説明

レーザ治療用眼科装置

【課題】 患者眼のレーザ治療に有用な情報を取得できる。
【解決手段】 治療用レーザが照射される前に光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって撮像された患者眼の断層画像に基づく解析結果データを取得し、取得された解析結果データを用いて設定された眼に対する治療用レーザの照射位置情報を取得する照射位置取得手段と、照射位置取得手段によって取得された照射位置情報に基づいて眼にレーザ光を照射するレーザ制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を患者眼に照射する際に用いられるレーザ治療用眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
治療レーザ光を患者眼の組織(例えば、眼底)上に照射し、眼の治療を行う治療用レーザ装置が知られている(特許文献1参照)。このような装置を用いる場合、術者は、スリットランプ,眼底カメラを用いて眼底正面像を観察し、眼の治療部位にレーザ光を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−148635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、正面観察光学系の場合、患者眼の表面的な情報しか得ることが難しい。例えば、正面観察像では、視細胞の状態を確認することが難しく、糖尿病網膜症の場合では、視細胞が正常か否かに関わらずレーザ照射を行っている。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑み、患者眼のレーザ治療に有用な情報を取得できるレーザ治療用眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備える。
【0007】
(1) 治療用レーザが照射される前に光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって撮像された患者眼の断層画像に基づく解析結果データを取得し、取得された解析結果データを用いて設定された前記眼に対する治療用レーザの照射位置情報を取得する照射位置取得手段を備えることを特徴とする。
(2) 治療レーザ光源と、前記レーザ光源から発せられたレーザ光を前記眼に対して偏向させる偏向手段と、を備え、前記レーザ光を前記眼の治療部位に照射する照射光学系と、
前記レーザ光源及び前記偏向手段の動作を制御することにより、前記照射位置取得手段によって取得された照射位置情報に基づいて前記眼にレーザ光を照射するレーザ制御手段と、を備えることを特徴とする(1)のレーザ治療用眼科装置。
(3) 前記眼の正面像を観察するための観察光学系と、を備え、照射領域取得手段は、表示部と、観察光学系によって取得された正面像と前記解析結果データとを重畳させて前記表示部に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする(2)のレーザ治療用眼科装置。
(4) さらに、測定光源と、前記測定光源から発せられた光を,患者眼に導光され患者眼で反射される測定光と参照光とに分割する光分割器と、患者眼で反射された測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を備え、治療用レーザが照射される前の患者眼の断層画像を撮像する光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、を備えることを特徴とする(3)のレーザ治療用眼科装置。
(5) 前記レーザ治療用眼科装置は、患者眼の眼底に治療用レーザを照射する装置であって、前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスは、患者眼の眼底の断層画像を撮像するデバイスであって、照射領域取得手段は、前記眼底の断層画像を解析して視機能の正常/異常部位に関する判定処理を行い、患者眼眼底上における視機能の正常/異常部位に関する位置情報を前記解析結果データとして取得することを特徴とする(4)のレーザ治療用眼科装置。
(6) 前記表示制御手段は、照射領域取得手段によって取得された視機能の正常/異常部位部位に関する位置情報に基づいて、視機能が異常と判定された位置をレーザ照射領域として表示し、視機能が正常と判定された位置をレーザ照射禁止領域として表示することを特徴とする(5)のレーザ治療用眼科装置。
(7) 前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスは、測定光源から発せられた光を眼底上で二次元的に走査する光スキャナを有し、前記眼底の三次元断層画像を取得し、照射領域取得手段は、視機能の正常/異常部位に関する二次元分布データを示す解析マップを解析結果データとして取得し、表示制御手段は、該解析マップと観察光学系によって取得された正面像とを重畳させて表示することを特徴とする(6)のレーザ治療用眼科装置。
