説明

ロボット制御装置

【課題】本発明は、省スペース化するとともに、装置内部の放熱の問題を解決できるロボット制御装置を提供する。
【解決手段】複数台ロボットを1台のコントローラで制御するロボット制御装置であって、複数台のロボット駆動装置部21〜26の上部に共通制御回路27を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台のロボットを制御するロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なロボット制御装置は、制御回路7と、ロボット駆動装置3を搭載した、ロボット制御装置をロボット台数分(ロボット制御装置その一1、ロボット制御装置その二2、ロボット制御装置その三3、ロボット制御装置その四4、ロボット制御装置その五5、ロボット制御装置その六6)から構成されていた。これらのロボット制御装置としては、コントローラボックスの下面部に、外気取入用の開孔を設け、この開孔に機器の運転制御用の操作摘子を遊挿状態で装着し、コントローラボックスの上方部には取入外気の排出孔を設けるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−156278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボット制御装置には、工場でのロボットの配置レイアウトの自由度を確保するために、フットプリントを小さくすることが望まれている。その一方で、複数台のロボットを制御するロボット制御装置も望まれており、ロボット制御装置の体積は小さくしながら、複数台のロボットが制御できる駆動装置を複数備えることが望まれるようになってきている。そこで、ロボットの制御装置および駆動装置を密集配置することにより発生する課題としては、放熱処理の問題が生じるとともに配線処理の省スペース化が課題としてあげられる。
一般的なロボット制御装置では、単にロボット台数分のロボット制御装置が必要となっており、設置スペースを削減することができない構成となっていた。また、ロボット台数分のロボット制御装置が必要となるので、コストアップになる問題もあった。また、小型化を重視すると、装置内部の放熱処理問題もおこっていた。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、省スペース化するとともに、装置内部の放熱の問題を解決できるロボット制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、複数台ロボットを1台のコントローラで制御するロボット制御装置であって、複数台のロボット駆動装置部の上部に共通制御回路を備えたものである。
請求項2に記載の発明は、前記ロボット駆動装置部が放熱フィンを備えたブロック構造で形成されたものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記ロボット駆動装置部の前記放熱フィンは、前記ロボット制御装置の前面と背面に通じる排熱処理ダクトが設けられたものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記廃熱処理ダクトが、前記ロボット制御装置の前面と背面に密着性弾性材を用いて接触するものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記ロボット制御盤内天井面に熱交換冷却ダクトを設けているものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記ロボット制御盤内側面と前記ロボット駆動装置の間に盤内循環ファンを備えた補強材を設けているものである。
また、請求項7に記載の発明は、前記ロボット制御装置の補強材の内部を通じて配線処理を行うものである。
また、請求項8に記載の発明は、複数台ロボットを1台のコントローラで制御するロボット制御装置であって、前記ロボット制御装置の一側面に前記ロボット制御装置の内部の空気を吸引するダクトを備え、前記ダクトの少なくとも1つの開口から前記ロボット制御装置の内部へ送風し、前記一側面に対向する側面から上昇するように流路が形成され、前記ロボット制御装置の上部に備えられた熱交換冷却ダクトにより排熱されるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、複数台のロボットを制御する制御回路部を共通化することにより、ロボット制御装置を小型化することができる。また、ロボット駆動装置の上部に配置することによりロボット制御装置の上部に篭る空気を循環させやすくなり、冷却効率を向上させることが可能となる。また、温度上昇した空気をロボット制御装置内部でダクトを用いて循環させながら冷却することにより、冷却効率を高めることができるとともにロボット制御装置内部の温度を均一化することが可能となる。
