説明

レーザ攻撃から集積回路を保護するデバイス

【課題】本発明は、集積回路の表面積を著しく拡大することなく集積回路の大部分の保護を可能にする、レーザ攻撃から集積回路を保護するデバイスを提供する。
【解決手段】集積回路は、半導体材料からなる基板と、該基板の第1表面側に設けられた活性領域と、レーザ攻撃に対する保護デバイスとを備え、該保護デバイスは、前記活性領域と前記基板の第2表面側との間に設けられた少なくとも1つの第1ドープ領域と、該第1ドープ領域にバイアスを印加するバイアス印加デバイスと、該バイアス印加デバイスによって与えられる電流の継続的増加を検出する検出デバイスとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部攻撃から集積回路を保護するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、集積回路の正常な動作を妨げ、妨害まですることを目的とした外部攻撃から集積回路を保護することが望ましい。攻撃の一例では、集積回路の前面又は後面がレーザ、特にパルスレーザで走査される。このような方法は、集積回路のメモリに記憶されたデータを変更したり、集積回路の導電性トラックに沿って伝送される信号の論理状態又は継続期間を変更したりすることを可能にする。
【0003】
集積回路は、レーザ攻撃の発生を検出することが可能な保護デバイスを備えてもよい。保護デバイスは、集積回路の停止、機密データの消去等を制御することが可能である。
【0004】
一例として、レーザ攻撃に対する保護デバイスは、数個の電子部品、例えば、集積回路に形成されたフォトダイオード、フリップフロップ型メモリ素子を含んでもよい。これらの部品は、レーザの光ビームに対して高感度であり、レーザビームの存在を検出可能なセンサとして機能する。
【0005】
しかしながら、このような保護デバイスは、レーザビームが保護デバイスのセンサの内の1つに直接達する場合にのみレーザ攻撃を検出することが可能である。レーザが集積回路全体を走査する間に攻撃の検出確率を高めるために、多数のセンサを備えることが必要となる。このため保護デバイス専用の集積回路の表面積を拡大することが必要となり、それによって集積回路の製造コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第19600590号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、集積回路の表面積を著しく拡大することなく、集積回路の大部分の保護を可能にする、レーザ攻撃から集積回路を保護するデバイスの提供を目的とする。
【0008】
保護デバイスが連続的なレーザ及びパルスレーザの両方の攻撃の検出を可能にすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の少なくとも1つの実施形態は、半導体材料からなる基板と、該基板の第1表面側に設けられた活性領域と、レーザ攻撃に対する保護デバイスとを備え、該保護デバイスは、前記活性領域と前記基板の第2表面側との間に設けられた少なくとも1つの第1ドープ領域と、該第1ドープ領域にバイアスを印加するバイアス印加デバイスと、該バイアス印加デバイスによって与えられる電流の継続的増加を検出する検出デバイスとを含むことを特徴とする集積回路を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記第1ドープ領域は第1伝導型であり、前記活性領域は、前記第1伝導型の第2ドープ領域と第2伝導型の第3ドープ領域との網状構造を含み、前記第2ドープ領域及び第3ドープ領域は、夫々前記第1表面側に設けられており、前記第1ドープ領域は、前記第2ドープ領域及び第3ドープ領域の少なくとも一部と接している。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、集積回路は、前記第1表面側に前記第2伝導型の第4領域を更に備えており、該第4領域は、前記第1ドープ領域が接している前記活性領域を少なくとも部分的に囲んでおり、前記基板の追加のバイアス印加デバイスに接続されることが意図されている。