説明

レーザ装置管理システム

【課題】
ログデータの収集や運転パラメータの変更といったレーザ装置の操作を、公衆回線又は専用回線からなるネットワークを介して行えるようにする。
【解決手段】
レーザ装置の所定動作を指示する指示データはネットワークを介してレーザ指示装置からサーバ装置へ送信される。サーバ装置では指示データが一時的に保存される。本システムではネットワークを介してレーザ監視装置からサーバ装置へ指示データの保存状況を照会する指示データ照会信号が送信される。サーバ装置で指示データ照会信号が受信された時点で、サーバ装置に指示データが保存されていると、指示データがネットワークを介してサーバ装置からレーザ監視装置へ転送され、さらにレーザ装置に転送される。こうしてレーザ装置は指示データの内容に応じて動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体露光装置の光源として使用されるレーザ装置の管理及び操作を通信回線を介して行うレーザ装置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体露光装置の光源としては、狭帯域エキシマレーザ装置や、ラインセレクトフッ素分子レーザ装置や、狭帯域フッ素レーザ装置といった紫外線レーザ装置が使用される。紫外線レーザ装置のうち、エキシマレーザの構成を図5で示す。
【0003】
エキシマレーザはチャンバと多くの機能モジュールで構成される。機能モジュールにはパルスパワーモジュールや狭帯域化モジュールやモニタモジュール等がある。チャンバは内部にレーザガスを封入しまた対向する一対の放電電極を有する。パルスパワーモジュールは磁気圧縮回路を有し、この磁気圧縮回路で高速パルスを発生させてチャンバ内の一対の放電電極間に放電を生じさせる。狭帯域化モジュールは放電電極間で生じる放電に起因して発生する光を共振させ、かつ光の波長帯域を狭帯域化する。モニタモジュールは発振した光をモニタする。
【0004】
これらの機能モジュールは過酷な環境(高電圧、高ガス圧、紫外線等)で使用されており消耗が激しい。このため機能モジュールは定期的な交換が必要とされる。また機能モジュールの特性は経時的に変化する。このためレーザの運転状態を定期的に監視し、レーザの状態に応じて運転パラメータを調整する必要がある。また機能モジュールの不具合によって問題が発生している時には、不具合を起こしている機能モジュールを交換し迅速にレーザを正常な状態に戻すことが求められる。レーザ装置にはこうした保守作業が必要とされる。そこで保守作業に有益なレーザ装置管理システムが構築されている。
【0005】
従来のレーザ装置管理システムは、レーザ装置の動作を監視する監視端末と、表示端末と、サーバ装置とが公衆回線又は専用回線からなるネットワークに接続される。例えば、レーザ装置が設けられる半導体製造工場に設置された監視端末と、レーザ装置の保守作業員が駐在する営業所に設置された表示端末と、レーザ製造工場に設置されたサーバ装置とがインターネットに接続される。なお監視端末とレーザ装置はLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続される。
【0006】
このレーザ装置管理システムでは、定期的、例えば一日一回程度の割合でログデータを収集する。収集されたログデータはLANを介してレーザ制御装置から監視端末へ送信され、さらにインターネットを介して監視端末からサーバ装置へ転送される。サーバ装置にはログデータがデータベースとして保存されており、サーバ装置へログデータが転送される度にデータベースが更新される。
【0007】
保守作業員が表示端末を用いてサーバ装置にアクセスすると、必要なログデータがインターネットを介してサーバ装置から表示端末へ転送され、表示端末にログデータが表示される。保守作業員が詳しいログデータを必要とする場合は、ログデータ一式がインターネットを介してサーバ装置から表示端末へ送信される。保守作業員はログデータを基にしてレーザ装置の状態を解析する。レーザ装置の状態が変化し運転パラメータの変更が必要となった場合は、保守作業員が半導体製造工場を訪問し、レーザ装置の操作盤を操作して運転パラメータの設定変更をする。
【0008】
下記特許文献1には、定期的にログデータを収集するのではなく、予め設定された特定のイベントが発生する毎にログデータを収集する技術が開示されている。特定のイベントには、一定時間経過、一定運転時間経過、一定放電パルス数の発振、エラーやワーニングの発生、メンテナンス作業の完了等が含まれる。
