説明

ロック装置の締結構造

【課題】ねじ部材の締め付けに伴うロック装置の位置ずれを抑制し、その位置ずれに起因する見栄えの低下を抑制することのできるロック装置の締結構造を提供する。
【解決手段】インストルメントパネル(支持体)に開閉可能に設けられ、かつ外壁に凹部18を有するグラブボックス(収納具)と、一部が凹部18内に配置され、グラブボックスを閉位置にロックするとともに操作ハンドル25の操作に応じてロックを解除するロック装置26とを備え、ロック装置26を位置決めピン61,62により凹部18内の所定の箇所に位置決めした状態で、ロック装置26を凹部18の取付壁19に対しねじ部材57,58により締結するようにしたロック装置26の締結構造であって、ねじ部材57,58による締結に伴うロック装置26の回転を規制する突部(回転規制部)65,66を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネル等の支持体にグラブボックス等の収納具を閉位置にロックするロック装置に関し、より詳しくは、ロック装置を収納具に締結する構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の各部には、小物等を収容するための収納具が設けられている。その一形態として、インストルメントパネルに開閉可能に設けられるグラブボックスがある。図11及び図12の少なくとも一方に示すように、このグラブボックスの外壁71には凹部72が設けられ、ここにロック装置73の一部が配置されている。ロック装置73は、グラブボックスを閉位置にロックするとともに操作ハンドル74等の操作部材の操作に応じてロックを解除するためのものである(特許文献1参照)。
【0003】
上記ロック装置73をグラブボックスに組み付けるために、例えば次の構造が採られている。凹部72の取付壁75には孔76が設けられる一方、ロック装置73の上記孔76に対応する箇所にはねじ穴77が設けられている。また、取付壁75には位置決め孔78が設けられる一方、ロック装置73の上記位置決め孔78に対応する箇所には位置決めピン79が突設されている。そして、位置決めピン79が位置決め孔78に挿通されることにより、ロック装置73が凹部72内の所定の箇所に位置決めされた状態で配置され、この状態でビス等のねじ部材81が孔76を通じてねじ穴77に螺入されることにより、ロック装置73が凹部72の取付壁75に締結される。
【特許文献1】特開2004−156331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ロック装置73の締結構造にあっては、ロック装置73の組み付けに際し、ねじ部材81を締め付けたときにロック装置73に対し、図11において時計回り方向の回転トルクが作用する。一方、上記締結構造では、位置決めピン79を位置決め孔78に挿通させることにより、幅方向及び高さ方向についての位置決めを行い、そのうえでねじ部材81を締め付けるようにしているが、上記回転トルクにより位置決めピン79が撓み、ロック装置73が凹部72内の正規の位置からずれて組み付けられるおそれがある。これに伴い操作ハンドル74が凹部72内の正規の位置からずれて、すなわち傾いた状態で組み付けられ、操作ハンドル74と凹部72の内壁面との間隙が不均一となり、見栄えが低下するおそれがある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ねじ部材の締め付けに伴うロック装置の位置ずれを抑制し、位置ずれに起因する見栄えの低下を抑制することのできるロック装置の締結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、支持体に開閉可能に設けられ、かつ外壁に凹部を有する収納具と、一部が前記凹部内に配置され、前記収納具を閉位置にロックするとともに操作部材の操作に応じて前記ロックを解除するロック装置とを備え、前記ロック装置を位置決めピンにより前記凹部内の所定の箇所に位置決めした状態で、同ロック装置を前記凹部の取付壁に対しねじ部材により締結するようにしたロック装置の締結構造であって、前記ねじ部材による締結に伴う前記ロック装置の回転を規制する回転規制部を設けることを要旨とする。
【0007】
