説明

ロボットハンドおよびロボット

【課題】対象物を把持するロボットハンドによって溝状のインタフェースを操作する。
【解決手段】対象物を把持するロボットハンドに、掌部10と、掌部10から突出し、対象物を把持可能な一対のグリッパ51,52と、それらグリッパ51,52の間隔が変化するようにグリッパ51,52を移動させる開閉手段と、第1のグリッパ51の先端の第1の指先部55を押し込む直線運動によって第2のグリッパ52の先端の第2の指先部56を第1のグリッパ51に向けて回動するように駆動するリンク手段とを備える。リンク手段は、第1の指先部55に結合されたラック、そのラックにかみ合わされたピニオン、そのピニオンの回転を伝達するベルトなどを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を把持するロボットハンドおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
多様な位置・大きさ・形状の対象物を把持することを目的としたロボットハンドが開発されている(たとえば特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−293786号公報
【特許文献2】特開平8−323678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば家庭など人間と共存する環境において、ロボットハンドには溝形状の取手にハンドの指部を差し入れて扉や引き出しなどを扱うことが求められる。
【0004】
しかし、1対の平行移動可能な指を持った2指1自由度の開閉式ハンドは、ふすまに代表されるようなドアや、引き出し、収納棚の扉など、インタフェースが溝(みぞ)形状のものにアクセスすることは困難である。さらに、ばねなどを用いて扉をロックしている場合には、インタフェースの溝にハンドを挿入してからロックを解除しないと、扉の開閉ができない。
【0005】
ロボットハンドに人間と同じ動作をさせて扉の開閉を実現しようとすると、多自由度多指ハンドを用いて溝にハンドの指を挿入するか、またはロボットが把持しやすい取手を専用のインタフェースとして別途設ける必要がある。多指多自由度のハンドは冗長であるがゆえに機構が複雑となる傾向がある。機構が複雑になると重量が大きくなり、家庭内で動作するような比較的小型の移動ロボットに搭載することが非現実的である。
【0006】
また、比較的自由度の少ない単純な機構のロボットハンド専用のインタフェースを設けることは、出っ張りなどが存在する生活環境においては、人とロボット双方に障害となりうる。
【0007】
そこで、本発明は、対象物を把持するロボットハンドによって溝状のインタフェースを操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、対象物を把持するロボットハンドにおいて、掌部と、前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記掌部に対して相対的に移動が可能な第1のグリッパと、前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記第1のグリッパに向かう回動が可能な第2のグリッパと、前記第1のグリッパの先端を前記掌部に近づける運動によって前記第2のグリッパの先端を前記第1のグリッパに向かって回動するように駆動するリンク手段と、前記第1のグリッパの把持部および前記第2のグリッパの把持部の間隔が変化するように前記第1および第2のグリッパの少なくとも一方を移動させる開閉手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、対象物を把持するロボットにおいて、掌部と、前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記掌部に対して相対的に移動が可能な第1のグリッパと、前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記第1のグリッパに向かう回動が可能な第2のグリッパと、前記第1のグリッパの先端を前記掌部に近づける運動によって前記第2のグリッパの先端を前記第1のグリッパに向かって回動するように駆動するリンク手段と、前記第1のグリッパの把持部および前記第2のグリッパの把持部の間隔が変化するように前記第1および第2のグリッパの少なくとも一方を移動させる開閉手段と、前記掌部を第1のグリッパの突出方向およびその反対方向に移動させる腕部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象物を把持するロボットハンドによって溝状のインタフェースを操作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るロボットハンドの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図3は、本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態の図6におけるIII−III矢視断面図である。図4は、本実施の形態のロボットハンドの図6におけるIV−IV矢視断面図である。図5は、本実施の形態のロボットハンドの図6におけるV−V矢視断面図である。図6は、本実施の形態のロボットハンドの図3、図4および図5におけるVI−VI矢視断面図である。