【特許文献1】特開2002−43219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体製造工場は様々な地域に点在する。また一つの半導体製造工場で複数のレーザ装置が稼働する場合がある。よってレーザ装置管理システムにおいては、サーバ装置とレーザ装置の対応関係が1:Nとなることがある。サーバ装置ではN台のレーザ装置のログデータが保存・更新されるが、ログデータの更新回数が増えるほどサーバ装置の負担は大きくなる。従来のレーザ装置管理システムではサーバ装置の負担軽減のために、ログデータの収集が一日一回程度に限定されている。逆にいえば従来のシステムではログデータの収集の限界が一日一回程度であったといえる。したがって従来はレーザ装置の保守作業の際に、保守作業員は最大で1日前のログを見ることになる。
【0010】
またレーザ出力の毎パルスの状態を記録するログ(ビームログという)は変化が激しく、そのデータ容量は莫大になる。このため一日一回の更新では全てのデータを記録できない。
【0011】
また特許文献1のレーザ装置管理システムでは、イベント発生時にログデータの収集が行われるのみであり、イベントが発生しなければログデータの収集が行われない。
【0012】
こうしたことから、従来のレーザ装置管理システムではリアルタイムでレーザ装置の状態を把握することが困難である。
【0013】
またユーザからの要求やレーザ装置の異常等によって運転パラメータを調整する必要が生じた場合は、保守作業員が半導体製造工場を訪問しなければならない。半導体製造工場が遠隔地にあると保守作業員が現場に到着するまでに多大な時間を要する。したがってレーザ装置を適切な状態にするまでに時間が掛かる。
【0014】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、ログデータの収集や運転パラメータの変更といったレーザ装置の操作を、公衆回線又は専用回線からなるネットワークを介して行えるようにすることを解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明は、
レーザ装置の所定動作を指示する端末を含んだレーザ指示装置と、レーザ装置と通信自在に接続され該レーザ装置を監視する端末を含んだレーザ監視装置と、前記レーザ指示装置及び前記レーザ監視装置とデータの送受を行うサーバ装置と、がそれぞれ通信回線に接続されたレーザ装置管理システムにおいて、
前記レーザ指示装置から前記サーバ装置へ通信回線を介してレーザ装置の所定動作を指示する指示データを送信し、前記サーバ装置で指示データを保存すると共に、
前記レーザ監視装置から前記サーバ装置へ通信回線を介して指示データの保存状況を照会する指示データ照会信号を送信し、
前記サーバ装置で指示データ照会信号が受信された時に指示データが保存されている場合は、前記サーバ装置から前記レーザ監視装置へ通信回線を介して保存されている指示データを転送し、レーザ装置を指示データに応じて制御すること
を特徴とする。
【0016】
本発明では、レーザ指示装置とレーザ監視装置とサーバ装置が公衆回線又は専用回線といったネットワークに接続される。レーザ指示装置は指示端末を含み、レーザ監視装置はレーザ装置と通信自在に接続された監視端末を含む。例えばレーザ指示装置は保守作業員が駐在する営業所に設置され、レーザ監視装置は半導体製造工場に設置され、サーバ装置はレーザ装置製造工場に設置される。
【0017】
保守作業員がログデータの転送や運転パラメータの変更といったレーザ装置の操作をする場合は、まず指示端末で指示内容に応じた入力操作がなされる。するとレーザ指示装置では指示データが生成される。この指示データはネットワークを介してレーザ指示装置からサーバ装置へ送信される。サーバ装置では指示データが一時的に保存される。本システムではネットワークを介してレーザ監視装置からサーバ装置へ指示データの保存状況を照会する指示データ照会信号が送信される。この指示データ照会信号は定期的、例えば一分毎、に繰り返し送信される。サーバ装置で指示データ照会信号が受信された時点で、サーバ装置に指示データが保存されていると、指示データがネットワークを介してサーバ装置からレーザ監視装置へ転送され、さらレーザ装置に転送される。こうしてレーザ装置は指示データの内容に応じて動作する。
【0018】
第2発明は、第1発明において、
前記レーザ監視装置から前記サーバ装置へ通信回線を介してレーザ装置に関する情報を示すレーザ装置データを送信し、前記サーバ装置でレーザ装置データを保存すると共に、