(8) 前記三次元断層画像からOCT正面像を生成する正面像生成手段を有し、前記表示制御手段は、前記正面像生成手段によって生成されたOCT正面像と、観察光学系によって取得された正面像とをマッチングさせ、該解析マップと観察光学系によって取得された正面像との相対位置を調整することを特徴とする(7)のレーザ治療用眼科装置。
(9) 前記照射領域取得手段は、表示部の画面を見ながら術者が治療用レーザの照射領域を設定するための操作手段を備え、該操作手段からの操作信号に基づいて前記眼に対する治療用レーザの照射位置情報を取得することを特徴とする(8)のレーザ治療用眼科装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、患者眼のレーザ治療に有用な情報を取得できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。なお、本実施形態においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えても良い。
【0010】
装置構成の概略を説明する。本装置は、被検者眼Eの眼底Efの断層像を撮影するための光コヒーレンストモグラフィーデバイス(OCTデバイス)10である。OCTデバイス10は、干渉光学系(OCT光学系)100と、正面観察光学系200と、固視標投影ユニット300と、光凝固レーザ装置400と、演算制御部(CPU)70と、を含む。
【0011】
OCT光学系100は、眼底に測定光を照射する。OCT光学系100は、眼底から反射された測定光と,参照光との干渉状態を受光素子(検出器120)によって検出する。OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層画像を取得する。また、光凝固レーザ装置400は、治療用のレーザ(光凝固レーザ光)を発振する。
【0012】
<OCT光学系>
OCT光学系100は、いわゆる眼科用光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の装置構成を持ち、本実施形態においては、治療用レーザが照射される前の患者眼の断層画像を撮像する。OCT光学系100は、測定光源102から出射された光をカップラー(光分割器)104によって測定光(試料光)と参照光に分割する。そして、OCT光学系100は、測定光学系106によって測定光を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光を参照光学系110に導く。その後、眼底Efによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器(受光素子)120に受光させる。
【0013】
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
【0014】
SD−OCTの場合、光源102として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられ、検出器120には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトルメータ)が設けられる。スペクトルメータは、例えば、回折格子とラインセンサからなる。
【0015】
SS−OCTの場合、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられ、検出器120として、例えば、単一の受光素子が設けられる。光源102は、例えば、光源、ファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたものが挙げられる。
【0016】
光源102から出射された光は、カップラー104によって測定光束と参照光束に分割される。そして、測定光束は、光ファイバーを通過した後、空気中へ出射される。その光束は、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに集光される。そして、眼底Efで反射された光は、同様の光路を経て光ファイバーに戻される。
【0017】
光スキャナ108は、眼底上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
【0018】
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これにより、眼底Ef上における撮像位置が変更される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0019】
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0020】
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
【0021】
<正面観察光学系>
