説明

レーザ加工装置

【課題】光導波路や空間光変調素子の損傷および対物レンズの瞳での光損失を回避しつつ、効率よく加工面にレーザ光を伝達できるレーザ加工装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかるレーザ加工装置100において、制御部104は、記憶部56が記憶する条件表のうち、実行すべき加工工程または加工対象物の種別に対応する条件表にしたがって、空間光変調素子32から照射されたレーザ光を加工面に投射する対物レンズ3を切り替え、レーザ光源21と光ファイバ22との間に設けられる結合レンズを結合レンズ24a,24bのいずれかに切り替えさせることによって、光ファイバ22から出射されるレーザ光のNAを対物レンズ3に合わせて変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数波長のレーザ光を使用した対象物の加工を行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイやPDP(Plasma Display Panel)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや表面電動型電子放出素子ディスプレイなどのFPD(Flat Panel Display)基板、半導体ウェハ、プリント基板など、各種基板の製造では、その歩留りを向上するために、各パターニングプロセス後、欠陥検査装置によって、電極および配線の短絡、接続不良、断線、パターン不良および基板表面に付着したパーティクルやレジストといった異物等である欠陥が存在するか否かが検査される。そして、欠陥検査装置によって欠陥が存在することが確認された場合、レーザ加工装置によるレーザ光を用いた加工処理によって欠陥が修正される。
【0003】
このレーザ加工装置として、加工面と共役な位置にDMD(登録商標)などの空間光変調素子を配置し、このDMDで形成したパターンを加工面にレーザ照射することで、加工面に任意のパターン形状を高速に加工する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このレーザ加工装置では、加工工程や加工対象の種別に応じて加工に適したレーザ波長を使い分けている。たとえば加工対象がFPD基板の場合、レジスト膜の加工には波長が266nmや355nmのレーザ光が用いられ、金属配線の加工には波長が532nmや1064nmのレーザ光が用いられる。そして、レーザ加工装置では、加工工程や加工対象の種別に対応させて、レーザ光の波長だけではなく、レーザ光のエネルギー密度も調整している。たとえば、金属配線を加工する場合には、レジスト膜を加工する場合と比較して約10〜20倍程度の高いエネルギー密度を必要とする。このため、エネルギー密度が不足気味の場合には、高倍率の加工用対物レンズを用いて、加工面にレーザ照射する面積を縮小し、エネルギー密度を高める。
【0006】
ここで、このレーザ加工装置は、加工用の対物レンズから結像レンズまでの間を平行光が透過する構成であるため、対物レンズが高倍率になり瞳径が小さくなると、対物レンズの瞳でレーザ光が削られ、光損失が生じてしまう。このため、レーザ加工装置では、高倍率の対物レンズが選択された場合には、レーザ光源から出射するレーザの強度を高めて、対物レンズでの光損失を補っている。
【0007】
しかしながら、このようにレーザ光源から出射するレーザ光の強度を高めた場合、レーザ光源から結像レンズまでに配置された光ファイバや空間光変調素子が、強度の高いレーザ光に耐えられず損傷する場合があった。このため、光ファイバなどの光導波路や空間光変調素子の損傷および対物レンズの瞳での光損失を回避しつつ、基板加工面に効率よくレーザ光を伝達できるレーザ加工装置が要求されていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光導波路や空間光変調素子の損傷および対物レンズの瞳での光損失を回避しつつ、効率よく加工面にレーザ光を伝達できるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるレーザ加工装置は、複数波長のレーザ光を使用して対象物の加工を行うレーザ加工装置であって、複数波長のレーザ光を出射可能である光源と、前記光源を略面光源に変換して第2の光源とする光源変換手段と、前記対象物の加工面および前記第2の光源と共役な位置に配置された空間光変調素子と、前記空間光変調素子から照射されたレーザ光を前記加工面に投射する対物レンズと、前記第2の光源から照射されるレーザ光のNAを変更する照射NA変更手段と、各加工工程または加工対象物の各種別にそれぞれ対応する前記対物レンズの種別と、前記対物レンズの種別に応じてそれぞれ設定された複数の前記レーザ光のNA変更条件とを記憶する記憶手段と、前記記憶手段が記憶する対物レンズの種別のうち、実行すべき前記加工工程または加工対象物の種別に対応する対物レンズを選択するとともに、前記記憶手段が記憶する前記複数のレーザ光のNA変更条件のうち、前記実行すべき加工工程または加工対象物の種別に対応する前記レーザ光のNA変更条件にしたがって前記NA変更手段によるレーザ光のNAの変更を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかるレーザ加工装置は、記憶部に記憶された対物レンズの種別と対物レンズの種別に応じてそれぞれ設定された複数のレーザ光のNA変更条件とを参照し、実行すべき加工工程または加工対象物の種別に対応させて対物レンズの種別を変更するとともに、空間光変調素子に投影するレーザ光のNAを対物レンズの種別に応じたNAに変更することによって、レーザ光の強度を大幅に上げなくとも対物レンズの瞳での光損失を回避して、ファイバや空間光変調素子の損傷を回避しつつ、効率よく加工面にレーザ光を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1に示すレーザ加工装置100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示すレーザ照射部を説明するための図である。
【図3】図3は、図1に示す投影レンズ部を説明するための図である。
【図4】図4は、図1に示す記憶部が記憶する条件表の一例を示す図である。
【図5】図5は、図1に示すレーザ加工装置100におけるレーザ加工処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図1に示す対物レンズの一例を説明する図である。
【図7】図7は、図1に示す対物レンズの他の例を説明する図である。
【図8】図8は、図1に示す表示部に表示されるメニューの一例を示す図である。
【図9】図9は、図1に示す表示部に表示されるメニューの一例を示す図である。
【図10】図10は、図1に示す表示部に表示されるメニューの一例を示す図である。
【図11】図11は、図1に示すレーザ光照射部の他の例を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態1にかかる欠陥修正装置を有する欠陥修正システムの概略構成を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施の形態2にかかるレーザ加工装置の概略構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、図13に示すレーザ照射部を説明する図である。
【図15】図15は、図13に示す投影レンズ部を説明するための図である。
【図16】図16は、図13に示す記憶部が記憶する条件表の一例を示す図である。
