説明

ロボットの制御装置

【課題】CPUボードとゲートアレイボードとの組み合わせが様々に想定される場合でも、起動時間を極力短縮できるロボットの制御装置を提供する。
【解決手段】CPUボード31とFPGAボード35とを備える制御装置2において、CPU32は、電源が投入されると自身の初期化処理を行なった後に無限待機状態となり、FPGA36は、電源が投入された時点より開始されるコンフィギュレーションデータのロードが完了すると、CPUボード32側にレディ信号を継続的に出力する。そして、CPU32は、レディ信号が出力されたことを認識すると無限待機状態を解除して、FPGAボード35に搭載されている回路の初期化処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUや制御用の周辺回路が搭載されるCPUボードと、回路機能が設定可能に構成されるゲートアレイが搭載されるゲートアレイボードとを備えるロボットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの制御装置(コントローラ)は、CPUとその周辺回路とが搭載されるCPUボードと、ロードされるコンフィギュレーションデータに応じて回路機能を設定可能に構成されるゲートアレイ、所謂フィールドプログラマブルゲートアレイ(以下、FPGAと称す)が搭載されるFPGAボード(ゲートアレイボード)とを備えて構成されるものが多い。FPGAは、個別のアプリケーションに応じてユーザが回路機能を設定できるので、初期投資額が少なく、機能の修正・変更も容易に行うことができる。
【0003】
一方、上記のCPUボードについては、ある程度要求される処理能力に応じて使用するCPUが標準化されていたり、市販品として供給されるものもあり、そのようなCPUボードと、ユーザが設計したFPGAボードとを組み合わせることで、開発コストを削減しつつ制御装置を構成するケースも存在する。
その場合、後者のFPGAボードについては、使用するFPGAの種類やゲート数に応じて、電源が投入された時点からコンフィギュレーションデータのロードが完了するまでの時間が様々に異なる。また、CPUボード側についても、CPUの種類や動作クロック周波数、制御プログラムの相違などにより、電源が投入された時点からリセットが解除され、初期化処理が完了するまでの時間は異なる。
【0004】
そして、CPUボードとFPGAボードとを組み合わせてなるシステムでは、各ボードに電源が投入されると、最初に、CPU側の初期化処理とFPGA側のコンフィギュレーションデータのロードとを行う必要がある。この場合、CPUは、FPGAのデータロードが完了した後に、データに応じて設定された機能における内部レジスタの初期化などを行なう必要がある。ここで、CPUボードとFPGAボードとの組み合わせパターンが複数あることを想定すると、CPU側では、FPGAのデータロードが確実に完了するように、待機時間をある程度余裕を持って設定する必要がある(例えば500ms程度)。その結果、待機時間が冗長とならざるを得ず、総じてシステムの起動が遅くなるという問題があった。
【0005】
例えば、FPGAのデータロードが確実に完了したことを検出する技術の1つとして、特許文献1に開示されているものがある。
【特許文献1】特開平9−130233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、CPUは、自身の初期化が完了した後に、FPGAに対して起動制御信号aを出力することでコンフィギュレーションデータのロードを開始させている。すなわち、CPUの初期化とFPGAのコンフィギュレーションとがシリアルに実行されるため、CPU側の初期化が完了しても、その後に開始されるFPGAのコンフィギュレーションが完了するまではシステムが起動されずにアイドル状態となり、やはり起動を効率的に行うことができない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、CPUボードとゲートアレイボードとの組み合わせが様々に想定される場合でも、起動時間を極力短縮できるロボットの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のロボットの制御装置によれば、CPUボードとゲートアレイボードとを備える構成において、CPUは、電源が投入されると自身の初期化処理を行なった後に無限待機状態となり、ゲートアレイは、電源が投入された時点より開始されるコンフィギュレーションデータのロードが完了すると、CPUボード側にレディ信号を継続的に出力する。そして、CPUは、レディ信号が出力されたことを認識すると無限待機状態を解除して、ゲートアレイボードに搭載されている回路の初期化処理を開始する。
