レーザ切断装置
【課題】掃除作業用の空間を広く確保しながらコンパクトに構成したレーザ切断装置を提供すること。
【解決手段】金属板などのワークWを挟んで上方に加工ヘッド2を、下方には加工台4が配置され、集光レンズ11を備えた加工ヘッド2からアシストガスを噴射するノズル13を通してレーザ光Lを照射するようにしたものであって、加工台4を上下方向に昇降させる昇降手段31と、加工台4を横方向に移動させる横移動手段36とを有するレーザ切断装置1。
【解決手段】金属板などのワークWを挟んで上方に加工ヘッド2を、下方には加工台4が配置され、集光レンズ11を備えた加工ヘッド2からアシストガスを噴射するノズル13を通してレーザ光Lを照射するようにしたものであって、加工台4を上下方向に昇降させる昇降手段31と、加工台4を横方向に移動させる横移動手段36とを有するレーザ切断装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極薄金属板などのワークを上の加工ヘッドと下のアンダーカップで上下から挟み込んで切断加工するレーザ切断装置に関し、特にアンダーカップ側を移動して加工ヘッドの掃除作業を行うようにしたレーザ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断装置は、極薄金属板のワークに対して集光したレーザ光を照射するとともに、アシストガスを噴射して高精度・高品質な微細切断を行う加工装置である。図11は、従来のレーザ切断装置の一部を示した断面図であり、ワークWを挟んで上方には加工ヘッド101が、下方には加工台102が配置されている。
【0003】
加工ヘッド101は、レーザ発振器105から反射ミラー106を介してレーザ光Lが上から下に送られ、集光レンズ111によってノズル112の先端部分で集光するように構成されている。そして、集光レンズ111の下にはアシストガスAGが圧力をかけて供給され、加工時にはそのアシストガスAGがノズル112から被加工物Wの加工部位に集中的に吹き付けられる。加工ヘッド101の下には加工台102が配設され、調整筒121の上部に上面に滑り板122が固定され、フェルトを付設した加工ヘッド101のホルダ113との間でワークWを挟み込むようにしている。
【0004】
そして、このレーザ切断装置では、ワークWをXYステージにセットするときに、レーザ発振器105および反射ミラー106を固定したまま加工ヘッド101をZ軸方向に昇降させることができるようになっている。ワークWはXYステージのNC制御装置により、予め設定してある切断データに基づいて制御され、所定の形状にならってレーザによる切断加工が行われる。そして、加工時には、その加工台102の中央の孔123内を吸引装置107よってドロスやスパッタなどを吸引して排出している。
【特許文献1】特開2002−79390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうしたレーザ切断装置では、レーザ加工によって生じた溶融物を吹き飛ばし、ドロスやスパッタのワークへの付着を防止している。しかし、完全に除去することは困難であり、ワークWだけではなくノズル112にもスパッタなどが付着してしまうので、レーザ切断装置には、ノズル112の目詰まりによる加工不良を防ぐための定期的な掃除作業が必要であった。その際、従来のレーザ切断装置は、加工ヘッド101を上昇させて下からノズル112内に掃除具をいれるため、掃除作業用の空間を確保するだけのストロークが必要になる。従って、特に加工ヘッド101の構成が大きくなってしまったり、加工ヘッド101側に昇降手段を設けることで設計変更への制約となっていた。更には、人手による定期的な掃除作業が非常に手間のかかるものであった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、掃除作業用の空間を広く確保しながらコンパクトに構成したレーザ切断装置を提供することを目的とし、更には自動掃除具を設け、ノズルの掃除作業を自動化させたレーザ切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレーザ切断装置は、金属板などのワークを挟んで上方に加工ヘッドを、下方には加工台が配置され、集光レンズを備えた加工ヘッドからアシストガスを噴射するノズルを通してレーザ光を照射するようにしたものであって、前記加工台を上下方向に昇降させる昇降手段と、前記加工台を横方向に移動させる横移動手段とを有するものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記加工ヘッドのノズルに対し掃除ドリルを差し込むことによって当該ノズルの掃除作業を自動で行う自動掃除具を備え、その自動掃除具は、前記加工台が移動した後に前記加工ヘッドの真下に位置決するように設けられたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記加工台又は、前記加工台及び自動掃除具が架台に対して横移動が可能なスライダに固定され、前記スライダは、前記架台に設けられた横移動用のアクチュエータによって横移動し、前記架台は、昇降用のアクチュエータによって昇降するようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記架台は角パイプであって、前記加工台を介して引いたアシストガスを更に当該角パイプを通して排出するようにしたものであることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記自動掃除具が、上下方向に動作する掃除用アクチュエータに前記掃除ドリルが取り付けられ、前記掃除位置にて前記掃除ドリルを前記ノズルに対して差し込むようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記掃除用アクチュエータには、固定された前記掃除ドリルを覆う案内カバーが弾性部材によって変位可能に取り付けられ、その案内カバーは、前記掃除用アクチュエータの動作によって突き当てられる位置に前記ノズル先端が入り込む位置決め孔が形成され、前記掃除ドリルは、前記ノズルへ突き当てられて変位する前記案内カバーから前記位置決め孔を通って突き出し、前記ノズルに対して差し込まれるようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記自動掃除具が、前記掃除用アクチュエータがエアシリンダであって、そのエアシリンダを動作させる作動エアを前記位置決め孔にまで送るための流路が形成され、前記案内カバーには、前記位置決め孔に連通する横孔が形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ワークの下側に位置する加工台を昇降手段と横移動手段とによって、下降させるだけでなく横移動もさせることで加工ヘッドの真下にスペースをつくるようにしたので、掃除作業用の空間を広く確保しつつ、装置全体をコンパクトに構成することができる。更に、自動掃除具を設けることにより、人手によらずノズルの掃除が可能になり、定期的な自動掃除作業を行うことによって長時間の無人運転が可能になる。
また、本発明によれば、加工台と自動掃除具をスライダに対して一体に設け、加工台の移動によって自動掃除具を加工ヘッドの真下に配置させるようにしたので、この点でも装置全体をコンパクトにすることができる。更に、スライダが移動する架台が角パイプであって、そこをアシストガスが流れるようにしたことにより、構成を簡素化することができる。
また、案内カバーの位置決め孔によって確実に掃除ドリルをノズル内に差し込むことができ、確実な掃除作業とともに、極めて細い掃除ドリルの破損を防止することができる。さらに、位置決め孔にエアシリンダを動作させる作動エアを送ることで、アシストガスとぶつかった流れにより、取り除いたスパッタなどを横孔から排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発発明に係るレーザ切断装置について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、レーザ切断装置の加工部分を示した図である。
レーザ切断装置1は、従来のものと同様に、加工ヘッド2と加工台4とにワークWが挟み込まれ、加工ヘッド2側から照射されるレーザ光によって切断加工が行えるよう構成されたものである。