【図17】図17は、図13に示すレーザ加工装置200におけるレーザ加工処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる実施の形態として、たとえば、ガラス基板、半導体ウェハなどの基板のパターン不良や欠陥を修正するレーザ加工装置を例として説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。実施の形態1にかかるレーザ加工装置は、記憶部に記憶された対物レンズの種別とNA変更条件とを参照し、指示された加工工程または加工対象物の種別に対応させて対物レンズの種別を変更するとともに、空間光変調素子に投影するレーザ光のNAを変更している。図1は、実施の形態1にかかるレーザ加工装置の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、実施の形態1にかかるレーザ加工装置100は、加工修正対象の基板1を載置するステージ2と、対物レンズ3を有し、ステージ2上に載置された基板1を上方から観察する顕微鏡部101と、基板1に照射する欠陥修復加工用のレーザ光を出力するレーザ照射部102と、レーザ照射部102からのレーザ光の光束断面形状(以下、レーザ断面形状という)を所望の形状に整形して出力する中間鏡筒部103と、各種プログラムおよびパラメータを実行してレーザ加工装置100の各構成要素を制御する制御部104と、レーザ加工装置100に対する各種操作や設定を指示する指示情報が入力される入力部54と、顕微鏡部101で取得された画像や各種情報を表示する表示部55と、各種プログラムおよび配線、電極の各種標本パターン画像を記憶する記憶部56と、実行すべき加工工程、および、処理基板の加工対象である欠陥の種別や位置を指示する加工情報を取得する情報取得部59とを備える。顕微鏡部101、レーザ照射部102、中間鏡筒部103、入力部54、表示部55、記憶部56および情報取得部59は、制御部104に接続し、制御部104の制御によって動作する。レーザ加工装置100は、加工情報にしたがって加工対象の欠陥等を撮像し、撮像した欠陥画像と所定の標本パターン画像とのマッチングによって、欠陥の抽出と、電極パターンまたは配線パターンをレーザ加工領域から除外するためにレーザ光の非照射領域を設定するマスク設定とを行ってから、レーザ光を照射することで基板上の欠陥を修正加工する。欠陥には、電極および配線の短絡、接続不良、断線、パターン不良および基板表面に付着したパーティクルやレジスト等の異物が含まれる。
【0015】
修正加工対象である基板1は、たとえばFPD用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などである。ステージ2の載置面には、複数の穴が設けられている。これらの穴に不図示のポンプから気体が供給されることによって基板1を浮上させた状態とすることができ、この状態において、不図示の固定部材によって基板1がステージ2上で保持される。または、この複数の穴を、不図示のバキュームポンプに連結し、この複数の穴からの吸気によって、ステージ2上に載置された基板1をステージ2対して吸着して固定することも可能である。また、上記のような、ステージ2上で基板1を保持する保持手段として、上記以外にも支持ピンやクランプ機構など、機械的な手段を用いる構成としてもよい。ステージ2は、対物レンズ3の光軸に直交した平面内で自在に移動され、対物レンズ3に対する基板1の当該平面上での位置を変化させる。
【0016】
顕微鏡部101は、レボルバ4、撮像部5、結像部6、照明系7、焦準機構8、ミラー9a、ハーフミラー9bおよびレーザ光用の結像レンズ10を有し、基板1の一部を拡大した画像を取得する撮像部として機能する。
【0017】
対物レンズ3は、ステージ2に載置された基板1の上部に位置するようにレボルバ4により保持される。対物レンズ3は、レボルバ4に対して着脱自在に取り付けられており、レボルバ4の回転またはスライド動作に応じてステージ2上に配置される。対物レンズ3とレーザ光用の結像レンズ10は、両側テレセントリックとなるように配置される。
【0018】
レボルバ4は、焦準機構8によって昇降移動することが可能であり、レボルバ4を昇降させることによって、対物レンズ3の基板1に対する焦点合わせを行い、焦点位置の最適化を行う。
【0019】
撮像部5は、CCDセンサやCMOSセンサなどの撮像素子を含む。結像部6は、結像レンズ6aとミラー6b,6cとによって構成される。結像部6は、対物レンズ3と協働して、基板1の観察像を結像させる。
【0020】
照明系7から出力された照明光は、レンズ7aで集光されてからハーフミラー7bで反射された後、基板1に対する観察光軸と同軸の光として対物レンズ3を介して基板1を照明する。撮像部5の視野領域内は、照明系7からの照明光によって上方から略均一に照明される。
【0021】
照明された基板1の像は、観察光軸に沿って配置された対物レンズ3、ハーフミラー9b、ハーフミラー7b、ミラー6b、ミラー6cおよび結像レンズ6aを含む観察光学系によって、撮像部5の受光面に、たとえば数倍〜数十倍に拡大されて結像される。撮像部5で取得された画像データは、制御部104に出力され、各種画像処理が施された後、表示部55に出力される。
【0022】
レーザ照射部102は、レーザ光源21と、レーザ光源21から出射されたレーザ光を導光する光ファイバ22と、光ファイバ22の入射端面22aとレーザ光源21との間に設けられてレーザ光を反射するミラー23と、ミラー23によって反射されたレーザ光を光ファイバ22の入射端面22aに結合可能な結合レンズ24a,24bを有する結合レンズ部24とを有する。
【0023】
レーザ光源21は、基板1に照射されるレーザ光として、複数波長のレーザ光を出射可能である。レーザ光源21は、たとえば、YAGレーザによって構成され、266nm、355nm、532nmおよび1064nmのいずれかの波長のレーザ光を出射する。
【0024】
結合レンズ部24は、図示しない移動機構によって光軸41に対して垂直方向にそれぞれ移動できる結合レンズ24a,24bを有し、光ファイバ22の入射端面22aに対向する位置に結合レンズ24a,24bのいずれかが選択的に配置される。結合レンズ24aが配置される位置Pa(図2参照)および結合レンズ24bが配置される位置Pb(図2参照)は、それぞれ異なっており、結合レンズ部24は、光路上に配置する結合レンズを結合レンズ24a,24bのいずれかに切り替えることによって、結合レンズ部24における焦点距離を変えている。
【0025】
レーザ照射部102のレーザ光源21から出射されたレーザ光は、平行ビーム光のままミラー23で反射され、結合レンズ部24における結合レンズ24a,24bのいずれかで収束して、光ファイバ22の入射端面22aに結合された後、光ファイバ22の出射端面22bから出射される。一定の面積を持った光ファイバ22の出射端面22b全体から光が出射されるため、光ファイバ22の出射端面22bは略面光源とみなすことができる。光ファイバ22および結合レンズ部24は、光源を略面光源に変換して第2の光源とする光源変換手段として機能する。
【0026】
中間鏡筒部103は、光ファイバ22の出射端面22bから出射されたレーザ光を空間光変調素子32に投影する投影レンズ部31、レーザ光源21からのレーザ光のレーザ断面形状を所望の形状に整形する空間光変調素子32、および、途中光路の折り返しに使用するミラー33を有し、顕微鏡部101の撮像部5が取得した画像に基づいて基板1に欠陥修復加工用に空間変調したレーザ光を照射して欠陥を修正加工する。
【0027】
