説明

レーザ加工機

【課題】板状のワーク及び長尺のパイプ材のレーザ加工を行うことができると共に、レーザ加工時に発生した塵埃が周囲に飛散することを抑制することのできるレーザ加工機を提供する。
【解決手段】レーザ加工ヘッド17がX軸方向及びY軸方向へ移動自在なレーザ加工領域19のX軸方向の適宜一側にレーザ発振器7を備え、前記レーザ加工領域19のX軸方向の一側に備えた平板加工用パレット23又は長尺材加工用パレット27の一方の加工用パレットを備えると共に、当該一方の加工用パレットを前記レーザ加工領域19へ移動位置決め可能に備え、前記レーザ加工領域19のX軸方向の他側に備えた長尺材加工用パレット27又は平板加工用パレット23の他方の加工用パレットを備えると共に、当該他方の加工用パレットを、前記レーザ加工領域19へ移動位置決め可能に備え、前記長尺材加工用パレット27上において長尺材を把持して回転自在なメインチャック33を、集塵装置に接続可能に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状のワーク及び例えばパイプ材やチャンネル材などのごとき長尺材のレーザ加工を行うことのできるレーザ加工機に係り、さらに詳細には、レーザ加工を行うためのレーザ加工ヘッドがX軸、Y軸方向へ移動自在なレーザ加工領域に対して、板状のワークを支持する平板加工用パレット又はパイプ材等の長尺材を支持する長尺材加工用パレットなどの加工用パレットを移動位置決め自在なレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工機において種々の形状のワークのレーザ切断加工などのレーザ加工が行われている。この場合、板状のワークのレーザ加工を行うレーザ加工機は平板加工用として開発されており、パイプ材等の長尺材のレーザ加工を行うレーザ加工機は長尺材加工用として開発されているのが一般的である。すなわち、板状のワークのレーザ加工と、長尺材のレーザ加工とを共に行うことのできるレーザ加工機は少ないものである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−58182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の発明においては、板状のワーク及びパイプ材のレーザ加工を行い得るものの、パイプ材のレーザ加工を行う場合、移動テーブルのY軸方向の前面に備えたアタッチメントによってパイプ材を支持する構成である。したがって、パイプ材のレーザ加工時に発生する塵埃等が周囲に飛散し易いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、X軸方向へ移動位置決め自在に備えたX軸キャリッジに、レーザ加工ヘッドをY軸方向へ移動位置決め自在に備えたレーザ加工機であって、前記レーザ加工ヘッドがX軸方向及びY軸方向へ移動自在なレーザ加工領域を備え、前記レーザ加工領域のX軸方向の一側に備えた平板加工用パレット又は長尺材加工用パレットの一方の加工用パレットを備えると共に、当該一方の加工用パレットを前記レーザ加工領域へ移動位置決め可能に備え、前記レーザ加工領域のX軸方向の他側に備えた長尺材加工用パレット又は平板加工用パレットの他方の加工用パレットを備えると共に、当該他方の加工用パレットを、前記レーザ加工領域へ移動位置決め可能に備え、前記長尺材加工用パレット上において長尺材を把持して回転自在なメインチャックを、集塵装置に接続可能に備えていることを特徴とするものである。
【0006】
また、前記レーザ加工機において、前記メインチャックと接続される前記集塵装置に設けたダクトユニットを、前記レーザ加工領域から退避する前記長尺材加工用パレットの退避領域に上下動自在に備えていることを特徴とするものである。
【0007】
また、前記レーザ加工機において、前記平板加工用パレットを前記レーザ加工領域に位置決めして板材のレーザ加工を行うときに集塵作用を行うための集塵室を前記レーザ加工領域に備え、前記長尺材加工用パレットの前記メインチャックと接続離脱自在な前記ダクトユニットを前記長尺材加工用パレットの退避領域に備え、集塵装置に接続した集塵切替え装置を、前記集塵室又は前記接続ダクトユニットに接続状態を切換え自在に備えていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記レーザ加工機において、
前記メインチャックはメインチャックダクトを備え、
前記ダクトユニットは接続ダクトを備え、