前記レーザ指示装置から前記サーバ装置へ通信回線を介してレーザ装置データの保存状況を照会するレーザ装置データ照会信号を送信し、
前記サーバ装置でレーザ装置データ照会信号が受信された時にレーザ装置データが保存されている場合は、前記サーバ装置から前記レーザ指示装置へ通信回線を介して保存されているレーザ装置データを転送し、前記レーザ指示装置でレーザ装置に関する情報を取得すること
を特徴とする。
【0019】
レーザ指示装置からの指示データによって、レーザ装置にログデータの転送が指示された場合や運転パラメータの変更が指示された場合は、レーザ装置からレーザ監視装置にレーザ装置に関する情報を示すレーザ装置データ、例えばログデータや運転パラメータ変更完了を示すデータが転送される。このレーザ装置データはネットワークを介してレーザ監視装置からサーバ装置へ転送される。サーバ装置ではレーザ装置データが一時的に保存される。本システムではネットワークを介してレーザ指示装置からサーバ装置へレーザ装置データの保存状況を照会するレーザ装置データ照会信号が送信される。このレーザ装置データ照会信号は定期的、例えば一分毎、に繰り返し送信される。サーバ装置でレーザ装置データ照会信号が受信された時点で、サーバ装置にレーザ装置データが保存されていると、レーザ装置データがネットワークを介してサーバ装置からレーザ指示装置へ転送される。こうしてレーザ指示装置にレーザ装置データが取得される。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、保守作業員側の指示端末でログデータの収集や運転パラメータの変更といったレーザ装置の操作が行われる。ネットワークが広範囲に設けられていれば、指示端末で遠隔地のレーザ装置を操作できることになる。こうした遠隔地のレーザ装置に対しても保守作業員が所望のタイミングでログデータを取得できるため、リアルタイムでレーザ装置の状態を把握することができる。また保守作業員は指示端末で運転パラメータを変更できるため、迅速にレーザ装置を適切な状態にすることができる。さらに保守作業員が半導体製造工場を訪問する必要がなくなるため、保守作業員の労力は軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明はレーザ装置の所定動作を指示する指示端末と、レーザ装置と、サーバ装置とをインターネットのような広域なネットワークに接続し、指示端末とレーザ装置との間で行うべきデータの送受をサーバ装置を介して行うものである。
【0022】
各種端末をネットワークに接続する場合は、通常は各種端末とネットワークとの間にファイアウォールが設置される。このファイアウォールは外部のネットワークから内部のネットワークへの不正アクセスを防止するという機能を有する。その反面ファイアウォールは、外部のネットワークと内部のネットワークとの間の障壁となってしまうため、指示端末とレーザ装置との間で直接通信することができなくなる。
【0023】
ファイアウォールは、外部のネットワーク側からの通信は遮断するが、内部のネットワーク側からハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)を用いた通信とその通信に応答する通信は通過させる。本発明はこのファイヤーフォールの特性を利用しており、レーザ装置と指示端末との間でデータの授受を行う場合には、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)を用い、サーバ装置を一旦経由することで間接的に通信を行うものである。
【0024】
図1は本実施形態に係るレーザ装置管理システムの構成図である。
本明細書では指示端末5とプロキシサーバ3をまとめてレーザ指示装置51といい、監視端末5をレーザ監視装置52という。本実施形態では、レーザ指示装置51とレーザ監視装置52との間でデータの送受を行うために次にような構成をとっている。
【0025】
指示端末2と監視端末5はデータの送信及び特定のデータの受信が自在となるようにネットワーク1に接続され、サーバ装置9はデータの送受信が自在となるようにネットワーク1に接続される。また監視端末5と1以上のレーザ装置7は構内ネットワーク8に接続される。例えば、指示端末2の設置場所は保守作業員が駐在する営業所であり、監視端末5及びレーザ装置7の設置場所は半導体製造工場であり、サーバ装置9の設置場所はレーザ装置製造工場である。営業所及び半導体製造工場が1以上ある場合は、当然の事ながらレーザ指示装置51とレーザ監視装置52は複数存在することになる。
