ロック機構
【課題】災害が発生した際に鍵や備品等をスムーズに取り出して利用することができるロック装置の提供。
【解決手段】閉止状態において施錠可能位置と解錠位置との間で作動するロック体41と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で反発力によりロック体41を解錠位置方向に付勢する付勢手段42と、付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43と、拘束手段の拘束状態を所定の機器から発信させる災害発生信号を受け付けた際に解除するアクチュエータ44とを具備してなる。
【解決手段】閉止状態において施錠可能位置と解錠位置との間で作動するロック体41と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で反発力によりロック体41を解錠位置方向に付勢する付勢手段42と、付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43と、拘束手段の拘束状態を所定の機器から発信させる災害発生信号を受け付けた際に解除するアクチュエータ44とを具備してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時に役立つ鍵や備品等を収納しておく鍵保管庫の施錠に好適に使用されるロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、各種のオフィスや公共施設等において、地震等の災害発生に備えて種々の防災用品を蓄えておくことが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来、この種の防災用品は、収納庫等に収められたり、非常用ボタンを押圧することによって扉を開くことができる防災キャビネット等に収容されたりしているのが一般的である。ところが、防災用品の中には、バールやハンマー等のように使い方によっては凶器となり得るものも含まれている。そのため、収納庫等には錠が設けられ、管理者しか開けることができないようにしてあることも少なくない。
【0004】
ところが、このような運用がなされると、いざ災害が発生して備品を取り出したい場合に、鍵を持った管理者が即座に対応できないことがあり、せっかくの備品を利用することができないという不具合を招く可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−224018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述したように、災害が発生した際に鍵や備品等をスムーズに取り出して利用することができないことがあるという課題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るロック機構は、収納空間を開放する開放状態と前記収納空間を閉止する閉止状態との間で相対的に移動可能な2つの部材間に設けられ、閉止状態で前記両部材同士を施錠するものであって、前記閉止状態において施錠可能位置と解錠位置との間で作動するロック体と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体を解錠位置方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段と、この拘束手段の拘束状態を所定の機器から発信させる災害発生信号を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、災害発生時に鍵を持った管理者が即座に対応しなくとも、災害発生信号を受け付けたロック機構が作動することにより一方の部材と他方の部材とを解錠状態にすることができ、収納空間内に予め収められた鍵や備品を取り出して利用することが可能となる。特に、ロック体を解錠位置方向に付勢する付勢手段を備えているので、アクチュエータの小さな動作を用いてロック体の駆動距離を大きくすることができる。
【0009】
前記所定の機器としては、前記両部材から機械的に切り離された状態で設置され地震を感知した場合に前記災害発生信号を発信する感震装置が好ましい一態様として挙げられる。
【0010】
前記拘束手段が、ロック体を施錠可能位置で拘束する拘束位置からその拘束を解除し得る拘束解除位置との間で作動できるように設けられロック体が施錠可能位置に達した際にのみ拘束位置に移動可能な拘束部材と、この拘束部材を拘束位置方向に付勢する弾性部材とを備えていれば、点検時や災害復興時に容易にロック体を施錠可能位置に戻すことができる。
【0011】
具体的な一態様としては、一方の部材が、収納空間を備えたキーボックス本体であり、他方の部材が、前記キーボックス本体に開閉可能に取り付けられる扉であるものが挙げられる。
【0012】
また、具体的な他の態様としては、一方の部材が、ベンチチェアの脚部材であり、他方の部材が、前記脚部材に挿脱可能に設けられる収納空間を備えた引き出しであるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のような構成であるから、閉止状態で前記両部材同士を施錠できるとともに、災害が発生した際に鍵や備品等をスムーズに取り出して利用することができるロック機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るキーボックスの使用状態を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態のキーボックスを示す正面図。
【図3】同実施形態のキーボックスの開放状態を示す説明図。
【図4】同実施形態のキーボックスの開放状態を示す斜視図。
【図5】同実施形態の自動型解錠機構の要部を示す斜視図。
【図6】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図7】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図8】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図9】同実施形態の解錠機構駆動手段を模式的に示す構成図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るベンチチェアの使用状態を示す全体斜視図。
【図11】同実施形態のベンチチェアを示す全体斜視図。
【図12】同実施形態のベンチチェアの要部を拡大して示す正面図。
【図13】同実施形態のベンチチェアの開放状態を示す説明図。
【図14】同実施形態の左の脚フレームを示す側面図。
【図15】同実施形態の左の脚フレームの要部を示す説明図。
【図16】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図17】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図18】同実施形態の解錠機構駆動手段を模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1ないし図9を参照して、本発明の一実施形態について述べる。
【0016】
この実施形態は、図1に示すように、収納什器が壁51に設置されるキーボックスKである場合のものである。本実施形態に示すキーボックスKは、床面から立設された壁面に取り付けられる場合のものを説明するが、このキーボックスKを床、天井、または斜めになった壁部分等の躯体に取り付けるようにしてもよい。
【0017】
このキーボックスKは、図1ないし図4に示すように、一方の部材である収納空間11を備えたキーボックス本体1と、このキーボックス本体1に開閉可能に取り付けられる他方の部材である備品取り出し用の扉2とを備えている。
【0018】
キーボックス本体1は、図1ないし図4に示すように、金属製のもので、壁面に取り付けられ前面に開口部12を有するベース13と、前記開口部12の左半部を覆うように取り付けられた左側の扉14とを具備してなる。ベース13は、収納空間11を備えたもので、仕切り板15が出し入れ可能に収容されている。この仕切り板15は、例えば防災倉庫の鍵K1を引っ掛けるためのフック16と、LEDライト(懐中電灯)K2を収納しておくためのポケット17とを備えている。この仕切り板15の奥側には、例えば防災マニュアルや、防災倉庫内の物品の取扱説明書、従業員の連絡先一覧等の書類K3を収めることができる。換言すれば、このキーボックスKは、A4サイズの大きさの書類K3を収めることができる程度の収納空間11を有している。なお、キーボックス本体1及び仕切り板15はすべて金属製のものであるため、図3に示すように、マグネットフック18等の磁力を用いてフックを増設する等、収納方法をアレンジすることも可能である。前記左側の扉14は、ベース13の左端に回動可能に取り付けられものであり、前記開口部12を開閉可能にするものである。
【0019】
前記備品取り出し用の扉2は、図1ないし図4に示すように、ベース13の開口部12の右半部を覆うように取り付けられたものである。この備品取り出し用の扉2は、ベース13の右端に回動可能に取り付けられるものであり、前記開口部12を開閉可能にするものである。備品取り出し用の扉2、すなわち右側の扉は、例えばその一側縁21が蝶番を介してベース13の一方の側壁131の前縁部に蝶着されたものである。一方、前記左側の扉14は、例えばその一側縁141が蝶番を介してベース13の他方の側壁132の前縁部に蝶着されたものである。そして、備品取り出し用の扉2の他側縁22と、左側の扉14の他側縁142との間に施錠装置3を設けている。この施錠装置3は、ハンドル31と、操作型施解錠機構32と、本発明のロック機構である自動型解錠機構4とを備えてなる。なお、扉2には図示しないマグネットキャッチを設けており、事故防止のために自然開扉することを防止する機能を付与している。
【0020】
ハンドル31は、図1、図2、図4及び図6に示すように、前記備品取り出し用の扉2を開閉動作させるためのもので、前記操作型施解錠機構32または自動型解錠機構4が作動されることによりキーボックス本体1と備品取り出し用の扉2とが解錠可能状態になった際に、前記扉2を開成させることができる。このハンドル31は、使用者が操作するハンドル本体311と、このハンドル本体311の動きに連動するロック体たるかんぬき部材312とからなる。かんぬき部材312は、図6に示すように、左側の扉14の他側縁142に設けられた窓143に対して突没動作を行うことで、キーボックス本体1と扉2との間のロック状態と非ロック状態とを切り換えることができる。
【0021】
操作型施解錠機構32は、図1、図2、図4及び図6ないし図9に示すように、鍵K1を用いた操作により作動端324が施解錠動作を行う機械錠322と、この機械錠322の作動端324に設けられ施錠位置(L)から解錠位置(U)までの間で作動するロック体である回動アーム323とを具備してなる。具体的には、前記機械錠322は、例えばシリンダー錠方式のもので、その鍵穴に図示しない鍵を挿入して回動操作することにより、図6に示すように、その作動端324が一定の角度範囲内で回転するようになっている。そして、この機械錠322の作動端324に回動アーム323が取着されており、この回動アーム323の回動端部325が前記自動型解錠機構4のロック体41の係合部分に係合するように形成している。
【0022】
前記自動型解錠機構4は、図2及び図5ないし図9に示すように、前記扉2の閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロック体41と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体41を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段であるスプリング42と、このスプリング42を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43と、この拘束手段43の拘束状態を所定の機器である感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなる。このアクチュエータは、例えば、電磁アクチュエータを用いており、具体的には、ロック位置(L)から非ロック位置(U)までの間で作動可能に設けられ所定のロック位置(L)に自己復帰するプランジャ441を有し、通電時にプランジャ441を非ロック位置(U)に強制退避させるソレノイド44を用いている。
【0023】
ロック体41は、図2及び図5ないし図9に示すように、前記施錠可能位置(L)で前記操作型施解錠機構32の回動アーム323の回動端部325に係わり合うロック体本体411と、このロック体本体411と軸413を挟んで反対側に一体に設けられる作動端412とを備えている。このロック体41は、左側の扉14から突設された軸413を中心に回転動作するもので、ロック体41が回動アーム323の回動端部325に係わり合うことのできる施錠可能位置(L)と、ロック体本体411が回動アーム323の回動端部325が施錠可能位置(L)にある場合であっても係わり合わない解錠位置(U)との間で回動可能に軸支されている。ロック体41の作動端412には、長孔状のスリット414が設けられており、このスリット414には、動作伝達手段に設けたピン451を係わり合わせている。動作伝達手段は、具体的には、前記ロック体41にピン451を介して回動可能に接続されるカムロッド45である。このカムロッド45は、上下方向に延出する軸状のものであり、下端部には、表示切換機構46が設けられているとともに、上下方向中間部には、前記ロック体41に接続されるピン451が一体に設けられており、このピン451の上方に付勢手段を取り付けている。
【0024】
付勢手段は、本実施形態においては、図2及び図5ないし図9に示すように、前記カムロッド45に巻装された弾性部材たるスプリング42である。このスプリング42は、いわゆる圧縮コイルスプリングと呼ばれるタイプのものであり、前記左側の扉14から突設されたブラケット144を足場にして上方に付勢されている。このスプリング42の上端部421は、ワッシャ422を介して前記カムロッド45に固着されている。すなわち、このスプリング42は、外部からの操作力をばねによる弾性エネルギーとして蓄えるものであり、拘束手段43によりその拘束が解除されるまでは弾性エネルギーを蓄積するとともに、その拘束が解除された際に、蓄えられた弾性エネルギーをロック体41を作動させるためのエネルギーに変換する。
【0025】
拘束手段43は、図2及び図5ないし図9に示すように、ロック体41を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロック体41が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材47と、この拘束部材47を拘束位置(R)方向に付勢する弾性部材であるスプリング48とを備えている。拘束部材47は、本実施形態においては、前記動作伝達手段であるカムロッド45を介してロック体41を施錠可能位置(L)に拘束する第一のカムプレート471と、この第一のカムプレート471と共通の軸473を介して前記スプリング48に接続される第二のカムプレート472とを具備してなる。
【0026】
第一のカムプレート471は、図5ないし図9に示すように、板状をなす金属性のもので、基端部を前記左側の扉14に軸473を介して枢着することで軸473まわりに回動可能なものである。この第一のカムプレート471の先端部474は、カマ状になっており、キーボックス本体1と扉2とが施錠可能位置(L)に位置する際に前記カムロッド45の上端部452に係わり合う拘束位置(R)と、キーボックス本体1と扉2とが解錠位置(U)に位置する際に前記カムロッド45の上端部452と係わり合わない拘束解除位置(F)との間で回動可能なものである。
