説明

ロボットハンド及びロボットハンドの制御装置

【課題】単純な構造かつ簡単な制御によって、多種多様な形状の把持対象物を把持可能なロボットハンド及びその制御装置を提供する。
【解決手段】屈曲可能な指部と、低剛性状態と高剛性状態との間で可逆的に制御可能な剛性付与部と、把持対象物に接触可能でかつ膨張可能な当接部とを備える指を複数個、ベース部に配置し、剛性付与部が低剛性状態のとき指部を屈曲させて把持対象物に当接部を接触させ、剛性付与部を高剛性状態に硬化させ、当接部を膨張させ、把持対象物と剛性付与部の間に把持力を発生させて把持対象物の把持を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場又は家庭において人に代わり作業を行うための、多種多様な形状の把持対象物を把持することができるロボットハンド及びロボットハンドの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場用に用いられていたロボットハンドは、例えば、平行リンクにより平行を保った一対の平板で構成し、一対の平板で、把持対象物としての直方体形状の部材を把持するといったような、特定の形状の把持対象物を把持するロボットハンドが主であった。
【0003】
しかしながら、そのようなロボットハンドには汎用性が無く、把持対象物が変更となったときにロボットハンドで把持対象物を正確に把持することができないため、新しい把持対象物に対応した別個のロボットハンドが必要となってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、多種多様な形状の把持対象物を掴むことができるロボットハンドの実現が要求されているが、これを実現する技術として次のようなものがある。
【0005】
例えば、従来の技術(第1従来例)として、ロボットハンドを人間の指と同等あるいはそれ以上の多自由度構成にすることにより、人間の手のような高い汎用性を実現する技術がある(特許文献1参照)。
【0006】
この第1従来例の技術を図26を用いて説明する。図26は、第1従来例のロボットハンドを図示したものである。
【0007】
回転リンク51をそれぞれ直列につないで対向配置させることにより、対向する2本の指の構造を構成し、2本の指の構造の先端には、2本の指を閉じる力を伝えるワイヤ52及び2本の指を開く力を伝えるワイヤ54がそれぞれ接続されている。各ワイヤ54は、ベース部56に接続されたバネ55により開く方向への力を常に出力しているため、2本の指構造は、指駆動部53が駆動力を2本のワイヤ52を介して伝えることによって2本の指により把持対象物50の把持動作を行い、駆動力が出力されていないときは2本のバネ55の力により2本の指による把持対象物50の把持動作が解除される。
【0008】
また、別の従来の技術(第2従来例)として、把持対象物65と接触する部分が、把持対象物65に押し付けられたときに把持対象物65の外形に応じて変形することにより、高い汎用性を実現する、第2従来例の技術がある(特許文献2参照)。
【0009】
第2従来例の技術の例を図27を用いて説明する。図27は第2従来例のロボットハンドを図示したものであり、マニピュレータ(図示せず)に接続されたベース部材64に4本の平行リンク63を介して一対の把持部62が連結されており、一対の把持部62は、平行を保ったまま、アクチュエータ(図示せず)によって閉じる(互いに接近する)ように駆動される。各把持部62の、把持対象物65と接触する当接部61には、弾性膜あるいは弾性体が用いられており、把持部62によって把持対象物65に押し付けられることで、把持対象物65の形状に応じて当接部61が変形する。
【0010】
【特許文献1】特公平4−6509号公報
【特許文献2】特開昭59−24981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、第1従来例においては、多自由度の実現のために、リンク51などの機構部品が増加し、複雑な構造となる上に、把持対象物に応じて均一に把持力を出力するためには、多くの自由度を適切に制御しなければならないため、制御が非常に複雑なものになってしまう。
【0012】
また、第2従来例においては、当接部61の弾性が高いと、当接部61の変形量が小さく汎用性が低くなり、当接部61の弾性が低いと、当接部61に外力が加わった際も当接部61が大きく変形してしまい、把持対象物の把持動作が不安定になるため、第2従来例に示す従来技術のみでは高い汎用性が実現できず、第1従来例との組み合わせを行う必要があるが、その場合は、第1従来例と同様に、構造が複雑になり、かつ、制御が複雑なものとなってしまう。
【0013】
本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、単純な構造でかつ単純な制御で多種多様な形状の把持対象物を把持することを可能としたロボットハンド及びロボットハンドの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0015】
本発明の第1態様によれば、ベース部と、
対向して配置されかつそれぞれ屈曲可能に前記ベース部に配置された複数の指部と、
前記複数の指部のうちの少なくとも一方の指部の把持対象物の把持側の面に配置されて、前記一方の指部に従って屈曲可能な低剛性状態と、前記低剛性状態から硬化することにより前記低剛性状態よりも剛性が高くかつ屈曲した状態で屈曲形状保持可能な高剛性状態との間で可逆的に移行可能な剛性付与部と、
前記剛性付与部の前記把持対象物の把持側の面に配置され、前記把持対象物に接触可能でかつ膨張可能でかつ前記把持対象物から離間するように収縮可能な当接部とを備えることを特徴とするロボットハンドを提供する。
【0016】
本発明の第2態様によれば、前記剛性付与部は、前記指部の可動点の全てを覆うように配置されている、第1の態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0017】
本発明の第3態様によれば、前記当接部は、前記指部の可動点の全てを覆うように配置されている、第1又は2の態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0018】
本発明の第4態様によれば、前記複数の指部のそれぞれが、前記剛性付与部と前記当接部とを有する、第1〜3のいずれか1つの態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0019】
本発明の第5態様によれば、前記剛性付与部は、形状を保持したまま、硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的に制御可能な材料として、ビンガム流体又は機能性流体を用いることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0020】
本発明の第6態様によれば、前記剛性付与部は、ER流体又はERゲルを用いて、形状を保持したまま硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的に制御することが可能な硬化部であり、
前記硬化部は、絶縁性の薄膜体内に一対の電極を対向して配置し、前記薄膜体内で絶縁用スペーサを前記一対の電極間に配置し、前記薄膜体内の前記電極間の空間に前記ER流体又はERゲルを封入したシート状構造で構成するとともに、前記シート状構造を複数層積層して構成していることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0021】
本発明の第7態様によれば、前記剛性付与部は、MR流体を用いて、形状を保持したまま硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的かつ任意に制御することが可能な硬化部であり、前記硬化部は、一対の磁性体部材を対向して配置し、前記磁性体部材の各一端同士を電磁石を介して接続することによって、前記磁性体部材間に封入した前記MR流体内に磁界を発生させるように構成していることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0022】
本発明の第8態様によれば、前記剛性付与部は、ビンガム流体である乾燥硬化性を持つ粘土を用いて、形状を保持したまま硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的に制御することが可能な硬化部で構成し、前記硬化部は、対向して配置した非透湿性フィルムと透湿性フィルムとの間に前記粘土を配置したシート状モジュールを、前記非透湿性フィルムが外側になるように前記透湿性フィルム同士を向かい合わせるよう配置して中空のシート状に構成し、前記対向した透湿性フィルム間にあるシート中空の空間に水蒸気又はドライエアを通過させて前記低剛性状態又は前記高剛性状態となるように制御することを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載のロボットハンドを提供する。