【0009】
即ち、制御装置に電源が投入されると、CPU側の初期化処理とゲートアレイ側のデータロードとが同時に開始されて進行する。そして、CPUは、自身の初期化が完了して無限待機状態に移行すると、ゲートアレイのデータロードが完了したことをレディ信号により認識してゲートアレイボード側の初期化を開始する。したがって、CPUとゲートアレイとの組合せが様々に異なる場合でも起動時間を極力短縮することができ、従来のように冗長な待機時間を設定したり、或いは待機時間を予め調整する必要がなくなる。またこの場合、CPUは、無限待機状態においてレディ信号が出力されるまで受動的に待機すれば良いので、起動処理プログラムの作成が容易となる。
【0010】
請求項2記載のロボットの制御装置によれば、CPUボード側の周辺回路に、CPUボードとゲートアレイボードとの間における信号の送受信を行う機能を備える。そして、周辺回路は、電源が投入されると、リセット回路がリセット信号を出力し続けることでリセット状態に維持され、レディ信号がリセット回路に与えられリセット状態が解除されるとCPUに対してスタンバイ信号を出力する。すると、CPUは、そのスタンバイ信号を受けて無限待機状態を解除する。
すなわち、CPUは、初期化処理が完了して無限待機状態に移行しても周辺回路はリセットされ続けているから、例えばCPUがノイズの影響により暴走してゲートアレイボード側の初期化を開始した場合でも、ゲートアレイボードにアクセスすることはできない。したがって、ゲートアレイのデータロードが完了していない段階で初期化が行われることがなく、動作異常に繋がる事態を回避できる。
【0011】
請求項3記載のロボットの制御装置によれば、レディ信号をハイアクティブ信号とする。例えば、ゲートアレイボード側の電源ラインに異常が発生することで電源電圧が降下し、CPUボード側に送信する信号のレベルが低下した場合でも、ゲートアレイのデータロードが完了する以前のレディ信号はローレベルを示しているから、CPUボード側におけるレディ信号の出力状態判定に影響を与えることがない。すなわち、このケースでも安全側に作用することになるから、ロボットの制御には好適である。
【0012】
請求項4記載のロボットの制御装置によれば、ゲートアレイボードに搭載される複数のゲートアレイは、それぞれ自身のコンフィギュレーションデータのロードが完了するとそれぞれロード完了信号を出力し、レディ信号は、複数のロード完了信号の論理積信号として出力される。したがって、複数のゲートアレイが存在する場合でも、CPUボード側に出力される信号線の数が増加することがなく、CPU側では、複数のゲートアレイのデータのロードが全て完了したことを確実に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図5を参照して説明する。図4は、ロボットシステムの構成を示す図,図5は、ロボットシステムの電気的構成を示す機能ブロック図である。ロボットシステムは、ロボット1および制御装置2を備えている。ロボット1は、例えば部品の組み立て用あるいは部品の検査用など、任意の構成のロボットである。制御装置2は、周辺機器として操作ペンダントを構成するティーチィングペンダント3およびプログラム入力用のパソコン4などが接続されている。
【0014】
ロボット1は、例えば6軸の垂直多関節型のロボットとして構成されている。ロボット1は、周知の通り、それぞれアクチュエータであるサーボモータ5などからの駆動力で駆動されるアーム6を有している。アーム6は、先端にエンドエフェクタ7を有している。例えばロボット1で部品の運搬や組み立てなどを行う場合、エンドエフェクタ7としてこれらの部品を保持するためのハンドが用いられる。また、例えばロボット1で部品の検査などを行う場合、エンドエフェクタ7として対象となる部品を撮影するカメラなどが用いられる。このように、エンドエフェクタ7は、ロボット1を適用する工程に応じて任意に選択することができる。サーボモータ5からアーム6のエンドエフェクタ7までの間には、図示しない減速機構やリンクなどの駆動力伝達機構が設けられている。これにより、アーム6の先端に設けられているエンドエフェクタ7は、サーボモータ5からの駆動力によって駆動される。ロボット1と制御装置2との間は、接続ケーブル8によって接続されている。これにより、ロボット1の各軸を駆動するサーボモータ5、および作業を実施するエンドエフェクタ7は、制御装置2によって制御される。
【0015】
