ロボットハンド
【課題】実現性が高く、対象物のより複雑な扱いが可能なロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットハンド10の手の平に移送機構61を設けているので、ロボットハンド10により対象物Pを把持した際に、移送機構61により対象物Pを矢印Gの方向又は逆方向に移送することができる。このため、移送機構61を有しないロボットハンドと比較すると、対象物Pのより複雑な扱いが可能になる。また、ベルトコンベアの移送機構61を付設するだけであるから、実現性が極めて高く、その制御も容易である。
【解決手段】ロボットハンド10の手の平に移送機構61を設けているので、ロボットハンド10により対象物Pを把持した際に、移送機構61により対象物Pを矢印Gの方向又は逆方向に移送することができる。このため、移送機構61を有しないロボットハンドと比較すると、対象物Pのより複雑な扱いが可能になる。また、ベルトコンベアの移送機構61を付設するだけであるから、実現性が極めて高く、その制御も容易である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の指を駆動制御して、手作業等を行うことが可能なロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。ここでは、指の関節に駆動源のモータを設けて、モータの出力軸と関節の回転軸とにベルトを掛け渡し、モータの出力軸の回転をベルトを介して関節の回転軸に伝達し、関節を回転させている。これらのモータ及びベルトを指の各関節に設け、各関節を回転させて、指の屈伸動作を行わせている。
【0003】
この様に指の関節毎に、関節を独自に回転させれば、指の自由度が高くなる。これにより、ロボットハンドの複雑な動作が可能になり、対象物の把持動作は勿論のこと、把持した対象物を操ることも可能になる。
【0004】
更に、ロボットハンドの指先等に触覚センサや力センサを設けて、ロボットハンドの把持力等を検出し、これによりロボットハンドの機能の向上が図られている。
【特許文献1】特開2001−287182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のロボットハンドの他にも、多種多様な構造のものが提案されているが、それでもまだロボットハンドの動きは人の手のそれに到底及ばず、人の手により可能であっても、ロボットハンドにより可能ではないことが非常に多くある。
【0006】
例えば、図32に示す様にロボットハンド101により対象物102を把持している状態で、ロボットハンド101の手の平上で対象物102を矢印Fの方向に移動させるには、ロボットハンド101に非常に複雑な動きをさせねばならず、更なる自由度の向上を必要とし、その動きの実現性が極めて低かった。また、手の平には、対象物102との適宜な摩擦面を設ける必要があり、この適宜な摩擦面のための手の平の形状や材質等が新たな課題となり、直ちに実現することができなかった。
【0007】
また、複数のロボットハンドを用意しておき、ロボットハンドの手の平上の対象物を、他のロボットハンドの補助により移動させるという方法も考えられるが、他のロボットハンドが接する対象物の箇所の解析並びに認識技術や、複数のロボットハンドを協調動作させる技術等の更なる検討課題が増え、直ちに実現することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、実現性が高く、対象物のより複雑な扱いが可能なロボットハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の指を有するロボットハンドにおいて、対象物と接触する該ロボットハンドの部位に、対象物に接触して、該対象物を移送する移送手段を設けている。
【0010】
また、本発明においては、移送手段を、ロボットハンドの手の平側に設けている。
【0011】
更に、本発明においては、移送手段を、ロボットハンドの指の腹側に設けている。
【0012】
また、本発明においては、複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送速度が相互に異なる。
【0013】
更に、本発明においては、複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送方向が相互に異なる。
【0014】
また、本発明においては、複数の移送手段を備えており、各移送手段をロボットハンドの相互に平行ではないそれぞれの面に設けている。
【0015】
更に、本発明においては、移送手段は、ベルトコンベアである。
【0016】
また、本発明においては、移送手段は、複数の圧力室を包含する弾性部材を有しており、各圧力室の順次選択的な膨張により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送している。
【0017】
更に、本発明においては、移送手段は、複数の高分子アクチュエータと、各高分子アクチュエータに載せられて係止された弾性部材とを有しており、各高分子アクチュエータの順次選択的な伸長により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送している。
【0018】
また、本発明においては、移送手段は、回転駆動されるローラである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のロボットハンドによれば、対象物と接触する該ロボットハンドの部位に、対象物に接触して、該対象物を移送する移送手段を設けている。このため、ロボットハンドにより対象物を把持した際に、この対象物に接触する様な位置に移送手段を設ければ、対象物を把持しつつ、移送手段により対象物を移送することができ、対象物のより複雑な扱いが可能になる。また、後で述べる様に移送手段として、ベルトコンベア等を適用することができるので、実現性が極めて高く、その制御も容易である。
【0020】
例えば、移送手段をロボットハンドの手の平側もしくは指の腹側に設ければ良く、これによりロボットハンドにより把持された対象物を手の内側で移動させることができる。
【0021】
また、複数の移送手段を設けても良い。この場合は、各移送手段の移送速度を異ならせたり、それぞれの移送方向を相互に逆に設定することにより、対象物を搬送するだけではなく、対象物を回転させることができる。
【0022】
更に、各移送手段をロボットハンドの相互に平行ではないそれぞれの面に設けても良い。この場合は、対象物の相互に異なる面に各移送手段が接触するので、各移送手段により対象物を安定的に移送することができる。
【0023】
移送手段は、ベルトコンベアの他に、弾性部材表面に進行波を発生するものやローラであっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明のロボットハンドの一実施形態を示す側面図であり、図2は本実施形態のロボットハンドを手の平側から見て示す平面図であり、図3は本実施形態のロボットハンドを手の甲側から見て示す背面図である。
【0026】
このロボットハンド10では、メインベース101を手の平もしくは甲に相当するものとし、親指サブベース102を手の平と平行回転する様にメインベース101で軸支し、親指機構Aを親指サブベース102により支持している。また、人差し指サブベース103を手の平と平行回転する様にメインベース101で軸支し、人差し指機構Bを人差し指サブベース103により支持している。更に、中指機構C、薬指機構D、及び小指機構Eをメインベース101で直接支持している。
【0027】
次に、親指機構Aについて説明する。メインベース101上には、モータA11及び直動回転変換機A12を搭載しており、モータA11の出力軸の回転により直動回転変換機A12を作動させ、直動回転変換機A12により図4に示す様に親指サブベース102を手の平に対して平行回転させる。
【0028】
より具体体的には、直動回転変換機A12は、図5に示す様にヨークA32、スクリューA33、各ギヤA34、35、及び直動部A36等からなり、モータA11の出力軸の回転を各ギヤA34、35を介してスクリューA33に伝達して、スクリューA33を回転させ、スクリューA33に螺合する直動部A36をスクリューA33に沿って直線移動させて、直動部A36に係合するヨークA32を移動させ、ヨークA32に接続されている親指サブベース102を回転させる。
【0029】
また、図6に示す様に親指サブベース102には、3個のモータA13、A14、A15を搭載しており、各モータA13、A14、A15の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて親指機構Aの各関節a2、a3、a4に伝達して、各関節a2、a3、a4を回転させ、親指機構Aを屈伸させる。
【0030】
尚、図6においては、次の図7のプーリやワイヤー等を省略している。
【0031】
図7は、親指サブベース102上の各モータA13、A14、A15及び親指機構Aの部分的な断面を示す図である。
【0032】
親指機構Aは、各関節a2、a3、a4により連結された各指胴部A21、A22、及び指先部A23を有する。
【0033】
関節a2に対応する軸A25は、親指サブベース102側で回転自在に支持されている。この軸A25は、該軸A25と共に回転する従動プーリA41を固定支持し、各アイドラープーリA42、A43を該軸A25並びに従動プーリA41に対して回転自在に支持している。従動プーリA41には、指胴部A21の連結片A44を接続固定している。
【0034】
モータA13の出力軸が回転すると、モータプーリA51が回転し、このモータプーリA51の回転がワイヤーA52を介して従動プーリA41に伝達され、従動プーリA41が軸A25及び連結片A44と共に回転し、指胴部A21が関節a2周りで回転する。
【0035】
また、関節a3に対応する軸A26は、指胴部A21の先端側に支持されている。この軸A26は、該軸A26と共に回転する従動プーリA45を固定支持し、アイドラープーリA46を該軸A26並びに従動プーリA45に対して回転自在に支持している。従動プーリA45には、指胴部A22の連結片A47を接続固定している。
【0036】