投影レンズ部31は、略面光源ととらえられる光ファイバ22の出射端面22bからの出射光を、一定の投影倍率で大きさを持った像として空間光変調素子32に投影するための投影レンズ31a,31bを備える。投影レンズ部31では、投影レンズ31a,31bが両側テレセントリックとなるように配置される。投影レンズ31aは、図示しない移動機構によって光軸41と平行な方向に移動可能である。投影レンズ31aは、光ファイバ22の出射端面22b側の位置P1(図3参照)あるいは位置P1(図3参照)よりも出射端面22bから遠い位置P2に移動する。光ファイバ22の出射端面22bから出射したレーザ光は、投影レンズ31aによって平行光束となり、投影レンズ31bによって収束されて、空間光変調素子32上に、光ファイバ22の出射端面22bの像として集光される。
【0028】
空間光変調素子32は、レーザ光用の結像レンズ10の焦点位置に配置される。空間光変調素子32は、たとえば微小デバイスの1つである微小ミラーが2次元アレイ状に配列された構成を備える。各微小ミラーの反射角は、制御部104からの制御のもと、少なくともオン角度とオフ角度とのいずれかに切り替え可能である。オン角度とは、この状態にある微小ミラーで反射されたレーザ光がステージ2上の基板1に投射される角度であり、オフ角度とは、この状態にある微小ミラーで反射されたレーザ光が不必要な光として光路外に設けられる不図示の遮光部材や吸収部材などのレーザダンパーに照射される角度である。したがって、2次元アレイ状に配列された微小ミラーそれぞれの反射角をオン角度とオフ角度とのいずれかにスイッチングすることで、基板1に投射されるレーザ光の断面形状を制御することが可能である。
【0029】
これによって、レーザ光源21からのレーザ光の断面形状を修復パターンの形状に調整して基板1に照射することが可能となる。この修復パターンは、正常な配線パターン以外にレーザ光を照射する修復パターンであり、たとえばパターン除去不良などの欠陥を修復する場合には、ショット領域中の正常な配線等の領域に対応する微小ミラーをオフ角度とし、それ以外の領域に対応する微小ミラーをオン角度としたパターンとなる。空間光変調素子32には、例えばDMDを用いればよい。空間光変調素子32は、制御部104の制御のもと、レーザ照射部102が出力する欠陥修復用のレーザ光の光束断面形状(レーザ光の光軸と垂直な断面の形状)を調整する。なお、修復パターンの設定は、上記のように正常な配線パターンに応じて設定する以外に、欠陥形状に合わせて設定するようにしても構わない。この場合、レーザ光の断面形状を欠陥形状に合わせて、欠陥領域に対応する微小ミラーをオン角度とし、欠陥領域以外の領域に対応する微小ミラーをオフ角度とすればよい。
【0030】
この空調光変調素子32から照射されるレーザ光は、レーザ光用の結像レンズ10において平行光となり、ミラー9aおよびハーフミラー9bを経由し、軸上から軸外までのレーザ光が漏れなく対物レンズ3の瞳面に取り込まれ、基板1の加工面に投射される。この結果、基板1の加工対象である欠陥が修正加工される。
【0031】
入力部54は、キーボード、マウス等を用いて構成されており、使用者からの各種設定パラメータ等の入力指示を、表示部55に表示されるGUI(Graphical User Interface)と連携して取得する。表示部55は、液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、観察画像、設定情報等を表示する。記憶部56は、ハードディスク、ROM、RAMおよび携帯型記憶媒体等を用いて構成されており、レーザ加工装置100の各種動作を制御するための制御プログラムや制御条件を予め記憶する。また、記憶部56は、基板1の工程・品種に応じた、電極(または配線)パターンの標本パターン画像を記憶する。情報取得部59は、通信インターフェース等を用いて構成されており、ネットワーク112を介して欠陥情報管理サーバ114との間で通信することによって、実行すべき加工工程、および、処理基板の加工対象である欠陥の種別や位置を指示する加工情報を取得する。
【0032】
制御部104は、顕微鏡制御部51、光源制御部52およびレンズ制御部53を有する。顕微鏡制御部51は、ステージ2および顕微鏡部101の各構成要素の動作処理を制御する。光源制御部52は、レーザ照射部102のレーザ光源21に対してレーザ光の出力波長を指示するとともに、レーザ光源21の出力を制御する。レンズ制御部53は、レーザ照射部102に対して、結合レンズ部24において光路状に配置する結合レンズを結合レンズ24a,24bのいずれかに切替させる。また、レンズ制御部53は、中間鏡筒部103に対して投影レンズ31aの光軸方向の位置を指示する。
【0033】
このレーザ加工装置100は、加工工程および加工対象の種別に応じてレーザ光の波長と、加工用の対物レンズ3を使い分ける。さらに、レーザ加工装置100は、加工工程及び加工対象の種別に応じて選択された対物レンズ3の瞳径に合わせて、光ファイバ22の出射端面22bから照射されるレーザ光のNAも変更している。具体的には、レンズ制御部53は、結合レンズ部24に、光路上に配置する結合レンズ24a,24bをいずれかに切り替えさせることによって、結合レンズの焦点距離を変えて、光ファイバ22の出射端面22bから照射されるレーザ光のNAも変更している。さらに、レーザ加工装置100では、加工工程および加工対象にそれぞれ対応させて、加工に使用するレーザ光の波長、加工に使用する対物レンズ3の種類、使用する結合レンズの種類に加え、レーザ光源の出力強度および投影レンズ31aの光軸方向における位置も変更している。これによって、レーザ加工装置100は、光ファイバ22や空間光変調素子32の損傷および対物レンズ3の瞳での光損失を回避しつつ、効率よく基板1の加工面にレーザ光を伝達している。
【0034】
この各加工工程および各加工対象に対応するレーザ光の波長、対物レンズ3の種類、結合レンズの種類、レーザ光源21の出力強度、および、投影レンズ31aの光軸方向における位置に関する制御条件は、たとえば図4の条件表T1の制御条件1,2,3のようにそれぞれが各加工工程または各加工対象の種別に対応付けられた状態で記憶部56に予め記憶される。制御部104は、記憶部56が記憶する各制御条件のうち、実行すべき加工工程または加工対象の種別に対応する制御条件にしたがって、レーザ光の波長、加工に使用する対物レンズ3の種類、切り替えられる結合レンズの種類、レーザ光源21の出力強度、および、投影レンズ31aの光軸方向における位置を制御する。
【0035】
次に、レーザ加工装置100におけるレーザ加工処理の処理手順について説明する。図5は、図1に示すレーザ加工装置100におけるレーザ加工処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
加工処理対象の基板1がステージ2に載置されると、図5のフローチャートに示すように、制御部104は、実行すべき加工工程、および、処理基板の加工対象である欠陥の種別や位置を指示する加工情報を取得したか否かを判断する(ステップS1)。たとえば、情報取得部59が加工情報の送信を外部の欠陥情報管理サーバ114に要求し、ネットワーク112を介して欠陥情報管理サーバ114から送信された加工情報を情報取得部59が受信することによって加工情報を取得する。制御部104は、加工情報を取得していないと判断した場合(ステップS1:No)、加工情報を取得したと判断するまでステップS1の判断処理を繰り返す。
【0037】
制御部104は、加工情報を取得したと判断した場合(ステップS1:Yes)、記憶部56が記憶する条件表T1を参照して(ステップS2)、参照した条件表T1の中から、加工情報が指示する加工工程または加工対象の種別に応じた制御条件を選択して取得する(ステップS3)。制御部104は、この制御条件として、加工に使用するレーザ光の波長、加工に使用する対物レンズ3の種類、使用する結合レンズの種類に加え、レーザ光源の出力強度および投影レンズ31aの光軸方向における位置を取得する。
【0038】
