レーダ装置、レーダ信号処理方法及びレーダ信号処理プログラム
【課題】パルスレーダで目標の速度を正確に検出しようとする場合、複数のPRFのパルス信号から位相回転量を算出し、PRFごとの位相回転量の組み合わせから速度検出を行う。このような関連技術のレーダでは、PRFごとにドップラ周波数分解能が異なるため、何度も折り返るような高速目標の場合は速度検出精度の差に依存する誤差が無視できなくなり、速度の検出を誤ってしまうという課題がある。
【解決手段】本発明は、前記課題を解決するために、利用する複数のPRF間で等間隔なドップラ周波数分解能を得ることのできるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRFを等間隔なドップラ周波数分解能ごとの受信信号に分離する等間隔ドップラ周波数分離器16とを備えることにより、誤差のない速度検出を行うことを可能とする。
【解決手段】本発明は、前記課題を解決するために、利用する複数のPRF間で等間隔なドップラ周波数分解能を得ることのできるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRFを等間隔なドップラ周波数分解能ごとの受信信号に分離する等間隔ドップラ周波数分離器16とを備えることにより、誤差のない速度検出を行うことを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパルス繰返し周波数(以下「PRF(Pulse Repetition Frequency)」という。)で動作するレーダ装置等に関し、対象とする目標の速度を受信信号から正確に検出するレーダ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパルスレーダは複数のパルスを送信し、目標により反射された信号の位相回転量からその速度の算出を行う。この手法で観測可能な速度の上限は、サンプリング定理から明らかなようにドップラ周波数がPRF以下となる速度である。そのため、目標の速度が大きい場合に、パルス間のドップラ周波数が観測上限であるPRFを超えるときがある。このときは、実際の速度よりも低速な速度として観測される「折返し」が発生することにより、正確な速度を検出することができない。
【0003】
この課題を解決するために、複数のPRFを用いて観測可能な速度範囲を拡大する技術が知られている。そのような技術のうち、特許文献1に記載の技術を関連技術1として説明する。図6に関連技術1の機能ブロック図を示す。関連技術1のレーダ装置30は、複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、PRFごとにドップラ周波数を検出するドップラ周波数分離器31と、検出されたドップラ周波数の組合せから速度の推定を行う速度推定処理器32とを備える。
【0004】
この方式を用いて3種類のPRFから速度検出を行う処理の流れを、図7に示す。図7では、ドップラ周波数をフィルタバンクによって分離することとし、各PRFでの観測上限の範囲内を4等分して表現している。フィルタバンクとは、バンドパスフィルタのアレイであり、受信信号を所定の周波数帯域ごとに複数に分けて出力する。実際の速度は、PRF1では2倍折返しされた2バンク目に位置する速度である。一方、各PRFで観測されるドップラ周波数は、PRF1では2バンクに、PRF2では1バンクに、PRF3では4バンクにそれぞれ位置する。この場合、各PRFにおける検出ドップラ周波数が異なるため、それぞれのPRF観測速度の上限以上の速度が検出されたと判断し、得られたドップラ周波数の組み合わせから実際の目標速度を推測する。
【0005】
しかし、実際には位相回転量は誤差を含むため、ドップラ周波数の組み合わせからの判断において誤った速度を選択してしまう場合がある。図8はこの様子を示した図であり、PRF2における受信信号は、ノイズの影響によってドップラ周波数が本来とは異なって観測されてしまう。そのため、本来1バンクで検出されるはずが2バンクとして検出されてしまい、その結果組み合わせを誤り、正しい速度を検出できない、という課題がある。
【0006】
これに対し特許文献2では、組み合わせから判定するのではなく、検出されたドップラ周波数に対しPRF比に相当する係数を乗算し、同一基準の周波数軸上で加算することで、上記課題を解決する。特許文献2を関連技術2として、図9に機能ブロック図を、図10にノイズの影響があった場合の処理の流れを示す。関連技術2のレーダ装置40は、複数の発生間隔でパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、PRFごとにドップラ周波数を検出するドップラ周波数分離器31と、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、目標の速度を検出する速度検出処理器18とを備える。
【0007】
図10では、関連技術1と同じくドップラ周波数をフィルタバンクによって分離することとし、各PRFの観測上限の範囲内を4等分して表現している。本関連技術2では、折返し速度展開処理器17が、PRFごとに検出されたドップラ周波数に、PRFに応じた係数を乗じて、折返しのないドップラ周波数平面状に展開する。続いて、速度検出処理器18が、ドップラ周波数ごとに振幅加算し、加算後の最大振幅のドップラ周波数を目標速度とする処理を行う。そのため、各PRFにおいてドップラの検出ミスが発生した場合にも、ドップラ周波数を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−138214号公報(特許第2910451号公報)
【特許文献2】特開2006−226955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した関連技術2では、PRFごとにドップラ周波数分解能が異なる。そのため、何度も折返しが発生する高速目標を観測する場合では、周波数分解能のずれが大きくなり、正しい速度の検出が困難になる。図11に、何度も折返しをする場合の速度検出の流れを示す。この速度検出結果では、ドップラ周波数分解能が異なることにより、複数の目標速度候補が現れるので、正しい速度検出が困難であることがわかる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度を検出し得るレーダ装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレーダ装置は、
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部と、
このパルス発生部で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器と、
この送受信器から出力された前記受信信号と前記パルス発生部で発生したパルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器と、
このパルス圧縮器で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器と、
この等間隔ドップラ周波数分離器で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
この折返し速度展開処理器で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたものである。
【0012】
本発明に係るレーダ信号処理方法は、
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力し、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記PRFごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得、
得られた前記情報に基づき、前記PRFごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離し、
分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開し、
展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各PRFの前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する、
ものである。
【0013】
本発明に係るレーダ信号処理プログラムは、
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置に用いられ、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記PRFごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段、
このパルス圧縮手段で得られた情報に基づき、前記PRFごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段、
この等間隔ドップラ周波数分離手段で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段、及び、