モータA14の出力軸が回転すると、モータプーリA53が回転し、このモータプーリA53の回転がワイヤーA54を介してアイドラープーリA42及び従動プーリA45に伝達され、アイドラープーリA42が空転し、従動プーリA45が軸A26及び連結片A47と共に回転し、指胴部A22が関節a3周りで回転する。
【0037】
更に、関節a4に対応する軸A27は、指胴部A22の先端側に支持されている。この軸A27は、該軸A27と共に回転する従動プーリA48を固定支持している。従動プーリA48には、指先部A23の連結片A49を接続固定している。
【0038】
モータA15の出力軸が回転すると、モータプーリA55が回転し、このモータプーリA55の回転がワイヤーA56を介してアイドラープーリA43、アイドラープーリA46、及び従動プーリA48に伝達され、各アイドラープーリA43、A46が空転し、従動プーリA48が軸A27及び連結片A49と共に回転し、指先部A23が関節a4周りで回転する。
【0039】
従って、親指機構Aは、4個のモータA11、A13〜A15により4個の関節a1〜a4を個別に回転されるものであり、自由度4を有する。
【0040】
次に、人差し指機構Bについて説明する。メインベース101上には、モータB11及び直動回転変換機B12を搭載しており、モータB11の出力軸の回転により直動回転変換機B12を作動させ、直動回転変換機B12により図8に示す様に人差し指サブベース103を手の平に対して平行回転させる。
【0041】
より具体的には、直動回転変換機B12は、図9に示す様にスクリューB33、ヨークB32、及び直動部B36等からなり、モータB11の出力軸の回転をスクリューB33に伝達して、スクリューB33を回転させ、スクリューB33に螺合する直動部B36をスクリューB33に沿って直線移動させて、直動部B36に係合するヨークB32を移動させ、ヨークB32に接続されている人差し指サブベース103を回転させる。
【0042】
また、図10に示す様に人差し指サブベース103には、3個のモータB13、B14、B15を搭載しており、各モータB13、B14、B15の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて人差し指機構Bの各関節b2、b3、b4に伝達して、人差し指機構Bの各関節b2、b3、b4を回転させ、人差し指機構Bを屈伸させる。
【0043】
尚、図10においては、次の図11のプーリやワイヤー等を省略している。
【0044】
図11は、人差し指サブベース103上の各モータB13、B14、B15及び人差し指機構Bの部分的な断面を示す図である。
【0045】
人差し指機構Bは、各関節b2、b3、b4により連結された各指胴部B21、B22、及び指先部B23を有する。
【0046】
関節b2に対応する軸B25は、人差し指サブベース103側で回転自在に支持されている。この軸B25は、該軸B25と共に回転する従動プーリB41を固定支持し、各アイドラープーリB42、B43を該軸B25並びに従動プーリB41に対して回転自在に支持している。従動プーリB41には、指胴部B21の連結片B44を接続固定している。
【0047】
モータB13の出力軸が回転すると、モータプーリB51が回転し、このモータプーリB51の回転がワイヤーB52を介してアイドラープーリB40及び従動プーリB41に伝達され、アイドラープーリB40が空転し、従動プーリB41が軸B25及び連結片B44と共に回転し、指胴部B21が関節b2周りで回転する。
【0048】
また、関節b3に対応する軸B26は、指胴部B21の先端側に支持されている。この軸B26は、該軸B26と共に回転する従動プーリB45を固定支持し、アイドラープーリB46を該軸B26並びに従動プーリB45に対して回転自在に支持している。従動プーリB45には、指胴部B22の連結片B47を接続固定している。
【0049】
モータB14の出力軸が回転すると、モータプーリB53が回転し、このモータプーリB53の回転がワイヤーB54を介してアイドラープーリB40、アイドラープーリB42、及び従動プーリB45に伝達され、各アイドラープーリB40、B42が空転し、従動プーリB45が軸B26及び連結片B47と共に回転し、指胴部B22が関節b3周りで回転する。
【0050】
更に、関節b4に対応する軸B27は、指胴部B22の先端側に支持されている。この軸B27は、該軸B27と共に回転する従動プーリB48を固定支持している。従動プーリB48には、指先部B23の連結片B49を接続固定している。
【0051】
モータB15の出力軸が回転すると、モータプーリB55が回転し、このモータプーリB55の回転がワイヤーB56を介してアイドラープーリB40、アイドラープーリB43、アイドラープーリB46、及び従動プーリB48に伝達され、各アイドラープーリB40、B43、B46が空転し、従動プーリB48が軸B27及び連結片B49と共に回転し、指先部B23が関節b4周りで回転する。
【0052】
従って、人差し指機構Bも、親指Aと同様に、4個のモータB11、B13〜B15により4個の関節b1〜b4を個別に回転されるものであり、自由度4を有する。
【0053】
次に、中指機構Cについて説明する。メインベース101上には、図12に示す様に2個のモータC11、C12を搭載しており、各モータC11、C12の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて中指機構Cの各関節c1、c2に伝達して、各関節c1、c2を回転させ、更に関節c2の回転を回転伝達機構を通じて関節c3に伝達して、関節c3を従動回転させ、中指Cを屈伸させる。
【0054】
尚、図12においては、次の図13のプーリやワイヤー等を省略している。
【0055】
図13は、メインベース101上の各モータC11、C12及び中指機構Cの部分的な断面を示す図である。
【0056】
中指機構Cは、各関節c1、c2により連結された各指胴部C21、C22、及び指先部C23を有する。
【0057】
関節c1に対応する軸C24は、メインベース101側で回転自在に支持されている。この軸C24は、該軸C24と共に回転する従動プーリC31を固定支持し、アイドラープーリC32を該軸C24並びに従動プーリC31に対して回転自在に支持している。従動プーリC31には、指胴部C21の連結片C33を接続固定している。
【0058】
モータC11の出力軸が回転すると、モータプーリC41が回転し、このモータプーリC41の回転がワイヤーC42を介して従動プーリC31に伝達され、従動プーリC31が軸C24及び連結片C33と共に回転し、指胴部C21が関節c1周りで回転する。
【0059】
また、関節c2に対応する軸C25は、指胴部C21の先端側に支持されている。この軸C25は、該軸C25と共に回転する従動プーリC34及び動力伝達プーリC35を固定支持している。従動プーリC34には、指胴部C22の連結片C36を接続固定している。
【0060】
モータC12の出力軸が回転すると、モータプーリC43が回転し、このモータプーリC43の回転がワイヤーC44を介してアイドラープーリC32及び従動プーリC34に伝達され、アイドラープーリC32が空転し、従動プーリC34が軸C25及び連結片C36と共に回転し、指胴部C22が関節c2周りで回転する。
【0061】
更に、関節c3対応する軸C26は、指胴部C22の先端側に支持されている。この軸C26は、該軸C26と共に回転する従動プーリC37を接続固定している。従動プーリC37には、指先部C23の連結片C38を接続固定している。
【0062】
関節c2の従動プーリC34と共に動力伝達プーリC35が回転すると、この動力伝達プーリC35の回転がワイヤーC45を介して従動プーリC37に伝達され、従動プーリC37が軸C26及び連結片C38と共に回転し、指先部C23が関節c2周りで回転する。すなわち、関節c3が関節c2に対して従動回転する。
【0063】
従って、中指Cは、2個のモータC11、C12により2個の関節c1、c2を個別に回転されるものであり、自由度2を有する。
【0064】
次に、薬指機構D及び小指機構Eについて説明する。メインベース101上には、図14に示す様に1個のモータDE11を搭載しており、モータDE11の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて薬指機構Dの各関節d1、d2及び小指機構Eの各関節e1、e2に伝達して、薬指機構Dの各関節d1、d2及び小指機構Eの各関節e1、e2を回転させ、薬指機構D及び小指機構Eを屈伸させる。
【0065】
尚、図14においては、次の図15のプーリやワイヤー等を省略している。
【0066】
図15は、メインベース101上のモータDE11の周辺を部分的に破断して示す断面図である。
【0067】
各関節d1、e1に対応する軸DE24は、メインベース101側で回転自在に支持されている。この軸DE24には、ギヤDE31を固定支持し、また一対のプーリD32、E32を回転自在に通して、各プーリD32、E32をそれぞれの支持片101cに固定している。ギヤボックスDE32は、ギヤDE33、各ベベルギヤDE34、及びギヤDE35等を歯合させたものであり、ギヤDE35をモータDE11の出力軸に接続して、この出力軸の回転をギヤDE35及び各ベベルギヤDE34を介してギヤDE33に伝達し、このギヤDE33に歯合されるギヤDE31を回転させる。
【0068】
図16は、メインベース101上の軸DE24、薬指機構D及び小指機構Eの部分的な断面を示す図である。
【0069】
薬指機構Dは、各関節d1、d2により連結された各指胴部D21、D22、指先部D23を有する。また、小指機構Eは、各関節e1、e2により連結された各指胴部E21、E22、指先部E23を有する。
【0070】
軸DE24のギヤDE31には、各指胴部D21、E21の連結片D33、E33を接続固定している。
【0071】
また、関節d2に対応する軸D25は、指胴部D21の先端側に支持されている。この軸D25には、該軸D25と共に回転する従動プーリD34を接続固定している。従動プーリD34には、指胴部D22の連結片D35を接続固定している。
【0072】