正面観察光学系200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
【0022】
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層画像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、三次元断層画像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値等)。
【0023】
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
【0024】
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
【0025】
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0026】
<光凝固レーザ装置>
光凝固レーザ装置400は、レーザ光源を有し、治療用レーザ光(例えば、532nmの波長)を発振する。光凝固レーザ装置400の光源から出射された光は光ファイバ401に導入されて出射端401aから出射される。出射端401aから出射されたレーザ光は、ダイクロイックミラー30で反射され、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに集光される。光スキャナ108は、光偏向手段として、レーザ光源から発せられたレーザ光を眼Eに眼に対して偏向させる。この場合、測定光学系106は、レーザ光を眼の治療部位に照射する照射光学系として用いられる。
【0027】
これにより、光凝固レーザ装置400から出射されたレーザ光は,光スキャナ108によりその反射(進行)方向が変化され、眼底上で二次元的に走査される。これにより、眼底Ef上におけるレーザ光の照射位置が変更される。
【0028】
なお、光凝固レーザ装置400は、治療用レーザ光源に加えて、エイミング光を発するエイミング光源を備える構成であってもよい。
【0029】
<制御部>
制御部70は、各構成100〜400の各部材など、装置全体を制御する。また、制御部70は、取得された画像を処理する画像処理部、取得された画像を解析する画像解析部、などを兼用する。制御部70は、一般的なCPU(Central Processing Unit)等で実現される。
【0030】
図2(a)は正面観察光学系200によって得られる正面画像の例であり、図2(b)はOCT光学系100によって得られる断層画像の例である。例えば、制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層画像(OCT画像)を取得すると共に、正面観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面画像を取得する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
【0031】
メモリ(記憶部)72、モニタ(表示部)75、操作部76は、それぞれ制御部70と電気的に接続されている。制御部70は、モニタ75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、モニタ75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。メモリ72は、例えば、撮影された断層画像、正面画像、各断層画像の撮影位置情報等の撮影に係る各種情報を記録する。制御部70は、操作部76から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、正面観察光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。また、モニタ75としては、タッチパネルが使用されている。なお、上記OCTデバイス10の詳しい構成については、例えば、特開2008−29467号公報を参考にされたい。
【0032】
本実施例は、糖尿病網膜症の被検眼を例として挙げる。以下より、糖尿病網膜症をレーザ光にて治療するための手順について説明する。
【0033】
<断層画像の取得> 制御部70は、OCT光学系100を制御し、設定された各領域に対応する三次元断層像を取得すると共に、観察光学系200を制御し、正面像を取得する。なお、三次元断層像には、XY方向に関して二次元的にAスキャン信号を並べた画像データ、三次元グラフィック画像、などが含まれる。
【0034】
三次元断層像を得るとき、制御部70は、光スキャナ108の動作を制御し、撮像領域に対応する走査範囲において測定光をXY方向に二次元的に走査させることにより三次元断層像を取得する。なお、走査パターンとして、例えば、ラスタースキャン、複数のラインスキャンが考えられる。
【0035】
<視細胞の判定>