ティーチィングペンダント3は、例えばユーザが携帯あるいは手に所持して操作可能な程度の大きさで、例えば薄型の略矩形箱状に形成されている。ティーチィングペンダント3は、表面部の中央部に例えば液晶ディスプレイからなる表示部11を有している。表示部11には、各種の画面が表示される。表示部11は、タッチパネルで構成されている。また、ティーチィングペンダント3は、表示部11の周囲に各種のキースイッチ12が設けられており、ユーザは、キースイッチ12やタッチパネルによって制御装置2へ種々の指示を入力する。
【0016】
ティーチィングペンダント3は、ケーブル15を経由して制御装置2に接続され、インターフェイスを経由して制御装置2との間で高速のデータ転送を実行するようになっており、キースイッチ12等より入力された操作信号等はティーチィングペンダント3から制御装置2へ送信される。また、制御装置2は、ティーチィングペンダント3へ制御信号や表示用の信号などと共に駆動用の電力を供給する。
ユーザは、上記のティーチィングペンダント3を用いてロボット1の運転や設定などの各種の機能を実行可能であり、例えばキースイッチ12等を操作することで、予め記憶されている制御プログラムを呼び出して、ロボット1の起動や各種のパラメータの設定などを実行できる。また、ロボット1をマニュアル操作で動作させて各種の教示作業も実行可能であり、表示部21には、例えばメニュー画面、設定入力画面、状況表示画面など必要に応じて所望の画面が表示される。
【0017】
パソコン4は例えば汎用のノートパソコンなどであり、ユーザは、プログラミングソフトを実行させることでアプリケーションに応じてロボット1の動作手順などを記述した動作プログラムを作成できる。このパソコン4は、ケーブル16を経由して制御装置2に接続されており、作成されたロボット1の動作プログラムは、パソコン4から制御装置2へ転送される。
【0018】
制御装置2は、箱状のフレームの内部に制御部21が組み込まれている。制御部21は、CPU、ROMおよびRAMなどからなるマイクロコンピュータを主体として構成され、予め入力・記憶されたロボット1の動作プログラムや、各種データおよびパラメータ、ティーチィングペンダント3からの操作信号などに基づいて、サーボ制御部22を経由してロボット1の各軸のサーボモータ5を駆動する。これにより、制御装置2は、ロボット1の動作を制御する。エンコーダ23は、サーボモータ5のロータ位置信号を、サーボ制御部22を経由して制御部21に出力する。
【0019】
図1は、制御装置2を構成する制御部21及びサーボ制御部22を、より具体的に示すものである。制御部21は、回路基板であるCPUボード31に、CPU32,その周辺回路であるチップセット(LSI)33,リセット回路34等を搭載して構成されている。一方、サーボ制御部22は、回路基板であるFPGAボード(ゲートアレイボード)35に、FPGA(ゲートアレイ)36,フラッシュROM37,ダウンロード回路38等を搭載して構成されている。このFPGAボード35には、電源回路部や、サーボモータ5を駆動するためのインバータ回路などを含む駆動回路部等(何れも図示せず)が接続される。
また、FPGAボード35には、基板接続用のコネクタ39が配置されており、CPUボード31は、図1中右辺側に形成されている接続端子部40をコネクタ39に差し込むことで、FPGAボード35に対して垂直に接続されるようになっている。
【0020】
CPUボード31において、CPU32は、図示しないROMに記憶されている制御プログラムに従い、FPGAボード35を介してロボット1の駆動制御を行う。チップセット33は、主としてFPGAボード35側との通信機能をなすLSIである。リセット回路34は、電源が投入されるとチップセット33をリセット状態に制御するもので、後述するようにFPGAボード35側よりレディ信号が与えられると、チップセット33のリセットを解除するように構成されている。
【0021】
FPGAボード35において、フラッシュROM37には、FPGA36の回路機能を設定するコンフィギュレーションデータが記憶されている。ダウンロード回路38は、例えばCPLD(Complex Programmable Logic Device)などで構成されており、電源が投入されると、フラッシュROM37に記憶されているコンフィギュレーションデータを読み出してパラレル/シリアル変換し、FPGA36に送信してロードする機能をなす。尚、フラッシュROM37は汎用のメモリとして使用され、FPGAボード35に搭載されている図示しない他の回路によって使用されるデータ等も併せて記憶されている。
【0022】