【0013】
本実施の形態のロボットハンドは、掌部10並びに第1および第2のグリッパ51,52を有している。掌部10は、手首関節22を介して腕部21に接続されている。
【0014】
腕部21は、その軸の周りに回転可能な自由度を持ち、ひねり動作を行うことが可能である。つまり、腕部21の回転により、ロボットハンドの第1および第2のグリッパ51,52を自在な角度に向け、対象にアクセスすることができる。なお、このような回転可能な自由度は、掌部10や手首関節22に持たせてもよい。
【0015】
また、掌部10は、腕部21の軸を含む鉛直平面内で少なくとも1自由度を持ち、その平面内で傾動可能に手首関節22に取り付けられている。つまり、腕部21の水平に対する傾き角が変化しても、掌部10の姿勢を変えずに維持することができる。
【0016】
第1のグリッパ51は、掌部10から延びる第1の指本体53、および、その第1の指本体から延びる第1の指先部55を有している。第2のグリッパ52は、掌部10から第1の指本体53と平行に延びる第2の指本体54、および、その第2の指本体から延びる第2の指先部56を有している。
【0017】
第1の指本体53の内部には、第1の指本体53と同じ方向に延びるラック60が収められている。ラック60の一方の端部は第1の指先部55に固定されていて、他方の端部にはバネ62が取り付けられている。バネ62のラック60に対して反対側の端部は、箱57に固定されている。箱57は、第1の指本体53に固定されている。
【0018】
掌部10の内部には、ラック60とかみ合わされたピニオン61、および、ピニオン61と車軸73で結合された第1のプーリー15が配設されている。また、第2の指本体54の取付け部の近傍には、第2および第3のプーリー16,64が取り付けられている。第1のプーリー15と第2のプーリー16との間には、第1のベルト63がかけ渡されている。第2のプーリー16と第3のプーリー64との間は、回転軸74で結合されている。第2の指先部56には、結合軸72を中心とする第4のプーリー66が取り付けられている。第3のプーリー64と第4のプーリー66との間には、第2のベルト65がかけ渡されている。
【0019】
また、掌部10の内部には、モーター41が配設されている。モーター41の回動は、モーター軸75を介してモーター直結歯車82に伝達される。モーター直結歯車82の回転は、2枚の歯車84,85を介して第1の指本体移動用ラック86に伝達される。また、モーター直結歯車82の回動は、歯車83を介して第2の指本体移動用ラック81にも伝達される。第1および第2の指本体移動用ラック86,81は、それぞれ第1および第2の指本体53,54に取り付けられている。
【0020】
第1のプーリー15と第2のプーリー16のほぼ中間には、調整用プーリー17が配設されている。調整用プーリー17は、第1のベルト63にグリッパ51,52の反対側で接触している。調整用プーリー17には第1のベルト63と干渉しないように取り付けられた調整用ラック44が取り付けられている。調整用ラック44には調整用ピニオン18がかみ合わされている。調整用ピニオン18は、モーター軸75を介してモーター41に結合されている。
【0021】
このような機構による第1および第2のグリッパ51,52の動きを説明する。
【0022】
まず、第1および第2のグリッパ51,52が互いに接近したり遠ざかったりする移動(図1の矢印92)について説明する。
【0023】
モーター41が回動すると、その回動は第1および第2の指本体移動用ラック86,81に伝達される。これにより、第1および第2の指本体移動用ラック86,81は、矢印92に沿って直線運動する。第1および第2の指本体移動用ラック86,81の直線運動に伴って、第1および第2のグリッパ51,52は直線運動する。この直線運動により、第1および第2のグリッパ51,52の間隔が変化する。
【0024】
このようにして、第1および第2のグリッパ51,52を開閉することにより、第1および第2のグリッパ51,52で対象物を把持することができる。対象物の把持は、第1および第2の指先部55,56で行ってもよいし、第1および第2の指本体53,54で行ってもよい。
【0025】
なお、第1および第2のグリッパ51,52の開閉は、第1および第2のグリッパ51,52を均等に動かしているが、不均等に動かしてもよいし、どちらか一方のみを動かしてもよい。
【0026】
次に、第1のグリッパ51の先端すなわち第1の指先部55の先端が掌部10に近づく移動に伴う、第2の指先の先端すなわち第2の指先部56の先端の回動について説明する。
【0027】
図7は、本実施の形態におけるロボットハンドの断面図である。図7は、第1および第2のグリッパ51,52の間隔を狭めた状態を示している。
【0028】
第1および第2のグリッパ51,52の間隔の変化に伴って、第1のプーリー15と第2のプーリー16の間隔も変化する。この間隔の変化は、モーター41が回動した角度に比例している。
【0029】