【0023】
本発明の第9態様によれば、第1〜8のいずれか1つの態様に記載の前記ロボットハンドの動作を制御するロボットハンドの制御装置にして、
把持動作において、まず、前記剛性付与部が前記低剛性状態へ軟化するように制御され、
その後、前記指部の屈曲動作によって前記把持対象物の外面に前記当接部が押し付けられることで前記指部及び前記硬化部とともに前記当接部が受動的に変形され、
変形後に前記変形した状態を保持しつつ前記剛性付与部が前記高剛性状態へ硬化するように制御され、
硬化後に前記当接部が膨張することにより前記把持対象物と硬化部の間に把持力を発生させて前記把持対象物の把持を前記ロボットハンドで行う、ロボットハンドの制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
以上のようなロボットハンド及びロボットハンドの制御装置によれば、回転連結部が不要になることによる部品点数の減少と、ハンド形状の制御がアクチュエータの位置制御ではなく硬化部の硬さ制御により実現できることから、単純な構造かつ簡単な制御によって多種多様な形状の把持対象物を把持することができるロボットハンドを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明を行う。
【0026】
まず、図1A及び図1Bにおいて本発明の第1実施形態のロボットハンドの構造の概要を説明した後、図2A〜図2Eにおいて第1実施形態のロボットハンドにかかる把持動作の概要を説明し、図3Aから図7A及び図7Bにおいてロボットハンドの硬化部、当接部、及び、指部についての詳細な説明を行う。
【0027】
第1実施形態のロボットハンドの構造を図1A〜図1Cを用いて説明する。
【0028】
図1Aは第1実施形態のロボットハンドの概略側面図、図1Bはロボットハンドの概略正面図、図1Cは図1Aの把持対象物とは別形状の把持対象物の把持時のロボットハンドの概略側面図である。
【0029】
第1実施形態のロボットハンドは、図1A〜図1Cに示すように、剛性付与部の一例としての3個の硬化部1と、3個の当接部2と、3本の指部3と、ロボットハンドベース部4とによって構成され、ベース部4を介してマニピュレータ6に接続されており、マニピュレータ6によって、把持対象物5に対してロボットハンドの3本の指部3が位置決めされ、ロボットハンドによって把持対象物5の把持を行う。3本の指部3は、例えば、上側に2本の指部3と当接部2と硬化部1とで構成される指100aが配置され、上側に2本の指部3の間の下方に、下側の1本の指部3が配置されている。
【0030】
各硬化部1は、各指部3の内側の表面(把持対象物5に対向する表面)を連続的に覆うように細長い板状に配置され、各硬化部1の一端をベース部4に固定するように配置され、各硬化部1の他端は各指部3の先端側で開放されており、硬化部1が配置された指部3と硬化部1との相対位置関係を変化させることができるよう配置されている。各硬化部1は、硬さを可逆的に制御することができる材料で構成されており、各硬化部1はその形状を保持したまま硬さを変化させることができる。言い換えれば、硬化部1は、指部3に従って屈曲可能な低剛性状態と、前記低剛性状態から硬化することにより前記低剛性状態よりも剛性が高くかつ屈曲した状態で屈曲形状保持可能な高剛性状態との間で可逆的に移行可能に構成されている。各硬化部1のそのような材料の例としては、ER(Electrorheological)流体、ERゲル、若しくは、MR(Magnetorheological)流体といった機能性流体、又は、ビンガム流体の中でも乾燥硬化性を持った粘土などの材料がある。これらの材料の詳細については後述する。各硬化部1を前述のように配置することによって、各硬化部1が硬化することで、把持力及び外力を各硬化部1の剛性で支持することができる。
【0031】
また、各硬化部1は、ベース部4から離れるほど厚みが減少するように構成されている。各硬化部1において、ベース部4に固定された各硬化部1の根元部から先端部までの間の厚みは、根元部及び先端部の厚みを基準とし、ベース部4からの距離に応じて2次関数的に減少するようにして得られる厚みが最低限確保されていれば、根元部から先端部までの厚みがどのように変化しても構わないが、重量の観点から、ベース部4からの距離に応じて2次関数的に厚みが減少するような構造を用いる。このように、各硬化部1の根元部の厚みを先端部よりも厚くすることによって、把持力によるモーメントを各硬化部1で安定して支持することが可能となる。
【0032】
各当接部2は、圧力流体を注入可能な中空部材で構成され、各硬化部1の内側の表面(把持対象物5に接触可能な表面)に配置されており、各硬化部1が把持対象物5の外形にならって硬化した後に、当接部2内に圧力流体を注入することで当接部2を把持対象物5と硬化部1の間で膨張させて、当接部2の内部圧力で、ロボットハンド全体の把持力を発生させるように構成している。
【0033】
各指部3は、内側材料と外側材料とが伸縮率の点で異なりかつ空気を注入可能な中空部材で構成され、各指部3の根元部はベース部4にそれぞれ取り付けられており、各指部3内に空気を注入することにより、指部内側材料の伸縮率と外側材料の伸縮率の違いから、屈曲動作を実現する構造となっている。各指部3は、硬化部1と当接部2を同時に駆動できるよう、硬化部1と当接部2の最外面に配置されている。
【0034】
このような構成にかかるロボットハンドで、把持対象物5の一例として円柱部材を把持した状態を図1A及び図1Bに示している。これらの図では、各当接部2及び各硬化部1が円柱部材の外周円弧に沿うように円弧形状に変形及び硬化している。また、前記ロボットハンドで、把持対象物5の別の例として断面が多角形の柱部材を把持した状態を図1Cに示している。この図では、各当接部2及び各硬化部1が多角形の柱部材の外面に沿うように折り曲げられた形状に変形及び硬化している。
【0035】
以下、第1実施形態におけるロボットハンドの把持動作の概要を図2A〜図2Eを用いて説明する。
【0036】
図2A〜図2Eは第1実施形態におけるロボットハンドの把持動作の一連の流れを図示したものである。
【0037】
まず、図2Aから図2Bに示すように、3本の指部3を開いた状態で、マニピュレータ6により、円柱状の把持対象物5へロボットハンド100の中心部(例えばベース部4)を近づける。
【0038】
続いて、把持対象物5にロボットハンド100の中心部(例えばベース部4)が接近したのち(すなわち、接近動作の完了検知後)、図2Bから図2Cに示すように、3本の指部3(図2Cのハッチング部分を参照。)を駆動することにより、各指部3の硬化部1及び当接部2を把持対象物5の外周へと近づける。
【0039】
続いて、各指部3を把持対象物5の外周へ沿わせたのち(すなわち、ならい動作の完了検知後)、図2Cから図2Dに示すように、各指部3の硬化部1(図2Dのハッチング部分を参照。)を硬化させて、各硬化部1を把持対象物5の外周へ沿わせる。具体的な硬化方法については、後述する。
【0040】
最後に、図2Dから図2Eに示すように、各指部3の硬化部1の硬化後に各当接部2を膨張させることにより、把持対象物5と各硬化部1の間に、各当接部2の内部圧力によって把持力を発生させる。各当接部2の膨張が完了したのち(すなわち、把持力発生完了検知後)、把持対象物5に対するロボットハンド100の把持動作を完了させる。
【0041】
逆に、把持対象物5に対するロボットハンド100の把持動作を解除するときは、例えば、前記動作の逆を行えばよい。
【0042】
すなわち、まず、図2Eから図2Dに示すように、各当接部2を収縮させることにより、把持対象物5と各硬化部1の間に、各当接部2の内部圧力により発生した把持力を解除させ、把持対象物5に対するロボットハンド100の把持動作を解除させる。
【0043】
次いで、図2Dから図2Cに示すように、各指部3の硬化部1(図2Dのハッチング部分を参照。)を軟化させて、各硬化部1を把持対象物5の外周から離す。具体的な軟化方法については、後述する。
【0044】
次いで、図2Cから図2Bに示すように、3本の指部3(図2Cのハッチング部分を参照。)を前記把持動作とは逆に駆動することにより、各指部3の硬化部1及び当接部2を把持対象物5の外周から離す。
【0045】
次いで、図2Bから図2Aに示すように、3本の指部3を開いた状態で、マニピュレータ6により、把持対象物5からロボットハンド100の中心部(例えばベース部4)を離す。
【0046】
次に、前記した把持動作及び把持解除動作(開放動作)を実行させるため、硬さが可逆的かつ任意に制御可能な硬化部1について図3A〜図3C、図6A及び図6B、図7A及び図7Bを用いて、詳細に説明する。
【0047】
硬さが可逆的かつ任意に制御可能な硬化部1を構成する材料として、ビンガム流体挙動を示す機能性流体であるER流体、ERゲル、若しくは、MR流体、又は、ビンガム流体の一種である粘土などを用いることができる。
【0048】
ER流体若しくはERゲルは、印加された電界の強さに応じて硬さが変化する材料であり、MR流体は、印加された磁界の強さに応じて硬さが変化する材料である。また、粘土は、乾燥硬化性を持ち、含水率によって硬さが変化する材料である。