上記の構成によれば、ロック装置の収納具への組み付けに際しては、そのロック装置の一部が凹部内に配置される。ロック装置が位置決めピンによって凹部内の所定(正規)の箇所に位置決めされ、この状態でロック装置がねじ部材により凹部の取付壁に締結される。この際、ねじ部材の締め付けに伴いロック装置に回転トルクが作用し、位置決めピンを撓ませながら同ロック装置を取付壁に対し回転させようとする。この点、請求項1に記載の発明では、回転規制部が上記回転トルクの少なくとも一部を受け止めるため、その分、位置決めピンに作用する回転トルクが小さくなる。その結果、位置決めピンのみによって上記回転トルクを受け止める場合に比べ、位置決めピンの撓み度合いが小さくなり、ロック装置が位置決めピンによって規定される凹部内の正規の位置からずれて組み付けられる現象が起こりにくい。これに伴い、位置ずれに起因して操作部材と凹部の内壁面との間隙が不均一となり、見栄えが低下する現象も起こりにくい。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記回転規制部は、前記取付壁であって前記ロック装置の回転方向前方に設けられ、前記位置決めピンにより位置決めされた前記ロック装置に接触又はそれに相当する状態となる突部であることを要旨とする。
【0009】
上記の構成によれば、ロック装置が凹部内に配置され、位置決めピンによって位置決めされた状態では、突部からなる回転規制部が、ロック装置に接触又はそれに相当する状態となる。この回転規制部は、凹部の取付壁であってロック装置の回転方向前方に位置している。そのため、ねじ部材の締め付けに伴いロック装置に回転トルクが作用すると、ロック装置が位置決めピンを撓ませながら取付壁に対し回転しようとするが、上記回転トルクの一部が上記回転規制部によって受け止められる。その分、位置決めピンに作用する回転トルクが小さくなって、上記請求項1に記載の発明の効果が確実に得られる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記回転規制部は、前記取付壁の異なる複数箇所に設けられていることを要旨とする。
上記の構成によれば、ねじ部材の締め付けに伴いロック装置に回転トルクが作用すると、その回転トルクが、凹部の取付壁の複数箇所に設けられた回転規制部によって受け止められる。1箇所当たりの回転規制部が受け止める回転トルクが少なくなり、各回転規制部を小さく構成することが可能である。
【0011】
なお、ロック装置としては、例えば請求項4に記載の発明によるように、前記支持体に形成されたロック孔にスライドピンが係合されることにより前記収納具を閉位置にロックし、前記操作部材の操作により前記スライドピンが前記ロック孔から後退されることにより前記ロックを解除するものを用いることができる。
【0012】
また、収納具としては、請求項5に記載の発明によるように、車両のインストルメントパネルを支持体とし、このインストルメントパネルに開閉可能に取り付けられるグラブボックスが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるロック装置の締結構造によれば、ねじ部材の締め付けに伴うロック装置の位置ずれを抑制し、位置ずれに起因する見栄えの低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、位置関係の記述において、前後関係を示すとき、それは車両の前後方向に合わせて用いるものとする。
【0015】
図1〜図3の少なくとも1つに示すように、車両のインストルメントパネル11において、助手席の前方に相当する箇所には、後端面において開口する凹所12が設けられており、この凹所12にグラブボックス13が開閉可能に設けられている。ここで、インストルメントパネル11が請求項における支持体に該当し、グラブボックス13が収納具に該当する。
【0016】
グラブボックス13は、上端が開放された有底箱状のボックス本体14と、そのボックス本体14に対し、後ろ側から取り付けられたカバー部15とを備えている。ボックス本体14は、小物等を収容するためのものであり、グラブボックス13の大部分を占めている。カバー部15はグラブボックス13の外壁を構成する部材であり、その後面15Aが意匠面となる。カバー部15は、その下端部において軸16により上記凹所12の内側壁17に略上下方向に回動可能に支持されている。これらボックス本体14及びカバー部15は、凹所12から助手席側へ倒れた「開位置」と、凹所12内に格納された「閉位置」(図1〜図3参照)との間で回動する。