この折返し速度展開処理手段で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各PRFの前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理手段として、
コンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各PRFのドップラ周波数分解能を一定にすることで、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度検出をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1のレーダ装置を示すブロック図である。
【図2】本発明が関連技術2の課題を解決することを示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1の方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1のプログラムによって実現されたレーダ装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態2のレーダ装置を示すブロック図である。
【図6】関連技術1のレーダ装置を示すブロック図である。
【図7】関連技術1のドップラ周波数分解能を示す説明図である。
【図8】関連技術1の課題を示す説明図である。
【図9】関連技術2のレーダ装置を示すブロック図である。
【図10】関連技術2が関連技術1の課題を解決することを示す説明図である。
【図11】関連技術2の課題を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。
【0017】
まず、本実施形態1の概要を説明する。図1に示すように、本実施形態1のレーダ装置10は、一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部19と、パルス発生部19で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線14を介して目標へ放射し、目標で反射した電波を空中線14を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器13と、送受信器13から出力された受信信号とパルス発生部19で発生したパルス信号とを対応づけて、PRFごとのドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器15と、パルス圧縮器15で得られた情報に基づき、PRFごとのドップラ周波数を、ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器16と、等間隔ドップラ周波数分離器16で分離された複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、折返し速度展開処理器17で展開されたドップラ周波数平面において、各ドップラ周波数成分に属する各PRFの振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、目標の速度として検出する速度検出処理器18と、を備える。
【0018】
パルス発生部19は、相異なる複数のPRFをそれぞれ一定のドップラ周波数分解能の整数倍となるように制御するPRF制御器11と、PRF制御器11で制御された複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生器12とを有する、としてもよい。送受信器13は、複数のパルス信号に基づく電波として、複数のパルス信号をアップコンバートし、このアップコンバートした各信号に基づく電波を用い、受信信号として、目標で反射した電波に基づく各信号をダウンコンバートしかつA/D変換した信号を出力する、としてもよい。等間隔ドップラ周波数分離器16は、ドップラ周波数を複数のドップラ周波数成分に分離するとともに、ドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行う、としてもよい。折返し速度展開処理器17は、ドップラ周波数平面に展開する複数のドップラ周波数成分として、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分の結果を用いる、としてもよい。
【0019】
次に、本実施形態1の詳細を説明する。本発明の目的は、ドップラ周波数検出処理においてPRFに依らず一定のドップラ周波数分解能を得ることによって、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度検出を行えるようにすることである。本発明は前記目的を達成するために次の構成を有する。
【0020】
レーダ装置10は、基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRF制御器11の制御に基づき複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、送受信器13の出力する受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、パルス圧縮器15の出力信号をPRFに依らず等間隔なドップラ周波数分解能の信号に分離するとともにドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行う等間隔ドップラ周波数分離器16と、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、折返しのないドップラ周波数平面において全PRFの振幅を加算し最大振幅の速度を目標の速度として検出する速度検出処理器18とを備える。
【0021】
次に、レーダ装置10の動作を説明する。PRF制御器11は基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御し、パルス発生器12はPRF制御器11からのPRF制御に基づいた複数のPRFのパルス列を発生させ、送受信器13はパルス列の信号を送信周波数にまでアップコンバートし、空中線14はアップコンバートされた送信信号を空間中に放射する。目標で反射した電波は空中線14で受信され、送受信器13でダウンコンバート及びA/D変換される。パルス圧縮器15は、送受信器13からのA/D変換された出力に対して送信信号との相関を取る処理を実行するとともに、受信信号の電力を時間方向に圧縮し利得を得る処理を実行する。
【0022】
等間隔ドップラ周波数分離器16は、同一PRFの複数の受信信号に対しトランスバーサルフィルタなどの周波数分解手段を用いることにより、注目距離の受信信号をドップラ周波数成分ごとの信号に分離する。その際、PRF制御器11からのPRF情報に基づき、複数のPRF間でドップラ周波数分解能を同一にする。これにより、図2のドップラ周波数検出結果に示すように、折返しを考慮しない場合に検出可能な周波数の上限はPRFごとに異なるものの、ドップラ周波数分解能はPRFに依らず一定の幅となる。折返し速度展開処理器17は、等間隔ドップラ周波数分離器16の出力である等間隔のドップラ周波数成分ごとの信号を、PRFごとに折り返されているPRFより高い周波数側に順に並べ、図2の折返し速度展開結果に示すように、一定のドップラ周波数分解能で区切られた折返しのないドップラ周波数平面を構成する。速度検出処理器18では、折返しのないドップラ周波数平面において、ドップラ周波数成分ごとに振幅加算を行い最大振幅のドップラ周波数成分を目標の速度として検出する。
【0023】
本発明の効果は、PRFとドップラ周波数分離フィルタを制御してドップラ周波数分解能をPRFに依らず一定にすることで、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度検出を行えることである。この理由について以下に述べる。
【0024】
図2に、本発明における速度検出処理の流れを示す。図2では、等間隔ドップラ周波数分離器16は、関連技術1及び関連技術2と同じく、ドップラ周波数をフィルタバンクによって分離することとし、PRF1の観測上限の範囲内を4等分したドップラ周波数を基準のドップラ周波数分解能としている。次に、PRF制御器11は、等間隔ドップラ周波数分離器16がPRFの観測上限の範囲を基準ドップラ分解能の整数倍で分解できるように、PRFを制御する。図2に示すように、PRF2では基準のドップラ周波数分解能の5倍となるように制御し、PRF3では基準のドップラ周波数分解能の6倍となるように制御する。これにより、後段の折返し速度展開処理器17においてドップラ周波数に対し一意な平面状に展開した場合、一定のドップラ周波数分解能で区切られた周波数空間上に各PRFでの速度検出結果をマッピングすることができ、誤差の無い速度検出を行うことができる。
【0025】
パルスレーダで目標の速度を正確に検出しようとする場合、複数のPRFのパルス信号から位相回転量を算出し、PRFごとの位相回転量の組み合わせから速度検出を行う。このような関連技術のレーダでは、PRFごとにドップラ周波数分解能が異なるため、何度も折り返るような高速目標の場合は速度検出精度の差に依存する誤差が無視できなくなり、速度の検出を誤ってしまうという課題がある。本発明は、前記課題を解決するために、利用する複数のPRF間で等間隔なドップラ周波数分解能を得ることのできるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRFを等間隔なドップラ周波数分解能ごとの受信信号に分離する等間隔ドップラ周波数分離器16とを備えることにより、誤差のない速度検出を行うことを可能とする。
