説明

レーザ微細加工装置及びレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法

【課題】固定治具に複数の加工対象物を装着して加工用レーザ光の照射によりレーザ微細加工を行う場合、加工対象物と固定治具の境界に段差や隙間があってもフォーカスサーボが外れず、加工対象物の加工精度を維持することが可能なレーザ微細加工装置及びレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法を提供する。
【解決手段】固定治具10に加工用レーザ光の焦点を合わせる第1のフォーカスサーボ手段110と、加工対象物に加工用レーザ光の焦点を合わせる第2のフォーカスサーボ手段116と、加工対象物と固定治具の境界又は境界近傍を検出する境界検出手段と、境界検出手段による検出に基づいて、第1のフォーカスサーボ手段と第2のフォーカスサーボ手段とを切り替えるフォーカスサーボ切替手段102とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工用レーザ光を照射して加工対象物の加工面に微細なピットを作製するレーザ微細加工装置及びレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光加工ヘッドから出射される加工用レーザ光を平板状の加工対象物に照射し、該加工対象物の加工面に微細なピットを作製するレーザ微細加工装置が知られている。このレーザ微細加工装置において、ターンテーブル上に固定された加工対象物にレーザ光を照射し加工する装置として、例えば特許文献1に示されるようなものがある。
【0003】
この特許文献1に示されるレーザ描画装置は、ターンテーブルに1枚の加工対象物を固定して回転させ、回転する加工対象物の加工面に直接レーザ光を照射して加工を施すものである。しかしながら、従来のレーザ描画装置の構成によるレーザ微細加工装置では、ターンテーブルにセットして加工できる加工対象物の枚数が一枚であることから、加工対象物の交換が煩雑で加工タクトが長く、効率的な加工が困難である。
【0004】
また、加工用レーザ光が照射される位置の線速度が一定になるようターンテーブルを回転させて加工を行う場合、加工用レーザ光が照射される位置が回転中心付近になるとターンテーブルの回転が速くなるため、回転制御の精度は、回転中心から離間した位置に比べて劣る。また、回転速度には限界があるため中心部に近づくと線速度一定での制御ができなくなる場合もある。さらに、ターンテーブルの回転中心と加工対象物の中心とを精度よく一致させることは困難であり、ターンテーブルの回転中心に加工用レーザ光の半径方向移動線が含まれるよう調整することも困難である。このため、ターンテーブルの回転中心付近では加工対象物に高精度な加工を施すことは困難であった。
【0005】
そこで、ターンテーブルにセットする加工対象物の固定治具を、固定治具の中心から離間して複数の装着孔が設けられているようにし、この装着孔に加工対象物を装着して加工用レーザ光の照射により一度にレーザ加工できる数を増やすとともに、回転中心において高精度な加工が困難であるという問題を考慮する必要がないようにすることが試みられている。
【特許文献1】特開2001−133987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような固定治具による方法においては、加工対象物を固定治具の装着孔にセットした際、加工対象物と固定治具の境界に存在する段差や隙間によりフォーカスエラー信号が大きく乱れ、フォーカスサーボが外れる可能性がある。
【0007】
光加工ヘッドの光学系を調整することによりフォーカスサーボが外れることを抑えることはある程度できるが、レーザ光焦点の加工対象物の加工面への追従性が悪くなるため、通常のフォーカスサーボの場合に比べて加工精度が落ちてしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、固定治具に固定治具の中心から離間して複数の加工対象物を装着して加工用レーザ光の照射によりレーザ微細加工を行う場合において、加工対象物と固定治具の境界に段差や隙間があってもフォーカスサーボが外れないと共に、加工対象物の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことが可能なレーザ微細加工装置及びレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のレーザ微細加工装置は、加工対象物及び固定治具からの反射光を第1の受光光学系にて受光し、加工用レーザ光が加工対象物に照射されているときに、第1の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて加工用レーザ光の焦点が加工対象物表面に合うようにフォーカスサーボを行う第1のフォーカスサーボ手段と、加工対象物及び固定治具からの反射光を第2の受光光学系にて受光し、加工用レーザ光が固定治具に照射させているときに、第2の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて加工用レーザ光の焦点が固定治具表面に合うようフォーカスサーボを行う第2のフォーカスサーボ手段と、加工対象物と固定治具の境界又は境界近傍を検出する境界検出手段と、境界検出手段による検出に基づいて、第1のフォーカスサーボ手段と、第2のフォーカスサーボ手段とを切り替えるフォーカスサーボ切替手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載のレーザ微細加工装置は、境界検出手段が、加工対象物からの反射光及び固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出する信号強度変化検出手段であることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載のレーザ微細加工装置は、回転手段による回転の角度に相当する量を検出する回転角度検出手段と、加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値を検出するレーザ光照射半径値検出手段とを備え、境界検出手段が、加工対象物からの反射光及び固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出する信号強度変化検出手段と、信号強度変化検出手段による検出時の、回転角度検出手段により検出される又は回転角度検出手段に初期値として設定される回転角度に相当する量とレーザ光照射半径値検出手段により検出される加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値とに基づいて、境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、回転角度検出手段が検出する回転角度に相当する量