制御部70は、画像解析部を有する。断層画像が取得されると、制御部70は、取得された断層画像における眼底の層情報を画像処理により検出する。そして、OCTデバイス100は、所定の画像判定条件(判定基準)を基に層検出結果を解析する。解析の例としては、制御部70は、XY方向の各位置において層情報を検出し、検出された層情報に基づいて各位置における視細胞の状態を解析する。そして、解析結果は、OCTデバイス100のメモリ、又は外部のメモリ(例えば、パーソナルコンピュータのメモリ、サーバーのメモリ)に三次元断層像と共に記憶される。
【0036】
層を検出する場合、例えば、断層画像の輝度レベルが検出され、所定の網膜層(例えば、視細胞内節/外節(以下IS/OSと記載する))に相当する層が画像処理により抽出される。
【0037】
断層画像を判定する場合、各層の有無の判定、各層の層厚判定、形状判定、所定部位(例えば、乳頭、黄斑)のサイズ判定等が考えられる。例えば、制御部70は、各Aスキャン信号の輝度分布を検出し、IS/OSに対応する輝度の上昇が検出されたか否かに応じて、IS/OS有無を判定する。
【0038】
図3(a)はIS/OSが残存している状態の輝度分布と、図3(b)はIS/OSが消失している状態の輝度分布を示す例である。すなわち、IS/OSが残存している場合、IS/OSに対応するピークが見られるが、IS/OSが消失している場合、IS/OSに対応するピークはなく、RPEに対応するピークが現れる。なお、IS/OSの有無を特定する場合、解剖学的に知られている各層の順序、網膜表面からの距離、IS/OSに対応する強い輝度の立ち上がり、などが利用される。
【0039】
制御部70は、眼底の断層画像を解析して視機能の正常/異常部位に関する判定処理を行い、患者眼眼底上における視機能の正常/異常部位に関する位置情報を解析結果データとして取得する。
【0040】
制御部70は、IS/OSが残存していると判定した位置について、視細胞が正常に機能している可能性が高い部位とみなす。次に、制御部70は、IS/OSが消失していると判定した位置について、視細胞の機能が低下している可能性が高い部位とみなす。
【0041】
以上のようにして、制御部70は、各Aスキャン信号に対してIS/OSの有無に関する判定を行うことにより、IS/OSの有無に関する眼底の二次元的な情報を得る。これにより、眼底上における視細胞の機能低下部位が特定される。
【0042】
図4は断層画像の解析結果を示す図であり、眼底上の各位置における視機能の状態を二次元的に示すマップ(以下、解析マップと記載)の一例である。本実施例において、制御部70は、視機能の正常/異常部位に関する二次元分布データを示す解析マップを解析結果データとして取得する。すなわち、前述のように取得された解析結果に基づいて、三次元断層像の解析結果を示す解析マップを作成する。制御部70は、図4に示すように、視機能が低下している部位を示すグラフィック(ハッチングR参照)を表示する。例えば、ハッチングRについて、特定の色にて表示される(例えば、赤色)。また、制御部70は、視機能が低下している部位をマーカーで囲むようにしてもよい。もちろん、制御部70は、視細胞が正常に機能している部位に関して、識別可能なグラフィックで表示してもよい。
【0043】
なお、解析結果を得る場合、画像処理による解析の他、検者自身が視機能が低下している部位を特定するような構成であってもよい。この場合、例えば、断層画像がモニタ75に表示された状態において、マウス操作によって、視機能が低下している部位が指定される。そして、指定された結果に基づいて解析マップが作成される。なお、得られた解析マップは、メモリ72に記憶される。
【0044】
<レーザ照射位置の設定>
次に、制御部70は、治療用レーザが照射される前にOCTデバイス10によって撮像された患者眼の断層画像に基づく解析結果データを取得する。そして、制御部70は、取得された解析結果データを用いて設定された眼Eに対する治療用レーザの照射位置情報を取得する。典型的には、制御部70は、観察光学系200によって取得された正面像と解析結果データとを重畳させてモニタ75に表示させる。
【0045】
断層画像に基づく解析結果データを取得する場合、制御部70は、制御部70自身が前述のように解析処理を行うことによって解析結果データを取得するようにしてもよいし、予め他の解析装置によって解析されたデータを取得してもよい。
【0046】
モニタ75のタッチパネルは、モニタ75の画面を見ながら術者が治療用レーザの照射領域を設定するための操作部材として用いられる。そして、制御部70は、タッチパネルからの操作信号に基づいて眼Eに対する治療用レーザの照射位置情報を取得する。なお、操作部材は、タッチパネルに限定されず、例えば、マウス、ジョイスティックなどのポインティングデバイスが使用される。
【0047】
例えば、制御部70は、メモリ72に記憶された解析マップを取得する。そして、制御部70は、上記のように取得された解析マップに対し、眼底正面像を重畳させ、解析マップと眼底正面像とを関連付ける。そして、制御部70は、解析マップと眼底正面像との重畳画像をモニタ75に表示する。
【0048】