【0012】
加工ヘッド2は、ヘッド側ステージ3に固定され、その下には不図示のワーク用テーブルが設けられている。ワークWはワーク用テーブルの取付枠に周縁部が保持され、加工可能な状態にセットされる。本実施形態のレーザ切断装置1は、広い範囲を加工する場合には、ワークWがワーク用テーブルによってXY平面上を移動し、狭い範囲を加工する場合には、ヘッド側ステージ3によって加工ヘッド2がXY平面と平行なUV平面上を移動するよう構成されている。
【0013】
極薄金属板のワークWを切断する加工ヘッド2には、不図示のレーザ発振器から光ファイバ5を介してレーザ光Lが送られるよう構成されている。これは、移動可能な加工ヘッド2に対し、光ファイバ5によってレーザ光Lを確実に送ることができるようにするためである。また、構造を軽量化することで、ヘッド側ステージ3が加工ヘッド2を高速で移動させる際、なるべく移動部分を軽量化させて装置への負荷を減らし、制御による位置精度を高めるようにするためである。
【0014】
次に、図2は、加工ヘッド2の断面図である。加工ヘッド2は筒状に形成され、光ファイバ5を介して送られたレーザ光Lが不図示のコリメートレンズを介して図示するように平行光とし進入する。加工ヘッド2の筒内の途中にはレーザ光Lを集光する集光レンズ11が筒状のレンズホルダ12によって保持されている。集光レンズ11は、このレンズホルダ12によって光軸方向の位置決めが行われ、レーザ光LのワークWへの焦点位置が調整される。加工ヘッド2の下部には、レーザ光Lが集光する部分にノズル13が設けられている。ノズル13の先端には600μmの径の開口部が形成され、その開口部を通ったレーザ光Lの焦点位置での直径が30μm以下でワークWに照射されるよう構成されている。
【0015】
本実施形態のレーザ切断装置1は、ワーク用テーブルによる広い範囲の加工や、ヘッド側ステージ3によって行われる狭い範囲の加工の他、さらに微小範囲の加工も可能なものとなっている。すなわち、このレーザ切断装置1では、加工ヘッド2内にピエゾ素子15が設けられ、集光レンズ11をレーザ光Lの光軸Oに対して直交方向に移動させ、その焦点位置を制御できるよう構成されている。円筒形状のピエゾ素子15は、固定ブロック21に固定され、他方には集光レンズ11を保持したレンズホルダ12が取り付けられている。
【0016】
また、加工ヘッド2は、ガス継手14からアシストガスが送り込まれ、ガス流路16を通ったアシストガスが、ノズル13からワークWのレーザ切断部に対して集中的に吹き付けられるよう構成されている。ガス流路16は、流路部材17によって構成され、そうした流路部材17の中心円筒部には、集光レンズ11側へアシストガスが流れ込まないようにしたレンズカバー18が保持されている。そして、加工ヘッド2の下端には、ノズル13を内部に保持した上部ホルダ19が設けられている。上部ホルダ19は、レーザ光Lが照射されるワーク切断部を上方から押さえるものであり、円筒形状をした内部にノズル13を配置し、ワークWと摺接する下面側には、そのワークWが摺動し易く且つ傷が付かないようにするための滑り材19aが装着されている。
【0017】
一方、ワークWの下に配置された加工台4は、上部ホルダ19と対向するように下部ホルダが設けられ、レーザ光Lが照射されるワーク切断部を下方から支えるよう構成されている。ここで、図3は、加工台4側の構造を示した側面図であり、図4は、図3のA−A断面を示した加工台の断面図である。
【0018】
この加工台4は、ワークWの下側でアシストガスを吸引することができるように、図4に示すような中空の筒形形状で構成されている。アシストガスはワークWの切断部を通って加工台4内に流れ込み、真空引きによって角パイプ30へと引き込まれるようになっている。従って、ワークWの切断加工に伴って生じるドロスやスパッタなどは、こうしたアシストガスの流れに従って送られ、角パイプ30を通って排出されるよう構成されている。
【0019】
加工台4は、そうした角パイプ30側に取り付けられたベース21に対して回転可能に調節ナット部材22が設けられ、その内側に螺合した上下調節管23の軸方向の位置調整ができるようになっている。スプリング24が装填された上下調節管23の上には、下部ホルダ26が設けられている。この下部ホルダ26の内部空間には不図示のエアポンプから圧縮エアが供給され、多孔質の燒結金属やセラミックスなどで形成された蓋部材27から圧縮エアが上方に吹き出すようになっている。これは、蓋部材27からエアを吹き出してワークWとの間にエアによる空気層をつくることで、ドロスやスパッタなどをワークWと下部ホルダ26との間に噛み込んでしまい、ワークWを傷付けてしまうことを回避するための構成である。
【0020】
ところで、レーザ切断装置1は、図1に示すように加工ヘッド2がヘッド側ステージ3に固定され、UV平面上を移動するよう構成されている。そのため、従来のように加工ヘッド2側を昇降可能にするには、その構造が複雑かつ大掛かりになってしまう。そこで、本実施形態では、加工台4を図1に示す加工位置から移動させ、ワーク用テーブルに対するワークWの着脱や、ノズル13の掃除作業を行うスペースを確保することができるよう構成されている。更に、本実施形態のレーザ切断装置1では、加工台4を退避させ、従来は人手で行っていたノズル13の掃除作業を、自動掃除機構を設けることによって自動で掃除できるよう構成されている。
【0021】
加工台4は、図3に示すように、水平に配置された長尺な角パイプ30上に設置され、図面の左右両端に配置された昇降用のエアシリンダ(以下、「昇降用シリンダ」とする)31によって支持されている。従って、加工台4は、この昇降用シリンダ31によって角パイプ30と一体になって昇降し、その高さ位置が調整できるよう構成されている。そして、加工台4は、更にその角パイプ30に対し、水平方向に移動することができるよう取り付けられている。図5及び図6は、レーザ切断装置1の加工台4側の周辺構造を示した図であり、図5は側面図を、図6は図5のB−B断面図を示している。更に、図9は、図5に対応した図であり、加工ヘッド2のノズルに対する自動掃除状態を示した図である。
【0022】
加工台4は、スライドプレート33上に固定され、角パイプ30の長手方向に沿った移動が可能になっている。角パイプ30には、その両側面に長手方向に沿ってガイドレール34が固定され、そのガイドレール34に対して摺動可能に嵌め合わされスライダ35とスライドプレート33とが一体に固定されている。そして、このスライドプレート33には、角パイプ30内に設置されたスライド用のエアシリンダ(以下、「スライド用シリンダ」とする)36が固定されている。スライド用シリンダ36は、そのピストンロッド36aの先端にカップリング39を介して連結部材37が固定され、スライドプレート33を貫いて固定された垂直ロッド38と連結されている。
【0023】
従って、スライドプレート33に固定された加工台4は、図3に示す昇降用シリンダ31の伸縮作動によって角パイプ30と一体になって位置を上下動し、スライド用シリンダ36の伸縮作動によってその位置が角パイプ30に沿って平行移動するように構成されている。具体的には、加工ヘッド2に対して、図1に示す加工位置から、図9に示すように離間した退避位置まで下方に35mm下降し、水平方向(図面右側)に50mm移動するよう構成されている。
【0024】
こうして加工台4が単に下降するだけではなく水平方向にも移動することによって、加工台4を加工ヘッド2から十分に離すことができ、加工ヘッド2の真下に広い空間が確保できることになる。従って、昇降スペースが制限された装置下側であっても、加工ヘッド2の真下にできたスペースを利用することで、従来のように作業者が行うノズル13の掃除作業が可能になる。
【0025】
しかし、この点、本実施形態では、加工台4の退避時に加工ヘッド2の真下にできたスペースに自動掃除具6を配置し、ノズル13の掃除を自動で行うことができるよう構成されている。そこで、スライドプレート33には加工ヘッド2の他に、自動掃除具6が取り付けられている。この自動掃除具6は、駆動手段としてエアシリンダを備え、スライドプレート33を貫いた当該シリンダ部分が、ブラケット40によって直立状態でスライドプレート33に固定されている。
【0026】