【0049】
ER流体若しくはERゲルを用いた硬化部1は、磁力の影響を把持対象物に与えず、ドライエア等の特別なインフラも必要ないため、汎用的に用いることができる点で特徴がある。一方、MR流体若しくは粘土は、一般に、ER流体若しくはERゲルよりも降伏点が高い特徴があるため、把持対象物又はロボットハンドの利用環境によっては、ER流体若しくはERゲルを用いた硬化部1よりも、サイズ及び重量の面でメリットがある。例えば、非磁性体の把持のような磁力の影響を受けない対象の場合は、MR流体を用いたモジュールが好ましい一方、工場内等、ドライエア又は水蒸気のインフラストラクチャー(言い換えれば、ドライエア又は水蒸気の供給施設)が整った環境においては、粘土を用いたモジュールが好ましい。
【0050】
以下、より具体的に、硬化部1について説明する。
【0051】
まず、図3A、図3B、及び図3Cは、ER流体を用いた硬化部1の概略斜視図、平面図、図3BのIII−III線の断面図である。
【0052】
硬化部1は、シート状構造のモジュール1Aを複数個積層して剛性を向上させ、その積層構造を外周膜12で覆った構造となっており、シート状モジュール1Aは、絶縁性の薄膜体11を袋状にし、その内部に正電極9と負電極10とが、図3B及び図3Cに示すように貫通穴8aを所定間隔で形成するように穴加工された絶縁シート8を挟むようにして、かつ、絶縁用スペーサとして機能する絶縁シート8の貫通穴8aを避けて、接着配置され、残りの内部空間には、ER流体7が封入されている。また、シート状モジュール1Aの厚みの変化による内部電界強さの変化を抑制するため、正電極9及び負電極10は薄膜体11にもそれぞれ接着固定されている。そして、正電極9及び負電極10には、外部に配置された電源14より、電源線13を介して電圧が印加され、ER流体7が硬化することによってシート状モジュール1Aが硬化する。逆に、正電極9及び負電極10に対する電源14からの電圧印加が除去されると、ER流体7が軟化することによってシート状モジュール1Aが軟化する。
【0053】
次に、図6A及び図6Bは、第1実施形態の変形例として、MR流体を用いた硬化部1の概略平面図及び図6AのVI−VI線断面図である。
【0054】
硬化部1のシート状モジュール1Bは、例えば鉄などの磁性体粉末をシート材の混入させた透磁率の高い磁性体部材の一例としての一対の磁性体シート31と、一対の磁性体シート31の側端部同士を連結するゴムシートのような非磁性体シート32とによってなる袋状構造となっており、一対の磁性体シート31同士は対向するように配置されている。ここで、透磁率の高い磁性体部材とは、磁性体シート31と接触する硬化部1以外の部材(ベース部4,指部3,当接部2)を構成する材料の10倍以上の透磁率がある磁性体部材のことを意味する。
【0055】
シート状モジュール1Bの内部には、磁性体シート31同士の接触を防ぐための非磁性体による貫通穴33aの穴加工を行った非磁性体シート33が配置され、シート状モジュール1Bの内部には、MR流体34が封入されている。
【0056】
磁性体シート31は、磁性体35と電磁石36とを介して接続されており、電磁石36が電磁石駆動電源37により動作する(言い換えれば、通電されると、又は、通電電流を大きくする)と、対向した磁性体シート31間に磁界が発生し又は大きくなり、MR流体34内に磁界が発生し又は大きくなり、MR流体34が硬化することによってシート状モジュール1Bが硬化する。逆に、電磁石36が電磁石駆動電源37により非動作する(言い換えれば、非通電にされると、又は、通電電流を小さくする)と、対向した磁性体シート31間の磁界が消失又は小さくなり、MR流体34内に磁界が消失又は小さくなり、MR流体34が軟化することによってシート状モジュール1Bが軟化する。
【0057】
次に、図7A及び図7Bは、第1実施形態の別の変形例として、粘土を用いた硬化部1の概略平面図及び図7AのVII−VII線断面図である。
【0058】
硬化部1のシート状モジュール1Cは、例えば建築材に用いられる非透湿性フィルム41と透湿性フィルム43との間に粘土42を配置し、シート状モジュール1Cの中央部には空気流路となる空間44が存在し、空間44には、その一端に空気流路45が接続され、その他端に排気口49が接続されている。
【0059】
シート状モジュール1Cには、空気流路45を介して、ドライエア用バルブ46Aと、ドライエアを流入させるドライエア用ポンプ47と、水蒸気用バルブ46Bと、水蒸気を流入させるための水蒸気用ポンプ48とが接続されており、ドライエア用バルブ46Aと水蒸気用バルブ46Bとをそれぞれ適宜開閉制御して、ドライエア又は水蒸気又はその両方を流すことによって、透湿性フィルム43を介して、粘土42の含水率を変化させ、粘土42の硬さを制御する。例えば、ドライエア用ポンプ47からドライエアを供給することにより、透湿性フィルム43を介して粘土42の含水率を低下させて粘土42を硬くする一方、水蒸気用ポンプ48から水蒸気を供給することにより、透湿性フィルム43を介して粘土42の含水率を増加させて粘土42を柔らかくすることができる。
【0060】
例えば、把持対象物5の一例として100gのペットボトル状の物体を3本の指部3で把持する場合、各指部3に取り付けられるER流体7を用いる硬化部1の具体的な例としては、全体として幅30mm、長さ100mm程度の大きさの積層構造で、硬化部1の根元部の厚みは30mm、硬化部1の先端部の厚みは10mm程度で、根元部と先端部との間は根元部からの距離に応じて2次関数的に減少するような構造である。単一のシート状モジュール1Aとしては、厚さ0.1mmの絶縁シート8を用いた厚さ0.5mmのシート状モジュール1Aに1kvの電圧を電源14から付加することで、2kv/mmの電界を発生させる構造であればよい。内部に用いるER流体7は、2kv/mmの電界付加時に20kpa以上の降伏応力が得られるER流体を用いる。
【0061】
一方、硬化部1と把持対象物5との間に把持力を発生させる当接部2について、図4A及び図4Bを用いて、詳細に説明する。
【0062】
当接部2において、硬化した硬化部1と把持対象物5との間に把持力を発生させる機構として、圧力流体を用いた袋状構造を用いることができる。圧力流体の一例として空気を用いることで、軽量なロボットハンド100を実現することができる。一方で、ロボットハンドに強い把持力が要求される場合には、圧縮率が低く高圧での利用が容易な液体を、圧力流体として用いるのが好ましい。このような液体の一例としては水がある。
【0063】
図4A、図4Bは、圧力流体として空気を用いた当接部2の斜視図及び概略構成図である。
【0064】
各当接部2は、ゴムなど延性の大きな材料で構成される例えば複数の中空円形の膨張部15と、ビニールなど延性の小さな材料で構成される非膨張部16とにより構成されており、非膨張部16の内部には、各膨張部15と連結される空気流路となる空間17が確保されている。空間17に、当接部2の外部に配置された空気ポンプ20から、バルブ19と空気流路18とを介して、空気を注入することにより、各膨張部15が膨張して内部圧力によって把持力を発生させることができる。逆に、空気ポンプ20を停止して、バルブ19から空間17内の空気を排出して各膨張部15を収縮させると、内部圧力が低下して把持力を解除することができる。
【0065】
把持対象物5の一例として100gのペットボトル状の物体を3本の指部3で把持する場合、各当接部2は、前述の硬化部1の表面と同じ大きさで、全体として幅30mm、長さ100mm程度のシート状になっており、大気圧の空気を当接部2に注入することで、ペットボトル状の物体の把持に十分な把持力を発生させることができる。
【0066】
さらに、硬化部1及び当接部2を駆動する各指部3について、図5を用いて詳細に説明する。
【0067】
各指部3においては、多自由度を持つ従来のハンドを用いることができる。特に、空気駆動方式のロボットハンド100は、ロボットハンド100の軽量化を図ることができる。
【0068】
図5は、空気駆動により指を屈曲させる指部3の概略図である。
【0069】
指部3は、ゴムなど伸縮性の大きな材料により構成されかつ外側に配置される伸縮部22と、例えばビニールといった、伸縮部22と比べて伸縮性の小さな材料により構成されかつ伸縮部22より内側に配置される非伸縮部21とで構成される筒状の構造となっている。
【0070】
筒状の構造内の空間26には、空気ポンプ25から、バルブ24と空気流路23とを介して空気を注入することにより、内側の非伸縮部21と外側の伸縮部22との伸び易さの違から、筒状構造は屈曲するように駆動される。逆に、空気ポンプ25を停止しバルブ24から空間26内の空気を排出させると、筒状構造は元の非屈曲状態に戻るような剛性を非伸縮部21と伸縮部22とが有するように構成している。
【0071】
把持対象物5の一例として100gのペットボトル上の物体を3本の指部3で把持する場合、指部3は前述の硬化部1と当接部2とが取り付け可能な大きさであればよく、全体として幅30mm、長さ110mm、厚さ20mm程度でよい。注入する空気は、当接部2と同じく、大気圧の空気を用いる。