次に、本実施例の作用について図2及び図3も参照して説明する。図2は、制御装置2に電源が投入された場合の初期化処理手順を示すタイミングチャートである。電源は、CPUボード31と、FPGAボード35とに対してほぼ同時に供給される(図2(a),(e)参照)。すると、CPUボード31側では、パワーオンリセットが解除された後、CPU32の初期化が開始される(図2(b)参照)。ここでの初期化は、CPU32の内部レジスタ設定や、ワークエリアとして使用するRAMのゼロクリア等である。
また、チップセット33は、前述のようにリセット回路34によりリセット状態に維持される(図2(c)参照)。
【0023】
一方、FPGAボード35側では、パワーオンリセットが解除された後、FPGA36に対するコンフィギュレーション(データロード)がダウンロード回路38により開始される(図2(f)参照)。そして、CPU32は、初期化が完了すると、無限ループを実行する待機状態に移行する。この待機状態を、図2では(d)において「ウェイト」として示す。
FPGA36のコンフィギュレーションが完了すると(図2(f)参照)、FPGA36は、完了信号DONEをアクティブ(ハイ)にするが、CPUボード35側に対しては、それがFPGA36側の準備が完了したことを示すレディ信号として出力される(図2(g)参照)。
【0024】
上記のレディ信号はリセット回路34に与えられ、それをトリガとしてチップセット33のリセットが解除され(図2(c)参照)、チップセット33は、起動するとCPU32に対してスタンバイ信号を出力する。すると、CPU32は、それをトリガとして無限ループを抜けて、システムBIOS(Basic Input Output System)を起動すると共に、FPGAボード35側のハードウエア回路の初期化を行うプログラムを実行する(図2(d)参照)。すなわち、CPU32は、チップセット33よりスタンバイ信号が出力されると、FPGAボード35側よりレディ信号が出力されたことを間接的に認識する。また、上記の「ハードウエア回路の初期化」とは、例えばFPGA35の内部に機能設定したレジスタの初期設定などである。以上で一連の処理が終了する。
【0025】
図3には、比較のため、従来構成についてのタイミングチャートを示す。電源がCPUボード,FPGAボード35に投入されると(図3(a),(d)参照)、図2のケースと同様に、CPUボード側ではCPUの初期化が開始される(図3(b)参照)。尚、この場合チップセットについては図示していないが、CPUと同時にパワーオンリセットが解除される。
初期化が完了すると、CPUは、所定時間(例えば500ms)をタイマで計時する間、待機状態となる。その後、FPGAのコンフィギュレーションが完了しても(図3(e)参照)、CPUが待機状態にある間はFPGA側もそのまま待機することになる。そして、タイマが計時を完了すると、CPUは、FPGAボード側ハードウエア回路の初期化プログラムを実行する(図3(c)参照)。
【0026】
以上のように本実施例によれば、CPUボード31とFPGAボード35とを備える制御装置2において、CPU32は、電源が投入されると自身の初期化処理を行なった後に無限待機状態となり、FPGA36は、電源が投入された時点より開始されるコンフィギュレーションデータのロードが完了すると、CPUボード32側にレディ信号を継続的に出力する。そして、CPU32は、レディ信号が出力されたことを認識すると無限待機状態を解除して、FPGAボード35に搭載されている回路の初期化処理を開始する。したがって、CPU32とFPGA36との組合せが様々に異なる場合でも起動時間を極力短縮することができ、従来のように冗長な待機時間を設定したり、或いは個別の設計に応じて待機時間を調整する必要がなくなる。また、CPU32は、無限待機状態においてレディ信号が出力されるまで受動的に待機すれば良いので、起動処理プログラムの作成が容易となる。
【0027】
そして、CPUボード31側のチップセット33に、CPUボード31とFPGAボード35との間における信号の送受信を行う通信機能を備え、チップセット33は、電源が投入されると、リセット回路34によりリセット状態に維持され、レディ信号がリセット回路34に与えられリセット状態が解除されるとCPU32に対してスタンバイ信号を出力する。すると、CPU32は、そのスタンバイ信号を受けて無限待機状態を解除する。
すなわち、CPU32は、初期化処理が完了して無限待機状態に移行してもチップセット33はリセットされ続けているから、例えばCPU32がノイズの影響により暴走してFPGAボード35側の初期化を開始した場合でも、FPGAボード35にアクセスすることはできない。したがって、FPGA36のデータロードが完了していない段階で初期化が行われることがなく、動作異常に繋がる事態を回避できる。
【0028】
