レーザ加工装置およびレーザ加工方法
【課題】従来のレーザ加工装置では、fシータレンズが投影倍率を限定していたため、投影倍率を変更できないという課題があった。
【解決手段】投影倍率を変更した時に生ずる像面湾曲9を補正する補正ウインドウ5bを装着することで、容易に投影倍率を変更可能とし、補正ウインドウ5bは、非球面の面形状を有し、像面湾曲9をきめ細かに補正するとともに、補正ウインドウ5bは、着脱可能であるため、投影倍率の変更が容易となるレーザ加工装置を提供することができる。
【解決手段】投影倍率を変更した時に生ずる像面湾曲9を補正する補正ウインドウ5bを装着することで、容易に投影倍率を変更可能とし、補正ウインドウ5bは、非球面の面形状を有し、像面湾曲9をきめ細かに補正するとともに、補正ウインドウ5bは、着脱可能であるため、投影倍率の変更が容易となるレーザ加工装置を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて穴の加工や、切断を行うレーザ加工装置および加工方法に係り、特にプリント基板用レーザ穴あけ加工装置およびレーザ穴あけ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来のレーザ加工装置の概略図である。
【0003】
被加工物6であるプリント基板は、XYステージ12上に固定されている。fシータレンズ4、偏向手段3、絞り2は所定の位置関係で配置されZ方向に移動可能なZステージ13に固定されている。
【0004】
Zステージ13には板厚センサ14が設けられ、被加工物6とfシータレンズ4の位置関係を測定する。レーザ発振器11から出射されたレーザ光15は、コリメータレンズ16を通してマスク1に照射される。
【0005】
マスク1を通過したレーザ光15は、複数枚のミラー17で反射されてZステージ13に導かれる。絞り2によって高次の回折光を除去され、偏向手段3で走査されたレーザ光15は、fシータレンズ4で被加工物6に集光、マスク形状が像転写される。
【0006】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。走査距離は、偏向手段3による光学偏向角とfシータレンズ4の焦点距離fの積である。走査距離の範囲内が加工エリアとなり、概一辺30〜70mmの正方形が一般的な加工エリアである。
【0007】
レーザで加工される穴はマスク1を像転写して得られるが、像転写径dは、マスク1からfシータレンズ4までの距離aとfシータレンズ4から被加工物6表面までの距離bの比とマスク径φによって「d=φ・b/a」として求められる。距離aと距離bの比率は、投影倍率と呼ばれ、概1/17〜1/70であり、必要な加工穴径に応じて決めている。
【0008】
fシータレンズ4の加工範囲内の穴あけ加工が終了すると、XYステージ12を移動し、被加工物6の加工を順次実行する。加工穴径を変更するためには、マスク径を変更することが主流であり、数種類の径のマスク1を自動交換して穴径を変更する。穴径をダイナミックに変えるには、投影倍率を変更するため、距離aと距離bの比率を変更する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−37392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のレーザ加工装置の場合、fシータレンズ4は、設計投影倍率に最適化されており、異なる投影倍率で使用した場合には、平面上に結像ができない像面湾曲が現れる。そのため、fシータレンズ4は投影倍率を固定した条件で設計され、焦点深度の許容範囲内でのみ投影倍率の変更ができる。
【0011】
近年、プリント基板の高密度化が加速され、より解像度の高いfシータレンズを使用するようになってきたことにより、焦点深度が浅くなり、結像倍率が変えられないという問題点が出てきた。
【0012】
本発明は、fシータレンズの基本設計を変えずに、補正ウインドウを取り付けることで、投影倍率を変更したときに生ずる像面湾曲を補正するもので、安価に投影倍率を変更できるレーザ加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために本発明は、レーザ光の一部をマスク通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正するように構成した。
【0014】
また、本発明は、前記補正ウインドウの少なくとも1面が非球面形状を有するように構成した。
【0015】
また、本発明は、前記補正ウインドウを着脱可能なように構成した。また、前記補正ウインドウは、fシータレンズの入射側、又は出射側、又は両側に設けるように構成した。
【0016】
また、本発明は、補正係数の異なる前記補正ウインドウを複数枚備え、投影倍率に応じて自動切換えを行うように構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、レーザ光の一部をマスク通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正することにより、同一のfシータレンズを用いたままで投影倍率を自在に変更できるレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウの模式図(最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用)
【図2】同レーザ加工装置のfシータレンズの投影倍率を変えたときの像面湾曲を示すグラフ
【図3】本発明の実施の形態2におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウの模式図(最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用)
【図4】本発明の実施の形態3におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウの模式図(最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用)
【図5】本発明の実施の形態4におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図(最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用)
【図6】本発明の実施の形態5におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図(最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用)
【図7】本発明の実施の形態6におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図(最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用)
【図8】本発明の実施の形態7におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(出射側設置)の模式図
【図9】本発明の実施の形態8におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(両側設置)の模式図
【図10】本発明の実施の形態9におけるレーザ加工装置の旋回式自動切換え補正ウインドウの模式図
【図11】本発明の実施の形態10におけるレーザ加工装置の直動式自動切換え補正ウインドウの模式図
【図12】従来のレーザ加工装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の請求項1に記載の発明は、レーザ光の一部をマスクを通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正することで、同一のfシータレンズを用いたままで投影倍率を自在に変更できる作用を有する。