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、集積回路は、少なくともその一部が前記活性領域に設けられ、クロック信号によってその動作が同期される電子部品を更に備え、前記検出デバイスは、前記電流のレベルを表す第1信号を出力する第1ユニットと、前記第1信号と第3基準信号との比較によって決まる第2信号を出力する第2ユニットと、前記クロック信号の各立ち上がりエッジの後の前記電流のレベルがゼロである期間のタイミングに、前記第2信号をサンプリングするサンプリングデバイスとを含む。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記バイアス印加デバイスは、MOSトランジスタを含み、前記第1ユニットは、前記MOSトランジスタと直列の抵抗器を含む。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記サンプリングデバイスは、前記クロック信号の各立下りエッジで前記第2信号をサンプリングすることが可能である。
【0015】
本発明の他の実施形態は、上述されたような第1集積回路と、該第1集積回路から離れた第2集積回路と、前記第1集積回路を前記第2集積回路に接続する少なくとも1つの接続部とを備えることを特徴とする電子システムを提供する。
【0016】
本発明の他の実施形態は、半導体材料からなる基板と、レーザ攻撃に対する保護デバイスとを備えた集積回路を製造する方法において、前記基板の内部に深くドープ処理された第1領域を少なくとも形成するステップと、前記基板の第1表面側に活性領域を形成して、前記第1領域を、前記活性領域と前記基板の第2表面側との間に配置するステップと、前記第1領域にバイアスを印加するバイアス印加デバイスを形成するステップと、前記バイアス印加デバイスによって与えられる電流の増加を検出するデバイスを形成するステップとを備えることを特徴とする方法を提供する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記方法は、第1エネルギで第1伝導型ドープ剤の第1注入によって前記第1領域を形成するステップと、前記第1伝導型の第2ドープ領域と第2伝導型の第3ドープ領域との網状構造によって前記活性領域を形成し、前記第1領域を前記第2ドープ領域及び前記第3ドープ領域の少なくとも一部に接触させ、前記第2ドープ領域を、前記第1エネルギよりも低い第2エネルギで前記第1伝導型ドープ剤の第2注入によって形成するステップとを更に備える。
【0018】
本発明の前述の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の集積回路の一例を示す簡略化された断面図である。
【図2】本発明に係る保護デバイスを備えた集積回路の一実施形態を示す簡略化された断面図である。
【図3】図2の集積回路の変形例を示す簡略化された底面図である。
【図4】本発明に係る保護デバイスの検出回路の一実施形態を示す図である。
【図5】図4の検出回路の動作の特徴を示す信号のタイミング図である。
【図6】本発明に係る保護デバイスを製造する方法の一例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る保護デバイスを含む集積回路を備えた電子システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
明瞭さのために、同一の要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されており、更に、集積回路の表示ではよくあるように様々な図面は正しい縮尺で図示されていない。以下の説明では、トランジスタ、ダイオード等の電子部品が形成されているレベルの集積回路の基板の一部が、集積回路の活性領域と呼ばれる。更に詳細には、本発明では、活性領域が基板の表面から基板の一部まで下方に設けられている集積回路が検討されている。
【0021】
図1は、従来の集積回路の一例を示す簡略化された断面図である。集積回路10は半導体材料からなる基板12を備える。基板は、例えば非ドープ又はP型ドープ処理された単結晶シリコン基板12である。基板12は、積層された絶縁層で被覆された表面13を含む(図1には、1層の絶縁層14のみが示されている)。集積回路10は、基板12の表面13側に設けられたP型ドープ領域22とN型ドープ領域24とを備える。P型ドープ領域22及びN型ドープ領域24は、ウェルを形成し、例えばシャロウ・トレンチ・アイソレーション又はSTI法により基板12に形成された絶縁領域25によって互いに横方向に分離されている。