同様に、関節e2に対応する軸E25は、指胴部E21の先端側に支持されている。軸E25には、該軸E25と共に回転する従動プーリE34を接続固定している。従動プーリE34には、指胴部E22の連結片E35を接続固定している。
【0073】
モータDE11の出力軸が回転すると、この出力軸の回転がギヤボックスDE32を介してギヤDE31に伝達されて、ギヤDE31が回転し、指胴部D21も関節d1周りで回転する。
【0074】
また、関節d1周りの指胴部D21の回転に伴って、各ワイヤーD36が軸DE24周りを周回するものの、支持片101cに固定されたプーリD32が回転しないことから、ワイヤーD36がプーリD32に巻き取られるか、解かれて、従動プーリD34が軸D25及び連結片D35と共に回転し、指胴部D22が関節d2周りで回転する。従って、各指胴部D21、D22が同時に回転する。各指胴部E21、E22、及び指先部E23についても、各指胴部D21、D22、及び指先部D23と同様に、軸DE24のプーリE32と軸E25の従動プーリE34に各ワイヤーE36を張架しているので、モータDE11の出力軸が回転すると、指胴部E21が関節e1周りで回転すると共に、指胴部E22が関節e2周りで回転する。
【0075】
従って、薬指機構D及び小指機構Eは、1個のモータDE11により薬指機構Dの各関節d1、d2及び小指機構Eの各関節e1、e2を回転されるものであり、自由度1を有する。
【0076】
この様なロボットハンド10においては、親指機構A及び人差し指機構Bの自由度が4、中指機構Cの自由度が2、薬指機構D及び小指機構Eが1であるから、このロボットハンド10そのものの自由度が11である。
【0077】
尚、各指機構A〜Eを駆動する複数のモータは、それぞれのライン(図示せず)を通じて制御回路(図示せず)に接続され、この制御回路により制御されて回転する。これにより、各関節が回転し、各指機構A〜Eが屈伸する。
【0078】
また、各指機構A〜Eの関節毎に、関節の回転角度を検出するポテンショメータを設けている。これらのポテンショメータは、それぞれのラインを通じて上記制御回路に接続されている。制御回路は、各指機構A〜Eの関節毎に、ポテンショメータにより検出された関節の回転角度が目標値となる様に該関節を回転させ、各指機構A〜Eを多様に動作させる。
【0079】
また、各指機構A〜Eの指先部A23、指先部B23、指先部C23、指先部D23、指先部E23等には、このロボットハンド10による対象物の把持動作に伴い、該各指先部に作用する力を検出するためのそれぞれの力センサを設けている。これらの力センサは、それぞれのラインを通じて上記制御回路に接続されている。制御回路は、これらの力センサにより検出された力に基づいて、対象物の把持状態を判定し、各モータの駆動力を制御して、ロボットハンド10の把持力等を制御する。力センサは、指先部だけではなく、指胴部等に設けても良い。
【0080】
更に、ロボットハンド10の指の駆動機構として、プーリとワイヤーを組み合わせたものだけに限らず、ギヤを組み合わせたもの等、多種多様なものが既に提案されているので、これらの駆動機構を適宜に用いても構わない。
【0081】
ところで、本実施形態のロボットハンド10は、自由度11を有しているが、それでも人の手の複雑な動きを完全に真似ることができない。このため、ロボットハンド10により対象物を把持している状態で、ロボットハンド10の手の平上で対象物を移動させるという作業は困難を極める。
【0082】
そこで、本実施形態では、図17及び図18に示す様にロボットハンド10の手の平に移送機構61を設けている。尚、図1及び図2においては、移送機構61を一転鎖線で示している。
【0083】
この移送機構61は、所謂ベルトコンベアであって、図19に拡大して示す様に駆動ローラ62と従動ローラ63を離間して配置し、駆動ローラ62と従動ローラ63間に無端ベルト64を掛け渡して支持し、モータ65により駆動ローラ62を回動させて、無端ベルト64を回転移動させるものである。
【0084】
モータ65から駆動ローラ62への回転力の伝達は、相互に歯合されたモータ65の出力軸のギヤ66と駆動ローラ62の軸のギヤ67を通じてなされる。また、モータ65は、複数のライン(図示せず)を通じて制御回路(図示せず)に接続され、この制御回路により制御されて回転する。
【0085】
モータ65、駆動ローラ62の軸受け(図示せず)、及び従動ローラ63の軸受け(図示せず)は、ロボットハンド10の手の平上の適宜の箇所に直接固定しても良いし、またロボットハンド10の手の平にフレーム(図示せず)を固定した上で、このフレームに固定しても良い。
【0086】
尚、モータ65が外側に露出しているが、モータ65を保護するためのカバーを設けても良い。また、カバーを設けると、ロボットハンド10が厚くなるので、その薄型化のためにカバーを省略しても構わない。
【0087】
この様な構成のロボットハンド10においては、ロボットハンド10の手の平に移送機構61を設けているので、図20に示す様にロボットハンド10により対象物Pを把持した状態で、移送機構61により対象物Pを矢印Gの方向又は逆方向に移送することができる。このため、移送機構61を有しないロボットハンドと比較すると、対象物Pのより複雑な扱いが可能になる。また、ベルトコンベアの移送機構61を付設するだけであるから、実現性が極めて高く、その制御も容易である。
【0088】
本実施形態では、移送機構61による移送方向を、手の平の縦方向に設定しているが、その移送方向を手の平を横切る方向に設定しても良い。この場合は、ロボットハンド10の手の平上で、移送機構61により対象物Pが横方向に移送される。あるいは、移送機構61による移送方向を斜め方向に設定しても良い。
【0089】
また、図21に示す様に2つの移送機構61a、61bを手の平に設けても良い。各移送機構61a、61bは、移送機構61と同様に、ベルトコンベアである。ただし、各移送機構61a、61bによる移送方向を手の平を横切る方向に設定している。
【0090】
この様な2つの移送機構61a、61bを設けた場合は、ロボットハンド10による対象物の扱い方が更に多様化する。例えば、図22に示す様に各移送機構61a、61bによる移送方向及び移送速度を一致させれば、単一の移送機構61と同様に、各移送機構61a、61bにより対象物Pを矢印の方向H又は逆方向に移送することができる。
【0091】
また、図23に示す様に各移送機構61a、61bによる移送の方向Iを一致させ、移送機構61aによる移送速度を移送機構61bによる移送速度よりも速くすれば、対象物Pを手の平上で矢印Iの方向に移送しつつ矢印Jの方向に回転させ、対象物Pを傾けることができる。勿論、各移送機構61a、61bによる移送速度を調節したり、各移送機構61a、61bによる移送方向を逆転させることにより、対象物Pの搬送速度や回転速度等を変更することができる。
【0092】
あるいは、移送機構61aによる移送方向と移送機構61bによる移送方向を相互に逆にすれば、手の平上での対象物Pの位置を殆ど変更せずに、対象物Pを手の平上で回転させ、対象物Pを傾けることができる。
【0093】
例えば、図24(a)に示す様にロボットハンド10により長い対象物Pを把持した状態で、対象物Pが落下しない程度までロボットハンド10による把持力を低下させる。ただし、対象物Pが各移送機構61a、61bに軽く押し付けられる程度の把持力は維持する。この後、各移送機構61a、61bによる移送方向を一致させ、各移送機構61a、61bによる移送速度を異ならせて、対象物Pを手の平上で移送しつつ傾斜させて、図24(b)に示す様に対象物Pを矢印Kの方向に移送し、対象物Pの先端側が手の平まで移送してから各移送機構61a、61bを停止させる。これにより、ロボットハンド10の手の平上で対象物Pの把持箇所を変更することができる。
【0094】
こうした対象物Pの扱いは、ロボットハンド10により、例えば電子機器のリモコン装置を操作するときに必要となる。リモコン装置は、長方形の形状を有し、そのほぼ表側全面にボタンが配置されている。このため、リモコン装置の一端から他端までのボタン全てを押すには、リモコン装置を移送して把持箇所を変更する必要がある。
【0095】
その他、長方形の対象物Pを安定的に持ち直すときには、各移送機構61a、61bにより対象物Pを移送したり回転させてやれば良い。
【0096】
また、図25に示す様に各移送機構61a、61bによる移送方向を縦方向に設定し、ロボットハンド10の手の平上で対象物Pを縦方向に移送しても良い。あるいは、各移送機構61a、61bによる移送方向を斜め方向に設定しても良い。
【0097】
また、図26(a)及び(b)に示す様に一方の移送機構61aをロボットハンド10の手の平に配置し、他方の移送機構61bをロボットハンド10の親指機構Aの付け根付近に配置して、各移送機構61a、61bの移送面を相互に垂直になる様にしても良い。この場合は、ロボットハンド10の手の平上で、対象物の相互に垂直なそれぞれの面に各移送機構61a、61bが接触することになり、対象物と各移送機構61a、61b間の接触面積が増大し、また対象物が複雑な形状であっても、対象物と各移送機構61a、61b間の接触を確保することができ、各移送機構61a、61bによる対象物の位相を安定的に行うことができる。
【0098】
更に、各移送機構の個数を増やしたり、移動機構毎に、移送機構のサイズ、形状、及び配置位置を変更し、多様な形状及びサイズの対象物の複雑な扱いを可能にしても良い。
【0099】
尚、本実施形態では、移送機構としてベルトコンベアを例示しているが、他の種類の移送機構を適用することができる。例えば、図27に示す様なアクチュエータ70がある。このアクチュエータ70では、板状の弾性部材71に複数の圧力室72を並べて形成し、各圧力室72にそれぞれのチューブ73を接続しており、各チューブ73を通じての各圧力室72への空気の圧送や各圧力室72からの空気の放出により、各圧力室72を選択的に順次膨張させたり収縮させ、これにより弾性部材71を変形させて、この弾性部材71の凹凸表面71aに進行波を形成し、この弾性部材71の凹凸表面71a上の対象物を進行波の進行方向と逆方向に搬送する(特開平9−79213号公報等を参照)。
【0100】
この様なアクチュエータ70は、それ自体を薄く作成することができるので、ロボットハンドの手の平に搭載するには好適である。また、アクチュエータ70の材質が弾性体なので、その設置面が曲面であっても、アクチュエータ70を曲面に対して隙間なくなじませて搭載することが可能である。