【0020】
請求項2記載の発明は、前記補正ウインドウの少なくとも1面が非球面形状を有することで、像面湾曲のきめ細かな補正を行う作用を有する。
【0021】
請求項3記載の発明は、前記補正ウインドウを着脱可能としたことで、臨機応変に投影倍率の変更を可能とする作用を有する。
【0022】
請求項4記載の発明は、前記補正ウインドウをfシータレンズの入射側、又は出射側、又は両側に設けたことでfシータレンズの塵埃からの保護を兼ね備える作用を有する。
【0023】
請求項5記載の発明は、補正係数の異なる前記補正ウインドウを複数枚備え、投影倍率に応じて自動切換えを行うことで、迅速な像面湾曲補正を可能とする作用を有する。
【0024】
請求項6記載の発明は、前記補正レンズの自動切換え移動を旋回式で行うことにより、長手方向の寸法を小さくする作用を有する。
【0025】
請求項7記載の発明は、前記補正レンズの自動切換え移動が直動式で行うことにより、移動方向に対する横幅の寸法を小さくする作用を有する。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(出射側設置)の模式図であり、最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用している場合を示している。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置は、マスク1、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、および第2光線8が照射される。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置において、fシータレンズの投影倍率を変えたときの像面湾曲を示すグラフである。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(出射側設置)の模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0029】
図3に示すように、本発明の実施の形態2におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲9は図示の通りである。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(出射側設置)の模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0030】
図4に示すように、本発明の実施の形態3におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5c、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲10は図示の通りである。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用している場合を示している。
【0031】
図5に示すように、本発明の実施の形態4におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a,5d、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0032】
図6に示すように、本発明の実施の形態5におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲9は図示の通りである。
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0033】
図7に示すように、本発明の実施の形態6におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5f、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲9は図示の通りである。
(実施の形態7)
図8は、本発明の実施の形態7におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(出射側設置)の模式図である。
【0034】
図8に示すように、本発明の実施の形態7におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5c、および被加工物6を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。
【0035】
なお、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cは図示しない補正ウインドウチェンジャーで選択される。
(実施の形態8)
図9は、本発明の実施の形態8におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(両側設置)の模式図である。
【0036】
図9に示すように、本発明の実施の形態8におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(平行平板)5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5f、および被加工物6を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。
【0037】
補正ウインドウ(平行平板)5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5fは図示しない補正ウインドウチェンジャーで選択される。
(実施の形態9)
図10は、本発明の実施の形態9におけるレーザ加工装置の旋回式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0038】
図10に示すように、本発明の実施の形態9におけるレーザ加工装置では、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが、旋回式自動切換え補正ウインドウチェンジャー51で選択される。
(実施の形態10)
図11は、本発明の実施の形態10におけるレーザ加工装置の直動式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0039】
図11に示すように、本発明の実施の形態10におけるレーザ加工装置では、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが、直動式自動切換え補正ウインドウチェンジャー52で選択される。
【実施例】
【0040】
次に本発明の具体例を説明する。
(実施例1)
fシータレンズ4は、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、第2の凸レンズ43の組み合わせレンズである。マスク1を通ったレーザ光15は、絞りで高次の回折光を除去した後、偏向手段3で偏向されレンズ群を通って被加工物6に集光、結像される。
【0041】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0042】
fシータレンズ4を構成するレンズは、球面収差による像面湾曲を小さくするため、非球面レンズを使用している。
【0043】
設計値での光学解析結果は、像面位置=72.792mm、像面湾曲=−1〜+2μmである。この時の補正ウインドウ5aは、平行平板であり、被加工物6から飛散する塵埃がfシータレンズ4に付着することを防止する保護ウインドウの作用を兼ね備えている。補正ウインドウ5aは、fシータレンズ4を通した第1光線7、第2光線8の光軸を屈折させる作用を有するため、b寸法を伸ばす効果を有するため、fシータレンズ4の設計を行う場合は、補正ウインドウ5aも含めた、トータルのレンズ設計を行っている。