制御部104においては、加工情報が指示する加工工程または加工対象の種別に応じて取得した制御条件にしたがって、各構成要素を制御する。具体的には、光源制御部52は、取得した制御条件に示された波長に、レーザ光源21が出力するレーザ光の波長を切り替えるレーザ波長切替処理(ステップS4)を行う。
【0039】
顕微鏡制御部51は、顕微鏡部101に対して、取得した制御条件にしたがって加工に使用する対物レンズ3をレボルバ4で光路上に切り替え配置させる対物レンズ切替処理(ステップS5)を行う。このとき、顕微鏡制御部51は、加工情報に示された欠陥の位置をもとに、ステージ2を制御して基板1の加工面に位置する欠陥が撮像部5の視野内に入るように基板1を配置し、焦準機構8による合焦制御を指示する。
【0040】
レンズ制御部53は、取得した制御条件にしたがって、結合レンズ部24の光路上に配置する結合レンズを、結合レンズ24a,24bのいずれかに切り替える結合レンズ切替処理(ステップS6)を行う。
【0041】
光源制御部52は、取得した制御条件にしたがって、レーザ光源21のレーザ光の出力強度を設定するレーザ強度設定処理(ステップS7)を行う。レンズ制御部53は、取得した制御条件にしたがって、投影レンズ部31に、投影レンズ31aの光軸方向における位置を切替させる投影レンズ位置切替処理(ステップS8)を行う。その後、制御部104は、レーザ加工装置100の各構成要素を制御して、レーザ光源21に切り替えた波長でのレーザ光照射を行わせ、加工対象である欠陥を修正加工する加工処理を行う(ステップS9)。
【0042】
具体的に、加工工程に対応するレーザ光の波長、対物レンズ3の種類、結合レンズの種類、レーザ光源21の出力強度、および、投影レンズ31aの光軸方向における位置を設定した制御条件について説明する。
【0043】
まず、エッチング前のレジスト膜加工処理における制御条件について、条件表T1の制御条件1を参照して説明する。たとえば、ガラス基板では、YAGレーザの3倍波あるいは4倍波である266nmレーザ光や355nmレーザ光を用いてレジスト膜を加工することが望ましい。このため、制御条件1のように、エッチング前のレジスト膜加工処理においては、使用するレーザ光の波長としてたとえば266nmが設定される。
【0044】
また、レジスト膜を加工する場合は、金属配線を加工する場合ほど高いエネルギー密度は必要でないため、エッチング前のレジスト膜加工処理においては、20倍の対物レンズ3aが設定される。
【0045】
たとえば、加工に使用される対物レンズ3として、図6に示すように、瞳径が7.2mm径である20倍の対物レンズ3aが設定される場合を例に説明する。このとき、レーザ光用の結像レンズ10の焦点距離を200nmとした場合、空間光変調素子32から結像レンズ10に向かって照射されるレーザ光L1のNAは、7.2÷2÷200=0.018程度にすればよい。中間鏡筒部103の投影レンズ部31の投影倍率を6倍とすると、光ファイバ22の出射端面22bから出射するレーザ光のNAは、0.018×6=0.108であればよい。光ファイバ22の入射端面22aに入射するレーザ光のNAと、光ファイバ22の出射端面22bから出射するレーザ光のNAは、ほぼ保存されるため、光ファイバ22の入射端面22aに結合するNAも0.108とすればよい。レーザ光源21のレーザ光の平行ビーム径を4mmとすると、4÷2÷0.108≒18.5mmの焦点距離でレーザ光を光ファイバ22の入射端面22aに集光できる結合レンズを用意すればよい。このため、対物レンズ3aに対応するレーザ光のNAを実現するために、18.5mmの焦点距離fに対応させて、結合レンズ24aの光路内の位置Paを設定する。したがって、エッチング前のレジスト膜加工工程における結合レンズとして、使用される20倍の対物レンズ3aに対応する結合レンズ24aが設定される。
【0046】
また、エッチング前のレジスト膜加工工程では、金属配線を加工する場合ほど高いエネルギー密度を有するレーザ光は必要でないため、レーザ光源21のレーザ光の出力強度は1倍に設定される。
【0047】
そして、レーザ加工装置100は、加工工程および加工対象の種別に応じてレーザ光の波長を使い分けるとともに、空間光変調素子32に投影するレーザ光の大きさ(照射領域)を同一とするために投影レンズ31aの軸上の色収差を補正している。具体的には、レンズ制御部53が、使用されるレーザ光の波長に対応させて、投影レンズ31aの光軸41方向の位置を、光ファイバ22の出射端面22b側の位置P1あるいは位置P1よりも出射端面22bから遠い位置P2に指示する。エッチング前のレジスト膜加工工程においては、266nmレーザ光を使用するため、投影レンズ31aの光軸41方向の位置は、光ファイバ22の出射端面22b側の位置P1に指定される。
【0048】
次に、エッチング後の金属配線加工処理における制御条件について、条件表T1の制御条件2を参照して説明する。たとえば、ガラス基板では、YAGレーザの2倍波あるいは基本波である532nmレーザ光や1064nmレーザ光を用いて金属配線を加工することが望ましい。このため、制御条件2のように、エッチング後の金属配線加工処理においては、使用するレーザ光の波長として、たとえば1064nmが設定される。
【0049】
金属配線を加工する場合には、レジスト膜を加工する場合と比較して、約10〜20倍程度の高いエネルギー密度を有するレーザ光が必要である。このため、エッチング後の金属配線加工処理においては、エッチング前のレジスト膜加工処理において使用される20倍の対物レンズ3aよりも倍率の高い50倍の対物レンズが使用される。
【0050】
たとえば、加工に使用される対物レンズ3として、図7に示すように、瞳径が3.2mm径である50倍の対物レンズ3bが設定される場合を例に説明する。このとき、レーザ光用の結像レンズ10の焦点距離を200nmとした場合、空間光変調素子32から結像レンズ10に向かって照射されるレーザ光L2のNAは、3.2÷2÷200=0.008程度にすればよい。中間鏡筒部103の投影レンズ部31の投影倍率を6倍とすると、光ファイバ22の出射端面22bから出射するレーザ光のNAは、0.008×6=0.048であればよいので、光ファイバ22の入射端面22aに結合するNAも0.048とすればよい。レーザ光源21のレーザ光の平行ビーム径を4mmとすると、4÷2÷0.048≒41.7mmの焦点距離でレーザ光を光ファイバ22の入射端面22aに集光できる結合レンズを用意すればよい。このため、対物レンズ3bに対応するレーザ光のNAを実現するために、41.7mmの焦点距離fに対応させて、結合レンズ24bの光路内の位置Pbを設定する。したがって、エッチング後の金属配線加工工程における結合レンズとして、使用される50倍の対物レンズ3bに対応する結合レンズ24bが設定される。
【0051】
そして、対物レンズ3の倍率を20倍から50倍にすると、基板1でのエネルギー密度は、2.5^2=6.25倍になる。レーザ加工装置100では、金属配線加工のための残りのエネルギーについては、レーザ光源21の出力を、エッチング前のレジスト膜加工処理における出力よりも、1.6〜3.2倍に上げることで補う。
【0052】
さらに、エッチング処理後の金属配線加工工程においては、1064nmレーザ光を使用するため、投影レンズ31aの光軸41方向の位置は、出射端面22bから遠い位置P2に指定される。
【0053】
実施の形態1では、光ファイバ22から照射されるレーザ光のNAを、使用する対物レンズ3の瞳径に対応させて求め、この求めたレーザ光のNAを実現できるように、結合レンズ24a,24bの各焦点距離fが設定されている。レーザ加工装置100では、レンズ制御部53が、使用する結合レンズを、結合レンズ24a,24bのうち、使用する対物レンズ3の瞳径に合致する焦点距離fが設定された結合レンズに切り替えることによって、光ファイバ22の出射端面22bから照射されるレーザ光のNAを変更している。言い換えると、レーザ加工装置100においては、光ファイバ22で構成される光導波路の入射側NAを変更させて、加工に使用する対物レンズ3の瞳径にレーザ光のNAを合致させている。