集積回路10は、例えば行列状に配置された数個のウェル22、24を備えてもよい。電子部品はウェル22、24のレベルに設けられている。一例として、PチャネルトランジスタT1がウェル24のレベルに示され、NチャネルトランジスタT2がウェル22のレベルに示されている。通常通り各トランジスタT1、T2は、基板12を被覆してトランジスタT1、T2のゲート絶縁体を形成する絶縁部分26と、絶縁部分26を被覆してトランジスタT1、T2のゲートを形成する半導体材料からなる部分27と、ゲート27を囲むスペーサ28と、ゲート27の両側に配置され、トランジスタT1、T2のソース領域及びドレイン領域を形成し、基板12に設けられたドープ領域30とを含む。
【0022】
P型ドープ領域22より更に多くドープ処理されたP型領域32が、領域22の表面13側に設けられている。P型領域32は、第1基準電圧源、例えば接地GNDに接続されて、ウェル22及び基板12のバイアス印加を確実に行う。N型ドープ領域24より更に多くドープ処理されたN型領域34が、N型ドープ領域24の表面13側に設けられている。N型領域34は、第2基準電圧源、例えば第1基準電圧GNDより高い電圧源Vddに接続されて、ウェル24のバイアス印加を確実に行う。
【0023】
本発明の一実施形態では、集積回路の後面と活性領域との間の集積回路の基板に少なくとも1つの保護シールドが備えられており、保護シールドは、基板の内部の深くに設けられたドープ領域から形成されている。保護シールドは、レーザビームの通過中に、保護シールドを形成するドープ領域と隣接する基板との間の接合部に主にフォトジェネレートされた電子を捕捉することが可能である。保護シールドに接続されている検出回路は、レーザビームの通過に起因する電気量の変化を検出することが可能である。特に、電気量の変化は電流の変化に相当する場合がある。攻撃の検出により、集積回路の停止、機密データの消去等を引き起こすことが可能な警告信号が伝送され得る。本実施形態は、連続的レーザ又はパルスレーザによる両方の攻撃の検出に有利に適合する。
【0024】
図2は、本発明に係る保護デバイス42を備えた集積回路40の一実施形態の簡略化された断面図である。集積回路40は、図1の集積回路10の要素を備える。保護デバイス42は、ウェル22、24の下の基板12に形成されたN型ドープ領域44を含む。一般的には、N型ドープ領域44は集積回路の特定のウェル22、24の下に設けられたシールドの形を備えてもよい。以下に更に詳細に説明するように、保護デバイス42は、保護シールド44に接続されている図2に示されていない検出回路を含む。
【0025】
保護シールド44はウェル24と接してもよい。その結果、保護シールド44のバイアス印加が、電圧源Vddに接続されたウェル24を介して行われる。N型領域46が、基板12の表面13からN型ドープ領域44まで設けられてもよい。N型領域46は、保護シールド44にバイアス印加すべく電圧源Vddに接続されている。
【0026】
ウェル22のバイアス印加が、接地GNDに接続されたP型領域32によって行われる。ウェル22は基板12の残りの部分から電気的に隔離され得るので、基板12のバイアス印加が、ウェル22のバイアス印加と分けて行われ得る。この目的のために、基板12より多くドープ処理され、基板12の表面13側に設けられたP型ドープ領域48が設けられてもよい。P型ドープ領域48は、基板12をバイアス印加すべく接地GNDに接続されている。
【0027】
図3は、図2の集積回路40の変形例に相当する集積回路50の簡略化された底面図を示す。図3には、ウェル22、24及び絶縁領域25の外形が実線で概略的に示されている。ウェル22、24は、図3では2列に分割されている。保護シールド44の外形が破線で示されている。保護シールド44は、図3の左側に示されている列のウェル22、24の下にのみ設けられている。P型ドープ領域48の外形が実線で示されている。P型ドープ領域48は、例えば、保護シールド44によって保護されたウェル22、24を囲む環形状を有する。P型領域32及びN型領域34の外形が実線で示されている。スクリーン44によって保護されたウェル22に関連付けられたP型領域32は、本質的にウェル22のバイアス印加を確実に行う。スクリーン44によって保護されていないウェル22に関連付けられたP型領域32は、ウェル22及び基板12のバイアス印加を確実に行う。集積回路40と比較すると、集積回路50はN型領域46を備えない。しかしながら、一変形例として、スクリーン44のバイアス印加は、ウェル22に加えて一又は複数の領域46によって行われてもよい。他の変形例によれば、スクリーン44のバイアス印加は、一又は複数の領域46によってのみ行われてもよい。