図7は、自動掃除具6を示した断面図であり、特に図5に示す非作業状態を示している。自動掃除具6は、前述したように、掃除用のエアシリンダ(以下、「掃除用シリンダ」とする)41によって構成されている。掃除用シリンダ41は、シリンダチューブ42の下端にはヘッドカバー43が固定され、ピストンロッド46が突き出した上端側にはロッドカバー44が固定されている。ヘッドカバー43及びロッドカバー44には、それぞれ作動エアを給排気するエア継手47,48がポートに取り付けられている。
【0027】
ピストンロッド46は中空パイプであり、その下端側にピストン45が差し込まれるようにして一体に形成されている。そして、そのピストン45にも軸心に孔が形成され、ヘッドカバー43から供給された作動エアが、孔を通ってピストンロッド46から吹き抜けるようになっている。また、ロッドカバー44内には、ピストンロッド46の摺動部をシールするOリング49が装填され、シリンダチューブ42を気密にしている。ただし、このOリング49は比較的柔らかいゴムで形成され、ピストンロッド46の傾きが許容できるように構成されている。
【0028】
更に、掃除用シリンダ41には、そのピストンロッド46先端に掃除ヘッド50が固定されている。その掃除ヘッド50は、ピストンロッド46の先端にドリルホルダ51が螺設され、更に案内カバー52が上から被せられている。案内カバー52内にはドリルホルダ51との間にスプリング53が入れられ、案内カバー52が軸方向に変位するよう構成されている。なお、案内カバー52は、側面に長孔52aが形成され、その中にボルト54がドリルホルダ51に螺設されて抜け止めになっている。
【0029】
ドリルホルダ51は、ピストンロッド46へ螺設して一体になるが、その際、図示するようにドリルホルダ51内には掃除ドリル55を保持したコマ56が入れられ、掃除ドリル55がドリルホルダ51から突き出るようにして取り付けられる。ここで、図8は、ドリルホルダ51を示した平面図(a)と側面図(b)である。ドリルホルダ51は、中心を通って十字にスリット51aが所定の深さで形成されている。一方、ピストンロッド46の先端にも複数箇所にスリット46aが形成され、コマ56の周りにもドリルホルダ51との間にも隙間が空くように形成されている。従って、ヘッドカバー43側から供給される作動エアは、中空のピストンロッド46内を流れ、その先端のスリット46aからコマ56周りの隙間、更にはドリルホルダ51のスリット51aを通って案内カバー52内に吹き出すようになっている。
【0030】
案内カバー52には、その上端の中心に、加工ヘッド2のノズル13先端が嵌め合わされるようにした位置決め孔52bが形成されている。位置決め孔52bは、ノズル13先端が入り込む大きさのテーパ面が上部に形成され、下側部分は掃除ドリル55が自由に上下することができる大きさの孔になっている。ところで、中空のピストンロッド46から案内カバー52内へと流れた掃除用シリンダ41の作動エアは、この位置決め孔52bから上方に吹き出るように流れる。しかし、ノズル13からも下方にアシストガスが流されるため、位置決め孔52b内には横孔52cが形成され、掃除されたスパッタなどを排出できるようになっている。
【0031】
続いて、こうした本実施形態のレーザ切断装置1による切断加工では、先ず、図5に示すように加工ヘッド2に対して加工台4が下がった位置に待機し、その状態で不図示のワーク用テーブルに対してワークWが装着される。そして、昇降用シリンダ31(図3参照)が伸びて角パイプ30に搭載された加工台4が上昇し、図1に示すように、加工ヘッド2と加工台4とによってワークWが挟み込まれる。
【0032】
そこで、広い範囲の切断加工を行う場合には、予め設定された切断データに基づいてワーク用テーブルが作動する。従って、ワークW自体が移動し、加工ヘッド2から照射されるレーザ光Lによって所定の切断加工が行われる。このとき、加工ヘッド2では、光ファイバ5を介して送られたレーザ光Lが不図示のコリメートレンズを介して図示するように平行光となって進入する。そして、集光レンズ11によって集光したレーザ光Lは、ノズル13の開口部を通ってワークWに照射される。
【0033】
切断部分では、レーザ光Lの入熱によりワークWが局部的かつ瞬間的に溶融する。そして、このとき加工ヘッド2内には、継手14からアシストガスが高圧力で供給されている。このアシストガスは、ガス流路16を通ってレンズカバー18の下部空間へ流れ、ノズル13によって絞られてワークWの切断部位に集中的に吹き付けられる。ワークWの下に位置する加工台4(図4参照)では、角パイプ30を介して吸引しているため、ワークWの切断に伴って生じるドロスなどの溶融物は、アシストガスの流れによって角パイプ30側へと流れて排出される。
【0034】
一方、より狭い範囲の切断加工では、ワーク用テーブルの停止によって位置決めされたワークWに対し、ヘッド側ステージ3(図1)を作動させて加工ヘッド2が移動する。そして、その加工ヘッド2からは、同様にレーザ光Lが照射され、ワークWに所定の切断加工が行われる。
【0035】
更に、このレーザ切断装置1では、より微小な孔あけ加工などが可能である。それには、ワークWと加工ヘッド2を共に停止した状態で位置決めし、加工ヘッド2内のピエゾ素子15の電極に電圧を印加してレーザ光Lの焦点位置を移動させる。このとき、レンズホルダ12に保持された集光レンズ11は、ピエゾ素子15によって光軸Oに対して直交方向に動かされ、それに伴ってノズル13先端の直径600μmの範囲内で直径30μm以下のレーザ光Lの焦点が移動し、所定形状の微小孔が形成される。
【0036】
レーザ切断装置1では、レーザ加工が終了すると、ワーク用テーブルからワークWが取り外され、更には定期的に加工ヘッド2のノズル13に対する掃除作業が行われる。本実施形態では、前述したように自動掃除具6が設けられ、不図示のコントローラによって自動掃除作業が制御される。ノズル13に対するスパッタなどの付着は、レーザ切断装置1の使用頻度によって異なる。従って、例えば使用時間を計測し、設定時間を超えた加工作業の終了後に自動掃除を実行するようにしてもよい。また、一日の使用時間が設定時間を超えないような場合には、装置の起動時に自動掃除作業を行うなど、指定したタイミングで実行するようにしてもよい。
【0037】
自動掃除作業では、先ず、加工台4が加工ヘッド2から離されるとともに、その加工ヘッド2に対して掃除可能な位置に自動掃除具6が配置される。それには、図1に示す加工状態から昇降用シリンダ31が収縮して角パイプ30に搭載された加工台4と自動掃除具6が下降し、図5に示すように加工ヘッド2から離間する。そして、加工台4及び自動掃除具6が角パイプ30上で水平方向に移動し、図9に示すように、加工ヘッド2の下の配置が加工台4から自動掃除具6へと入れ替わることになる。
【0038】
加工台4及び自動掃除具6の水平方向の移動は、スライド用シリンダ36(図5参照)に作動エアが送り込まれて伸長し、そのピストンロッド36aに連結されたカップリング39や垂直ロッド38などを介してスライドプレート33が移動することで実行される。そして、こうした動作により自動掃除具6が加工ヘッド2の真下に配置され、掃除用シリンダ41の伸長によって掃除ヘッド50が上昇し、内部の掃除ドリル55によってノズル13の掃除が行われる。ここで、図10は、ノズル13に対する掃除状態を示した自動掃除具6の断面図である。
【0039】
掃除作業では、掃除用シリンダ41のヘッド側から作動エアが供給され、加圧されたピストン45が上昇することによってピストンロッド46が上方に伸びる。そして、ピストンロッド46先端の掃除ヘッド50が、加工ヘッド2のノズル13へと突き当てられることになる。その際、掃除ヘッド50は、ノズル13へと突き当てられるまでは図7に示すような状態で上昇する。そして、案内カバー52の位置決め孔52b内にノズル13先端が嵌り込むようにして当たる。このとき、ノズル13と掃除用シリンダ41の軸心にずれが生じていたとしても、ノズル13先端が位置決め孔52bに嵌り込むことによって芯合わせが自然に行われる。その際、Oリング49が比較的柔らかいゴムで形成されているため、Oリング49が変形することでピストンロッド46の多少の傾きは許容される。
【0040】
その後、更に掃除用シリンダ41が伸びると、案内カバー52はそれ以上上昇できないが、内部のドリルホルダ51がスプリング53を押し縮めながら案内カバー52に当たる位置まで上昇する。従って、それまでは案内カバー52内に収められていた掃除ドリル55が位置決め孔52bから突き出され、図10に示すようにノズル13内へと差し込まれる。ノズル13の開口は直径が0.6mm程度であり、そこに直径0.5mmの掃除ドリル55が入り込み、ノズル13の開口部に付着したスパッタなどを掃除ドリル55が削り取る。