また、レディ信号をハイアクティブ信号とするので、例えば、FPGAボード35側の電源ラインに異常が発生して電源電圧が降下し、CPUボード31側に送信する信号のレベルが低下した場合でも、FPGA36のデータロードが完了する以前のレディ信号はローレベルを示しているから、CPUボード31側におけるレディ信号の出力状態判定に影響を与えることがない。すなわち、このケースでも安全側に作用することになるから、ロボット1の制御には好適である。
【0029】
(第2実施例)
図6は本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例は、FPGAボード35A側に、2個のFPGA36A,36Bが搭載されている場合であり、これらのFPGA36A,36Bを、シリアルにコンフィギュレーションする場合(スレーブシリアルモード)を示す。
【0030】
ダウンロード回路38により出力されるシリアルコンフィギュレーションデータは、FPGA36Aのシリアルデータ入力端子DINに与えられ、FPGA36Aのシリアルデータ出力端子DOUTは、FPGA36Bの入力端子DINに接続されている。そして、両者の完了信号DONEの出力端子は共通に接続されており(ワイアードOR接続)、CPUボード31側にレディ信号として出力される。
【0031】
次に、第2実施例の作用について説明する。ダウンロード回路38により出力されるコンフィギュレーションデータによって、最初にFPGA36Aのコンフィギュレーションが行われる。その間は、FPGA36Aの出力端子DOUTからコンフィギュレーションデータは出力されない。そして、FPGA36Aのコンフィギュレーションが完了すると、完了信号DONEをアクティブレベル:ハイにドライブしようとするが、FPGA36B側が同じ信号をロウにドライブしているので、ロウレベルのままとなる。
【0032】
そして、FPGA36Aの出力端子DOUTからコンフィギュレーションデータの出力が開始され、続いて、FPGA36Bのコンフィギュレーションが行われる。FPGA36Bのコンフィギュレーションが完了すると、FPGA36Bも完了信号DONEをアクティブレベルにドライブするので、その時点でレディ信号がハイレベルとなる。したがって、この場合CPU32は、2つのFPGA36A,36Bのコンフィギュレーションがシリアルに実行されて完了するまで、待機状態を維持する。
【0033】
以上のように第2実施例によれば、2つのFPGA36A,36Bのコンフィギュレーションがシリアルに実行される場合に、レディ信号は、両者のロード完了信号のAND信号として出力されるので、CPUボード31側に出力される信号線の数が増加することがなく、CPU32側では、FPGA36A,36Bのデータロードが全て完了したことを、レディ信号により確実に認識できる。
【0034】
(第3実施例)
図7は本発明の第3実施例であり、FPGAボード35Bには3個のFPGA36A〜36Cが搭載されており、それらを同時にコンフィギュレーションする場合を示す。この場合、各FPGA36A〜36Cに対応して、フラッシュROM37及びダウンロード回路38も3組(A〜C)配置されている(スレーブシリアルモード)。そして、各FPGA36A〜36Cの完了信号DONEの出力端子は、3入力ANDゲート41の入力端子にそれぞれ接続されており、ANDゲート41の出力信号が、CPUボード31側にレディ信号として出力される。
この場合、FPGA36A〜36Cのコンフィギュレーションは同時に並行して行われるため、タイミングチャートは図2と同様になる。
【0035】
以上のように第3実施例によれば、FPGAボード35Bに搭載されるFPGA36A〜36Cは、それぞれ自身のコンフィギュレーションデータのロードが完了するとそれぞれDONE信号を出力し、この場合もレディ信号は、複数のロード完了信号のAND信号として出力される。したがって、CPU32側では、FPGA36A〜36Cのデータロードが全て完了したことを、レディ信号により確実に認識できる。
【0036】
(第4実施例)
図8は、本発明の第4実施例であり、第3実施例と異なる部分について説明する。第4実施例は、第3実施例と同様に、FPGAボード35Cに3個のFPGA36A〜36Cが搭載されるが、フラッシュROM37及びダウンロード回路42は1組だけ搭載されている。ダウンロード回路42は、FPGA36A〜36Cに対して、コンフィギュレーションデータを例えば8ビットのパラレルデータD0:D7により順次ロードするようになっている(スレーブパラレルモード)。
このように構成すれば、3個のFPGA36A〜36Cに対してフラッシュROM37が1つだけ用意される場合でも、コンフィギュレーションをより早く完了することができる。
【0037】