【0026】
本実施形態1のレーダ信号処理方法は、レーダ装置10の動作として実現されている。すなわち、図3に示すように、本実施形態1のレーダ信号処理方法は、次のステップを含む。一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるステップ101。発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するステップ102。出力された受信信号と発生したパルス信号とを対応づけて、PRFごとのドップラ周波数及び振幅の情報を得るステップ103。得られた情報に基づき、PRFごとのドップラ周波数を、ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離するステップ104。分離された複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開するステップ105。展開されたドップラ周波数平面において、各ドップラ周波数成分に属する各PRFの振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、目標の速度として検出するステップ106。
【0027】
本実施形態1のレーダ信号処理プログラムは、図4に示すように、一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線14を介して目標へ放射し、目標で反射した電波を空中線14を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置10’に用いられる。そして、本実施形態1のレーダ信号処理プログラムは、出力された受信信号と発生したパルス信号とを対応づけて、PRFごとのドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段15’、パルス圧縮手段15’で得られた情報に基づき、PRFごとのドップラ周波数を、ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段16’、等間隔ドップラ周波数分離手段16’で分離された複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段17’、及び、折返し速度展開処理手段17’で展開されたドップラ周波数平面において、各ドップラ周波数成分に属する各PRFの振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、目標の速度として検出する速度検出処理手段18’として、コンピュータ10aを機能させるためのものである。
【0028】
コンピュータ10aは、図示しないが、CPU、メモリ(ROM及びRAM)、入出力インタフェース等からなる一般的なものである。CPUがメモリから本実施形態1のレーダ信号処理プログラムを読み出し、解釈し、実行することにより、パルス圧縮手段15’、等間隔ドップラ周波数分離手段16’、折返し速度展開処理手段17’及び速度検出処理手段18’としてコンピュータ10aが機能する。つまり、レーダ装置10のパルス圧縮器15、等間隔ドップラ周波数分離器16、折返し速度展開処理器17及び速度検出処理器18と同じ機能が、レーダ装置10’のパルス圧縮手段15’、等間隔ドップラ周波数分離手段16’、折返し速度展開処理手段17’及び速度検出処理手段18’として実現されている。したがって、レーダ装置10’は、レーダ装置10と同じ作用及び効果を奏する。
【0029】
本発明の実施形態2のブロック図を図5に示す。本実施形態2のレーダ装置20は、実施形態1のレーダ装置10の構成に、複数の受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI(Moving Target Indicator)処理器21を、更に備えたものである。
【0030】
すなわち、レーダ装置20は、基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRF制御器11の制御に基づき複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、送受信器13の出力する受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、パルス圧縮器15の出力信号に対しヒット間の減算を行うことで固定目標のドップラ周波数を除外するMTI処理器21と、MTI処理結果をPRFに依らず等間隔なドップラ周波数成分の信号に分離するとともにドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行う等間隔ドップラ周波数分離器16と、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、折返しのないドップラ周波数平面において全PRFの振幅を加算し最大振幅の速度を目標の速度として検出する速度検出処理器18とを備える。
【0031】
本実施形態2では、MTI処理により等間隔ドップラ周波数分離器16で利用可能な積分ヒット数は減少するが、PRFに変化はなくコヒーレント性は保たれるため、MTI処理と他の構成要素の処理との併用が可能である。
【0032】
本実施形態2のレーダ信号処理方法は、実施形態1のレーダ信号処理方法において、複数の受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残す処理を、更に含むものである。本実施形態2のレーダ信号処理プログラムは、実施形態1のレーダ信号処理プログラムにおいて、更に、複数の受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理手段として、コンピュータを機能させるためのものである。本実施形態2のレーダ信号処理方法及びレーダ信号処理プログラムは、実施形態1のレーダ信号処理方法及びレーダ信号処理プログラムの構成に準ずるので、それらの図示を省略する。
【0033】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0034】
本発明は、次のように記載することもできる。
複数のPRFで動作するレーダ装置であって、
基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御するPRF制御器と、
前記PRF制御器の制御に基づき複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器と、
前記パルス発生器からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器と、
実際に電波放射及び電波受信を行う空中線と、
前記送受信器の出力する受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器と、
前記パルス圧縮器の出力信号をPRFに依らず等間隔なドップラ周波数分解能の信号に分離すると共にドップラ周波数ごとにヒット積分を行う等間隔ドップラ周波数分離器と、
前記ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
前記折返しのないドップラ周波数平面において全PRFの振幅を加算し最大振幅の速度を目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたレーザ装置。
【0035】
また、上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0036】
(付記1)一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部と、
このパルス発生部で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器と、
この送受信器から出力された前記受信信号と前記パルス発生器で発生したパルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器と、
このパルス圧縮器で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器と、
この等間隔ドップラ周波数分離器で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
この折返し速度展開処理器で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたレーダ装置。
【0037】
(付記2)付記1記載のレーダ装置において、
前記パルス発生部は、
相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ一定のドップラ周波数分解能の整数倍となるように制御するPRF制御器と、