【0072】
図12は、前記ロボットハンド100の動作を実現するための制御部などの制御ブロック図である。
【0073】
制御部(制御装置)108は、ロボットハンド100の動作全般を総合的に制御する総合制御部106と、マニピュレータ制御部107とハンド制御部109と、硬化部制御部121と当接部制御部122と指部制御部123とを有している。
【0074】
総合制御部106は、マニピュレータ制御部107とハンド制御部109とに接続されている。マニピュレータ制御部107は、マニピュレータ6を駆動するマニピュレータ駆動部101を駆動制御する。ハンド制御部109は、ロボットハンド100の把持動作を制御するものであり、硬化部制御部121と当接部制御部122と指部制御部123とに接続されている。
【0075】
硬化部制御部121は、各硬化部1を駆動する硬化部駆動部111を駆動制御する。具体的には、硬化部制御部121は、硬化部駆動部111として、電源14と、その電源14のオンオフを切り替えるスイッチ14aの開閉とを制御するか、又は、スイッチ14aの開閉のみを制御する。当接部制御部122は、各当接部2を駆動する当接部駆動部112を駆動制御する。具体的には、当接部制御部122は、当接部駆動部112として、空気ポンプ20の駆動とバルブ19の開閉とを制御する。指部制御部123は、各指部3を駆動する指部駆動部113を駆動制御する。具体的には、指部制御部123は、指部駆動部113として、空気ポンプ25の駆動とバルブ24の開閉とを制御する。
【0076】
また、総合制御部106は、接近検知部102と、接触検知部103と、ならい動作検知部104と、把持力検知部105と、硬化完了検知部110とのそれぞれの動作を制御するとともに、各検知部からの検知情報が総合制御部106に入力される。
【0077】
接触検知部103は、一例として、接触センサであり、接近検知部102として接触センサを使用した場合、又は、ならい動作検知部104として接触センサを使用した場合に相当するものであり、接近検知部102又はならい動作検知部104としても機能するものである。
【0078】
接近検知部102は、図2Bに示すように、把持対象物5へロボットハンド100が接近するとき、把持対象物5へのロボットハンド100の接近動作(例えば、接触動作、又は、所定距離以内に接近する動作)が完了したか否かを検知するものであり、後述する「接近動作の完了検知」ステップを実行するときに使用するものである。この接近検知部102について図13A〜図13Hを用いて説明する。
【0079】
接近検知部102の一例として、図13A及び図13Bに示すように、ハンドベース部4あるいは当接部2に接触センサ71を配置し、接触センサ71からの接触検知信号によりベース部4あるいは当接部2への把持対象物5の接触を検知して、図2Bでの接近動作の完了を検知することができる。より詳細には、図13A及び図13Bには、接触センサ71を、ハンドベース部4の中央部と、各当接部2の先端部付近とに配置した状態を示している。この接触センサ71は、後述する「ならい動作の完了検知」ステップを行う、ならい動作検知部104としても用いる事ができるため、接近動作の完了検知とならい動作の完了検知とを1つのセンサで兼用させることができ、全体としてセンサの数を少なくすることができる。
【0080】
また、接近検知部102の別の例として、図13C及び図13Dに示すように、ハンドベース部4に設けた画像センサ72と、画像センサ72が取得した画像を背景差分手法などの公知の画像処理で処理する画像処理部72Aとより構成し、画像センサ72が取得した画像を画像処理部72Aにより画像処理して、把持対象物5へのロボットハンド100の接近動作の完了検知を行うこともできる。また、画像センサ72をロボットハンド100の外部に設けることにより、接近動作の完了検知を行うこともできる(図13E及び図13F参照)。このような構成にすれば、特に、マニピュレータ6の運動制御に画像センサ72を用いている場合、そのセンサ情報から接近動作の完了検知を行うことができるため、ロボットハンド100へセンサを搭載する必要がなく、センサの削減によりロボットハンド100の軽量化を図ることができる。
【0081】
また、接近検知部102のさらに別の例として、ロボットハンド100に測距センサ73を搭載し、測距センサ73で検知されたロボットハンド100と把持対象物5との距離データより、接近動作の完了検知を行うこともできる(図13G及び図13H参照)。接触によらずに、測距センサ73で検知した距離データにより接近動作の完了検知を行うことで、マニピュレータ6の位置決め精度が悪い等、ロボットハンド100を把持対象物5に接触させるのが困難な場合であっても、効率良く接近動作の完了検知を行うことができる。
【0082】
また、ならい動作検知部104は、図2Cに示すように、各指部3を把持対象物5の外周へ沿わせる、いわゆる、ならい動作が完了したか否かを検知するものであり、後述する「ならい動作の完了検知」ステップを実行するときに使用するものである。このならい動作検知部104について図14A〜図14Fを用いて説明する。
【0083】
ならい動作検知部104の一例として、各当接部2の長手方向に間隔をあけて複数個の接触センサ75を設置し、全ての接触センサ75の接触検知をもって、ならい動作の完了を検知する方法がある(図14A及び図14B参照)。このような構成によれば、ならい動作の完了検知を確実に行える上、接近動作完了検知ステップにも、同じセンサを接近検知部102として機能させて、そのセンサで取得したデータを利用できるため、センサ数の削減によりロボットハンドの軽量化を図ることができる。
【0084】
また、ならい動作検知部104の別の例として、ロボットハンド100の外部に設けた画像センサ77と、画像センサ77が取得した画像を背景差分手法などの公知の画像処理で処理する画像処理部77Aとより構成し、画像センサ77が取得した画像を画像処理部77により画像処理して、各指部3を把持対象物5の外周へ沿わせたことを検知して、ならい動作の完了を検知することもできる。ここのような構成によれば、接近動作完了検知ステップと同様、センサ削減によりロボットハンド100の軽量化を図ることができる(図14C及び図14D参照)。
【0085】
また、ならい動作検知部104のさらに別の例として、各当接部2の長手方向に間隔をあけて複数の測距センサ78を配置することにより、測距センサ78で検知した距離データが0となる点を把持対象物5とロボットハンド100との接触と検知するようにしている。よって、各測距センサ78からの距離データが0となることにより、ならい動作の完了を検知するならい動作検知部104として機能させることができる(図14E及び図14F参照)。
【0086】
また、把持力検知部105は、図2Eに示すように、把持対象物5と硬化部1の間に、当接部2の内部圧力によって把持力を発生させる、把持力発生動作が完了したか否かを検知するものであり、後述する「把持力発生完了の検知」ステップを実行するときに使用するものである。この把持力検知部105について図15A〜図15Dを用いて説明する。
【0087】
把持力検知部105の一例として、各当接部2の表面に圧力センサあるいは力センサ74を設置し、圧力センサあるいは力センサ74で検知される力と把持対象物5に応じて設定した目標値との比較によって(制御部での比較によって)、把持力発生完了の検知を実現することできる。このような構成によれば、各当接部2の表面に発生する力を直接的に測定することにより、把持力の細かな調整などの制御にも、圧力センサあるいは力センサ74で検知されるデータを用いることができる(図15A及び図15B参照)。
【0088】
また、把持力検知部105の別の例として、各当接部2の駆動源である空気ポンプ25に接続された空気流路18にバルブ76aを介して接続されて空気流路18で供給される圧力流体の圧力を圧力計76により測定するように構成し、圧力計76で検知された値とあらかじめ設定した閾値との比較によって(制御部での比較によって)、把持力発生完了の検知を実現することができる。力の測定を直接行わないため、測定精度は低下するものの、圧力測定装置の一例としての圧力計76を駆動源の近辺に配置することができるため、ロボットハンド100へのセンサ追加は必要なく、ロボットハンド100の軽量化を図ることができる(図15C及び図15D参照)。
【0089】
また、硬化完了検知部110は、硬化部1の硬化を開始してから硬化部1の硬化にかかる時間を予め測定しておき、硬化部1の硬化開始後の経過時間が前記測定時間に達することによって、硬化完了とみなす手段で構成することができる。各硬化部1に力を加えて各硬化部1の変位を測るなどの変位測定装置で硬化完了検知部110を構成することもできるが、このような変位測定装置と比べて、前記手段では、センサ等の追加なく実現することができて、ロボットハンド100の軽量化を図ることができる。
【0090】
ロボットハンド100の全体の構成としては、図8に示すような構造を採ることができる。図8に示すように、各指部3が駆動源をそれぞれ独立して持つ構成とすることにより、各指部3をそれぞれ独立に制御することが可能となり、特定の指部3の指先(例えば、1本又は2本の指部の指先)で物体を操るといった、把持動作以外の動作も実現可能となる。