また、ロボット駆動装置部が取り外し可能なブロック化にすることで、収納効率が向上する。また、ロボット駆動装置部の補強材の内部を通じて配線処理することによりスペース効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】従来のロボット制御装置の構成図
【図2】ロボット制御装置の構成図
【図3】駆動部装置内蔵ブロックの排熱処理ダクト
【図4】天井部の冷却構造
【図5】循環冷却構成
【図6】ロボット制御装置内の配線処理
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0009】
図2は、本発明によるマルチロボット制御装置を示す構成図である。図において、ロボット制御装置内には、複数台(図2は6台分のロボット対応)のロボット制御回路を共通化した共通制御回路部27と、収納効率の高いブロック化されたロボット駆動装置21〜26から構成されており、ロボット制御装置の小型化が出来ることである。比較的発熱の少ない共通制御回路部27をロボット制御装置の上部に配置し、共通制御回路部27の下部に複数台のロボット駆動装置21〜26を配置する構成とした。本構成は、パワーモジュール等の発熱源を備えたロボット駆動装置21〜26の上方に共通制御回路部27を配置することで、制御盤内で上部に篭りがちな空気部分にさらに発熱源を持つロボット駆動装置21〜26を配置して温度上昇させないように共通制御回路部27が配置されたものである。
図3はロボット駆動装置21〜26の構成を示す図である。図において、ロボット駆動装置内蔵ブロック31の駆動装置放熱フィン32がロボット駆動装置21〜26の底板下面に形成されており、この駆動装置放熱フィン32は、駆動装置冷却ファン34が駆動され、排熱処理ダクト33内を冷却風がロボット制御装置ドアの空気吸込み口35から入り、ロボット制御装置背面の、空気吐出口36より排気されるように冷却風の流れ38ができることによりくし場状に形成された駆動装置放熱フィン32の間を通って冷却される。
ロボット制御装置21〜26への外気の進入防止の為、ロボット制御装置ドア裏面39と、ロボット制御装置背面内部40には、パッキン37が排熱処理ダクト33の口のまわりに当接するように形成されている。
このような構成にすることにより、各ロボット駆動装置がロボット毎に独立している構成をしているので、冷却ファンの交換や駆動装置放熱フィンの清掃が容易に行える。
図3を用いてロボット駆動装置下面を用いた冷却について説明した。次にロボット制御装置の内部の気流を用いて冷却する構成について図4および図5を用いて説明する。
図4において、図2に示した共通制御回路部27およびロボット駆動装置21〜26から発生する盤内器具の温熱50は、御盤内上部に溜まってくる。この盤内器具の温熱50を冷却するためにマルチロボット制御装置の天井面45にドア開閉面の左右側方に通じる熱交換ダクト51が形成され、熱交換ダクト51表面からの冷却により盤内器具の温熱50は冷却される。具体的には制御盤左側面41に取り付けられた吸気ファン44にて外気42を吸気する。吸気された冷却風の流れ46は、熱交換冷却ダクト51を通り、制御盤右側面49にある排気口48より排気される。
このように天井部に熱交換冷却ダクトを備えているので、盤内上部に溜まった熱を効果的に放熱できる。
また、図5に示すように、制御盤天井面45の熱は、さらに制御盤左側面41にある盤内循環冷却ダクト53の上部に、盤内冷却ファン52は傾斜角度58が制御盤内の冷却風の流れ46を取り込みやすく、盤内循環冷却ダクト53の下方向へ冷却風の流れ46を送り易くするように16度から20度で取り付けられている。盤内循環冷却ダクト53には、駆動部装置内蔵ブロック55の上下の配列の間に対向する位置に冷却ダクト吐出口54が設けられている。また、駆動部装置内蔵ブロック55の横の配列の間には盤内循環ファン内蔵制御盤補強柱56が制御盤背面と底面に固定されて天井面は開放されるように設けられており、盤内循環ファン内蔵制御盤補強柱56には、駆動部装置内蔵ブロック55の上下の配列の間に対向する位置に盤内循環ファン57が配置されている。
盤内の冷却風の流れ46を盤内循環ファン52により吸気した冷却風の流れ46は、冷却ダクト吐出口54から吐き出され、冷却風の流れ46は駆動部装置内蔵ブロック55の上下の配列の間を流れ、盤内循環ファン内蔵制御盤補強柱56の盤内循環ファン57により、制御盤右側面49へ流され再び暖められた空気は制御盤天井面45へ昇り、冷却風の流れ46は再び、盤内循環ファン52へ向って循環する。制御盤天井面45に流れ込んだ冷却風の流れ46は、図4に示したように熱交換冷却ダクト51から盤内の冷却風の流れ46の温度を吸収して排気することにより盤内の温度上昇を抑えることができる。