このPRF制御器で制御された前記複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生器とを有する、
レーダ装置。
【0038】
(付記3)付記1又は2記載のレーダ装置において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理器を、
更に備えたレーダ装置。
【0039】
(付記4)付記1乃至3のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記送受波器は、前記複数のパルス信号に基づく電波として、前記複数のパルス信号をアップコンバートし、このアップコンバートした各信号に基づく電波を用い、
前記受信信号として、前記目標で反射した電波に基づく各信号をダウンコンバートしかつA/D変換した信号を出力する、
レーダ装置。
【0040】
(付記5)付記1乃至4のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記等間隔ドップラ周波数分離器は、前記ドップラ周波数を前記複数のドップラ周波数成分に分離するとともに、前記ドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行い、
前記折返し速度展開処理器は、前記ドップラ周波数平面に展開する前記複数のドップラ周波数成分として、前記ドップラ周波数成分ごとのヒット積分の結果を用いる、
レーダ装置。
【0041】
(付記6)一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力し、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得、
得られた前記情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離し、
分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開し、
展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する、
レーダ信号処理方法。
【0042】
(付記7)付記6記載のレーダ信号処理方法において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残す処理を、
更に含むレーダ信号処理方法。
【0043】
(付記8)一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置に用いられ、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段、
このパルス圧縮手段で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段、
この等間隔ドップラ周波数分離手段で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段、及び、
この折返し速度展開処理手段で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理手段として、
コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【0044】
(付記9)付記8記載のレーダ信号処理プログラムにおいて、
更に、複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理手段として、
前記コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、複数のPRFで動作するレーダ装置等に利用可能であり、特に、対象とする目標の速度を受信信号から正確に検出する必要のあるレーダ装置等に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10:レーダ装置
11:PRF制御器
12:パルス発生器
13:送受信器
14:空中線
15:パルス圧縮器
16:等間隔ドップラ周波数分離器
17:折返し速度展開処理器
18:速度検出処理器
19:パルス発生部
20:レーダ装置
21:MTI処理器
30:レーダ装置
31:ドップラ周波数分離器
32:速度推定処理器
40:レーダ装置
10’:レーダ装置
10a:コンピュータ
15’:パルス圧縮手段
16’:等間隔ドップラ周波数分離手段
17’:折返し速度展開処理手段
18’:速度検出処理手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパルス繰返し周波数(以下「PRF(Pulse Repetition Frequency)」という。)で動作するレーダ装置等に関し、対象とする目標の速度を受信信号から正確に検出するレーダ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にパルスレーダは複数のパルスを送信し、目標により反射された信号の位相回転量からその速度の算出を行う。この手法で観測可能な速度の上限は、サンプリング定理から明らかなようにドップラ周波数がPRF以下となる速度である。そのため、目標の速度が大きい場合に、パルス間のドップラ周波数が観測上限であるPRFを超えるときがある。このときは、実際の速度よりも低速な速度として観測される「折返し」が発生することにより、正確な速度を検出することができない。
【0003】
この課題を解決するために、複数のPRFを用いて観測可能な速度範囲を拡大する技術が知られている。そのような技術のうち、特許文献1に記載の技術を関連技術1として説明する。図6に関連技術1の機能ブロック図を示す。関連技術1のレーダ装置30は、複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、PRFごとにドップラ周波数を検出するドップラ周波数分離器31と、検出されたドップラ周波数の組合せから速度の推定を行う速度推定処理器32とを備える。
【0004】
この方式を用いて3種類のPRFから速度検出を行う処理の流れを、図7に示す。図7では、ドップラ周波数をフィルタバンクによって分離することとし、各PRFでの観測上限の範囲内を4等分して表現している。フィルタバンクとは、バンドパスフィルタのアレイであり、受信信号を所定の周波数帯域ごとに複数に分けて出力する。実際の速度は、PRF1では2倍折返しされた2バンク目に位置する速度である。一方、各PRFで観測されるドップラ周波数は、PRF1では2バンクに、PRF2では1バンクに、PRF3では4バンクにそれぞれ位置する。この場合、各PRFにおける検出ドップラ周波数が異なるため、それぞれのPRF観測速度の上限以上の速度が検出されたと判断し、得られたドップラ周波数の組み合わせから実際の目標速度を推測する。
【0005】
しかし、実際には位相回転量は誤差を含むため、ドップラ周波数の組み合わせからの判断において誤った速度を選択してしまう場合がある。図8はこの様子を示した図であり、PRF2における受信信号は、ノイズの影響によってドップラ周波数が本来とは異なって観測されてしまう。そのため、本来1バンクで検出されるはずが2バンクとして検出されてしまい、その結果組み合わせを誤り、正しい速度を検出できない、という課題がある。
【0006】
これに対し特許文献2では、組み合わせから判定するのではなく、検出されたドップラ周波数に対しPRF比に相当する係数を乗算し、同一基準の周波数軸上で加算することで、上記課題を解決する。特許文献2を関連技術2として、図9に機能ブロック図を、図10にノイズの影響があった場合の処理の流れを示す。関連技術2のレーダ装置40は、複数の発生間隔でパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、PRFごとにドップラ周波数を検出するドップラ周波数分離器31と、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、目標の速度を検出する速度検出処理器18とを備える。
【0007】
図10では、関連技術1と同じくドップラ周波数をフィルタバンクによって分離することとし、各PRFの観測上限の範囲内を4等分して表現している。本関連技術2では、折返し速度展開処理器17が、PRFごとに検出されたドップラ周波数に、PRFに応じた係数を乗じて、折返しのないドップラ周波数平面状に展開する。続いて、速度検出処理器18が、ドップラ周波数ごとに振幅加算し、加算後の最大振幅のドップラ周波数を目標速度とする処理を行う。そのため、各PRFにおいてドップラの検出ミスが発生した場合にも、ドップラ周波数を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−138214号公報(特許第2910451号公報)
【特許文献2】特開2006−226955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した関連技術2では、PRFごとにドップラ周波数分解能が異なる。そのため、何度も折返しが発生する高速目標を観測する場合では、周波数分解能のずれが大きくなり、正しい速度の検出が困難になる。図11に、何度も折返しをする場合の速度検出の流れを示す。この速度検出結果では、ドップラ周波数分解能が異なることにより、複数の目標速度候補が現れるので、正しい速度検出が困難であることがわかる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度を検出し得るレーダ装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るレーダ装置は、