【0027】
第二のカムプレート472は、図5ないし図9に示すように、板状をなす金属製のもので、基端部を前記第一のカムプレート471と同じ軸473を介して枢着することで、第一のカムプレート471と一定の角度を保って軸473まわりに回動可能なものである。第二のカムプレート472の先端部、すなわち回動端部475にはスプリング48の一端が取り付けられている。この第二のカムプレート472の基端部と先端部との間には、該第二のカムプレート472に直交する方向に伸びる押圧部材476が取り付けられている。詳述すれば、前記プランジャ441の先端部、本実施形態においては、プランジャ441の上端部には、プランジャ441がロック位置(L)から非ロック位置(U)に移動する際に押圧される軸状の押圧部材476が配されており、この押圧部材476は第二のカムプレート472の回動中間部に接続されている。
【0028】
弾性部材であるスプリング48は、本実施形態においては、図5ないし図9に示すように、一端を前記拘束手段43の第二のカムプレート472の回動端部475に取り付けられるものである。このスプリング48は、いわゆる引っ張りコイルばねと呼ばれるもので、他端を前記左側の扉14から突設させたブラケット145に取り付けることで、第二のカムプレート472の回動端部475は下方に付勢されている。
【0029】
アクチュエータであるソレノイド44は、本実施形態においては、図5ないし図9に示すように、プランジャ441と、このプランジャ441を突没動作させるソレノイド本体442とを有してなる。前記プランジャ441は、軸状のもので、軸心を上下方向に向けて昇降可能に配されている。このプランジャ441は、自己復帰力である自重によって下方に、すなわちソレノイド本体442に対して没入方向に付勢されている。前記ソレノイド本体442は、前記プランジャ441の下半部を包持する円筒状をなす電磁コイル体からなり、通電時に前記プランジャ441を自重に抗して非ロック位置(U)まで上昇させ得るようにしたものである。
【0030】
表示切換機構46は、図2ないし図4及び図6ないし図9に示すように、前記左側の扉14の前面側に設けられたほぼ矩形状をなす窓461と、この窓461に表示される第一の表示部462と、この第一の表示部462に隣接して設けられ前記第一の表示部462と選択的に表示される第二の表示部463とを備えている。具体的には、第一の表示部462はキーボックス本体1と扉2との施錠状態を示す「CLOSED」という表示がなされており、第二の表示部463は前記第一の表示部462の下側に設けられキーボックス本体1と扉2との解錠状態を示す「OPEN」という表示がなされている。これらの表示部462、463は、共通の板状部材464に設けられており、この板状部材464は、前記カムロッド45の下端部近傍に取り付けられている。
【0031】
このキーボックスKが取り付けられる壁51には、災害発生信号54を発する機器である感震装置53が、図2及び図4に示すように、前記キーボックス本体1及び扉2から機械的に切り離された状態で設けられている。すなわち、キーボックスKのベース13の後壁には図示しない開口を有している。この開口に臨む壁面に直接設置されたブラケット52上に感震装置53が設置されている。このブラケット52は、側面視L字型をなすものであり、垂下部521を図示しないビス等により壁面に取り付けるとともに、この垂下部521から一体に延出する水平部522の上に図示しないビス等を用いて感震装置53を止着している。このブラケット52の垂下部521及び感震装置53は、ベース13の左側部分と左側の扉14との間に形成される空間に収容されている。換言すれば、感震装置53は、前記キーボックスKによって周囲を覆われており、キーボックスKと感震装置53とは、それぞれ独立して壁51に取り付けられている。そのため、キーボックスKが外部からの力により揺らされたりしても、感震装置53は作動せず、ロック機構は解除されない。
【0032】
この感震装置53から発せられる災害発生信号54は、解錠機構駆動手段55に伝えられ、この解錠機構駆動手段55の働きにより前記自動型解錠機構4が作動するようになっている。すなわち、解錠機構駆動手段55は、図9に模式的に示すように、前記ソレノイド44に電力を供給するための電池等の電源56と、この電源56による電力供給を遮断させるスイッチング回路57と、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54を受け付けた場合に前記スイッチング回路57を一時的に通電状態に切り換える判断回路58とを具備してなる。
【0033】
なお、図5に示すように、自動型解錠機構4を構成するロック体41、付勢手段であるスプリング42、拘束手段43である拘束部材47及びスプリング48、及びアクチュエータであるソレノイド44、並びに解錠機構駆動手段55を構成する電源56、スイッチング回路57、判断回路58は、前記左側の扉14の裏側に装着されユニット化されている。したがって、この左側の扉14を所定の位置、具体的にはキーボックスKの他方の側壁132に装着することによって、前記自動型解錠機構4を前述したような位置関係に取り付けられるようにされている。
【0034】
次いで、このキーボックスKにおける施錠装置3の作動を説明する。
【0035】
平時は、前記自動型解錠機構4のプランジャ441には通電が断たれており、図6及び図7に示すように、そのプランジャ441は自重によりロック位置(L)に安定保持されている。この状態で備品取り出し用の扉2を閉じ、前記操作型施解錠機構32の機械錠322に設けられた鍵穴に鍵を挿入して施錠操作を行うと、前記回動アーム323が図6に二点鎖線で示す解錠位置(U)から同図に実線で示す施錠位置(L)まで回動し、この回動アーム323の回動端部325が前記ロック体41に係合することになる。その結果、前記扉2が施錠される。
【0036】
なお、ハンドル31を操作して、ハンドル31のかんぬき部材312も前記左側の扉14に係合させておくことが好ましい。すなわち、図6に実線で示すようにハンドル本体311及びかんぬき部材312がロック位置(L)にあるときは、後述する操作型施解錠機構32または自動型解錠機構4が作動されることによりキーボックス本体1と扉2とが解錠可能状態になった場合であっても、ハンドル31の操作がなされて、図6に二点鎖線で示すようにハンドル本体311及びかんぬき部材312が非ロック位置にまで退避しない限り、備品取り出し用の扉2の開閉を行うことができない。そのため、地震が起こって収納空間11に収納されていた鍵K1や備品等が地震の揺れで外部に飛び出すことを抑制している。
【0037】
この状態である一定以上の震度、例えば、震度5以上の地震が発生すると、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54が解錠機構駆動手段55に伝えられ、スイッチング回路57がオフからオンに切り替わって前記ソレノイド44に通電される。その結果、図8に示すように、前記プランジャ441がロック位置(L)から非ロック位置(U)へと上昇し、このプランジャ441の上昇動作によって、プランジャ441の先端側に配される押圧部材476が上方に押圧される。その結果、第二のカムプレート472が軸473まわりに回動するとともに、この第二のカムプレート472と同じ角度を保って、第一のカムプレート471が軸473まわりに回動し、拘束手段43によるロック体41の拘束状態が解除される。
【0038】
具体的には、図8に示すように、ソレノイド44に一時的に通電されて、プランジャ441が2.5mm〜3.0mm上方に突出すると、このプランジャ441に押圧された押圧部材476が上方に移動する。そのため、この押圧部材476が保持されている第二のカムプレート472が軸473まわりに回転し、この第二のカムプレート472の回動端部475に設けられた拘束手段43の弾性部材であるスプリング48の一端が上方に付勢される。その際、第二のカムプレート472に連動して作動する第一のカムプレート471のカマ状をなす先端部474が回動し、前記ロック体41の解錠位置(U)方向への付勢力の拘束を解除することとなる。すなわち、付勢手段であるスプリング42の反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43による拘束が解除されることとなる。そのため、この拘束手段43である第一のカムプレート471の先端部474に直接拘束されたカムロッド45は上方に移動し、このカムロッド45にピン451を介して設けられたロック体41が軸413まわりに回転することによって、このロック体41と前記機械錠322の回動アーム323との係合が解除される。したがって、機械錠322の状態いかんにかかわらず扉2を開くことが可能になり、防災用品備蓄領域に備えてある備品等の防災用品を利用することができる状態になる。このように、ソレノイド44による小さい動きをスプリング42により増幅させてカムロッド45及びロック体41を動かすための大きな動きに換えることができ、ロック機構における施解錠を確実に行うことができる。
【0039】
なお、カムロッド45は、拘束手段43が解除されると、スプリング42の付勢力によって上方に移動することになるので、図8に示すように、このカムロッド45の下端近傍に取り付けられた表示切換機構46が、「CLOSED」から「OPEN」に変わり、キーボックスKの外部に視覚的にキーボックス本体1と扉2との解錠状態を示す。すなわち、地震が発生して扉2が解錠されると、キーボックスK内に防災倉庫の鍵K1等が入っている旨、キーボックスK内の鍵K1や備品が使用可能である旨等が、キーボックスKの外面に表示されるように設定してもよい。
【0040】
この実施形態では、災害発生信号54を受けた後、非ロック位置(U)まで上昇したプランジャ441は、通電が断たれた後、一定時間を経過するとプランジャ441の自重により元の状態へと戻る。
【0041】
なお、災害復興後、または通常の点検を終えた後に、キーボックスKの施錠装置3を初期状態に戻すには、ロック体41に外力を加える等の操作を行うことにより前記付勢手段に付勢力を与えつつ前記拘束手段43を拘束位置(R)に復帰させればよい。具体的には、左側の扉14のスリットから突出しているロック体41に対して上方向に操作力を加えることにより、ロック体41を回転移動させるならば、このロック体41にピン451を介して接続されたカムロッド45が前記付勢手段であるスプリング42の付勢力に抗して下方へと移動する。この際、スプリング42には、加えられた操作力が弾性エネルギーとして蓄積される。そして、このスプリング42に反発力が蓄積された状態で、拘束手段43がカムロッド45の上端部452を介してロック体41を拘束する。詳述すれば、拘束手段43のスプリング48の付勢力により第二のカムプレート472が拘束位置(R)に戻る方向へと付勢されるため、この第二のカムプレート472と一体になって動く第一のカムプレート471も拘束位置(R)、すなわちその先端部474が前記カムロッド45の上端部452に係わり合う位置へと移動する。その際、プランジャ441は、前述したようにプランジャ441の自重により元の状態へと戻っているので、第二のカムプレート472が元の位置、すなわち拘束位置(R)へと戻るのに妨げとなることはない。このように、ロック体41を持ち上げるという動作によって、このロック体41を介してカムロッド45を下方に移動させればよいので、ワンアクションで、簡単に元の施錠状態にリセットすることができる。
【0042】
このように本実施形態のキーボックスKに採用されるロック機構は、収納空間11を開放する開放状態(O)と前記収納空間11を閉止する閉止状態(C)との間で相対的に移動可能なキーボックス本体1と扉2との間に設けられ、閉止状態(C)で前記両部材同士を施錠するものであって、前記閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロック体41と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体41を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43と、この拘束手段43の拘束状態を感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなるので、地震発生時に鍵を持った管理者が即座に対応しなくとも、災害発生信号54を受け付けたロック機構が作動することにより扉2を解錠状態にすることができ、収納空間11内に収められた鍵K1や、LEDライトK2等の備品を取り出して利用することが可能となる。特に、本実施形態のキーボックスKは、収納倉庫の近くに設置されるものであるので、災害が発生した際に収納倉庫に向かえば、収納倉庫の鍵K1を前記キーボックスKから取り出すことができ、この鍵を用いて収納倉庫の鍵を解錠すれば、収納倉庫内の食料品や救助工具等を使用することができる。
【0043】
このキーボックスKは、比較的小型なものであるため、各フロアに容易に設置することができる。そのため、収納倉庫自体に感震装置53と連動させたロック機構を備えさせた場合に比べて、工事の手間を最小限に抑えることができる。
【0044】
また、ロック体41を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段を備えているので、プランジャ441の小さな移動距離を用いてロック体41の駆動距離を大きくすることができる。
【0045】
さらに、感震装置53が、前記キーボックス本体1及び扉2から機械的に切り離された状態で設置されたものであるので、いたずらや間違ってキーボックスKに振動が加えられた場合であっても、ロック機構が作動するのを防ぐことができる。逆に、感震装置53は、通常、アクセスすることができないようにキーボックス本体1及び扉2にカバーされているので、誤作動を起こす心配もない。
【0046】
また、前記拘束手段43が、ロック体41を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロック体41が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材47と、この拘束部材47を拘束位置(R)方向に付勢する弾性部材であるスプリング48とを備えているので、災害復興時や点検終了時に再度付勢手段であるスプリング42に付勢力を加えることができ、元の施錠状態に復元することができる。
【0047】
さらに、キーボックスK内に、鍵K1以外のライトK2や手袋等を収納しておけば、キーボックスKから防災倉庫にたどりつくまでの間に、これらの備品を使用することができる。
【0048】
また、キーボックス本体1がA4サイズのファイルが収納できる大きさを有しているので、災害マニュアルや緊急連絡先一覧表、備蓄品の取扱説明書など、災害時に必要な書類K3を入れることができる。
【0049】
なお、本実施形態のキーボックスKの左側の扉14は点検時であっても開放されないものであり、左側の扉14の他側縁142側に、電源56として利用される電池の保持部や、点検時にロック機構の作動を確認するためのスイッチ等を備えている。
【0050】
次いで、図10ないし図18を参照して、本発明の他の実施形態について述べる。
【0051】
この実施形態は、図10に示すように、収納什器がロビー等の床面に設置されるベンチチェアBである場合のものである。
【0052】
このベンチチェアBは、図10ないし図13に示すように、一方の部材であるベンチチェア本体6と、このベンチチェア本体6に挿脱可能に設けられる収納空間71を備えた他方の部材である引き出し7とを具備してなる。
【0053】
