説明

ロシグリタゾンを用いる乾癬の治療

ロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物を、医薬上許容される担体と共に含む医薬組成物を、それが必要な患者に経口により投与する工程を含む乾癬の治療方法であって、該方法は、1日につき2から8mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、新規な治療方法、特に乾癬の治療方法、並びに、医薬組成物及びこのような方法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間ほどの間に、チアゾリジンジオンとして知られている化合物のクラス(例えば、米国特許第5089514号、第4342771号、第4367234号、第4340605号、第5306726号)は、非インスリン依存性糖尿病(“NIDDM”)の動物モデルで標的組織(骨格筋、肝臓、脂肪組織)のインスリン感受性を高め、またこれらの動物モデルで脂質とインスリンレベルを減少させる効果的な抗糖尿病薬として出現した。チアゾリジンジオンのトログリタゾン(troglitazone)は、NIDDMに苦しむ患者と同様にNIDDMの進展に先立って起こる代謝状態である耐糖能障害に苦しむヒトにおいて同様の有益な効果があることが示された(J. J. Nolanら、N. Eng. J. Med. 1188-1193, 331 (1994))。作用のメカニズムは明らかでないが、チアゾリジンジオンはインスリンの分泌あるいはインスリン受容体結合部位の数または親和性の増加を引き起こさず、チアゾリジンジオンがインスリンシグナルカスケードにおいて受容体後事象を増幅することを示唆している(J.R.ColcaおよびD.R.Morton、“Antihyperglycemic thiazolidinediones: ciglitazone and its analogs,” in New Antidiabetic Drugs, C.J.BaileyおよびP.R.Flatt編、Smith-Gordon, New York, 255-261 (1990))。
【0003】
チアゾリジンジオンはまた、インビトロにおける前駆脂肪細胞株の成熟脂肪細胞への分化を誘導する(A.Hiragunら、J. Cell. Physiol 124-130、134(1988);R.F.Kleitzenら、Mol. Pharmacol 393-398 41 (1992))。チアゾリジンジオンのピオグリタゾン(pioglitazone)で前駆脂肪細胞株を処理すると、グルコース輸送体タンパク質のGLUT-1とGLUT-4だけでなく含脂肪細胞特異的遺伝子aP2およびアディプシン(adipsin)の発現が増加する。このことは、インビボにて見られたチアゾリジンジオンの低血糖効果が、脂肪組織を通して媒介されているかもしれないことを示す。
【0004】
さらに最近、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体ガンマ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor gamma)(PPAR-ガンマ)と呼ばれるリガンド活性型の転写因子のステロイド/甲状腺/レチノイド受容体スーパーファミリーのオーファンメンバーが発見された。PPAR-ガンマは、独立の遺伝子によってコードされているPPARと密接に関連するサブファミリーの1つである(C.Dreyerら、 Cell 879-887, 68 (1992); A.Schmidtら、 Mol. Endocrinol. 1634-1641, 6, (1992); Y. Zhuら、 J. Biol. Chem. 26817-26820, 268 (1993); S. A. Kliewerら、 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 7355-7359, 91, (1994))。3つの哺乳類のPPARが単離され、PPAR-アルファ、PPAR-ガンマおよびNUC−1と名づけられた。これらのPPARは、PPAR応答配列(PPRE)と呼ばれるDNA配列に結合することによって標的遺伝子の発現を調節する。現在までのところ、PPREは、脂質代謝を調節するタンパク質をコードするいくつかの遺伝子のエンハンサーであることが確かめられ、PPARは脂肪生成のシグナルカスケードと脂質の恒常性において中枢の役割を果たしていると考えられている(H.KellerおよびW.Wahli、Trends Endocrin. Met. 291-296, 4 (1993))。現在では、チアゾリジンジオンは、PPAR-ガンマの強力で選択的な活性化剤であり、直接PPAR-ガンマ受容体に結合することが知られており(J.M.Lehmannら、 J. BIol. Chem. 12953-12956, 270 (1995))、このことは、PPAR-ガンマがチアゾリジンジオンの治療作用に可能な標的である証拠を提供している。本当に、PPAR-ガンマがチアゾリジンジオンの主要な分子標的として同定されて以来、この核転写因子は多くのヒトの細胞タイプにおいて確認され、そして、チアゾリジンジオンは、例えば、ある型の癌(例えば、G.D.Demetriら、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 3951-3956, 96 (1999))、多発性硬化症(例えば、M.Niinoら、 Neuroimmunology 40-48, 116 (2001))、アルツハイマー病(例えば、G.S.WatsonおよびS.Craft、CNS Drugs 27-45, 17 (2003))、潰瘍性大腸炎(例えば、J.D.Lewisら、 Am. J. Gastroenterology 3323-3328, 96 (2001))、喘息(Y.HashimotoおよびK.Nakahara、Diabetes Care 401, 25 (2002))、および血管系の疾患(例えば、J.Minamikawaら、 J. Clin. Endocrinol. Metab. 1818-1820, 83 (1998))において、潜在的に臨床で有用な広いスペクトルを持っていると主張された。チアゾリジンジオンの多くの潜在的な疾患標的は、炎症性の要素を有しており、そして、これらの薬剤の多面的な抗炎症効果が重大な治療の重要性であると判明することはありうる。この点で、現在では、チアゾリジンジオンが循環において白血球の数を減少させるだけでなく(S.M.Haffnerら、Circulation 679-684, 106 (2002))、白血球の機能を調節することができることが知られている(例えば、R.Gargら、Hypertension 430-435, 36 (2000)、N. Marxら、Circ. Res. 703-710, 90 (2002))。