【0044】
補正ウインドウ5aは、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
【0045】
図2は、fシータレンズの投影倍率を変えたときの像面湾曲を示す。
【0046】
投影倍率を変えると、レンズから像面までの距離bは変わるが、図2は、中心光軸での距離bを基準(=0)として、偏向手段3によって走査した位置での像面湾曲量を表している。
【0047】
ここで、像面湾曲が正の場合、像面位置はfシータレンズ4から遠ざかり、負の場合には、像面位置がfシータレンズ4に近づくことを示す。
【0048】
設計投影倍率(1/33=0.03)での像面湾曲は、1〜+2μmであるが、投影倍率を1/25(=0.04)にすると、像面湾曲は、−46μmとなり、投影倍率を1/70(=0.0143)にすると像面湾曲は+63μmとなる。
【0049】
像面湾曲の変化は、マスク1と絞り2の距離が変わったことに起因する。
【0050】
即ち、投影倍率を大きくするとマスク1が絞り2に近づき(距離aが減る)、絞り2を通るレーザ光の広がり角θが大きくなり、球面収差の影響が大きくなり、走査の外側に行くほど焦点位置がfシータレンズ4近づく方向に像面湾曲を発生する。
【0051】
逆に投影倍率を小さくすると、絞り2を通るレーザ光の広がり角θが平行光に近づき、レンズの非球面による球面収差補正が効きすぎて、走査の外側に行くほど焦点位置がfシータレンズ4から遠ざかる方向に像面湾曲を発生する。
(実施例2)
図3は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウの模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0052】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0053】
補正ウインドウ5bが無い(または平行平板の時)場合には、破線で示す−46μmの像面湾曲9を有するが、凹レンズ状の補正ウインドウ5bを用いると、像面湾曲は±2μm以内に修正される。この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで2.5μmであるが、面形状は非球面で構成される。本実施例においては、非球面係数A4次項の補正を行っており、補正効果は以下の通りである。
【0054】
補正なし:像面位置=73.733mm、像面湾曲=−46μm。
【0055】
A4次項補正:像面位置変化=+2μm、像面湾曲=+2〜−1μm。
【0056】
補正ウインドウ5bは、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例3)
図4は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウの模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0057】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0058】
補正ウインドウ5cが無い(または平行平板の時)場合には、破線で示す+63μmの像面湾曲10を有するが、凸レンズ状の補正ウインドウ5cを用いると、像面湾曲は±3μm以内に修正される。
【0059】
この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで−3μmであるが、面形状は非球面で構成される。本実施例においては、非球面係数A4次項とA10次項で補正を行っている。
【0060】
非球面係数の補正次数によって像面湾曲の補正効果が異なる。
【0061】
ウインドウの縁の厚さを−3μm一定として、(1)球面で補正した場合、(2)A4次項だけで補正した場合、(3)A4次項とA10次項で補正した場合を比べると、以下のようになる。
【0062】
補正なし:像面位置=71.204mm、像面湾曲=63μm。
(1)球面補正:像面位置変化=−26μm、像面湾曲=55μm。
(2)A4次項補正:像面位置変化=−2μm、像面湾曲=13μm。
(3)A4次項A10次項補正:像面位置変化=−3μm、像面湾曲=3μm。
【0063】
球面では、像面湾曲の補正効果は8μmしか無く、像面位置が−26μmずれてしまう。A4次項の補正を入れた場合は、像面湾曲の補正効果50μmが得られ、像面位置ずれは−2μmと小さく押さえられる。さらに、A10次項の補正を加えると、像面湾曲補正効果は60μmになり、像面湾曲は3μmに押さえられ、像面位置ずれも−3μmに押さえられる。
【0064】
補正ウインドウ5cは、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例4)
図5は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計の投影倍率(1/33=0.03)で使用している場合を示している。
【0065】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0066】
fシータレンズ4の両側に設置された補正ウインドウ5a,5dは、いずれも平行平板である。fシータレンズ4の入射側に設置された補正ウインドウ5dにより偏向手段3とfシータレンズ4の距離が短縮されるため、fシータレンズ4の位置は、偏向手段3から遠ざけて設置する。具体的には、Ge製の補正レンズを設置することで、間隔を3.781mm広げている。
【0067】
最適設計値における補正ウインドウ5a,5dは、平行平板であるため、レーザ光15は平行移動し、ワーキングディスタンスは伸びるが、像面湾曲に影響は受けない。
【0068】
補正ウインドウ5a,5dは、fシータレンズ4を塵埃から保護し、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例5)
第6は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0069】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0070】
補正ウインドウ5aは平行平板である。
【0071】
補正ウインドウ5eが平行平板の場合には、破線で示す−45μmの像面湾曲9を有するが、凹レンズ状の補正ウインドウ5eを用いると、像面湾曲は±2μm以内に修正される。この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで1.6μmであるが、面形状は非球面で構成される。
【0072】
本実施例においては、非球面係数A4次項とA6次項の補正を行っており、補正効果は以下の通りである。
【0073】
補正なし:像面位置=73.887mm、像面湾曲=−45μm。
【0074】
A4、A6次項補正:像面位置変化=+12μm、像面湾曲=+2〜−2μm。
【0075】
補正ウインドウ5a、5eは、fシータレンズ4を塵埃から保護し、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例6)
図7は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0076】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0077】
補正ウインドウ5aは平行平板である。
【0078】
補正ウインドウ5fが平行平板の場合には、破線で示す+63μmの像面湾曲10を有するが、凸レンズ状の補正ウインドウ5fを用いると、像面湾曲は+2〜−1μm以内に修正される。
【0079】