【0101】
また、移送機構として、図28に示す様なアクチュエータ80を適用することができる。このアクチュエータ80では、アクチュエータ基板81上にフレキシブル基板84を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板84上に複数の伸縮駆動素子82を並設して固定し、各伸縮駆動素子82の上端にシート状の弾性部材83を載せて係止し、制御駆動部85をフレキシブル基板84を通じて各伸縮駆動素子82に接続している。制御駆動部85は、フレキシブル基板84を通じて各伸縮駆動素子82に電圧を順次印加し、各伸縮駆動素子82をZ方向に順次伸縮させて、弾性部材83を変形させて波打たせ、進行方向がX方向の進行波を弾性部材83の表面に形成する。この弾性部材83に対象物を載置すると、この弾性部材83の進行波により対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【0102】
各伸縮駆動素子82は、図29(a)に示す様なシート状の高分子材料91を一対の電極92、93間に挟み込んだ高分子アクチュエータを、図30に示す様にロール状に巻回して角棒状に成型してなる。高分子材料91は、誘電性エラストマ、電歪高分子等とも称され、スピンコーティング法、ディップコーティング法、キャスト法、スプレイ法とにより形成される。また、各電極92、93は、柔軟性を有しており、高分子材料91と同様の製法により形成される。
【0103】
各電極92、93間に電圧を印加すると、各電極92、93間に静電力が生じて、この静電力が図29(b)に示す様に高分子材料91を押し広げる様に作用して、高分子材料91及び各電極92、93が延び、伸縮駆動素子が伸長する。
【0104】
また、各電極92、93間への電圧印加を停止すると、各電極92間の静電力が消えて、高分子材料91及び各電極92、93が図29(a)に示す元の状態に戻り、伸縮駆動素子の長さが元に戻る。
【0105】
この種の高分子アクチュエータは、技術調査会から出版されている「エレクトロニクス実装技術」の2001年1月号のP32〜P38、及びサイエンス社(SCIENCE)から出版されている「SCIENCE」の2000年4月(FEBRUARY)号のVOL287のP836、P837等に詳しく記載されている。
【0106】
この様なアクチュエータ80は、構成が簡単であって、全体を薄くすることができるので、小スペースであっても、搭載することが可能である。また、高分子アクチュエータの応答速度が速いので、進行波の速度を速くして、対象物の移送速度を高めることも可能である。
【0107】
また、各伸縮駆動素子72を行列方向に配列したり、多様な配列パターンで配列し、各伸縮駆動素子72の伸縮順序を適宜に設定すれば、対象物を縦横方向に移送したり回転させることができる。
【0108】
また、伸縮駆動素子としては、高分子材料に電極を設け電圧を加えるとイオンを取り込んで膨張するという性質を利用したものもあり、それを用いても構わない。あるいは、電気的に制御することができ、高分子アクチュエータと同様な性質を有するアクチュエータであれば、どのような駆動素子でも用いることができる。また、伸縮駆動素子として、超音波を弾性部材の表面に発生させて、対象物を搬送するというものもある。
【0109】
更に、移送機構として、図31に示す様にロボットハンド10の手の平に配置された複数のローラ95を適用しても良い。各ローラ95をモータ(図示せず)により回転駆動し、手の平上での対象物を各ローラ95により移送する。各ローラ95の全てを回転駆動する必要はなく、各ローラ95の幾つかを従動させても構わない。
【0110】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、上述した各種の移送機構を組み合わせて用いても良い。また、手の平ばかりではなく、指の腹側等に移送機構を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明のロボットハンドの一実施形態を示す側面図である。
【図2】ロボットハンドを手の平側から見て示す平面図である。
【図3】ロボットハンドを手の甲側から見て示す背面図である。
【図4】ロボットハンドにおける親指機構の回転動作を示す図である。
【図5】ロボットハンドにおける親指サブベースとメインベースとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。
【図6】ロボットハンドにおける親指の屈伸動作を示す図である。
【図7】ロボットハンドにおける親指サブベース上の各モータ及び親指機構の部分的な断面を示す図である。
【図8】ロボットハンドにおける人差し指機構の回転動作を示す図である。
【図9】ロボットハンドにおける人差し指サブベースとメインベースとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。
【図10】ロボットハンドにおける人差し指の屈伸動作を示す図である。
【図11】ロボットハンドにおける人差し指サブベース上の各モータ及び人差し指機構の部分的な断面を示す図である。
【図12】ロボットハンドにおける中指機構の屈伸動作を示す図である。
【図13】ロボットハンドにおけるメインベース上の各モータ及び中指機構の部分的な断面を示す図である。
【図14】ロボットハンドにおける薬指機構及び小指機構の屈伸動作を示す図である。
【図15】ロボットハンドにおける薬指機構及び小指機構とメインベースとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。
【図16】ロボットハンドにおけるメインベース上のモータ及び薬指機構及び小指機構の部分的な断面を示す図である。
【図17】手の平に移送機構を明らかにしたロボットハンドを示す側面図である。
【図18】手の平に移送機構を明らかにしたロボットハンドを示す平面図である。
【図19】図17及び図18の移送機構を拡大して示す斜視図である。
【図20】図17及び図18の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態を例示する図である。
【図21】移送機構の変形例を示す図である。
【図22】図21の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態の一例を示す図である。
【図23】図21の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態の他の例を示す図である。
【図24】(a)及び(b)は図21の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態の別の例を示す図である。
【図25】移送機構の他の変形例を示す図である。
【図26】(a)及び(b)は移送機構の別の変形例を示す側面図及び平面図である。
【図27】他の種類の移送機構を示す斜視図である。
【図28】別の種類の移送機構を示す斜視図である。
【図29】(a)は高分子アクチュエータの構造を示す斜視図であり、(b)は高分子アクチュエータの動作を示す斜視図である。
【図30】高分子アクチュエータをロール状に巻回して角棒状に成型してなる伸縮駆動素子を示す斜視図である。
【図31】更に他の種類の移送機構を示す斜視図である。
【図32】従来のロボットハンドによる対象物の把持動作を例示する図である。
【符号の説明】
【0112】
101 メインベース
102 親指サブベース
103 人差し指サブベース
61、61a、61b 移送機構
70、80 アクチュエータ
A 親指機構
A11、A13、A14、A15 モータ
A12 直動回転変換機
a1、a2、a3、a4 関節
B 人差し指機構
B11、B13、B14、B15 モータ
B12 直動回転変換機
b1、b2、b3、b4 関節
C 中指機構
C11、C12 モータ
c1、c2、c3 関節
D 薬指機構
DE11 モータ
d1、d2 関節
E 小指機構
e1、e2 関節
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の指を駆動制御して、手作業等を行うことが可能なロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の装置としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。ここでは、指の関節に駆動源のモータを設けて、モータの出力軸と関節の回転軸とにベルトを掛け渡し、モータの出力軸の回転をベルトを介して関節の回転軸に伝達し、関節を回転させている。これらのモータ及びベルトを指の各関節に設け、各関節を回転させて、指の屈伸動作を行わせている。
【0003】
この様に指の関節毎に、関節を独自に回転させれば、指の自由度が高くなる。これにより、ロボットハンドの複雑な動作が可能になり、対象物の把持動作は勿論のこと、把持した対象物を操ることも可能になる。
【0004】
更に、ロボットハンドの指先等に触覚センサや力センサを設けて、ロボットハンドの把持力等を検出し、これによりロボットハンドの機能の向上が図られている。
【特許文献1】特開2001−287182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のロボットハンドの他にも、多種多様な構造のものが提案されているが、それでもまだロボットハンドの動きは人の手のそれに到底及ばず、人の手により可能であっても、ロボットハンドにより可能ではないことが非常に多くある。
【0006】
例えば、図32に示す様にロボットハンド101により対象物102を把持している状態で、ロボットハンド101の手の平上で対象物102を矢印Fの方向に移動させるには、ロボットハンド101に非常に複雑な動きをさせねばならず、更なる自由度の向上を必要とし、その動きの実現性が極めて低かった。また、手の平には、対象物102との適宜な摩擦面を設ける必要があり、この適宜な摩擦面のための手の平の形状や材質等が新たな課題となり、直ちに実現することができなかった。
【0007】