【0054】
このように、レーザ加工装置100では、対物レンズ3の瞳径に合わせてレーザ光のNAを変更することによって、加工に使用する対物レンズ3における光損失がないようにレーザ光束を変更できるため、空間光変調素子32に投影するレーザ光の大きさ(照射領域)を変えずに基板1の加工面でのエネルギー密度を変更できる。
【0055】
さらに、レーザ加工装置100では、対物レンズ3の瞳径に合わせてレーザ光のNAを変更して使用する対物レンズ3における光損失をなくしているため、レーザ光源21から出射するレーザ光の出力強度を高めて、対物レンズ3における光損失分を補う必要がない。したがって、レーザ加工装置100においては、加工対象によって基板1でのエネルギー密度に大きな開きがある場合であっても、レーザ光源21から出射するレーザ光の出力強度の上昇を抑制しながら、基板1の加工面でのエネルギー密度を適切に設定できる。このため、レーザ加工装置100では、レーザ光源21から結像レンズ10までの間の光ファイバ22や空間光変調素子32のレーザ光による損傷を低減することができる。
【0056】
そして、レーザ加工装置100は、加工工程および加工対象の種別に応じてレーザ光の波長を使い分けるとともに、空間光変調素子32に投影するレーザ光の大きさ(照射領域)を同一とするために投影レンズ31aの軸上の色収差を補正して、正確な加工を実現している。
【0057】
したがって、レーザ加工装置100では、予め記憶した制御条件をもとに、実行すべき加工工程および加工対象にそれぞれ対応させて、加工に使用するレーザ光の波長、加工に使用する対物レンズ3の種類、使用する結合レンズの種類、レーザ光源の出力強度、および、投影レンズ31aの光軸方向における位置を変更することによって、光ファイバ22や空間光変調素子32の損傷および対物レンズ3の瞳での光損失を回避しつつ、効率よく基板1の加工面にレーザ光を伝達している。
【0058】
なお、記憶部56が記憶する制御条件は、条件表T1の制御条件1,2のように、基板1に対する工程別に各条件が対応付けられたものであるほか、条件表T1の制御条件3のように、欠陥の種別ごとに各条件が対応付けられたものであってもよい。たとえば、欠陥1に対して加工処理が行われる場合には、制御条件3に示すように、使用するレーザ光の波長として266nmが設定され、50倍の対物レンズ3bが使用される。そして、制御条件3のように、レーザ光用の結像レンズ10の焦点距離が200nmであり、レーザ光源21のレーザ光の平行ビーム径が4mmである場合、50倍の対物レンズ3bに対応するレーザ光のNAを実現するために、41.7mmの焦点距離fでレーザ光を光ファイバ22の入射端面22aに集光できる結合レンズ24bが設定される。また、制御条件3のように、266nmレーザ光を使用するため、投影レンズ31aの光軸41方向の位置は、出射端面22bから近い位置P1に指定される。さらに、欠陥1を加工するためのレーザ強度比は、2倍に設定される。
【0059】
また、制御部104は、図8に示すように、加工対象の欠陥の画像が表示される画像表示領域Egの下方の領域A1に、選択された加工工程または加工対象の種別に応じた各制御条件が示されたメニューM1を表示部55に表示させて、制御条件の詳細をレーザ加工装置100の操作者が確認できるようにしてもよい。
【0060】
また、実施の形態1では、情報取得部59が取得した加工情報に対応して制御部104が自動的に制御条件を選択する場合について説明したが、これに限らない。たとえば、入力部54が、実行すべき加工工程および加工対象の種別を指示する指示情報を受け付けて制御部104に入力し、制御部104は、この入力部54から入力された指示情報が指示する加工工程または加工対象の種別に対応する制御条件を記憶部56が記憶する条件表の中から選択してもよい。
【0061】
また、図9に示すように、表示部55は、領域A2に、レーザ加工波長、加工用の対物レンズの種類、結合レンズの種類、レーザ強度比および投影レンズの位置に関する制御条件をそれぞれ選択可能であるプルダウンメニューP1〜P5が示されたメニューM2を表示して、操作者による入力部54の操作によって各制御条件が設定できるようにしてもよい。この場合、プルダウンメニューP1〜P5のいずれかにおいて制御条件が設定された場合には、他のプルダウンメニューP1〜P5で選択できる条件を、既に設定された制御条件に対応するものに固定してもよい。
【0062】
また、図10に示すように、制御部104は、プリセットボタンC1〜C5が領域A3に表示されるメニューM3を表示部55に表示させて、入力部54の操作によって選択されたプリセットボタンに対応する制御条件を記憶部56の条件表T1から選択してもよい。たとえば、プリセットボタンC1は、条件表T1の制御条件1に対応し、制御部104は、プリセットボタンC1が選択された場合には、条件表T1の制御条件1にしたがって、レーザ加工波長、加工用の対物レンズの種類、結合レンズの種類、レーザ強度比および投影レンズの位置を設定し、加工処理を行う。
【0063】
また、本実施の形態1では、レーザ照射部102と中間鏡筒部103との間でレーザ光を伝搬させるために光ファイバ22を用いた場合を例に説明した。この場合には、光ファイバ22の取り回しによって曲げRが小さくなると光ファイバ22の有効NAの範囲内において、光ファイバ22の出射端面22bからの出射NAが入射端面22aにおける入射NAよりも大きくなる場合がある。このため、結合レンズ部24とレーザ光源21との間に、ビームエクスパンダを配置して、適正な出射NAとなるようにレーザ光の入射NAを補正してもよい。
【0064】
また、本実施の形態1では、光導波路として光ファイバ22を用いた場合を例に説明したが、これに限らない。たとえば、光ファイバ22に代えて、ホモジナイザなどのガラスロッドを用いてもよい。ホモジナイザなどのガラスロッドを光導波路として採用した場合、取り回しが固定化されるため、出射NAが変動せずに安定するとともに、出射端面22bのレーザ強度分布の均一性も光ファイバ22と比較してさらに向上する。また、光ファイバ22の取り回しによって曲げRが小さくなると、その位置でレーザ光のエネルギー集中が発生して光ファイバを損傷させる場合があるが、ガラスロットを用いた場合には、このような損傷も回避することができる。
【0065】
また、実施の形態1では、結合レンズ24a,24bのいずれかに切り替えることによって、光ファイバ22あるいはガラスロッドなどの光導波路の入射側NAを変更させて、加工に使用する対物レンズ3の瞳径にレーザ光のNAを合致させているが、これに限らない。ミラー23、結合レンズ部24および光ファイバ22に代えて、たとえば図11に示すように、二つのレンズを組み合わせて光束幅を拡大可能であるビームエクスパンダ61、同一の単一レンズを縦横に配置したフライアイレンズ62およびコリメートレンズ63によって構成される光源変換手段を採用してもよい。
【0066】
この場合、レーザ光源21から照射された平行ビームの光束径をビームエクスパンダ61で変更する。ビームエクスパンダ61の出力先にフライアイレンズ62を配置して、ビームエクスパンダ61から出力されたレーザ光を多点光源化し、フライアイレンズ62の出力先に配置したコリメートレンズ63で再び平行光に戻す。このとき、コリメートレンズ63の後側焦点位置は、均一な角度分布を持つ面光源64に変換される。レンズ制御部53は、ビームエクスパンダ61のレンズ間の間隔を変更することによって倍率を変更して、フライアイレンズ62に入射するレーザ光の光束径を変更できるため、面光源64の大きさを変えずに、面光源64から照射される平行光の角度分布を変更することができる。すなわち、ビームエクスパンダ61のレンズ間の間隔を変更してフライアイレンズ62に入射するレーザ光の光束径を変更することによって、面光源64から照射されるレーザ光のNAを変更することができる。
