説明

ロボットアームおよびその修復方法

【課題】 人と協調して作業するロボットアームで、安全確保した上で、ロボットアームを小型化できるようにする。
【解決手段】 熱可塑性樹脂マトリックス部による硬質なロボットアーム表層部に検知対象物が近接することを出力電圧変化として検出し、この出力電圧のレベルによってロボットアーム表層部を加熱軟化させ、検知対象物と接触した際の安全を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と協調して作業するロボットアームに関する。
【背景技術】
【0002】
人と協調作業するロボットは、そのアームが人と接触しても安全なように以下のようなものが開示されている。 (1)アーム表面を柔らかい材料で構成する(例えば、非特許文献1参照)。(2)アーム表面に近接センサを付与して、人と接触する前にアームの動きを調整して接触を回避する。この際、近接センサ機能を柔らかい樹脂材料に持たせる(例えば、特許文献1参照)。
従来のロボットアームは、主にアーム表面を柔らかい材料で構成することを基本として、さらに近接センサ機能を付与することにより対象物である人との接触において安全を確保している。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】林摩梨花、石坂唯、植田亮平、吉海智晃、稲葉雅幸著「発泡体型柔軟肉質の全体被覆変形感覚を備えたヒューマノイドの実現」日本ロボット学会誌、第26巻第8号、社団法人日本ロボット学会発行、2008年11月15日、67−73頁
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−201641号公報(第4−5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のロボットアームにおいて、可搬重量が数kgオーダの場合、アーム表面を柔らかい材料で構成するには、機械的強度を確保するためその厚みが数10mmオーダ必要となり、アームが大型化するという問題があった。また、構造部材の上にこのような柔らかい材料を貼った場合、やはり大型化の問題は解決できない。一方、アーム表面に近接センサを付与した場合、アームの動きが急峻であるとアーム停止あるいは接触回避の動作が人と接触した後になるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ロボットアームが人との接触の際安全を確保するとともにアームを小型化することができるロボットアームを提供する。

【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明による代表的な構成は次の通りである。
【0008】
ロボットアームの表層部がコイル形状に基づくインダクタンス(L)成分、キャパシタンス(C)成分及びレジスタンス(R)成分を有し、被対象物の接近を検知するLCR共振回路として機能するコイル状炭素繊維を含有する硬質熱可塑性樹脂マトリックス部と、硬質熱可塑性樹脂マトリックス部を加熱し、ロボットアームの表層部を軟化し接触した際の安全を確保するための加熱手段と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明による他の代表的な構成は次の通りである。
ロボットアームの硬質熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレンポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ナイロンを含むポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドのいずれかとするものである。
本発明による他の代表的な構成は次の通りである。
ロボットアームの加熱手段が抵抗加熱手段あるいは高周波加熱手段であることを特徴とするものである。
本発明による他の代表的な構成は次の通りである。
ロボットアームの抵抗加熱手段が熱可塑性樹脂マトリックス部に埋め込まれた加熱抵抗であることを特徴とするものである。
本発明による他の代表的な構成は次の通りである。
ロボットアームの表層部に硬質熱可塑性樹脂マトリックス部と高周波加熱用の高周波コイルと電磁シールドを設け、硬質熱可塑性樹脂マトリックス部と電磁シールドとの間に高周波加熱手段が配置されていることを特徴とするものである。
本発明による他の代表的な構成は次の通りである。
加熱により軟化した樹脂マトリックス層を再度加熱しながら成形することを特徴とするり修復方法である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によると、人と協調作業するロボットにおいてロボットアームの安全性を確保した上で小型化することができる。また、請求項2に記載の発明によると、小型化するロボットアームの機械的設計がより容易にすることができる。
また、請求項3に記載の発明によると、安全を確保するアーム材の軟化を容易にすることができる。また、請求項4に記載の発明によると、安全を確保するロボットアームがより小型化にすることができる。また、請求項5に記載の発明によると、安全を確保するアーム材の軟化をより迅速にすることができ、かつ、ロボットアーム駆動部への電気的影響を除去することができる。また、請求項6に記載の発明によると、軟化したアーム材をリユース(再利用)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例を示すロボットアームを有するロボットの概略図