制御部70は、解析に用いた三次元断層像からOCT正面像を生成し、生成されたOCT正面像と解析マップとを重畳させることによって、pixel-to-pixelの関係で両データを対応付けできる。また、制御部70は、観察光学系200によって取得された眼底正面像(例えば、SLO画像)と解析マップを重畳させるようにしてもよい。なお、重畳されるSLO画像の取得タイミングは、三次元断層像の取得時であってもよいし、各種検査を経て実際にレーザ照射する前であってもよい。取得された正面像は、静止画としてメモリ72に記憶される。
【0049】
制御部70は、例えば、生成されたOCT正面像と、観察光学系200によって取得された眼底正面像とをマッチングさせ、解析マップMと眼底正面像との相対位置を調整する。すなわち、正面像の静止画に解析マップを画像処理により重畳させ、重畳画像をモニタ75に表示する。このとき、例えば、制御部70は、視機能の正常/異常部位部位に関する位置情報に基づいて、視機能が異常と判定された位置をレーザ照射領域として表示し、視機能が正常と判定された位置をレーザ照射禁止領域として表示する。図5(a)はモニタ75に解析マップM及び照射禁止領域Dが眼底正面像上に表示された例を示す図である。
【0050】
検者は、モニタ75に表示された重畳画像を見ながら、レーザ照射領域を設定する。初めに、検者は、モニタ75上に表示された眼底正面像を観察しながら、治療部位を探し、レーザ照射領域の設定を行う。このとき、検者は、モニタ上でタッチパネル(操作部)を用いることによりレーザ照射領域を設定する。制御部70は、タッチパネルからの信号を受け取ると、さらに、レーザ照射領域を示すグラフィックGを重畳画像に表示すると共に、指定された位置を照射領域として設定する(図5(b)参照)。画面上における設定手法について、例えば、タッチされた領域の近傍が照射領域として設定される手法、なぞり操作によって囲まれた領域が照射領域として設定される手法が考えられる。もちろん、検者により、照射をしない領域(照射禁止領域)を設定し、照射禁止領域を除く領域をレーザで照射する構成としてもよい。
【0051】
このとき、制御部70は、解析マップ上において、視細胞が正常に機能している部位を照射禁止領域Dとして設定し、照射禁止領域Dを示すグラフィックを重畳表示させる(図5(b)参照)。この場合、制御部70は、照射禁止領域Dを含む形でレーザ照射領域Gが設定されても、照射禁止領域Dについてはレーザ照射領域Gから除外する。なお、視細胞が正常な部位が多い場合、レーザ照射が限定され、不十分な治療となる可能性があるため、制御部70は、照射禁止領域Dを任意に解除できるようにしてもよい。また、検者は、解析マップ等によって眼Eの視機能の状態を把握できるため、視細胞が正常な部分について、任意に照射禁止領域から除外することも可能である。
【0052】
なお、制御部70は、三次元断層像における眼底の所定部位(例えば、黄斑、乳頭)を画像処理により特定し、特定された部位を照射禁止領域Dとして設定するようにしてもよい。例えば、黄斑、乳頭は、断層画像中の位置、輝度値、形状などから抽出が可能である。黄斑部は、周辺部に対して輝度が暗く、円形状であるので、これらの特性に合致する画像領域が抽出されるように画像処理が行われる。乳頭部は、周辺部より明るく、円形状であるので、これらの特性に合致する画像領域が抽出されるように画像処理が行われる。なお、制御部70は、眼底正面像(例えば、SLO画像)を用いて黄斑部、乳頭部を画像処理により特定し、特定された部位を照射禁止領域Dとして設定するようにしてもよい。
【0053】
なお、本実施形態において、制御部70が黄斑部や乳頭の位置を検出し、照射禁止領域として設定するとしたが、検者がモニタ75上に表示された眼底画像を観察することによって、黄斑部や乳頭の位置を選択し、照射禁止領域として設定をしてもかまわない。
【0054】
なお、このとき、制御部70は、眼底正面像上に解析マップを表示するとともに、黄斑部や乳頭の位置から照射禁止の領域を設定する。そして、照射禁止領域を示すための照射禁止領域画像を作成し、眼底正面像上に表示する。なお、黄斑部や乳頭の検出は、例えば、OCT正面像やSLO画像を解析したときに取得されたデータに基づいて検出される。
【0055】
なお、解析マップMと眼底正面像とが関連付けられると、眼底正面像の各画素について解析情報が付与される。ここで、眼底正面像上における位置座標と、光スキャナ108の走査位置との対応関係は予め定まっている。このため、光スキャナ108の走査位置と解析マップの位置座標との対応づけが可能となる。これにより、光スキャナ108によって走査されるレーザ光の走査位置(走査角度)と、解析マップ上における解析情報とが、関連付けられる。例えば、視機能が低下している部分と、レーザ光の照射位置とが対応付けられる。
【0056】
<レーザ照射>
次に、制御部70は、レーザ光源及び光スキャナ108の動作を制御することにより、前述のようにして取得された照射位置情報に基づいて眼にレーザ光を照射する。
【0057】