このベンチチェア本体6は、図10ないし図13に示すように、対をなす左右の脚部材である脚フレーム61、62と、これら左右の脚フレーム61、62間の上部に架け渡された上フレーム63と、この上フレーム63上に設けられ合板の周囲を布で覆った座64と、座64の下方に設けられ前記左右の脚フレーム61、62間に配されたストッカー65とを備えている。なお、本実施形態では、ベンチチェア本体6のうち左の脚フレーム61を本発明の一方の部材、この左の脚フレーム61に設けられた前後方向にスライド可能な引き出し7が本発明の他の部材に対応する。
【0054】
左の脚フレーム61は、図10ないし図15に示すように、内部に空間を有する脚フレーム本体611と、この脚フレーム本体611に対して開閉可能な扉612とを備えてなる。脚フレーム本体611は、前記扉612が取り付けられる一方の側壁613と、側壁613の上端から伸びる天壁614と、前記側壁613の下端部近傍から伸びる内部底板615と、この内部底板615より外側に配される外部底枠616と、前記側壁613の前端から伸びる前壁617と、前記側壁613の後端から伸びる図示しない後壁と、前記側壁613に対向して設けられる他方の側壁619とを備えた箱状をなすものである。この脚フレーム本体611の内部の空間には、後述するロック機構である自動型解錠機構9が配される。
【0055】
右の脚フレーム62は、図10及び図11に示すように、内部に空間を有する脚フレーム本体621を主体として形成されている。右の脚フレーム62の構造は、左の脚フレーム61の構造に準じるため詳細な説明を省略する。
【0056】
ストッカー65は、図10ないし図13に示すように、上方に開口するストッカー本体651と、このストッカー本体651の開口を開閉することができる蓋652とを備えている。ストッカー本体651は、内部に防災用品備蓄用の空間を有しており、例えば、救急用品、手袋、保護メガネ、マスク、笛、ラジオ、スタンドライト、ヘッドライト、油圧ジャッキ、ロープ及びヘルメット等の備品を収納することができるようになっている。また、例えば平バラシバール、テコバール、ハンマー等の比較的長尺な備品をも収納することができる。この空間の上面開口部には、前記備品等の防災用品挿脱用の蓋652が開閉可能に設けられている。この蓋652は、例えば、その一側縁が図示しない蝶番を介して前記ストッカー本体651の後壁に蝶着されたもので、この蓋652の他側縁とストッカー本体651との間に施錠装置8、具体的には操作型施解錠機構81を設けている。
【0057】
引き出し7は、図10ないし図18に示すように、本実施形態においては、左の脚フレーム61に対して装脱可能に設けられるもので、閉止状態(C)で前記脚フレーム本体611の前壁617と面一になる前壁72と、この前壁72の左右両端から後方に延出し該引き出し7を前後方向にスライド可能にすべくレール溝77に係り合う左右の側壁73と、この左右の側壁73の後端部同士を連結する後壁74と、前記左右の側壁73の下端部間を連結する底壁75とを備えている。この引き出し7は、後述するロック体であるロックシャフト91と係合するための係合部76を備えている。詳述すれば、この係合部76は、引き出し7の後壁74上端から後方に延出させた板状のもので、中央にロックシャフト91の径よりもわずかに大きい径を有する孔78を備えている。この引き出し7には、本実施形態においては、前記左の脚フレーム61とストッカー本体651との施解錠、及びストッカー本体651とストッカー65の蓋652との施解錠を行うための鍵82や、図示しないLEDライトなどの備品を収納している。
【0058】
そして、図10ないし図18に示すように、左の脚フレーム本体611と引き出し7との間、左右の脚フレーム本体611、621とストッカー本体651との間、及びストッカー本体651とストッカー65の蓋652との間に施錠装置8を設けている。この施錠装置8は、操作型施解錠機構81と、ロック機構である自動型解錠機構9とを備えてなる。なお、引き出し7には図示しないマグネットキャッチを設けており、事故防止のために自然に脚フレーム本体611から飛び出すことを防止する機能を付与している。
【0059】
操作型施解錠機構81は、本実施形態においては、図10ないし図13に示すように、左右の脚フレーム本体611、621とストッカー本体651との間、及びストッカー本体651とストッカー65の蓋652との間に設けられたものである。この操作型施解錠機構81は、鍵82を用いた操作により作動端が施解錠動作を行う機械錠83と、この機械錠83の作動端に設けられ施錠位置(L)から解錠位置(U)までの間で作動するロック体である回動アーム84とを具備してなる。具体的には、前記機械錠83は、例えばシリンダー錠方式のもので、その鍵穴に鍵82を挿入して回動操作することにより、図6に示す機械錠と同様に、その作動端が一定の角度範囲内で回転するようになっている。そして、この機械錠83の作動端に回動アーム84が取着されており、この回動アーム84の回動端部86が前記左右の脚フレーム本体611、621の側壁にそれぞれ係合するように形成している。
【0060】
前記自動型解錠機構9は、図14及び図16ないし図18に示すように、前記閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロック体であるロックシャフト91と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段であるスプリング92と、このスプリング92を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段93と、この拘束手段93の拘束状態を感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなる。アクチュエータは、例えば、電磁アクチュエータを用いており、具体的には、ロック位置(L)から非ロック位置(U)までの間で作動可能に設けられ所定のロック位置(L)に自己復帰するプランジャ941を有し、通電時にプランジャ941を非ロック位置(U)に強制退避させるソレノイド94を用いている。
【0061】
ロック体であるロックシャフト91は、図14ないし図18に示すように、前記施錠可能位置(L)で前記引き出し7の係合部76に設けられた係合孔78に係わり合うことのできるもので、該ロックシャフト91が前記引き出し7の係合孔78に挿通された状態で係わり合うことのできる施錠可能位置(L)と、ロックシャフト91が前記引き出し7の係合孔78が施錠可能位置(L)にある場合であっても係わり合わない解錠位置(U)との間で進退動作可能に保持されている。このロックシャフト91は、具体的には、上下方向に延出する軸状のものであり、上下方向中間部には、表示切換機構95が接続されるピン911が一体に設けられており、このピン911の上方に付勢手段を取り付けている。
【0062】
付勢手段は、本実施形態においては、図14及び図16ないし図18に示すように、前記ロックシャフト91に巻装された弾性部材であるスプリング92である。このスプリング92は、いわゆる圧縮コイルスプリングと呼ばれるタイプのものであり、前記左の脚フレーム61の側壁619から突設されたブラケット67を足場にして下方に付勢されている。このスプリング92の下端部921は、図示しないワッシャを介して前記ロックシャフト91に固着されている。すなわち、このスプリング92は、外部からの操作力をばねによる弾性エネルギーとして蓄えるものであり、拘束手段93によりその拘束が解除されるまでは弾性エネルギーを蓄積するとともに、その拘束が解除された際に、蓄えられた弾性エネルギーをロックシャフト91を作動させるためのエネルギーに変換する。
【0063】
拘束手段93は、図14及び図16ないし図18に示すように、ロック体であるロックシャフト91を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロックシャフト91が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材96と、この拘束部材96を拘束位置(R)方向に付勢する弾性部材であるスプリング97とを備えている。
【0064】
拘束部材96は、図14及び図16ないし図18に示すように、一端961がプランジャ941の先端部に接続されるとともに、他端962がロックシャフト91の先端部、すなわち下端部に接続されるものである。詳述すれば、この拘束部材96は、板状をなす金属製のもので、基端部963を前記脚フレーム本体611の側壁619に軸967を介して枢着することで、軸967まわりに回動可能なものである。拘束部材96の中間部964、すなわち基端部963と拘束部材96の他端962側の回動端部との間に設けられた部分には、前記弾性部材であるスプリング97の一端が取り付けられている。この拘束部材96の一端961側の回動端部には、拘束部材96に直交する方向に伸びる押圧部965が設けられている。詳述すれば、前記プランジャ941の先端部、本実施形態においては、プランジャ941の上端部には、プランジャ941がロック位置(L)から非ロック位置(U)に移動する際に押圧される板状の押圧部965が配されており、この押圧部965は拘束部材96の一端961に一体的に接続されている。また、拘束部材96の他端962側の先端部、すなわち回動端部は、拘束部材96に直交する方向に伸びる拘束部分966となっており、左の脚フレーム61と引き出し7とが施錠状態でこの回動端部86が前記ロックシャフト91の下端部に係わり合っている。
【0065】
弾性部材であるスプリング97は、本実施形態においては、図14及び図16ないし図18に示すように、一端を前記拘束手段93の回動端部に取り付けられるものである。このスプリング97は、いわゆる引っ張りコイルばねと呼ばれるもので、他端を脚フレーム本体611から突設させたブラケット68に取り付けることで、拘束部材96の中間部964における回動端部は下方に付勢されている。
【0066】
アクチュエータであるソレノイド94は、本実施形態においては、図14及び図16ないし図18に示すように、プランジャ941と、このプランジャ941を突没動作させるソレノイド本体942とを有してなる。前記プランジャ941は、軸状のもので、軸心を上下方向に向けて昇降可能に配されている。このプランジャ941は、自己復帰力である自重によって下方に、すなわちソレノイド本体942に対して没入方向に付勢されている。前記ソレノイド本体942は、前記プランジャ941の下半部を包持する円筒状をなす電磁コイル体からなり、通電時に前記プランジャ941を自重に抗して非ロック位置(U)まで上昇させ得るようにしたものである。
【0067】
表示切換機構95は、図10ないし図12、図14及び図16ないし図18に示すように、前記左の脚フレーム61の前壁617側に設けられたほぼ矩形状をなす窓951と、この窓951に表示される第一の表示部952と、この第一の表示部952に隣接して設けられ前記第一の表示部952と選択的に表示される第二の表示部953と、これら第一の表示部952と第二の表示部953とを切り換えるための動作伝達手段であるリンク部材955とを備えている。具体的には、第一の表示部952は左の脚フレーム本体611と引き出し7との施錠状態を示す「CLOSED」という表示がなされており、第二の表示部953は前記第一の表示部952の下側に設けられ左の脚フレーム本体611と引き出し7との解錠状態を示す「OPEN」という表示がなされている。これらの表示部952、953は、共通の板状部材954に設けられており、この板状部材954は、リンク部材955の先端部957側に取り付けられている。このリンク部材955は、中間部を脚フレーム本体611に軸を介して枢着してなるもので、この軸まわりに回転動作可能なものである。そして、このリンク部材955の基端部956側は、長孔状をなすスリットを有しており、前記ロックシャフト91に設けられたピン911に係わり合っている。
【0068】
この左の脚フレーム61の底部には、災害発生信号54を発する機器である感震装置53が、図14及び図15に示すように、前記脚フレーム61、及びこの脚フレーム61を含むベンチチェアB全体から機械的に切り離された状態で設けられている。すなわち、脚フレーム61の底部は、内部底板615と外部底枠616とを備えた二重壁構造を成しており、前記外部底枠616の中央部には開口を有している。この開口に臨む地面に直接設置された図示しない感震装置用ケース内に感震装置53が設置されている。前記外部底枠616は脚フレーム本体611に一体に設けられている。この感震装置53は、左の脚フレーム本体611の内部に形成された空間に収容されている。換言すれば、感震装置53は、前記脚フレーム本体611によって周囲を覆われており、脚フレーム本体611と感震装置53とは、それぞれ独立して床に取り付けられている。そのため、脚フレーム本体611が外部からの力により揺らされたりしても、感震装置53は作動せず、ロック機構は解除されない。
【0069】
この感震装置53から発せられる災害発生信号54は、解錠機構駆動手段55に伝えられ、この解錠機構駆動手段55の働きにより前記自動型解錠機構9が作動するようになっている。すなわち、解錠機構駆動手段55は、図18に模式的に示すように、前記ソレノイド94に電力を供給するための電池等の電源56と、この電源56による電力供給を遮断させるスイッチング回路57と、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54を受け付けた場合に前記スイッチング回路57を一時的に通電状態に切り換える判断回路58とを具備してなる。
【0070】
なお、図14に示すように、自動型解錠機構9を構成するロック体であるロックシャフト91、付勢手段であるスプリング92、拘束手段93である拘束部材96及びスプリング97、及びアクチュエータであるソレノイド94、並びに解錠機構駆動手段55を構成する電源56、スイッチング回路57、判断回路58は、前記脚フレーム本体611に装着されユニット化されている。したがって、この脚フレーム本体611を所定の位置、具体的にはベンチチェアBの脚として装着することによって、前記自動型解錠機構9を前述したような位置関係に取り付けられるようにされている。
【0071】
次いで、このベンチチェアBにおける施錠装置8の作動を説明する。
【0072】
平時は、前記自動型解錠機構9のプランジャ941には通電が断たれており、図16に示すように、そのプランジャ941は自重によりロック位置(L)に安定保持されている。この状態で左右の脚フレーム61、62間にストッカー65を配して、ストッカー65の左右両側に設けられた操作型解錠機構の機械錠83に設けられた鍵穴に鍵82を挿入して施錠操作を行うと、図12に示すように、回動アーム84が解錠位置(U)から施錠位置(L)まで回動し、この回動アーム84の回動端部86が左右の脚フレーム61、62の内側側壁613に設けられたスリット66に係合することになる。その結果、前記ストッカー65が前記ベンチチェアBの左右の脚フレーム61、62間との間で施錠され、脚フレーム61、62間から取り出すことができなくなる。
【0073】
そして、機械錠83に用いられる鍵82は、前記左の脚フレーム61に設けられた引き出し7内に収納して、引き出し7をベンチチェア本体6側へと収める。その後、前記引き出し7の下方に設けられた凹部から前記リンク部材955の先端部957にアクセスし、先端部957を下方に押し下げることによって、ロック機構を施錠する。すなわち、リンク部材955の先端部957が下方に押し下げられると、前記ピン911を介してロックシャフト91が付勢手段であるスプリング92の付勢力に抗して引き上げられ、ロックシャフト91の上部が前記引き出し7の係合部76に設けられた孔78に係わり合う。その結果、引き出し7が脚フレーム本体611に対して施錠される。
【0074】