【図2】本発明のロボットアームのアームユニット概略側断面図
【図3】本発明の第1実施例におけるロボットアームのアームユニット表層部の概略展開図
【図4】本発明の第1実施例におけるロボットアームのアームユニット表層部の電気回路を説明するための説明図
【図5】本発明の検知対象物−ロボットアームのアームユニット表層部距離と出力電圧との特性図。あるいは、従来例の検知対象物と近接センサの距離と出力電圧との特性図。
【図6】本発明の第1実施例における他のロボットアームでのアームユニット表層部の概略展開図
【図7】本発明の第2実施例におけるロボットアームのアームユニット表層部の概略展開図
【図8】本発明の第2実施例におけるロボットアームのアームユニット表層部の電気回路を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明のロボットアームを適用したロボットの概略図である。ロボットアーム2は胴体11に接続され、上腕22と下腕23とからなる。上腕22は胴体11と下腕23との接続部の間をユニットとして設計することができ、下腕23は上腕22と図示していないエンドエフェクタとの接続部の間をユニットとして設計することができ、これら2つのユニットは共通のユニットとして取り扱えることから以下アームユニットと呼ぶ。
図2は本発明のアームユニットの概略側断面であり、図3は本発明のロボットアームのアームユニットの表層部概略展開図である。前述のようにアームユニット21は上記ロボットアーム2における上腕22あるいは下腕23の基本構成部分であり、表層部3とこの表層部に覆われた駆動機構(図示せず)と接続部(図示せず)とからなる。アームユニット21の表層部3は外部から硬質熱可塑性樹脂マトリックス部31、電極部32からなる。なお、図3において表層部3はわかりやすいように曲面を展開して表示してある。硬質熱可塑性樹脂マトリックス部31はポリエチレンにコイル形状に基づくインダクタンス(L)成分、キャパシタンス(C)成分及びレジスタンス(R)成分を有してLCR共振回路として機能するコイル状炭素繊維(図示せず)を含有する硬質熱可塑性樹脂マトリックスとして構成される。本発明が従来技術と異なる部分は、樹脂マトリックス部の樹脂が弾性を有する樹脂ではなく、ポリエチレンのような硬質でかつ熱可塑性樹脂で構成される点にある。なお、樹脂マトリックス部を構成する樹脂は硬質樹脂であっても熱硬化性樹脂はふさわしくない。これは、後述のとおり、表層部を軟化させる動作の後、再び利用可能に成形することができなくなるからである。
表層部3は図3に示されるように、図示しないコイル状炭素繊維が板状をなす硬質熱可塑性樹脂ポリエチレンマトリックス31中に分散されて形成され、該表層部3の内面には複数対の電極32が電気的に接続され電極部を形成する。複数対の電極32は銅板などにより形成され、一対の電極の両電極32間には検知接続線33を介して一つの検知回路41が接続されている。さらに上記一対の電極の両電極32間には上記一つの検知回路41に対応した加熱接続線51を介して加熱回路52が接続されている。一つの検知回路41からは図5で示す出力信号が出力される。したがって、上記複数対の電極32に対しては複数の検知回路41および複数の加熱回路51が接続構成されるが、動作は同じであるため、ここでは一対の電極、検知回路および加熱回路からなる構成で動作等を説明する。
このように構成された表層部3の電気回路4を図4に示す。検知回路41には表層部3に高周波信号を印加する高周波発振回路42、表層部3からの出力信号を増幅する増幅回路43、増幅回路43からの信号の振幅を検出するための検波回路45及び出力回路46が備えられている。表層部3は固有のインピーダンスを有すると共に、検知対象物7も固有のインピーダンスを有している。表層部3には高周波発振回路42から所定周波数の高周波信号が印加されるため、表層部の近傍には交流電界が発生する。また、表層部3のもつキャパシタンス(C)成分のほかに、表層部3と検知対象物7との間にはキャパシタンス(C)成分を有しているから、検知対象物7が表層部3に接近すると、両キャパシタンス(C)成分の全体が変動する。そのような全体の変動によって検知対象物7から表層部3に到る全体のインピーダンスが変化する。そして、この全体のインピーダンスの変化量が表層部3に印加された高周波信号の電圧及び位相を変化させ、その変化量が増幅回路43で増幅されて検波回路45に入力され、同期検波されることにより、検知対象物7の接近によるインピーダンスの連続的な変化が検知される。例えば、図5に示すように、検知対象物7が表層部3に接近すると、その検知対象物7と表層部3との距離(cm)が短くなるにつれて出力電圧(V)が上昇する。一方、表層部3の内面に電気的に接続された電極32に接続された加熱接続線51は加熱回路52に接続されている。加熱回路52では、出力電圧が設定されたレベル、すなわち近接レベルに達すると、スイッチ切替回路53にて、瞬時に電極32へ電圧を印加して加熱接続線33へ電流を流し、表層部硬質熱硬化性樹脂マトリックス部31を加熱して軟化させる。例えば、ロボットアーム停止近接レベルを5cm、表層部軟化開始近接レベルを2cmと設定すると、ロボットアームが比較的緩慢に動作している際には対象物の近接レベル検知で停止することができる。