【0005】
米国特許第5002953号は、II型糖尿病の治療におけるインスリン増感剤として使用するためのチアゾリジン誘導体のクラスについて開示している。これらの化合物は、抗高血糖活性を有する。その中に記載されている一の好ましい化合物が5-[4-[2-(N-メチル-N-(2-ピリジル)アミノ)エトキシ]ベンジル]チアゾリジン-2,4-ジオンの化学名により知られており、ロシグリタゾン(rosiglitazone)の一般名が付与されている。マレイン酸塩を含むこの化合物の塩がWO94/05659に開示されている。ある医薬組成物がWO98/55122に開示されている。
【0006】
米国特許5594015号(Kurtzら)は、ケラチン生成細胞の増殖の阻害を含むメカニズムを通して乾癬を治療するピオグリタゾン(pioglitazone)とチグリタゾン(ciglitazone)を含むある種のチアゾリジンジオン誘導体の使用について開示している。この特許は、好ましい態様の中から、約1−2%の濃度のクリームか油を乾癬病変に直接塗布することによる投与、または経口での医薬の投与を含む、薬剤を患者に投与する一連の服用を記載する。経口での適用量は、100−600mgの範囲で1日2度、例えば、化合物100−200mgを1日2度と示唆されている。米国特許第6403656号(Rivierら)は乾癬の傷害におけるPPARガンマの発現レベルが健康な状態と比較して減少していることが観察されたと報告する。この特許は、表皮細胞における分化の異常の治療、特に乾癬、アトピー性皮膚炎、湿疹、にきび、軽い誘発された角化症および皮膚癌の治療における、ロシグリタゾン(ロシグリタゾン)を含むPPARガンマアゴニストの使用について開示している。化合物は、腸溶投与、腸管外投与および局所投与に関して、一般に日々の投与量として体重あたり約0.01−100mg/kgで、1から3回の摂取により投与されると示されている。KurtzおよびRivierはいずれも、培養したケラチン生成細胞を用いて研究を行った。
【0007】
乾癬は、衰弱させる自己免疫性の皮膚病で、世界中の人口の約1−3%および米国人口の約2.6%が病んでいる(National Psoriasis Foundation、2002)。この病気の最も一般的な型である慢性尋常性乾癬は、銀白色の鱗屑で覆われた紅い皮膚により特徴づけられる。組織学的に、その状況は、炎症細胞浸潤を伴う乾癬斑内でのケラチン生成細胞の異常分化と異常増殖の一つである(Ortonne JP, Brit Journal Dermatol (1999)140 (suppl 54) 1-7)。乾癬の皮膚病変は、特有の銀白色で光沢のある鱗屑を伴う、炎症性で紅く境界がはっきりした様々な形状の斑である。紅斑、皮膚の肥厚および鱗屑が、体表面の50%に至るまで、ときには50%を超える範囲を覆う。これは、不快で外観を損なうものであり、そして現在利用可能な薬物治療によっては、満足のいく治療をすることはできない。
【0008】
ここで使用される「乾癬」は、乾癬、および、紅斑、皮膚の肥厚/隆起および鱗屑を含む乾癬の症状をも含む。
【0009】
(発明の開示)
本発明者らは、ヒトの乾癬、特に中程度から非常に重症の乾癬の治療に、ロシグリタゾンを経口により1日につき2から8mg投与すると非常に有効であることを初めて見出した。
【0010】
このように本発明によれば、ロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物と、医薬上許容される担体とを含む医薬組成物を、それが必要な患者に経口により投与する工程を含む乾癬の治療方法であって、1日につき2から8mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む方法が提供される。
【0011】
本発明の第一の実施形態によれば、上記方法は、1日につき2mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む。
【0012】
本発明の第二の実施形態によれば、上記方法は、1日につき4mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む。
【0013】
本発明の第三の実施形態によれば、上記方法は、1日につき8mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む。
【0014】
上記方法は、糖尿病、例えば、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)をも病んでいる乾癬患者に好適である。また、糖尿病、例えば、NIDDMを病んでいない乾癬患者にも好適である。
【0015】
好ましくは、上記方法は、ロシグリタゾンを1日につき1回、単回投与または2回以上に分割して逐次投与する工程を含む。
【0016】
上記ロシグリタゾンは、単位用量にて、例えば、2、3、4、5、6、7または8mg、特に2mgあるいはまた4mgもしくは8mgで投与されるのが好ましい。2回以上に分割して投与する、例えば、1mgを2回投与または2mgを2回投与または4mgを2回投与するのは、あまり好ましくない。
【0017】
実施例から解るように、ロシグリタゾンを継続して12週以上、より好ましくは18週以上投与すると、統計的に顕著な改善があった。ロシグリタゾンは、長期維持療法に最も有用であると予想される。本発明者らの研究は、ロシグリタゾンの作用の始まりがかなり遅く、ほとんどの測定によると、作用の始まりが約2週後に起こり、活性の始まりは約6−8週後であることを示したので、これは非常に驚くべきことである。顕著に有益な効果は、治療の約12−18週後に生じる。したがって、本発明を実行する好ましい態様としては、上記方法は、ロシグリタゾンを用いる治療を12週以上続ける工程を含むことであり、より好ましくは18週以上である。治療は、52週以上続けることもできる。
【0018】
ロシグリタゾンと共に、乾癬治療に有効であると考えられている他の物質、例えば、アレファセプト(alefacept)、エタネルセプト(etanercept)、エファリズマブ(efalizumab)、インフリキシマブ(infliximab)などの生物製剤;
ステロイド、特にヒドロコルチゾン(例えば1%のヒドロコルチゾンクリーム)などのクラス4またはクラス5ステロイド;
シクロスポリンまたは同様のマクロライド剤;
レチノイド、を投与することも望ましい。
【0019】