が境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出する第1の回転角度基準境界検出手段とから構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載のレーザ微細加工装置は、回転手段による回転の基準位置を検出する回転基準位置検出手段と、回転手段による回転の角度に相当する量を回転基準位置検出手段により検出した回転の基準位置からの量として検出する回転角度検出手段と、加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値を検出するレーザ光照射半径値検出手段とを備え、境界検出手段が、レーザ光照射半径値検出手段により検出される加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値に基づいて、境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、回転角度検出手段が検出する回転角度に相当する量が境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出する第2の回転角度基準境界検出手段であることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載のレーザ微細加工装置は、光加工ヘッドが、加工用レーザ光とは別にサーボ用レーザ光をレーザ光の焦点が加工用レーザ光の焦点と一致するように照射し、第1の受光光学系が、サーボ用レーザ光による反射光を受光する光学系であり、第2の受光光学系が、加工用レーザ光による反射光を受光する光学系であることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法は、加工対象物及び固定治具からの反射光を第1の受光光学系にて受光し、加工用レーザ光が加工対象物に照射されているときに、第1の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて加工用レーザ光の焦点が加工対象物表面に合うようにフォーカスサーボを行う第1のフォーカスサーボと、加工対象物及び固定治具からの反射光を第2の受光光学系にて受光し、加工用レーザ光が固定治具に照射させているときに、第2の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて加工用レーザ光の焦点が固定治具表面に合うようフォーカスサーボを行う第2のフォーカスサーボとを加工対象物と固定治具の境界又は境界近傍の検出を行い、検出に基づいて切り替えることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法は、加工対象物と固定治具の境界又は境界近傍の検出を、加工対象物からの反射光及び固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出することにより行うことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法は、加工対象物と固定治具の境界又は境界近傍の検出を、加工対象物からの反射光及び固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出することと、回転手段による回転の角度に相当する量と加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値とを検出し続け、所定レベルのクロス時において検出した又は初期値として設定した、回転角度に相当する量と加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値とに基づいて、境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、検出し続ける回転角度に相当する量が境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出することにより行うことを特徴とする。
【0017】
請求項9記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法は、加工対象物と固定治具の境界又は境界近傍の検出を、回転手段による回転の基準位置を検出し、回転手段による回転の角度に相当する量を検出した回転の基準位置からの量として検出し続けると共に、加工用レーザ光の照射位置の固定治具における半径値を検出し続け、検出した半径値に基づいて、境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、検出し続ける回転角度に相当する量が境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出することにより行うことを特徴とする。
【0018】
請求項10記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法は、光加工ヘッドが、加工用レーザ光とは別にサーボ用レーザ光をレーザ光の焦点が加工用レーザ光の焦点と一致するように照射し、第1の受光光学系が、サーボ用レーザ光による反射光を受光する光学系であり、第2の受光光学系が、加工用レーザ光による反射光を受光する光学系であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1及び請求項6の発明によれば、加工対象物と固定治具の境界または境界近傍の検出に基づいて、2つのフォーカスサーボ手段を切り替えるようにしたことから、加工対象物と固定治具の境界に存在する段差や隙間によりフォーカスサーボが外れないように第2の光学系及び第2のフォーカスサーボ手段の条件を設定し、レーザ光焦点の加工対象物表面への追従性が良くなるように第1の光学系及び第1のフォーカスサーボ手段の条件を設定することにより、段差や隙間でフォーカスサーボが外れないとともに加工対象物の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0020】
請求項2及び請求項7の発明によれば、加工対象物と固定治具の境界または境界近傍の検出を、加工対象物からの反射光及び固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度の変化を検出することで行うことにより、例えば加工対象物のエッジに加工対象物とは反射率の異なる部分を予め用意すれば、固定治具から加工対象物にレーザ光が移った直後に第1のフォーカスサーボへの切り替えを行い、加工対象物から固定治具にレーザ光が移る直前で第1のフォーカスサーボからの切り替えを行うことができるので、段差や隙間でフォーカスサーボが外れないとともに加工対象物の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0021】