【0041】
こうした掃除作業時には、加工ヘッド2からは切断加工時と同じようにアシストガスが送り込まれ、ノズル13内に吹き込まれている。従って、削り取られたスパッタなどは、そのアシストガスによって吹き飛ばされて、ノズル13から下へと送り出される。一方、掃除用シリンダ41の伸長作動によって行われる掃除作業では、ピストン45を加圧するエア継手47からの作動エアが、ピストン45の中心孔からピストンロッド46内へと流れ、スリット46aからコマ56の周りの隙間、そしてドリルホルダ51のスリット51aを通って案内カバー52の位置決め孔52b内に吹き出される。従って、この位置決め孔52bでアシストガスと作動エアとがぶつかり合い、横孔52cへの流れとなって削り取ったスパッタなども、その横孔52cから排出される。
【0042】
そして、ノズル13の掃除後は、掃除用シリンダ41のロッド側から作動エアが供給され、加圧されたピストン45が加工してピストンロッド46が下方に縮められる。そのため、掃除ヘッド50では、スプリング53が伸びて案内カバー52に対してドリルホルダ51が相対的に下降して掃除ドリル55がノズル13から抜き取られ、案内カバー52内に収められる。
【0043】
よって、本実施形態のレーザ切断装置1によれば、ワークWの交換などに当たって加工台4側を移動させるようにしたため、加工ヘッド2側の構造を軽量化することで、加工ヘッド2側を移動させたレーザ切断加工の高速制御を可能にし、また位置精度を高めることが可能になった。また、加工台4側を移動させる場合には、ノズル13を掃除するため加工ヘッド2の下にある程度のスペースが必要になるが、下降移動と水平移動を組み合わせる構成にしたことで、そのスペースを確保することができた。そして、このような構成によって必要以上に装置を大型化することなく、むしろ加工ヘッド2側の移動機構を無くしたことでレーザ切断装置1をコンパクトにすることができた。
【0044】
また、レーザ切断装置1では、前述したように加工ヘッド2の下にスペースを確保したとで、作業者が掃除具を使用したノズル13の掃除作業を可能にしているが、更に本実施形態では、自動掃除具6を備えることによって人手によらずノズル13の掃除が可能になった。従って、定期的に自動掃除作業を行うことにより、長時間の無人運転が可能になった。
【0045】
自動掃除においては、開口の直径が0.6mm程度のノズル13に対し、直径0.5mmの掃除ドリル55が差し込まれる。従って、両者がほぼ同軸上に位置していなければ、掃除ドリル55が差し込まれる際に引っ掛かって折れてしまう。その点、本実施形態では、ノズル13が位置決め孔52に嵌り込むことによって、ノズル13と掃除ドリル55が同軸上に位置するため、掃除ドリル55の破損を防ぐことが可能になっている。そして、ノズル13に従って掃除ヘッド50側が移動するが、その掃除ヘッド50が固定されたピストンロッド46の傾きをOリング49が変形して許容する構成によって可能にしている。
【0046】
また、自動掃除具6では、掃除用シリンダ41を操作する作動エアとノズル13側からのアシストガスとをぶつけ、削り取ったスパッタなどを横孔52cから排出するようにしているので、例えば、スパッタなどが掃除ヘッド50に蓄積されて動作不良を引き起こすようなことが回避できる。
【0047】
以上、本発明に係るレーザ切断装置について実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では、加工台4と自動掃除具6を一体に移動させるようにしたが、自動掃除具6と加工台4とを別機構によって移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態のレーザ切断装置について、その加工部分を示した図である。
【図2】実施形態のレーザ切断装置について、その加工ヘッドを示した断面図である。
【図3】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の構造を示した側面図である。
【図4】実施形態のレーザ切断装置について、図3のA−A断面を示した加工台の断面図である。
【図5】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の周辺構造を示した側面図である。
【図6】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の周辺構造を示した図5のB−B断面図である。
【図7】実施形態のレーザ切断装置について、自動掃除具を示した断面図である。
【図8】ドリルホルダを示した平面図(a)と側面図(b)である。
【図9】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の周辺構造を示した自動掃除状態の側面図である。
【図10】ノズルに対する掃除状態を示した自動掃除具の断面図である。
【図11】従来のレーザ切断装置の一部を示した断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 レーザ切断装置
2 加工ヘッド
3 ヘッド側ステージ
4 加工台
5 光ファイバ
6 自動掃除具
11 集光レンズ
13 ノズル
15 ピエゾ素子
30 角パイプ
31 昇降用シリンダ
33 スライドプレート
36 スライド用シリンダ
41 掃除用シリンダ
46 ピストンロッド
50 掃除ヘッド
L レーザ光
O 光軸
W ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、極薄金属板などのワークを上の加工ヘッドと下のアンダーカップで上下から挟み込んで切断加工するレーザ切断装置に関し、特にアンダーカップ側を移動して加工ヘッドの掃除作業を行うようにしたレーザ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断装置は、極薄金属板のワークに対して集光したレーザ光を照射するとともに、アシストガスを噴射して高精度・高品質な微細切断を行う加工装置である。図11は、従来のレーザ切断装置の一部を示した断面図であり、ワークWを挟んで上方には加工ヘッド101が、下方には加工台102が配置されている。
【0003】
加工ヘッド101は、レーザ発振器105から反射ミラー106を介してレーザ光Lが上から下に送られ、集光レンズ111によってノズル112の先端部分で集光するように構成されている。そして、集光レンズ111の下にはアシストガスAGが圧力をかけて供給され、加工時にはそのアシストガスAGがノズル112から被加工物Wの加工部位に集中的に吹き付けられる。加工ヘッド101の下には加工台102が配設され、調整筒121の上部に上面に滑り板122が固定され、フェルトを付設した加工ヘッド101のホルダ113との間でワークWを挟み込むようにしている。
【0004】
そして、このレーザ切断装置では、ワークWをXYステージにセットするときに、レーザ発振器105および反射ミラー106を固定したまま加工ヘッド101をZ軸方向に昇降させることができるようになっている。ワークWはXYステージのNC制御装置により、予め設定してある切断データに基づいて制御され、所定の形状にならってレーザによる切断加工が行われる。そして、加工時には、その加工台102の中央の孔123内を吸引装置107よってドロスやスパッタなどを吸引して排出している。