この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで−2.6μmであるが、面形状は非球面で構成される。本実施例においては、非球面係数A4次項のみで補正を行っており、補正効果は以下の通りである。
【0080】
補正なし:像面位置=71.358mm、像面湾曲=−63μm。
【0081】
A4次項補正:像面位置変化=−16μm、像面湾曲=+2〜−1μm。
【0082】
補正ウインドウ5a、5fは、fシータレンズ4を塵埃から保護し、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例7)
図8は、本発明によるfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(出射側設置)の模式図である。
【0083】
fシータレンズ4の出射側には、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cが、ウインドウチェンジャー50に装着されている。図示していないマスク1とfシータレンズ4の距離を変更し、投影倍率を切り替えたときに、像面湾曲を補正する最適の補正ウインドウ5a〜5cを自動切換えウインドウチェンジャー50を用いて切り替えることができる。
(実施例8)
図9は、本発明によるfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(両側設置)の模式図である。
【0084】
fシータレンズ4の出射側には、補正ウインドウ(平行平板)5aが取り付けられ、入射側には、補正ウインドウ(平行平板)5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5fが、ウインドウチェンジャー50に装着されている。図示していないマスク1とfシータレンズ4の距離を変更し、投影倍率を切り替えたときに、像面湾曲を補正する最適の補正ウインドウ5d〜5fを自動切換えウインドウチェンジャー50を用いて切り替えることができる。
(実施例9)
図10は、本発明による旋回式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0085】
図8および図9におけるウインドウチェンジャー50の一形態である旋回式自動切換え補正ウインドウチェンジャー51は、円盤形状であり、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが円周上に配置されている。旋回式補正ウインドウチェンジャー51を回転させることにより、fシータレンズ4と必要な補正ウインドウ5a〜5fの組み合わせを選択することができる。
(実施例10)
図11は、本発明による直動式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0086】
図8および図9におけるウインドウチェンジャー50の一形態である直動式自動切換え補正ウインドウチェンジャー52は、長方形形状であり、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが直線上に配置されている。直動式補正ウインドウチェンジャー52をスライドさせることにより、fシータレンズ4と必要な補正ウインドウ5a〜5fの組み合わせを選択することができる。
【0087】
以上のように、本発明に依れば、以下の効果が得られる。
【0088】
fシータレンズは、投影倍率を限定して設計を行っており、設計と異なる投影倍率で使用することができないという問題点があったが、補正ウインドウを装着することで幅広い投影倍率に対して使用可能となる。
【0089】
このことは、fシータレンズの設計に掛かる工数を大幅に減らし、開発期間を短縮するのみならず、開発費を大幅に削減し、結果として安価なレーザ加工機を提供することが可能となる。
【0090】
また、本発明に依れば、レーザ加工機としては、投影倍率を変更可能とすることができるため、加工穴径の要望に対して幅広く対応可能となる。
【0091】
また、本発明に依れば、補正ウインドウの面形状を非球面にすることで、球面収差の補正が容易になり、きめ細かな補正が可能となる。
【0092】
また、本発明に依れば、補正ウインドウをfシータレンズの入射側、反射側、または両側に装着することで、fシータレンズ周辺の配置設計自由度を大きくできる。
【0093】
また、本発明に依れば、補正ウインドウを着脱可能にしたことにより、投影倍率の変更が容易なレーザ加工機の提供が可能になる。
【0094】
また、本発明に依れば、補正ウインドウを複数枚装着し、自動切換えを行うことで、投影倍率を切り替えた時に必要な補正ウインドウを即座に選択、装着することが可能となり、加工機の段取り換え時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0095】
また、本発明に依れば、補正ウインドウチェンジャーを旋回式または直動式にすることで、fシータレンズ周辺の構造部材に邪魔されない配置を選択可能となり、設計自由度が広がる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、レーザ光を用いて穴の加工や、切断を行うレーザ加工装置および加工方法に係り、特にプリント基板用レーザ穴あけに有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 マスク
2 絞り
3 偏向手段
4 fシータレンズ
5a 補正ウインドウ(平行平板)
5b 補正ウインドウ(凹レンズ状補正)
5c 補正ウインドウ(凸レンズ状補正)
5d 補正ウインドウ(平行平板)
5e 補正ウインドウ(凹レンズ状補正)
5f 補正ウインドウ(凸レンズ状補正)
6 被加工物
7 第1光線
8 第2光線
9 像面湾曲
10 像面湾曲
11 レーザ発信器
12 XYステージ
13 Zステージ
14 板厚センサ
15 レーザ光
16 コリメータレンズ
17 ミラー
41 第1の凸レンズ
42 凹レンズ
43 第2の凸レンズ
51 旋回式自動切換え補正ウインドウチェンジャー
52 直動式自動切換え補正ウインドウチェンジャー
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて穴の加工や、切断を行うレーザ加工装置および加工方法に係り、特にプリント基板用レーザ穴あけ加工装置およびレーザ穴あけ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来のレーザ加工装置の概略図である。
【0003】
被加工物6であるプリント基板は、XYステージ12上に固定されている。fシータレンズ4、偏向手段3、絞り2は所定の位置関係で配置されZ方向に移動可能なZステージ13に固定されている。
【0004】
Zステージ13には板厚センサ14が設けられ、被加工物6とfシータレンズ4の位置関係を測定する。レーザ発振器11から出射されたレーザ光15は、コリメータレンズ16を通してマスク1に照射される。
【0005】
マスク1を通過したレーザ光15は、複数枚のミラー17で反射されてZステージ13に導かれる。絞り2によって高次の回折光を除去され、偏向手段3で走査されたレーザ光15は、fシータレンズ4で被加工物6に集光、マスク形状が像転写される。
【0006】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。走査距離は、偏向手段3による光学偏向角とfシータレンズ4の焦点距離fの積である。走査距離の範囲内が加工エリアとなり、概一辺30〜70mmの正方形が一般的な加工エリアである。
【0007】
レーザで加工される穴はマスク1を像転写して得られるが、像転写径dは、マスク1からfシータレンズ4までの距離aとfシータレンズ4から被加工物6表面までの距離bの比とマスク径φによって「d=φ・b/a」として求められる。距離aと距離bの比率は、投影倍率と呼ばれ、概1/17〜1/70であり、必要な加工穴径に応じて決めている。