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部と、
このパルス発生部で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器と、
この送受信器から出力された前記受信信号と前記パルス発生部で発生したパルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器と、
このパルス圧縮器で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器と、
この等間隔ドップラ周波数分離器で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
この折返し速度展開処理器で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたものである。
【0012】
本発明に係るレーダ信号処理方法は、
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力し、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記PRFごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得、
得られた前記情報に基づき、前記PRFごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離し、
分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開し、
展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各PRFの前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する、
ものである。
【0013】
本発明に係るレーダ信号処理プログラムは、
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置に用いられ、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記PRFごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段、
このパルス圧縮手段で得られた情報に基づき、前記PRFごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段、
この等間隔ドップラ周波数分離手段で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段、及び、
この折返し速度展開処理手段で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各PRFの前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理手段として、
コンピュータを機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各PRFのドップラ周波数分解能を一定にすることで、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度検出をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1のレーダ装置を示すブロック図である。
【図2】本発明が関連技術2の課題を解決することを示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1の方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1のプログラムによって実現されたレーダ装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態2のレーダ装置を示すブロック図である。
【図6】関連技術1のレーダ装置を示すブロック図である。
【図7】関連技術1のドップラ周波数分解能を示す説明図である。
【図8】関連技術1の課題を示す説明図である。
【図9】関連技術2のレーダ装置を示すブロック図である。
【図10】関連技術2が関連技術1の課題を解決することを示す説明図である。
【図11】関連技術2の課題を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。
【0017】
まず、本実施形態1の概要を説明する。図1に示すように、本実施形態1のレーダ装置10は、一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部19と、パルス発生部19で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線14を介して目標へ放射し、目標で反射した電波を空中線14を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器13と、送受信器13から出力された受信信号とパルス発生部19で発生したパルス信号とを対応づけて、PRFごとのドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器15と、パルス圧縮器15で得られた情報に基づき、PRFごとのドップラ周波数を、ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器16と、等間隔ドップラ周波数分離器16で分離された複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、折返し速度展開処理器17で展開されたドップラ周波数平面において、各ドップラ周波数成分に属する各PRFの振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、目標の速度として検出する速度検出処理器18と、を備える。
【0018】
パルス発生部19は、相異なる複数のPRFをそれぞれ一定のドップラ周波数分解能の整数倍となるように制御するPRF制御器11と、PRF制御器11で制御された複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生器12とを有する、としてもよい。送受信器13は、複数のパルス信号に基づく電波として、複数のパルス信号をアップコンバートし、このアップコンバートした各信号に基づく電波を用い、受信信号として、目標で反射した電波に基づく各信号をダウンコンバートしかつA/D変換した信号を出力する、としてもよい。等間隔ドップラ周波数分離器16は、ドップラ周波数を複数のドップラ周波数成分に分離するとともに、ドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行う、としてもよい。折返し速度展開処理器17は、ドップラ周波数平面に展開する複数のドップラ周波数成分として、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分の結果を用いる、としてもよい。
【0019】
次に、本実施形態1の詳細を説明する。本発明の目的は、ドップラ周波数検出処理においてPRFに依らず一定のドップラ周波数分解能を得ることによって、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度検出を行えるようにすることである。本発明は前記目的を達成するために次の構成を有する。
【0020】
レーダ装置10は、基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRF制御器11の制御に基づき複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、送受信器13の出力する受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、パルス圧縮器15の出力信号をPRFに依らず等間隔なドップラ周波数分解能の信号に分離するとともにドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行う等間隔ドップラ周波数分離器16と、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、折返しのないドップラ周波数平面において全PRFの振幅を加算し最大振幅の速度を目標の速度として検出する速度検出処理器18とを備える。
【0021】
次に、レーダ装置10の動作を説明する。PRF制御器11は基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御し、パルス発生器12はPRF制御器11からのPRF制御に基づいた複数のPRFのパルス列を発生させ、送受信器13はパルス列の信号を送信周波数にまでアップコンバートし、空中線14はアップコンバートされた送信信号を空間中に放射する。目標で反射した電波は空中線14で受信され、送受信器13でダウンコンバート及びA/D変換される。パルス圧縮器15は、送受信器13からのA/D変換された出力に対して送信信号との相関を取る処理を実行するとともに、受信信号の電力を時間方向に圧縮し利得を得る処理を実行する。