また、複数のロボットハンドを用意しておき、ロボットハンドの手の平上の対象物を、他のロボットハンドの補助により移動させるという方法も考えられるが、他のロボットハンドが接する対象物の箇所の解析並びに認識技術や、複数のロボットハンドを協調動作させる技術等の更なる検討課題が増え、直ちに実現することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、実現性が高く、対象物のより複雑な扱いが可能なロボットハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の指を有するロボットハンドにおいて、対象物と接触する該ロボットハンドの部位に、対象物に接触して、該対象物を移送する移送手段を設けている。
【0010】
また、本発明においては、移送手段を、ロボットハンドの手の平側に設けている。
【0011】
更に、本発明においては、移送手段を、ロボットハンドの指の腹側に設けている。
【0012】
また、本発明においては、複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送速度が相互に異なる。
【0013】
更に、本発明においては、複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送方向が相互に異なる。
【0014】
また、本発明においては、複数の移送手段を備えており、各移送手段をロボットハンドの相互に平行ではないそれぞれの面に設けている。
【0015】
更に、本発明においては、移送手段は、ベルトコンベアである。
【0016】
また、本発明においては、移送手段は、複数の圧力室を包含する弾性部材を有しており、各圧力室の順次選択的な膨張により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送している。
【0017】
更に、本発明においては、移送手段は、複数の高分子アクチュエータと、各高分子アクチュエータに載せられて係止された弾性部材とを有しており、各高分子アクチュエータの順次選択的な伸長により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送している。
【0018】
また、本発明においては、移送手段は、回転駆動されるローラである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のロボットハンドによれば、対象物と接触する該ロボットハンドの部位に、対象物に接触して、該対象物を移送する移送手段を設けている。このため、ロボットハンドにより対象物を把持した際に、この対象物に接触する様な位置に移送手段を設ければ、対象物を把持しつつ、移送手段により対象物を移送することができ、対象物のより複雑な扱いが可能になる。また、後で述べる様に移送手段として、ベルトコンベア等を適用することができるので、実現性が極めて高く、その制御も容易である。
【0020】
例えば、移送手段をロボットハンドの手の平側もしくは指の腹側に設ければ良く、これによりロボットハンドにより把持された対象物を手の内側で移動させることができる。
【0021】
また、複数の移送手段を設けても良い。この場合は、各移送手段の移送速度を異ならせたり、それぞれの移送方向を相互に逆に設定することにより、対象物を搬送するだけではなく、対象物を回転させることができる。
【0022】
更に、各移送手段をロボットハンドの相互に平行ではないそれぞれの面に設けても良い。この場合は、対象物の相互に異なる面に各移送手段が接触するので、各移送手段により対象物を安定的に移送することができる。
【0023】
移送手段は、ベルトコンベアの他に、弾性部材表面に進行波を発生するものやローラであっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明のロボットハンドの一実施形態を示す側面図であり、図2は本実施形態のロボットハンドを手の平側から見て示す平面図であり、図3は本実施形態のロボットハンドを手の甲側から見て示す背面図である。
【0026】
このロボットハンド10では、メインベース101を手の平もしくは甲に相当するものとし、親指サブベース102を手の平と平行回転する様にメインベース101で軸支し、親指機構Aを親指サブベース102により支持している。また、人差し指サブベース103を手の平と平行回転する様にメインベース101で軸支し、人差し指機構Bを人差し指サブベース103により支持している。更に、中指機構C、薬指機構D、及び小指機構Eをメインベース101で直接支持している。
【0027】
次に、親指機構Aについて説明する。メインベース101上には、モータA11及び直動回転変換機A12を搭載しており、モータA11の出力軸の回転により直動回転変換機A12を作動させ、直動回転変換機A12により図4に示す様に親指サブベース102を手の平に対して平行回転させる。
【0028】
より具体体的には、直動回転変換機A12は、図5に示す様にヨークA32、スクリューA33、各ギヤA34、35、及び直動部A36等からなり、モータA11の出力軸の回転を各ギヤA34、35を介してスクリューA33に伝達して、スクリューA33を回転させ、スクリューA33に螺合する直動部A36をスクリューA33に沿って直線移動させて、直動部A36に係合するヨークA32を移動させ、ヨークA32に接続されている親指サブベース102を回転させる。
【0029】
また、図6に示す様に親指サブベース102には、3個のモータA13、A14、A15を搭載しており、各モータA13、A14、A15の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて親指機構Aの各関節a2、a3、a4に伝達して、各関節a2、a3、a4を回転させ、親指機構Aを屈伸させる。
【0030】
尚、図6においては、次の図7のプーリやワイヤー等を省略している。
【0031】
図7は、親指サブベース102上の各モータA13、A14、A15及び親指機構Aの部分的な断面を示す図である。
【0032】
親指機構Aは、各関節a2、a3、a4により連結された各指胴部A21、A22、及び指先部A23を有する。
【0033】
関節a2に対応する軸A25は、親指サブベース102側で回転自在に支持されている。この軸A25は、該軸A25と共に回転する従動プーリA41を固定支持し、各アイドラープーリA42、A43を該軸A25並びに従動プーリA41に対して回転自在に支持している。従動プーリA41には、指胴部A21の連結片A44を接続固定している。
【0034】
モータA13の出力軸が回転すると、モータプーリA51が回転し、このモータプーリA51の回転がワイヤーA52を介して従動プーリA41に伝達され、従動プーリA41が軸A25及び連結片A44と共に回転し、指胴部A21が関節a2周りで回転する。
【0035】
また、関節a3に対応する軸A26は、指胴部A21の先端側に支持されている。この軸A26は、該軸A26と共に回転する従動プーリA45を固定支持し、アイドラープーリA46を該軸A26並びに従動プーリA45に対して回転自在に支持している。従動プーリA45には、指胴部A22の連結片A47を接続固定している。
【0036】
モータA14の出力軸が回転すると、モータプーリA53が回転し、このモータプーリA53の回転がワイヤーA54を介してアイドラープーリA42及び従動プーリA45に伝達され、アイドラープーリA42が空転し、従動プーリA45が軸A26及び連結片A47と共に回転し、指胴部A22が関節a3周りで回転する。
【0037】
更に、関節a4に対応する軸A27は、指胴部A22の先端側に支持されている。この軸A27は、該軸A27と共に回転する従動プーリA48を固定支持している。従動プーリA48には、指先部A23の連結片A49を接続固定している。
【0038】
モータA15の出力軸が回転すると、モータプーリA55が回転し、このモータプーリA55の回転がワイヤーA56を介してアイドラープーリA43、アイドラープーリA46、及び従動プーリA48に伝達され、各アイドラープーリA43、A46が空転し、従動プーリA48が軸A27及び連結片A49と共に回転し、指先部A23が関節a4周りで回転する。
【0039】
従って、親指機構Aは、4個のモータA11、A13〜A15により4個の関節a1〜a4を個別に回転されるものであり、自由度4を有する。
【0040】
次に、人差し指機構Bについて説明する。メインベース101上には、モータB11及び直動回転変換機B12を搭載しており、モータB11の出力軸の回転により直動回転変換機B12を作動させ、直動回転変換機B12により図8に示す様に人差し指サブベース103を手の平に対して平行回転させる。
【0041】
より具体的には、直動回転変換機B12は、図9に示す様にスクリューB33、ヨークB32、及び直動部B36等からなり、モータB11の出力軸の回転をスクリューB33に伝達して、スクリューB33を回転させ、スクリューB33に螺合する直動部B36をスクリューB33に沿って直線移動させて、直動部B36に係合するヨークB32を移動させ、ヨークB32に接続されている人差し指サブベース103を回転させる。
【0042】
また、図10に示す様に人差し指サブベース103には、3個のモータB13、B14、B15を搭載しており、各モータB13、B14、B15の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて人差し指機構Bの各関節b2、b3、b4に伝達して、人差し指機構Bの各関節b2、b3、b4を回転させ、人差し指機構Bを屈伸させる。
【0043】
尚、図10においては、次の図11のプーリやワイヤー等を省略している。
【0044】
図11は、人差し指サブベース103上の各モータB13、B14、B15及び人差し指機構Bの部分的な断面を示す図である。
【0045】
人差し指機構Bは、各関節b2、b3、b4により連結された各指胴部B21、B22、及び指先部B23を有する。
【0046】
関節b2に対応する軸B25は、人差し指サブベース103側で回転自在に支持されている。この軸B25は、該軸B25と共に回転する従動プーリB41を固定支持し、各アイドラープーリB42、B43を該軸B25並びに従動プーリB41に対して回転自在に支持している。従動プーリB41には、指胴部B21の連結片B44を接続固定している。