第1および第2のグリッパ51,52の間隔が狭いほど、第1および第2のグリッパ51,52の間隔が単位長さ変化したときの、第1のベルト63がたわまないような調整用プーリー17の移動量は大きい。このため、調整用ラック44に刻まれた歯の間隔は、第1および第2のグリッパ51,52に近い側ほど大きい。
【0030】
モーター41の回動は、調整用ピニオン18にモーター軸75を介して伝達される。調整用ピニオン18の回動によって、調整用ラック44に伝達されて、第1のベルト63が緩まないように調整用プーリー17は移動される。
【0031】
第1の指先部55にその第1の指先部55を押し込む方向(図1の矢印90の方向)の力が加わると、第1の指先部55は第1の指本体53の内部に押し込まれる。第1の指先部55の移動に伴ってラック60は掌部10の内部に押し込まれ、これに伴ってピニオン61が回動する。ピニオン61の回動は、車軸73によって第1のプーリー15に伝達される。
【0032】
第1のプーリー15の回動は、上述の通り第1および第2のグリッパ51,52の間隔が変化しても緩まない第1のベルト63を介して、第2のプーリー16に伝達される。第2のプーリー16の回動は、回転軸74によって第3のプーリー64に伝達される。第3のプーリー64の回動は、第2のベルト65によって第4のプーリー66に伝達される。第4のプーリー66の回動は、結合軸72を介して第2の指先部56に伝達される。
【0033】
このようにして、第1の指先部55の矢印90の方向への移動によって、第2の指先部56が第1のグリッパ51に向かう方向(図1の矢印91の方向)に回動する。
【0034】
図1は、本実施の形態のロボットハンドをアクセス対象とともに示す側面図である。図2は、本実施の形態のロボットハンドをアクセス対象とともに示す斜視図である。
【0035】
アクセス対象の引き出し付き棚は、棚34、引き出し部30およびロック部32を有していて、棚34と引き出し部30の間には、溝状のインタフェース31が形成されているとする。引き出し部30は、通常はロック部32によって棚34から引き出されないようになっており、ロックが解除されると矢印90の方向に引き出し可能なものである。ロック部32は、この引き出し付き棚の溝状のインタフェース31に配置された爪33を矢印91の方向に押すとロックを解除するように構成されている。
【0036】
第1および第2のグリッパ51,52は矢印92に沿って移動し、第1および第2のグリッパ51,52の間隔は変化可能である。これにより、第1および第2のグリッパ51,52を用いて、物体を把持することができる。
【0037】
このロボットハンドを用いて引き出し部30を引き出す場合には、まず、腕部21を動かして矢印90と反対方向に掌部10を移動させ、第1の指先部55を引き出し部30に押し付ける。これによって第1の指先部55は、矢印90の方向に移動して第1の指本体53の内部に押し込まれる。この第1の指先部55の移動に伴って、第2の指先は結合軸72を中心に矢印91の方向に回動する。このとき掌部10は引き出し部30に向かって移動しているから、第2の指先部56は、回動しながらインタフェース31に進入していくこととなる。
【0038】
このようにして第2の指先部56をインタフェース31に進入させ、爪33を押すことによりロック部32によるロックは解除される。このようにロックが解除された状態で、腕部を動かして掌部10を矢印90の方向に移動させると、第2の指先部56が爪33に引っかかった状態で、棚34から引き出し部30を矢印90の方向に引き出すことができる。
【0039】
その後、たとえば腕部21を動かすことにより、第2の指先部56を爪33から離す。第2の指先部56が爪33から離れた状態で、ロボットハンド全体を矢印90の方向に移動させることにより、ロボットハンドは引き出し部30から離れる。
【0040】
このように、第1のグリッパ51の先端すなわち第1の指先部55の先端が掌部10に近づく移動に伴って、第2の指先の先端すなわち第2の指先部56の先端が回動するロボットハンドを用いると、溝状のインタフェース31を容易に操作することができる。また、このような動作のためにモーターなどの新たな駆動源を設ける必要はない。
【0041】
また、第1および第2のグリッパ51,52を互いに近づくように移動可能であるため、物体を把持することも可能である。
【0042】
なお、ここでは引き出し付き棚へのアクセスについて説明したが、溝状のインタフェースを有する他の対象にも同様にアクセスすることができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明に係るロボットハンドの第2の実施の形態における断面図である。図8は、第1および第2のグリッパ51,52の間隔を狭めた状態を示している。
【0044】
本実施の形態のロボットハンドは、第1の実施の形態の調整用ラックを別の調整用ラック77に変更し、2つのローラー76を設けたものである。
【0045】
2つのローラー76は、調整用プーリー17の両側で第1のベルト63の外面と接触している。また、2つのローラー76は、第1のプーリー15および第2のプーリー16とローラー76との間で第1のベルト63が第1のプーリー15から第2のプーリー16に向かう方向に平行になるように配置されている。