【0091】
また、前記第1実施形態の変形例として、図9に示すように、各指部3の駆動源を1つの共通の駆動源で構成することにより、全体構造の単純化及び部品数の減少を図ることができる。
【0092】
前記したロボットハンド100の把持動作及び把持解除動作について、以下、詳細に説明する。
【0093】
ロボットハンド100の把持動作は、制御部108の制御の下に、図2A〜図2E及び図10Aに示すように実現される。
【0094】
まず、ステップS1では、各硬化部1を柔らかい状態にする(図2A参照)。すなわち、硬化部1について、図3A及び図3B、図6A及び図6B、図7A及び図7Bにて説明したように、各硬化部1の各シート状モジュール1Aを軟化させる。例えば、各硬化部1にER流体7を使用する場合には、硬化部制御部121の制御により、図3Bの正電極9及び負電極10に対する電源14からの電圧印加を除去して(例えば、スイッチ14aをオフにして)、ER流体7を軟化させて各硬化部1の各シート状モジュール1Aを軟化させる。
【0095】
次いで、ステップS2では、各当接部2を収縮させる(図2A参照)。すなわち、当接部制御部122の制御により、図4Bの空気ポンプ20を停止して、バルブ19から各当接部2の空間17内の空気を排出して各当接部2の各膨張部15を収縮させ、各当接部2の内部圧力を低下させる。
【0096】
次いで、ステップS3では、全ての指部3を開く(図2B参照)。すなわち、指部制御部123の制御により、図5の空気ポンプ25を停止して、バルブ24から空間26内の空気を排出させ、各指部3を非屈曲状態に戻るようにする。
【0097】
次いで、ステップS4では、ロボットハンド100を把持対象物5に接近させる(図2B参照)。すなわち、3本の指部3を開いた状態で、マニピュレータ駆動部101の駆動で、マニピュレータ6を介して、全ての指部3が開いた状態のロボットハンド100の中心部(例えばベース部4)を把持対象物5へ近づける。
【0098】
次いで、ステップS5では、ロボットハンド100の把持対象物5に対する接近動作が完了したか否かを、接近検知部102で判断する(図2B参照)。すなわち、図13A〜図13Hに示すように、接近検知部102で、ロボットハンド100の把持対象物5に対する接触動作、又は、ロボットハンド100が把持対象物5に対して所定距離以内に接近する動作が完了したか否かを検知する。接近検知部102からの検知情報を基に制御部108で、ロボットハンド100の把持対象物5に対する接近動作が完了していないと判断する場合には、このステップS5を繰り返す。一方、接近検知部102からの検知情報を基に制御部108で、ロボットハンド100の把持対象物5に対する接近動作が完了したと判断する場合には、次のステップS6に進む。
【0099】
ステップS6では、各指部3を閉じる(図2C参照)。すなわち、指部制御部123の制御により、図5の空気ポンプ25を駆動して、バルブ24を介して空間26内に空気を供給し、各指部3を屈曲状態にして、把持対象物5を全ての指部3で囲むようにする。
【0100】
次いで、ステップS7では、ならい動作が完了したか否かを、ならい動作検知部104で判断する(図2C参照)。すなわち、図14A〜図14Fに示すように、各指部3を把持対象物5の外周へ沿わせる、いわゆる、ならい動作が完了したか否かを、ならい動作検知部104で検知する。ならい動作検知部104からの検知情報を基に制御部108で、ならい動作が完了していないと判断する場合には、ステップS6に戻る。一方、ならい動作検知部104からの検知情報を基に制御部108で、ならい動作が完了したと判断する場合には、次のステップS8に進む。
【0101】
ステップS8では、図3A及び図3B、図6A及び図6B、又は、図7A及び図7Bに示すように、各硬化部1を硬い状態にする(図2D参照)。すなわち、例えば、各硬化部1にER流体7を使用する場合には、硬化部制御部121の制御により、図3Bの正電極9及び負電極10に対する電源14からの電圧を印加して(例えば、スイッチ14aをオンにして)、ER流体7を硬化させて各硬化部1の各シート状モジュール1Aを硬化させる。
【0102】
次いで、ステップS9では、各硬化部1の硬化が完了したか否かを硬化完了検知部110で判断する(図2D参照)。すなわち、硬化完了検知部110で各硬化部1の硬化が完了したか否かを検知する。硬化完了検知部110からの検知情報を基に制御部108で、各硬化部1の硬化が完了していないと判断する場合には、ステップS8に戻る。硬化完了検知部110からの検知情報を基に制御部108で、各硬化部1の硬化が完了したと判断する場合には、次のステップS10に進む。
【0103】
ステップS10では、各当接部2を膨張させる(図2E参照)。すなわち、当接部制御部122の制御により、図4Bの空気ポンプ20を駆動して、バルブ19を介して各当接部2の空間17内に空気を供給して各当接部2の各膨張部15を膨張させ、各当接部2の内部圧力を増加させる。
【0104】
次いで、ステップS11では、把持力の発生動作が完了したか否かを把持力検知部105で判断する(図2E参照)。すなわち、把持力検知部105で、把持対象物5と硬化部1の間に、当接部2の内部圧力によって把持力を発生させる、把持力発生動作が完了したか否かを検知する。把持力検知部105からの検知情報を基に制御部108で、把持力の発生動作が完了していないと判断する場合には、ステップS10に戻る。把持力検知部105からの検知情報を基に制御部108で、把持力の発生動作が完了したと判断する場合には、一連の把持動作を終了する。
【0105】
なお、ステップS2の各当接部2を収縮させる工程に関しては、ステップS6の各指部3を閉じる動作の開始前に完了していればよい。前記した図10Aのフローチャートでは、第2番目のステップとしたが、これに限られるものではなく、図10B〜図10Dに示す他の3種類のフローチャートの順番でも把持動作は可能である。
【0106】
具体的には、図10Bでは、前記ステップS2の各当接部2を収縮させる工程を、全ての指部3を開くステップS3の後に行うようにしてもよい。このようにすれば、当接部2が膨張しているときに、当接部2が屈曲状態から非屈曲状態すなわち伸展状態になろうとする力を指部3の開放動作に利用できるため、指部3の開放動作をより早く行うことができ、指部3の俊敏な動きが可能となる。
【0107】
また、図10Cでは、前記ステップS2の各当接部2を収縮させる工程を、各硬化部1を柔らかい状態にするステップS1の前に行うようにしてもよい。このようにすれば、当接部2を収縮させてから硬化部1を柔らかい状態とすることで、当接部2が屈曲状態から非屈曲状態すなわち伸展状態になろうとする力が、指部3に加わることがない。
【0108】
また、図10Dでは、前記ステップS2の各当接部2を収縮させる工程を、ロボットハンド100の把持対象物5に対する接近動作が完了したか否かを、接近検知部102で判断するステップS5の後に行うようにしてもよい。このようにすれば、当接部2を収縮するときに、非屈曲状態すなわち伸展状態から変形しようとする力を指部3の閉じ動作に利用できるために、指部3の閉じ動作を早く行うことができる。
【0109】
また、前記したロボットハンド100の把持解除動作、すなわち、開放動作について、以下、詳細に説明する。
【0110】
ロボットハンド100の把持動作は、制御部108の制御の下に、図2A〜図2E及び図11Aに示すように実現される。
【0111】
まず、ステップS21では、各当接部2を収縮させる(図2A参照)。すなわち、当接部制御部122の制御により、図4Bの空気ポンプ20を停止して、バルブ19から各当接部2の空間17内の空気を排出して各当接部2の各膨張部15を収縮させ、各当接部2の内部圧力を低下させる。
【0112】
次いで、ステップS22では、各硬化部1を柔らかい状態にする(図2A参照)。すなわち、硬化部1について、図3A及び図3B、図6A及び図6B、図7A及び図7Bにて説明したように、各硬化部1の各シート状モジュール1Aを軟化させる。例えば、各硬化部1にER流体7を使用する場合には、硬化部制御部121の制御により、図3Bの正電極9及び負電極10に対する電源14からの電圧印加を除去して(例えば、スイッチ14aをオフにして)、ER流体7を軟化させて各硬化部1の各シート状モジュール1Aを軟化させる。
【0113】
次いで、ステップS23では、全ての指部3を開く(図2B参照)。すなわち、指部制御部123の制御により、図5の空気ポンプ25を停止して、バルブ24から空間26内の空気を排出させ、各指部3を非屈曲状態に戻るようにする。
【0114】
次いで、ステップS24では、全ての指部3が把持対象物5から離れたか否か、すなわち、図14A〜図14Fに示すように、ならい動作とは逆の動作を、ならい動作検知部104で検知する。ならい動作検知部104からの検知情報を基に制御部108で、全ての指部3が把持対象物5から離れたか否かを検知し、全ての指部3が把持対象物5から離れていないと判断する場合には、ステップS23に戻る。一方、ならい動作検知部104からの検知情報を基に制御部108で、全ての指部3が把持対象物5から離れたと判断する場合には、次のステップS25に進む。