【0026】
ネットワーク1は、電話回線やISDN(総合サービス・デジタル通信網)といった公衆回線で構成される。本実施形態ではネットワーク1としてインターネットを想定している。なおネットワーク1が専用回線であっても本システムの適用は可能である。インターネットを利用する場合のデータ通信はハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)を用いて行われる。構内ネットワーク8はLANで構成される。本実施形態では構内ネットワーク7としてイーサネット(登録商標)を想定している。
【0027】
指示端末2はプロキシサーバ3に接続され、プロキシサーバ3はファイアウォール4に接続され、ファイアウォール4はネットワーク1に接続される。したがって指示端末2はプロキシサーバ3、ファイアウォール4を介してネットワーク1に接続される。指示端末2には、レーザ装置7の所定動作、例えばログデータの収集や運転パラメータの変更を指示する指示データをサーバ装置4に送信し、また自身宛のデータがサーバ装置9に保存されているかを照会する照会信号をサーバ装置4に送信し、またサーバ装置9に保存された自身宛のデータを受信するためのソフトウェアがインストールされている。プロキシサーバ3は指示端末2をネットワーク1に接続する機能を有する。ファイアウォール4はネットワーク1側から指示端末2側への不正アクセスを防止する障壁機能を有する。
【0028】
監視端末5はファイアウォール6に接続され、ファイアウォール6はネットワーク1に接続される。したがって監視端末5はファイアウォール6を介してネットワーク1に接続される。監視端末5には、レーザ装置7に関する情報、例えばログデータや運転パラメータ変更完了を示すデータをサーバ装置4に送信し、また自身宛のデータがサーバ装置9に保存されているかを照会する照会信号をサーバ装置4に送信し、またサーバ装置9に保存された自身宛のデータを受信するためのソフトウェアがインストールされている。ファイアウォール6はネットワーク1側から監視端末5側への不正アクセスを防止する障壁機能を有する。
【0029】
サーバ装置4はデータを保存する保存部を有する。サーバ装置4には、受信した各種データを保存部に保存し、各種データの照会信号を受信したら保存した各種データを指示端末2又は監視端末5に転送するためのソフトウェアがインストールされている。
【0030】
図2はレーザ装置の制御系統を示す図である。
レーザ装置7は主制御部22を有し、この主制御部22がレーザ装置7の各部を統括して制御する。主制御部22はインターフェース21を介してデータの送受信が自在となるように構内ネットワーク8に接続される。さらにレーザ装置7は内部ネットワーク23を有する。内部ネットワーク23には主制御部22の他に、ユーティリティ制御部24や波長制御部25やエネルギー制御部26といった各種制御部がデータの送受信が自在となるように接続される。
【0031】
ユーティリティ制御部24は放電ガス圧の制御や冷却水の管理や換気用ファンの管理を行う。ユーティリティ部27では、例えば、フッ素(F2)ガス、クリプトン(Kr)とネオン(Ne)の混合ガス、ヘリウム(He)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)ガスなどの各ガス圧や、冷却水の温度や、冷却水の流量や、換気用ファンの流量等が調整される。ユーティリティ制御部24はこの各ユーティリティ部27を制御する。
【0032】
波長制御部25はレーザ光の波長および線幅の制御を行う。レーザ光の波長及び線幅の調整は狭帯域化モジュール28内の各種光学素子の角度調整によって行われ、レーザ光の波長及び線幅の計測はモニタモジュール29で行われる。波長制御部25はモニタモジュール29の計測結果を取得し、その結果に応じてレーザ光の波長及び線幅が所定値になるように狭帯域化モジュール28内の各種光学素子の角度を制御する。
【0033】
エネルギー制御部26は放電エネルギー制御、放電タイミング(トリガ)制御、高電圧電源の起動、停止、指令値の設定などの高電圧管理を行う。高電圧制御はHV制御部30で行われる。HV制御部30は電源31を制御してパルスパワーモジュール32に高電圧を供給し、チャンバ33内で放電を生じさせる。
【0034】
また主制御部22は各制御部24、25、26を介してログデータを収集し、収集したログデータをログデータファイル35に保存する。ログデータの収集は常時行われるようにしてもよいし、所定期間毎に行われるようにしてもよいし、特定のタイミングで行われるようにしてもよい。