本発明を実施する特に好ましい方法においては、ロシグリタゾンの活性が始まる最初の期間中症状を軽減するために、例えばヒドロコルチゾンによるステロイド療法のような活性の始まりが速い薬剤を用いることができる。“速い”とは、ロシグリタゾンと比較して速いという意味であり、好ましくは、活性の始まりが1週間以内、特に好ましくは1−2日である。例えば、このような救援薬剤は、治療の最初の18週の間、例えば、ロシグリタゾンの治療の最初の12週または最初の8週に使用するのがよい。
【0020】
したがって、本発明のもう一つの態様として、活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤を投与する工程をも含む本発明の他の態様による治療方法が挙げられる。上記活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤は、ロシグリタゾンの効力が出るまでに投与されることが好ましい(例えば、ロシグリタゾンの治療の18週までの期間、例えば12週までまたは8週まで)。この他の薬剤による治療は、ロシグリタゾンによる進行中の維持療法の最初の期間後は中止されることが好ましい。
【0021】
好ましくは、上記他の薬剤は、ヒドロコルチゾン、例えば1%のヒドロコルチゾンクリームである。
【0022】
ロシグリタゾンは、遊離塩基として用いることができるが、医薬上許容される塩として用いられることが好ましい。好ましい塩は、マレイン酸塩である。他の可能な塩としては、塩酸塩がある。
【0023】
ロシグリタゾンおよびその塩は、溶媒和化合物、例えば水和物を形成していてもよく、これらの使用も本発明に含まれる。
【0024】
乾癬の重篤度は、多くの承認された得点システムのうちの1つによって診断することができる。
【0025】
チャールズ エリス医学博士(Charles Ellis,M.D.)によって開発されたThe Lattice System Global Psoriasis Score(LS−GPS)は、平均した斑の特性と関連づけられた乾癬の全体表面積(BSA)を結合する全身評価を提供する医師のグローバルな評価ツールである。得られるLS−GPSは「全くない(Clear)」から「非常に重症(Very Severe)」までの範囲にわたる8種の別個の値の1つである。
【0026】
【表1】

【0027】
LS−GPSスコアによる定義は;
全くない(Clear):
・乾癬の体表面積(BSA)0%および隆起、紅斑または鱗屑がない
ほとんどない(Almost Clear):
・BSA1−3%、軽度の隆起、紅斑または鱗屑;または、
・BSA4−9%、軽度の紅斑または軽度の鱗屑
軽症(Mild):
・BSA1−3%、中程度またははっきりした隆起、紅斑または鱗屑;または、
・BSA4−9%、軽度の紅斑または中程度の紅斑または中程度の鱗屑;または
・BSA10−20%、軽度の紅斑または軽度/中程度の鱗屑
軽症から中程度(Mild to Moderate):
・BSA4−9%、中程度の隆起またははっきりした鱗屑;または、
・BSA10−20%、中程度の紅斑;または
・BSA21−29%、軽度の紅斑または軽度/中程度の鱗屑
中程度(Moderate):
・BSA4−9%、はっきりした隆起またははっきりした紅斑;または、
・BSA10−20%、軽度の隆起;または
・BSA30−50%、軽度の紅斑または軽度の鱗屑
中程度から重症(Moderate to Severe):
・BSA10−20%、中程度の隆起またははっきりした鱗屑;または、
・BSA21−29%、軽度の隆起または中程度の紅斑;または
・BSA51%+、軽度の紅斑または軽度の鱗屑
重症(Severe)
・BSA10−20%、はっきりした隆起またははっきりした紅斑;または、
・BSA21−29%、中程度/はっきりした隆起またははっきりした紅斑またははっきりした鱗屑;または
・BSA30−50%、軽度の隆起または中程度の紅斑または中程度の鱗屑
非常に重症(Very Severe)
・BSA30−50%、中程度/はっきりした隆起またははっきりした紅斑またははっきりした鱗屑;または、
・BSA51%+、隆起または中程度/はっきりした紅斑または中程度/はっきりした鱗屑
【0028】
Physicial's Global Assessment(PGA)は、医師の評価時点で疾患の症状の程度を測定するのに使用される7段階評価である。PGAは、疾患の活性度のさらなる評価を提供し、そして臨床の実施に適切である。なぜなら、多くの医師は、“重症(Severe)”から“全くない(Clear)”までの範囲の階級で疾患の活性度を評価するからである。7段階評価は以下のとおりである:
重症(Severe):非常にはっきりした斑隆起、鱗屑および/または紅斑
中程度から重症(Moderate to Severe):はっきりした斑隆起、鱗屑および/または紅斑
中程度(Moderate):中程度の斑隆起、鱗屑および/または紅斑
軽症から中程度(Mild to Moderate):中程度の紅斑および/または鱗屑を伴う、軽度の斑隆起
軽症(Mild):軽度の斑隆起、鱗屑および/または紅斑
ほとんどない(Almost clear):わずかな隆起、鱗屑および/または紅斑
全くない(Clear):乾癬の症状なし(炎症後色素脱失または色素沈着は存在しうる)
【0029】
Psoriasis Area Severity Index(PASI)スコアは、1978年にFrederikssonとPeterssonによって開発された(Frederiksson T and Petersson U. Severe psoriasis-oral therapy with a new retinoid. Dermatologica. 1978;157:238-44)。PASIスコアを決定する本発明者らの好ましい方法によると、4つの主な体の領域が評価される:頭部(h)、上肢(u)、胴体(t)および下肢(l)で、それぞれが全体表面積の10、20、30および40%に相当する。臀部は、足の一部として計算され、腋の下と鼠蹊部は胴体の一部として計算され、首は頭部の一部として計算に含まれる乾癬の面積される。これらの4つの主な領域(A、A、A、A)は、乾癬に含まれる割合に対して数字のスコアを与えられる:1=1−9%;2=10−29%;3=30−49%;4=50−69%;5=70−89%と6=90−100%。乾癬傷害の症状の程度を評価するために、3つの対象となる症状、紅斑(E)、厚み/硬化(I)および落屑/鱗屑(D)が0−4のスコアで評価される。ここで4は、起こりうる最も激しい症状を表す。すなわち、紅斑の場合には、0=症状なし;1=わずかな紅斑、2=中程度の紅斑;3=はっきりした紅斑、4=非常にはっきりした紅斑。PASIスコア(0−72)は、それから以下の式により計算される:
【0030】
【表2】

【0031】