この状態である一定以上の震度、例えば、震度5以上の地震が発生すると、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54が解錠機構駆動手段55に伝えられ、スイッチング回路57がオフからオンに切り替わって前記ソレノイド94に通電される。その結果、図17に示すように、前記プランジャ941がロック位置(L)から非ロック位置(U)へと上昇し、このプランジャ941の上昇動作によって、プランジャ941の先端側に配される押圧部965が上方に押圧される。その結果、拘束部材96が軸967まわりに回動し、拘束手段93によるロックシャフト91の拘束状態が解除される。
【0075】
具体的には、図17に示すように、ソレノイド94に一時的に通電されて、プランジャ941が2.5mm〜3.0mm上方に突出すると、このプランジャ941に押圧された押圧部965が上方に移動する。そのため、この押圧部965が一体に形成された拘束部材96が軸967まわりに回転し、この拘束部材96の回動端部に設けられた拘束手段93のスプリング97の一端が上方に付勢される。その際、拘束部材96の受け皿状をなす拘束部分966が回動し、前記ロックシャフト91の解錠位置(U)方向への付勢力の拘束を解除することとなる。すなわち、付勢手段であるスプリング92の反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段93の拘束が解除されることとなる。そのため、この拘束手段93の拘束部分966に直接拘束されたロックシャフト91は下方に移動し、このロックシャフト91と前記引き出し7の係合部76との係合が解除される。したがって、この状態になってはじめて引き出し7を引き出すことが可能になり、図13に示すように、この引き出し7の収納空間71内に収容されたストッカー65を解錠するための鍵82を取り出すことができる。そして、この鍵82を用いてストッカー65の機械錠を開ければ、ストッカー65内の防災用品備蓄領域に備えてある備品等の防災用品を利用することができる状態になる。このように、ソレノイド94による小さい動きをスプリング92により増幅させてロックシャフト91を動かすための大きな動きに換えることができ、ロック機構における施解錠を確実に行うことができる。
【0076】
詳述すれば、図13に示すように、この鍵82を用いて、前記ストッカー65の左右両側に設けられた2箇所の機械錠83を解錠し、前記左右の脚フレーム61、62とストッカー65との施錠状態を解除する。そして、図11に示すように、座64の下方から、下端部にキャスタの取り付けられたストッカー65を手前に引き出し、このストッカー65の中央に設けられた1箇所の機械錠83を解錠し、前記ストッカー本体651と蓋652との施錠状態を解除する。すると、ストッカー65の蓋652が、図11に二点鎖線で示すように、ストッカー本体651に対して開放可能となり、ストッカー本体651内の収容空間に予め収納された救助工具類を取り出すことが可能となる。
【0077】
なお、ロックシャフト91は、図17に示すように、拘束手段93が解除されることにより付勢手段であるスプリング92の付勢力によって下方に移動することとなるので、このロックシャフト91の中間部近傍にピン911及びリンク部材955を介して取り付けられた表示切換機構95が、図12に示すように、「CLOSED」から「OPEN」に変わり、外部に視覚的にベンチチェア本体6と引き出し7との解錠状態を示す。すなわち、地震が発生して引き出し7が解錠されると、ベンチチェアBの引き出し7内に鍵82等が入っている旨、引き出し7内の鍵82や備品が使用可能である旨等が、ベンチチェアBの外面に表示されるように設定してもよい。
【0078】
この実施形態では、災害発生信号54を受けた後、非ロック位置(U)まで上昇したプランジャ941は、通電が断たれた後、一定時間を経過するとプランジャ941の自重により元の状態へと戻る。
【0079】
なお、災害復興後、または通常の点検を終えた後に、ベンチチェアBの施錠装置8を初期状態に戻すには、ロック体であるロックシャフト91に外力を加える等の操作を行うことにより前記付勢手段であるスプリング92に付勢力を与えつつ前記拘束手段93を拘束位置(R)に復帰させればよい。具体的には、脚フレーム61の前壁617に設けられた凹部からアクセスできるリンク部材955の先端部957に下方向に操作力を加えることにより、リンク部材955を回転移動させるならば、このリンク部材955の基端部956にピン911を介して接続されたロックシャフト91が前記スプリング92の付勢力に抗して上方へと移動し、ロックシャフト91と引き出し7の係合部76が係合する。この際、付勢手段であるスプリング92には、加えられた操作力が弾性エネルギーとして蓄積される。そして、このスプリング92に反発力が蓄積された状態で、拘束手段93がロックシャフト91の下端部を直接支えることでロックシャフト91を拘束する。詳述すれば、拘束手段93のスプリング97の付勢力により拘束部材96が拘束位置(R)に戻る方向へと付勢されるため、拘束部材96の回動端部である拘束部分966が前記ロックシャフト91の下端部に係わり合う位置、すなわち拘束位置(R)へと移動する。その際、プランジャ941は、前述したようにプランジャ941の自重により元の状態へと戻っているので、拘束部材96が元の位置、すなわち拘束位置(R)へと戻るのに妨げとなることはない。このように、リンク部材955を押し下げるという動作によって、このリンク部材955を介してロックシャフト91を上方に移動させればよいので、ワンアクションで、簡単に元の施錠状態にリセットすることができる。
【0080】
このように本実施形態のベンチチェアBに採用されるロック機構は、収納空間71を開放する開放状態(O)と前記収納空間71を閉止する閉止状態(C)との間で相対的に移動可能なベンチチェア本体6と引き出し7との間に設けられ、閉止状態(C)で前記両部材同士を施錠するものであって、前記閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロックシャフト91と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロックシャフト91を解錠位置(U)方向に付勢するスプリング92と、このスプリング92を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段93と、この拘束手段93の拘束状態を感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなるので、地震発生時に鍵82を持った管理者が即座に対応しなくとも、災害発生信号54を受け付けたロック機構が作動することにより引き出し7を解錠状態にすることができ、収納空間71内に収められた鍵82や、LEDライト等の備品を取り出して利用することが可能となる。また、この引き出し7内に収納された鍵82を用いて、いざという時、救助や脱出のために必要なハンマーやバールをストッカー65内に収納してあるので、災害発生時にこのような救助工具類を使用することができる。
【0081】
特に、本実施形態のベンチチェアBは、座64の下に配されたストッカー65に救助工具類を収納しておくことができるとともに、通常は、ベンチとして使用できるので、新たな備蓄スペースを確保する必要がない。
【0082】
また、通常時は、引き出し7及びストッカー65が施錠されているので、ハンマーがバール等の使い方によっては比較的あぶない備品のいたずらや盗難などを防止することができる。特に、ストッカー65にはキャスタが付いているため、地震発生時には揺れによって脚フレーム61、62間から飛び出すことも考えられるが、ストッカー65と脚フレーム61、62との間には、機械錠83が設けられているので、このような心配もない。
【0083】
そして、ストッカー65には比較的重い備品が収められているが、下にキャスタが取り付けられているため、比較的小さな力で座64の下方から取り出すことができる。
【0084】
このベンチチェアBは、比較的小型なものであるため、各フロアに容易に設置することができ、工事の手間を最小限に抑えることができる。
【0085】
また、ロックシャフト91を解錠位置(U)方向に付勢するスプリング92を備えているので、プランジャ941の小さな移動距離を用いてロックシャフト91の駆動距離を大きくすることができる。
【0086】
さらに、感震装置53が、前記ベンチチェア本体6、引き出し7、及びストッカー65から機械的に切り離された状態で設置されたものであるので、いたずらや間違ってベンチチェアBに振動が加えられた場合であっても、ロック機構が作動するのを防ぐことができる。逆に、感震装置53は、通常、アクセスすることができないように脚フレーム61にカバーされているので、誤作動を起こす心配もない。
【0087】
また、前記拘束手段93が、ロックシャフト91を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロックシャフト91が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材96と、この拘束部材96を拘束位置(R)方向に付勢するスプリング97とを備えているので、災害復興時や点検終了時に再度スプリング92に付勢力を加えることができ、元の施錠状態に復元することができる。
【0088】
なお、本実施形態のベンチチェアBは、図15に示すように、ロック機構を形成する部分は点検時であっても開放されないものであり、左側の脚フレーム61に取り付けられた扉612を開成した状態で、内部に、電源56として利用される電池の保持部や、点検時にロック機構の作動を確認するためのスイッチ等を備えている。
【0089】
なお、以上説明した実施形態は、いずれも、防災用具を取り出すのに必要な鍵を、ロック機構を備えた所定の収容空間に収容しておき、地震が発生した際にだけ、前記ロック機構のロック状態を解除して前記鍵を取り出すことができるようにし、災害時に混乱を招くことなしに防災用具を取り出すことができる防災システムに本発明を適用したものである。
【0090】
すなわち、この防災システムは、換言すれば、防災用具を収容するための用具収容空間を開放する開放状態と前記用具収容空間を閉止する閉止状態との間で相対移動する2つのメイン部材間に設けられその閉止状態において前記両メイン部材同士を施錠するメインロック機構と、このメインロック機構の施解錠を行うための鍵を収容するための鍵収容空間を開放する開放状態と前記鍵収容空間を閉止する閉止状態との間で相対動作する2つのサブ部材間に設けられその閉止状態において前記両サブ部材同士をロックするサブロック機構とを具備してなり、地震が発生した際に前記サブロック機構を自動的に解錠して前記メインロック機構の鍵を取り出すことができるようにした防災システムである。この場合、前記メインロック機構は、鍵を用いて施解錠することができるものであればどのようなものであってもよい。また、前記サブロック機構は、地震を感知した場合に自動的に解錠して前記鍵を取り出し得るものであれば、どのようなものであってもよい。
【0091】
かかる防災システムは、防災用具を収容するための大掛かりな用具収容空間側に改造を加えることなしに、防災用具を必要な時に取り出して使用することができるものである。
【0092】
しかして、本発明は、かかる防災システムにおけるサブロック機構の特に好ましいものとして採用可能なもので、本発明のロック機構は、前記サブロック機構に相当し、本発明の「2つの部材」及び「収納空間」は、それぞれ前述した「2つのサブ部材」及び「鍵収容空間」に対応する。
【0093】
本発明は、必ずしもこのような防災システムのサブロック機構に適用するものに限られないのはもちろんである。すなわち、本発明のロック機構を上記一実施形態で示した防災用具を収納してある防災倉庫の施解錠に用いるものや、上記他の実施形態で示したベンチチェアの脚フレームとストッカーとの施解錠、またはストッカー本体とストッカーの蓋との施解錠に用いるものであってもよい。しかしながら、上述した実施形態のように鍵を取り出すための、かかるサブロック機構に適用すれば、特にコンパクト化を図ることができるという効果が得られる。
【0094】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0095】
例えば、操作型施解錠機構は、機械錠を有する機械式のものに限られず、例えば管理者の有するIDカードからの信号を受けて作動体を施錠位置及び解錠位置へと移動させるように制御して扉を施解錠し得る電動式のものや、テンキー式のものであってもよい。
【0096】
付勢手段は、例えば板ばね等、スプリング以外の弾性力を備えるものであってもよく、また、重りを利用するものであってもよい。重りを利用する場合には、例えば、ロック体の下端に重りを取り付け、外部から操作力が加えられた場合に位置エネルギーを反発力として蓄積し、その操作力が解除された状態で重りが下方に移動する際の位置エネルギーを利用した反発力により前記ロック体を解錠位置方向に付勢するものが考えられる。
【0097】
アクチュエータは、本実施形態で説明したソレノイドに限らず、プランジャも単動式のものや復動式のもの等種々採用可能である。
【0098】
感震装置は、本実施形態で説明したように収納什器に直接又は近接して設置した場所において地震を感知する装置に限らず、例えば気象庁が発表する緊急地震速報や、その他収納什器と物理的に離れた場所から発せられる地震情報を無線又は有線で受け取って、災害発生信号を解錠機構駆動手段に伝達するものであってもよく、その他種々変更可能である。また、解錠機構駆動手段は、感震装置から判断回路を介してソレノイドに作動指示を行う機能の他にも、電池残量チェック機能、電池残量限界計測とソレノイド強制作動機能及びメンテナンス後の作動確認機能も有していてもよい。具体的には、電池の残量が少なくなっていることを管理センター等に知らせる機構や、扉や引き出しの開閉状態を外部に音で知らせる機構等を有しているものが考えられる。
【0099】
また、地震以外の災害発生信号を発する装置を適用するものであってもよい。
【0100】
さらに、感震装置等の機器は、床面や壁面に取り付けられるものの他、天井面に取り付けるものであってもよい。
【0101】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…キーボックス本体
2…扉
B…ベンチチェア
61…脚フレーム
7…引き出し
11、71…収納空間
(O)…開放状態
(C)…閉止状態
4、9…ロック機構
41、91…ロック体
(L)…施錠可能位置
(U)…解錠位置
42、92…付勢手段
43、93…拘束手段
(R)…拘束位置
(F)…拘束解除位置
44、94…アクチュエータ
48、97…弾性部材
53…感震装置
54…災害発生信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時に役立つ鍵や備品等を収納しておく鍵保管庫の施錠に好適に使用されるロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、各種のオフィスや公共施設等において、地震等の災害発生に備えて種々の防災用品を蓄えておくことが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来、この種の防災用品は、収納庫等に収められたり、非常用ボタンを押圧することによって扉を開くことができる防災キャビネット等に収容されたりしているのが一般的である。ところが、防災用品の中には、バールやハンマー等のように使い方によっては凶器となり得るものも含まれている。そのため、収納庫等には錠が設けられ、管理者しか開けることができないようにしてあることも少なくない。
【0004】