【0067】
また、レーザ加工装置は、基板に対する製造システムの一部である欠陥修正システムを構成する。この欠陥修正システムについて説明する。図12は、実施の形態にかかるレーザ加工装置を有する欠陥修正システムの概略構成を示すブロック図である。この欠陥修正システムは、たとえば図12に示すように、欠陥検査装置111、生産ライン情報を統括する生産データ管理サーバ113、欠陥情報データベース115に接続して欠陥情報を管理する欠陥情報管理サーバ114、レビュー検査装置116およびレーザ加工装置100がネットワーク112を介して接続する構成を有する。
【0068】
まず、システム全体の処理の概要を説明する。欠陥検査装置111は、たとえばフォトリソグラフィー工程においてレジストパターンが形成されたエッチング工程前の基板やエッチング工程において金属配線が形成された基板が搬送システムによって搬送されてくると、設定された検査条件にしたがって、この基板における欠陥を検出し、欠陥の基板上の座標位置を示す欠陥位置座標および欠陥の大きさを示すサイズ情報を取得する。欠陥情報管理サーバ114は、これらの各情報を、FTP(File Transfer Protocol)などを用いてネットワーク112経由で取得し、欠陥情報データベース115に登録するとともに生産データ管理サーバ113に登録内容を送信する。
【0069】
欠陥検査装置111による検査後の基板のうち欠陥が生じている基板はレビュー検査装置116に搬送される。レビュー検査装置116は、レビュー対象の基板の欠陥を示したレビュー情報を欠陥情報管理サーバ114に要求する。レビュー検査装置116は、欠陥情報管理サーバ114より送信されたレビュー情報にしたがって欠陥画像を撮像し、画像処理機能により欠陥の種別を分類する。欠陥情報管理サーバ114は、このレビュー結果をネットワーク112経由で取得し、欠陥情報データベース115に登録するとともに生産データ管理サーバ113に登録内容を送信する。
【0070】
レビュー検査装置116によるレビュー検査後の基板はレーザ加工装置100に搬送される。レーザ加工装置100は、加工工程、および、処理基板の加工対象である欠陥の種別や位置を指示する加工情報を欠陥情報管理サーバ114に要求する。そして、前述したように、レーザ加工装置100は、欠陥情報管理サーバ114より送信された欠陥情報にしたがって欠陥を撮像し、撮像した欠陥画像と所定の標本パターン画像とのマッチングによって、欠陥の抽出と、電極パターンまたは配線パターンをレーザ加工領域から除外するためにレーザ光の非照射領域を設定するマスク設定とを行ってから、レーザ光を照射することで基板上の欠陥を修正加工する。
【0071】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図13は、実施の形態2にかかるレーザ加工装置の概略構成を示すブロック図である。図13に示すように、実施の形態2にかかるレーザ加工装置200は、図2に示すレーザ加工装置100と比して、レーザ照射部102に代えてレーザ照射部202を有し、中間鏡筒部103に代えて中間鏡筒部203を有し、制御部104に代えて制御部204を有し、記憶部56に代えて記憶部256を有する。
【0072】
図14に示すように、レーザ照射部202は、レーザ光源21と、ダイクロイックミラー223aと、ミラー223bと、結合レンズ24a,24bを有する結合レンズ部224と、光ファイバ221,222とを有する。レーザ光源21は、たとえば、波長が266nm、355nm、532nmおよび1064nmのレーザ光を同時に出射する。
【0073】
ダイクロイックミラー223aは、波長が532nmおよび1064nmのレーザ光を透過させるとともに、波長が266nmおよび355nmのレーザ光をミラー223b側に反射する。ダイクロイックミラー223aは、レーザ光源21から出射されたレーザ光を、波長が266nmおよび355nmのレーザ光と、波長が532nmおよび1064nmのレーザ光とに分けて出力する機能を有する。
【0074】
ダイクロイックミラー223aを透過した532nmおよび1064nmのレーザ光は、結合レンズ24bによって光ファイバ221の入射端面221aに結合され、光ファイバ221の出射端面221bから出射する。また、ダイクロイックミラー223aで反射された波長が266nmおよび355nmのレーザ光は、ミラー223bで反射され、結合レンズ24aによって光ファイバ222の入射端面222aに結合され、光ファイバ222の出射端面222bから出射する。実施の形態2においては、波長が532nmおよび1064nmのレーザ光を伝搬する光ファイバ221と、波長が266nmおよび355nmのレーザ光を伝搬する光ファイバ222とをそれぞれ設ける。
【0075】
波長が266nmおよび355nmのレーザ光は、実施の形態1で記載したように、エッチング前のレジスト膜加工工程において使用され、たとえば20倍の対物レンズ3aが設定される。20倍の対物レンズ3aの瞳径が7.2mm径であり、レーザ光用の結像レンズ10の焦点距離が200nmであり、レーザ光源21のレーザ光の平行ビーム径が4mmである場合、対物レンズ3aに対応するレーザ光のNAを実現するために、18.5mmの焦点距離fに対応した位置Pc(図15参照)に、結合レンズ24aが固定配置される。また、波長が532nmおよび1064nmのレーザ光は、実施の形態1で記載したように、エッチング後の金属配線加工工程において使用され、たとえば50倍の対物レンズ3bが設定される。50倍の対物レンズ3bの瞳径が3.2mm径である場合、対物レンズ3bに対応するレーザ光のNAを実現するために、41.7mmの焦点距離fに対応した位置Pd(図15参照)に、結合レンズ24bが固定配置される。
【0076】
このように、実施の形態2では、レーザ光を、使用する各波長に分けて、各波長に対応させて光ファイバ221,222を設けるとともに、各波長に対応した対物レンズに最適なNAでレーザ光が入射できる焦点位置に各結合レンズ24a,24bをそれぞれ配置している。
【0077】
中間鏡筒部203は、投影レンズ部31に代えて投影レンズ部231を有する。投影レンズ部231は、光ファイバ221の出射端面221bから出射されたレーザ光を空間光変調素子32に投影するための投影レンズとして、投影レンズ231a,31bを有する。投影レンズ231aと投影レンズ31bとの間には、波長が532nmおよび1064nmのレーザ光を透過させるとともに波長が266nmおよび355nmのレーザ光を投影レンズ31b側に反射するダイクロイックミラー231cが設けられている。光ファイバ221の出射端面221bから出射された波長が532nmおよび1064nmのレーザ光は、投影レンズ231aによって平行光束となり、ダイクロイックミラー231cを透過した後に投影レンズ31bによって収束されて、空間光変調素子32上に集光される。投影レンズ231aは、光ファイバ221が出射する波長が532nmおよび1064nmのレーザ光に対して色収差を補正可能である位置にP3に配置される。
【0078】
そして、投影レンズ231aとダイクロイックミラー231cとの間には、第1のシャッタ231eが設けられている。第1のシャッタ231eは、開状態のときは光ファイバ221の出射端面221bから出射されたレーザ光を通過させ、閉状態のときは光ファイバ221の出射端面221bから出射されたレーザ光を遮断する。
【0079】