【0017】
カバー部15の上部には、その後面15Aにおいて略矩形状に開口し、かつ前方へ凹んだ凹部18が設けられている。凹部18は、上端が開放された有底箱状をなしている。ここでは、凹部18の各部を特定するために、カバー部15の開口21から所定距離前方へ隔てた箇所を「取付壁19」といい、開口21の両側縁21B(図10参照)及び上記取付壁19の両側縁をそれぞれ繋ぐ箇所を「側壁22」といい、開口21の下縁及び取付壁19の下縁間を繋ぐ箇所を「底壁23」というものとする。取付壁19の後面の少なくとも上部は平らな面に形成されている。各側壁22の上部には切欠き24が形成されており、同側壁22の上端が取付壁19よりも低くなっている。
【0018】
上記ボックス本体14及びカバー部15間には、グラブボックス13を閉位置にロックするとともに、操作部材の操作に応じてロックを解除するロック装置26が設けられている。
【0019】
図4〜図6の少なくとも1つに示すように、ロック装置26は、支持枠27、上記操作部材としての操作ハンドル25、左右一対のスライドピン28、左右一対のカム部材29、及び左右一対のばね31を備えて構成されている。
【0020】
支持枠27は、凹部18内に配置されて、後述する締結構造により取付壁19の上部に締結されている(図3参照)。支持枠27の左右両側縁部には、後方へ向けて突出し、かつそれぞれ矩形状の支持孔32(図7参照)を有する左右一対の支持片33が形成されている。また、支持枠27の複数箇所には、それぞれ前方へ向けて突出する平板状のリブが形成されている。これらのリブは、略垂直方向に延びる4片の縦リブ34〜37と、略水平方向へ延びる2片の横リブ38,39とからなる。各縦リブ34〜37の上部であって横リブ38よりも上側の箇所は、前側ほど低くなるように傾斜している。また、支持枠27の左右両端部には、それぞれ前方へ向けて突出する円筒状のボス41,42が形成されている。ボス41は隣り合う縦リブ34,35間に位置し、ボス42は隣り合う縦リブ36,37間に位置している。なお、各縦リブ34〜37、各横リブ38,39、及びボス41,42の各前端面は同一平面上に位置している。
【0021】
操作ハンドル25は、横長の略長方形板状をなす操作部43と、その操作部43の前側上部に円筒状に一体形成された左右一対のガイド部44とを備えて構成されている。各ガイド部44は左右方向に延びており、両端において開口されている。操作ハンドル25は凹部18における開口21の上部に配置されており、上記左右両支持片33間に配置された両ガイド部44を支点として上下方向へ揺動可能である(図3参照)。
【0022】
左右の各カム部材29は、操作ハンドル25の揺動運動を左右方向の往復直線運動に変換するためものである。各カム部材29は、左右方向に並設された角筒状部45及び円筒状部46を有しており、円筒状部46において上記ガイド部44内に収容され、角筒状部45において対応する上記支持片33の支持孔32に挿通されている(図7参照)。上記角筒状部45及び支持孔32が断面矩形状をなしていることから、各カム部材29の左右方向への移動は可能であるが、軸周りの回転は不能である。各カム部材29の外周にはカム溝47が形成されており、ガイド部44内に設けられた突起48がこのカム溝47に係入されている。そして、操作ハンドル25の揺動に伴い、カム溝47における突起48の係合位置が変化し、カム部材29が左右方向へ往復直線運動してガイド部44から出没する。この出没は、上記各側壁22の切欠き24において行われる。
【0023】
左右の各スライドピン28は、その一端部において対応するカム部材29に連結されており、上記操作ハンドル25の揺動操作に応じたカム部材29の往復直線運動に伴い左右方向へ移動する。
【0024】
左右の各ばね31は、操作ハンドル25の各ガイド部44内に圧縮状態で配置されており、左右の各カム部材29をガイド部44から突出させる方向へ付勢している。この付勢方向は、左右の各スライドピン28を、凹所12の内側壁17に形成されたロック孔49に係合させる方向である。
【0025】