【0047】
モータB13の出力軸が回転すると、モータプーリB51が回転し、このモータプーリB51の回転がワイヤーB52を介してアイドラープーリB40及び従動プーリB41に伝達され、アイドラープーリB40が空転し、従動プーリB41が軸B25及び連結片B44と共に回転し、指胴部B21が関節b2周りで回転する。
【0048】
また、関節b3に対応する軸B26は、指胴部B21の先端側に支持されている。この軸B26は、該軸B26と共に回転する従動プーリB45を固定支持し、アイドラープーリB46を該軸B26並びに従動プーリB45に対して回転自在に支持している。従動プーリB45には、指胴部B22の連結片B47を接続固定している。
【0049】
モータB14の出力軸が回転すると、モータプーリB53が回転し、このモータプーリB53の回転がワイヤーB54を介してアイドラープーリB40、アイドラープーリB42、及び従動プーリB45に伝達され、各アイドラープーリB40、B42が空転し、従動プーリB45が軸B26及び連結片B47と共に回転し、指胴部B22が関節b3周りで回転する。
【0050】
更に、関節b4に対応する軸B27は、指胴部B22の先端側に支持されている。この軸B27は、該軸B27と共に回転する従動プーリB48を固定支持している。従動プーリB48には、指先部B23の連結片B49を接続固定している。
【0051】
モータB15の出力軸が回転すると、モータプーリB55が回転し、このモータプーリB55の回転がワイヤーB56を介してアイドラープーリB40、アイドラープーリB43、アイドラープーリB46、及び従動プーリB48に伝達され、各アイドラープーリB40、B43、B46が空転し、従動プーリB48が軸B27及び連結片B49と共に回転し、指先部B23が関節b4周りで回転する。
【0052】
従って、人差し指機構Bも、親指Aと同様に、4個のモータB11、B13〜B15により4個の関節b1〜b4を個別に回転されるものであり、自由度4を有する。
【0053】
次に、中指機構Cについて説明する。メインベース101上には、図12に示す様に2個のモータC11、C12を搭載しており、各モータC11、C12の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて中指機構Cの各関節c1、c2に伝達して、各関節c1、c2を回転させ、更に関節c2の回転を回転伝達機構を通じて関節c3に伝達して、関節c3を従動回転させ、中指Cを屈伸させる。
【0054】
尚、図12においては、次の図13のプーリやワイヤー等を省略している。
【0055】
図13は、メインベース101上の各モータC11、C12及び中指機構Cの部分的な断面を示す図である。
【0056】
中指機構Cは、各関節c1、c2により連結された各指胴部C21、C22、及び指先部C23を有する。
【0057】
関節c1に対応する軸C24は、メインベース101側で回転自在に支持されている。この軸C24は、該軸C24と共に回転する従動プーリC31を固定支持し、アイドラープーリC32を該軸C24並びに従動プーリC31に対して回転自在に支持している。従動プーリC31には、指胴部C21の連結片C33を接続固定している。
【0058】
モータC11の出力軸が回転すると、モータプーリC41が回転し、このモータプーリC41の回転がワイヤーC42を介して従動プーリC31に伝達され、従動プーリC31が軸C24及び連結片C33と共に回転し、指胴部C21が関節c1周りで回転する。
【0059】
また、関節c2に対応する軸C25は、指胴部C21の先端側に支持されている。この軸C25は、該軸C25と共に回転する従動プーリC34及び動力伝達プーリC35を固定支持している。従動プーリC34には、指胴部C22の連結片C36を接続固定している。
【0060】
モータC12の出力軸が回転すると、モータプーリC43が回転し、このモータプーリC43の回転がワイヤーC44を介してアイドラープーリC32及び従動プーリC34に伝達され、アイドラープーリC32が空転し、従動プーリC34が軸C25及び連結片C36と共に回転し、指胴部C22が関節c2周りで回転する。
【0061】
更に、関節c3対応する軸C26は、指胴部C22の先端側に支持されている。この軸C26は、該軸C26と共に回転する従動プーリC37を接続固定している。従動プーリC37には、指先部C23の連結片C38を接続固定している。
【0062】
関節c2の従動プーリC34と共に動力伝達プーリC35が回転すると、この動力伝達プーリC35の回転がワイヤーC45を介して従動プーリC37に伝達され、従動プーリC37が軸C26及び連結片C38と共に回転し、指先部C23が関節c2周りで回転する。すなわち、関節c3が関節c2に対して従動回転する。
【0063】
従って、中指Cは、2個のモータC11、C12により2個の関節c1、c2を個別に回転されるものであり、自由度2を有する。
【0064】
次に、薬指機構D及び小指機構Eについて説明する。メインベース101上には、図14に示す様に1個のモータDE11を搭載しており、モータDE11の出力軸の回転をそれぞれの回転伝達機構を通じて薬指機構Dの各関節d1、d2及び小指機構Eの各関節e1、e2に伝達して、薬指機構Dの各関節d1、d2及び小指機構Eの各関節e1、e2を回転させ、薬指機構D及び小指機構Eを屈伸させる。
【0065】
尚、図14においては、次の図15のプーリやワイヤー等を省略している。
【0066】
図15は、メインベース101上のモータDE11の周辺を部分的に破断して示す断面図である。
【0067】
各関節d1、e1に対応する軸DE24は、メインベース101側で回転自在に支持されている。この軸DE24には、ギヤDE31を固定支持し、また一対のプーリD32、E32を回転自在に通して、各プーリD32、E32をそれぞれの支持片101cに固定している。ギヤボックスDE32は、ギヤDE33、各ベベルギヤDE34、及びギヤDE35等を歯合させたものであり、ギヤDE35をモータDE11の出力軸に接続して、この出力軸の回転をギヤDE35及び各ベベルギヤDE34を介してギヤDE33に伝達し、このギヤDE33に歯合されるギヤDE31を回転させる。
【0068】
図16は、メインベース101上の軸DE24、薬指機構D及び小指機構Eの部分的な断面を示す図である。
【0069】
薬指機構Dは、各関節d1、d2により連結された各指胴部D21、D22、指先部D23を有する。また、小指機構Eは、各関節e1、e2により連結された各指胴部E21、E22、指先部E23を有する。
【0070】
軸DE24のギヤDE31には、各指胴部D21、E21の連結片D33、E33を接続固定している。
【0071】
また、関節d2に対応する軸D25は、指胴部D21の先端側に支持されている。この軸D25には、該軸D25と共に回転する従動プーリD34を接続固定している。従動プーリD34には、指胴部D22の連結片D35を接続固定している。
【0072】
同様に、関節e2に対応する軸E25は、指胴部E21の先端側に支持されている。軸E25には、該軸E25と共に回転する従動プーリE34を接続固定している。従動プーリE34には、指胴部E22の連結片E35を接続固定している。
【0073】
モータDE11の出力軸が回転すると、この出力軸の回転がギヤボックスDE32を介してギヤDE31に伝達されて、ギヤDE31が回転し、指胴部D21も関節d1周りで回転する。
【0074】
また、関節d1周りの指胴部D21の回転に伴って、各ワイヤーD36が軸DE24周りを周回するものの、支持片101cに固定されたプーリD32が回転しないことから、ワイヤーD36がプーリD32に巻き取られるか、解かれて、従動プーリD34が軸D25及び連結片D35と共に回転し、指胴部D22が関節d2周りで回転する。従って、各指胴部D21、D22が同時に回転する。各指胴部E21、E22、及び指先部E23についても、各指胴部D21、D22、及び指先部D23と同様に、軸DE24のプーリE32と軸E25の従動プーリE34に各ワイヤーE36を張架しているので、モータDE11の出力軸が回転すると、指胴部E21が関節e1周りで回転すると共に、指胴部E22が関節e2周りで回転する。
【0075】
従って、薬指機構D及び小指機構Eは、1個のモータDE11により薬指機構Dの各関節d1、d2及び小指機構Eの各関節e1、e2を回転されるものであり、自由度1を有する。
【0076】
この様なロボットハンド10においては、親指機構A及び人差し指機構Bの自由度が4、中指機構Cの自由度が2、薬指機構D及び小指機構Eが1であるから、このロボットハンド10そのものの自由度が11である。
【0077】
尚、各指機構A〜Eを駆動する複数のモータは、それぞれのライン(図示せず)を通じて制御回路(図示せず)に接続され、この制御回路により制御されて回転する。これにより、各関節が回転し、各指機構A〜Eが屈伸する。
【0078】
また、各指機構A〜Eの関節毎に、関節の回転角度を検出するポテンショメータを設けている。これらのポテンショメータは、それぞれのラインを通じて上記制御回路に接続されている。制御回路は、各指機構A〜Eの関節毎に、ポテンショメータにより検出された関節の回転角度が目標値となる様に該関節を回転させ、各指機構A〜Eを多様に動作させる。
【0079】
また、各指機構A〜Eの指先部A23、指先部B23、指先部C23、指先部D23、指先部E23等には、このロボットハンド10による対象物の把持動作に伴い、該各指先部に作用する力を検出するためのそれぞれの力センサを設けている。これらの力センサは、それぞれのラインを通じて上記制御回路に接続されている。制御回路は、これらの力センサにより検出された力に基づいて、対象物の把持状態を判定し、各モータの駆動力を制御して、ロボットハンド10の把持力等を制御する。力センサは、指先部だけではなく、指胴部等に設けても良い。
【0080】
更に、ロボットハンド10の指の駆動機構として、プーリとワイヤーを組み合わせたものだけに限らず、ギヤを組み合わせたもの等、多種多様なものが既に提案されているので、これらの駆動機構を適宜に用いても構わない。
【0081】