投影レンズ部231は、光ファイバ222の出射端面222bから出射されたレーザ光を空間光変調素子32に投影するための投影レンズとして、投影レンズ231b,31bを有する。投影レンズ231bと投影レンズ31bとの間には、入射した光をダイクロイックミラー231cの反射面に反射するミラー231dが配置する。光ファイバ222の出射端面222bから出射された波長が266nmおよび355nmのレーザ光は、投影レンズ231bによって平行光束となり、ミラー231dを経由してダイクロイックミラー231cの反射面で反射した後に投影レンズ31bによって収束されて、空間光変調素子32上に集光される。投影レンズ231bは、光ファイバ222が出射する波長が266nmおよび355nmのレーザ光に対して色収差を補正可能である位置にP4に配置される。
【0080】
そして、投影レンズ231bとミラー231dとの間には、第2のシャッタ231fが設けられている。第2のシャッタ231fは、開状態のときは光ファイバ222の出射端面222bから出射されたレーザ光を通過させ、閉状態のときは光ファイバ222の出射端面222bから出射されたレーザ光を遮断する。
【0081】
制御部204は、光源制御部52に代えてレーザ光源21を制御する光源制御部252を有し、レンズ制御部53に代えて第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉を制御するシャッタ制御部253を有する。
【0082】
記憶部256は、各加工工程および各加工対象に対応するレーザ光の波長、対物レンズ3の種類、レーザ光源21の出力強度、第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉に関する制御条件を、たとえば図16の条件表T2の制御条件21,22,23のようにそれぞれと各加工工程および各加工対象の種別とを対応付けた状態で予め記憶する。
【0083】
この条件表T2においては、制御条件21〜23に示すように、加工工程および加工対象の種別に対応する波長のレーザ光が空間光変調素子32に出力されるように、第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉が設定されている。
【0084】
たとえば、制御条件21および制御条件23においては、使用する266nmレーザ光が空間光変調素子32に出力されるように、光ファイバ222側の第2のシャッタ231fが開状態に設定され、光ファイバ221側の第1のシャッタ231eは閉状態に設定される。一方、制御条件22においては、使用する1064nmレーザ光が空間光変調素子32に出力されるように、光ファイバ221側の第1のシャッタ231eが開状態に設定され、光ファイバ222側の第2のシャッタ231fは閉状態に設定される。
【0085】
制御部204は、記憶部256が記憶する各制御条件のうち、実行すべき加工工程または加工対象の種別に対応する制御条件にしたがって、レーザ光の波長、対物レンズ3の種類、レーザ光源21の出力強度、第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉を制御する。制御部204は、記憶部256が記憶する波長のうち指示された加工工程および加工対象物の種別に対応する波長のレーザ光が空間光変調素子32に出力されるように、投影レンズ部231による第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉を制御する。
【0086】
次に、レーザ加工装置200におけるレーザ加工処理の処理手順について説明する。図17は、図13に示すレーザ加工装置200におけるレーザ加工処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0087】
加工処理対象の基板1がステージ2に載置されると、図17のフローチャートに示すように、制御部204は、加工工程、および、処理基板の加工対象である欠陥の種別や位置を指示する加工情報を取得したか否かを判断する(ステップS21)。制御部204は、加工情報を取得していないと判断した場合(ステップS21:No)、加工情報を取得したと判断するまでステップS21の判断処理を繰り返す。
【0088】
制御部204は、加工情報を取得したと判断した場合(ステップS21:Yes)、記憶部256が記憶する条件表T2を参照して(ステップS22)、参照した条件表T2の中から、加工情報が指示する加工工程または加工対象の種別に応じた制御条件を選択して取得する(ステップS23)。制御部204は、この制御条件として、加工に使用するレーザ光の波長、加工に使用する対物レンズ3の種類、使用する結合レンズの種類、レーザ光源21の出力強度、第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉条件を取得する。
【0089】
続いて、顕微鏡制御部51は、図6に示すステップS5と同様に、顕微鏡部101に対して、取得した制御条件にしたがって加工に使用する対物レンズ3をレボルバ4で光路上に切り替え配置させる対物レンズ切替処理(ステップS24)を行う。このとき、顕微鏡制御部51は、加工情報に示された欠陥の位置をもとに、ステージ2を制御して基板1の加工面に位置する欠陥が撮像部5の視野内に入るように基板1を配置し、焦準機構8による合焦制御を指示する。
【0090】
図6に示すステップS7と同様に、光源制御部252は、取得した制御条件にしたがって、レーザ光源21のレーザ光の出力強度を設定するレーザ強度設定処理(ステップS25)を行う。
【0091】
シャッタ制御部253は、取得した制御条件にしたがって、第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fの開閉を制御するシャッタ開閉制御処理を行う(ステップS26)。その後、制御部204は、レーザ加工装置200の各構成要素を制御して、たとえば波長が266nm、355nm、532nmおよび1064nmのレーザ光の照射を行わせ、加工対象である欠陥を修正加工する加工処理を行う(ステップS27)。
【0092】
実施の形態2では、レーザ光の波長ごとに光ファイバ221,222を設け、使用する各倍率の対物レンズ3の瞳径に合致したNAとなる位置に結合レンズ24a,24bをそれぞれ配置することによって、光ファイバ221,222の出射端面221b,222bから照射されるレーザ光のNAを光ファイバ221,222の入射側でそれぞれ変えている。そして、レーザ加工装置200では、投影レンズ部231において、使用する波長のレーザ光のみを通過させるように第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fを開閉することによって、対物レンズ3の瞳径に合致するレーザ光のみを空間光変調素子32に出力する。すなわち、レーザ加工装置200では、シャッタ制御部253が、第1のシャッタ231eおよび第2のシャッタ231fのうち、使用するレーザ光の波長に合わせて開閉制御することによって、光ファイバ221,222から出射され空間光変調素子32に照射されるレーザ光のNAを切り替えている。
【0093】
このように、レーザ加工装置200では、対物レンズ3の瞳径に合わせてレーザ光のNAを切り替えることによって、加工に使用する対物レンズ3における光損失をなくすことができるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0094】
なお、本実施の形態1,2では、レーザ光源21としてYAGレーザを用いた場合を例に説明したが、これに限らない。たとえば、レーザ光源として、エキシマレーザを用いてもよい。具体的には、ArFの場合、波長が193nmのレーザ光を出射でき、KrFの場合、波長が248のレーザ光を出射でき、XeClの場合、波長が308nmのレーザ光を出射でき、XeFの場合、波長が353nmのレーザ光を出射できる。なお、193nmレーザ光を出射する場合には、光学系をミラーで構成するため色収差の補正は不要となる。