上記構成のロック装置26では、乗員が操作ハンドル25を操作しないときには、図5(A)に示すように、ばね31によって付勢された各カム部材29がガイド部44から大きく突出し、これとともに各スライドピン28の端部が対応するロック孔49内に係合し、グラブボックス13が閉位置にロックされる。このときには操作ハンドル25は略垂直状態となる。この状態から乗員が操作ハンドル25を手前に引っ張って上方へ揺動させると、図5(B)に示すように、ばね31に抗して各カム部材29がガイド部44内に没入する方向へ移動し、これとともに各スライドピン28が後退してロック孔49から抜け出す。ロック装置26のロックが解除され、グラブボックス13を開位置へ向けて回動させることが可能となる。
【0026】
なお、図4及び図5中の50は、施錠機構(図示略)を取り付けるための孔である。
次に、上記支持枠27の取付壁19に対する締結構造について説明する。図6及び図7の少なくとも一方に示すように、支持枠27の前面には、ビス等のねじ部材57の螺合可能なねじ穴51を有するボス52と、ねじ部材58の螺合可能なねじ穴53を有するボス54とが形成されている。ボス52は、両縦リブ34,35間であって、上記ボス41の直下に位置している。この位置は上記横リブ39と交わる箇所である。同様に、ボス54は、両縦リブ36,37間であって、上記ボス42の直下に位置している。この位置は上記横リブ39と交わる箇所である。左右の両ボス52,54の前端面は、上述したボス41,42、縦リブ34〜37、及び横リブ38,39の各前端面と同一平面上に位置している。
【0027】
取付壁19の上部において、上記ボス52のねじ穴51に対応する箇所には、上記ねじ部材57の挿通可能な孔55があけられている。また、上記ボス54のねじ穴53に対応する箇所には、上記ねじ部材58の挿通可能な孔56があけられている。
【0028】
さらに、取付壁19に対し支持枠27を幅方向、及び高さ方向について位置決めするために、支持枠27の前面であって各ねじ穴51,53の近傍にはそれぞれ位置決めピン61,62が形成されている。位置決めピン61は縦リブ35と一体に形成され、位置決めピン62は縦リブ36と一体に形成されている。両位置決めピン61,62は、両縦リブ35,36よりも前方へ突出している。
【0029】
取付壁19の上部において、上記位置決めピン61,62に対応する2箇所には位置決め孔63,64があけられている。位置決めピン61,62の公差等を考慮し、位置決めピン61,62が対応する位置決め孔63,64に確実に挿入し得るように、一方の位置決め孔63は横長に形成されている。
【0030】
そして、ロック装置26のグラブボックス13への組み付けに際しては、そのロック装置26の少なくとも一部(支持枠27、操作ハンドル25、両カム部材29、及び両ばね31等)が凹部18内に配置される。位置決めピン61が位置決め孔63に挿入され、位置決めピン62が位置決め孔64に挿入されることで、ロック装置26の支持枠27等が凹部18内の所定(正規)の箇所に位置決めされる。ねじ穴51,53が対応する孔55,56に合致する。また、図10に示すように、操作ハンドル25の上面25Aは水平略となり、左右両側面25Bは略垂直となる。操作ハンドル25の上面25Aと開口21の上縁21Aとの間隙は一様となり、同操作ハンドル25の左右両側面25Bと開口21の対応する側縁21Bとの間隙は一様となる。
【0031】
この状態で、ねじ部材57が孔55を通じてねじ穴51に螺入されるとともに、ねじ部材58が孔56を通じてねじ穴53に螺入され、図8及び図9に示すように、ロック装置26が凹部18の取付壁19に締結される。
【0032】
ところで、上記締結構造によると、ねじ部材57,58を締め付けたときに支持枠27に対し時計回り方向の回転トルクが作用するところ、位置決めピン61,62が細いこともあり(直径が3mm程度)、位置決めピン61,62が同方向へ撓み、支持枠27が凹部18内の正規の位置からずれて組み付けられるおそれがある。これに伴い操作ハンドル25が凹部18内の正規の位置からずれて、すなわち傾いた状態で組み付けられる。操作ハンドル25の上面25Aと開口21の上縁21Aとの間隙は、図10において二点鎖線で示すように、左側で大きく右側で小さいといったように、左右方向に不均一となる。同様に、操作ハンドル25の左右両側面25Bと開口21の対応する側縁21Bとの間隙もまた、図10において二点鎖線で示すように、高さ方向に不均一となる。こうした間隙の不均一は、操作ハンドル25及びその周辺部分の見栄えを低下させる一因となる。
【0033】