前記レーザ加工領域に位置決めした前記長尺材加工用パレットに備えられた前記メインチャックダクトに対して、接続ダクトを接続離脱自在に接近離反する方向へ移動自在に設けてあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザ加工ヘッドがX、Y軸方向に移動自在なレーザ加工領域に対して、平板加工用パレットを移動位置決めすることができると共に、長尺材加工用パレットを移動位置決めすることができるので、板状及びパイプ材のレーザ加工を行い得るものである。そして、パイプ材のレーザ加工を行う際には、パイプ材を把持自在なメインチャックを集塵装置に接続することができるので、パイプ材のレーザ加工時に発生する塵埃が周囲に飛散することを抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るレーザ加工機の全体的構成を概念的、概略的に示した斜視説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレーザ加工機の全体的構成を概念的、概略的に示した斜視説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るレーザ加工機に使用される長尺材加工用パレットの全体的構成を概念的、概略的に示した斜視説明図である。
【図4】ダクトユニットが上昇して接続ダクトをメインチャックダクトに接続した状態を示す斜視説明図である。
【図5】ダクトユニットを下降した状態を示す斜視説明図である。
【図6】ダクトフレームの上板を開いて、パイプ材を供給する状態の斜視説明図である。
【図7】集塵切換装置の構成、作用を示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1、2を参照するに、本発明の実施形態に係るレーザ加工機1は、上部側を開口した箱状の本体フレーム3を備えている。この本体フレーム3は、X軸方向に長く構成してあって、X軸方向の一端側には、Y軸方向の両側にそれぞれ支柱フレーム5A,5Bを立設して備えた発振器ベース5が備えられている。そして、発振器ベース5の両側の前記支持フレーム5A,5B上には、Y軸方向に長いレーザ発振器7のY軸方向の両端側が支持されている。したがって、前記発振器ベース5と前記レーザ発振器7との間には、X軸方向に連通した大きな開口部9が形成してある。
【0012】
前記本体フレーム3におけるY軸方向の両側の側壁11の壁面にはX軸方向に長いガイドレール13がそれぞれ備えられている。このガイドレール13には、Y軸方向に長い門型のX軸キャリッジ15のY軸方向の両側がX軸方向へ移動位置決め自在に支持されている。そして、このX軸キャリッジ15には、レーザ加工ヘッド17がY軸方向へ移動位置決め自在に備えられている。したがって、前記レーザ加工ヘッド17はX、Y軸方向へ移動自在である。そして、レーザ加工ヘッド17は、通常の一般的なレーザ加工機と同様にZ軸方向(上下方向)へ移動位置決め自在に備えられているものである。
【0013】
前記レーザ加工ヘッド17がX、Y軸方向へ移動自在なレーザ加工領域19に対応して、前記本体フレーム3の内部にはX軸方向に区画した複数の集塵室21A〜21Dが備えられている。この各集塵室21A〜21Dは、前記本体フレーム3における前記側壁11の内側に備えられたX軸方向の集塵ダクト(図示省略)に連通遮断自在に構成してある。なお、前記各集塵室21A〜21Dは、前記X軸キャリッジ15がX軸方向に移動することにより対応する集塵室のみが前記集塵ダクトと連通状態となるものである。
【0014】
前記本体フレーム3のX軸方向の一側方には、レーザ加工を行うべき板材を支持する平板加工用パレット23をX軸方向へ移動可能に支持した支持架台25が配置してある。そして、本体フレーム3のX軸方向の他側方には、例えばチャンネル材やパイプ材などの長尺材を支持する長尺材加工用パレット27をX軸方向へ移動自在に支持する支持架台29が配置してある。なお、前記平板加工用パレット23と長尺材加工用パレット27の配置関係は相対的なものであるから、図1、2に示した配置関係を逆にすることも可能である。
【0015】