例えば、以上のようにレーザ照射領域及び禁止領域が設定されると、検者は、操作部76を操作することにより、レーザ照射を行うためのレーザ照射モードに移行させる。ここで、制御部70は、設定された照射領域に基づいてレーザ照射を実行する。
【0058】
制御部70は、観察光学系200を制御し、眼底正面像を取得する。そして、制御部70は、随時取得される眼底正面像をリアルタイムにてモニタ75に表示する。解析マップと関連付けされた眼底正面像は、レーザビームをトラッキングするための基準画像として用いられる。
【0059】
検者により、操作部76の照射開始キーが操作されると、制御部70は、設定されたレーザ照射領域Gへのレーザ照射が可能となる。光凝固レーザ装置400は、治療用レーザ光(例えば、532nmの波長)を発振するものであり、このレーザ光は光ファイバ401に導入されて出射端401aから出射される。出射端401aから出射されたレーザ光は、ダイクロイックミラー30で反射され、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに照射される。
【0060】
制御部70は、光スキャナ108を制御し、光スキャナ108の走査位置を照射領域E上に合わせる。そして、制御部70は、レーザ装置400を制御し、照射領域Gに向けてレーザ光を照射する。なお、複数の照射領域がある場合、制御部70は、各照射領域に対し順次レーザ光を照射していく。
【0061】
このとき、制御部70は、必ずしも照射領域Eの全体にレーザを照射する必要はなく、所定の間隔に設定されたドットパターン状のレーザ光を照射してもよい。また、レーザの照射手法として、制御部70は、光スキャナ108をラスタースキャンさせ、走査位置が照射領域Gに達したときにレーザ光を照射するようにしてもよい。
【0062】
レーザ照射時において、制御部70は、解析マップと関連付けされた眼底像を基準画像として設定し、随時取得される眼底像との相対位置を検出する。そして、制御部70は、レーザ光源及び光スキャナ108の動作を制御することにより、設定された照射位置情報に基づいて眼にレーザ光を照射する。すなわち、眼の移動があっても眼底Ef上の設定された領域を照射できるように,検出結果に基づいて光スキャナ108による走査位置を補正する(レーザ光のトラッキング)。これにより、レーザ照射位置を補正する。例えば、制御部70は、関連付けされた眼底正面像と、随時取得される眼底像との間の眼底の表面方向(XY方向)に関するずれを検出し、検出されたずれが補正されるように光スキャナ108の走査位置を補正する。
【0063】
なお、レーザ照射の際の光スキャナ108による走査速度とOCT光学系100による画像取得時の走査速度を変更する構成としてもよい。例えば、レーザ照射時の走査速度をOCT光学系100による画像取得時の走査速度よりも遅くする。
【0064】
以上のような構成により、OCTによって取得された断層像の層解析結果を利用した治療用レーザの照射が可能となる。これにより、眼底正面像の観察では視認が困難な情報を踏まえたレーザ治療が可能となり、良好な手術結果が得られる。
【0065】
例えば、上記のように、視細胞の状態に関する解析結果が利用されることによって、レーザ照射による視細胞の死滅を減らすことができる。これにより、術後の視機能回復に寄与する。
【0066】
また、光凝固の状態を確認するためにレーザの試し射ちを行う場合、前述のように視細胞が機能していない領域を事前に判別できれば、視機能が機能していない領域を照射することにより、試し射ちを効果的に行うことができる。
【0067】
なお、上記説明においては、IS/OSを検出して視機能に関する解析を行ったが、これに限定されない。例えば、制御部70は、神経節細胞層、視神経繊維層を画像処理により検出し、層厚が正常か否かを判定する。そして、制御部70は、各位置での判定結果に基づいて視機能に関する解析マップを取得する。
【0068】
また、制御部70は、眼底を刺激する前後の断層画像の変化情報を計測することにより、視機能に関する解析を行うようにしてもよい。この場合、装置には、眼底を刺激する光を発する刺激用光源(例えば、可視光源)が設けられる。
【0069】
例えば、制御部70は、刺激用光源を制御し、刺激前の断層画像と刺激後の断層画像を取得する。そして、刺激前の断層画像と刺激後の断層画像との輝度変化を求める。制御部70は、輝度の変化量を用いて視機能が正常か否かを判定する。なお、制御部70は、刺激前から,刺激終了後してからの所定時間までの断層画像を随時取得し、取得された断層画像に基づいて視機能に関する判定を行うようにしてもよい。
【0070】
なお、上記説明において、制御部70は、観察光学系200によって随時取得される動画の眼底正面像と解析マップを重畳させるようにしてもよい。このような動画像は、術者が動画像を見ながらレーザ照射領域を決め、レーザを眼底に照射する場合に有効である。
【0071】
ここで、制御部70は、解析マップと関連付けされた眼底像を基準画像として設定し、随時取得される眼底像との相対位置を検出する。そして、制御部70は、その検出結果に基づいて、眼の移動があっても眼底部位と解析マップとの対応関係が一致するように、解析マップの表示位置を補正する。