【0028】
図4は、集積回路40が同期回路である場合の保護デバイス42の一実施形態の概略図である。通常通り集積回路40は、基準電圧Vddを供給する主ユニットと、基準電圧を供給する複数の2次供給ユニットとを備える。各2次供給ユニットは、集積回路の一部、例えば1組のウェルと関連付けられている。一例として、各2次供給ユニットは、自身が関連付けられているN型ドープウェルのバイアス印加を確実に行う。本発明の一実施形態によれば、保護シールドによって保護された1組のウェルと関連付けられた2次供給ユニットの構造が変更されて、レーザ攻撃を検出する回路は、変更された2次供給ユニットと関連付けられている。
【0029】
本実施形態では、主供給回路52はNチャネルMOSトランジスタT3を含み、NチャネルMOSトランジスタT3は、ドレインを基準電圧Vdd以上の電圧VPSの電源に接続し、ソースを調整ユニット55(調整器)の入力に接続している。調整ユニット55の出力がトランジスタT3のゲートにバイアス印加を行う。調整ユニット55は、トランジスタT3のソースでの電圧が略一定であり、基準電圧Vddに等しいように、トランジスタT3のゲートの電圧を変化することが可能である。一例では、基準電圧Vddは1.3ボルトであり、電圧VPSは2ボルトと5ボルトとの間にある。各2次供給ユニット(図4には単一の2次供給ユニット54が示されている)は、NチャネルMOSトランジスタT4を含み、NチャネルMOSトランジスタT4は、ゲートをトランジスタT3のゲートに接続している。トランジスタT4のソースが端子INに接続されており、端子INは、特に2次供給ユニット54に関連付けられた集積回路40の一部のN型ウェルに接続されることが意図されている。保護シールド44によって保護されていない集積回路40の一部に接続された2次供給ユニットでは、トランジスタT4のドレインが電圧VPSの電源に直接接続されている。
【0030】
本実施形態によれば、そのウェル22、24が保護シールド44によって保護されている集積回路40の一部と関連付けられている2次供給ユニット54は抵抗器56を更に含み、抵抗器56は、電圧VPSの電源に接続された1つの端子と、トランジスタT4のドレインに接続された別の端子とを有する。抵抗器56とトランジスタT4のドレインとの間に配置されたノードが参照符号Eで表されている。ノードEの電流がIccと呼ばれる。
【0031】
破線のブロックは保護シールド44に相当する。レーザ攻撃がないとき又はパルスレーザ攻撃中の2つのパルス間では、スクリーン44は電流ゼロの電源に等しい。レーザビームが集積回路40に達するとき、保護シールド44は、保護シールドを形成するドープ領域44と隣接する基板12との間の接合部で主にフォトジェネレートされた電子を捕捉するのに役立つ。従って、保護シールド44は、1つの端子が端子INに接続され、別の端子が接地GNDに接続されている電流源58に等しい。電流源58は、ドープ領域44がレーザビームに露出されている全期間、略一定のゼロでない電流Ipulse を得る。
【0032】
検出回路60が比較器62を含み、比較器62は、ノードEに接続され、信号Vcomp、例えばノードEでの電圧を受け取る第1入力を有する。比較器62の第2入力が、発生器61によって与えられる基準信号Vref を受け取る。基準信号Vref は、例えば、電圧VPSに相当する。比較器62は2状態の信号に相当してもよい信号OUTを供給する。一例として、信号OUTは、電圧Vcompが基準電圧Vref より低いとき高い状態にあり、電圧Vcompが基準電圧Vref 以上であるとき低い状態にある。信号OUTは、2次供給ユニット54によって電力供給される回路部分と関連付けられているクロック信号CLKによってその動作が同期されているサンプラ64によってサンプリングされる。サンプラ64は、信号OUTの一連のサンプリング値に相当する警告信号Alarm を供給する。
【0033】