【特許文献1】特開2002−79390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうしたレーザ切断装置では、レーザ加工によって生じた溶融物を吹き飛ばし、ドロスやスパッタのワークへの付着を防止している。しかし、完全に除去することは困難であり、ワークWだけではなくノズル112にもスパッタなどが付着してしまうので、レーザ切断装置には、ノズル112の目詰まりによる加工不良を防ぐための定期的な掃除作業が必要であった。その際、従来のレーザ切断装置は、加工ヘッド101を上昇させて下からノズル112内に掃除具をいれるため、掃除作業用の空間を確保するだけのストロークが必要になる。従って、特に加工ヘッド101の構成が大きくなってしまったり、加工ヘッド101側に昇降手段を設けることで設計変更への制約となっていた。更には、人手による定期的な掃除作業が非常に手間のかかるものであった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、掃除作業用の空間を広く確保しながらコンパクトに構成したレーザ切断装置を提供することを目的とし、更には自動掃除具を設け、ノズルの掃除作業を自動化させたレーザ切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレーザ切断装置は、金属板などのワークを挟んで上方に加工ヘッドを、下方には加工台が配置され、集光レンズを備えた加工ヘッドからアシストガスを噴射するノズルを通してレーザ光を照射するようにしたものであって、前記加工台を上下方向に昇降させる昇降手段と、前記加工台を横方向に移動させる横移動手段とを有するものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記加工ヘッドのノズルに対し掃除ドリルを差し込むことによって当該ノズルの掃除作業を自動で行う自動掃除具を備え、その自動掃除具は、前記加工台が移動した後に前記加工ヘッドの真下に位置決するように設けられたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記加工台又は、前記加工台及び自動掃除具が架台に対して横移動が可能なスライダに固定され、前記スライダは、前記架台に設けられた横移動用のアクチュエータによって横移動し、前記架台は、昇降用のアクチュエータによって昇降するようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記架台は角パイプであって、前記加工台を介して引いたアシストガスを更に当該角パイプを通して排出するようにしたものであることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記自動掃除具が、上下方向に動作する掃除用アクチュエータに前記掃除ドリルが取り付けられ、前記掃除位置にて前記掃除ドリルを前記ノズルに対して差し込むようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記掃除用アクチュエータには、固定された前記掃除ドリルを覆う案内カバーが弾性部材によって変位可能に取り付けられ、その案内カバーは、前記掃除用アクチュエータの動作によって突き当てられる位置に前記ノズル先端が入り込む位置決め孔が形成され、前記掃除ドリルは、前記ノズルへ突き当てられて変位する前記案内カバーから前記位置決め孔を通って突き出し、前記ノズルに対して差し込まれるようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るレーザ切断装置は、前記自動掃除具が、前記掃除用アクチュエータがエアシリンダであって、そのエアシリンダを動作させる作動エアを前記位置決め孔にまで送るための流路が形成され、前記案内カバーには、前記位置決め孔に連通する横孔が形成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ワークの下側に位置する加工台を昇降手段と横移動手段とによって、下降させるだけでなく横移動もさせることで加工ヘッドの真下にスペースをつくるようにしたので、掃除作業用の空間を広く確保しつつ、装置全体をコンパクトに構成することができる。更に、自動掃除具を設けることにより、人手によらずノズルの掃除が可能になり、定期的な自動掃除作業を行うことによって長時間の無人運転が可能になる。
また、本発明によれば、加工台と自動掃除具をスライダに対して一体に設け、加工台の移動によって自動掃除具を加工ヘッドの真下に配置させるようにしたので、この点でも装置全体をコンパクトにすることができる。更に、スライダが移動する架台が角パイプであって、そこをアシストガスが流れるようにしたことにより、構成を簡素化することができる。
また、案内カバーの位置決め孔によって確実に掃除ドリルをノズル内に差し込むことができ、確実な掃除作業とともに、極めて細い掃除ドリルの破損を防止することができる。さらに、位置決め孔にエアシリンダを動作させる作動エアを送ることで、アシストガスとぶつかった流れにより、取り除いたスパッタなどを横孔から排出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発発明に係るレーザ切断装置について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、レーザ切断装置の加工部分を示した図である。
レーザ切断装置1は、従来のものと同様に、加工ヘッド2と加工台4とにワークWが挟み込まれ、加工ヘッド2側から照射されるレーザ光によって切断加工が行えるよう構成されたものである。
【0012】
加工ヘッド2は、ヘッド側ステージ3に固定され、その下には不図示のワーク用テーブルが設けられている。ワークWはワーク用テーブルの取付枠に周縁部が保持され、加工可能な状態にセットされる。本実施形態のレーザ切断装置1は、広い範囲を加工する場合には、ワークWがワーク用テーブルによってXY平面上を移動し、狭い範囲を加工する場合には、ヘッド側ステージ3によって加工ヘッド2がXY平面と平行なUV平面上を移動するよう構成されている。
【0013】
極薄金属板のワークWを切断する加工ヘッド2には、不図示のレーザ発振器から光ファイバ5を介してレーザ光Lが送られるよう構成されている。これは、移動可能な加工ヘッド2に対し、光ファイバ5によってレーザ光Lを確実に送ることができるようにするためである。また、構造を軽量化することで、ヘッド側ステージ3が加工ヘッド2を高速で移動させる際、なるべく移動部分を軽量化させて装置への負荷を減らし、制御による位置精度を高めるようにするためである。
【0014】
次に、図2は、加工ヘッド2の断面図である。加工ヘッド2は筒状に形成され、光ファイバ5を介して送られたレーザ光Lが不図示のコリメートレンズを介して図示するように平行光とし進入する。加工ヘッド2の筒内の途中にはレーザ光Lを集光する集光レンズ11が筒状のレンズホルダ12によって保持されている。集光レンズ11は、このレンズホルダ12によって光軸方向の位置決めが行われ、レーザ光LのワークWへの焦点位置が調整される。加工ヘッド2の下部には、レーザ光Lが集光する部分にノズル13が設けられている。ノズル13の先端には600μmの径の開口部が形成され、その開口部を通ったレーザ光Lの焦点位置での直径が30μm以下でワークWに照射されるよう構成されている。
【0015】
本実施形態のレーザ切断装置1は、ワーク用テーブルによる広い範囲の加工や、ヘッド側ステージ3によって行われる狭い範囲の加工の他、さらに微小範囲の加工も可能なものとなっている。すなわち、このレーザ切断装置1では、加工ヘッド2内にピエゾ素子15が設けられ、集光レンズ11をレーザ光Lの光軸Oに対して直交方向に移動させ、その焦点位置を制御できるよう構成されている。円筒形状のピエゾ素子15は、固定ブロック21に固定され、他方には集光レンズ11を保持したレンズホルダ12が取り付けられている。
【0016】
また、加工ヘッド2は、ガス継手14からアシストガスが送り込まれ、ガス流路16を通ったアシストガスが、ノズル13からワークWのレーザ切断部に対して集中的に吹き付けられるよう構成されている。ガス流路16は、流路部材17によって構成され、そうした流路部材17の中心円筒部には、集光レンズ11側へアシストガスが流れ込まないようにしたレンズカバー18が保持されている。そして、加工ヘッド2の下端には、ノズル13を内部に保持した上部ホルダ19が設けられている。上部ホルダ19は、レーザ光Lが照射されるワーク切断部を上方から押さえるものであり、円筒形状をした内部にノズル13を配置し、ワークWと摺接する下面側には、そのワークWが摺動し易く且つ傷が付かないようにするための滑り材19aが装着されている。
【0017】
一方、ワークWの下に配置された加工台4は、上部ホルダ19と対向するように下部ホルダが設けられ、レーザ光Lが照射されるワーク切断部を下方から支えるよう構成されている。ここで、図3は、加工台4側の構造を示した側面図であり、図4は、図3のA−A断面を示した加工台の断面図である。
【0018】