PASIスコアは、0.0から72.0まで0.1単位ごとに変化する。PASIスコアが高いほど、症状の程度が激しいことを意味する。最後に述べたスコアは、起こりうる最も激しい程度の完全な紅斑を表し、一方、0.0は乾癬傷害が全くないことを意味する。一般的に重症の乾癬は20以上のPASIスコアにより定義される。
【0032】
症状の程度は、LS−GPS得点法(LS-GPS scoring method)により決定されることが好ましい。
【0033】
ロシグリタゾンを用いる経口治療は、軽症から非常に重症の患者の治療を主たる目的とするが、本発明者らは、特に中程度から非常に重症の乾癬の治療において、とりわけ重症から非常に重症の乾癬の治療において効き目があると考えている。
【0034】
本発明の特定の態様の1つにおいては、(a)患者の乾癬を診断する工程;および
(b)ロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物を、医薬上許容される担体と共に含む医薬組成物を、1日につきロシグリタゾン量2から8mgで経口により該患者に投与する工程を含む患者の乾癬の治療方法を提供する。
【0035】
更に特別な態様として、
(a)患者の中程度から非常に重症の乾癬を診断する工程、
(b)ロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物を、医薬上許容される担体と共に含む医薬組成物を、1日につきロシグリタゾン量2から8mgで経口により該患者に投与する工程
を含む中程度から非常に重症の患者の乾癬の治療方法を提供する。
【0036】
工程(b)において、上記ロシグリタゾンは治療1日につき1回、単回投与または2回以上に分割して逐次投与されることが好ましい。
【0037】
工程(b)において、ロシグリタゾンは継続して12週以上患者に投与されることが好ましく、継続して18週以上患者に投与されることが特に好ましい。
【0038】
本発明のさらなる態様は、(a)2から8mgのロシグリタゾンを任意に医薬上許容されるその塩または溶媒和化合物の形態で医薬上許容される担体と共に含み、治療1日につき単回投与または2回以上に分割して投与される医薬組成物、および、
(b)治療1日につき2から8mgのロシグリタゾンを任意に医薬上許容されるその塩または溶媒和化合物の形態で医薬上許容される担体と共に、乾癬を病んでいる患者に経口投与するのを指導する使用説明書
を含む乾癬治療のためのキットを含む。
【0039】
上記キットは、活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤を含んでいてもよい。
【0040】
このようなキットは、上記活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤を、ロシグリタゾンの効力が出るまでに投与するための上記患者への使用説明書を含むことが好ましい。
【0041】
上記他の薬剤は、ヒドロコルチゾンであることが好ましい。
【0042】
本発明者らはまた、乾癬の経口治療のための医薬の製造におけるロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物の使用であって、該ロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物は、医薬上許容される担体と共に医薬組成物における、治療1日につき2から8mgのロシグリタゾン量で使用される、使用を提供する。
【0043】
本発明者らはまた、乾癬の経口治療におけるロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物の使用であって、該ロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物は、医薬上許容される担体との医薬組成物において、治療1日につき2から8mgのロシグリタゾン量で使用される、使用を提供する。本発明者らはまた、特に治療の最初の期間に、他の活性薬剤、例えば、上述した作用の始まりが速い他の薬剤と共に用いられるロシグリタゾンの使用を提供する。
【0044】
本発明者らはまた、1日につきロシグリタゾン2から8mgの投与量で、担体との医薬組成物において、経口による乾癬の治療に使用するためのロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩を提供する。
【0045】
ロシグリタゾンは、複数の互変異性体の1つとして存在してもよく、これらは全て本発明の範囲である。ロシグリタゾンは光学活性な炭素原子を1個含むので、2つの立体異性体が存在する。個々の異性体であっても、またはこれらの混合物(例えばラセミ体)であっても全ての形態が本発明の範囲に含まれるが、ラセミ体が好ましい。
【0046】
ここで使用されるように、ロシグリタゾンに関する濃縮物という用語は、投与可能な組成物中に存在するよりも多くのロシグリタゾンに比例した量であることを意味する。
【0047】
疑いを避けるために、ここで、mg量および重量%を含む、その医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物としてのロシグリタゾンのスカラー量について言及すると、言及されるスカラー量は、ロシグリタゾン自体に関するものである:例えば、マレイン酸塩の形態におけるロシグリタゾン2mgとは、ロシグリタゾン2mgを含むマレイン酸塩の量である。
【0048】
2から8mgのロシグリタゾンを任意に医薬上許容されるその塩または溶媒和化合物の形態で、医薬上許容されるそのための担体と共に含む医薬組成物を調製する方法は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾン2から8mgと、医薬上許容されるそのための担体とを混合する工程を含み、任意にその後該組成物を投与可能な形態に製剤化する工程を含む。
【0049】
所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンと、医薬上許容される担体との医薬組成物を調製する個々の方法は、
(i)所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態のロシグリタゾンと、第一の医薬上許容される担体とを含む前投与組成物(プレ投与組成物)を調製する工程;
(ii)必要なロシグリタゾンの組成物を製造するために、前投与組成物と第二の医薬上許容される担体とを混合する工程を含み、所望によりその後、該組成物を投与可能な形態に製剤化してもよい工程を含む。
【0050】
上記ロシグリタゾンの医薬組成物の好ましい投与可能な形態は、単位投与組成物である。
【0051】