請求項3及び請求項8の発明によれば、加工対象物と固定治具の境界または境界近傍の検出を、加工対象物からの反射光及び固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度の変化を検出することと、その検出からの回転角度量がその時点でのレーザ照射半径値から定まる回転角度量に達することを検出することで行うことから、固定治具と加工対象物の反射率が大きく異なっていれば、加工対象物はそのままでも固定治具から加工対象物にレーザ光が移った直後に第1のフォーカスサーボへの切り替えが行われ、加工対象物から固定治具にレーザ光が移る直前で第1のフォーカスサーボからの切り替えを行うことができるので、段差や隙間でフォーカスサーボが外れないとともに加工対象物の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0022】
請求項4及び請求項9の発明によれば、加工対象物と固定治具の境界または境界近傍の検出を、回転基準位置を検出してからの回転角度量がその時点でのレーザ照射半径値から定まる回転角度量に達することを検出することで行うようにすることから、固定治具上での回転基準位置が変わらなければ、固定治具と加工対象物の反射率によらず、加工対象物はそのままでも加工対象物にレーザ光が移った直後に第1のフォーカスサーボへの切り替えが行われ、加工対象物から固定治具にレーザ光が移る直前で第1のフォーカスサーボからの切り替えを行うことができるので、段差や隙間でフォーカスサーボが外れないとともに加工対象物の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0023】
請求項5及び請求項10の発明によれば、光加工ヘッドが加工用レーザ光とは別にサーボ用レーザ光を照射するようにし、第1の受光光学系がサーボ用レーザ光による反射光を受光する光学系であり、第2の受光光学系は加工用レーザ光による反射光を受光する光学系であることから、加工対象物と固定治具の反射率が大きく異なっていても、それぞれのレーザ光強度を適切な強度になるよう設定できるので、フォーカスサーボの精度を向上させることができる。また、加工用レーザ光とサーボ用レーザ光の波長を異ならせれば、波長選択性のある光学素子でレーザ光を分岐することができるので、損失するレーザ光の量を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態におけるレーザ微細加工装置は、光加工ヘッドから出射される加工用レーザ光をディスク状の加工対象物に照射し、加工対象物の加工面に微細なピットを作製するものである。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明に係るレーザ微細加工装置の第1の実施の形態を示す構成図である。図2は、同レーザ微細加工装置の光加工ヘッドの構成図である。図3は、同レーザ微細加工装置の加工対象物に高反射率の膜をつけて固定治具に装着する様子を示した図である。
【0026】
図1〜図3において、ウェハー5は、LEDウェハー等のディスク状の加工対象物で、表面が微細ピットを作製する加工面である。ウェハー固定治具10は、ディスク状で、ウェハー5を挿嵌可能な装着孔10aが複数穿設されている。この装着孔10aは、ウェハー固定治具10の回転中心から離間して設けられている。ターンテーブル12は、ウェハー5を回転させるテーブルであり、全面に図示しない吸引口を複数備え、ウェハー固定治具10とウェハー5を吸着可能に構成されている。
【0027】
また、図1に示すようにレーザ微細加工装置1は、光加工ヘッド200、表示装置602や入力装置604を備えたコントローラ600、HF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108、フォーカスサーボ回路A110、HF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114、フォーカスサーボ回路B116、信号切替回路102、信号強度変化検出回路104、ドライブ回路118、発光信号供給回路252、レーザ駆動回路250、スピンドルモータ300、スピンドルモータ制御回路302、フィードモータ400、フィールドモータ制御回路402等から構成されている。
【0028】
フィードモータ制御回路402は、コントローラ600から半径位置の入力があると、フィードモータ400内にあるエンコーダが出力するパルス信号から半径位置を計算し、設定された半径位置になるようフィードモータ400を駆動する。これにより、コントローラ600から適切な半径位置を入力させることで、ウェハー5に加工用レーザ光が照射され始める半径位置から加工用レーザ光の照射を開始することができる。また、フィードモータ制御回路402にはコントローラ600から送り速度の入力がある。
【0029】
コントローラ600は、フィードモータ400内にあるエンコーダが出力するパルス信号から半径位置を常に計算し、入力装置604から予め入力されている微細ピットの半径方向間隔と線速度から、ターンテーブル12の1回転で丁度微細ピットの半径方向間隔分、加工用レーザ光が照射される半径位置を移動する送り速度を計算してフィードモータ制御回路402に指示する。フィードモータ制御回路402は、フィードモータ400内にあるエンコーダが出力するパルス信号から送り速度を算出し、送り速度が指示された速度に合うようフィードモータ400を駆動する。
【0030】
スピンドルモータ制御回路302は、スピンドルモータ300をコントローラ600から指示された回転速度になるよう駆動する。
【0031】
コントローラ600は、計算された半径位置と入力されている線速度から、加工用レーザ光が照射される位置の線速度が入力されている線速度になるための回転速度を計算し、スピンドルモータ制御回路302に指示する。スピンドルモータ制御回路302は、スピンドルモータ300内にあるエンコーダが出力するパルス信号から回転速度を計算し、回転速度が指示された速度になるようスピンドルモータ300を駆動する。
【0032】
レーザ駆動回路250及び発光信号供給回路252は、後述する光加工ヘッド200のレーザ光源202に、設定された間隔の微細ピットを作製するためのレーザ光照射を行わせる。
【0033】
コントローラ600は、入力装置604から入力されている微細ピットの円周方向間隔と線速度から、発光信号のタイミングを計算し、発光信号供給回路252に指示する。発光信号供給回路252は、指示された発光タイミングでパルス信号である発光信号を生成し、レーザ駆動回路250に出力する。レーザ駆動回路250は入力した発光信号により加工用レーザ駆動信号(ハイレベルとローレベルからなるパルス信号)を生成し、後述する光加工ヘッド200のレーザ光源202に出力する。これにより、加工用レーザ光が照射されたウェハー5には、微細ピットが設定された間隔で作製されることになる。
【0034】