【0115】
ステップS25では、ロボットハンド100を把持対象物5から離す方向に移動させる。すなわち、3本の指部3を開いた状態で、マニピュレータ駆動部101の駆動で、マニピュレータ6を介して、全ての指部3が開いた状態のロボットハンド100の中心部(例えばベース部4)を把持対象物5から離す方向に移動させる。
【0116】
次いで、ステップS26では、ロボットハンド100が把持対象物5にまだ接触しているか否か、すなわち、図13A〜図13Hに示すように、接近動作とは逆の動作を接近検知部102で判断する。すなわち、接近検知部102で、ロボットハンド100が把持対象物5にまだ接触しているか否かを検知する。接近検知部102からの検知情報を基に制御部108で、ロボットハンド100が把持対象物5にまだ接触していると接近検知部102で判断する場合には、ステップS27に進む。一方、接近検知部102からの検知情報を基に制御部108で、ロボットハンド100が把持対象物5に接触していないと接近検知部102で判断する場合には、一連の開放動作を終了する。
【0117】
ステップS27では、全ての指部3をさらに開いたのち、ステップS25に戻り、ステップS25を実行する。すなわち、指部制御部123の制御により、図5の空気ポンプ25を停止して、バルブ24から空間26内の空気を排出させ、各指部3を非屈曲状態に戻るようにする。
【0118】
なお、ステップS21の各当接部2を収縮させる工程に関しては、いつ行なってもよく、前記した図11Aのフローチャートでは、第1番目のステップとしたが、これに限られるものではなく、図11B〜図11Dに示す他の3種類のフローチャートの順番でも開放動作は可能である。
【0119】
具体的には、図11Bでは、前記ステップS21の各当接部2を収縮させる工程を、各硬化部1を柔らかい状態にするステップS2の後に行うようにしてもよい。このようにすれば、把持の解除を早く行うことができる。すなわち、硬化部1が柔らかくなり、当接部2が出力する把持力を支えられなくなることで、把持対象物に力が加わらなくなる。
【0120】
また、図11Cでは、前記ステップS21の各当接部2を収縮させる工程を、全ての指部3が把持対象物5から離れたか否かを検知するステップS24の後に行うようにしてもよい。このようにすれば、図11Bの場合と同様な効果が得られる。
【0121】
また、図11Dでは、前記ステップS21の各当接部2を収縮させる工程を、最後に行うようにしてもよい。このようにすれば、図11Bの場合と同様な効果が得られる。
【0122】
前記実施形態によれば、回転連結部が不要になることによる部品点数の減少により、単純な構造とすることができ、かつ、ハンド形状の制御がアクチュエータの位置制御ではなく、硬化部の硬さ制御という簡単な制御にすることができて、多種多様な形状の把持対象物を把持することができるロボットハンド100を実現することができる。
【0123】
すなわち、前記ロボットハンド100は、ロボットハンド100のベース部4に接続され、少なくとも一対は対向するように配置されており、屈曲動作ないしは挟み込み動作といったベース部4に対する相対的な駆動が可能な指部3と、各指部3の可動点を全て覆うように指部3の外周又は外面(把持対象物の対向面)に連続的に配置され、形状を保持したまま硬さを低剛性状態と高剛性状態との間で可逆的に移行可能に制御することが可能で、柔らかい状態(低剛性状態)では任意の点で曲げが可能であり、硬さ状態(高剛性状態)では外力下でもその形状を保持することが可能であることを特徴とする硬化部1と、硬化部1のハンド内側の外周に配置され、膨張及び収縮が可能な当接部2とを備える指100aを複数個備えるロボットハンド100である。このような構成にかかるロボットハンド100の把持動作においては、まず、各硬化部1は柔らかい状態(低剛性状態)へと制御され、その後、指部3の動作によって把持対象物5の外周に押し付けられることで受動的に変形され、変形後に硬さ状態(高剛性状態)へと硬化するように制御され、硬化後に当接部3が膨張することにより把持対象物5と硬化部1の間に把持力を発生させることで把持を行うことができる。このように、各硬化部1を前述のように配置することで、外力及び当接部3の出力した把持力に対して、硬化した硬化部1の剛性によってロボットハンド100により把持対象物5の保持が可能となる。
【0124】
また、以上のような構造にすることにより、従来は指の駆動力を用いて行っていた把持動作時の把持力又は外力に対する指形状の保持を、硬化した硬化部1の部材剛性によって行うことができる。それにより、前記従来の課題の解決に加えて、指部3の駆動力を、従来の駆動力よりも低くすることができる。
【0125】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0126】
例えば、図1A〜図1Cに記載のロボットハンド100は指部3と硬化部1と当接部2とより構成される指100aをベース部4の両側に配置しているが、これに限られるものではなく、前記第1実施形態の変形例として、図16A及び図16Bのように、指部3と硬化部1と当接部2とより構成される指100aを、ベース部4の片側のみに持つ構造であってもよい。図2A〜図2Eにおいては、把持対象物5を、ベース部4と3個の当接部2にて挟みこみ、把持及び開放動作については、図1における第1実施形態と同様に、硬化部1の硬い状態への変化及び柔らかい状態への変化、当接部2の膨張及び収縮により実現する。
【0127】
また、図16A及び図16Bに示した片側のみに指101aを配置したロボットハンド100Aにおいて、把持対象物5の片側を押さえ込むベース部4は、把持対象物5に対向する分に、図17A及び図17Bに示すように傾斜面4a、又は、図18A及び図18Bに示すように側面円弧形状の湾曲面4bを有するように構成してもよい。このように、傾斜面4aを含むベース部4は、円柱状又は円筒状の把持対象物5を把持する際に、ベース部4の傾斜面4aと傾斜面4a以外の平面(例えば、把持対象物5の接離方向と直交する面)4cとで把持対象物5との2点の接触が行えるため、傾斜面4aを有しない平面でのみで把持対象物5を1点で支持する場合よりも、確実な把持を行うことができる。同様に、また、湾曲面4bを含むベース部4においては、湾曲面4bの側面円弧形状において徐々に傾斜が大きくなる特徴より、例え、把持対象物5がベース部4に対して滑り易い材料であったとしても、把持をより確実に行うことができる。
【0128】
また、前記第1実施形態のさらに別の変形例として、図1A〜図1Cに記載のロボットハンド100は、図19A〜図19Bに示すように、例えば、ベース部4の片側の指100bの幅を、他の指100aの幅よりも大きく構成するようにしてもよい。このように幅を大きくさせた構造とすることにより、指100a,100b間の力を対向して受けられるため、把持力を把持対象物5に対して適切に与えることができる。
【0129】
また、前記第1実施形態のさらに別の変形例として、図20A〜図20Bのように、ベース部4の片側の指100cの厚みを、他の指100aの厚みよりも大きく構成するようにしてもよい。例えば、指100cの当接部2の厚みを、他の指100aの当接部2の厚みよりも大きく構成することができる。このような構成にすることにより、例えば、図20A〜図20Bのベース部4の片側の指100aを上側に位置させ、もう片側の指100cを下側に位置させた状態で、上側の指100aを下側の指100cに向けて把持対象物5の把持を行うような、ロボットハンド100の特定方向に力がかかる把持方法が多用される場合において、より強い把持を実現できる。
【0130】
また、前記第1実施形態の種々の変形例として、各当接部2の形状は、前記第1実施形態に限られるものではなく、以下のように種々の態様で実施することができる。
【0131】
すなわち、各当接部2の形状は、図21のように、膨張部15aを幅方向に細長く配置し、長手方向に複数個、間隔をあけて配置してもよい。このような配置にすることにより、特に当接部2の長手方向に凹凸を持つ把持対象物5に対して、より正確に膨張により当接して、確実な把持を行うことができる。
【0132】
また、図22のように、膨張部15bを長手方向に細長く配置し、幅方向に複数個、間隔をあけて配置してもよい。このような配置とすることにより、特に当接部2の幅方向に凹凸を持つ把持対象物5に対して、より正確に膨張によって当接し、確実な把持を行うことができる。
【0133】
また、図23のように、膨張部15cを指先に向かうほど(図23の斜め右上に向かうに従い)、その大きさが変化する(例えば、中空円形の膨張部15cの直径が小さくなる)ように配置してもよい。様々な大きさの膨張部15cを配置することにより、把持対象物5が複雑な凹凸を持つ場合であっても、確実に把持を行うことができる。
【0134】
また、図24のように、膨張部15dを指先に向かうほど(図24の斜め右上に向かうに従い)、その配置密度が高くなるよう配置してもよい。指先の配置密度を高くすることによって、特に、摘み動作のような指先のみを用いた把持において、より確実な把持を行うことができる。