【0046】
調整用ラック77には、等間隔で歯が刻まれている。
【0047】
このようなロボットハンドでは、第1および第2のプーリー15,16の間の距離の変化に比例して調整用プーリー17を移動させることにより、第1のベルト63が緩まないようにすることができる。
【0048】
本実施の形態のロボットハンドは、調整用ラック77が第1の実施の形態よりも単純であり、容易に製造することができる。
【0049】
[第3の実施の形態]
図9は、本発明に係るロボットハンドの第3の実施の形態における断面図である。図9は、第1の指先部55が第1の指本体53に押し込まれた状態を示している。
【0050】
本実施の形態のロボットハンドは、第1の実施の形態のロボットハンドに第1の指先部55を押し込まれた状態で固定可能なロック手段を追加したものである。ロック手段は、第1の指本体53に固定された箱57の内部に配設されている。
【0051】
ロック手段は、ラック60に取り付けられたロック爪1およびロック解除爪4を有している。また、ロック手段は、箱57にバネを介して取り付けられたロック解除スイッチ3、および、ロック解除スイッチ3に取り付けられた引っ掛かり部2を有している。
【0052】
ロック爪1およびロック解除爪4は、ラック60から離れる方向に付勢されていて、また、ラック60の内部に押し込み可能に形成されている。また、第1の指先部55は、バネ62によって第1の指本体53から押し出される方向に力が加えられている。このため第1の指先部55が第1の指本体53に所定の長さ押し込まれると、ロック爪1が引っ掛かり部2に引っ掛かって固定される。
【0053】
ロック解除スイッチ3は、第1の指先部55が最も深く第1の指本体53に押し込まれた状態でロック解除爪4に押されるような位置に配設されている。ロック解除スイッチ3が押されると、第1の指先部55が第1の指本体から最も突出した状態に戻るまで、引っ掛かり部2がロック爪1に引っ掛からないように移動するようになっている。
【0054】
このように、第1のグリッパ51にロック手段を持たせることにより、第2の指先部56を回動させた状態で固定することができる。このようなロボットハンドを用いると、より多様なインタフェース31にアクセスすることができる。
【0055】
[第4の実施の形態]
図10は、本発明に係るロボットハンドの第4の実施の形態における断面図である。
【0056】
本実施の形態のロボットハンドは、第1の実施の形態のロボットハンドと、第1のグリッパ51および第1のグリッパの運動を第1のプーリー15に伝達する機構が異なる。
【0057】
このロボットハンドの第1のグリッパ51は、第1の指本体53と第1の指先部55との間に中間部58が設けられている。第1の指本体53と中間部58との間、および、第1の指先部55と中間部58との間には、それぞれバネ59が取り付けられており、第1のグリッパ51を伸ばすように付勢されている。
【0058】
また、第1の指本体53と中間部58とは指関節軸48で結合されていて、その指関節軸48には指関節プーリー47が結合されている。また、第1の指本体53と中間部58との結合軸にもプーリー49が結合されている。指関節プーリー47の回動は、ベルト45,46を介して回転軸74に伝達され、第1のプーリー15に伝達される。
【0059】
第1の指先部55が掌部10に向かって押されると、第1の指先部55と中間部58との間の角度が小さくなり、第1の指先部55と掌部10との距離は短くなる。このように第1の指先部55が掌部10に向かうように回動すると、その回動に伴って指関節プーリー47およびベルト45,46によって第1のプーリー15が回動する。
【0060】
第1のプーリー15の回動は、第1の実施の形態と同様に第2のグリッパ52に伝達されて、第2の指先部56が回動する。したがって、第1の指先部55が掌部10に近づくことにより、第2の指先部56が回動することとなる。
【0061】
このように、第1の指先部55が回動する場合でも、第1の指先部55が掌部10に近づくとともに第2の指先部56を回動させることができる。つまり、本実施の形態のロボットハンドでも、第1の実施の形態と同様に溝状のインタフェース31(図1参照)を容易に操作することができる。また、このような動作のためにモーターなどの新たな駆動源を設ける必要はない。第1および第2のグリッパ51,52を互いに近づくように移動可能であるため、対象物を把持することも可能である。
【0062】
なお、第1の指先部55と中間部58との間の角度が小さくなった状態で一旦ロックし、さらに第1の指先部55を掌部10に向かうように回動させることによりロックが解除されるようにしてもよい。
【0063】
[他の実施の形態]
第1ないし第4の実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。
【0064】
たとえば、上述の各実施の形態は2つのグリッパを持つ2指のロボットハンドであるが、3指以上のロボットハンドにも適用することができる。掌部10が手首関節22を介して腕部21に接続された自由度の高い動きが可能なロボットハンドについて説明したが、インタフェース31の形状によっては、掌部10の動きの自由度は小さくてもよい場合がある。このような場合には、適宜適当な手首関節22や腕部21を用いればよい。