前記平板加工用パレット23及び前記長尺材加工用パレット27を、前記レーザ加工領域19へ案内し移動位置決めするために、前記本体フレーム3における両側壁11の内側上部にはX軸方向のガイドレールなどのガイド部31が備えられている。したがって、前記支持架台25上から前記レーザ加工領域19へ平板加工用パレット23を移動することができる。また、前記支持架台29上から前記開口部9を通過して、前記レーザ加工領域19へ長尺材加工用パレット27を移動することができる。そして、前記レーザ加工領域19に対して前記平板加工用パレット23及び長尺材加工用パレット27を位置決め固定するために、前記レーザ加工領域19には、例えばショットピンなどのごとき適宜の位置決め固定手段(図示省略)が備えられている。
【0016】
前記平板加工用パレット23は、板材を支持する剣山等を上面に備えた一般的な構成であるから、平板加工用パレット23の詳細についての説明は省略する。
【0017】
前記長尺材加工用パレット27は、図3に示すごとく構成してある。すなわち、長尺材加工用パレット27はX軸方向に長い枠体の構成であって、当該長尺材加工用パレット27のX軸方向の一端部にはメインチャック33が備えられている。このメインチャック33は、当該メインチャック33をX軸方向に貫通したチャンネル材やパイプ材などの長尺材(図示省略)を直交する二方向(例えばZ軸方向、Y軸方向の二方向)から把持(挟持)自在である。そして、このメインチャック33は、サーボモータM1によって回転割出しが行われるものである。なお、この種のメインチャックの構成は、例えば特開2010−12479号公報に示されているように公知であるから、メインチャック33のより詳細な構成、作用についての説明は省略する。
【0018】
前記長尺材加工用パレット27において、前記メインチャック33に対応した位置には、X軸方向のガイドレール35が備えられている。そして、このガイドレール35には、長尺材にレーザ加工が行われるレーザ加工位置に近接した位置を支持するサポートチャック37がX軸方向へ移動自在に支持されている。このサポートチャック37は、前記X軸キャリッジ15と一体的に連結自在であって、前記X軸キャリッジ15に連動してX軸方向へ一体的に移動する構成である。
【0019】
なお、前記サポートチャック37は、前記特開2010−12479号公報に記載されているパイプサポート装置と同様の構成であって、当該パイプサポート装置と同様に、長尺材を挟持(把持)してX軸方向へ一体的に移動する機能を有すると共に、長尺材を、X軸方向へ相対的に移動自在に支持する機能を有するものである。すなわち、前記サポートチャック37は、前記パイプサポート装置の構成と同一であってもよいものであるから、サポートチャック37のより詳細な説明は省略する。
【0020】
また、前記長尺材加工用パレット27において、前記ガイドレール35のX軸方向の他端側(前記メインチャック33の反対側の端部側)には、適数の製品サポート39がX軸方向へ移動自在に備えられている。この製品サポート39は、長尺材の先端部からレーザ加工によって製品を切断分離するときに製品を支持すべく使用されるものである。
【0021】
この製品サポート39は、前記ガイドレール35に沿ってX軸方向へ手動的に移動位置決め自在なスライドフレーム41にリング状の回転部材43を回転自在に備えた構成である。そして、この回転部材43に、長尺材を直交する二方向から挟持(把持)自在な挟持ローラ(図示省略)を備えた構成である。なお、製品サポート39において、二方向の二対の挟持ローラが互いに接近離反する構成は、前記特開2010−12479号公報に記載されている。パイプサポート装置に備えた挟持ローラと同様の構成であるから、製品サポート39のより詳細な説明は省略する。
【0022】
前記構成により、前記長尺材加工用パレット27を前記レーザ加工領域19へ移動位置決めして長尺材のレーザ加工を行うとき、前記メインチャック33をX軸方向に貫通した長尺材の先端側は、前記サポートチャック37によって相対的にX軸方向へ移動自在に支持されるものである。そして、前記サポートチャック37が前記X軸キャリッジ15に一体的に連結され、前記メインチャック33によって長尺材の軸心回りの回転割出しを行うと共に、X軸キャリッジ15に備えたレーザ加工ヘッド17によってレーザ加工が行われる。上述のようにレーザ加工を行うとき、前記サポートチャック37は、長尺材を支持した状態でもって前記X軸キャリッジ15と一体的にX軸方向へ移動するものである。
【0023】
前述のごとく、長尺材のレーザ加工を行って、先端側の製品を切断分離する際に、前記製品サポート39をガイドレール35に沿ってX軸方向へ移動して、前記製品を支持するものである。したがって、切断分離される製品を常に水平に保持することができ、製品の切断分離を正確に行うことができるものである。