このように、制御盤内に盤内循環冷却ダクト及び循環ファンを備えているので、制御盤内の温度分布の均一化が図れるのである。
また、盤内循環ファン内蔵制御盤補強柱56には、別の機能が備えられている。つまり、図6に示すように、ロボット制御装置の天井部に配置された共通制御回路部27や駆動部装置内蔵ブロック31からの配線ケーブル61を収納する配線ダクト62でもある。
このように、補強兼配線ダクトのような構成をしているので、配線が多くなるにも係わらずマルチロボット制御装置内の配線を収納してメンテナンスを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0010】
1 ロボット制御装置その一
2 ロボット制御装置その二
3 ロボット制御装置その三
4 ロボット制御装置その四
5 ロボット制御装置その五
6 ロボット制御装置その六
7 制御回路
8 ロボット駆動装置
21 ロボット駆動装置内蔵ブロックその一
22 ロボット駆動装置内蔵ブロックその二
23 ロボット駆動装置内蔵ブロックその三
24 ロボット駆動装置内蔵ブロックその四
25 ロボット駆動装置内蔵ブロックその五
26 ロボット駆動装置内蔵ブロックその六
27 共通制御回路部
28 ドア
31 ロボット駆動装置内蔵ブロック
32 駆動装置放熱フィン
33 排熱処理ダクト
34 駆動装置冷却ファン
35 空気吸込み口
36 空気吐出口
37 パッキン
38 冷却風の流れ
39 ロボット制御装置ドア裏面
40 ロボット制御装置背面内部
41 制御盤左側面
42 外気
43 吸気口
44 吸気ファン
45 制御盤天井面
46 冷却風の流れ
48 排気口
49 制御盤右側面
50 盤内器具の温熱
51 熱交換冷却ダクト
52 盤内循環ファン
53 盤内循環冷却ダクト
54 冷却ダクト吐出口
55 駆動部装置内蔵ブロック
56 盤内循環ファン内蔵制御盤補強柱
57 盤内循環ファン
58 傾斜角度
61 配線ケーブル
62 制御盤補強柱兼配線ダクト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台ロボットを1台のコントローラで制御するロボット制御装置であって、複数台のロボット駆動装置部の上部に共通制御回路を備えたことを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記ロボット駆動装置部が放熱フィンを備えたブロック構造で形成されたことを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記ロボット駆動装置部の前記放熱フィンは、前記ロボット制御装置の前面と背面に通じる排熱処理ダクトが設けられたことを特徴とする請求項2記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記廃熱処理ダクトは、前記ロボット制御装置の前面と背面に密着性弾性材を用いて接触することを特徴とする請求項3記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記ロボット制御盤内天井面に熱交換冷却ダクトを設けていることを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項6】
前記ロボット制御盤内側面と前記ロボット駆動装置の間に盤内循環ファンを備えた補強材を設けていることを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項7】
前記ロボット制御装置の補強材の内部を通じて配線処理を行うことを特徴とする請求項1記載のロボット制御装置。
【請求項8】
複数台ロボットを1台のコントローラで制御するロボット制御装置であって、前記ロボット制御装置の一側面に前記ロボット制御装置の内部の空気を吸引するダクトを備え、前記ダクトの少なくとも1つの開口から前記ロボット制御装置の内部へ送風し、前記一側面に対向する側面から上昇するように流路が形成され、前記ロボット制御装置の上部に備えられた熱交換冷却ダクトにより排熱されることを特徴とするロボット制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155336(P2010−155336A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175230(P2009−175230)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】