ところが、このような運用がなされると、いざ災害が発生して備品を取り出したい場合に、鍵を持った管理者が即座に対応できないことがあり、せっかくの備品を利用することができないという不具合を招く可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−224018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述したように、災害が発生した際に鍵や備品等をスムーズに取り出して利用することができないことがあるという課題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上のような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るロック機構は、収納空間を開放する開放状態と前記収納空間を閉止する閉止状態との間で相対的に移動可能な2つの部材間に設けられ、閉止状態で前記両部材同士を施錠するものであって、前記閉止状態において施錠可能位置と解錠位置との間で作動するロック体と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体を解錠位置方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段と、この拘束手段の拘束状態を所定の機器から発信させる災害発生信号を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなることを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、災害発生時に鍵を持った管理者が即座に対応しなくとも、災害発生信号を受け付けたロック機構が作動することにより一方の部材と他方の部材とを解錠状態にすることができ、収納空間内に予め収められた鍵や備品を取り出して利用することが可能となる。特に、ロック体を解錠位置方向に付勢する付勢手段を備えているので、アクチュエータの小さな動作を用いてロック体の駆動距離を大きくすることができる。
【0009】
前記所定の機器としては、前記両部材から機械的に切り離された状態で設置され地震を感知した場合に前記災害発生信号を発信する感震装置が好ましい一態様として挙げられる。
【0010】
前記拘束手段が、ロック体を施錠可能位置で拘束する拘束位置からその拘束を解除し得る拘束解除位置との間で作動できるように設けられロック体が施錠可能位置に達した際にのみ拘束位置に移動可能な拘束部材と、この拘束部材を拘束位置方向に付勢する弾性部材とを備えていれば、点検時や災害復興時に容易にロック体を施錠可能位置に戻すことができる。
【0011】
具体的な一態様としては、一方の部材が、収納空間を備えたキーボックス本体であり、他方の部材が、前記キーボックス本体に開閉可能に取り付けられる扉であるものが挙げられる。
【0012】
また、具体的な他の態様としては、一方の部材が、ベンチチェアの脚部材であり、他方の部材が、前記脚部材に挿脱可能に設けられる収納空間を備えた引き出しであるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のような構成であるから、閉止状態で前記両部材同士を施錠できるとともに、災害が発生した際に鍵や備品等をスムーズに取り出して利用することができるロック機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るキーボックスの使用状態を示す全体斜視図。
【図2】同実施形態のキーボックスを示す正面図。
【図3】同実施形態のキーボックスの開放状態を示す説明図。
【図4】同実施形態のキーボックスの開放状態を示す斜視図。
【図5】同実施形態の自動型解錠機構の要部を示す斜視図。
【図6】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図7】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図8】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図9】同実施形態の解錠機構駆動手段を模式的に示す構成図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るベンチチェアの使用状態を示す全体斜視図。
【図11】同実施形態のベンチチェアを示す全体斜視図。
【図12】同実施形態のベンチチェアの要部を拡大して示す正面図。
【図13】同実施形態のベンチチェアの開放状態を示す説明図。
【図14】同実施形態の左の脚フレームを示す側面図。
【図15】同実施形態の左の脚フレームの要部を示す説明図。
【図16】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図17】同実施形態の施錠装置の要部を示す作用説明図。
【図18】同実施形態の解錠機構駆動手段を模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1ないし図9を参照して、本発明の一実施形態について述べる。
【0016】
この実施形態は、図1に示すように、収納什器が壁51に設置されるキーボックスKである場合のものである。本実施形態に示すキーボックスKは、床面から立設された壁面に取り付けられる場合のものを説明するが、このキーボックスKを床、天井、または斜めになった壁部分等の躯体に取り付けるようにしてもよい。
【0017】
このキーボックスKは、図1ないし図4に示すように、一方の部材である収納空間11を備えたキーボックス本体1と、このキーボックス本体1に開閉可能に取り付けられる他方の部材である備品取り出し用の扉2とを備えている。
【0018】
キーボックス本体1は、図1ないし図4に示すように、金属製のもので、壁面に取り付けられ前面に開口部12を有するベース13と、前記開口部12の左半部を覆うように取り付けられた左側の扉14とを具備してなる。ベース13は、収納空間11を備えたもので、仕切り板15が出し入れ可能に収容されている。この仕切り板15は、例えば防災倉庫の鍵K1を引っ掛けるためのフック16と、LEDライト(懐中電灯)K2を収納しておくためのポケット17とを備えている。この仕切り板15の奥側には、例えば防災マニュアルや、防災倉庫内の物品の取扱説明書、従業員の連絡先一覧等の書類K3を収めることができる。換言すれば、このキーボックスKは、A4サイズの大きさの書類K3を収めることができる程度の収納空間11を有している。なお、キーボックス本体1及び仕切り板15はすべて金属製のものであるため、図3に示すように、マグネットフック18等の磁力を用いてフックを増設する等、収納方法をアレンジすることも可能である。前記左側の扉14は、ベース13の左端に回動可能に取り付けられものであり、前記開口部12を開閉可能にするものである。
【0019】
前記備品取り出し用の扉2は、図1ないし図4に示すように、ベース13の開口部12の右半部を覆うように取り付けられたものである。この備品取り出し用の扉2は、ベース13の右端に回動可能に取り付けられるものであり、前記開口部12を開閉可能にするものである。備品取り出し用の扉2、すなわち右側の扉は、例えばその一側縁21が蝶番を介してベース13の一方の側壁131の前縁部に蝶着されたものである。一方、前記左側の扉14は、例えばその一側縁141が蝶番を介してベース13の他方の側壁132の前縁部に蝶着されたものである。そして、備品取り出し用の扉2の他側縁22と、左側の扉14の他側縁142との間に施錠装置3を設けている。この施錠装置3は、ハンドル31と、操作型施解錠機構32と、本発明のロック機構である自動型解錠機構4とを備えてなる。なお、扉2には図示しないマグネットキャッチを設けており、事故防止のために自然開扉することを防止する機能を付与している。
【0020】
ハンドル31は、図1、図2、図4及び図6に示すように、前記備品取り出し用の扉2を開閉動作させるためのもので、前記操作型施解錠機構32または自動型解錠機構4が作動されることによりキーボックス本体1と備品取り出し用の扉2とが解錠可能状態になった際に、前記扉2を開成させることができる。このハンドル31は、使用者が操作するハンドル本体311と、このハンドル本体311の動きに連動するロック体たるかんぬき部材312とからなる。かんぬき部材312は、図6に示すように、左側の扉14の他側縁142に設けられた窓143に対して突没動作を行うことで、キーボックス本体1と扉2との間のロック状態と非ロック状態とを切り換えることができる。
【0021】
操作型施解錠機構32は、図1、図2、図4及び図6ないし図9に示すように、鍵K1を用いた操作により作動端324が施解錠動作を行う機械錠322と、この機械錠322の作動端324に設けられ施錠位置(L)から解錠位置(U)までの間で作動するロック体である回動アーム323とを具備してなる。具体的には、前記機械錠322は、例えばシリンダー錠方式のもので、その鍵穴に図示しない鍵を挿入して回動操作することにより、図6に示すように、その作動端324が一定の角度範囲内で回転するようになっている。そして、この機械錠322の作動端324に回動アーム323が取着されており、この回動アーム323の回動端部325が前記自動型解錠機構4のロック体41の係合部分に係合するように形成している。
【0022】
前記自動型解錠機構4は、図2及び図5ないし図9に示すように、前記扉2の閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロック体41と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体41を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段であるスプリング42と、このスプリング42を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43と、この拘束手段43の拘束状態を所定の機器である感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなる。このアクチュエータは、例えば、電磁アクチュエータを用いており、具体的には、ロック位置(L)から非ロック位置(U)までの間で作動可能に設けられ所定のロック位置(L)に自己復帰するプランジャ441を有し、通電時にプランジャ441を非ロック位置(U)に強制退避させるソレノイド44を用いている。
【0023】
ロック体41は、図2及び図5ないし図9に示すように、前記施錠可能位置(L)で前記操作型施解錠機構32の回動アーム323の回動端部325に係わり合うロック体本体411と、このロック体本体411と軸413を挟んで反対側に一体に設けられる作動端412とを備えている。このロック体41は、左側の扉14から突設された軸413を中心に回転動作するもので、ロック体41が回動アーム323の回動端部325に係わり合うことのできる施錠可能位置(L)と、ロック体本体411が回動アーム323の回動端部325が施錠可能位置(L)にある場合であっても係わり合わない解錠位置(U)との間で回動可能に軸支されている。ロック体41の作動端412には、長孔状のスリット414が設けられており、このスリット414には、動作伝達手段に設けたピン451を係わり合わせている。動作伝達手段は、具体的には、前記ロック体41にピン451を介して回動可能に接続されるカムロッド45である。このカムロッド45は、上下方向に延出する軸状のものであり、下端部には、表示切換機構46が設けられているとともに、上下方向中間部には、前記ロック体41に接続されるピン451が一体に設けられており、このピン451の上方に付勢手段を取り付けている。
【0024】
付勢手段は、本実施形態においては、図2及び図5ないし図9に示すように、前記カムロッド45に巻装された弾性部材たるスプリング42である。このスプリング42は、いわゆる圧縮コイルスプリングと呼ばれるタイプのものであり、前記左側の扉14から突設されたブラケット144を足場にして上方に付勢されている。このスプリング42の上端部421は、ワッシャ422を介して前記カムロッド45に固着されている。すなわち、このスプリング42は、外部からの操作力をばねによる弾性エネルギーとして蓄えるものであり、拘束手段43によりその拘束が解除されるまでは弾性エネルギーを蓄積するとともに、その拘束が解除された際に、蓄えられた弾性エネルギーをロック体41を作動させるためのエネルギーに変換する。
【0025】
拘束手段43は、図2及び図5ないし図9に示すように、ロック体41を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロック体41が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材47と、この拘束部材47を拘束位置(R)方向に付勢する弾性部材であるスプリング48とを備えている。拘束部材47は、本実施形態においては、前記動作伝達手段であるカムロッド45を介してロック体41を施錠可能位置(L)に拘束する第一のカムプレート471と、この第一のカムプレート471と共通の軸473を介して前記スプリング48に接続される第二のカムプレート472とを具備してなる。
【0026】
第一のカムプレート471は、図5ないし図9に示すように、板状をなす金属性のもので、基端部を前記左側の扉14に軸473を介して枢着することで軸473まわりに回動可能なものである。この第一のカムプレート471の先端部474は、カマ状になっており、キーボックス本体1と扉2とが施錠可能位置(L)に位置する際に前記カムロッド45の上端部452に係わり合う拘束位置(R)と、キーボックス本体1と扉2とが解錠位置(U)に位置する際に前記カムロッド45の上端部452と係わり合わない拘束解除位置(F)との間で回動可能なものである。
【0027】
第二のカムプレート472は、図5ないし図9に示すように、板状をなす金属製のもので、基端部を前記第一のカムプレート471と同じ軸473を介して枢着することで、第一のカムプレート471と一定の角度を保って軸473まわりに回動可能なものである。第二のカムプレート472の先端部、すなわち回動端部475にはスプリング48の一端が取り付けられている。この第二のカムプレート472の基端部と先端部との間には、該第二のカムプレート472に直交する方向に伸びる押圧部材476が取り付けられている。詳述すれば、前記プランジャ441の先端部、本実施形態においては、プランジャ441の上端部には、プランジャ441がロック位置(L)から非ロック位置(U)に移動する際に押圧される軸状の押圧部材476が配されており、この押圧部材476は第二のカムプレート472の回動中間部に接続されている。
【0028】
弾性部材であるスプリング48は、本実施形態においては、図5ないし図9に示すように、一端を前記拘束手段43の第二のカムプレート472の回動端部475に取り付けられるものである。このスプリング48は、いわゆる引っ張りコイルばねと呼ばれるもので、他端を前記左側の扉14から突設させたブラケット145に取り付けることで、第二のカムプレート472の回動端部475は下方に付勢されている。
【0029】
アクチュエータであるソレノイド44は、本実施形態においては、図5ないし図9に示すように、プランジャ441と、このプランジャ441を突没動作させるソレノイド本体442とを有してなる。前記プランジャ441は、軸状のもので、軸心を上下方向に向けて昇降可能に配されている。このプランジャ441は、自己復帰力である自重によって下方に、すなわちソレノイド本体442に対して没入方向に付勢されている。前記ソレノイド本体442は、前記プランジャ441の下半部を包持する円筒状をなす電磁コイル体からなり、通電時に前記プランジャ441を自重に抗して非ロック位置(U)まで上昇させ得るようにしたものである。
【0030】
表示切換機構46は、図2ないし図4及び図6ないし図9に示すように、前記左側の扉14の前面側に設けられたほぼ矩形状をなす窓461と、この窓461に表示される第一の表示部462と、この第一の表示部462に隣接して設けられ前記第一の表示部462と選択的に表示される第二の表示部463とを備えている。具体的には、第一の表示部462はキーボックス本体1と扉2との施錠状態を示す「CLOSED」という表示がなされており、第二の表示部463は前記第一の表示部462の下側に設けられキーボックス本体1と扉2との解錠状態を示す「OPEN」という表示がなされている。これらの表示部462、463は、共通の板状部材464に設けられており、この板状部材464は、前記カムロッド45の下端部近傍に取り付けられている。