【0135】
また、前記第1実施形態のさらに別の変形例として、図25A及び図25Bに示すように、指部3及び硬化部1間は、互いが相対移動可能であり、かつ、お互いの接触を維持することができるように係合保持して構成されるようにしてもよい。具体的には、例えば、硬化部1は、指部3に対向する面に逆台形状の凸部1pを有し、指部3は、硬化部1に対向する面に、凸部1pが嵌合可能な逆台形状の凹部3pを有して、凸部1pと凹部3pとが、長手方向(図25Bの紙面貫通方向)には互いに摺動自在でかつ長手方向と直交する方向(図25Bの上下方向)には抜き出し不可に係合するように構成している。このように構成することにより、指部3からの硬化部1のはがれ(例えば、指部3から硬化部1が図25Bの上下方向にはがれるの)を防止することができる。
【0136】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のロボットハンド及びロボットハンドの制御装置を用いれば、単純な構造と単純な制御でもって多様な形状の把持対象物の把持が可能となる。よって、工場に用いられる産業用ロボットのロボットハンド及びロボットハンドの制御装置としてのみならず、家庭用マニピュレータに用いるロボットハンド及びロボットハンドの制御装置としても利用されることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1A】本発明の第1実施形態にかかるロボットハンドの概略側面図。
【図1B】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドの概略正面図。
【図1C】図1Aの把持対象物とは別形状の把持対象物の把持時の前記ロボットハンドの概略側面図。
【図2A】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持動作の概要を示す説明図。
【図2B】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持動作の概要を示す説明図。
【図2C】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持動作の概要を示す説明図。
【図2D】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持動作の概要を示す説明図。
【図2E】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持動作の概要を示す説明図。
【図3A】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける、硬さが任意制御可能な、ER流体を用いた硬化部の概要を示す斜視図。
【図3B】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける前記硬化部の概要を示す平面図。
【図3C】図3BのIII−III線の断面図。
【図4A】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持力出力部として、圧力流体として空気を用いた当接部の斜視図。
【図4B】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける把持力出力部としての前記当接部の概略構成図。
【図5】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドにおける指部の概要図。
【図6A】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドにおける、硬さが任意制御可能な、MR流体を用いた硬化部の概略平面図。
【図6B】図6AのVI−VI線の断面図。
【図7A】本発明の前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドにおける、硬さが任意制御可能な、粘土を用いた硬化部の概略平面図。
【図7B】図7AのVII−VII線の断面図。
【図8】本発明の前記第1実施形態にかかるロボットハンドの全体の構成を示す図。
【図9】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドの全体の構成を示す図。
【図10A】前記第1実施形態にかかるロボットハンドの把持動作のフローチャート。
【図10B】前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドの把持動作のフローチャート。
【図10C】前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドの把持動作のフローチャート。
【図10D】前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの把持動作のフローチャート。
【図11A】前記第1実施形態にかかるロボットハンドの開放動作のフローチャート。
【図11B】前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドの開放動作のフローチャート。
【図11C】前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドの開放動作のフローチャート。
【図11D】前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの開放動作のフローチャート。
【図12】前記第1実施形態にかかるロボットハンドの動作を実現するための制御構造を示すブロック図。
【図13A】前記第1実施形態にかかるロボットハンドが把持対象物へ接近したことを検知する接近検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図13B】図13Aの前記接近検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図13C】前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドが把持対象物へ接近したことを検知する接近検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図13D】図13Cの前記接近検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図13E】前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドが把持対象物へ接近したことを検知する接近検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図13F】図13Eの前記接近検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図13G】前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドが把持対象物へ接近したことを検知する接近検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図13H】図13Gの前記接近検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図14A】前記第1実施形態にかかるロボットハンドがならい動作を完了したことを検知するならい動作検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図14B】図14Aの前記ならい動作検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図14C】前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドがならい動作を完了したことを検知するならい動作検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図14D】図14Cの前記ならい動作検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図14E】前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドがならい動作を完了したことを検知するならい動作検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図14F】図14Eの前記ならい動作検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図15A】前記第1実施形態にかかるロボットハンドが把持力発生を完了したことを検知する把持力検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図15B】図15Aの前記把持力検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図15C】前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドが把持力発生を完了したことを検知する把持力検知部を有する前記ロボットハンド構造を示す正面図。