適当な単位投与は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンを2から8mgのように、8mgまでである。
【0052】
好適な医薬上許容される前投与組成物は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンの濃縮物であり、好ましくは、顆粒状の濃縮物である。顆粒状の濃縮物は、希釈して投与のための組成物、好ましくは錠剤を得るのに特に適している。
【0053】
好適には、上記前投与組成物は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンを50重量%まで、例えば、2から50重量%含む。
【0054】
上記前投与組成物は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンを5から20重量%の範囲で含むことが好適であり、特に、5重量%、10重量%または15重量%、例えば10重量%である。
【0055】
上記した製造方法は、慣習的な経口投与が可能な形態のロシグリタゾンの医薬組成物を供給することができる。
【0056】
上記第一の医薬上許容される担体は、医薬上許容される賦形剤を含むいかなる従来の医薬上許容される担体を含んでもよく、以下に述べる参考文献に開示されているものを含む。しかしながら、第一の医薬上許容される担体は投与可能な形態において必須ではないので、投与に付随して賦形剤単独で含む必要はない。例えば、第一の医薬上許容される担体は、滑沢剤を含む必要はない。
【0057】
上記第二の医薬上許容される担体は、医薬上許容される賦形剤含むいかなる従来の医薬上許容される担体を含んでもよく、崩壊剤、希釈剤および滑沢剤を含み、以下に述べる参考文献に開示されているものを含む。
【0058】
個々の前投与組成物は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾン、崩壊剤、結合剤および希釈剤を含むものである。
【0059】
好適な崩壊剤は、澱粉グリコール酸ナトリウムである。
【0060】
好適な結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910などのメチルセルロース結合剤である。
【0061】
好適な希釈剤は、セルロース、例えば、微結晶セルロース、および乳糖一水和物を含む。
【0062】
好適な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0063】
本発明者らは、特に利点のある第一の組成物が、特に顆粒形態の場合に、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾン、澱粉グリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、微結晶セルロースおよび乳糖一水和物を含有することを見出した。この顆粒形態が特に安定であることが見出された。
【0064】
前投与組成物が所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンを約10重量%含んでいると、容易に希釈でき、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンを2から8mg、2から4mgおよび4から8mgの範囲で含む単位投与組成物を与える。
【0065】
前投与組成物の調製は、上述した第一の組成物の特性に適したいかなる従来からの方法を用いても好適に行うことができる。例えば、湿式造粒法により顆粒状の第一の組成物を製造することができる。
【0066】
本発明の組成物を投与可能な形態に製剤化する方法は、ここでは引用される参考文献に開示されている錠剤法を含む従来からの製剤化方法を含む。
【0067】
上記経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、トローチ、水を加えて元に戻せる粉末、または、経口用の溶液や懸濁液などの液状の調製物の形態であってもよい。
【0068】
投与の一貫性を得るために、本発明の組成物は、単位投与の形態であることが好ましい。
【0069】
経口投与用の単位投与の服用形態としては、錠剤およびカプセルとすることができ、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、タラガカントゴムまたはポリビニルピロリドン;フィラー、例えば、乳糖、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤の滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;崩壊剤、例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、澱粉グリコール酸ナトリウムまたは微結晶セルロース;またはラウリル硫酸ナトリウムなどの医学上許容される湿潤剤などの慣習上の賦形剤を含んでいてもよい。
【0070】
特記されない限り、本発明の組成物は、日々の投与に適切な量の単位投与形態であることが好ましく、好ましい単位用量は、所望によりその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態であってもよいロシグリタゾンを2、3、4、5、6、7または8mg含む。別法として、あまり好ましくはないが、日々の投与は例えば、1mgの投与を1回以上行うように分割してもよい。
【0071】
固形の経口用組成物は、混合、充填または錠剤化の従来の方法により調製することができる。必要ならば、繰り返し混合操作を用いて、多量のフィラーを用いているこれらの組成物の隅々に活性な薬剤を分散させてもよい。このような操作はもちろんこの技術分野において慣習化されている。錠剤は、通常の製剤業務においてよく知られている方法、特に水性フィルムコーティングによりコートすることができる。
【0072】
液体組成物、例えば、経口用の液体組成物は、エマルション、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、それらは、使用前に水や他の適当な媒体を用いて復元される乾燥品の形態であってもよい。このような液体調製品は、懸濁剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、水素添加した食用脂;乳濁化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレートまたはアカシア;非水媒体(食用脂を含んでもよい)、例えば、アーモンドオイル、分別で得られたココナツオイル、グリセリン、プロピレングリコールまたはエチルアルコールのエステルなどの油性のエステル;保存料、例えば、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸;およびもし望むならば慣習的な調味または着色剤;のような従来の添加剤を含んでもよい。