【0031】
このキーボックスKが取り付けられる壁51には、災害発生信号54を発する機器である感震装置53が、図2及び図4に示すように、前記キーボックス本体1及び扉2から機械的に切り離された状態で設けられている。すなわち、キーボックスKのベース13の後壁には図示しない開口を有している。この開口に臨む壁面に直接設置されたブラケット52上に感震装置53が設置されている。このブラケット52は、側面視L字型をなすものであり、垂下部521を図示しないビス等により壁面に取り付けるとともに、この垂下部521から一体に延出する水平部522の上に図示しないビス等を用いて感震装置53を止着している。このブラケット52の垂下部521及び感震装置53は、ベース13の左側部分と左側の扉14との間に形成される空間に収容されている。換言すれば、感震装置53は、前記キーボックスKによって周囲を覆われており、キーボックスKと感震装置53とは、それぞれ独立して壁51に取り付けられている。そのため、キーボックスKが外部からの力により揺らされたりしても、感震装置53は作動せず、ロック機構は解除されない。
【0032】
この感震装置53から発せられる災害発生信号54は、解錠機構駆動手段55に伝えられ、この解錠機構駆動手段55の働きにより前記自動型解錠機構4が作動するようになっている。すなわち、解錠機構駆動手段55は、図9に模式的に示すように、前記ソレノイド44に電力を供給するための電池等の電源56と、この電源56による電力供給を遮断させるスイッチング回路57と、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54を受け付けた場合に前記スイッチング回路57を一時的に通電状態に切り換える判断回路58とを具備してなる。
【0033】
なお、図5に示すように、自動型解錠機構4を構成するロック体41、付勢手段であるスプリング42、拘束手段43である拘束部材47及びスプリング48、及びアクチュエータであるソレノイド44、並びに解錠機構駆動手段55を構成する電源56、スイッチング回路57、判断回路58は、前記左側の扉14の裏側に装着されユニット化されている。したがって、この左側の扉14を所定の位置、具体的にはキーボックスKの他方の側壁132に装着することによって、前記自動型解錠機構4を前述したような位置関係に取り付けられるようにされている。
【0034】
次いで、このキーボックスKにおける施錠装置3の作動を説明する。
【0035】
平時は、前記自動型解錠機構4のプランジャ441には通電が断たれており、図6及び図7に示すように、そのプランジャ441は自重によりロック位置(L)に安定保持されている。この状態で備品取り出し用の扉2を閉じ、前記操作型施解錠機構32の機械錠322に設けられた鍵穴に鍵を挿入して施錠操作を行うと、前記回動アーム323が図6に二点鎖線で示す解錠位置(U)から同図に実線で示す施錠位置(L)まで回動し、この回動アーム323の回動端部325が前記ロック体41に係合することになる。その結果、前記扉2が施錠される。
【0036】
なお、ハンドル31を操作して、ハンドル31のかんぬき部材312も前記左側の扉14に係合させておくことが好ましい。すなわち、図6に実線で示すようにハンドル本体311及びかんぬき部材312がロック位置(L)にあるときは、後述する操作型施解錠機構32または自動型解錠機構4が作動されることによりキーボックス本体1と扉2とが解錠可能状態になった場合であっても、ハンドル31の操作がなされて、図6に二点鎖線で示すようにハンドル本体311及びかんぬき部材312が非ロック位置にまで退避しない限り、備品取り出し用の扉2の開閉を行うことができない。そのため、地震が起こって収納空間11に収納されていた鍵K1や備品等が地震の揺れで外部に飛び出すことを抑制している。
【0037】
この状態である一定以上の震度、例えば、震度5以上の地震が発生すると、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54が解錠機構駆動手段55に伝えられ、スイッチング回路57がオフからオンに切り替わって前記ソレノイド44に通電される。その結果、図8に示すように、前記プランジャ441がロック位置(L)から非ロック位置(U)へと上昇し、このプランジャ441の上昇動作によって、プランジャ441の先端側に配される押圧部材476が上方に押圧される。その結果、第二のカムプレート472が軸473まわりに回動するとともに、この第二のカムプレート472と同じ角度を保って、第一のカムプレート471が軸473まわりに回動し、拘束手段43によるロック体41の拘束状態が解除される。
【0038】
具体的には、図8に示すように、ソレノイド44に一時的に通電されて、プランジャ441が2.5mm〜3.0mm上方に突出すると、このプランジャ441に押圧された押圧部材476が上方に移動する。そのため、この押圧部材476が保持されている第二のカムプレート472が軸473まわりに回転し、この第二のカムプレート472の回動端部475に設けられた拘束手段43の弾性部材であるスプリング48の一端が上方に付勢される。その際、第二のカムプレート472に連動して作動する第一のカムプレート471のカマ状をなす先端部474が回動し、前記ロック体41の解錠位置(U)方向への付勢力の拘束を解除することとなる。すなわち、付勢手段であるスプリング42の反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43による拘束が解除されることとなる。そのため、この拘束手段43である第一のカムプレート471の先端部474に直接拘束されたカムロッド45は上方に移動し、このカムロッド45にピン451を介して設けられたロック体41が軸413まわりに回転することによって、このロック体41と前記機械錠322の回動アーム323との係合が解除される。したがって、機械錠322の状態いかんにかかわらず扉2を開くことが可能になり、防災用品備蓄領域に備えてある備品等の防災用品を利用することができる状態になる。このように、ソレノイド44による小さい動きをスプリング42により増幅させてカムロッド45及びロック体41を動かすための大きな動きに換えることができ、ロック機構における施解錠を確実に行うことができる。
【0039】
なお、カムロッド45は、拘束手段43が解除されると、スプリング42の付勢力によって上方に移動することになるので、図8に示すように、このカムロッド45の下端近傍に取り付けられた表示切換機構46が、「CLOSED」から「OPEN」に変わり、キーボックスKの外部に視覚的にキーボックス本体1と扉2との解錠状態を示す。すなわち、地震が発生して扉2が解錠されると、キーボックスK内に防災倉庫の鍵K1等が入っている旨、キーボックスK内の鍵K1や備品が使用可能である旨等が、キーボックスKの外面に表示されるように設定してもよい。
【0040】
この実施形態では、災害発生信号54を受けた後、非ロック位置(U)まで上昇したプランジャ441は、通電が断たれた後、一定時間を経過するとプランジャ441の自重により元の状態へと戻る。
【0041】
なお、災害復興後、または通常の点検を終えた後に、キーボックスKの施錠装置3を初期状態に戻すには、ロック体41に外力を加える等の操作を行うことにより前記付勢手段に付勢力を与えつつ前記拘束手段43を拘束位置(R)に復帰させればよい。具体的には、左側の扉14のスリットから突出しているロック体41に対して上方向に操作力を加えることにより、ロック体41を回転移動させるならば、このロック体41にピン451を介して接続されたカムロッド45が前記付勢手段であるスプリング42の付勢力に抗して下方へと移動する。この際、スプリング42には、加えられた操作力が弾性エネルギーとして蓄積される。そして、このスプリング42に反発力が蓄積された状態で、拘束手段43がカムロッド45の上端部452を介してロック体41を拘束する。詳述すれば、拘束手段43のスプリング48の付勢力により第二のカムプレート472が拘束位置(R)に戻る方向へと付勢されるため、この第二のカムプレート472と一体になって動く第一のカムプレート471も拘束位置(R)、すなわちその先端部474が前記カムロッド45の上端部452に係わり合う位置へと移動する。その際、プランジャ441は、前述したようにプランジャ441の自重により元の状態へと戻っているので、第二のカムプレート472が元の位置、すなわち拘束位置(R)へと戻るのに妨げとなることはない。このように、ロック体41を持ち上げるという動作によって、このロック体41を介してカムロッド45を下方に移動させればよいので、ワンアクションで、簡単に元の施錠状態にリセットすることができる。
【0042】
このように本実施形態のキーボックスKに採用されるロック機構は、収納空間11を開放する開放状態(O)と前記収納空間11を閉止する閉止状態(C)との間で相対的に移動可能なキーボックス本体1と扉2との間に設けられ、閉止状態(C)で前記両部材同士を施錠するものであって、前記閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロック体41と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体41を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段43と、この拘束手段43の拘束状態を感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなるので、地震発生時に鍵を持った管理者が即座に対応しなくとも、災害発生信号54を受け付けたロック機構が作動することにより扉2を解錠状態にすることができ、収納空間11内に収められた鍵K1や、LEDライトK2等の備品を取り出して利用することが可能となる。特に、本実施形態のキーボックスKは、収納倉庫の近くに設置されるものであるので、災害が発生した際に収納倉庫に向かえば、収納倉庫の鍵K1を前記キーボックスKから取り出すことができ、この鍵を用いて収納倉庫の鍵を解錠すれば、収納倉庫内の食料品や救助工具等を使用することができる。
【0043】
このキーボックスKは、比較的小型なものであるため、各フロアに容易に設置することができる。そのため、収納倉庫自体に感震装置53と連動させたロック機構を備えさせた場合に比べて、工事の手間を最小限に抑えることができる。
【0044】
また、ロック体41を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段を備えているので、プランジャ441の小さな移動距離を用いてロック体41の駆動距離を大きくすることができる。
【0045】
さらに、感震装置53が、前記キーボックス本体1及び扉2から機械的に切り離された状態で設置されたものであるので、いたずらや間違ってキーボックスKに振動が加えられた場合であっても、ロック機構が作動するのを防ぐことができる。逆に、感震装置53は、通常、アクセスすることができないようにキーボックス本体1及び扉2にカバーされているので、誤作動を起こす心配もない。
【0046】
また、前記拘束手段43が、ロック体41を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロック体41が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材47と、この拘束部材47を拘束位置(R)方向に付勢する弾性部材であるスプリング48とを備えているので、災害復興時や点検終了時に再度付勢手段であるスプリング42に付勢力を加えることができ、元の施錠状態に復元することができる。
【0047】
さらに、キーボックスK内に、鍵K1以外のライトK2や手袋等を収納しておけば、キーボックスKから防災倉庫にたどりつくまでの間に、これらの備品を使用することができる。
【0048】
また、キーボックス本体1がA4サイズのファイルが収納できる大きさを有しているので、災害マニュアルや緊急連絡先一覧表、備蓄品の取扱説明書など、災害時に必要な書類K3を入れることができる。
【0049】
なお、本実施形態のキーボックスKの左側の扉14は点検時であっても開放されないものであり、左側の扉14の他側縁142側に、電源56として利用される電池の保持部や、点検時にロック機構の作動を確認するためのスイッチ等を備えている。
【0050】
次いで、図10ないし図18を参照して、本発明の他の実施形態について述べる。
【0051】
この実施形態は、図10に示すように、収納什器がロビー等の床面に設置されるベンチチェアBである場合のものである。
【0052】
このベンチチェアBは、図10ないし図13に示すように、一方の部材であるベンチチェア本体6と、このベンチチェア本体6に挿脱可能に設けられる収納空間71を備えた他方の部材である引き出し7とを具備してなる。
【0053】
このベンチチェア本体6は、図10ないし図13に示すように、対をなす左右の脚部材である脚フレーム61、62と、これら左右の脚フレーム61、62間の上部に架け渡された上フレーム63と、この上フレーム63上に設けられ合板の周囲を布で覆った座64と、座64の下方に設けられ前記左右の脚フレーム61、62間に配されたストッカー65とを備えている。なお、本実施形態では、ベンチチェア本体6のうち左の脚フレーム61を本発明の一方の部材、この左の脚フレーム61に設けられた前後方向にスライド可能な引き出し7が本発明の他の部材に対応する。
【0054】
左の脚フレーム61は、図10ないし図15に示すように、内部に空間を有する脚フレーム本体611と、この脚フレーム本体611に対して開閉可能な扉612とを備えてなる。脚フレーム本体611は、前記扉612が取り付けられる一方の側壁613と、側壁613の上端から伸びる天壁614と、前記側壁613の下端部近傍から伸びる内部底板615と、この内部底板615より外側に配される外部底枠616と、前記側壁613の前端から伸びる前壁617と、前記側壁613の後端から伸びる図示しない後壁と、前記側壁613に対向して設けられる他方の側壁619とを備えた箱状をなすものである。この脚フレーム本体611の内部の空間には、後述するロック機構である自動型解錠機構9が配される。
【0055】
右の脚フレーム62は、図10及び図11に示すように、内部に空間を有する脚フレーム本体621を主体として形成されている。右の脚フレーム62の構造は、左の脚フレーム61の構造に準じるため詳細な説明を省略する。
【0056】
ストッカー65は、図10ないし図13に示すように、上方に開口するストッカー本体651と、このストッカー本体651の開口を開閉することができる蓋652とを備えている。ストッカー本体651は、内部に防災用品備蓄用の空間を有しており、例えば、救急用品、手袋、保護メガネ、マスク、笛、ラジオ、スタンドライト、ヘッドライト、油圧ジャッキ、ロープ及びヘルメット等の備品を収納することができるようになっている。また、例えば平バラシバール、テコバール、ハンマー等の比較的長尺な備品をも収納することができる。この空間の上面開口部には、前記備品等の防災用品挿脱用の蓋652が開閉可能に設けられている。この蓋652は、例えば、その一側縁が図示しない蝶番を介して前記ストッカー本体651の後壁に蝶着されたもので、この蓋652の他側縁とストッカー本体651との間に施錠装置8、具体的には操作型施解錠機構81を設けている。
【0057】