【0008】
fシータレンズ4の加工範囲内の穴あけ加工が終了すると、XYステージ12を移動し、被加工物6の加工を順次実行する。加工穴径を変更するためには、マスク径を変更することが主流であり、数種類の径のマスク1を自動交換して穴径を変更する。穴径をダイナミックに変えるには、投影倍率を変更するため、距離aと距離bの比率を変更する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−37392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のレーザ加工装置の場合、fシータレンズ4は、設計投影倍率に最適化されており、異なる投影倍率で使用した場合には、平面上に結像ができない像面湾曲が現れる。そのため、fシータレンズ4は投影倍率を固定した条件で設計され、焦点深度の許容範囲内でのみ投影倍率の変更ができる。
【0011】
近年、プリント基板の高密度化が加速され、より解像度の高いfシータレンズを使用するようになってきたことにより、焦点深度が浅くなり、結像倍率が変えられないという問題点が出てきた。
【0012】
本発明は、fシータレンズの基本設計を変えずに、補正ウインドウを取り付けることで、投影倍率を変更したときに生ずる像面湾曲を補正するもので、安価に投影倍率を変更できるレーザ加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために本発明は、レーザ光の一部をマスク通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正するように構成した。
【0014】
また、本発明は、前記補正ウインドウの少なくとも1面が非球面形状を有するように構成した。
【0015】
また、本発明は、前記補正ウインドウを着脱可能なように構成した。また、前記補正ウインドウは、fシータレンズの入射側、又は出射側、又は両側に設けるように構成した。
【0016】
また、本発明は、補正係数の異なる前記補正ウインドウを複数枚備え、投影倍率に応じて自動切換えを行うように構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、レーザ光の一部をマスク通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正することにより、同一のfシータレンズを用いたままで投影倍率を自在に変更できるレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウの模式図(最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用)
【図2】同レーザ加工装置のfシータレンズの投影倍率を変えたときの像面湾曲を示すグラフ
【図3】本発明の実施の形態2におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウの模式図(最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用)
【図4】本発明の実施の形態3におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウの模式図(最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用)
【図5】本発明の実施の形態4におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図(最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用)
【図6】本発明の実施の形態5におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図(最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用)
【図7】本発明の実施の形態6におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図(最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用)
【図8】本発明の実施の形態7におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(出射側設置)の模式図
【図9】本発明の実施の形態8におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(両側設置)の模式図
【図10】本発明の実施の形態9におけるレーザ加工装置の旋回式自動切換え補正ウインドウの模式図
【図11】本発明の実施の形態10におけるレーザ加工装置の直動式自動切換え補正ウインドウの模式図
【図12】従来のレーザ加工装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の請求項1に記載の発明は、レーザ光の一部をマスクを通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正することで、同一のfシータレンズを用いたままで投影倍率を自在に変更できる作用を有する。
【0020】
請求項2記載の発明は、前記補正ウインドウの少なくとも1面が非球面形状を有することで、像面湾曲のきめ細かな補正を行う作用を有する。
【0021】
請求項3記載の発明は、前記補正ウインドウを着脱可能としたことで、臨機応変に投影倍率の変更を可能とする作用を有する。
【0022】
請求項4記載の発明は、前記補正ウインドウをfシータレンズの入射側、又は出射側、又は両側に設けたことでfシータレンズの塵埃からの保護を兼ね備える作用を有する。
【0023】
請求項5記載の発明は、補正係数の異なる前記補正ウインドウを複数枚備え、投影倍率に応じて自動切換えを行うことで、迅速な像面湾曲補正を可能とする作用を有する。
【0024】
請求項6記載の発明は、前記補正レンズの自動切換え移動を旋回式で行うことにより、長手方向の寸法を小さくする作用を有する。
【0025】
請求項7記載の発明は、前記補正レンズの自動切換え移動が直動式で行うことにより、移動方向に対する横幅の寸法を小さくする作用を有する。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(出射側設置)の模式図であり、最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用している場合を示している。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置は、マスク1、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、および第2光線8が照射される。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態1におけるレーザ加工装置において、fシータレンズの投影倍率を変えたときの像面湾曲を示すグラフである。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(出射側設置)の模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0029】
図3に示すように、本発明の実施の形態2におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲9は図示の通りである。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(出射側設置)の模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0030】