【0072】
例えば、制御部70は、画像処理により、検出された眼の位置ずれ量に基づいて解析マップを移動させ、位置ずれ量分表示位置を補正することにより、正面像の観察中に眼が動いても、眼底正面像上に一定の解析マップを観察できる。
【0073】
また、照射禁止領域及び/又はレーザ照射領域を示すグラフィックを正面像(動画像)に重畳させる場合、制御部70は、前述の相対位置の検出結果に基づいて、眼の移動があっても眼底部位とグラフィックとの対応関係が一致するように、グラフィックの表示位置を補正するようにしてもよい。もちろん、前述の解析マップとグラフィックの両方を正面像に重畳させる場合においても、表示位置の補正は可能である。
【0074】
なお、上記トラッキングにおいて、2つの画像間の位置ずれを検出する手法としては、種々の画像処理手法(各種相関関数を用いる方法、フーリエ変換を利用する方法、特徴点のマッチングに基づく方法)を用いることが可能である。
【0075】
例えば、基準画像又は観察画像(現在の眼底画像)を1画素ずつ位置ずれさせ、基準画像と対象画像を比較し、両データが最も一致したとき(相関が最も高くなるとき)の両データ間の位置ずれ方向及び位置ずれ量を検出する手法が考えられる。また、所定の基準画像及び対象画像から共通する特徴点を抽出し、抽出された特徴点の位置ずれ方向及び位置ずれ量を検出する手法が考えられる。
【0076】
なお、テンプレートマッチングにおける評価関数は、類似度を示すSSD(Sum of Squared Difference)や相違度を示すSAD(Sum of Absolute Difference)などを評価関数として用いてもよい。
【0077】
なお、上記構成においては、OCTの光学系とレーザ照射光学系について、光学系の一部(例えば、光スキャナ)を共用する構成としたが、これに限定されない。例えば、OCT光学系のための第1光スキャナが設けられ、第1光スキャナによって測定光が走査される。レーザ照射光学系のための第2光スキャナが設けられ、第1光スキャナとは異なる第2光スキャナによって治療用レーザ光が走査される。
【0078】
また、OCT装置とレーザ光凝固装置は、異なる筐体にそれぞれ配置された構成であってもよい。例えば、OCT装置によって取得された断層画像を用いてレーザ照射領域が予め設定され、設定されたレーザ照射情報がレーザ光凝固装置に入力される。そして、レーザ光凝固装置は、入力された照射情報に基づいてレーザ照射を実行する。なお、レーザ照射情報は、例えば、LAN等の通信回線を通じて光凝固装置に入力させる。このようにすれば、単体のOCT装置での解析結果を利用できる。もちろん、レーザ光凝固装置が断層画像を受け取り、受け取った断層画像を解析することによりレーザ照射位置を設定するようにしてもよい。また、レーザ光凝固装置が解析結果を受け取り、受け取った解析結果と眼底正面像を重畳させることにより照射位置を設定するようにしてもよい。
【0079】
なお、光凝固装置に設けられた眼底観察系によって取得される眼底正面像と、解析マップ(又は解析マップに関連付けされ眼底正面像)は、撮影倍率、縦横比などが異なる場合がある。この場合、制御部70は、眼底観察系によって取得される眼底正面像に合わせて、解析マップ(又は解析マップに関連付けされた眼底正面像)の撮影倍率、縦横比を画像処理により補正するのが好ましい。
【0080】
また、レーザ光凝固装置に配置される観察光学系200としては、術者によって直視が可能なスリットランプが配置されてもよい。また、接眼レンズを覗く術者のために視野内表示部を設けるようにしてもよい。この場合、スリットランプの接眼レンズと患者眼との間にビームコンバイナが設けられる。そして、視野内表示部で表示された表示画像は、ビームコンバイナで反射され、接眼レンズに向かう。これにより、術者は、スリットランプの観察画像と表示画像を視認できる。
【0081】
この場合、制御部70は、前述のように取得された解析結果を視野内表示部に表示し、眼底観察像と解析結果とを重畳して表示してもよい。このようにすれば、検者は、スリットランプで眼底像を見ながら、OCTの解析結果を参考にレーザ照射領域を決めることができる。
【0082】
なお、上記説明においては、OCTデバイスによって眼底の断層像を取得し、取得された断層像に対する解析結果に基づいて眼底にレーザを照射する構成を例示したが、これに限定されない。OCTデバイスによって眼の断層像を取得し、取得された断層像に対する解析結果に基づいて眼の組織上にレーザを照射する構成であればよい。例えば、OCTデバイスによって前眼部の断層像を取得し、取得された断層像に対する解析結果に基づいて前眼部にレーザを照射する構成であってもよい。
【0083】
なお、上記説明においては、解析結果がOCTデバイスによる組み合わせであったが、これに限定されなく、他機種の解析結果を用いてもよい。例えば、視野計の結果を用いること等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。