【0095】
また、10μmレーザ光を使用する場合には、COレーザを用いてもよい。
【0096】
また、1064nmレーザ光を使用する場合には、ナノ秒レーザーを用いてもよい。
【0097】
また、1064nmレーザ光を使用する場合には、Nd:YVOレーザといったピコ秒レーザを用いてもよい。ピコ秒レーザを用いる場合には、波長が1030〜1064nm、1530〜1575nm、1064nm、1030nmのレーザ光を出射できる。
【0098】
また、波長が800〜1200nm程度のレーザ光を使用する場合には、フェムト秒レーザを用いることができる。このように、本実施の形態1,2にかかるレーザ加工装置100,200においては、深紫外から近赤外までの波長のレーザ光を用いて欠陥の修正加工が行われる。
【符号の説明】
【0099】
1 基板
2 ステージ
3,3a,3b 対物レンズ
4 レボルバ
5 撮像部
6b,6c,9a,23,33,223b,231d ミラー
6 結像部
6a 結像レンズ
7 照明系
7a レンズ
7b,9b ハーフミラー
8 焦準機構
10 結像レンズ
21,221 レーザ光源
22,221,222 光ファイバ
24,224 結合レンズ部
24a,24b 結合レンズ
31,231 投影レンズ部
31a,31b,231a,231b 投影レンズ
32 空調光変調素子
51 顕微鏡制御部
52,252 光源制御部
53 レンズ制御部
54 入力部
55 表示部
56,256 記憶部
59 情報取得部
61 ビームエクスパンダ
62 フライアイレンズ
63 コリメートレンズ
64 面光源
100,200 レーザ加工装置
101 顕微鏡部
102,202 レーザ照射部
103,203 中間鏡筒部
104,204 制御部
111 欠陥検査装置
112 ネットワーク
113 生産データ管理サーバ
114 欠陥情報管理サーバ
115 欠陥情報データベース
116 レビュー検査装置
231e 第1のシャッタ
231f 第2のシャッタ
231c,223a ダイクロイックミラー
253 シャッタ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数波長のレーザ光を使用して対象物の加工を行うレーザ加工装置において、
複数波長のレーザ光を出射可能である光源と、
前記光源を略面光源に変換して第2の光源とする光源変換手段と、
前記対象物の加工面および前記第2の光源と共役な位置に配置された空間光変調素子と、
前記空間光変調素子から照射されたレーザ光を前記加工面に投射する対物レンズと、
前記第2の光源から照射されるレーザ光のNAを変更するNA変更手段と、
各加工工程または加工対象物の各種別にそれぞれ対応する前記対物レンズの種別と、前記対物レンズの種別に応じてそれぞれ設定された複数の前記レーザ光のNA変更条件とを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶する対物レンズの種別のうち、実行すべき前記加工工程または加工対象物の種別に対応する対物レンズを選択するとともに、前記記憶手段が記憶する前記複数のレーザ光のNA変更条件のうち、前記実行すべき加工工程または加工対象物の種別に対応する前記レーザ光のNA変更条件にしたがって前記NA変更手段によるレーザ光のNAの変更を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記光源変換手段は、前記レーザ光を結合可能な複数の結合レンズと、導波路とを有し、
前記NA変更手段は、光路上に配置する前記結合レンズを切り替えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記光導波路から出力されたレーザ光を前記空間光変調素子に投影する投影レンズを有し、前記投影レンズの位置を変更して前記レーザ光の色収差を補正する色収差補正手段をさらに備え、
前記記憶手段は、各加工工程または各加工対象物の種別にそれぞれ対応する前記レーザ光の波長および前記投影レンズの位置を記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段が記憶する波長のうち前記実行すべき加工工程または加工対象物の種別に対応する波長のレーザ光を前記光源に出射させ、前記色収差補正手段に、前記投影レンズの位置を、前記記憶手段が記憶する前記投影レンズの位置のうち前記実行すべき加工工程または加工対象物の種別に対応する位置に変更させることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、各加工工程または加工対象物の各種別にそれぞれ対応する前記対物レンズの種別を記憶するとともに、前記加工工程または加工対象物の種別ごとに前記レーザ光の第1の波長および前記第1の波長と異なる第2の波長のいずれが対応するかを記憶し、
前記光源変換手段は、
前記光源から出射された前記レーザ光を第1の波長のレーザ光と第2の波長のレーザ光とに分けて出力する波長分割手段と、
前記第1の波長のレーザ光を伝搬する第1の光導波路と、
前記第2の波長のレーザ光を伝搬する第2の光導波路と、
を備え、
前記NA変更手段は、
前記第1の波長が使用される加工工程または加工対象物の種別に応じた焦点距離で、前記第1の波長のレーザ光を結合する第1の結合レンズと、
前記第2の波長が使用される加工工程または加工対象物の種別に応じた焦点距離で、前記第2の波長のレーザ光を結合する第2の結合レンズと、
前記第1の導波路と前記空間光変調素子との間に設けられた第1のシャッタと、
前記第2の導波路と前記空間変調素子との間に設けられた第2のシャッタと、
を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段が記憶するレーザ光の波長のうち前記実行すべき加工工程および加工対象物の種別に対応する波長のレーザ光が前記空間光変調素子に出力されるように、前記第1のシャッタおよび前記第2のシャッタの開閉を制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記憶手段が記憶する前記対物レンズの種別および前記複数のレーザ光のNA変更条件のうち、外部装置から送信された指示情報が実行を指示する前記加工工程および加工対象物の種別に対応する対物レンズを選択するとともに、前記指示情報が実行を指示する前記加工工程または加工対象物の種別に対応する前記レーザ光のNA変更条件にしたがって前記NA変更手段によるレーザ光のNAの変更を制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記実行すべき加工工程および加工対象物の種別を指示する指示情報を受け付けて前記制御手段に入力する入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶手段が記憶する前記対物レンズの種別および前記複数のレーザ光のNA変更条件のうち、前記入力手段から入力された指示情報が指示する前記加工工程および加工対象物の種別に対応する対物レンズを選択するとともに、前記指示情報が指示する前記加工工程または加工対象物の種別に対応する前記レーザ光のNA変更条件にしたがって前記NA変更手段によるレーザ光のNAの変更を制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記光源変換手段は、ビームエクスパンダとフライアイレンズとを有し、
前記NA変更手段は、前記ビームエクスパンダの倍率を変えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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