【0065】
上述の各実施の形態では、回動運動を回動運動に伝達する場合に、プーリーとベルトを用いているが、他の伝達手段を用いてもよい。たとえば、タイミングベルトやチェーンを用いることもできる。また、ベルトの緩みを抑制するために調整プーリーなどを用いているが、プーリーなどの回転体の間の距離に応じて伸縮するようなベルトを用いることもできる。
【0066】
さらに、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態をアクセス対象とともに示す側面図である。
【図2】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態をアクセス対象とともに示す斜視図である。
【図3】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態の図6におけるIII−III矢視断面図である。
【図4】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態の図6におけるIV−IV矢視断面図である。
【図5】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態の図6におけるV−V矢視断面図である。
【図6】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態の図3、図4および図5におけるVI−VI矢視断面図である。
【図7】本発明に係るロボットハンドの第1の実施の形態における断面図である。
【図8】本発明に係るロボットハンドの第2の実施の形態における断面図である。
【図9】本発明に係るロボットハンドの第3の実施の形態における断面図である。
【図10】本発明に係るロボットハンドの第4の実施の形態における断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1…ロック爪、2…引っ掛かり部、3…ロック解除スイッチ、10…掌部、15…第1のプーリー、16…第2のプーリー、17…調整用プーリー、18…調整用ピニオン、21…腕部、22…手首関節、30…引き出し部、31…インタフェース、32…ロック部、33…爪、34…棚、41…モーター、44…調整用ラック、45…ベルト、46…ベルト、47…指関節プーリー、48…指関節軸、49…プーリー、51…第1のグリッパ、52…第2のグリッパ、53…第1の指本体、54…第2の指本体、55…第1の指先部、56…第2の指先部、58…中間部、59…バネ、60…ラック、61…ピニオン、63…第1のベルト、64…第3のプーリー、65…第2のベルト、66…第4のプーリー、72…結合軸、73…車軸、74…回転軸、75…モーター軸、76…ローラー、77…調整用ラック、81…第2の指本体移動用ラック、82…モーター直結歯車、83…歯車、84…歯車、85…歯車、86…第1の指本体移動用ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を把持するロボットハンドにおいて、
掌部と、
前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記掌部に対して相対的に移動が可能な第1のグリッパと、
前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記第1のグリッパに向かう回動が可能な第2のグリッパと、
前記第1のグリッパの先端を前記掌部に近づける運動によって前記第2のグリッパの先端を前記第1のグリッパに向かって回動するように駆動するリンク手段と、
前記第1のグリッパの把持部および前記第2のグリッパの把持部の間隔が変化するように前記第1および第2のグリッパの少なくとも一方を移動させる開閉手段と、
を有することを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記リンク手段は、前記第1のグリッパの少なくとも一部の直線運動によって前記第2のグリッパの先端を前記第1の指に向かって回動するように駆動することを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記第1のグリッパは、前記掌部から離れる方向に延びる第1の指本体と、その第1の指本体から離れる方向に延びて前記第1の指本体に向かって押し込み可能な第1の指先部を備え、
前記第2のグリッパは、前記掌部から離れる方向に延びる第2の指本体と、その第2の指本体の前記掌部の反対側の端部に位置する結合軸の周りに回動可能に取り付けられた第2の指先部とを備え、
前記リンク手段は、前記第1の指先部が前記第1の指本体に向かって押し込まれる前記直線運動とともに直線に沿って移動するラックと、そのラックにかみ合わされた前記第1の指本体との相対的な位置が変化しないピニオンと、そのピニオンの回動運動によって前記第2の指先部を前記結合軸の周りに回動させる回動手段とを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記開閉手段は、前記第1および第2の指本体の少なくとも一方を前記掌部に対して相対的に移動させるものであり、