光加工ヘッド200は、内部に設けられたレーザ光源202から微細ピットを作製するための加工用レーザ光を出射するものである。光加工ヘッド200においてレーザ光源202から出射されコリメートレンズ204により平行光になったレーザ光は、偏光ビームスプリッタ206で殆ど透過し、ビームスプリッタ208で半分程度が透過し、1/4波長板210で円偏光となって対物レンズ212で集光され、ウェハー5またはウェハー固定治具10に照射される。
【0035】
そして、反射光は、対物レンズ212で平行光となり1/4波長板210で偏光方向が出射光から90度変わり、ビームスプリッタ208で半分程度が透過、半分程度が反射して、反射光は集光レンズA220、シリンドリカルレンズA222を介してフォトディテクタA224に集光する。集光レンズA220,シリンドリカルレンズA222は、ウェハー5とウェハー固定治具10の境界に存在する段差の3〜10倍のS字検出距離になるように設置されている。以下、集光レンズA220、シリンドリカルレンズA222及びフォトディテクタA224を総称して受光光学系Aと言う。
【0036】
ビームスプリッタ208を透過した反射光は、偏光ビームスプリッタ206で殆どが反射し、反射光は、集光レンズB230、シリンドリカルレンズB232を介してフォトディテクタB234に集光する。集光レンズB230、シリンドリカルレンズB232は、一般的な光ディスク装置の場合と同程度のS字検出距離になるように設置されている。以下、集光レンズB230、シリンドリカルレンズB232及びフォトディテクタB234を総称して受光光学系Bと言う。
【0037】
信号強度変化検出回路104は、光加工ヘッド200のフォトディテクタA224が出力する信号を加算し増幅してローパスフィルタを通した後、所定レベルより大きいまたは小さいで2値化信号にする。そして、2値化信号がLOWからHIGHになったときは、検出信号Aを出力し、検出信号がHIGHからLOWになったときは検出信号Bを出力する。
【0038】
HF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108、フォーカスサーボ回路A110は、レーザ光がウェハー固定治具10を照射しているときにフォーカスサーボに使用される回路である。フォーカスサーボ回路A110のカットオフ周波数は通常のフォーカスサーボの場合より小さく設定されており(ウェハー5とウェハー固定治具10の隙間により発生する信号成分の周波数の2.5分の1〜15分の1相当)、ウェハー5とウェハー固定治具10の境界をレーザ光が移動してもフォーカスサーボが外れないようになっている。
【0039】
HF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114、フォーカスサーボ回路B116は、レーザ光がウェハー5を照射しているときにフォーカスサーボに使用される回路である。フォーカスサーボ回路B116は、通常の光ディスク装置におけるフォーカスサーボと同様の条件で設定されている。
【0040】
信号切替回路102は、信号強度変化検出回路104から検出信号Bが入力したときは、フォーカスサーボ回路B116から入力した信号をドライブ回路118に出力し、信号強度変化検出回路104から検出信号Aが入力したときは、フォーカスサーボ回路A110から入力した信号をドライブ回路118に出力する。尚、装置稼働時においてはコントローラ600からの指示により、フォーカスサーボ回路A110から入力した信号をドライブ回路118に出力する。
【0041】
このように構成されたレーザ微細加工装置1において、作業者は図3に示すようにウェハー5のエッジ数mmに反射率の高い膜5aをつけ、ウェハー固定治具10の装着孔10aに装着した後、入力装置604から加工を指示する。尚、この場合、ウェハー固定治具10の表面の反射率は高く、ウェハー5は低いとする。
【0042】
レーザ微細加工装置1は、所定の半径位置からレーザ加工を開始する。ここで、信号切替回路102は、コントローラ600の指示によりフォーカスサーボ回路A110から入力した信号を出力するようにされる。そして、図示されていない回路がフォーカスエラー信号生成回路A108が出力する信号に発生したS字信号が0クロスしたタイミングを検出すると、コントローラ600からフォーカスサーボ回路A110に作動指示が出ることでフォーカスサーボの引き込みが行われる。
【0043】
以後、信号強度変化検出回路104は、レーザ光が高反射率の箇所から低反射率の箇所へ移ったときに検出信号Bを出力し、低反射率の箇所から高反射率の箇所へ移ったときに検出信号Aを出力し、それにより信号切替回路102が出力する信号を変更するので、ウェハー5上にレーザ光が照射されているときは、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116でフォーカスサーボが行われ、ウェハー固定治具10上にレーザ光が照射されているときは受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110でフォーカスサーボが行われる。
【0044】
そして、ウェハー5のエッジ数mmに反射率の高い膜5aをつけてあるので、フォーカスサーボの切り替えは、この膜5aとウェハー5の間の境界で行われるため、ウェハー5とウェハー固定治具10の間の境界をレーザ光が通過するときは、必ず受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110によるフォーカスサーボが行われ、このフォーカスサーボはS字検出距離が長く、カットオフ周波数が小さく設定され、フォーカスサーボが外れにくいフォーカスサーボであるのでウェハー5とウェハー固定治具10の境界にある段差や隙間でフォーカスサーボが外れないようにすることができる。そして、ウェハー5上にレーザ光が照射されているときに、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116により行われるフォーカスサーボは、S字検出距離やカットオフ周波数が通常の光ディスク装置におけるフォーカスサーボと同程度に設定され、追従性がよいフォーカスサーボであるので、ウェハー5の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0045】
尚、もしウェハー固定治具10の表面の反射率が高く、ウェハー5も高い場合は、ウェハー5のエッジ数mmには反射率の低い膜5aをつけ、信号強度変化検出回路104の設定をHIGH→LOW→HIGHが所定時間内に発生したときは検出信号Bを出力し、検出信号Bを出力した後にHIGHからLOWになったときは検出信号Bを出力するようにすればよい。これにより、反射率の低い膜5aからウェハー5にレーザ光が移動したときに、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116によるフォーカスサーボに切り替わり、ウェハー5から反射率の低い膜5aにレーザ光が移動したときに、受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110によるフォーカスサーボに切り替わるので、上記と同様のフォーカスサーボを行うことができる。