図4に示すように、本発明の実施の形態3におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5c、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲10は図示の通りである。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計された投影倍率(1/33=0.03)で使用している場合を示している。
【0031】
図5に示すように、本発明の実施の形態4におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a,5d、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0032】
図6に示すように、本発明の実施の形態5におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲9は図示の通りである。
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6におけるレーザ加工装置のfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0033】
図7に示すように、本発明の実施の形態6におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5f、被加工物6、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、および第2の凸レンズ43を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。なお、補正を行わない場合の像面湾曲9は図示の通りである。
(実施の形態7)
図8は、本発明の実施の形態7におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(出射側設置)の模式図である。
【0034】
図8に示すように、本発明の実施の形態7におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5c、および被加工物6を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。
【0035】
なお、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cは図示しない補正ウインドウチェンジャーで選択される。
(実施の形態8)
図9は、本発明の実施の形態8におけるレーザ加工装置のfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(両側設置)の模式図である。
【0036】
図9に示すように、本発明の実施の形態8におけるレーザ加工装置は、絞り2、偏向手段3、fシータレンズ4、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(平行平板)5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5f、および被加工物6を有し、レーザ光15、第1光線7、第2光線8を照射する。
【0037】
補正ウインドウ(平行平板)5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5fは図示しない補正ウインドウチェンジャーで選択される。
(実施の形態9)
図10は、本発明の実施の形態9におけるレーザ加工装置の旋回式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0038】
図10に示すように、本発明の実施の形態9におけるレーザ加工装置では、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが、旋回式自動切換え補正ウインドウチェンジャー51で選択される。
(実施の形態10)
図11は、本発明の実施の形態10におけるレーザ加工装置の直動式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0039】
図11に示すように、本発明の実施の形態10におけるレーザ加工装置では、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、および補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが、直動式自動切換え補正ウインドウチェンジャー52で選択される。
【実施例】
【0040】
次に本発明の具体例を説明する。
(実施例1)
fシータレンズ4は、第1の凸レンズ41、凹レンズ42、第2の凸レンズ43の組み合わせレンズである。マスク1を通ったレーザ光15は、絞りで高次の回折光を除去した後、偏向手段3で偏向されレンズ群を通って被加工物6に集光、結像される。
【0041】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0042】
fシータレンズ4を構成するレンズは、球面収差による像面湾曲を小さくするため、非球面レンズを使用している。
【0043】
設計値での光学解析結果は、像面位置=72.792mm、像面湾曲=−1〜+2μmである。この時の補正ウインドウ5aは、平行平板であり、被加工物6から飛散する塵埃がfシータレンズ4に付着することを防止する保護ウインドウの作用を兼ね備えている。補正ウインドウ5aは、fシータレンズ4を通した第1光線7、第2光線8の光軸を屈折させる作用を有するため、b寸法を伸ばす効果を有するため、fシータレンズ4の設計を行う場合は、補正ウインドウ5aも含めた、トータルのレンズ設計を行っている。
【0044】
補正ウインドウ5aは、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
【0045】
図2は、fシータレンズの投影倍率を変えたときの像面湾曲を示す。
【0046】
投影倍率を変えると、レンズから像面までの距離bは変わるが、図2は、中心光軸での距離bを基準(=0)として、偏向手段3によって走査した位置での像面湾曲量を表している。
【0047】
ここで、像面湾曲が正の場合、像面位置はfシータレンズ4から遠ざかり、負の場合には、像面位置がfシータレンズ4に近づくことを示す。
【0048】
設計投影倍率(1/33=0.03)での像面湾曲は、1〜+2μmであるが、投影倍率を1/25(=0.04)にすると、像面湾曲は、−46μmとなり、投影倍率を1/70(=0.0143)にすると像面湾曲は+63μmとなる。
【0049】
像面湾曲の変化は、マスク1と絞り2の距離が変わったことに起因する。
【0050】
即ち、投影倍率を大きくするとマスク1が絞り2に近づき(距離aが減る)、絞り2を通るレーザ光の広がり角θが大きくなり、球面収差の影響が大きくなり、走査の外側に行くほど焦点位置がfシータレンズ4近づく方向に像面湾曲を発生する。
【0051】
逆に投影倍率を小さくすると、絞り2を通るレーザ光の広がり角θが平行光に近づき、レンズの非球面による球面収差補正が効きすぎて、走査の外側に行くほど焦点位置がfシータレンズ4から遠ざかる方向に像面湾曲を発生する。
(実施例2)
図3は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウの模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0052】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0053】