引き出し7は、図10ないし図18に示すように、本実施形態においては、左の脚フレーム61に対して装脱可能に設けられるもので、閉止状態(C)で前記脚フレーム本体611の前壁617と面一になる前壁72と、この前壁72の左右両端から後方に延出し該引き出し7を前後方向にスライド可能にすべくレール溝77に係り合う左右の側壁73と、この左右の側壁73の後端部同士を連結する後壁74と、前記左右の側壁73の下端部間を連結する底壁75とを備えている。この引き出し7は、後述するロック体であるロックシャフト91と係合するための係合部76を備えている。詳述すれば、この係合部76は、引き出し7の後壁74上端から後方に延出させた板状のもので、中央にロックシャフト91の径よりもわずかに大きい径を有する孔78を備えている。この引き出し7には、本実施形態においては、前記左の脚フレーム61とストッカー本体651との施解錠、及びストッカー本体651とストッカー65の蓋652との施解錠を行うための鍵82や、図示しないLEDライトなどの備品を収納している。
【0058】
そして、図10ないし図18に示すように、左の脚フレーム本体611と引き出し7との間、左右の脚フレーム本体611、621とストッカー本体651との間、及びストッカー本体651とストッカー65の蓋652との間に施錠装置8を設けている。この施錠装置8は、操作型施解錠機構81と、ロック機構である自動型解錠機構9とを備えてなる。なお、引き出し7には図示しないマグネットキャッチを設けており、事故防止のために自然に脚フレーム本体611から飛び出すことを防止する機能を付与している。
【0059】
操作型施解錠機構81は、本実施形態においては、図10ないし図13に示すように、左右の脚フレーム本体611、621とストッカー本体651との間、及びストッカー本体651とストッカー65の蓋652との間に設けられたものである。この操作型施解錠機構81は、鍵82を用いた操作により作動端が施解錠動作を行う機械錠83と、この機械錠83の作動端に設けられ施錠位置(L)から解錠位置(U)までの間で作動するロック体である回動アーム84とを具備してなる。具体的には、前記機械錠83は、例えばシリンダー錠方式のもので、その鍵穴に鍵82を挿入して回動操作することにより、図6に示す機械錠と同様に、その作動端が一定の角度範囲内で回転するようになっている。そして、この機械錠83の作動端に回動アーム84が取着されており、この回動アーム84の回動端部86が前記左右の脚フレーム本体611、621の側壁にそれぞれ係合するように形成している。
【0060】
前記自動型解錠機構9は、図14及び図16ないし図18に示すように、前記閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロック体であるロックシャフト91と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体を解錠位置(U)方向に付勢する付勢手段であるスプリング92と、このスプリング92を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段93と、この拘束手段93の拘束状態を感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなる。アクチュエータは、例えば、電磁アクチュエータを用いており、具体的には、ロック位置(L)から非ロック位置(U)までの間で作動可能に設けられ所定のロック位置(L)に自己復帰するプランジャ941を有し、通電時にプランジャ941を非ロック位置(U)に強制退避させるソレノイド94を用いている。
【0061】
ロック体であるロックシャフト91は、図14ないし図18に示すように、前記施錠可能位置(L)で前記引き出し7の係合部76に設けられた係合孔78に係わり合うことのできるもので、該ロックシャフト91が前記引き出し7の係合孔78に挿通された状態で係わり合うことのできる施錠可能位置(L)と、ロックシャフト91が前記引き出し7の係合孔78が施錠可能位置(L)にある場合であっても係わり合わない解錠位置(U)との間で進退動作可能に保持されている。このロックシャフト91は、具体的には、上下方向に延出する軸状のものであり、上下方向中間部には、表示切換機構95が接続されるピン911が一体に設けられており、このピン911の上方に付勢手段を取り付けている。
【0062】
付勢手段は、本実施形態においては、図14及び図16ないし図18に示すように、前記ロックシャフト91に巻装された弾性部材であるスプリング92である。このスプリング92は、いわゆる圧縮コイルスプリングと呼ばれるタイプのものであり、前記左の脚フレーム61の側壁619から突設されたブラケット67を足場にして下方に付勢されている。このスプリング92の下端部921は、図示しないワッシャを介して前記ロックシャフト91に固着されている。すなわち、このスプリング92は、外部からの操作力をばねによる弾性エネルギーとして蓄えるものであり、拘束手段93によりその拘束が解除されるまでは弾性エネルギーを蓄積するとともに、その拘束が解除された際に、蓄えられた弾性エネルギーをロックシャフト91を作動させるためのエネルギーに変換する。
【0063】
拘束手段93は、図14及び図16ないし図18に示すように、ロック体であるロックシャフト91を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロックシャフト91が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材96と、この拘束部材96を拘束位置(R)方向に付勢する弾性部材であるスプリング97とを備えている。
【0064】
拘束部材96は、図14及び図16ないし図18に示すように、一端961がプランジャ941の先端部に接続されるとともに、他端962がロックシャフト91の先端部、すなわち下端部に接続されるものである。詳述すれば、この拘束部材96は、板状をなす金属製のもので、基端部963を前記脚フレーム本体611の側壁619に軸967を介して枢着することで、軸967まわりに回動可能なものである。拘束部材96の中間部964、すなわち基端部963と拘束部材96の他端962側の回動端部との間に設けられた部分には、前記弾性部材であるスプリング97の一端が取り付けられている。この拘束部材96の一端961側の回動端部には、拘束部材96に直交する方向に伸びる押圧部965が設けられている。詳述すれば、前記プランジャ941の先端部、本実施形態においては、プランジャ941の上端部には、プランジャ941がロック位置(L)から非ロック位置(U)に移動する際に押圧される板状の押圧部965が配されており、この押圧部965は拘束部材96の一端961に一体的に接続されている。また、拘束部材96の他端962側の先端部、すなわち回動端部は、拘束部材96に直交する方向に伸びる拘束部分966となっており、左の脚フレーム61と引き出し7とが施錠状態でこの回動端部86が前記ロックシャフト91の下端部に係わり合っている。
【0065】
弾性部材であるスプリング97は、本実施形態においては、図14及び図16ないし図18に示すように、一端を前記拘束手段93の回動端部に取り付けられるものである。このスプリング97は、いわゆる引っ張りコイルばねと呼ばれるもので、他端を脚フレーム本体611から突設させたブラケット68に取り付けることで、拘束部材96の中間部964における回動端部は下方に付勢されている。
【0066】
アクチュエータであるソレノイド94は、本実施形態においては、図14及び図16ないし図18に示すように、プランジャ941と、このプランジャ941を突没動作させるソレノイド本体942とを有してなる。前記プランジャ941は、軸状のもので、軸心を上下方向に向けて昇降可能に配されている。このプランジャ941は、自己復帰力である自重によって下方に、すなわちソレノイド本体942に対して没入方向に付勢されている。前記ソレノイド本体942は、前記プランジャ941の下半部を包持する円筒状をなす電磁コイル体からなり、通電時に前記プランジャ941を自重に抗して非ロック位置(U)まで上昇させ得るようにしたものである。
【0067】
表示切換機構95は、図10ないし図12、図14及び図16ないし図18に示すように、前記左の脚フレーム61の前壁617側に設けられたほぼ矩形状をなす窓951と、この窓951に表示される第一の表示部952と、この第一の表示部952に隣接して設けられ前記第一の表示部952と選択的に表示される第二の表示部953と、これら第一の表示部952と第二の表示部953とを切り換えるための動作伝達手段であるリンク部材955とを備えている。具体的には、第一の表示部952は左の脚フレーム本体611と引き出し7との施錠状態を示す「CLOSED」という表示がなされており、第二の表示部953は前記第一の表示部952の下側に設けられ左の脚フレーム本体611と引き出し7との解錠状態を示す「OPEN」という表示がなされている。これらの表示部952、953は、共通の板状部材954に設けられており、この板状部材954は、リンク部材955の先端部957側に取り付けられている。このリンク部材955は、中間部を脚フレーム本体611に軸を介して枢着してなるもので、この軸まわりに回転動作可能なものである。そして、このリンク部材955の基端部956側は、長孔状をなすスリットを有しており、前記ロックシャフト91に設けられたピン911に係わり合っている。
【0068】
この左の脚フレーム61の底部には、災害発生信号54を発する機器である感震装置53が、図14及び図15に示すように、前記脚フレーム61、及びこの脚フレーム61を含むベンチチェアB全体から機械的に切り離された状態で設けられている。すなわち、脚フレーム61の底部は、内部底板615と外部底枠616とを備えた二重壁構造を成しており、前記外部底枠616の中央部には開口を有している。この開口に臨む地面に直接設置された図示しない感震装置用ケース内に感震装置53が設置されている。前記外部底枠616は脚フレーム本体611に一体に設けられている。この感震装置53は、左の脚フレーム本体611の内部に形成された空間に収容されている。換言すれば、感震装置53は、前記脚フレーム本体611によって周囲を覆われており、脚フレーム本体611と感震装置53とは、それぞれ独立して床に取り付けられている。そのため、脚フレーム本体611が外部からの力により揺らされたりしても、感震装置53は作動せず、ロック機構は解除されない。
【0069】
この感震装置53から発せられる災害発生信号54は、解錠機構駆動手段55に伝えられ、この解錠機構駆動手段55の働きにより前記自動型解錠機構9が作動するようになっている。すなわち、解錠機構駆動手段55は、図18に模式的に示すように、前記ソレノイド94に電力を供給するための電池等の電源56と、この電源56による電力供給を遮断させるスイッチング回路57と、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54を受け付けた場合に前記スイッチング回路57を一時的に通電状態に切り換える判断回路58とを具備してなる。
【0070】
なお、図14に示すように、自動型解錠機構9を構成するロック体であるロックシャフト91、付勢手段であるスプリング92、拘束手段93である拘束部材96及びスプリング97、及びアクチュエータであるソレノイド94、並びに解錠機構駆動手段55を構成する電源56、スイッチング回路57、判断回路58は、前記脚フレーム本体611に装着されユニット化されている。したがって、この脚フレーム本体611を所定の位置、具体的にはベンチチェアBの脚として装着することによって、前記自動型解錠機構9を前述したような位置関係に取り付けられるようにされている。
【0071】
次いで、このベンチチェアBにおける施錠装置8の作動を説明する。
【0072】
平時は、前記自動型解錠機構9のプランジャ941には通電が断たれており、図16に示すように、そのプランジャ941は自重によりロック位置(L)に安定保持されている。この状態で左右の脚フレーム61、62間にストッカー65を配して、ストッカー65の左右両側に設けられた操作型解錠機構の機械錠83に設けられた鍵穴に鍵82を挿入して施錠操作を行うと、図12に示すように、回動アーム84が解錠位置(U)から施錠位置(L)まで回動し、この回動アーム84の回動端部86が左右の脚フレーム61、62の内側側壁613に設けられたスリット66に係合することになる。その結果、前記ストッカー65が前記ベンチチェアBの左右の脚フレーム61、62間との間で施錠され、脚フレーム61、62間から取り出すことができなくなる。
【0073】
そして、機械錠83に用いられる鍵82は、前記左の脚フレーム61に設けられた引き出し7内に収納して、引き出し7をベンチチェア本体6側へと収める。その後、前記引き出し7の下方に設けられた凹部から前記リンク部材955の先端部957にアクセスし、先端部957を下方に押し下げることによって、ロック機構を施錠する。すなわち、リンク部材955の先端部957が下方に押し下げられると、前記ピン911を介してロックシャフト91が付勢手段であるスプリング92の付勢力に抗して引き上げられ、ロックシャフト91の上部が前記引き出し7の係合部76に設けられた孔78に係わり合う。その結果、引き出し7が脚フレーム本体611に対して施錠される。
【0074】
この状態である一定以上の震度、例えば、震度5以上の地震が発生すると、前記感震装置53から発せられる災害発生信号54が解錠機構駆動手段55に伝えられ、スイッチング回路57がオフからオンに切り替わって前記ソレノイド94に通電される。その結果、図17に示すように、前記プランジャ941がロック位置(L)から非ロック位置(U)へと上昇し、このプランジャ941の上昇動作によって、プランジャ941の先端側に配される押圧部965が上方に押圧される。その結果、拘束部材96が軸967まわりに回動し、拘束手段93によるロックシャフト91の拘束状態が解除される。
【0075】
具体的には、図17に示すように、ソレノイド94に一時的に通電されて、プランジャ941が2.5mm〜3.0mm上方に突出すると、このプランジャ941に押圧された押圧部965が上方に移動する。そのため、この押圧部965が一体に形成された拘束部材96が軸967まわりに回転し、この拘束部材96の回動端部に設けられた拘束手段93のスプリング97の一端が上方に付勢される。その際、拘束部材96の受け皿状をなす拘束部分966が回動し、前記ロックシャフト91の解錠位置(U)方向への付勢力の拘束を解除することとなる。すなわち、付勢手段であるスプリング92の反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段93の拘束が解除されることとなる。そのため、この拘束手段93の拘束部分966に直接拘束されたロックシャフト91は下方に移動し、このロックシャフト91と前記引き出し7の係合部76との係合が解除される。したがって、この状態になってはじめて引き出し7を引き出すことが可能になり、図13に示すように、この引き出し7の収納空間71内に収容されたストッカー65を解錠するための鍵82を取り出すことができる。そして、この鍵82を用いてストッカー65の機械錠を開ければ、ストッカー65内の防災用品備蓄領域に備えてある備品等の防災用品を利用することができる状態になる。このように、ソレノイド94による小さい動きをスプリング92により増幅させてロックシャフト91を動かすための大きな動きに換えることができ、ロック機構における施解錠を確実に行うことができる。
【0076】
詳述すれば、図13に示すように、この鍵82を用いて、前記ストッカー65の左右両側に設けられた2箇所の機械錠83を解錠し、前記左右の脚フレーム61、62とストッカー65との施錠状態を解除する。そして、図11に示すように、座64の下方から、下端部にキャスタの取り付けられたストッカー65を手前に引き出し、このストッカー65の中央に設けられた1箇所の機械錠83を解錠し、前記ストッカー本体651と蓋652との施錠状態を解除する。すると、ストッカー65の蓋652が、図11に二点鎖線で示すように、ストッカー本体651に対して開放可能となり、ストッカー本体651内の収容空間に予め収納された救助工具類を取り出すことが可能となる。