そこで、本実施形態では、ねじ部材57,58による締結に伴うロック装置26の回転を規制する回転規制部が設けられている。この回転規制部は、図6及び図7に示すように、凹部18の取付壁19の複数箇所に設けられた突部65,66によって構成されている。一方の突部65は、ボス41、位置決めピン61の上方であって縦リブ35における傾斜部分、及び横リブ38上に対応する箇所に設けられており、左右方向に細長い形状をなしている。この箇所は、上記回転トルクによる位置決めピン61の回転方向前方に相当する。他方の突部66は、位置決めピン62の下方であって横リブ39の下面に対応する箇所に設けられている。この箇所は、上記回転トルクによる位置決めピン62の回転方向前方に相当する。
【0034】
上記のようにして構成された本実施形態では、ロック装置26のグラブボックス13への組み付けに際しねじ部材57,58を締め付けると、その締め付けに伴いロック装置26に対し時計回り方向の回転トルクが作用する。位置決めピン61,62を撓ませながら同ロック装置26を取付壁19に対し回転させようとする。
【0035】
しかし、図8及び図9に示すように、凹部18の取付壁19であってロック装置26の回転方向前方に突部65,66が設けられていて、位置決めピン61,62により位置決めされた状態(ねじ部材57,58による締結前の状態)で、同突部65,66がロック装置26の支持枠27に接触又はそれに相当する状態となっている。ここでの「相当する状態」とは、突部65,66が支持枠27に接近しており、ロック装置26がわずかでも回転した場合にその支持枠27に接触する状態をいう。
【0036】
これらの突部65,66が支持枠27に接触して、上記回転トルクの少なくとも一部を受け止める。そのため、受け止められた分、位置決めピン61,62に作用する回転トルクが小さくなる。特に、本実施形態では、突部65,66が取付壁19の異なる2箇所に設けられているため、上記回転トルクがこれらの突部65,66によって受け止められる。1つ当たりの突部65,66が受け止める回転トルクが少なくなる。
【0037】
その結果、位置決めピン61,62のみによって上記回転トルクを受け止める場合(背景技術がこれに該当する)に比べ、同位置決めピン61,62の撓み度合いが小さくなり、ロック装置26が位置決めピン61,62によって規定される凹部18内の正規の位置からずれて組み付けられる現象が起こりにくい。これに伴い、締結前には正規の箇所に配置されていた操作ハンドル25が、締結後に傾いた状態(図10の二点鎖線参照)となる現象が起こりにくくなる。締結後にも、操作ハンドル25は正規の位置に配置された状態(図10の実線参照)に保持される。
【0038】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)ロック装置26の一部を位置決めピン61,62により凹部18内の所定の箇所に位置決めした状態で、同ロック装置26を凹部18の取付壁19に対しねじ部材57,58により締結するようにしたロック装置26の締結構造において、ねじ部材57,58による締結に伴うロック装置26の回転を規制する回転規制部を設けている。そのため、ねじ部材57,58の締め付けに伴うロック装置26の位置ずれを抑制し、操作ハンドル25が傾いて見栄えが低下する現象を抑制することができる。
【0039】
(2)回転規制部を、凹部18の取付壁19であってロック装置26の回転方向前方に設けられ、位置決めピン61,62により位置決めされたロック装置26に接触又はそれに相当する状態となる突部65,66によって構成している。そのため、ねじ部材57,58の締め付けに伴う回転トルクを上記突部65,66によって受け止め、上記(1)の効果を確実なものとすることができる。
【0040】
(3)突部65,66を取付壁19の異なる2箇所に設けている。そのため、1つ当たりの突部65,66が受け止める回転トルクを小さくし、各突部65,66を小さく構成することができる。
【0041】
(4)ねじ部材57,58の締め付けに伴うロック装置26の位置ずれを抑制するという課題を解決するために、凹部18側(取付壁19)に突部65,66を設けるだけでよく、ロック装置26側の部材(支持枠27等)については対策を講じなくてもすむ。
【0042】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・凹部18の取付壁19において、上記実施形態とは異なる箇所に回転規制部を設けてもよい。また、回転規制部を取付壁19の1箇所又は3箇所以上に設けてもよい。
【0043】