ところで、本実施形態のロボットハンド10は、自由度11を有しているが、それでも人の手の複雑な動きを完全に真似ることができない。このため、ロボットハンド10により対象物を把持している状態で、ロボットハンド10の手の平上で対象物を移動させるという作業は困難を極める。
【0082】
そこで、本実施形態では、図17及び図18に示す様にロボットハンド10の手の平に移送機構61を設けている。尚、図1及び図2においては、移送機構61を一転鎖線で示している。
【0083】
この移送機構61は、所謂ベルトコンベアであって、図19に拡大して示す様に駆動ローラ62と従動ローラ63を離間して配置し、駆動ローラ62と従動ローラ63間に無端ベルト64を掛け渡して支持し、モータ65により駆動ローラ62を回動させて、無端ベルト64を回転移動させるものである。
【0084】
モータ65から駆動ローラ62への回転力の伝達は、相互に歯合されたモータ65の出力軸のギヤ66と駆動ローラ62の軸のギヤ67を通じてなされる。また、モータ65は、複数のライン(図示せず)を通じて制御回路(図示せず)に接続され、この制御回路により制御されて回転する。
【0085】
モータ65、駆動ローラ62の軸受け(図示せず)、及び従動ローラ63の軸受け(図示せず)は、ロボットハンド10の手の平上の適宜の箇所に直接固定しても良いし、またロボットハンド10の手の平にフレーム(図示せず)を固定した上で、このフレームに固定しても良い。
【0086】
尚、モータ65が外側に露出しているが、モータ65を保護するためのカバーを設けても良い。また、カバーを設けると、ロボットハンド10が厚くなるので、その薄型化のためにカバーを省略しても構わない。
【0087】
この様な構成のロボットハンド10においては、ロボットハンド10の手の平に移送機構61を設けているので、図20に示す様にロボットハンド10により対象物Pを把持した状態で、移送機構61により対象物Pを矢印Gの方向又は逆方向に移送することができる。このため、移送機構61を有しないロボットハンドと比較すると、対象物Pのより複雑な扱いが可能になる。また、ベルトコンベアの移送機構61を付設するだけであるから、実現性が極めて高く、その制御も容易である。
【0088】
本実施形態では、移送機構61による移送方向を、手の平の縦方向に設定しているが、その移送方向を手の平を横切る方向に設定しても良い。この場合は、ロボットハンド10の手の平上で、移送機構61により対象物Pが横方向に移送される。あるいは、移送機構61による移送方向を斜め方向に設定しても良い。
【0089】
また、図21に示す様に2つの移送機構61a、61bを手の平に設けても良い。各移送機構61a、61bは、移送機構61と同様に、ベルトコンベアである。ただし、各移送機構61a、61bによる移送方向を手の平を横切る方向に設定している。
【0090】
この様な2つの移送機構61a、61bを設けた場合は、ロボットハンド10による対象物の扱い方が更に多様化する。例えば、図22に示す様に各移送機構61a、61bによる移送方向及び移送速度を一致させれば、単一の移送機構61と同様に、各移送機構61a、61bにより対象物Pを矢印の方向H又は逆方向に移送することができる。
【0091】
また、図23に示す様に各移送機構61a、61bによる移送の方向Iを一致させ、移送機構61aによる移送速度を移送機構61bによる移送速度よりも速くすれば、対象物Pを手の平上で矢印Iの方向に移送しつつ矢印Jの方向に回転させ、対象物Pを傾けることができる。勿論、各移送機構61a、61bによる移送速度を調節したり、各移送機構61a、61bによる移送方向を逆転させることにより、対象物Pの搬送速度や回転速度等を変更することができる。
【0092】
あるいは、移送機構61aによる移送方向と移送機構61bによる移送方向を相互に逆にすれば、手の平上での対象物Pの位置を殆ど変更せずに、対象物Pを手の平上で回転させ、対象物Pを傾けることができる。
【0093】
例えば、図24(a)に示す様にロボットハンド10により長い対象物Pを把持した状態で、対象物Pが落下しない程度までロボットハンド10による把持力を低下させる。ただし、対象物Pが各移送機構61a、61bに軽く押し付けられる程度の把持力は維持する。この後、各移送機構61a、61bによる移送方向を一致させ、各移送機構61a、61bによる移送速度を異ならせて、対象物Pを手の平上で移送しつつ傾斜させて、図24(b)に示す様に対象物Pを矢印Kの方向に移送し、対象物Pの先端側が手の平まで移送してから各移送機構61a、61bを停止させる。これにより、ロボットハンド10の手の平上で対象物Pの把持箇所を変更することができる。
【0094】
こうした対象物Pの扱いは、ロボットハンド10により、例えば電子機器のリモコン装置を操作するときに必要となる。リモコン装置は、長方形の形状を有し、そのほぼ表側全面にボタンが配置されている。このため、リモコン装置の一端から他端までのボタン全てを押すには、リモコン装置を移送して把持箇所を変更する必要がある。
【0095】
その他、長方形の対象物Pを安定的に持ち直すときには、各移送機構61a、61bにより対象物Pを移送したり回転させてやれば良い。
【0096】
また、図25に示す様に各移送機構61a、61bによる移送方向を縦方向に設定し、ロボットハンド10の手の平上で対象物Pを縦方向に移送しても良い。あるいは、各移送機構61a、61bによる移送方向を斜め方向に設定しても良い。
【0097】
また、図26(a)及び(b)に示す様に一方の移送機構61aをロボットハンド10の手の平に配置し、他方の移送機構61bをロボットハンド10の親指機構Aの付け根付近に配置して、各移送機構61a、61bの移送面を相互に垂直になる様にしても良い。この場合は、ロボットハンド10の手の平上で、対象物の相互に垂直なそれぞれの面に各移送機構61a、61bが接触することになり、対象物と各移送機構61a、61b間の接触面積が増大し、また対象物が複雑な形状であっても、対象物と各移送機構61a、61b間の接触を確保することができ、各移送機構61a、61bによる対象物の位相を安定的に行うことができる。
【0098】
更に、各移送機構の個数を増やしたり、移動機構毎に、移送機構のサイズ、形状、及び配置位置を変更し、多様な形状及びサイズの対象物の複雑な扱いを可能にしても良い。
【0099】
尚、本実施形態では、移送機構としてベルトコンベアを例示しているが、他の種類の移送機構を適用することができる。例えば、図27に示す様なアクチュエータ70がある。このアクチュエータ70では、板状の弾性部材71に複数の圧力室72を並べて形成し、各圧力室72にそれぞれのチューブ73を接続しており、各チューブ73を通じての各圧力室72への空気の圧送や各圧力室72からの空気の放出により、各圧力室72を選択的に順次膨張させたり収縮させ、これにより弾性部材71を変形させて、この弾性部材71の凹凸表面71aに進行波を形成し、この弾性部材71の凹凸表面71a上の対象物を進行波の進行方向と逆方向に搬送する(特開平9−79213号公報等を参照)。
【0100】
この様なアクチュエータ70は、それ自体を薄く作成することができるので、ロボットハンドの手の平に搭載するには好適である。また、アクチュエータ70の材質が弾性体なので、その設置面が曲面であっても、アクチュエータ70を曲面に対して隙間なくなじませて搭載することが可能である。
【0101】
また、移送機構として、図28に示す様なアクチュエータ80を適用することができる。このアクチュエータ80では、アクチュエータ基板81上にフレキシブル基板84を重ね合わせて固定し、フレキシブル基板84上に複数の伸縮駆動素子82を並設して固定し、各伸縮駆動素子82の上端にシート状の弾性部材83を載せて係止し、制御駆動部85をフレキシブル基板84を通じて各伸縮駆動素子82に接続している。制御駆動部85は、フレキシブル基板84を通じて各伸縮駆動素子82に電圧を順次印加し、各伸縮駆動素子82をZ方向に順次伸縮させて、弾性部材83を変形させて波打たせ、進行方向がX方向の進行波を弾性部材83の表面に形成する。この弾性部材83に対象物を載置すると、この弾性部材83の進行波により対象物がX方向とは逆方向に搬送される。
【0102】
各伸縮駆動素子82は、図29(a)に示す様なシート状の高分子材料91を一対の電極92、93間に挟み込んだ高分子アクチュエータを、図30に示す様にロール状に巻回して角棒状に成型してなる。高分子材料91は、誘電性エラストマ、電歪高分子等とも称され、スピンコーティング法、ディップコーティング法、キャスト法、スプレイ法とにより形成される。また、各電極92、93は、柔軟性を有しており、高分子材料91と同様の製法により形成される。
【0103】
各電極92、93間に電圧を印加すると、各電極92、93間に静電力が生じて、この静電力が図29(b)に示す様に高分子材料91を押し広げる様に作用して、高分子材料91及び各電極92、93が延び、伸縮駆動素子が伸長する。
【0104】
また、各電極92、93間への電圧印加を停止すると、各電極92間の静電力が消えて、高分子材料91及び各電極92、93が図29(a)に示す元の状態に戻り、伸縮駆動素子の長さが元に戻る。
【0105】
この種の高分子アクチュエータは、技術調査会から出版されている「エレクトロニクス実装技術」の2001年1月号のP32〜P38、及びサイエンス社(SCIENCE)から出版されている「SCIENCE」の2000年4月(FEBRUARY)号のVOL287のP836、P837等に詳しく記載されている。
【0106】
この様なアクチュエータ80は、構成が簡単であって、全体を薄くすることができるので、小スペースであっても、搭載することが可能である。また、高分子アクチュエータの応答速度が速いので、進行波の速度を速くして、対象物の移送速度を高めることも可能である。
【0107】
また、各伸縮駆動素子72を行列方向に配列したり、多様な配列パターンで配列し、各伸縮駆動素子72の伸縮順序を適宜に設定すれば、対象物を縦横方向に移送したり回転させることができる。
【0108】
また、伸縮駆動素子としては、高分子材料に電極を設け電圧を加えるとイオンを取り込んで膨張するという性質を利用したものもあり、それを用いても構わない。あるいは、電気的に制御することができ、高分子アクチュエータと同様な性質を有するアクチュエータであれば、どのような駆動素子でも用いることができる。また、伸縮駆動素子として、超音波を弾性部材の表面に発生させて、対象物を搬送するというものもある。