【0024】
前記構成において、板材のレーザ加工を行うときには、前記長尺材加工用パレット27を、前記レーザ加工領域19から支持架台29上へ退避する。そして、板材を載置した平板加工用パレット23を、支持架台25上から前記レーザ加工領域19へ移動位置決めする。そして、位置決めされた板材に対して、レーザ加工ヘッド17をX、Y軸方向へ移動位置決めすることにより、板材にレーザ加工が行われる。前記平板加工用パレット23に支持された板材のレーザ加工時に発生した塵埃等は、レーザ加工領域19に備えた前記集塵室21A〜21Dの吸引作用によって吸引除去されるものである。
【0025】
前記長尺材加工用パレット27に長尺のパイプ材をセットして、当該パイプ材のレーザ加工を行うと、レーザ加工時に発生した塵埃等がパイプ材内に進入すると、前記パイプ材の端部から外部へ流出して周囲に飛散することがある。そこで、本実施形態においては、前記メインチャック33に対して接続、離脱可能なダクトユニット45が前記支持架台29の内側に上下動可能に備えられている。なお、前記支持架台29は、前記レーザ加工領域19から退避した前記長尺材加工用パレット27を支持するものであるから、前記ダクトユニット45は、長尺材加工用パレット27の退避領域内に上下動自在に備えられているものである。
【0026】
より詳細には、図4,5に示すように、前記支持架台29の内部にはリフター装置47が配置してあり、このリフター装置47において上下動自在な水平な支持プレート49上には、X軸方向に長いダクトフレーム51が装着してある。上記ダクトフレーム51は、断面形状が四角形状の箱状又は筒状に形成してあり、このダクトフレーム51が前記メインチャック33と対向する内端面は開口してある。そして、前記ダクトフレーム51には、前記メインチャック33(図4には図示省略)に一体的に備えたメインチャックダクト53と接続離脱自在な接続ダクト55が前記内端面からX軸方向へ出入自在に備えられている。
【0027】
前記ダクトユニット45は、前記長尺材加工用パレット27が前記レーザ加工領域19へ移動位置決めされたときに、リフター装置47の作用によって上昇される。そして、ダクトユニット45が上昇された状態において、前記ダクトフレーム51から前記接続ダクト55が前記レーザ加工領域19方向へ突出される。そして、前記発振器ベース5の開口部9を経て、前記レーザ加工領域19に位置決めされた前記長尺材加工用パレット27に備えられている前記メインチャック33の前記メインチャックダクト53に、前記接続ダクト55の先端部が適宜の接続具を介して一体的に接続されるものである。
【0028】
したがって、前記ダクトユニット45を、集塵装置(図示省略)に接続して吸引作用を行うことにより、前記接続ダクト55、メインチャックダクト53を介して、メインチャック33に把持されているパイプ材の内部から、レーザ加工時に発生した塵埃等を吸引除去することができるものである。
【0029】
前記ダクトフレーム51における上面を覆った上板57及びダクトフレーム51の外端面(前記内端面の反対側の端面)を閉じた端面板(図示省略)は一体的に備えられている。そして、上記上板57と端面板は、前記ダクトフレーム51に備えたY軸方向のガイドレール59にY軸方向へ移動自在に案内されている。したがって、前記上板57及び端面板を、前記ガイドレール59に沿ってY軸方向へ一体的に移動することにより、前記ダクトフレーム51の上面及び外端面を、図6に示すように、開くことができるものである。
【0030】
前述のように、ダクトフレーム51の外端面及び上面を開くことにより、比較的長いパイプ材Pであっても、前記接続ダクト55を挿通して、レーザ加工領域19に位置決めした長尺材加工用パレット27に備えられているメインチャック33へ供給しX軸方向に挿通することができるものである。そして、前記上板57及び端面板を元に戻して、ダクトフレーム51の上面及び外端面を閉じることにより、前記メインチャック33からダクトフレーム51内へ突出した状態にあるパイプ材の長い後端部側を、ダクトフレーム51内に収容した状態とすることができる。すなわち、パイプ材の長い後端部側を、ダクトフレーム51によって覆うことができるものである。
【0031】
前述のように、ダクトフレーム51の上面及び外端面を開閉する構成に代えて、ダクトフレーム51のY軸方向の側面及び外端面を開閉する構成として、パイプ材をY軸方向から水平にダクトフレーム51内に入れた後、パイプ材を長手方向(X軸方向)へ移動して、レーザ加工領域19に位置決めしたメインチャック33に対してパイプ材を供給し挿通する構成とすることも可能である。また、前記ダクトフレーム51における外端面のみを開閉する構成として、パイプ材をX軸方向から挿通する構成とすることも可能である。