【図15D】図15Cの前記把持力検知部を有する前記ロボットハンドを示す側面図。
【図16A】前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドの概略正面図。
【図16B】図16Aの前記ロボットハンドの概略側面図。
【図17A】前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドの概略正面図。
【図17B】図17Aの前記ロボットハンドの概略側面図。
【図18A】前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの概略正面図。
【図18B】図18Aの前記ロボットハンドの概略側面図。
【図19A】前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの概略正面図。
【図19B】図19Aの前記ロボットハンドの概略側面図。
【図20A】前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの概略正面図。
【図20B】図20Aの前記ロボットハンドの概略側面図。
【図21】本発明の前記第1実施形態の変形例にかかるロボットハンドの当接部の斜視図。
【図22】本発明の前記第1実施形態の別の変形例にかかるロボットハンドの当接部の斜視図。
【図23】本発明の前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの当接部の斜視図。
【図24】本発明の前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの当接部の斜視図。
【図25A】本発明の前記第1実施形態のさらに別の変形例にかかるロボットハンドの側面図。
【図25B】図25AのB−B線の概略断面図。
【図26】第1従来例を示す図。
【図27】第2従来例を示す図。
【符号の説明】
【0139】
1 硬化部
1A,1B,1C シート状モジュール
2 当接部
3 指部
4 ベース部
4a 傾斜面
4b 湾曲面
5 把持対象物
6 マニピュレータ
7 ER流体
8 絶縁シート
9 正電極
10 負電極
11 外周薄膜
12 硬化部外周膜
13 電源線
14 電源
15 膨張部
16 非膨張部
17 空気流路となる空間
18 空気流路
19 バルブ
20 空気ポンプ
21 非伸縮部
22 伸縮部
23 空気流路
24 バルブ
25 空気ポンプ
31 磁性体シート
32 非磁性体シート
33 非磁性体シート
34 MR流体
35 磁性体
36 電磁石
37 電磁石駆動電源
41 非透湿性シート
42 粘土
43 透湿性シート
44 空気流路となる空間
45 空気流路
46 バルブ
47 ドライエア投入用ポンプ
48 水蒸気投入用ポンプ
49 排気口
51 回転リンク
52 ワイヤ
53 駆動部
54 ワイヤ
55 バネ
56 ベース部
61 当接部
62 把持部
63 平行リンク
64 ベース部
71 接触センサ
72 画像センサ
72A 画像処理部
73 測距センサ
74 力センサ
75 接触センサ
76 圧力計
77 画像センサ
77A 画像処理部
78 測距センサ
100,100A ロボットハンド
100a 指
101 マニピュレータ駆動部
102 接近検知部
103 接触検知部
104 ならい動作検知部
105 把持力検知部
106 総合制御部
107 マニピュレータ制御部
108 制御部
109 ハンド制御部
110 硬化完了検知部
111 硬化部駆動部
112 当接部駆動部
113 指部駆動部
121 硬化部制御部
122 当接部制御部
123 指部制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
対向して配置されかつそれぞれ屈曲可能に前記ベース部に配置された複数の指部と、
前記複数の指部のうちの少なくとも一方の指部の把持対象物の把持側の面に配置されて、前記一方の指部に従って屈曲可能な低剛性状態と、前記低剛性状態から硬化することにより前記低剛性状態よりも剛性が高くかつ屈曲した状態で屈曲形状保持可能な高剛性状態との間で可逆的に移行可能な剛性付与部と、
前記剛性付与部の前記把持対象物の把持側の面に配置され、前記把持対象物に接触可能でかつ膨張可能でかつ前記把持対象物から離間するように収縮可能な当接部とを備えることを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記剛性付与部は、前記指部の可動点の全てを覆うように配置されている、請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記当接部は、前記指部の可動点の全てを覆うように配置されている、請求項1又は2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
前記複数の指部のそれぞれが、前記剛性付与部と前記当接部とを有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のロボットハンド。
【請求項5】
前記剛性付与部は、形状を保持したまま、硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的に制御可能な材料として、ビンガム流体又は機能性流体を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のロボットハンド。
【請求項6】
前記剛性付与部は、ER流体又はERゲルを用いて、形状を保持したまま硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的に制御することが可能な硬化部であり、
前記硬化部は、絶縁性の薄膜体内に一対の電極を対向して配置し、前記薄膜体内で絶縁用スペーサを前記一対の電極間に配置し、前記薄膜体内の前記電極間の空間に前記ER流体又はERゲルを封入したシート状構造で構成するとともに、前記シート状構造を複数層積層して構成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のロボットハンド。
【請求項7】
前記剛性付与部は、MR流体を用いて、形状を保持したまま硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的かつ任意に制御することが可能な硬化部であり、前記硬化部は、一対の磁性体部材を対向して配置し、前記磁性体部材の各一端同士を電磁石を介して接続することによって、前記磁性体部材間に封入した前記MR流体内に磁界を発生させるように構成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のロボットハンド。
【請求項8】
前記剛性付与部は、ビンガム流体である乾燥硬化性を持つ粘土を用いて、形状を保持したまま硬さを前記低剛性状態と前記高剛性状態との間で可逆的に制御することが可能な硬化部で構成し、前記硬化部は、対向して配置した非透湿性フィルムと透湿性フィルムとの間に前記粘土を配置したシート状モジュールを、前記非透湿性フィルムが外側になるように前記透湿性フィルム同士を向かい合わせるよう配置して中空のシート状に構成し、前記対向した透湿性フィルム間にあるシート中空の空間に水蒸気又はドライエアを通過させて前記低剛性状態又は前記高剛性状態となるように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のロボットハンド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の前記ロボットハンドの動作を制御するロボットハンドの制御装置にして、
把持動作において、まず、前記剛性付与部が前記低剛性状態へ軟化するように制御され、
その後、前記指部の屈曲動作によって前記把持対象物の外面に前記当接部が押し付けられることで前記指部及び前記硬化部とともに前記当接部が受動的に変形され、
変形後に前記変形した状態を保持しつつ前記剛性付与部が前記高剛性状態へ硬化するように制御され、
硬化後に前記当接部が膨張することにより前記把持対象物と硬化部の間に把持力を発生させて前記把持対象物の把持を前記ロボットハンドで行う、ロボットハンドの制御装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−110846(P2010−110846A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284420(P2008−284420)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】