一方、比較的急峻な動作をして、ロボットアーム停止近接レベルを5cmではロボットアームが停止できない場合でもロボットアームが対象物との距離が2cm未満になった時点でロボットアームの表層部3が軟化してロボットアームが検知対象物に衝撃力を与えることなく、安全に接触する。この表層部厚みはアームユニットの機械的強度を保障できるように設計される。これは、ロボットアームの可搬重量や図示しない駆動機構の構造および重量などにより異なるが、一般的にロボットアーム可搬重量が数kgであれば10mm以下での設計も可能となる。なお、アームユニットの機械的強度は表層部3のみで保障してもよいが、図示しない駆動機構と組み合わせて保ってもよい。後者の場合、表層部厚みをより薄くすることができ、アームユニットの小型化につながる。
【0013】
本発明における硬質熱可塑性樹脂マトリックス部の樹脂はポリエチレンで説明したが、これに限られるものではない。ポリエチレンの代わりに上述設計を満足すれば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ナイロンを含むポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドのいずれか一つ、あるいはこれらの混合物でもよい。また、以上の実施例において硬質熱可塑性樹脂マトリックス部には特許文献1に記載されるようなコイル状炭素繊維を含有した場合を述べたが、表層部の機能を果たせばコイル状でなくてもよい。この際は長炭素繊維でもよいが、短炭素繊維が望ましい。これは短繊維の方が上記等価回路におけるコンデンサ(C)の効果が大きくなり、対象物が近接した際のインピーダンス変化量が大きくなるためである。さらに、炭素繊維はホウ素繊維や珪素繊維でも表層部に対象物が近接した際にインピーダンス変化が起こる機能を果たせばよい。アームユニット21の表層部3は、アームユニット21の外殻として一体成形されたものでもよいし、二つ割ないしさらに複数のモジュールに分割されたものを組み合わせてもよい。以上、検知回路41および加熱回路52に関しては、複数対の電極32に対して複数の検知回路41および複数の加熱回路51を対応して構成されるとしたが、検知回路41および加熱回路52は一つあるいは複数対の電極数より少なくて、各複数対の電極32に対して切替えて検出、加熱出来るようにしてもよい。なお、以上の実施例で述べた対象物の近接に伴う出力電圧変化を得る検出回路はその一例であり、人の近接あるいは接触が検出できる構成のものであればこれに限るものではない。検出用電気回路は基準発振信号に対してセンサ素子からの出力信号を同期検波する方式で説明したが、これに限るものではなく、インピーダンス変化を検出できるものであればよい。例えば、インピーダンス変化による振幅変化を検出する他の方式でもよく、またインピーダンス変化を位相変化で検出する方法であってもよくこれらの方式に限られるものではない。
【0014】
また、表層部3の底面に電気的に接続された電極に接続された加熱接続線51を検知接続線33と並列に接続した例を述べたが、図6に示すように加熱用電極55を検出電極とは別に底面に接続してもよい。この際の加熱接続線51は、直近の一つの対の検知接続線に隣接した電極に接続することが望ましい。ただ、検知接続線対と加熱接続線対の数は同数である必要はなく、加熱接続線対の一部は並列接続されていてもよい。また、加熱の効率を上げるため、別に接続する加熱用電極55は硬質熱可塑性樹脂マトリックス部内部に埋め込んでもよい。
さらに、分割した加熱電極にてマトリックス部の抵抗加熱する例を述べたが、別途加熱抵抗体や加熱コイルを表層部の底面に配置したり、マトリックス部内部に埋め込んでもよい。この際、加熱抵抗体や加熱コイルは薄い形状のものが望ましいし、コイルは平面コイルが望ましい。
【0015】
本発明を活用したロボットアームにおいては、表層部3を軟化させ、対象物と接触した際には表層部は変形をする。しかしながら、変形した表層部は以下の方法により再生が可能である。変形したアームユニット21をアームユニットの外形を保持する金型(図示せず)とアームユニット21の内部へ圧力を印加できるロボットアームの表層部再生治具(図示せず)とを併せて使用することにより、ロボットアームの表層部3の変形は容易に修復できる。すなわち、アームユニットをロボットアームの表層部再生治具に装着し、内部圧力を印加した後、上記硬質熱可塑性樹脂マトリックス部31を加熱することにより表層部3の変形は修復できる。 以上、表層部変形の修復方法をアームユニット全体で行なう例を述べたが、表層部をはずして、修復形状に倣わせた後加熱電極に電圧を印加させて修復してもよい。
【0016】
ロボットアームが人に近づく動作だけではなく、人が意図せぬ動作(例えば、工具を用いた作業中に余分な力を伴う腕の動作、人が失神して倒れるなど)をしてロボットアームに接触する場合にも適用される。
【0017】
本実施例では胴体にロボットアームが接続されているロボットでの例を述べたが、これに限定されるものではない。ロボットアームは産業用ロボットに用いられている多関節マニピュレータでもよく、水平スカラー型ロボットでよく、これらを基本として派生するロボットアームやマニピュレータに広く適用可能なことも本発明の大きな特徴である。

【実施例2】
【0018】