【実施例2】
【0046】
図4は、本発明に係るレーザ微細加工装置の第2の実施の形態を示す構成図である。図5は、本発明の第2の実施形態におけるエッジ検出回路が実行するプログラムのフローチャートである。図6は、本発明の第2の実施形態においてフォーカスサーボの切り替え点をスピンドルモータのエンコーダが出力するパルス信号のパルス数のカウントから検出する様子を示した説明図である。
【0047】
図4に示すレーザ微細加工装置2は、実施例1のレーザ微細加工装置1に加え、カウント回路120、エッジ検出回路122等を備えている。尚、レーザ微細加工装置1と同一の回路等は説明を省略し、作動等の異なる回路は異なる部分を説明する。
【0048】
信号強度変化検出回路104は、2値化信号がHIGHからLOWになったときのみ検出信号を出力する。また、遅延回路を内蔵し、信号切替回路102には2値化信号がHIGHからLOWになった後、所定時間(実施例1で高反射率の膜5aの幅分レーザ光照射位置が移動する時間)経過した後、検出信号を出力する。
【0049】
信号切替回路102は、信号強度変化検出回路104から検出信号が入力したときは、フォーカスサーボ回路B116から入力した信号を出力し、エッジ検出回路122から検出信号が入力したときは、フォーカスサーボ回路A110から入力した信号を出力する。
【0050】
カウント回路120は、信号強度変化検出回路104から検出信号が入力するとスピンドルモータ300のエンコーダが出力するパルス信号をカウントし、カウント値に相当する信号をエッジ検出回路122に出力する。そして、エッジ検出回路122から信号が入力するとカウントを停止しカウント値をリセットする。
【0051】
エッジ検出回路122は、コントローラ600からの指示により、図5のプログラムがスタートし、信号強度変化検出回路104から検出信号が入力すると(図5のS102−YES)、コントローラ600が出力する半径値を取り込んで(図5のS104)、ウェハー5のエッジ手前までのカウント値Aを計算し(図5のS106)、カウント回路120から入力するカウント値がこのカウント値Aになったとき(図5のS108−YES)、信号を出力する(図5のS110)。尚、信号強度変化検出回路104から検出信号が入力されない場合(図5のS102−NO)、コントローラ600からの終了指示を確認し(図5のS112)、終了指示がある場合には(図5のS112−YES)、プログラムを終了する(図5のS114)。
【0052】
レーザ光が、照射位置がウェハー5上になる前のウェハー5とウェハー固定治具10の境界位置を通過してから、照射位置がウェハー固定治具10上になる前のウェハー5とウェハー固定治具10の境界位置を通過するまでの回転角度は、図6に示すようにレーザ光照射位置の半径値で決まるので、境界の手前にあるA点までのカウント値Aも半径値で決まる。エッジ検出回路122には半径値とカウント値Aの関数がテーブル形式または数式で記憶されており、半径値が入力するとカウント値Aが計算されるようになっている。
【0053】
このように構成されたレーザ微細加工装置2において、作業者はウェハー5をそのままウェハー固定治具10の装着孔10aに装着した後、入力装置604から加工を指示する。尚、この場合もウェハー固定治具10の表面の反射率は高く、ウェハー5は低いとする。
【0054】
レーザ微細加工装置2は、レーザ微細加工装置1と同様にフォーカスサーボ引き込みを行う。その後、信号強度変化検出回路104はレーザ光がウェハー固定治具10からウェハー5へ移ったときに、ウェハー5のエッジから数mm分、レーザ光照射位置が移動した後、検出信号が出力する。エッジ検出回路122は、レーザ光照射位置がウェハー5からウェハー固定治具10に移る直前で信号を出力し、それにより信号切替回路102が出力する信号を切り替えるので、実施例1と同様、ウェハー5上にレーザ光が照射されているときは受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116でフォーカスサーボが行われ、ウェハー固定治具10上にレーザ光が照射されているときは、受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110でフォーカスサーボが行われる。
【0055】
また、ウェハー5とウェハー固定治具10の間の境界をレーザ光が通過するときは、必ず受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110によるフォーカスサーボ(即ちS字検出距離が長く、カットオフ周波数が小さく設定され、フォーカスサーボが外れにくいフォーカスサーボ)が行われるので、ウェハー5とウェハー固定治具10の境界にある段差や隙間でフォーカスサーボが外れないようにすることができ、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116によるフォーカスサーボは、S字検出距離やカットオフ周波数が通常の光ディスク装置におけるフォーカスサーボと同程度に設定され、追従性がよいフォーカスサーボであるので、ウェハー5の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0056】
尚、上記実施形態においてはカウント回路120を信号強度変化検出回路104から検出信号が入力するとスピンドルモータ300のエンコーダが出力するパルス信号のカウントを0を初期値として開始し、エッジ検出回路122はコントローラ600から入力した半径値からウェハー5のエッジ手前までのカウント値を計算するようにしたが、これに代えて、カウント回路120は常時エンコーダが出力するパルス信号のカウントを行い、信号強度変化検出回路104から検出信号が入力するとカウント値をエッジ検出回路122に出力するようにし、エッジ検出回路122はカウント回路120から入力したカウント値と、コントローラ600から入力した半径値とからウェハー5のエッジ手前までのカウント値を計算するようにしてもよい。これによっても同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0057】
図7は、本発明に係るレーザ微細加工装置の第3の実施の形態を示す構成図である。図8は、本発明の第3の実施形態におけるエッジ検出回路が実行するプログラムのフローチャートである。図9は、本発明の第3の実施形態においてフォーカスサーボの切り替え点をスピンドルモータのエンコーダが出力するパルス信号のパルス数のカウントから検出する様子を示した説明図である。
【0058】
図7に示すレーザ微細加工装置3は、実施例2のレーザ微細加工装置2から信号強度変化検出回路104を取り除いたような構成である。尚、レーザ微細加工装置1及びレーザ微細加工装置2と同一の回路等は説明を省略し、作動等の異なる回路は異なる部分を説明する。
