかも生産効率や歩留りを大幅に向上させてブランク材を加工することができる。また、レーザ切断することで、切断する材料の板厚の制限がなく、必要最小の剛性でもって極めてコンパクトな設備とすることができる。また、多品種少量生産部品のブランク材を集約して加工・納入することができる。さらに、海外生産部品向けのブランク材を集約して加工し、それらブランク材を、コンテナの平面形状に基づいてモジュール化されたパレット(特許第2732216号公報参照。)に積載し、そのブランク材積載パレットを適宜搬送手段(フォークリフト等)によってコンテナ内でのラッシング作業等を必要とせずコンテナ内に搭載し、そのコンテナを適宜輸送手段(船舶等)で海外へ輸出することができ、海外工場でそのブランク材を利用することができる。以上より、プレスを中心とした需要家に対して大いに貢献でき、またコイル材加工の新分野を提供することができる。
【0058】
また、本実施例のレーザ切断装置5では、加工ヘッドBを送り方向X、板材幅方向Yへ移動させつつ板材11をレーザ切断するようにしたので、レーザ切断の際に移送ローラ18a,18bを駆動制御して板材11を送り出す必要がない。従って、複雑な形状の部品であっても、簡易な制御でレーザ切断することができる。
また、レーザ切断の際に、加工ヘッドBの送り方向Xへの移動に伴って、ベルトコンベア機構Eによる切断済み部品の支持領域R1、及びベルトコンベア機構Fによる板材の支持領域R2を送り方向Xに拡縮するようにしたので、各ベルトコンベア機構E,Fの間であって加工ヘッドBの直下部には常に空間(空洞)を形成することができる。その結果、加工ヘッドBから照射され板材を透過したレーザ光が各ベルトコンベア機構E,Fに直接当たることがなく、これらのベルトコンベア機構E,Fを定期的に交換する必要がなく、ランニングコストを必要最小限に抑えることができる。
【0059】
また、上記空間を利用して集塵箱30を設けるようにしたので、レーザ切断の際に発生するスパッタや粉塵等を強制的に吸引回収することができ、切断済みの製品12,13の裏面に粉塵等が付着することがない。従って、従来のように製品部品12の裏面を一枚ずつ拭き取る必要がなく、効率良く且つ低コストで生産することができる。
また、板材11をベルトコンベア機構Fで支持すると共に、製品部品12をベルトコンベア機構Eで支持するようにしたので、板材11及び製品部品12を疵付けることなく確実に支持して送り出すことができる。また、切断済みの部品12,13の形状・大きさに拘わらず、特に、切断済みの部品12,13がどんな小物であっても、これをベルトコンベア機構Fで確実に支持して送り出すことができる。更に、製品部品12を搬送ロボット8及び移載部材52を用いて吸着保持する場合、無端状ベルト40の表面に押し付けられる製品部品12の裏面に疵が付くことがない。
【0060】
また、本実施例のレーザ切断装置5では、左右のスライドブロック27a,27bに、各ベルトコンベア機構E,Fを構成する夫々の変位ローラ38,48を回転自在に支持し、スライド部材21と一体的に変位ローラ38,48が送り方向Xに変位するようにしたので、加工ヘッドBの送り方向Xへの移動に正確に同調させて、各ベルトコンベア機構E,Fの夫々の支持領域R1,R2を拡縮することができる。さらに、各変位ローラ38,48の変位のための専用の駆動源を必要とせず簡易・安価な構造とすることができる。
さらに、左右のスライドブロック27a,27bに集塵箱30を取着し、スライド部材21と一体的に集塵箱30が送り方向Xに変位するようにしたので、加工ヘッドBの送り方向Xへの移動に正確に同調させて、集塵箱30を移動させることができ、しかも、集塵箱30の移動のための専用の駆動源を必要とせず簡易・安価な構造とすることができる。
【0061】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、レベラ装置3とレーザ切断装置5との間にループ形成部4を配設してレーザ切断システム1を構成したが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、ループ形成部を省略してレーザ切断システム100を構成し、レベラ装置3でくせ取りされた板材11を直接的に一対の移送ローラ18a,18b間に送り込むようにしてもよい。このような構成であっても、上記実施例と同様の作用・効果を奏でることができると共に、システム全体の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0062】