【0022】
等間隔ドップラ周波数分離器16は、同一PRFの複数の受信信号に対しトランスバーサルフィルタなどの周波数分解手段を用いることにより、注目距離の受信信号をドップラ周波数成分ごとの信号に分離する。その際、PRF制御器11からのPRF情報に基づき、複数のPRF間でドップラ周波数分解能を同一にする。これにより、図2のドップラ周波数検出結果に示すように、折返しを考慮しない場合に検出可能な周波数の上限はPRFごとに異なるものの、ドップラ周波数分解能はPRFに依らず一定の幅となる。折返し速度展開処理器17は、等間隔ドップラ周波数分離器16の出力である等間隔のドップラ周波数成分ごとの信号を、PRFごとに折り返されているPRFより高い周波数側に順に並べ、図2の折返し速度展開結果に示すように、一定のドップラ周波数分解能で区切られた折返しのないドップラ周波数平面を構成する。速度検出処理器18では、折返しのないドップラ周波数平面において、ドップラ周波数成分ごとに振幅加算を行い最大振幅のドップラ周波数成分を目標の速度として検出する。
【0023】
本発明の効果は、PRFとドップラ周波数分離フィルタを制御してドップラ周波数分解能をPRFに依らず一定にすることで、折返しが多く発生する高速目標に対しても安定した速度検出を行えることである。この理由について以下に述べる。
【0024】
図2に、本発明における速度検出処理の流れを示す。図2では、等間隔ドップラ周波数分離器16は、関連技術1及び関連技術2と同じく、ドップラ周波数をフィルタバンクによって分離することとし、PRF1の観測上限の範囲内を4等分したドップラ周波数を基準のドップラ周波数分解能としている。次に、PRF制御器11は、等間隔ドップラ周波数分離器16がPRFの観測上限の範囲を基準ドップラ分解能の整数倍で分解できるように、PRFを制御する。図2に示すように、PRF2では基準のドップラ周波数分解能の5倍となるように制御し、PRF3では基準のドップラ周波数分解能の6倍となるように制御する。これにより、後段の折返し速度展開処理器17においてドップラ周波数に対し一意な平面状に展開した場合、一定のドップラ周波数分解能で区切られた周波数空間上に各PRFでの速度検出結果をマッピングすることができ、誤差の無い速度検出を行うことができる。
【0025】
パルスレーダで目標の速度を正確に検出しようとする場合、複数のPRFのパルス信号から位相回転量を算出し、PRFごとの位相回転量の組み合わせから速度検出を行う。このような関連技術のレーダでは、PRFごとにドップラ周波数分解能が異なるため、何度も折り返るような高速目標の場合は速度検出精度の差に依存する誤差が無視できなくなり、速度の検出を誤ってしまうという課題がある。本発明は、前記課題を解決するために、利用する複数のPRF間で等間隔なドップラ周波数分解能を得ることのできるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRFを等間隔なドップラ周波数分解能ごとの受信信号に分離する等間隔ドップラ周波数分離器16とを備えることにより、誤差のない速度検出を行うことを可能とする。
【0026】
本実施形態1のレーダ信号処理方法は、レーダ装置10の動作として実現されている。すなわち、図3に示すように、本実施形態1のレーダ信号処理方法は、次のステップを含む。一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるステップ101。発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するステップ102。出力された受信信号と発生したパルス信号とを対応づけて、PRFごとのドップラ周波数及び振幅の情報を得るステップ103。得られた情報に基づき、PRFごとのドップラ周波数を、ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離するステップ104。分離された複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開するステップ105。展開されたドップラ周波数平面において、各ドップラ周波数成分に属する各PRFの振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、目標の速度として検出するステップ106。
【0027】
本実施形態1のレーダ信号処理プログラムは、図4に示すように、一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のPRFをそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線14を介して目標へ放射し、目標で反射した電波を空中線14を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置10’に用いられる。そして、本実施形態1のレーダ信号処理プログラムは、出力された受信信号と発生したパルス信号とを対応づけて、PRFごとのドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段15’、パルス圧縮手段15’で得られた情報に基づき、PRFごとのドップラ周波数を、ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段16’、等間隔ドップラ周波数分離手段16’で分離された複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段17’、及び、折返し速度展開処理手段17’で展開されたドップラ周波数平面において、各ドップラ周波数成分に属する各PRFの振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、目標の速度として検出する速度検出処理手段18’として、コンピュータ10aを機能させるためのものである。
【0028】
コンピュータ10aは、図示しないが、CPU、メモリ(ROM及びRAM)、入出力インタフェース等からなる一般的なものである。CPUがメモリから本実施形態1のレーダ信号処理プログラムを読み出し、解釈し、実行することにより、パルス圧縮手段15’、等間隔ドップラ周波数分離手段16’、折返し速度展開処理手段17’及び速度検出処理手段18’としてコンピュータ10aが機能する。つまり、レーダ装置10のパルス圧縮器15、等間隔ドップラ周波数分離器16、折返し速度展開処理器17及び速度検出処理器18と同じ機能が、レーダ装置10’のパルス圧縮手段15’、等間隔ドップラ周波数分離手段16’、折返し速度展開処理手段17’及び速度検出処理手段18’として実現されている。したがって、レーダ装置10’は、レーダ装置10と同じ作用及び効果を奏する。
【0029】
本発明の実施形態2のブロック図を図5に示す。本実施形態2のレーダ装置20は、実施形態1のレーダ装置10の構成に、複数の受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI(Moving Target Indicator)処理器21を、更に備えたものである。
【0030】
すなわち、レーダ装置20は、基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御するPRF制御器11と、PRF制御器11の制御に基づき複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器12と、パルス発生器12からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器13と、実際に電波放射及び電波受信を行う空中線14と、送受信器13の出力する受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器15と、パルス圧縮器15の出力信号に対しヒット間の減算を行うことで固定目標のドップラ周波数を除外するMTI処理器21と、MTI処理結果をPRFに依らず等間隔なドップラ周波数成分の信号に分離するとともにドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行う等間隔ドップラ周波数分離器16と、ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器17と、折返しのないドップラ周波数平面において全PRFの振幅を加算し最大振幅の速度を目標の速度として検出する速度検出処理器18とを備える。
【0031】
本実施形態2では、MTI処理により等間隔ドップラ周波数分離器16で利用可能な積分ヒット数は減少するが、PRFに変化はなくコヒーレント性は保たれるため、MTI処理と他の構成要素の処理との併用が可能である。
【0032】