この加工台4は、ワークWの下側でアシストガスを吸引することができるように、図4に示すような中空の筒形形状で構成されている。アシストガスはワークWの切断部を通って加工台4内に流れ込み、真空引きによって角パイプ30へと引き込まれるようになっている。従って、ワークWの切断加工に伴って生じるドロスやスパッタなどは、こうしたアシストガスの流れに従って送られ、角パイプ30を通って排出されるよう構成されている。
【0019】
加工台4は、そうした角パイプ30側に取り付けられたベース21に対して回転可能に調節ナット部材22が設けられ、その内側に螺合した上下調節管23の軸方向の位置調整ができるようになっている。スプリング24が装填された上下調節管23の上には、下部ホルダ26が設けられている。この下部ホルダ26の内部空間には不図示のエアポンプから圧縮エアが供給され、多孔質の燒結金属やセラミックスなどで形成された蓋部材27から圧縮エアが上方に吹き出すようになっている。これは、蓋部材27からエアを吹き出してワークWとの間にエアによる空気層をつくることで、ドロスやスパッタなどをワークWと下部ホルダ26との間に噛み込んでしまい、ワークWを傷付けてしまうことを回避するための構成である。
【0020】
ところで、レーザ切断装置1は、図1に示すように加工ヘッド2がヘッド側ステージ3に固定され、UV平面上を移動するよう構成されている。そのため、従来のように加工ヘッド2側を昇降可能にするには、その構造が複雑かつ大掛かりになってしまう。そこで、本実施形態では、加工台4を図1に示す加工位置から移動させ、ワーク用テーブルに対するワークWの着脱や、ノズル13の掃除作業を行うスペースを確保することができるよう構成されている。更に、本実施形態のレーザ切断装置1では、加工台4を退避させ、従来は人手で行っていたノズル13の掃除作業を、自動掃除機構を設けることによって自動で掃除できるよう構成されている。
【0021】
加工台4は、図3に示すように、水平に配置された長尺な角パイプ30上に設置され、図面の左右両端に配置された昇降用のエアシリンダ(以下、「昇降用シリンダ」とする)31によって支持されている。従って、加工台4は、この昇降用シリンダ31によって角パイプ30と一体になって昇降し、その高さ位置が調整できるよう構成されている。そして、加工台4は、更にその角パイプ30に対し、水平方向に移動することができるよう取り付けられている。図5及び図6は、レーザ切断装置1の加工台4側の周辺構造を示した図であり、図5は側面図を、図6は図5のB−B断面図を示している。更に、図9は、図5に対応した図であり、加工ヘッド2のノズルに対する自動掃除状態を示した図である。
【0022】
加工台4は、スライドプレート33上に固定され、角パイプ30の長手方向に沿った移動が可能になっている。角パイプ30には、その両側面に長手方向に沿ってガイドレール34が固定され、そのガイドレール34に対して摺動可能に嵌め合わされスライダ35とスライドプレート33とが一体に固定されている。そして、このスライドプレート33には、角パイプ30内に設置されたスライド用のエアシリンダ(以下、「スライド用シリンダ」とする)36が固定されている。スライド用シリンダ36は、そのピストンロッド36aの先端にカップリング39を介して連結部材37が固定され、スライドプレート33を貫いて固定された垂直ロッド38と連結されている。
【0023】
従って、スライドプレート33に固定された加工台4は、図3に示す昇降用シリンダ31の伸縮作動によって角パイプ30と一体になって位置を上下動し、スライド用シリンダ36の伸縮作動によってその位置が角パイプ30に沿って平行移動するように構成されている。具体的には、加工ヘッド2に対して、図1に示す加工位置から、図9に示すように離間した退避位置まで下方に35mm下降し、水平方向(図面右側)に50mm移動するよう構成されている。
【0024】
こうして加工台4が単に下降するだけではなく水平方向にも移動することによって、加工台4を加工ヘッド2から十分に離すことができ、加工ヘッド2の真下に広い空間が確保できることになる。従って、昇降スペースが制限された装置下側であっても、加工ヘッド2の真下にできたスペースを利用することで、従来のように作業者が行うノズル13の掃除作業が可能になる。
【0025】
しかし、この点、本実施形態では、加工台4の退避時に加工ヘッド2の真下にできたスペースに自動掃除具6を配置し、ノズル13の掃除を自動で行うことができるよう構成されている。そこで、スライドプレート33には加工ヘッド2の他に、自動掃除具6が取り付けられている。この自動掃除具6は、駆動手段としてエアシリンダを備え、スライドプレート33を貫いた当該シリンダ部分が、ブラケット40によって直立状態でスライドプレート33に固定されている。
【0026】
図7は、自動掃除具6を示した断面図であり、特に図5に示す非作業状態を示している。自動掃除具6は、前述したように、掃除用のエアシリンダ(以下、「掃除用シリンダ」とする)41によって構成されている。掃除用シリンダ41は、シリンダチューブ42の下端にはヘッドカバー43が固定され、ピストンロッド46が突き出した上端側にはロッドカバー44が固定されている。ヘッドカバー43及びロッドカバー44には、それぞれ作動エアを給排気するエア継手47,48がポートに取り付けられている。
【0027】
ピストンロッド46は中空パイプであり、その下端側にピストン45が差し込まれるようにして一体に形成されている。そして、そのピストン45にも軸心に孔が形成され、ヘッドカバー43から供給された作動エアが、孔を通ってピストンロッド46から吹き抜けるようになっている。また、ロッドカバー44内には、ピストンロッド46の摺動部をシールするOリング49が装填され、シリンダチューブ42を気密にしている。ただし、このOリング49は比較的柔らかいゴムで形成され、ピストンロッド46の傾きが許容できるように構成されている。
【0028】
更に、掃除用シリンダ41には、そのピストンロッド46先端に掃除ヘッド50が固定されている。その掃除ヘッド50は、ピストンロッド46の先端にドリルホルダ51が螺設され、更に案内カバー52が上から被せられている。案内カバー52内にはドリルホルダ51との間にスプリング53が入れられ、案内カバー52が軸方向に変位するよう構成されている。なお、案内カバー52は、側面に長孔52aが形成され、その中にボルト54がドリルホルダ51に螺設されて抜け止めになっている。
【0029】
ドリルホルダ51は、ピストンロッド46へ螺設して一体になるが、その際、図示するようにドリルホルダ51内には掃除ドリル55を保持したコマ56が入れられ、掃除ドリル55がドリルホルダ51から突き出るようにして取り付けられる。ここで、図8は、ドリルホルダ51を示した平面図(a)と側面図(b)である。ドリルホルダ51は、中心を通って十字にスリット51aが所定の深さで形成されている。一方、ピストンロッド46の先端にも複数箇所にスリット46aが形成され、コマ56の周りにもドリルホルダ51との間にも隙間が空くように形成されている。従って、ヘッドカバー43側から供給される作動エアは、中空のピストンロッド46内を流れ、その先端のスリット46aからコマ56周りの隙間、更にはドリルホルダ51のスリット51aを通って案内カバー52内に吹き出すようになっている。
【0030】
案内カバー52には、その上端の中心に、加工ヘッド2のノズル13先端が嵌め合わされるようにした位置決め孔52bが形成されている。位置決め孔52bは、ノズル13先端が入り込む大きさのテーパ面が上部に形成され、下側部分は掃除ドリル55が自由に上下することができる大きさの孔になっている。ところで、中空のピストンロッド46から案内カバー52内へと流れた掃除用シリンダ41の作動エアは、この位置決め孔52bから上方に吹き出るように流れる。しかし、ノズル13からも下方にアシストガスが流されるため、位置決め孔52b内には横孔52cが形成され、掃除されたスパッタなどを排出できるようになっている。
【0031】
続いて、こうした本実施形態のレーザ切断装置1による切断加工では、先ず、図5に示すように加工ヘッド2に対して加工台4が下がった位置に待機し、その状態で不図示のワーク用テーブルに対してワークWが装着される。そして、昇降用シリンダ31(図3参照)が伸びて角パイプ30に搭載された加工台4が上昇し、図1に示すように、加工ヘッド2と加工台4とによってワークWが挟み込まれる。
【0032】