また、上記実施例では、3次元移動可能な1つの加工ヘッドBにYAGレーザ光を供給して、その加工ヘッドBのみで板材11をレーザ切断するようにしたが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、3次元移動可能な加工ヘッドBに加えて、一対の移送ローラ18a,18bより上流側の所定位置に別の加工ヘッド61を位置決め固定して設け、出力分岐又はタイムシェアによって、レーザ発振器62からのYAGレーザ光をこれらの加工ヘッドB,61に供給して、これらの加工ヘッドB,61で板材11をレーザ切断するようにしてもよい。このような構成によると、図10(a)に示すように、加工ヘッド61によって板材11の側縁部64をトリミングすると共に、加工ヘッドBによって製品部品12を切断することができ、極めて効率良く製品部品12を得ることができる。因みに、従来一般的なブランキングラインでは、専用母材加工が前提となりトリム装置が無く、異なる母材を同時に加工することができず、コイル材の巻き戻し、及び型の交換を頻繁に行う必要があり生産性低下の要因となっていた。
【0063】
また、図11に示すように、一対の移送ローラ18a,18bと上流側のベルトコンベア機構Fとの間に、互いに近接・離反可能な上下の切断刃65a,65bを有する板材切断装置66を設けてレーザ切断装置を構成してもよい。この場合、板材幅方向Yに沿う直線の切断には板材切断装置66を使用すると共に、複雑な曲線や板材幅方向Yに交差する直線の切断には加工ヘッドBを使用して、効率良く製品部品を切断することができる。
【0064】
また、上記実施例では、張力調整ローラ39,49を上下方向Zに沿って変位させるようにレーザ切断装置5を構成したが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、張力調整ローラ39,49を送り方向Xに沿って変位させるようにレーザ切断装置を構成してもよい。このような構成によれば、レーザ切断装置の上下方向のスペース効率を向上させることができる。
【0065】
また、上記実施例では、上流側支持手段及び下流側支持手段としてベルトコンベア機構E,Fを設けてレーザ切断装置5を構成したが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、上流側支持手段としてローラコンベア機構68を設けると共に、下流側支持手段としてベルトコンベア機構69を設けてレーザ切断装置を構成することができる。このローラコンベア機構68は、収納位置に収納可能であると共に送り方向に沿って移動自在なシャッタ部材78を設け、これらシャッタ部材78に複数の支持ローラ79を回転自在に支持して構成される。また、ベルトコンベア機構69は、上述のベルトコンベア機構Eと同じ構成である。
【0066】
尚、上述とは逆に、上流側支持手段としてベルトコンベア機構を設けると共に、下流側支持手段としてローラコンベア機構を設けてレーザ切断装置を構成することもできる。
また、図14に示すように、上流側支持手段及び下流側支持手段としてローラコンベア機構70,71を設けてレーザ切断装置を構成することができる。具体的には、収納位置に収納可能であると共に送り方向に沿って移動自在なシャッタ部材72を設け、これらシャッタ部材72に複数の支持ローラ73を回転自在に支持するようにしてもよい。さらに、図15に示すように、無端状ベルト75に集塵箱30を連結し、これら無端状ベルト75に複数の支持ローラ76を回転自在に支持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図面の簡単な説明
【図1】本実施例に係るレーザ切断システムの全体構成を示す側面図である。
【図2】図1の一部を省略した平面図である。
【図3】本実施例に係るレーザ切断装置の側面図である。
【図4】図3のIV矢視図である。
【図5】各ベルトコンベア機構の各支持領域の拡縮動作を説明するための説明図である。
【図6】分離回収装置を説明するための説明図であり、(a)はバキューム部材及び押圧部材を有する形態を示し、(b)はバキューム部材のみを有する形態を示す。
【図7】他の形態の分離回収装置を説明するための説明図である。
【図8】他の形態のレーザ切断システムを示す側面図である。
【図9】さらに他の形態のレーザ切断システムを示す側面図である。
【図10】他の材料の切断形態を示す平面図であり、(a)は板材の送り方向及び幅方向に複数の部品を切断する形態を示し、(b)は板材の送り方向に複数の部品を切断する形態を示す。
【図11】他の形態のレーザ切断装置を示す側面図である。
【図12】さらに他の形態のレーザ切断装置を示す側面図である。
【図13】さらに他の形態のレーザ切断装置を示す側面図である。
【図14】さらに他の形態のレーザ切断装置を示す側面図である。
【図15】さらに他の形態のレーザ切断装置を示す側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の材料を送り方向に移送する材料移送手段と、
前記材料に向けてレーザ光を照射可能な加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記材料の送り方向及び幅方向に移動させるためのヘッド移動手段と、