本実施形態2のレーダ信号処理方法は、実施形態1のレーダ信号処理方法において、複数の受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残す処理を、更に含むものである。本実施形態2のレーダ信号処理プログラムは、実施形態1のレーダ信号処理プログラムにおいて、更に、複数の受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理手段として、コンピュータを機能させるためのものである。本実施形態2のレーダ信号処理方法及びレーダ信号処理プログラムは、実施形態1のレーダ信号処理方法及びレーダ信号処理プログラムの構成に準ずるので、それらの図示を省略する。
【0033】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。
【0034】
本発明は、次のように記載することもできる。
複数のPRFで動作するレーダ装置であって、
基準となるドップラ周波数分解能の整数倍となるようPRFを制御するPRF制御器と、
前記PRF制御器の制御に基づき複数のPRFでパルスを発生するパルス発生器と、
前記パルス発生器からの信号をアップコンバートして送信し目標からの受信信号をダウンコンバート及びA/D変換を行う送受信器と、
実際に電波放射及び電波受信を行う空中線と、
前記送受信器の出力する受信信号に対し発生したパルス信号との相関処理を行うパルス圧縮器と、
前記パルス圧縮器の出力信号をPRFに依らず等間隔なドップラ周波数分解能の信号に分離すると共にドップラ周波数ごとにヒット積分を行う等間隔ドップラ周波数分離器と、
前記ドップラ周波数成分ごとのヒット積分結果を折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
前記折返しのないドップラ周波数平面において全PRFの振幅を加算し最大振幅の速度を目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたレーザ装置。
【0035】
また、上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0036】
(付記1)一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部と、
このパルス発生部で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器と、
この送受信器から出力された前記受信信号と前記パルス発生器で発生したパルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器と、
このパルス圧縮器で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器と、
この等間隔ドップラ周波数分離器で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
この折返し速度展開処理器で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたレーダ装置。
【0037】
(付記2)付記1記載のレーダ装置において、
前記パルス発生部は、
相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ一定のドップラ周波数分解能の整数倍となるように制御するPRF制御器と、
このPRF制御器で制御された前記複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生器とを有する、
レーダ装置。
【0038】
(付記3)付記1又は2記載のレーダ装置において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理器を、
更に備えたレーダ装置。
【0039】
(付記4)付記1乃至3のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記送受波器は、前記複数のパルス信号に基づく電波として、前記複数のパルス信号をアップコンバートし、このアップコンバートした各信号に基づく電波を用い、
前記受信信号として、前記目標で反射した電波に基づく各信号をダウンコンバートしかつA/D変換した信号を出力する、
レーダ装置。
【0040】
(付記5)付記1乃至4のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記等間隔ドップラ周波数分離器は、前記ドップラ周波数を前記複数のドップラ周波数成分に分離するとともに、前記ドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行い、
前記折返し速度展開処理器は、前記ドップラ周波数平面に展開する前記複数のドップラ周波数成分として、前記ドップラ周波数成分ごとのヒット積分の結果を用いる、
レーダ装置。
【0041】
(付記6)一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力し、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得、
得られた前記情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離し、
分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開し、
展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する、
レーダ信号処理方法。
【0042】
(付記7)付記6記載のレーダ信号処理方法において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残す処理を、
更に含むレーダ信号処理方法。
【0043】
(付記8)一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置に用いられ、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段、
このパルス圧縮手段で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段、
この等間隔ドップラ周波数分離手段で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段、及び、
この折返し速度展開処理手段で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理手段として、
コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【0044】
(付記9)付記8記載のレーダ信号処理プログラムにおいて、
更に、複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理手段として、
前記コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、複数のPRFで動作するレーダ装置等に利用可能であり、特に、対象とする目標の速度を受信信号から正確に検出する必要のあるレーダ装置等に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10:レーダ装置
11:PRF制御器
12:パルス発生器
13:送受信器
14:空中線
15:パルス圧縮器
16:等間隔ドップラ周波数分離器
17:折返し速度展開処理器
18:速度検出処理器
19:パルス発生部
20:レーダ装置
21:MTI処理器
30:レーダ装置
31:ドップラ周波数分離器
32:速度推定処理器
40:レーダ装置
10’:レーダ装置
10a:コンピュータ
15’:パルス圧縮手段
16’:等間隔ドップラ周波数分離手段
17’:折返し速度展開処理手段
18’:速度検出処理手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部と、
このパルス発生部で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器と、
この送受信器から出力された前記受信信号と前記パルス発生部で発生したパルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器と、
このパルス圧縮器で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器と、
この等間隔ドップラ周波数分離器で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
この折返し速度展開処理器で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたレーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーダ装置において、
前記パルス発生部は、
相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ一定のドップラ周波数分解能の整数倍となるように制御するPRF制御器と、
このPRF制御器で制御された前記複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生器とを有する、