補正ウインドウ5bが無い(または平行平板の時)場合には、破線で示す−46μmの像面湾曲9を有するが、凹レンズ状の補正ウインドウ5bを用いると、像面湾曲は±2μm以内に修正される。この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで2.5μmであるが、面形状は非球面で構成される。本実施例においては、非球面係数A4次項の補正を行っており、補正効果は以下の通りである。
【0054】
補正なし:像面位置=73.733mm、像面湾曲=−46μm。
【0055】
A4次項補正:像面位置変化=+2μm、像面湾曲=+2〜−1μm。
【0056】
補正ウインドウ5bは、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例3)
図4は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウの模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0057】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0058】
補正ウインドウ5cが無い(または平行平板の時)場合には、破線で示す+63μmの像面湾曲10を有するが、凸レンズ状の補正ウインドウ5cを用いると、像面湾曲は±3μm以内に修正される。
【0059】
この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで−3μmであるが、面形状は非球面で構成される。本実施例においては、非球面係数A4次項とA10次項で補正を行っている。
【0060】
非球面係数の補正次数によって像面湾曲の補正効果が異なる。
【0061】
ウインドウの縁の厚さを−3μm一定として、(1)球面で補正した場合、(2)A4次項だけで補正した場合、(3)A4次項とA10次項で補正した場合を比べると、以下のようになる。
【0062】
補正なし:像面位置=71.204mm、像面湾曲=63μm。
(1)球面補正:像面位置変化=−26μm、像面湾曲=55μm。
(2)A4次項補正:像面位置変化=−2μm、像面湾曲=13μm。
(3)A4次項A10次項補正:像面位置変化=−3μm、像面湾曲=3μm。
【0063】
球面では、像面湾曲の補正効果は8μmしか無く、像面位置が−26μmずれてしまう。A4次項の補正を入れた場合は、像面湾曲の補正効果50μmが得られ、像面位置ずれは−2μmと小さく押さえられる。さらに、A10次項の補正を加えると、像面湾曲補正効果は60μmになり、像面湾曲は3μmに押さえられ、像面位置ずれも−3μmに押さえられる。
【0064】
補正ウインドウ5cは、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例4)
図5は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計の投影倍率(1/33=0.03)で使用している場合を示している。
【0065】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0066】
fシータレンズ4の両側に設置された補正ウインドウ5a,5dは、いずれも平行平板である。fシータレンズ4の入射側に設置された補正ウインドウ5dにより偏向手段3とfシータレンズ4の距離が短縮されるため、fシータレンズ4の位置は、偏向手段3から遠ざけて設置する。具体的には、Ge製の補正レンズを設置することで、間隔を3.781mm広げている。
【0067】
最適設計値における補正ウインドウ5a,5dは、平行平板であるため、レーザ光15は平行移動し、ワーキングディスタンスは伸びるが、像面湾曲に影響は受けない。
【0068】
補正ウインドウ5a,5dは、fシータレンズ4を塵埃から保護し、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例5)
第6は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも大きい投影倍率(1/25=0.04)で使用している場合を示している。
【0069】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0070】
補正ウインドウ5aは平行平板である。
【0071】
補正ウインドウ5eが平行平板の場合には、破線で示す−45μmの像面湾曲9を有するが、凹レンズ状の補正ウインドウ5eを用いると、像面湾曲は±2μm以内に修正される。この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで1.6μmであるが、面形状は非球面で構成される。
【0072】
本実施例においては、非球面係数A4次項とA6次項の補正を行っており、補正効果は以下の通りである。
【0073】
補正なし:像面位置=73.887mm、像面湾曲=−45μm。
【0074】
A4、A6次項補正:像面位置変化=+12μm、像面湾曲=+2〜−2μm。
【0075】
補正ウインドウ5a、5eは、fシータレンズ4を塵埃から保護し、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例6)
図7は、本発明によるfシータレンズと補正ウインドウ(両側設置)の模式図であり、最適設計よりも小さい投影倍率(1/70=0.0143)で使用している場合を示している。
【0076】
第1光線7は偏向手段3が動かず、中心光軸上に結像した状態の軌跡を表し、第2光線8は、偏向手段3によって走査された状態の軌跡を表している。
【0077】
補正ウインドウ5aは平行平板である。
【0078】
補正ウインドウ5fが平行平板の場合には、破線で示す+63μmの像面湾曲10を有するが、凸レンズ状の補正ウインドウ5fを用いると、像面湾曲は+2〜−1μm以内に修正される。
【0079】
この時の補正は、ウインドウの縁の厚さで−2.6μmであるが、面形状は非球面で構成される。本実施例においては、非球面係数A4次項のみで補正を行っており、補正効果は以下の通りである。
【0080】
補正なし:像面位置=71.358mm、像面湾曲=−63μm。
【0081】
A4次項補正:像面位置変化=−16μm、像面湾曲=+2〜−1μm。
【0082】
補正ウインドウ5a、5fは、fシータレンズ4を塵埃から保護し、fシータレンズ4とは別体となっており、着脱が容易な方法で取り付けられている。
(実施例7)
図8は、本発明によるfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(出射側設置)の模式図である。
【0083】
fシータレンズ4の出射側には、補正ウインドウ(平行平板)5a、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5b、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cが、ウインドウチェンジャー50に装着されている。図示していないマスク1とfシータレンズ4の距離を変更し、投影倍率を切り替えたときに、像面湾曲を補正する最適の補正ウインドウ5a〜5cを自動切換えウインドウチェンジャー50を用いて切り替えることができる。
(実施例8)
図9は、本発明によるfシータレンズと自動切換え補正ウインドウ(両側設置)の模式図である。
【0084】
fシータレンズ4の出射側には、補正ウインドウ(平行平板)5aが取り付けられ、入射側には、補正ウインドウ(平行平板)5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5fが、ウインドウチェンジャー50に装着されている。図示していないマスク1とfシータレンズ4の距離を変更し、投影倍率を切り替えたときに、像面湾曲を補正する最適の補正ウインドウ5d〜5fを自動切換えウインドウチェンジャー50を用いて切り替えることができる。