【0032】
既に理解されるように、前記レーザ加工領域19に対して平板加工用パレット23を位置決めして板材のレーザ加工を行うときには、前記長尺材加工用パレット27は、前記支持架台29上へ退避されるものである。この際、前記メインチャック33に備えたメインチャックダクト53と前記接続ダクト55との接続を解除する。そして、接続ダクト55をダクトフレーム51内に収容した後、リフター装置47の作用によってダクトユニット45の下降が行われる。したがって、ダクトユニット45と長尺材加工用パレット27とが干渉することはないものである。
【0033】
上述のように、下降した状態のダクトユニット45の上方位置へ長尺材加工用パレット27が退避移動するものであるから、前記長尺材加工用パレット27と前記ダクトユニット45とをX軸方向へ一体的に移動する場合に比較して、全体的構成の省スペース化を図ることができるものである。
【0034】
前記ダクトユニット45における前記ダクトフレーム51は、可撓性の接続パイプ61を介して集塵装置(図示省略)に接続してある。より詳細には、前記接続パイプ61の一端部は前記ダクトフレーム51の外端部付近に設けた接続穴51H(図6参照)に接続してある。そして当該接続パイプ61の他端部は、集塵切換装置63(図7参照)におけるハウジング63Hに備えたパイプ接続部65に接続してある。
【0035】
前記集塵切換装置63における前記ハウジング63Hは箱状に構成してあり、この集塵切換装置63の一側面には、前記パイプ接続部65が備えられていると共に、前記発振器ベース5に備えた接続管67(図5参照)と接続した接続口69を、前記一側面の反対側の他側面に備えている。前記接続管67は、前記本体フレーム3における前記側壁11の内側に備えられたX軸方向の前記集塵ダクト(図示省略)と連通してある。さらに、前記集塵切換装置63には、接続パイプ71を介して集塵装置(図示省略)と接続した接続開口73が備えられている。
【0036】
さらに、前記集塵切換装置63におけるハウジング63H内には、切換弁75が回動軸77を介して回動自在に備えられている。この切換弁75は、前記接続開口73と前記パイプ接続部65との接続を遮断して、前記接続開口73と前記接続口69とを接続する作用をする。また、切換弁75は、前記接続開口73と前記接続口69との接続を遮断し、前記接続開口73と前記パイプ接続部65とを接続する作用をなすものである。そして、前記切換弁75を回動するために、前記回動軸77には回動アーム79の基端部が一体的に取付けてあり、この回動アーム79の先端部には、前記ハウジング63Hに取付けた流体圧シリンダ等のごとき往復作動装置81に往復動自在に備えたピストンロッドのごとき往復作動杆83の先端部が枢支連結してある。
【0037】
したがって、前記切換弁75を回動するための回動用アクチュエータの1例としての前記往復作動装置81における往復作動杆83を往復動すると、前記切換弁75は、図7に示すように、前記パイプ接続部65側を閉じて前記接続口69側を開いた状態と、逆に、前記接続口69側を閉じて前記パイプ接続部65側を開いた状態に切換えられるものである。
【0038】
なお、前記切換弁75の切換え動作は手動的に行うことも可能であるが、次のように構成することも可能である。すなわち、前記支持架台25に平板加工用パレット23の有無を検出するためのセンサS1(図面には符号を省略)を備えると共に、支持架台29に、長尺材加工用パレット27の有無を検出するためのセンサS2を備える。
【0039】
そして、センサS1がOFFでセンサS2がONの条件のときには、平板加工用パレット23がレーザ加工領域19に位置決めされているものとして、前記パイプ接続部65側を閉じて前記接続口69側を開くように切換弁75を回動する。逆に、センサS1がONでセンサS2がOFFの条件のときには、長尺材加工用パレット27がレーザ加工領域19に位置決めされているものとして、前記接続口69側を閉じて前記パイプ接続部65側を開くように切換弁75を回動する。
【0040】