【0073】
固形の投与形態は、例えば、錠剤またはカプセルが好ましく、特に錠剤が好ましい。
【0074】
特記されない限り、本発明の組成物は投与方法に応じて、活性な物質を0.1重量%から99重量%、好ましくは10重量%から60重量%含んでいてもよい。
【0075】
所望であるならば、上記組成物は、書かれたまたは印刷された使用のための説明書を添えられたパックの形態であってもよい。
【0076】
組成物は、標準の参考書に開示されているような従来の方法、例えば、英国および米国薬局方、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co.), Martindale The Extra Pharmacopoeia (London, The Pharmaceutical Press)およびHarry's Cosmeticology (Leonard Hill Books)に従って調製され、製剤化することができる。
【0077】
以下に実施例を挙げるが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0078】
ロシグリタゾンの調製例
実施例1:濃縮物の調製
乳糖一水和物の約3分の2を適当な篩に通し、粉砕したロシグリタゾンのマレイン酸塩と混合する。澱粉グリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロースおよび残りの乳糖を適当な篩に通し、上記混合物に加える。それから混合を続ける。得られた混合物は、その後精製水で湿式造粒する。ついで、その湿った顆粒を篩にかけ、流動床乾燥機で乾燥させ、乾燥した顆粒をさらに篩にかけ、そして最後に均質化する。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例2:濃縮物から錠剤への製剤
実施例1で得られた顆粒を回転式ブレンダーに移す。約3分の2の乳糖を篩にかけ、ブレンダーに加える。微結晶セルロース、澱粉グリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよび残りの乳糖を篩にかけ、ブレンダーに加え、これらの混合物を一緒に混合する。得られた混合物はそれから、回転錠剤押し型機で加圧されて、1、2および4mg錠剤のための150mgの標的重量、および、8mg錠剤のための300mgの標的重量にされる。
【0081】
ついで、その錠剤コアを錠剤コーティング機に移し、温かい空気(約65℃)で予め加温し、錠剤の重量が2.0%から3.5%増加するまで薄膜をコートする。
【0082】
【表4】

【0083】
ロシグリタゾンの生物学データ
実施例3:乾癬患者での臨床研究
186人の対象を含む、フェーズIIの、複数のセンターの、ランダム化された、二重盲検の、プラセボ対照試験において、ロシグリタゾンのマレイン酸塩(RSG)の3つの用量(2mg、4mgおよび8mg)のプラセボに対する安全性と効果を、中程度から重症の慢性尋常性乾癬患者の治療について18週と2週間のフォローアップの期間比較した。この研究は、乾癬の対象におけるRSGの3つのレベルの用量の効果に対する危険性のプロフィールの評価を提供することを計画していた。186人の患者が登録され、108人の患者が実験を完了した。患者は全員中程度から非常に重症のカテゴリーに分類されたが、研究を始めた患者のうち11人だけが中程度で、残りは重症か非常に重症であった。
【0084】
効力の測定値は、Lattice System Global Psoriasis Score (LS−GPS)およびPsoriasis Area and Severity Index (PASI)を含んでいた。
【0085】
12週での主要評価項目は、LP−GPSにおいて、Clear(全くない)/Almost Clear(ほとんどない)に達した、それぞれの治療群における対象の割合であった。12週で、それぞれのRGS群の中で対象の一人がこの状態に達したが、プラセボ群では誰も達しなかった。
【0086】
12週でのPASIとLP−GPSの結果の追加局面とを評価した第二の目的は、効力の有望な兆しを支持する。RSG2mgと8mgの群は、12週でのPASIにおける平均割合の変化において統計的に重要な結果を立証した。また、PASIによる75%の改善を達成した対象の割合、PASIによる50%の改善を達成した対象の割合およびLS−GPS概要は全て、RSG2mgおよび8mgの群において、プラセボと比べて改善されたことを証明した。
【0087】
プラセボ群と比較して、RSG群の治療の18週後に、引き続いて改善が観察された。具体的には、18週で、6人の対象者が全くない/ほとんどないにまで改善し、これらの対象は全員RSG群であった。LS−GPSの分布は、RSG2mgの群に関して統計学的に重要であった。他のLS−GPSの評価項目に関しては、8mg用量は、LS−GPSによる、全くない/ほとんどない/軽症(Mild)に達した対象者の比率を除いては、2mg用量と同等の効力であった。全くない/ほとんどない/軽症に達した対象者の割合に関して、8mgの群は、18週でプラセボ群より5倍大きいと見積もられた好結果の治療(LS−GPSで、全くない/ほとんどない/軽症、と定義される)に関する可能性について統計学的な重要性に達した。11の対象者以外の全てが、中程度から重症、重症から非常に重症の下の3つのカテゴリーから出発し、8mgPSGを投与した全対象の25%が上の3つのカテゴリー(全くない/ほとんどない/軽症)に移ったのに対し、プラセボでは6%、RSG2mgでは10%、RSG4mgでは9%であった。さらに、18週でのPASIの平均割合の変化は、RSG2mgの群に関して統計学的に重要であった。他のPASIの評価項目に関しては、8mg用量は2mg用量と同等の効力であった。
【0088】
この結果は、ロシグリタゾンのマレイン酸塩、効力が始まるのに長期間かかることを示す。2mgおよび8mg用量に関するPASIの平均割合の変化は、早ければ2週で作用が始まることを示しているが、他の評価項目は、効果のピークが後で、18週で起こることを示している。事実、効き目のピークは、研究がほんの18週だったため観察されていないかもしれない。
【0089】
PASI全スコアにおける平均割合変化による改善は、全ての治療群において、18週後の治療がフォローアップ期間の間維持されていることを意味する。
【0090】