そこで、広い範囲の切断加工を行う場合には、予め設定された切断データに基づいてワーク用テーブルが作動する。従って、ワークW自体が移動し、加工ヘッド2から照射されるレーザ光Lによって所定の切断加工が行われる。このとき、加工ヘッド2では、光ファイバ5を介して送られたレーザ光Lが不図示のコリメートレンズを介して図示するように平行光となって進入する。そして、集光レンズ11によって集光したレーザ光Lは、ノズル13の開口部を通ってワークWに照射される。
【0033】
切断部分では、レーザ光Lの入熱によりワークWが局部的かつ瞬間的に溶融する。そして、このとき加工ヘッド2内には、継手14からアシストガスが高圧力で供給されている。このアシストガスは、ガス流路16を通ってレンズカバー18の下部空間へ流れ、ノズル13によって絞られてワークWの切断部位に集中的に吹き付けられる。ワークWの下に位置する加工台4(図4参照)では、角パイプ30を介して吸引しているため、ワークWの切断に伴って生じるドロスなどの溶融物は、アシストガスの流れによって角パイプ30側へと流れて排出される。
【0034】
一方、より狭い範囲の切断加工では、ワーク用テーブルの停止によって位置決めされたワークWに対し、ヘッド側ステージ3(図1)を作動させて加工ヘッド2が移動する。そして、その加工ヘッド2からは、同様にレーザ光Lが照射され、ワークWに所定の切断加工が行われる。
【0035】
更に、このレーザ切断装置1では、より微小な孔あけ加工などが可能である。それには、ワークWと加工ヘッド2を共に停止した状態で位置決めし、加工ヘッド2内のピエゾ素子15の電極に電圧を印加してレーザ光Lの焦点位置を移動させる。このとき、レンズホルダ12に保持された集光レンズ11は、ピエゾ素子15によって光軸Oに対して直交方向に動かされ、それに伴ってノズル13先端の直径600μmの範囲内で直径30μm以下のレーザ光Lの焦点が移動し、所定形状の微小孔が形成される。
【0036】
レーザ切断装置1では、レーザ加工が終了すると、ワーク用テーブルからワークWが取り外され、更には定期的に加工ヘッド2のノズル13に対する掃除作業が行われる。本実施形態では、前述したように自動掃除具6が設けられ、不図示のコントローラによって自動掃除作業が制御される。ノズル13に対するスパッタなどの付着は、レーザ切断装置1の使用頻度によって異なる。従って、例えば使用時間を計測し、設定時間を超えた加工作業の終了後に自動掃除を実行するようにしてもよい。また、一日の使用時間が設定時間を超えないような場合には、装置の起動時に自動掃除作業を行うなど、指定したタイミングで実行するようにしてもよい。
【0037】
自動掃除作業では、先ず、加工台4が加工ヘッド2から離されるとともに、その加工ヘッド2に対して掃除可能な位置に自動掃除具6が配置される。それには、図1に示す加工状態から昇降用シリンダ31が収縮して角パイプ30に搭載された加工台4と自動掃除具6が下降し、図5に示すように加工ヘッド2から離間する。そして、加工台4及び自動掃除具6が角パイプ30上で水平方向に移動し、図9に示すように、加工ヘッド2の下の配置が加工台4から自動掃除具6へと入れ替わることになる。
【0038】
加工台4及び自動掃除具6の水平方向の移動は、スライド用シリンダ36(図5参照)に作動エアが送り込まれて伸長し、そのピストンロッド36aに連結されたカップリング39や垂直ロッド38などを介してスライドプレート33が移動することで実行される。そして、こうした動作により自動掃除具6が加工ヘッド2の真下に配置され、掃除用シリンダ41の伸長によって掃除ヘッド50が上昇し、内部の掃除ドリル55によってノズル13の掃除が行われる。ここで、図10は、ノズル13に対する掃除状態を示した自動掃除具6の断面図である。
【0039】
掃除作業では、掃除用シリンダ41のヘッド側から作動エアが供給され、加圧されたピストン45が上昇することによってピストンロッド46が上方に伸びる。そして、ピストンロッド46先端の掃除ヘッド50が、加工ヘッド2のノズル13へと突き当てられることになる。その際、掃除ヘッド50は、ノズル13へと突き当てられるまでは図7に示すような状態で上昇する。そして、案内カバー52の位置決め孔52b内にノズル13先端が嵌り込むようにして当たる。このとき、ノズル13と掃除用シリンダ41の軸心にずれが生じていたとしても、ノズル13先端が位置決め孔52bに嵌り込むことによって芯合わせが自然に行われる。その際、Oリング49が比較的柔らかいゴムで形成されているため、Oリング49が変形することでピストンロッド46の多少の傾きは許容される。
【0040】
その後、更に掃除用シリンダ41が伸びると、案内カバー52はそれ以上上昇できないが、内部のドリルホルダ51がスプリング53を押し縮めながら案内カバー52に当たる位置まで上昇する。従って、それまでは案内カバー52内に収められていた掃除ドリル55が位置決め孔52bから突き出され、図10に示すようにノズル13内へと差し込まれる。ノズル13の開口は直径が0.6mm程度であり、そこに直径0.5mmの掃除ドリル55が入り込み、ノズル13の開口部に付着したスパッタなどを掃除ドリル55が削り取る。
【0041】
こうした掃除作業時には、加工ヘッド2からは切断加工時と同じようにアシストガスが送り込まれ、ノズル13内に吹き込まれている。従って、削り取られたスパッタなどは、そのアシストガスによって吹き飛ばされて、ノズル13から下へと送り出される。一方、掃除用シリンダ41の伸長作動によって行われる掃除作業では、ピストン45を加圧するエア継手47からの作動エアが、ピストン45の中心孔からピストンロッド46内へと流れ、スリット46aからコマ56の周りの隙間、そしてドリルホルダ51のスリット51aを通って案内カバー52の位置決め孔52b内に吹き出される。従って、この位置決め孔52bでアシストガスと作動エアとがぶつかり合い、横孔52cへの流れとなって削り取ったスパッタなども、その横孔52cから排出される。
【0042】
そして、ノズル13の掃除後は、掃除用シリンダ41のロッド側から作動エアが供給され、加圧されたピストン45が加工してピストンロッド46が下方に縮められる。そのため、掃除ヘッド50では、スプリング53が伸びて案内カバー52に対してドリルホルダ51が相対的に下降して掃除ドリル55がノズル13から抜き取られ、案内カバー52内に収められる。
【0043】
よって、本実施形態のレーザ切断装置1によれば、ワークWの交換などに当たって加工台4側を移動させるようにしたため、加工ヘッド2側の構造を軽量化することで、加工ヘッド2側を移動させたレーザ切断加工の高速制御を可能にし、また位置精度を高めることが可能になった。また、加工台4側を移動させる場合には、ノズル13を掃除するため加工ヘッド2の下にある程度のスペースが必要になるが、下降移動と水平移動を組み合わせる構成にしたことで、そのスペースを確保することができた。そして、このような構成によって必要以上に装置を大型化することなく、むしろ加工ヘッド2側の移動機構を無くしたことでレーザ切断装置1をコンパクトにすることができた。
【0044】
また、レーザ切断装置1では、前述したように加工ヘッド2の下にスペースを確保したとで、作業者が掃除具を使用したノズル13の掃除作業を可能にしているが、更に本実施形態では、自動掃除具6を備えることによって人手によらずノズル13の掃除が可能になった。従って、定期的に自動掃除作業を行うことにより、長時間の無人運転が可能になった。
【0045】
自動掃除においては、開口の直径が0.6mm程度のノズル13に対し、直径0.5mmの掃除ドリル55が差し込まれる。従って、両者がほぼ同軸上に位置していなければ、掃除ドリル55が差し込まれる際に引っ掛かって折れてしまう。その点、本実施形態では、ノズル13が位置決め孔52に嵌り込むことによって、ノズル13と掃除ドリル55が同軸上に位置するため、掃除ドリル55の破損を防ぐことが可能になっている。そして、ノズル13に従って掃除ヘッド50側が移動するが、その掃除ヘッド50が固定されたピストンロッド46の傾きをOリング49が変形して許容する構成によって可能にしている。
【0046】
また、自動掃除具6では、掃除用シリンダ41を操作する作動エアとノズル13側からのアシストガスとをぶつけ、削り取ったスパッタなどを横孔52cから排出するようにしているので、例えば、スパッタなどが掃除ヘッド50に蓄積されて動作不良を引き起こすようなことが回避できる。
【0047】
以上、本発明に係るレーザ切断装置について実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