前記回動手段は、前記ピニオンと同軸に結合された第1のプーリーと、前記第2の指本体との相対的な位置が変化しない第2のプーリーと、前記第2のプーリーと同軸に結合された第3のプーリーと、前記結合軸に取り付けられた第4のプーリーと、前記第1のプーリーと前記第2のプーリーとにかけ渡された第1のベルトと、前記第3のプーリーと前記第4のプーリーにかけ渡された第2のベルトと、前記第1のベルトに接触して前記第1のプーリーと前記第2のプーリーとの間の距離の変化に応じて前記第1のベルトが緩まないように移動する調整用プーリーと、を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記第1の指先部を前記第1の指本体から離れる方向に付勢するバネと、
前記第1の指先部が第1の長さまで押し込まれると前記第1の指先部が前記指本体から離れる方向に移動しないように固定し、さらに前記第1の指先部が前記第1の長さよりも長い第2の長さまで押し込まれると前記第1の長さでの固定を解除するロック手段と、
を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記リンク手段は、前記第1のグリッパの少なくとも一部の回動運動によって前記第2のグリッパの先端を前記第1の指に向かって回動するように駆動することを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項7】
前記第1のグリッパは、前記掌部から離れる方向に延びる中間部と、その中間部の前記掌部に遠い端部の指関節軸に回動可能に結合されてその指関節軸から前記掌部から離れる方向に延びる第1の指先部を備え、
前記第2のグリッパは、前記掌部から離れる方向に延びる第2の指本体と、その第2の指本体の前記掌部の反対側の端部に位置する結合軸の周りに回動可能に取り付けられた第2の指先部とを備え、
前記リンク手段は、前記指関節軸に結合された指関節プーリーと、前記指関節プーリーの回動運動に伴って回動する前記第1の指本体との相対的な位置が変化しない回転軸と、その回転軸の回動運動によって前記第2の指先部を前記結合軸の周りに回動させる回動手段とを備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記開閉手段は、前記中間部の前記掌部に近い端部および第2の指本体の少なくとも一方を前記掌部に対して相対的に移動させるものであり、
前記回動手段は、前記回転軸に結合された第1のプーリーと、前記第2の指本体との相対的な位置が変化しない第2のプーリーと、前記第2のプーリーと同軸に結合された第3のプーリーと、前記結合軸に取り付けられた第4のプーリーと、前記第1のプーリーと前記第2のプーリーとにかけ渡された第1のベルトと、前記第3のプーリーと前記第4のプーリーにかけ渡された第2のベルトと、前記第1のベルトに接触して前記第1のプーリーと前記第2のプーリーとの間の距離の変化に応じて前記第1のベルトが緩まないように移動する調整用プーリーと、を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のロボットハンド。
【請求項9】
前記第1の指先部と前記中間部との相対的な角度が大きくなるように付勢するバネと、
前記第1の指先部と前記中間部との相対的な角度が第1の角度以下になると前記第1の指先部と前記中間部との相対的な角度が大きくならないように固定し、さらに前記第1の指先部と前記中間部との相対的な角度が前記第1の角度よりも小さい第2の角度以下になると前記第1の角度での固定を解除するロック手段と、
を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のロボットハンド。
【請求項10】
対象物を把持するロボットにおいて、
掌部と、
前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記掌部に対して相対的に移動が可能な第1のグリッパと、
前記掌部から突出し、前記対象物の把持部を備え、先端が前記第1のグリッパに向かう回動が可能な第2のグリッパと、
前記第1のグリッパの先端を前記掌部に近づける運動によって前記第2のグリッパの先端を前記第1のグリッパに向かって回動するように駆動するリンク手段と、
前記第1のグリッパの把持部および前記第2のグリッパの把持部の間隔が変化するように前記第1および第2のグリッパの少なくとも一方を移動させる開閉手段と、
前記掌部を第1のグリッパの突出方向およびその反対方向に移動させる腕部と、
を有することを特徴とするロボット。
【請求項11】
前記掌部と前記腕部との間に設けられて前記掌部と前記腕部の相対的な角度を変化させる手首関節を有することを特徴とする請求項10に記載のロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−238326(P2008−238326A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81491(P2007−81491)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】