RSG4mgの群の結果は、プラセボからはっきりと区別されるほどではなかった。しかしながら、この群からの脱落者の割合(24/44)が高いことは、この用量群の効力の結果を混乱させているかもしれない。この研究は、48%という高い全般的な離脱率で、RSGの効き目の始まりが予想よりも長いためであったと考えられる。この高い離脱率は、4mg群で目立っていた。RSG4mg群は、研究を完了した者がわずか16対象であったので、この治療群における効力に関する明確な結論はできなかった。しかしながら、2mgおよび8mgの患者のデータに基づいて、効力を予想することはできるであろう。
【0091】
安全性のプロフィールは、治療群の全部において同等であった。RSGを投与した経口の、そして日々の治療を行った18週後に関して、予期せぬ安全性の知見はなかった。
データを、図面および以下の表に示す:
【0092】
【表5】

【0093】
表は、18週後に効力測定に到達した患者の数と割合を示す。“観測された(Observed)”とは、試験を完了した患者に関するデータを意味する。“LOCF” (last observation carried forward:前もって行われた最後の観測)は、何らかの理由により試験から離脱した患者のデータを含み、彼らの最後の観察のデータを含む。パーセンテージは、試験の最初の参加者全部の数に対するものである。
【0094】
図1は、18週で8mg群において特に良好なLS−GPS結果を示す。
【0095】
図2は、12週での2および8mg群において特に良好なPASI結果を示す。
【0096】
図3−6は2mgRSGの患者における良好な効き目を示す。
図7−9は8mgRSGの患者における良好な効き目を示す。
【0097】
要約:
有害な事象についてはプラセボと同等であり、そして全ての用量は十分許容された。
臨床において意味深い効力は、2mgおよび8mg治療群において12週および18週に観察された。利益を最大にするためには、より長い期間の治療が必要とされるかもしれない。
【0098】
この研究結果は、RSGが慢性尋常性乾癬の長期治療および維持に関する、安全な経口治療のオプションとしてかなり有望であることを示す。
【0099】
上記した特許および特許出願は出典明示によりその全体を本明細書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】毎日1回2、4および8mgの投与に関する6、12および18週後の、LS−GPSスケールにおける全くない(clear)、ほとんどない(almost clear)または軽症(mild)の範囲の病状の、研究を完了した患者の割合を示すグラフである。
【図2】毎日1回2、4および8mgの投与に関する、PASIスケールにおけるベースラインから移る患者数(全患者:前もって行われた最後の観測)の割合の変化を示すグラフである。
【図3】2mgのロシグリタゾンを投与された患者のベースラインでの背中の写真である。
【図4】2mgのロシグリタゾンを投与された患者の12週後の背中の写真である。
【図5】2mgのロシグリタゾンを投与された患者の18週後の背中の写真である。
【図6】2mgのロシグリタゾンを投与された患者のフォローアップ(20週)での背中の写真である。
【図7】8mgのロシグリタゾンを投与された患者のベースラインでの膝下の写真である。
【図8】8mgのロシグリタゾンを投与された患者の12週後の膝下の写真である。
【図9】8mgのロシグリタゾンを投与された患者の18週後の膝下の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物を、医薬上許容される担体と共に含む医薬組成物を、それが必要な患者に経口により投与する工程を含む乾癬の治療方法であって、1日につき2から8mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む方法。
【請求項2】
1日につき2mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1日につき4mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1日につき8mgのロシグリタゾンを投与する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ロシグリタゾンを1日につき1回、単回投与または2回以上に分割して逐次投与する工程を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が中程度から非常に重症の乾癬を病んでいる請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記治療が12週以上続けられる請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記治療が18週以上続けられる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ロシグリタゾンがそのマレイン酸塩として用いられる請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a)患者の乾癬を診断する工程、
(b)ロシグリタゾンまたは医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和化合物を、医薬上許容される担体と共に含む医薬組成物を、1日につきロシグリタゾン量2から8mgで経口により該患者に投与する工程
を含む患者の乾癬の治療方法。
【請求項11】
中程度から非常に重症の乾癬の治療方法であり、工程(a)が、患者の中程度から非常に重症の乾癬を診断する工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)において、前記患者が、重症または非常に重症の乾癬と診断される請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)において、前記ロシグリタゾンが1日につき1回、単回投与または2回以上に分割して逐次投与される請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(b)において、ロシグリタゾンが継続して12週以上患者に投与される請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)において、ロシグリタゾンが継続して18週以上患者に投与される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤を投与する工程をも含む請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤が、ロシグリタゾンの効力が出るまでに投与される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記他の薬剤がヒドロコルチゾンである請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記患者がNIDDMをも病んでいる請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者がNIDDMをも病んでいない請求項1から18のいずれか一項に記載の方法