【0059】
信号切替回路102は、エッジ検出回路122から信号Bが入力したときは、フォーカスサーボ回路B116から入力した信号を出力し、エッジ検出回路122から信号Aが入力したときは、フォーカスサーボ回路A110から入力した信号を出力する。
【0060】
カウント回路120は、スピンドルモータ300のエンコーダからインデックス信号が入力すると同エンコーダが出力するパルス信号のカウントを開始し、カウント値に相当する信号をエッジ検出回路122に出力する。そして、エンコーダからインデックス信号が入力するごとにカウント値をリセットし、カウントを継続する。
【0061】
エッジ検出回路122は、コントローラ600からの指示により、図8のプログラムがスタートし、スピンドルモータ300のエンコーダからインデックス信号が入力すると(図8のS204−YES)、コントローラ600が出力する半径値を取り込んで(図8のS206)、ウェハー5のエッジ手前の点のカウント値A(0)〜A(7)を計算し(図8のS208)、カウント回路120から入力するカウント値がこのAになったとき(図8のS210−YES)、A(n)のnが偶数のときは信号Bを(図8のS212−YES、S214)、nが奇数のときは信号Aを(図8のS212−NO、S216)出力する。尚、カウント回路120から入力するカウント値がAに満たない場合に(図8のS210−NO)、コントローラ600からの終了指示を確認し(図8のS224)、終了指示がある場合には(図8のS224−YES)、プログラムを終了する(図8のS226)。
【0062】
尚、この場合、ウェハー固定治具10に装着するウェハー5は4つで、エンコーダからインデックス信号が出力される点は、レーザ光照射位置がウェハー固定治具10上にある点であり、この点はウェハー固定治具10がターンテーブル12に固定されているか、ウェハー固定治具10に工夫がされて同じ状態でセットできるため、一定であるとする。
【0063】
エンコーダからインデックス信号が入力する点が一定であれば、レーザ光がウェハー5とウェハー固定治具10の境界位置を通過する箇所のインデックス信号が出力する点からの回転角度は、図9に示すようにレーザ光照射位置の半径値で決まるので、ウェハー5の境界の近傍点Aまでのカウント値A(0)〜(7)も半径値で決まる。エッジ検出回路122には半径値とカウント値A(0)〜(7)の関数がテーブル形式または数式でそれぞれ記憶されており、半径値が入力するとカウント値A(0)〜(7)が計算されるようになっている。
【0064】
このように構成されたレーザ微細加工装置3において、作業者はウェハー5をそのままウェハー固定治具10の装着孔10aに装着した後、入力装置604から加工を指示する。尚、この場合はウェハー固定治具10の表面の反射率やウェハー5の反射率は任意でよい。
【0065】
レーザ微細加工装置3は、レーザ微細加工装置1と同様にまずフォーカスサーボ引き込みが行われる。その後、エッジ検出回路122は、レーザ光がウェハー5とウェハー固定治具10の境界を通過し、ウェハー5のエッジから数mmの箇所に来たときに信号Bを出力し、レーザ光がウェハー5とウェハー固定治具10の境界を通過する手前のウエハー5のエッジから数mmの箇所に来たときに信号Aを出力し、それにより信号切替回路102が出力する信号を切り替えるので、実施例1と同様、ウェハー5上にレーザ光が照射されているときは受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116でフォーカスサーボが行われ、ウェハー固定治具10上にレーザ光が照射されているときは受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110でフォーカスサーボが行われる。また、ウェハー5とウェハー固定治具10の間の境界をレーザ光が通過するときは、必ず受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110によるフォーカスサーボ(即ちS字検出距離が長く、カットオフ周波数が小さく設定され、フォーカスサーボが外れにくいフォーカスサーボ)が行われるので、ウェハー5とウェハー固定治具10の境界にある段差や隙間でフォーカスサーボが外れないようにすることができ、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116によるフォーカスサーボは、S字検出距離やカットオフ周波数が通常の光ディスク装置におけるフォーカスサーボと同程度に設定され、追従性がよいフォーカスサーボであるので、ウェハー5の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【実施例4】
【0066】
図10は、本発明に係るレーザ微細加工装置の第4の実施の形態を示す構成図である。図10に示すレーザ微細加工装置4は、実施例1のレーザ微細加工装置1の光加工ヘッドが変わった構成である。尚、レーザ微細加工装置1と回路等は同一であるので説明を省略し、構成等の異なる光加工ヘッドの部分のみを説明する。尚、実施例4の形態は、実施例2,3にも適用することができる。
【0067】
光加工ヘッド240は、加工用レーザ光とサーボ用レーザ光の2つを照射する。2つのレーザ光は波長を異ならせているため(例えば加工用レーザ光は400nm付近の青色レーザ、サーボ用レーザ光は650nm付近の赤色レーザ)、ダイクロイックミラーで合成され、2つのレーザ光による反射光はダイクロイックミラーで分離される。そしてそれぞれの反射光を受光する受光光学系A、受光光学系Bが設けられている。
【0068】
サーボ用レーザ光による反射光は受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110によるフォーカスサーボに用いられ、加工用レーザ光による反射光は、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116によるフォーカスサーボに用いられる。
【0069】
このように構成されたレーザ微細加工装置4において、作業者は実施例1と同様に、ウェハー5のエッジに高反射率の膜5aをつけ、ウェハー固定治具10の装着孔10aに装着した後、入力装置604から加工を指示する。レーザ微細加工装置4は、レーザ微細加工装置1と同様にフォーカスサーボ引き込みを行う。その後、信号強度変化検出回路104は、レーザ光が高反射率の箇所から低反射率の箇所へ移ったときに検出信号Bを出力し、低反射率の箇所から高反射率の箇所へ移ったときに検出信号Aを出力し、それにより信号切替回路102の出力を切り替えるので、ウェハー5上にレーザ光が照射されているときは、加工用レーザ光による反射光を用いて受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116でフォーカスサーボが行われる。
【0070】