本発明の第2の実施例は、第1の実施例と同様であるが、アームユニット21の表層部3が図7のアームユニットの表層部概略展開図に示すとおり硬質熱可塑性樹脂マトリックス部31および電極32の内面にシート状の高周波コイル56を設置して、さらにその内面に高周波コイル56から発生する高周波を遮断する電磁シールド57を設けている。
図8(a)には本実施例におけるアームユニットの表層部の電気回路を示す。この電気回路4も検知回路41は第1の実施例と同じであるが、加熱回路52が高周波コイル56を加熱することに対応している。すなわち、出力回路46からの出力電圧が設定したレベルを超えるとスイッチ切替回路53が動作して、加熱用高周波発振回路58が起動して、この発振回路で発生した信号を高周波増幅回路59で増幅し高周波コイル56に電流を流し、硬質熱可塑性樹脂マトリックス部31が加熱され軟化する。
第2の実施例では第1の実施例に比べて表層部軟化時間を短くすることができるため、検知対象物に対するロボットアーム停止近接レベルおよび表層部軟化開始近接レベルを短く設定することができる。また、本実施例では図8(b)のように、さらに電気回路4の加熱回路52を簡略化できる。すなわち、出力回路46からの出力電圧が設定したレベルを超えるとスイッチ切替回路53が動作して、高周波増幅回路59が起動して、検知回路の高周波発振回路42で発生した波形の電力を高周波増幅回路59で増幅して高周波コイル56に電流を流し、硬質熱可塑性樹脂マトリックス部31を加熱し軟化する。この実施例では、検知回路で使用した高周波発振回路42を加熱時と共通して利用することができるため、加熱回路の高周波発振回路が不要となり、回路の簡素化が、電気回路がよりコンパクトになる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、熱可塑性樹脂マトリックスによる硬質なロボットアームの表層部に検知対象物が接近することを出力電圧変化として検出し、この出力電圧のレベルによってロボットアームの表層部を軟化して、検知対象物の安全を確保できるため、人と接触する可能性があり、動作・移動する構造物の表層部にも適用できる。例えば、人と共存する移動ロボットのアームだけではなく、本体や移動体を含む全ての筐体が挙げられる。また、自動車のボディ、特にバンパーなどが挙げられる。

【符号の説明】
【0020】
1 ロボット
11 胴体
2 ロボットアーム
21 アームユニット
22 上腕
23 下腕
3 表層部
31 硬質熱可塑性樹脂マトリックス部
32 電極
33 検知接続線
4 電気回路
41 本発明例の検知回路
42 高周波発振回路
43 増幅回路
44 位相調整回路
45 検波回路
46 出力回路
5 加熱部
51 加熱接続線
52 加熱回路
53 スイッチ切替回路
54 加熱電流供給線
55 加熱用電極
56 高周波コイル
57 電磁シールド
58 加熱用高周波発振回路
59 高周波増幅回路
6 近接センサ
61 センサ素子
62 コイル状炭素繊維
63 母材(本発明例ではポリエチレンなどの熱可塑性樹脂)
64 従来例の検知回路
7 検知対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人と協調して作業するロボットアームであって、
前記ロボットアームの表層部がコイル形状に基づくインダクタンス(L)成分、キャパシタンス(C)成分及びレジスタンス(R)成分を有し、被対象物の接近を検知するLCR共振回路として機能するコイル状炭素繊維を含有する硬質熱可塑性樹脂マトリックス部と、
前記硬質熱可塑性樹脂マトリックス部を加熱し、ロボットアームの表層部を軟化し接触した際の安全を確保するための加熱手段と、を備えたことを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
前記硬質熱可塑性樹脂マトリックス部が、ポリエチレン、ポリプロピレンポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ナイロンを含むポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記加熱手段が抵抗加熱手段あるいは高周波加熱手段であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記抵抗加熱手段が前記熱可塑性樹脂マトリックス部に埋め込まれた加熱抵抗であることを特徴とする請求項3記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記ロボットアームの表層部に前記硬質熱可塑性樹脂マトリックス部と前記高周波加熱用の高周波コイルと電磁シールドを設け、前記硬質熱可塑性樹脂マトリックス部と前記電磁シールドとの間に前記高周波加熱手段が配置されていることを特徴とする請求項3記載のロボットアーム。
【請求項6】
加熱により軟化した前記硬質熱可塑性樹脂マトリックス部を再度加熱しながら成形し修復することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載のロボットアームのロボットアーム修復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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