【請求項21】
(a)2から8mgのロシグリタゾンをその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態で医薬上許容される担体と共に含んでいてもよく、治療1日につき単回投与または2回以上に分割して投与される医薬組成物;および、
(b)治療1日につき2から8mgのロシグリタゾンをその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態で医薬上許容される担体と共に、乾癬を病んでいる患者に経口投与するのを指導する使用説明書
を含む乾癬治療のためのキット。
【請求項22】
前記使用説明書が、乾癬を病んでいる患者への経口投与について、2から8mgのロシグリタゾンをその医薬上許容される塩または溶媒和化合物の形態で医薬上許容される担体と共に、治療1日につき1回、単回投与または2回以上に分割して逐次投与してもよいよう指導する請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記ロシグリタゾンがマレイン酸塩として用いられる請求項21または22に記載のキット。
【請求項24】
活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤をも含む請求項21から23のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
前記活性の始まりが速い乾癬の治療に有効な他の薬剤が、ロシグリタゾンの効力が出るまでに投与されるように投与するための前記患者への使用説明書を含む請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記他の薬剤がヒドロコルチゾンである請求項24または25に記載のキット。
【請求項27】
前記患者がNIDDMをも病んでいる請求項21から26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
前記患者がNIDDMをも病んでいない請求項21から26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
乾癬の経口治療のための医薬の製造におけるロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物の使用であって、該ロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物が、医薬上許容される担体との医薬組成物において、治療1日につき2から8mgのロシグリタゾン量で使用される、使用。
【請求項30】
前記ロシグリタゾンが、2から8mgのロシグリタゾンを含み、単回投与または2回以上に分割して逐次投与される組成物にて使用される請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記ロシグリタゾンがマレイン酸塩として用いられる請求項29または30に記載の使用。
【請求項32】
乾癬の経口治療におけるロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物の使用であって、該ロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和化合物が、医薬上許容される担体との医薬組成物において、治療1日につき2から8mgのロシグリタゾン量で使用される、使用。
【請求項33】
前記ロシグリタゾンが、2から8mgのロシグリタゾンを含み、単回投与または2回以上に分割して逐次投与される組成物において使用される請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記ロシグリタゾンがマレイン酸塩として用いられる請求項32または33に記載の使用。
【請求項35】
乾癬の治療において作用の始まりが速い他の薬剤と組み合わせた請求項32から34いずれか一項に記載のロシグリタゾンの使用。
【請求項36】
前記他の薬剤がヒドロコルチゾンである請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記方法がNIDDMをも病んでいる患者の治療を含む請求項29から36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記方法がNIDDMをも病んでいない患者の治療を含む請求項29から36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
1日につきロシグリタゾン2から8mgの投与量で、担体との医薬組成物における、経口による乾癬の治療に使用するためのロシグリタゾンまたはその医薬上許容される塩。
【請求項40】
前記組成物が2から8mgのロシグリタゾンを含み、単回投与または2回以上に分割して逐次投与される請求項39に記載のロシグリタゾン。
【請求項41】
前記ロシグリタゾンがマレイン酸塩として用いられる請求項39または40に記載のロシグリタゾン。
【請求項42】
乾癬の治療において作用の始まりが速い他の薬剤と組み合わせた請求項39から41いずれか一項に記載のロシグリタゾン。
【請求項43】
前記他の薬剤がヒドロコルチゾンである請求項42に記載のロシグリタゾン。
【請求項44】
前記治療がNIDDMをも病んでいる患者の治療を含む請求項39から32いずれか一項に記載のロシグリタゾン。
【請求項45】
前記治療がNIDDMをも病んでいない患者の治療を含む請求項39から44いずれか一項に記載のロシグリタゾン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−513173(P2007−513173A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542768(P2006−542768)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/040441
【国際公開番号】WO2005/055933
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】