ウェハー固定治具10上にレーザ光が照射されているときは、サーボ用レーザ光による反射光を用いて受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110でフォーカスサーボが行われる。また、ウェハー5とウェハー固定治具10の間の境界をレーザ光が通過するときは、必ず受光光学系AとHF信号増幅回路A106、フォーカスエラー信号生成回路A108及びフォーカスサーボ回路A110によるフォーカスサーボが行われるのでウェハー5とウェハー固定治具10の境界にある段差や隙間でフォーカスサーボが外れないようにすることができ、受光光学系BとHF信号増幅回路B112、フォーカスエラー信号生成回路B114及びフォーカスサーボ回路B116によるフォーカスサーボは、追従性がよいフォーカスサーボであるので、ウェハー5の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことができる。
【0071】
さらに、加工用レーザ光とサーボ用レーザ光の2つを用いたことでウェハー5とウェハー固定治具10の反射率が大きく異なっていても、それぞれのレーザ光強度を適切な強度になるよう設定できるので、フォーカスサーボの精度を向上させることができる。
【0072】
さらに、ダイクロイックミラーで出射光を合成し反射光を分離しているので、実施例1〜3の光加工ヘッド200のようにビームスプリッタ208で出射光を損失することをなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明によれば、固定治具に固定治具の中心から離間して複数の加工対象物を装着して加工用レーザ光の照射によりレーザ微細加工を行う場合において、加工対象物と固定治具の境界に段差や隙間があってもフォーカスサーボが外れないと共に、加工対象物の加工精度を維持しつつフォーカスサーボを行うことが可能なレーザ微細加工装置及びレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係るレーザ微細加工装置の第1の実施の形態を示す構成図である。
【図2】同レーザ微細加工装置の光加工ヘッドの構成図である。
【図3】同レーザ微細加工装置の加工対象物に高反射率の膜をつけて固定治具に装着する様子を示した図である。
【図4】本発明に係るレーザ微細加工装置の第2の実施の形態を示す構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるエッジ検出回路が実行するプログラムのフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態においてフォーカスサーボの切り替え点をスピンドルモータのエンコーダが出力するパルス信号のパルス数のカウントから検出する様子を示した説明図である。
【図7】本発明に係るレーザ微細加工装置の第3の実施の形態を示す構成図である。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるエッジ検出回路が実行するプログラムのフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態においてフォーカスサーボの切り替え点をスピンドルモータのエンコーダが出力するパルス信号のパルス数のカウントから検出する様子を示した説明図である。
【図10】本発明に係るレーザ微細加工装置の第4の実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0075】
1・・・・・レーザ微細加工装置
2・・・・・レーザ微細加工装置
3・・・・・レーザ微細加工装置
4・・・・・レーザ微細加工装置
5・・・・・ウェハー
5a・・・・膜
10・・・・ウェハー固定治具
10a・・・装着孔
12・・・・ターンテーブル
102・・・信号切替回路
104・・・信号強度変化検出回路
106・・・HF信号増幅回路A
108・・・フォーカスエラー信号生成回路A
110・・・フォーカスサーボ回路A
112・・・HF信号増幅回路B
114・・・フォーカスエラー信号生成回路B
116・・・フォーカスサーボ回路B
118・・・ドライブ回路
120・・・カウント回路
122・・・エッジ検出回路
200・・・光加工ヘッド
202・・・レーザ光源
204・・・コリメートレンズ
206・・・偏光ビームスプリッタ
208・・・ビームスプリッタ
210・・・1/4波長板
212・・・対物レンズ
214・・・アクチュエータ
220・・・集光レンズA
222・・・シリンドリカルレンズA
224・・・フォトディテクタA
230・・・集光レンズB
232・・・シリンドリカルレンズB
234・・・フォトディテクタB
240・・・光加工ヘッド
250・・・レーザ駆動回路
252・・・発光信号供給回路
254・・・サーボ用レーザ駆動回路
300・・・スピンドルモータ
302・・・スピンドルモータ制御回路
400・・・フィードモータ
402・・・フィードモータ制御回路
600・・・コントローラ
602・・・表示装置
604・・・入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の加工対象物を平板状の固定治具に形成された深さが該加工対象物の厚さと略同一であると共に該固定治具の中心から離間して設けられた装着孔に装着し、該固定治具を回転手段により回転させながら光加工ヘッドから出射される加工用レーザ光を該加工対象物に照射すると共に、半径方向送り手段により該固定治具を該光加工ヘッドと相対的に半径方向に送り、該加工対象物の加工面に微細な加工を施すレーザ微細加工装置において、
該加工対象物及び該固定治具からの反射光を第1の受光光学系にて受光し、該加工用レーザ光が該加工対象物に照射されているときに、該第1の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて該加工用レーザ光の焦点が該加工対象物表面に合うようにフォーカスサーボを行う第1のフォーカスサーボ手段と、
該加工対象物及び該固定治具からの反射光を第2の受光光学系にて受光し、該加工用レーザ光が該固定治具に照射させているときに、該第2の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて該加工用レーザ光の焦点が該固定治具表面に合うようフォーカスサーボを行う第2のフォーカスサーボ手段と、
該加工対象物と該固定治具の境界又は境界近傍を検出する境界検出手段と、
該境界検出手段による検出に基づいて、該第1のフォーカスサーボ手段と、該第2のフォーカスサーボ手段とを切り替えるフォーカスサーボ切替手段とを備えたことを特徴とするレーザ微細加工装置。
【請求項2】
前記境界検出手段が、前記加工対象物からの反射光及び前記固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出する信号強度変化検出手段であることを特徴とする請求項1記載のレーザ微細加工装置。
【請求項3】
前記回転手段による回転の角度に相当する量を検出する回転角度検出手段と、