前記実施形態では、加工台4と自動掃除具6を一体に移動させるようにしたが、自動掃除具6と加工台4とを別機構によって移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態のレーザ切断装置について、その加工部分を示した図である。
【図2】実施形態のレーザ切断装置について、その加工ヘッドを示した断面図である。
【図3】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の構造を示した側面図である。
【図4】実施形態のレーザ切断装置について、図3のA−A断面を示した加工台の断面図である。
【図5】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の周辺構造を示した側面図である。
【図6】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の周辺構造を示した図5のB−B断面図である。
【図7】実施形態のレーザ切断装置について、自動掃除具を示した断面図である。
【図8】ドリルホルダを示した平面図(a)と側面図(b)である。
【図9】実施形態のレーザ切断装置について、加工台側の周辺構造を示した自動掃除状態の側面図である。
【図10】ノズルに対する掃除状態を示した自動掃除具の断面図である。
【図11】従来のレーザ切断装置の一部を示した断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 レーザ切断装置
2 加工ヘッド
3 ヘッド側ステージ
4 加工台
5 光ファイバ
6 自動掃除具
11 集光レンズ
13 ノズル
15 ピエゾ素子
30 角パイプ
31 昇降用シリンダ
33 スライドプレート
36 スライド用シリンダ
41 掃除用シリンダ
46 ピストンロッド
50 掃除ヘッド
L レーザ光
O 光軸
W ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板などのワークを挟んで上方に加工ヘッドを、下方には加工台が配置され、集光レンズを備えた加工ヘッドからアシストガスを噴射するノズルを通してレーザ光を照射するようにしたレーザ切断装置において、
前記加工台を上下方向に昇降させる昇降手段と、前記加工台を横方向に移動させる横移動手段とを有するものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載するレーザ切断装置において、
前記加工ヘッドのノズルに対し掃除ドリルを差し込むことによって当該ノズルの掃除作業を自動で行う自動掃除具を備え、
その自動掃除具は、前記加工台が移動した後に前記加工ヘッドの真下に位置決するように設けられたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するレーザ切断装置において、
前記加工台又は、前記加工台及び自動掃除具は、架台に対して横移動が可能なスライダに固定され、
前記スライダは、前記架台に設けられた横移動用のアクチュエータによって横移動し、
前記架台は、昇降用のアクチュエータによって昇降するようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項4】
請求項3に記載するレーザ切断装置において、
前記架台は角パイプであって、前記加工台を介して引いたアシストガスを更に当該角パイプを通して排出するようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載するレーザ切断装置において、
前記自動掃除具は、上下方向に動作する掃除用アクチュエータに前記掃除ドリルが取り付けられ、前記掃除位置にて前記掃除ドリルを前記ノズルに対して差し込むようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項6】
請求項5に記載するレーザ切断装置において、
前記掃除用アクチュエータには、固定された前記掃除ドリルを覆う案内カバーが弾性部材によって変位可能に取り付けられ、
その案内カバーは、前記掃除用アクチュエータの動作によって突き当てられる位置に前記ノズル先端が入り込む位置決め孔が形成され、
前記掃除ドリルは、前記ノズルへ突き当てられて変位する前記案内カバーから前記位置決め孔を通って突き出し、前記ノズルに対して差し込まれるようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項7】
請求項6に記載するレーザ切断装置において、
前記自動掃除具は、前記掃除用アクチュエータがエアシリンダであって、そのエアシリンダを動作させる作動エアを前記位置決め孔にまで送るための流路が形成され、前記案内カバーには、前記位置決め孔に連通する横孔が形成されたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項1】
金属板などのワークを挟んで上方に加工ヘッドを、下方には加工台が配置され、集光レンズを備えた加工ヘッドからアシストガスを噴射するノズルを通してレーザ光を照射するようにしたレーザ切断装置において、
前記加工台を上下方向に昇降させる昇降手段と、前記加工台を横方向に移動させる横移動手段とを有するものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載するレーザ切断装置において、
前記加工ヘッドのノズルに対し掃除ドリルを差し込むことによって当該ノズルの掃除作業を自動で行う自動掃除具を備え、
その自動掃除具は、前記加工台が移動した後に前記加工ヘッドの真下に位置決するように設けられたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するレーザ切断装置において、
前記加工台又は、前記加工台及び自動掃除具は、架台に対して横移動が可能なスライダに固定され、
前記スライダは、前記架台に設けられた横移動用のアクチュエータによって横移動し、
前記架台は、昇降用のアクチュエータによって昇降するようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項4】
請求項3に記載するレーザ切断装置において、
前記架台は角パイプであって、前記加工台を介して引いたアシストガスを更に当該角パイプを通して排出するようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載するレーザ切断装置において、
前記自動掃除具は、上下方向に動作する掃除用アクチュエータに前記掃除ドリルが取り付けられ、前記掃除位置にて前記掃除ドリルを前記ノズルに対して差し込むようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項6】
請求項5に記載するレーザ切断装置において、
前記掃除用アクチュエータには、固定された前記掃除ドリルを覆う案内カバーが弾性部材によって変位可能に取り付けられ、
その案内カバーは、前記掃除用アクチュエータの動作によって突き当てられる位置に前記ノズル先端が入り込む位置決め孔が形成され、
前記掃除ドリルは、前記ノズルへ突き当てられて変位する前記案内カバーから前記位置決め孔を通って突き出し、前記ノズルに対して差し込まれるようにしたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【請求項7】
請求項6に記載するレーザ切断装置において、
前記自動掃除具は、前記掃除用アクチュエータがエアシリンダであって、そのエアシリンダを動作させる作動エアを前記位置決め孔にまで送るための流路が形成され、前記案内カバーには、前記位置決め孔に連通する横孔が形成されたものであることを特徴とするレーザ切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−307556(P2008−307556A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155870(P2007−155870)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
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