前記材料移送手段により移送される前記材料を支持し、且つ、前記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って前記材料の支持領域を送り方向に拡縮する上流側支持手段と、
前記加工ヘッドにより前記材料をレーザ切断して得られる切断済み部品を支持し、且つ、前記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って前記切断済みの部品の支持領域を送り方向に拡縮する下流側支持手段と、
を備えることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項2】
前記加工ヘッドの下方部で粉塵を回収する集塵手段を備える請求項1記載のレーザ切断装置。
【請求項3】
前記材料をせん断により切断する材料切断手段を備える請求項1記載のレーザ切断装置。
【請求項4】
前記下流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構により構成される請求項1記載のレーザ切断装置。
【請求項5】
前記上流側支持手段がベルトコンベア機構又はローラコンベア機構により構成される請求項1記載のレーザ切断装置。
【請求項6】
前記ベルトコンベア機構が、送り方向に沿って変位自在な変位ローラと、該変位ローラと送り方向に所定の間隔をもって対向し且つ変位不能な基準ローラと、前記変位ローラ及び前記基準ローラの間に巻き回される無端状ベルトと、該無端状ベルトの張力を調整する張力調整手段と、を有する請求項4又は5に記載のレーザ切断装置。
【請求項7】
前記張力調整手段が、送り方向を含む平面内で変位自在で且つ前記無端状ベルトに巻き回される張力調整用ローラを有する請求項6記載のレーザ切断装置。
【請求項8】
前記変位ローラが、前記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に沿って移動可能なスライド部材に回転自在に支持される請求項6記載のレーザ切断装置。
【請求項9】
前記材料移送手段が、前記材料を表裏方向から挟持可能な一対の移送ローラと、少なくとも一方の前記移送ローラを回転させる駆動源と、を有する請求項1記載のレーザ切断装置。
【請求項10】
前記集塵手段が、送り方向に移動可能で且つ前記材料の幅方向に沿う上端開口部を備える集塵箱を有する請求項2記載のレーザ切断装置。
【請求項11】
前記集塵箱が、前記ヘッド移動手段を構成し且つ送り方向に沿って移動可能なスライド部材に固定される請求項10記載のレーザ切断装置。
【請求項12】
前記材料切断手段が、相対的に近接・離反する上下一対の切断刃を有する請求項3記載のレーザ切断装置。
【請求項13】
前記加工ヘッドが、光ファイバにより伝送されるレーザ光を照射可能である請求項1記載のレーザ切断装置。
【請求項14】
請求項1記載のレーザ切断装置を用いるレーザ切断方法であって、
前記材料をレーザ切断する際、前記加工ヘッドの送り方向への移動に伴って、前記上流側支持手段の前記材料の前記支持領域を送り方向に拡縮させると共に、前記下流側支持手段の前記切断済みの部品の前記支持領域を送り方向に拡縮させることを特徴とするレーザ切断方法。
【請求項15】
前記材料をレーザ切断する際、前記加工ヘッドの下方部で粉塵を集塵手段により回収する請求項14記載のレーザ切断方法。
【請求項16】
レーザ切断及びせん断による切断を組み合わせて前記材料を切断する請求項14記載のレーザ切断方法。
【請求項17】
コイル材から板状の材料を巻き出し可能に該コイル材を支持するコイル材支持装置と、該コイル材支持装置の下流側に配設され且つ前記コイル材から巻き出された前記材料を平坦に伸ばすレベラ装置と、該レベラ装置の下流側に配設され且つ該レベラ装置で平坦に伸ばされた前記材料を切断する請求項1記載の前記レーザ切断装置と、を備えることを特徴とするレーザ切断システム。
【請求項18】
前記レベラ装置と前記レーザ切断装置との間に配設され、且つ、前記レベラ装置で平坦に伸ばされた前記材料にループ部を形成するためのループ形成装置を備える請求項17記載のレーザ切断システム。
【請求項19】
前記前記レーザ切断装置の下流側に配設され、且つ、切断済みの部品である製品部品及びスクラップ部品を分離して回収する分離回収装置を備える請求項17記載のレーザ切断システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−28794(P2009−28794A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257818(P2008−257818)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【分割の表示】特願2004−567125(P2004−567125)の分割
【原出願日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【出願人】(594052674)豊田スチールセンター株式会社 (14)
【Fターム(参考)】