前記加工用レーザ光の照射位置の前記固定治具における半径値を検出するレーザ光照射半径値検出手段とを備え、
前記境界検出手段が、
前記加工対象物からの反射光及び該固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出する信号強度変化検出手段と、
該信号強度変化検出手段による検出時の、該回転角度検出手段により検出される又は該回転角度検出手段に初期値として設定される回転角度に相当する量と該レーザ光照射半径値検出手段により検出される該加工用レーザ光の照射位置の該固定治具における半径値とに基づいて、境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、該回転角度検出手段が検出する回転角度に相当する量が該境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出する第1の回転角度基準境界検出手段とから構成されることを特徴とする請求項1記載のレーザ微細加工装置。
【請求項4】
前記回転手段による回転の基準位置を検出する回転基準位置検出手段と、
該回転手段による回転の角度に相当する量を該回転基準位置検出手段により検出した回転の基準位置からの量として検出する回転角度検出手段と、
前記加工用レーザ光の照射位置の前記固定治具における半径値を検出するレーザ光照射半径値検出手段とを備え、
前記境界検出手段が、該レーザ光照射半径値検出手段により検出される該加工用レーザ光の照射位置の該固定治具における半径値に基づいて、境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、該回転角度検出手段が検出する回転角度に相当する量が該境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出する第2の回転角度基準境界検出手段であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ微細加工装置。
【請求項5】
前記光加工ヘッドが、前記加工用レーザ光とは別にサーボ用レーザ光をレーザ光の焦点が該加工用レーザ光の焦点と一致するように照射し、
前記第1の受光光学系が、該サーボ用レーザ光による反射光を受光する光学系であり、
前記第2の受光光学系が、該加工用レーザ光による反射光を受光する光学系であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のレーザ微細加工装置。
【請求項6】
平板状の加工対象物を平板状の固定治具に形成された深さが該加工対象物の厚さと略同一であると共に該固定治具の中心から離間して設けられた装着孔に装着し、該固定治具を回転手段により回転させながら光加工ヘッドから出射される加工用レーザ光を該加工対象物に照射すると共に、半径方向送り手段により該固定治具を該光加工ヘッドと相対的に半径方向に送り、該加工対象物の加工面に微細な加工を施すレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法において、
該加工対象物及び該固定治具からの反射光を第1の受光光学系にて受光し、該加工用レーザ光が該加工対象物に照射されているときに、該第1の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて該加工用レーザ光の焦点が該加工対象物表面に合うようにフォーカスサーボを行う第1のフォーカスサーボと、
該加工対象物及び該固定治具からの反射光を第2の受光光学系にて受光し、該加工用レーザ光が該固定治具に照射させているときに、該第2の受光光学系による受光光量に基づく信号から生成したフォーカスエラー信号に基づいて該加工用レーザ光の焦点が該固定治具表面に合うようフォーカスサーボを行う第2のフォーカスサーボとを該加工対象物と該固定治具の境界又は境界近傍の検出を行い、検出に基づいて切り替えることを特徴とするレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法。
【請求項7】
前記加工対象物と前記固定治具の境界又は境界近傍の検出を、
該加工対象物からの反射光及び該固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出することにより行うことを特徴とする請求項6記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法。
【請求項8】
前記加工対象物と前記固定治具の境界又は境界近傍の検出を、
前記加工対象物からの反射光及び該固定治具からの反射光に基づいて作成された信号の強度が所定レベルをクロスして変化するときを検出することと、
前記回転手段による回転の角度に相当する量と前記加工用レーザ光の照射位置の該固定治具における半径値とを検出し続け、
該所定レベルのクロス時において検出した又は初期値として設定した、該回転角度に相当する量と該加工用レーザ光の照射位置の該固定治具における半径値とに基づいて、該境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、検出し続ける回転角度に相当する量が該境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出することにより行うことを特徴とする請求項6記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法。
【請求項9】
前記加工対象物と前記固定治具の境界又は境界近傍の検出を、
前記回転手段による回転の基準位置を検出し、該回転手段による回転の角度に相当する量を検出した回転の基準位置からの量として検出し続けると共に、
前記加工用レーザ光の照射位置の前記固定治具における半径値を検出し続け、
検出した該半径値に基づいて、該境界又は境界近傍における回転角度に相当する量を計算し、検出し続ける回転角度に相当する量が該境界又は境界近傍における回転角度に相当する量になったときを検出することにより行うことを特徴とする請求項6に記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法。
【請求項10】
前記光加工ヘッドが、前記加工用レーザ光とは別にサーボ用レーザ光をレーザ光の焦点が該加工用レーザ光の焦点と一致するように照射し、
前記第1の受光光学系が、該サーボ用レーザ光による反射光を受光する光学系であり、
前記第2の受光光学系が、該加工用レーザ光による反射光を受光する光学系であることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載のレーザ微細加工装置のフォーカスサーボ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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