図5は、図4の保護デバイス42の特徴を示す信号のタイミング図である。タイミングt1乃至タイミングt8を継続時間と呼ぶ。曲線68がクロック信号CLKを示す。曲線70及び曲線72が、レーザ攻撃がないときの電流Iccの変化、及びレーザ攻撃されているときの電流Iccの変化を夫々示す。曲線74及び曲線76が、レーザ攻撃がないときの信号OUTの変化、及びレーザ攻撃されているときの信号OUTの変化を夫々示す。クロック信号CLKは、期間Tの周期的信号であり、例えば、デューティサイクル1/2の矩形波信号に相当する。一例として、信号CLKの期間Tは、約数ナノ秒から数十ナノ秒までである。本実施形態では、クロック信号CLKは、タイミングt1及びタイミングt5で立ち上がりエッジを有し、タイミングt4及びタイミングt8で立下りエッジを有する。クロック信号CLKによって、スクリーン44により保護されている全て又は数個の電子部品の動作が同期されてもよい。
【0034】
通常通り同期集積回路では、電流サージがクロック信号CLKの各立ち上がりエッジのわずか後に観察され得る。電流サージは、タイミングt1及びタイミングt5のわずか後の曲線70、72のピーク77、78として現れる。ピークの継続期間は、例えば約1ナノ秒から数ナノ秒までである。
【0035】
通常の動作では、保護シールド44は電気的にゼロの電流源に等しい。それによって、2つの電流サージ77、78間の電流Iccは約ゼロの値を上下する(段階79)。電流Iccが略ゼロであるとき、ノードEでの電圧は略電圧VPSに等しい。従って、信号OUTは低い状態にある。各電流サージのピーク77、78では、電流Iccの上昇が、抵抗器56を流れる電流の増加によりノードEでの電圧の低下を引き起こす。従って、信号OUTはタイミングt2(及びタイミングt6)で低レベルから高レベルに切り換わる。各電流サージのピーク77、78の終りに、電流Iccが再び略ゼロになるとき、ノードEでの電圧は、信号OUTがタイミングt3(及びタイミングt7)で低レベルに切り換わるように、電圧VPSに大幅に上昇する。レーザ攻撃がないとき、信号OUTは、クロック信号CLKと同期間の略周期的な一連のパルス80、81に相当する。
【0036】
保護シールド44によって保護されている集積回路40の一部がレーザ攻撃の対象であるとき、保護シールド44は電流Ipulse の電源58に電気的に等しい。更にパルスレーザの場合には、保護シールド44は2つのレーザパルス間のゼロの電流源に等しい。本実施例では、レーザのパルスが略タイミングt1とタイミングt5との間に加えられたとみなされている。従って、電流サージのピーク77の後、次の電流サージのピーク78まで、電流Iccが、略電流Ipulse に等しいゼロでない段階82に安定していることが観察され得る。電流サージのピーク77の始まりのタイミングt2で低い状態から高い状態に切り換わった信号OUTは、タイミングt7、すなわち次の電流サージのピーク78の終りまで高い状態のままであり、タイミングt7で信号OUTは低い状態に戻る。
【0037】
スイッチ64は、タイミングt3とタイミングt6との間で信号OUTをサンプリングすべく制御されている。通常の動作では、信号OUTはタイミングt3とタイミングt6との間で低い状態である。それによって、信号OUTのサンプリング値Alarm が高い状態であれば、レーザ攻撃が行われていることを意味する。サンプリングのタイミングが、1クロックサイクルから別のクロックサイクルまでに固定されてもよく、又は1クロックサイクルから別のクロックサイクルにまたがってもよい。一例として、サンプリングはクロック信号CLKの各立下りエッジ(タイミングt4及びタイミングt8)で行ってもよい。
【0038】
サンプリングのタイミングが1クロックサイクルから別のクロックサイクルまでに固定されている場合、レーザパルスをクロック信号CLKと同期させるパルスレーザ攻撃が企てられると、サンプリングのタイミングが常に2つのパルス間にあるので、パルスレーザ攻撃は検出されない。このような攻撃は、サンプリングのタイミングの期間の変動として現れるクロック信号CLKの期間の自然な変動又はジッタにより、実際には実施され得ない。
【0039】
非同期集積回路では、レーザ攻撃がないとき、電流Iccは一般にピーク77、78を含まないが、略一定でありゼロでないレベルを有する。この場合には、検出回路42はサンプラ64を含まないことが可能である。基準電圧Vref は、レーザ攻撃がないとき、電圧Vcompが基準電圧Vref より高いように決定される。その結果信号OUTは、例えば低レベルにある。連続レーザ攻撃又はパルスレーザ攻撃では、電流レベルIccは上昇する。基準電圧Vref は、レーザ攻撃中では電圧Vcompが基準電圧Vref より低くなるように決定される。その結果信号OUTは高い状態に切り換わる。それによって、低い状態から高い状態への信号OUTの切り換えがレーザ攻撃の検出に直接相当する。