【0035】
レーザ装置7の外部には操作盤40が設けられる。操作盤40は運転パラメータを外部から入力するための操作装置である。操作盤40はインターフェース21に接続されており、操作盤40で生成された運転パラメータの変更データはインターフェース21を介して主制御部22に送信される、主制御部22から各制御部24、25、26に送信される。
【0036】
次に本システムの処理動作を説明する。
まず指示端末2でレーザ装置7のログデータの転送を指示する場合の各部の処理動作を説明する。
【0037】
図3はログデータの転送処理を示すシーケンス図である。
指示端末2にログデータの転送を指示する入力操作がなされると、ログデータの転送を指示する指示データが指示端末2からプロキシサーバ3へ送信される(S11)。プロキシサーバ3にはログ取得先のレーザ装置7の号機番号が予め設定されている。プロキシサーバ3で指示データが受信されると、ネットワーク1を介してプロキシサーバ3からサーバ装置9へレーザ号機番号を示すレーザ号機データ及びログデータの転送を指示する指示データが送信される(S12)。このときHTTPが用いられる。送信されたレーザ号機データ及び指示データはサーバ装置9の保存部で一時的に保存される。
【0038】
監視端末5からサーバ装置9へは、監視端末5が監視するレーザ装置7に対する指示データの有無を照会する指示データ照会信号が定期的に送信される(S02)。サーバ装置9で指示データ照会信号が受信された時に、サーバ装置9の保存部に指示データが保存されている場合は、ネットワーク1を介してサーバ装置9から監視端末5へ保存されていたレーザ号機データ及び指示データが転送される(S13)。転送されたレーザ号機データ及び指示データは監視端末5に取得される。さらに監視端末5から対応するレーザ装置7の主制御部22へ指示データが転送される(S14)。
【0039】
指示データに応じて、レーザ装置7の主制御部22によってログデータファイル35から最新のログデータが読み出されると、レーザ装置7から監視端末5へ読み出されたログデータが送信される(S21)。監視端末5でログデータが受信されると、ネットワーク1を介して監視端末5からサーバ装置9へログデータが転送される(S22)。転送されたログデータはサーバ装置9の保存部で一時的に保存される。
【0040】
プロキシサーバ3からサーバ装置9へは、レーザ指示装置51側へのレーザ装置7の状態を示すレーザ装置データの有無を照会するレーザ装置データ照会信号が定期的に送信される(S01)。サーバ装置9でレーザ装置データ照会信号が受信された時に、サーバ装置9の保存部にログデータが保存されている場合は、ネットワーク1を介してサーバ装置9からプロキシサーバ3へ保存されていたログデータが転送される(S23)。転送されたログデータはプロキシサーバ3に取得される。そしてプロキシサーバ3から指示端末5へログデータの転送が完了したことを示す通知が送信される(S24)。こうしてログデータの転送処理が完了する。
【0041】
図4は運転パラメータの変更処理を示すシーケンス図である。
指示端末2に運転パラメータの変更を指示する入力操作がなされると、運転パラメータの変更を指示する指示データが指示端末2からプロキシサーバ3へ送信される(S31)。プロキシサーバ3には運転パラメータ変更先のレーザ装置7の号機番号が予め設定されている。プロキシサーバ3で指示データが受信されると、ネットワーク1を介してプロキシサーバ3からサーバ装置9へレーザ号機番号を示すレーザ号機データ及び運転パラメータの変更を指示する指示データが送信される(S32)。このときHTTPが用いられる。送信されたレーザ号機データ及び指示データはサーバ装置9の保存部で一時的に保存される。
【0042】
監視端末5からサーバ装置9へは、監視端末5が監視するレーザ装置7に対する指示データの有無を照会する指示データ照会信号が定期的に送信される(S02)。サーバ装置9で指示データ照会信号が受信された時に、サーバ装置9の保存部に指示データが保存されている場合は、ネットワーク1を介してサーバ装置9から監視端末5へ保存されていたレーザ号機データ及び指示データが転送される(S33)。転送されたレーザ号機データ及び指示データは監視端末5に取得される。さらに監視端末5から対応するレーザ装置7の主制御部22へ指示データが転送される(S34)。
【0043】