【図2】正面観察光学系によって得られる正面画像とOCT光学系によって得られる断層画像の例である。
【図3】IS/OSが残存している状態の輝度分布と、IS/OSが消失している状態の輝度分布を示す例である。
【図4】断層画像の解析結果を示す図である。
【図5】解析マップ及び照射禁止領域を眼底正面像上に表示した場合とレーザ照射領域を設定した場合の表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
70 制御部
72 メモリ
75 モニタ
76 操作部
100 光コヒーレンストモグラフィ(OCT光学系)
108 光スキャナ
200 正面観察光学系
300 固視標投影ユニット
400 光凝固レーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用レーザが照射される前に光コヒーレンストモグラフィーデバイスによって撮像された患者眼の断層画像に基づく解析結果データを取得し、取得された解析結果データを用いて設定された前記眼に対する治療用レーザの照射位置情報を取得する照射位置取得手段を備えることを特徴とするレーザ治療用眼科装置。
【請求項2】
治療レーザ光源と、前記レーザ光源から発せられたレーザ光を前記眼に対して偏向させる偏向手段と、を備え、前記レーザ光を前記眼の治療部位に照射する照射光学系と、
前記レーザ光源及び前記偏向手段の動作を制御することにより、前記照射位置取得手段によって取得された照射位置情報に基づいて前記眼にレーザ光を照射するレーザ制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1のレーザ治療用眼科装置。
【請求項3】
前記眼の正面像を観察するための観察光学系と、を備え、
照射領域取得手段は、表示部と、観察光学系によって取得された正面像と前記解析結果データとを重畳させて前記表示部に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする請求項2のレーザ治療用眼科装置。
【請求項4】
さらに、測定光源と、前記測定光源から発せられた光を,患者眼に導光され患者眼で反射される測定光と参照光とに分割する光分割器と、患者眼で反射された測定光と参照光との干渉状態を検出する検出器と、を備え、治療用レーザが照射される前の患者眼の断層画像を撮像する光コヒーレンストモグラフィーデバイスと、
を備えることを特徴とする請求項3のレーザ治療用眼科装置。
【請求項5】
前記レーザ治療用眼科装置は、患者眼の眼底に治療用レーザを照射する装置であって、
前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスは、患者眼の眼底の断層画像を撮像するデバイスであって、
照射領域取得手段は、前記眼底の断層画像を解析して視機能の正常/異常部位に関する判定処理を行い、患者眼眼底上における視機能の正常/異常部位に関する位置情報を前記解析結果データとして取得することを特徴とする請求項4のレーザ治療用眼科装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、照射領域取得手段によって取得された視機能の正常/異常部位部位に関する位置情報に基づいて、視機能が異常と判定された位置をレーザ照射領域として表示し、視機能が正常と判定された位置をレーザ照射禁止領域として表示することを特徴とする請求項5のレーザ治療用眼科装置。
【請求項7】
前記光コヒーレンストモグラフィーデバイスは、測定光源から発せられた光を眼底上で二次元的に走査する光スキャナを有し、前記眼底の三次元断層画像を取得し、
照射領域取得手段は、視機能の正常/異常部位に関する二次元分布データを示す解析マップを解析結果データとして取得し、
表示制御手段は、該解析マップと観察光学系によって取得された正面像とを重畳させて表示することを特徴とする請求項6のレーザ治療用眼科装置。
【請求項8】
前記三次元断層画像からOCT正面像を生成する正面像生成手段を有し、
前記表示制御手段は、前記正面像生成手段によって生成されたOCT正面像と、観察光学系によって取得された正面像とをマッチングさせ、該解析マップと観察光学系によって取得された正面像との相対位置を調整することを特徴とする請求項7のレーザ治療用眼科装置。
【請求項9】
前記照射領域取得手段は、表示部の画面を見ながら術者が治療用レーザの照射領域を設定するための操作手段を備え、該操作手段からの操作信号に基づいて前記眼に対する治療用レーザの照射位置情報を取得することを特徴とする請求項8のレーザ治療用眼科装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−135550(P2012−135550A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291373(P2010−291373)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)
【Fターム(参考)】