【0109】
更に、移送機構として、図31に示す様にロボットハンド10の手の平に配置された複数のローラ95を適用しても良い。各ローラ95をモータ(図示せず)により回転駆動し、手の平上での対象物を各ローラ95により移送する。各ローラ95の全てを回転駆動する必要はなく、各ローラ95の幾つかを従動させても構わない。
【0110】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、上述した各種の移送機構を組み合わせて用いても良い。また、手の平ばかりではなく、指の腹側等に移送機構を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明のロボットハンドの一実施形態を示す側面図である。
【図2】ロボットハンドを手の平側から見て示す平面図である。
【図3】ロボットハンドを手の甲側から見て示す背面図である。
【図4】ロボットハンドにおける親指機構の回転動作を示す図である。
【図5】ロボットハンドにおける親指サブベースとメインベースとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。
【図6】ロボットハンドにおける親指の屈伸動作を示す図である。
【図7】ロボットハンドにおける親指サブベース上の各モータ及び親指機構の部分的な断面を示す図である。
【図8】ロボットハンドにおける人差し指機構の回転動作を示す図である。
【図9】ロボットハンドにおける人差し指サブベースとメインベースとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。
【図10】ロボットハンドにおける人差し指の屈伸動作を示す図である。
【図11】ロボットハンドにおける人差し指サブベース上の各モータ及び人差し指機構の部分的な断面を示す図である。
【図12】ロボットハンドにおける中指機構の屈伸動作を示す図である。
【図13】ロボットハンドにおけるメインベース上の各モータ及び中指機構の部分的な断面を示す図である。
【図14】ロボットハンドにおける薬指機構及び小指機構の屈伸動作を示す図である。
【図15】ロボットハンドにおける薬指機構及び小指機構とメインベースとの連結箇所を部分的に破断して示す図である。
【図16】ロボットハンドにおけるメインベース上のモータ及び薬指機構及び小指機構の部分的な断面を示す図である。
【図17】手の平に移送機構を明らかにしたロボットハンドを示す側面図である。
【図18】手の平に移送機構を明らかにしたロボットハンドを示す平面図である。
【図19】図17及び図18の移送機構を拡大して示す斜視図である。
【図20】図17及び図18の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態を例示する図である。
【図21】移送機構の変形例を示す図である。
【図22】図21の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態の一例を示す図である。
【図23】図21の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態の他の例を示す図である。
【図24】(a)及び(b)は図21の移送機構によるロボットハンドの手の平上での対象物の移送状態の別の例を示す図である。
【図25】移送機構の他の変形例を示す図である。
【図26】(a)及び(b)は移送機構の別の変形例を示す側面図及び平面図である。
【図27】他の種類の移送機構を示す斜視図である。
【図28】別の種類の移送機構を示す斜視図である。
【図29】(a)は高分子アクチュエータの構造を示す斜視図であり、(b)は高分子アクチュエータの動作を示す斜視図である。
【図30】高分子アクチュエータをロール状に巻回して角棒状に成型してなる伸縮駆動素子を示す斜視図である。
【図31】更に他の種類の移送機構を示す斜視図である。
【図32】従来のロボットハンドによる対象物の把持動作を例示する図である。
【符号の説明】
【0112】
101 メインベース
102 親指サブベース
103 人差し指サブベース
61、61a、61b 移送機構
70、80 アクチュエータ
A 親指機構
A11、A13、A14、A15 モータ
A12 直動回転変換機
a1、a2、a3、a4 関節
B 人差し指機構
B11、B13、B14、B15 モータ
B12 直動回転変換機
b1、b2、b3、b4 関節
C 中指機構
C11、C12 モータ
c1、c2、c3 関節
D 薬指機構
DE11 モータ
d1、d2 関節
E 小指機構
e1、e2 関節
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指を有するロボットハンドにおいて、
対象物と接触する該ロボットハンドの部位に、対象物に接触して、該対象物を移送する移送手段を設けたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
移送手段を、ロボットハンドの手の平側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
移送手段を、ロボットハンドの指の腹側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項4】
複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送速度が相互に異なることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項5】
複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送方向が相互に異なることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項6】
複数の移送手段を備えており、各移送手段をロボットハンドの相互に平行ではないそれぞれの面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項7】
移送手段は、ベルトコンベアであることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項8】
移送手段は、複数の圧力室を包含する弾性部材を有しており、各圧力室の順次選択的な膨張により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送することを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項9】
移送手段は、複数の高分子アクチュエータと、各高分子アクチュエータに載せられて係止された弾性部材とを有しており、各高分子アクチュエータの順次選択的な伸長により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送することを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項10】
移送手段は、回転駆動されるローラであることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項1】
複数の指を有するロボットハンドにおいて、
対象物と接触する該ロボットハンドの部位に、対象物に接触して、該対象物を移送する移送手段を設けたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
移送手段を、ロボットハンドの手の平側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
移送手段を、ロボットハンドの指の腹側に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項4】
複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送速度が相互に異なることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項5】
複数の移送手段を備えており、各移送手段による対象物の移送方向が相互に異なることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項6】
複数の移送手段を備えており、各移送手段をロボットハンドの相互に平行ではないそれぞれの面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項7】
移送手段は、ベルトコンベアであることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項8】
移送手段は、複数の圧力室を包含する弾性部材を有しており、各圧力室の順次選択的な膨張により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送することを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項9】
移送手段は、複数の高分子アクチュエータと、各高分子アクチュエータに載せられて係止された弾性部材とを有しており、各高分子アクチュエータの順次選択的な伸長により弾性部材表面に進行波を形成し、この弾性部材表面の進行波により該弾性部材表面に接触した対象物を移送することを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項10】
移送手段は、回転駆動されるローラであることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2006−159320(P2006−159320A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351481(P2004−351481)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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