【0077】
なお、ロックシャフト91は、図17に示すように、拘束手段93が解除されることにより付勢手段であるスプリング92の付勢力によって下方に移動することとなるので、このロックシャフト91の中間部近傍にピン911及びリンク部材955を介して取り付けられた表示切換機構95が、図12に示すように、「CLOSED」から「OPEN」に変わり、外部に視覚的にベンチチェア本体6と引き出し7との解錠状態を示す。すなわち、地震が発生して引き出し7が解錠されると、ベンチチェアBの引き出し7内に鍵82等が入っている旨、引き出し7内の鍵82や備品が使用可能である旨等が、ベンチチェアBの外面に表示されるように設定してもよい。
【0078】
この実施形態では、災害発生信号54を受けた後、非ロック位置(U)まで上昇したプランジャ941は、通電が断たれた後、一定時間を経過するとプランジャ941の自重により元の状態へと戻る。
【0079】
なお、災害復興後、または通常の点検を終えた後に、ベンチチェアBの施錠装置8を初期状態に戻すには、ロック体であるロックシャフト91に外力を加える等の操作を行うことにより前記付勢手段であるスプリング92に付勢力を与えつつ前記拘束手段93を拘束位置(R)に復帰させればよい。具体的には、脚フレーム61の前壁617に設けられた凹部からアクセスできるリンク部材955の先端部957に下方向に操作力を加えることにより、リンク部材955を回転移動させるならば、このリンク部材955の基端部956にピン911を介して接続されたロックシャフト91が前記スプリング92の付勢力に抗して上方へと移動し、ロックシャフト91と引き出し7の係合部76が係合する。この際、付勢手段であるスプリング92には、加えられた操作力が弾性エネルギーとして蓄積される。そして、このスプリング92に反発力が蓄積された状態で、拘束手段93がロックシャフト91の下端部を直接支えることでロックシャフト91を拘束する。詳述すれば、拘束手段93のスプリング97の付勢力により拘束部材96が拘束位置(R)に戻る方向へと付勢されるため、拘束部材96の回動端部である拘束部分966が前記ロックシャフト91の下端部に係わり合う位置、すなわち拘束位置(R)へと移動する。その際、プランジャ941は、前述したようにプランジャ941の自重により元の状態へと戻っているので、拘束部材96が元の位置、すなわち拘束位置(R)へと戻るのに妨げとなることはない。このように、リンク部材955を押し下げるという動作によって、このリンク部材955を介してロックシャフト91を上方に移動させればよいので、ワンアクションで、簡単に元の施錠状態にリセットすることができる。
【0080】
このように本実施形態のベンチチェアBに採用されるロック機構は、収納空間71を開放する開放状態(O)と前記収納空間71を閉止する閉止状態(C)との間で相対的に移動可能なベンチチェア本体6と引き出し7との間に設けられ、閉止状態(C)で前記両部材同士を施錠するものであって、前記閉止状態(C)において施錠可能位置(L)と解錠位置(U)との間で作動するロックシャフト91と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロックシャフト91を解錠位置(U)方向に付勢するスプリング92と、このスプリング92を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段93と、この拘束手段93の拘束状態を感震装置53から発信させる災害発生信号54を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなるので、地震発生時に鍵82を持った管理者が即座に対応しなくとも、災害発生信号54を受け付けたロック機構が作動することにより引き出し7を解錠状態にすることができ、収納空間71内に収められた鍵82や、LEDライト等の備品を取り出して利用することが可能となる。また、この引き出し7内に収納された鍵82を用いて、いざという時、救助や脱出のために必要なハンマーやバールをストッカー65内に収納してあるので、災害発生時にこのような救助工具類を使用することができる。
【0081】
特に、本実施形態のベンチチェアBは、座64の下に配されたストッカー65に救助工具類を収納しておくことができるとともに、通常は、ベンチとして使用できるので、新たな備蓄スペースを確保する必要がない。
【0082】
また、通常時は、引き出し7及びストッカー65が施錠されているので、ハンマーがバール等の使い方によっては比較的あぶない備品のいたずらや盗難などを防止することができる。特に、ストッカー65にはキャスタが付いているため、地震発生時には揺れによって脚フレーム61、62間から飛び出すことも考えられるが、ストッカー65と脚フレーム61、62との間には、機械錠83が設けられているので、このような心配もない。
【0083】
そして、ストッカー65には比較的重い備品が収められているが、下にキャスタが取り付けられているため、比較的小さな力で座64の下方から取り出すことができる。
【0084】
このベンチチェアBは、比較的小型なものであるため、各フロアに容易に設置することができ、工事の手間を最小限に抑えることができる。
【0085】
また、ロックシャフト91を解錠位置(U)方向に付勢するスプリング92を備えているので、プランジャ941の小さな移動距離を用いてロックシャフト91の駆動距離を大きくすることができる。
【0086】
さらに、感震装置53が、前記ベンチチェア本体6、引き出し7、及びストッカー65から機械的に切り離された状態で設置されたものであるので、いたずらや間違ってベンチチェアBに振動が加えられた場合であっても、ロック機構が作動するのを防ぐことができる。逆に、感震装置53は、通常、アクセスすることができないように脚フレーム61にカバーされているので、誤作動を起こす心配もない。
【0087】
また、前記拘束手段93が、ロックシャフト91を施錠可能位置(L)で拘束する拘束位置(R)からその拘束を解除し得る拘束解除位置(F)との間で作動できるように設けられロックシャフト91が施錠可能位置(L)に達した際にのみ拘束位置(R)に移動可能な拘束部材96と、この拘束部材96を拘束位置(R)方向に付勢するスプリング97とを備えているので、災害復興時や点検終了時に再度スプリング92に付勢力を加えることができ、元の施錠状態に復元することができる。
【0088】
なお、本実施形態のベンチチェアBは、図15に示すように、ロック機構を形成する部分は点検時であっても開放されないものであり、左側の脚フレーム61に取り付けられた扉612を開成した状態で、内部に、電源56として利用される電池の保持部や、点検時にロック機構の作動を確認するためのスイッチ等を備えている。
【0089】
なお、以上説明した実施形態は、いずれも、防災用具を取り出すのに必要な鍵を、ロック機構を備えた所定の収容空間に収容しておき、地震が発生した際にだけ、前記ロック機構のロック状態を解除して前記鍵を取り出すことができるようにし、災害時に混乱を招くことなしに防災用具を取り出すことができる防災システムに本発明を適用したものである。
【0090】
すなわち、この防災システムは、換言すれば、防災用具を収容するための用具収容空間を開放する開放状態と前記用具収容空間を閉止する閉止状態との間で相対移動する2つのメイン部材間に設けられその閉止状態において前記両メイン部材同士を施錠するメインロック機構と、このメインロック機構の施解錠を行うための鍵を収容するための鍵収容空間を開放する開放状態と前記鍵収容空間を閉止する閉止状態との間で相対動作する2つのサブ部材間に設けられその閉止状態において前記両サブ部材同士をロックするサブロック機構とを具備してなり、地震が発生した際に前記サブロック機構を自動的に解錠して前記メインロック機構の鍵を取り出すことができるようにした防災システムである。この場合、前記メインロック機構は、鍵を用いて施解錠することができるものであればどのようなものであってもよい。また、前記サブロック機構は、地震を感知した場合に自動的に解錠して前記鍵を取り出し得るものであれば、どのようなものであってもよい。
【0091】
かかる防災システムは、防災用具を収容するための大掛かりな用具収容空間側に改造を加えることなしに、防災用具を必要な時に取り出して使用することができるものである。
【0092】
しかして、本発明は、かかる防災システムにおけるサブロック機構の特に好ましいものとして採用可能なもので、本発明のロック機構は、前記サブロック機構に相当し、本発明の「2つの部材」及び「収納空間」は、それぞれ前述した「2つのサブ部材」及び「鍵収容空間」に対応する。
【0093】
本発明は、必ずしもこのような防災システムのサブロック機構に適用するものに限られないのはもちろんである。すなわち、本発明のロック機構を上記一実施形態で示した防災用具を収納してある防災倉庫の施解錠に用いるものや、上記他の実施形態で示したベンチチェアの脚フレームとストッカーとの施解錠、またはストッカー本体とストッカーの蓋との施解錠に用いるものであってもよい。しかしながら、上述した実施形態のように鍵を取り出すための、かかるサブロック機構に適用すれば、特にコンパクト化を図ることができるという効果が得られる。
【0094】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0095】
例えば、操作型施解錠機構は、機械錠を有する機械式のものに限られず、例えば管理者の有するIDカードからの信号を受けて作動体を施錠位置及び解錠位置へと移動させるように制御して扉を施解錠し得る電動式のものや、テンキー式のものであってもよい。
【0096】
付勢手段は、例えば板ばね等、スプリング以外の弾性力を備えるものであってもよく、また、重りを利用するものであってもよい。重りを利用する場合には、例えば、ロック体の下端に重りを取り付け、外部から操作力が加えられた場合に位置エネルギーを反発力として蓄積し、その操作力が解除された状態で重りが下方に移動する際の位置エネルギーを利用した反発力により前記ロック体を解錠位置方向に付勢するものが考えられる。
【0097】
アクチュエータは、本実施形態で説明したソレノイドに限らず、プランジャも単動式のものや復動式のもの等種々採用可能である。
【0098】
感震装置は、本実施形態で説明したように収納什器に直接又は近接して設置した場所において地震を感知する装置に限らず、例えば気象庁が発表する緊急地震速報や、その他収納什器と物理的に離れた場所から発せられる地震情報を無線又は有線で受け取って、災害発生信号を解錠機構駆動手段に伝達するものであってもよく、その他種々変更可能である。また、解錠機構駆動手段は、感震装置から判断回路を介してソレノイドに作動指示を行う機能の他にも、電池残量チェック機能、電池残量限界計測とソレノイド強制作動機能及びメンテナンス後の作動確認機能も有していてもよい。具体的には、電池の残量が少なくなっていることを管理センター等に知らせる機構や、扉や引き出しの開閉状態を外部に音で知らせる機構等を有しているものが考えられる。
【0099】
また、地震以外の災害発生信号を発する装置を適用するものであってもよい。
【0100】
さらに、感震装置等の機器は、床面や壁面に取り付けられるものの他、天井面に取り付けるものであってもよい。
【0101】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…キーボックス本体
2…扉
B…ベンチチェア
61…脚フレーム
7…引き出し
11、71…収納空間
(O)…開放状態
(C)…閉止状態
4、9…ロック機構
41、91…ロック体
(L)…施錠可能位置
(U)…解錠位置
42、92…付勢手段
43、93…拘束手段
(R)…拘束位置
(F)…拘束解除位置
44、94…アクチュエータ
48、97…弾性部材
53…感震装置
54…災害発生信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間を開放する開放状態と前記収納空間を閉止する閉止状態との間で相対的に移動可能な2つの部材間に設けられ、閉止状態で前記両部材同士を施錠するロック機構であって、
前記閉止状態において施錠可能位置と解錠位置との間で作動するロック体と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体を解錠位置方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段と、この拘束手段の拘束状態を所定の機器から発信させる災害発生信号を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなることを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記所定の機器が、前記両部材から機械的に切り離された状態で設置され地震を感知した場合に前記災害発生信号を発信する感震装置である請求項1記載のロック機構。
【請求項3】
前記拘束手段が、ロック体を施錠可能位置で拘束する拘束位置からその拘束を解除し得る拘束解除位置との間で作動できるように設けられロック体が施錠可能位置に達した際にのみ拘束位置に移動可能な拘束部材と、この拘束部材を拘束位置方向に付勢する弾性部材とを備えている請求項1または2記載のロック機構。
【請求項4】
一方の部材が、収納空間を備えたキーボックス本体であり、他方の部材が、前記キーボックス本体に開閉可能に取り付けられる扉である請求項1、2または3記載のロック機構。
【請求項5】
一方の部材が、ベンチチェアの脚部材であり、他方の部材が、前記脚部材に挿脱可能に設けられる収納空間を備えた引き出しである請求項1、2または3記載のロック機構。
【請求項1】
収納空間を開放する開放状態と前記収納空間を閉止する閉止状態との間で相対的に移動可能な2つの部材間に設けられ、閉止状態で前記両部材同士を施錠するロック機構であって、
前記閉止状態において施錠可能位置と解錠位置との間で作動するロック体と、外部から操作力が加えられた場合に反発力を蓄積しその操作力が解除された状態で前記反発力により前記ロック体を解錠位置方向に付勢する付勢手段と、この付勢手段を反発力を蓄積した状態で拘束する拘束手段と、この拘束手段の拘束状態を所定の機器から発信させる災害発生信号を受け付けた際に解除するアクチュエータとを具備してなることを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記所定の機器が、前記両部材から機械的に切り離された状態で設置され地震を感知した場合に前記災害発生信号を発信する感震装置である請求項1記載のロック機構。
【請求項3】
前記拘束手段が、ロック体を施錠可能位置で拘束する拘束位置からその拘束を解除し得る拘束解除位置との間で作動できるように設けられロック体が施錠可能位置に達した際にのみ拘束位置に移動可能な拘束部材と、この拘束部材を拘束位置方向に付勢する弾性部材とを備えている請求項1または2記載のロック機構。
【請求項4】
一方の部材が、収納空間を備えたキーボックス本体であり、他方の部材が、前記キーボックス本体に開閉可能に取り付けられる扉である請求項1、2または3記載のロック機構。
【請求項5】
一方の部材が、ベンチチェアの脚部材であり、他方の部材が、前記脚部材に挿脱可能に設けられる収納空間を備えた引き出しである請求項1、2または3記載のロック機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−52362(P2012−52362A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196424(P2010−196424)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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