したがって、レーザ加工領域19に平板加工用パレット23を位置決めして平板のレーザ加工を行うときには、レーザ加工領域19に備えた集塵室21A〜21Dにより集塵が行われ、レーザ加工時に発生する塵埃等が周囲に飛散することが抑制されるものである。そして、長尺材加工用パレット27を前記レーザ加工領域19に位置決めしてパイプ材Pのレーザ加工を行うときには、前記ダクトユニット45の吸引作用によってパイプ材Pの内部の吸引が行われる。したがって、パイプ材Pのレーザ加工時に発生した塵埃等がパイプ材Pの先端部から外部へ流出することが防止され、周囲に飛散することが抑制されるものである。
【0041】
以上のごとき説明より理解されるように、レーザ加工領域19に対して平板加工用パレット23と長尺材加工用パレット27とを入れ替えて、板材のレーザ加工を行う場合や、パイプ材Pのレーザ加工を行う場合であっても、レーザ加工時に発生した塵埃等が周囲に飛散することを抑制することができるものである。
【0042】
また、前記構成によれば、長尺材加工用パレット27のX軸方向の長さよりも長いパイプ材のレーザ加工を行うとき、前記長尺材加工用パレット27に備えたメインチャック33に対してX軸方向から挿通することが容易である。そして、上記パイプ材の後端部が前記メインチャック33からX軸方向に突出した場合であっても、この突出した後端部をダクトユニット45におけるダクトフレーム51、接続ダクト55によって覆うことができる。よって、パイプ材のレーザ加工時に、パイプ材の内部を吸引することができ、塵埃等が先端側から流出することを防止することができるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 レーザ加工機
3 本体フレーム
7 レーザ発振器
9 開口部
15 X軸キャリッジ
17 レーザ加工ヘッド
19 レーザ加工領域
23 平板加工用パレット
27 長尺材加工用パレット
29 支持架台
33 メインチャック
37 サポートチャック
39 製品サポート
45 ダクトユニット
51 ダクトフレーム
53 メインチャックダクト
55 接続ダクト
57 上板
63 集塵切換装置
65 パイプ接続部
69 接続口
71 接続パイプ
73 接続開口
75 切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X軸方向へ移動位置決め自在に備えたX軸キャリッジに、レーザ加工ヘッドをY軸方向へ移動位置決め自在に備えたレーザ加工機であって、前記レーザ加工ヘッドがX軸方向及びY軸方向へ移動自在なレーザ加工領域を備え、前記レーザ加工領域のX軸方向の一側に備えた平板加工用パレット又は長尺材加工用パレットの一方の加工用パレットを備えると共に、当該一方の加工用パレットを前記レーザ加工領域へ移動位置決め可能に備え、前記レーザ加工領域のX軸方向の他側に備えた長尺材加工用パレット又は平板加工用パレットの他方の加工用パレットを備えると共に、当該他方の加工用パレットを、前記レーザ加工領域へ移動位置決め可能に備え、前記長尺材加工用パレット上において長尺材を把持して回転自在なメインチャックを、集塵装置に接続可能に備えていることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工機において、前記メインチャックと接続される前記集塵装置に設けたダクトユニットを、前記レーザ加工領域から退避する前記長尺材加工用パレットの退避領域に上下動自在に備えていることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工機において、前記平板加工用パレットを前記レーザ加工領域に位置決めして板材のレーザ加工を行うときに集塵作用を行うための集塵室を前記レーザ加工領域に備え、前記長尺材加工用パレットの前記メインチャックと接続離脱自在な前記ダクトユニットを前記長尺材加工用パレットの退避領域に備え、集塵装置に接続した集塵切替え装置を、前記集塵室又は前記接続ダクトユニットに接続状態を切換え自在に備えていることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のレーザ加工機において、
前記メインチャックはメインチャックダクトを備え、
前記ダクトユニットは接続ダクトを備え、
前記レーザ加工領域に位置決めした前記長尺材加工用パレットに備えられた前記メインチャックダクトに対して、接続ダクトを接続離脱自在に接近離反する方向へ移動自在に設けてあることを特徴とするレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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