レーダ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のレーダ装置において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理器を、
更に備えたレーダ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記送受信器は、前記複数のパルス信号に基づく電波として、前記複数のパルス信号をアップコンバートし、このアップコンバートした各信号に基づく電波を用い、
前記受信信号として、前記目標で反射した電波に基づく各信号をダウンコンバートしかつA/D変換した信号を出力する、
レーダ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記等間隔ドップラ周波数分離器は、前記ドップラ周波数を前記複数のドップラ周波数成分に分離するとともに、前記ドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行い、
前記折返し速度展開処理器は、前記ドップラ周波数平面に展開する前記複数のドップラ周波数成分として、前記ドップラ周波数成分ごとのヒット積分の結果を用いる、
レーダ装置。
【請求項6】
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力し、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得、
得られた前記情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離し、
分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開し、
展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する、
レーダ信号処理方法。
【請求項7】
請求項6記載のレーダ信号処理方法において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残す処理を、
更に含むレーダ信号処理方法。
【請求項8】
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置に用いられ、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段、
このパルス圧縮手段で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段、
この等間隔ドップラ周波数分離手段で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段、及び、
この折返し速度展開処理手段で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理手段として、
コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【請求項9】
請求項8記載のレーダ信号処理プログラムにおいて、
更に、複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理手段として、
前記コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【請求項1】
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生部と、
このパルス発生部で発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力する送受信器と、
この送受信器から出力された前記受信信号と前記パルス発生部で発生したパルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮器と、
このパルス圧縮器で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離器と、
この等間隔ドップラ周波数分離器で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理器と、
この折返し速度展開処理器で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理器と、
を備えたレーダ装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーダ装置において、
前記パルス発生部は、
相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ一定のドップラ周波数分解能の整数倍となるように制御するPRF制御器と、
このPRF制御器で制御された前記複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させるパルス発生器とを有する、
レーダ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のレーダ装置において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理器を、
更に備えたレーダ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記送受信器は、前記複数のパルス信号に基づく電波として、前記複数のパルス信号をアップコンバートし、このアップコンバートした各信号に基づく電波を用い、
前記受信信号として、前記目標で反射した電波に基づく各信号をダウンコンバートしかつA/D変換した信号を出力する、
レーダ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載のレーダ装置において、
前記等間隔ドップラ周波数分離器は、前記ドップラ周波数を前記複数のドップラ周波数成分に分離するとともに、前記ドップラ周波数成分ごとにヒット積分を行い、
前記折返し速度展開処理器は、前記ドップラ周波数平面に展開する前記複数のドップラ周波数成分として、前記ドップラ周波数成分ごとのヒット積分の結果を用いる、
レーダ装置。
【請求項6】
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力し、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得、
得られた前記情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離し、
分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開し、
展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する、
レーダ信号処理方法。
【請求項7】
請求項6記載のレーダ信号処理方法において、
複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残す処理を、
更に含むレーダ信号処理方法。
【請求項8】
一定のドップラ周波数分解能の整数倍からなる相異なる複数のパルス繰返し周波数をそれぞれ有する複数のパルス信号を発生させ、
発生した複数のパルス信号に基づく電波を空中線を介して目標へ放射し、前記目標で反射した電波を空中線を介して受信してドップラ周波数及び振幅を含む受信信号として出力するレーダ装置に用いられ、
出力された前記受信信号と発生した前記パルス信号とを対応づけて、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数及び振幅の情報を得るパルス圧縮手段、
このパルス圧縮手段で得られた情報に基づき、前記パルス繰返し周波数ごとの前記ドップラ周波数を、前記ドップラ周波数分解能によってそれぞれ複数のドップラ周波数成分に分離する等間隔ドップラ周波数分離手段、
この等間隔ドップラ周波数分離手段で分離された前記複数のドップラ周波数成分を、折返しのないドップラ周波数平面に展開する折返し速度展開処理手段、及び、
この折返し速度展開処理手段で展開された前記ドップラ周波数平面において、前記各ドップラ周波数成分に属する前記各パルス繰返し周波数の前記振幅を加算し、最大の振幅となるドップラ周波数成分から得られる速度を、前記目標の速度として検出する速度検出処理手段として、
コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【請求項9】
請求項8記載のレーダ信号処理プログラムにおいて、
更に、複数の前記受信信号の差をとることにより固定目標を消去して移動目標を残すMTI処理手段として、
前記コンピュータを機能させるためのレーダ信号処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−203176(P2011−203176A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72252(P2010−72252)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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