(実施例9)
図10は、本発明による旋回式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0085】
図8および図9におけるウインドウチェンジャー50の一形態である旋回式自動切換え補正ウインドウチェンジャー51は、円盤形状であり、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが円周上に配置されている。旋回式補正ウインドウチェンジャー51を回転させることにより、fシータレンズ4と必要な補正ウインドウ5a〜5fの組み合わせを選択することができる。
(実施例10)
図11は、本発明による直動式自動切換え補正ウインドウの模式図である。
【0086】
図8および図9におけるウインドウチェンジャー50の一形態である直動式自動切換え補正ウインドウチェンジャー52は、長方形形状であり、補正ウインドウ(平行平板)5aまたは5d、補正ウインドウ(凹レンズ状補正)5bまたは5e、補正ウインドウ(凸レンズ状補正)5cまたは5fが直線上に配置されている。直動式補正ウインドウチェンジャー52をスライドさせることにより、fシータレンズ4と必要な補正ウインドウ5a〜5fの組み合わせを選択することができる。
【0087】
以上のように、本発明に依れば、以下の効果が得られる。
【0088】
fシータレンズは、投影倍率を限定して設計を行っており、設計と異なる投影倍率で使用することができないという問題点があったが、補正ウインドウを装着することで幅広い投影倍率に対して使用可能となる。
【0089】
このことは、fシータレンズの設計に掛かる工数を大幅に減らし、開発期間を短縮するのみならず、開発費を大幅に削減し、結果として安価なレーザ加工機を提供することが可能となる。
【0090】
また、本発明に依れば、レーザ加工機としては、投影倍率を変更可能とすることができるため、加工穴径の要望に対して幅広く対応可能となる。
【0091】
また、本発明に依れば、補正ウインドウの面形状を非球面にすることで、球面収差の補正が容易になり、きめ細かな補正が可能となる。
【0092】
また、本発明に依れば、補正ウインドウをfシータレンズの入射側、反射側、または両側に装着することで、fシータレンズ周辺の配置設計自由度を大きくできる。
【0093】
また、本発明に依れば、補正ウインドウを着脱可能にしたことにより、投影倍率の変更が容易なレーザ加工機の提供が可能になる。
【0094】
また、本発明に依れば、補正ウインドウを複数枚装着し、自動切換えを行うことで、投影倍率を切り替えた時に必要な補正ウインドウを即座に選択、装着することが可能となり、加工機の段取り換え時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0095】
また、本発明に依れば、補正ウインドウチェンジャーを旋回式または直動式にすることで、fシータレンズ周辺の構造部材に邪魔されない配置を選択可能となり、設計自由度が広がる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、レーザ光を用いて穴の加工や、切断を行うレーザ加工装置および加工方法に係り、特にプリント基板用レーザ穴あけに有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 マスク
2 絞り
3 偏向手段
4 fシータレンズ
5a 補正ウインドウ(平行平板)
5b 補正ウインドウ(凹レンズ状補正)
5c 補正ウインドウ(凸レンズ状補正)
5d 補正ウインドウ(平行平板)
5e 補正ウインドウ(凹レンズ状補正)
5f 補正ウインドウ(凸レンズ状補正)
6 被加工物
7 第1光線
8 第2光線
9 像面湾曲
10 像面湾曲
11 レーザ発信器
12 XYステージ
13 Zステージ
14 板厚センサ
15 レーザ光
16 コリメータレンズ
17 ミラー
41 第1の凸レンズ
42 凹レンズ
43 第2の凸レンズ
51 旋回式自動切換え補正ウインドウチェンジャー
52 直動式自動切換え補正ウインドウチェンジャー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光の一部をマスクを通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記補正ウインドウの少なくとも1面が非球面形状を有することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記補正ウインドウが着脱可能であることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記補正ウインドウをfシータレンズの入射側、又は出射側、又は両側に設けたことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
補正係数の異なる前記補正ウインドウを複数枚備え、投影倍率に応じて自動切換えを行うことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記補正レンズの自動切換え移動が旋回式であることを特徴とする請求項5記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記補正レンズの自動切換え移動が直動式であることを特徴とする請求項5記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
レーザ光の一部をマスクを通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正して加工することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項1】
レーザ光の一部をマスクを通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記補正ウインドウの少なくとも1面が非球面形状を有することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記補正ウインドウが着脱可能であることを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記補正ウインドウをfシータレンズの入射側、又は出射側、又は両側に設けたことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
補正係数の異なる前記補正ウインドウを複数枚備え、投影倍率に応じて自動切換えを行うことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記補正レンズの自動切換え移動が旋回式であることを特徴とする請求項5記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記補正レンズの自動切換え移動が直動式であることを特徴とする請求項5記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
レーザ光の一部をマスクを通過させ、マスクを通過したレーザ光を円形の絞りと偏向手段を介してfシータレンズで被加工物にマスク転写加工を行う光学系において、マスク転写の投影倍率に応じた補正ウインドウを取り付け、像面湾曲を補正して加工することを特徴とするレーザ加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−125905(P2011−125905A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287125(P2009−287125)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]