【0040】
一般的には、本発明は、バイアス印加デバイスによって供給される電流Iccの継続的な増加の検出を提供する。継続的な増加は、図5の信号70と信号72との比較によって図示されているように、同期パルスの期間より長く続く増加を意味する。
【0041】
図6は保護デバイス42の保護シールド44を製造する方法の一例を示すブロック図である。
【0042】
第1ステップ92では、例えばP型ドープ処理された単結晶シリコン基板12を供給する。次に、基板12への打ち込みを行う。一例として、約1.1013原子/cm2 の投与及び約1.5MeVのエネルギでリンの注入を行う。次に領域44を形成する。領域44は、基板12の上面13から1乃至数マイクロメートル、例えば基板12の上面13から1.7μmの深さから下方に設けられる。
【0043】
ステップ94では、N型ウェル24及び領域46を形成するために浅い注入を行う。一例として、約7.1012原子/cm2 の投与及び約440keVのエネルギでリンの注入を行う。注入により、上面13から基板12に下方へ1乃至数マイクロメートル、例えば上面13から1.7μmの深さにN型領域24、46を設ける。領域24、26は、スクリーン44との電気的連続性を確保すべく基板12の十分深くに設けられる。
【0044】
ステップ96では、P型ウェル22を形成するための注入を行う。一例として、ホウ素の注入を、約5.1012原子/cm2 の投与及び約200keVのエネルギで行う。
【0045】
特定の集積回路は、基板から生じる電気的障害から集積回路を電気的に分離するために、基板の内部の深い位置に形成され、基板の活性領域の下に設けられたドープ領域から形成された絶縁シールドを備えてもよい。集積回路は、例えば揮発性メモリを備えた集積回路であり、絶縁シールドは、例えばメモリセルのレベルに設けられている。この場合には、このような集積回路を製造する方法は打ち込みステップを備える。従って、本発明に係る本実施形態は、このような集積回路が製造工程を変更することなく実施され得る。保護シールド44の形成は絶縁シールドの形成と同時に行われ、保護シールド44は、レーザ攻撃から保護されるべき集積回路の活性領域のレベルに形成されて、絶縁シールドは、基板から絶縁されるべき集積回路の活性領域のレベルに形成される。
【0046】
図7は、メモリ102(MEM)を備えた電子回路100を概略的に示す。メモリは、例えば、前述のような保護デバイスを含む揮発性メモリである。電子回路100は更に別の集積回路104(IC)を備える。集積回路104は、例えば接続部106によってメモリ102に接続されており、例えばメモリ102へのデータの書き込み又はメモリ102に記憶されたデータの読み取りを行うためのインターフェース回路である。
【0047】
本発明の様々な実施形態を説明している。当業者に想起される様々な変更、修正及び改良がなされ得る。特に、本発明は、中性又はP型ドープ基板を有し、保護デバイス42の保護シールド44がN型ドープ領域に相当する集積回路について説明したが、本発明は、N型ドープ基板又はその表面にN型ドープ層を備えた基板にも適用され得ることは明らかである。この場合、コードは基板の内部の深い位置に形成されたP型ドープ領域に相当する。
【0048】
このような変更、修正及び改良は、本開示の一部であり、本発明の本質及び範囲内であることが意図される。従って、前述の説明は一例であって本発明を制限するものではない。本発明は以下の請求項及びその均等物によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0049】
10 集積回路
12 基板
13 表面
14 絶縁層
22 P型ドープ領域
24 N型ドープ領域
25 絶縁領域
26 絶縁部分
27 ゲート
28 スペーサ
30 ドープ領域
32 P型領域
34 N型領域
40 集積回路
42 保護デバイス
44 N型ドープ領域、保護シールド、スクリーン
48 P型ドープ領域
50 集積回路
52 主供給回路
54 バイアス印加デバイス、2次供給ユニット
55 調整ユニット
56 抵抗器
58 電流源
60 検出回路
62 比較器
64 サンプラ、スイッチ
100 電子回路、電子システム
102 メモリ
104 集積回路