・回転規制部を取付壁19とは異なる箇所、例えば、ロック装置26の構成部材(支持枠27)や、ボックス本体14に設けてもよい。回転規制部を複数箇所に設ける場合、その一部を取付壁19に設定し、残りを取付壁19とは異なる箇所に設定してもよい。
【0044】
・本発明は、位置決めピンが取付壁に設けられ、位置決め孔がロック装置(支持枠)に設けられている場合の締結構造にも適用可能である。
・本発明は、1又は3以上の箇所でロック装置(支持枠)を凹部の取付壁に締結するものにも適用可能である。また、本発明は、1又は3以上の箇所で位置決めピン及び位置決め孔によってロック装置(支持枠)の位置決めを行うものにも適用可能である。
【0045】
・本発明は、インストルメントパネルに組み込まれ、小物等を収納するためのボックス本体と、このボックス本体の開口部を開閉する蓋体とを備えるグラブボックスにも適用可能である。この場合、蓋体にロック装置が設けられる。
【0046】
・本発明は、グラブボックス以外の収納具にも適用可能である。この場合、インストルメントパネルとは異なる部材を支持体とする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を具体化した一実施形態におけるグラブボックスの縦断面図。
【図2】凹部を通る面におけるグラブボックスの縦断面図。
【図3】図2のA部を拡大して示す断面図。
【図4】操作ハンドルの一部を破断して示す正面図。
【図5】(A),(B)はロック装置の動作を説明する概略平面図。
【図6】ロック装置を凹部の取付壁に締結する前の状態を示す部分背面図。
【図7】ロック装置を凹部の取付壁に締結する前の状態を示す部分斜視図。
【図8】ロック装置を凹部の取付壁に締結した状態を示す部分背面図。
【図9】図8において、突部によりロック装置の回転が規制される状態を示す背面図。
【図10】凹部内における操作ハンドルの配置状態を示す部分正面図。
【図11】背景技術におけるロック装置の締結構造を示す部分背面図。
【図12】背景技術におけるロック装置を凹部の取付壁に締結する前の状態を示す部分斜視図。
【符号の説明】
【0048】
11…インストルメントパネル(支持体)、13…グラブボックス(収納具)、15…カバー部(外壁を構成)、18…凹部、19…取付壁、25…操作ハンドル(操作部材)、26…ロック装置、28…スライドピン、49…ロック孔、57,58…ねじ部材、61,62…位置決めピン、65,66…突部(回転規制部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に開閉可能に設けられ、かつ外壁に凹部を有する収納具と、
一部が前記凹部内に配置され、前記収納具を閉位置にロックするとともに操作部材の操作に応じて前記ロックを解除するロック装置と
を備え、前記ロック装置を位置決めピンにより前記凹部内の所定の箇所に位置決めした状態で、同ロック装置を前記凹部の取付壁に対しねじ部材により締結するようにしたロック装置の締結構造であって、
前記ねじ部材による締結に伴う前記ロック装置の回転を規制する回転規制部を設けることを特徴とするロック装置の締結構造。
【請求項2】
前記回転規制部は、前記取付壁であって前記ロック装置の回転方向前方に設けられ、前記位置決めピンにより位置決めされた前記ロック装置に接触又はそれに相当する状態となる突部である請求項1に記載のロック装置の締結構造。
【請求項3】
前記回転規制部は、前記取付壁の複数箇所に設けられている請求項1又は2に記載のロック装置の締結構造。
【請求項4】
前記ロック装置は、前記支持体に形成されたロック孔にスライドピンが係合されることにより前記収納具を閉位置にロックし、前記操作部材の操作により前記スライドピンが前記ロック孔から後退されることにより前記ロックを解除する請求項1〜3のいずれか1つのロック装置の締結構造。
【請求項5】
前記支持体は車両のインストルメントパネルであり、前記収納具はグラブボックスである請求項1〜4のいずれか1つに記載のロック装置の締結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−2118(P2008−2118A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171408(P2006−171408)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】