指示データはレーザ装置7の主制御部22から各制御部24、25、26に送信される。各制御部24、25、26は指示に応じて運転パラメータを変更する。そしてネットワーク1を介して監視端末5からサーバ装置9へ運転パラメータ変更完了を示す完了通知データが送信される(S41)。送信された完了通知データはサーバ装置9の保存部で一時的に保存される。
【0044】
プロキシサーバ3からサーバ装置9へは、レーザ指示装置51側へのレーザ装置7の状態を示すレーザ装置データの有無を照会するレーザ装置データ照会信号が定期的に送信される(S01)。サーバ装置9でレーザ装置データ照会信号が受信された時に、サーバ装置9の保存部に完了通知データが保存されている場合は、ネットワーク1を介してサーバ装置9からプロキシサーバ3へ保存されていた完了通知データが転送される(S42)。転送された完了通知データはプロキシサーバ3に取得される。そしてプロキシサーバ3から指示端末5へ運転パラメータの変更が完了したことを示す通知が送信される(S43)。こうして運転パラメータの変更処理が完了する。
【0045】
本実施形態では、保守作業員側の指示端末でログデータの収集や運転パラメータの変更といったレーザ装置の操作が行われる。ネットワークが広範囲に設けられていれば、指示端末で遠隔地のレーザ装置を操作できることになる。こうした遠隔地のレーザ装置に対しても保守作業員が所望のタイミングでログデータを取得できるため、リアルタイムでレーザ装置の状態を把握することができる。また保守作業員は指示端末で運転パラメータを変更できるため、迅速にレーザ装置を適切な状態にすることができる。さらに保守作業員が半導体製造工場を訪問する必要がなくなるため、保守作業員の労力は軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本実施形態に係るレーザ装置管理システムの構成図である。
【図2】図2はレーザ装置の制御系統を示す図である。
【図3】図3はログデータの転送処理を示すシーケンス図である。
【図4】図4は運転パラメータの変更処理を示すシーケンス図である。
【図5】図5はエキシマレーザの構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1…ネットワーク
2…指示端末
3…プロキシサーバ
4、6…ファイアウォール
5…監視端末
7…レーザ装置
9…サーバ装置
51…レーザ指示装置
52…レーザ監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置の所定動作を指示する端末を含んだレーザ指示装置と、レーザ装置と通信自在に接続され該レーザ装置を監視する端末を含んだレーザ監視装置と、前記レーザ指示装置及び前記レーザ監視装置とデータの送受を行うサーバ装置と、がそれぞれ通信回線に接続されたレーザ装置管理システムにおいて、
前記レーザ指示装置から前記サーバ装置へ通信回線を介してレーザ装置の所定動作を指示する指示データを送信し、前記サーバ装置で指示データを保存すると共に、
前記レーザ監視装置から前記サーバ装置へ通信回線を介して指示データの保存状況を照会する指示データ照会信号を送信し、
前記サーバ装置で指示データ照会信号が受信された時に指示データが保存されている場合は、前記サーバ装置から前記レーザ監視装置へ通信回線を介して保存されている指示データを転送し、レーザ装置を指示データに応じて制御すること
を特徴とするレーザ装置管理システム。
【請求項2】
前記レーザ監視装置から前記サーバ装置へ通信回線を介してレーザ装置に関する情報を示すレーザ装置データを送信し、前記サーバ装置でレーザ装置データを保存すると共に、
前記レーザ指示装置から前記サーバ装置へ通信回線を介してレーザ装置データの保存状況を照会するレーザ装置データ照会信号を送信し、
前記サーバ装置でレーザ装置データ照会信号が受信された時にレーザ装置データが保存されている場合は、前記サーバ装置から前記レーザ指示装置へ通信回線を介して保存されているレーザ装置データを転送し、前記レーザ指示装置でレーザ装置に関する情報を取得すること
を特徴とする請求項1記載のレーザ装置管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−24765(P2006−24765A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201849(P2004−201849)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】