106 接続部
T1 Pチャネルトランジスタ
T2 Nチャネルトランジスタ
T3 NチャネルMOSトランジスタ
T4 NチャネルMOSトランジスタ
E ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料からなる基板と、該基板の第1表面側に設けられた活性領域と、レーザ攻撃に対する保護デバイスとを備え、
該保護デバイスは、
前記活性領域と前記基板の第2表面側との間に設けられた少なくとも1つの第1ドープ領域と、
該第1ドープ領域にバイアスを印加するバイアス印加デバイスと、
該バイアス印加デバイスによって与えられる電流の継続的増加を検出する検出デバイスと
を含むことを特徴とする集積回路。
【請求項2】
前記第1ドープ領域は第1伝導型であり、
前記活性領域は、前記第1伝導型の第2ドープ領域と第2伝導型の第3ドープ領域との網状構造を含み、
前記第2ドープ領域及び第3ドープ領域は、夫々前記第1表面側に設けられており、
前記第1ドープ領域は、前記第2ドープ領域及び第3ドープ領域の少なくとも一部と接していることを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記第1表面側に前記第2伝導型の第4領域を更に備えており、
該第4領域は、前記第1ドープ領域が接している前記活性領域を少なくとも部分的に囲んでおり、前記基板の追加のバイアス印加デバイスに接続されることが意図されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回路。
【請求項4】
少なくともその一部が前記活性領域に設けられ、クロック信号によってその動作が同期される電子部品を更に備え、
前記検出デバイスは、
前記電流のレベルを表す第1信号を出力する第1ユニットと、
前記第1信号と第3基準信号との比較によって決まる第2信号を出力する第2ユニットと、
前記クロック信号の各立ち上がりエッジの後の前記電流のレベルがゼロである期間のタイミングに、前記第2信号をサンプリングするサンプリングデバイスと
を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回路。
【請求項5】
前記バイアス印加デバイスは、MOSトランジスタを含み、前記第1ユニットは、前記MOSトランジスタと直列の抵抗器を含むことを特徴とする請求項4に記載の回路。
【請求項6】
前記サンプリングデバイスは、前記クロック信号の各立下りエッジで前記第2信号をサンプリングすることが可能であることを特徴とする請求項4に記載の回路。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の第1集積回路と、該第1集積回路から離れた第2集積回路と、前記第1集積回路を前記第2集積回路に接続する少なくとも1つの接続部とを備えることを特徴とする電子システム。
【請求項8】
半導体材料からなる基板と、レーザ攻撃に対する保護デバイスとを備えた集積回路を製造する方法において、
前記基板の内部に深くドープ処理された第1領域を少なくとも形成するステップと、
前記基板の第1表面側に活性領域を形成して、前記第1領域を、前記活性領域と前記基板の第2表面側との間に配置するステップと、
前記第1領域にバイアスを印加するバイアス印加デバイスを形成するステップと、
前記バイアス印加デバイスによって与えられる電流の増加を検出するデバイスを形成するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
第1エネルギで第1伝導型ドープ剤の第1注入によって前記第1領域を形成するステップと、
前記第1伝導型の第2ドープ領域と第2伝導型の第3ドープ領域との網状構造によって前記活性領域を形成し、前記第1領域を前記第2ドープ領域及び前記第3ドープ領域の少なくとも一部に接触させ、前記第2ドープ領域を、前記第1エネルギよりも低い第2エネルギで前記第1伝導型ドープ剤の第2注入によって形成するステップと
を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−253297(P2009−253297A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90711(P2009−90711)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】