本発明は上記しかつ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形または拡張が可能である。
CPUボードに搭載される周辺回路は、FPGAボード側との通信を行う機能を備えているものに限ることはない。また、LSIに限ることはなく、より小規模なハードウエア回路でも良い。
FPGAボード側より与えられるレディ信号は、CPUに対しても、直接出力するようにしても良い。
第2実施例において、2つのFPGA36A,36Bが出力するDONE信号を、第3実施例等と同様に、ANDゲートを介すことでレディ信号を出力しても良い。
【0038】
また、第2〜第4実施例において、CPUボード31とFPGAボード35との間を接続する信号線数に余裕がある場合には、各FPGA36が出力するDONE信号をそのままCPUボード31側に出力し、リセット回路34側でそれらの論理積をとるように構成しても良い。
また、第2〜第4実施例を、FPGAボード35に、4個以上のFPGA36が搭載されている場合に適用しても良い。
制御対象とするロボットは、垂直多関節型に限ることなく、水平多関節型や直角座標型、単軸型などでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施例であり、ロボットの制御装置を構成する制御部及びサーボ制御部を具体的に示す図
【図2】制御装置に電源が投入された場合の初期化処理手順を示すタイミングチャート
【図3】比較のため従来のケースを示す図2相当図
【図4】ロボットシステムの構成を示す図
【図5】ロボットシステムの電気的構成を示す機能ブロック図
【図6】本発明の第2実施例を示す図1相当図
【図7】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図8】本発明の第4実施例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0040】
図面中、1はロボット、2は制御装置、31はCPUボード、32はCPU、33はチップセット(周辺回路)、35はFPGAボード(ゲートアレイボード)、36はFPGA(ゲートアレイ)、41はANDゲートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの駆動制御を行うもので、
CPUと、このCPUを中心とする制御用の周辺回路とが搭載されるCPUボードと、
このCPUボードに接続され、ロードされるコンフィギュレーションデータに応じて回路機能を設定可能に構成されるゲートアレイが搭載されるゲートアレイボードとを備えるロボットの制御装置において、
前記CPUは、電源が投入されると、自身の初期化処理を行なった後に無限待機状態となり、
前記ゲートアレイは、電源が投入された時点より開始される前記コンフィギュレーションデータのロードが完了すると、前記CPUボード側にレディ信号を継続的に出力し、
前記CPUは、前記レディ信号が出力されたことを認識すると、前記無限待機状態を解除して、前記ゲートアレイボードに搭載されている回路の初期化処理を開始することを特徴とするロボットの制御装置。
【請求項2】
前記周辺回路は、
前記CPUボードと前記ゲートアレイボードとの間における信号の送受信を行う機能を備え、
電源が投入されると、リセット回路がリセット信号を出力し続けることでリセット状態に維持され、
前記レディ信号が出力されて前記リセット回路に与えられることで前記リセット状態が解除されると、前記CPUに対してスタンバイ信号を出力し、
前記CPUは、前記無限待機状態において、前記スタンバイ信号が与えられると前記無限待機状態を解除することを特徴とする請求項1記載のロボットの制御装置。
【請求項3】
前記レディ信号は、ハイアクティブ信号であることを特徴とする請求項1又は2記載のロボットの制御装置。
【請求項4】
前記ゲートアレイボードには、前記ゲートアレイが複数搭載されており、
前記複数のゲートアレイは、自身のコンフィギュレーションデータのロードが完了するとそれぞれロード完了信号を出力し、
前記レディ信号は、前記複数のロード完了信号の論理積信号として出力されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のロボットの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−193321(P2009−193321A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33197(P2008−33197)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】