説明

ロボット装置用の制御プログラムを試験するための試験装置

本発明は、実際のロボット装置用の、具体的には、複数のロボット制御部(2.1〜2.n)を有する塗装装置用の制御プログラムを試験する試験装置に関連する。それらはそれぞれ制御プログラムを含み、実際のロボット装置におけるロボット制御部(2.1〜2.n)と、制御ユニット(4)が制御プログラムを含み、実際のロボット装置における制御ユニット(4)に相当するロボット制御部(2.1〜2.n)を調節するための少なくとも1つの制御ユニット(4)とに相当し、ロボット制御部(2.1〜2.n)をお互いに接続する、および/または、制御ユニット(4)に接続する第一のデータバス(3)も有し、第一のデータバス(3)は実際のロボット装置におけるデータバスに相当する。試験装置が、第一のデータバス(3)に接続され、かつ、実際のロボット装置の周辺機器部品をシミュレーションするモデリングデバイス(9)をも有し、そのため制御プログラムは周辺機器部品なしで試験され得る。本発明はまた、好適な試験方法をも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステム用の、具体的には塗装装置用の、制御プログラムを試験するための試験装置に関連する。このような方法で、本発明は、内部塗装、外部塗装、搬送ロボット(例:ドア開閉機、フード開閉機)、密封、接着、継ぎ目充填加工および足回り保護のような表面工学の分野における全ての装置に好適である。本発明はまた、対応する試験方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
図7は、複数のロボット1.1、1.2、・・・、1.nを伴う従来の塗装装置の模式図を示し、これらは、塗装ロボット、搬送ロボット(例:ドア開閉機、フード開閉機)、または、たとえば、封止剤を、車体部品に溶接されたフランジに塗布し得る封止ロボットであり得る。
【0003】
図面には、3つのロボット1.1、1.2、・・・、1.nのみが記載されているが、原理上、塗装装置はいかなる数のロボットをも有し得る。
【0004】
全てのロボット1.1、1.2、・・・、1.nはロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nによってそれぞれ作動され、一方におけるロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nと、他方におけるロボット1.1、1.2、・・・、1.nとの間の通信は双方向で行われる。一方において、ロボット1.1、1.2、・・・、1.nのTCP(工具中心点:Tool Center Point)がプログラムされた通路を通るように所望のロボット設定を得るために、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nが、ロボット1.1、1.2、・・・、1.nに制御コマンドを送信する。他方、ロボット1.1、1.2、・・・、1.nはセンサ(例:個々のロボットの軸の位置を測定する軸センサ)をも含み、対応する測定値をロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nに送信する。
【0005】
個々のロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nは、プログラマブル論理制御装置(PLC:Programmable Logic Controller)の形態で中央制御ユニット4に接続されるフィールドバス3に接続される。たとえば、同期する操作を確保し、ロボット1.1、1.2、・・・、1.n間の衝突を回避するために、中央制御ユニット4は、個々のロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nを調整する。
【0006】
さらに、塗装装置は周辺機器部品5も有し、それらは個々の部品として図面に模式的に示されるのみであり、フィールドバス3にも接続される。周辺機器部品5は、たとえば、塗装装置の操作に影響を与える塗装装置内のアクターまたはセンサであり得る。そのような周辺機器部品の例は、キャビンアンドコンベアシステム、圧縮空気供給システムまたは防火システムの部品である。
【0007】
塗装装置はまたオペレーターコンピュータ6をも有し、それはグラフィカルユーザインターフェイスをもたらし、およびそれゆえに、塗装装置の単純な操作が可能になる。一方において、オペレーターコンピュータ6は、たとえば、キーボードを介して、または、他のいかなるデータ入力デバイスを用いることによって、タッチスクリーンを用いることを生じさせ得る塗装装置を操作するオペレーターからのオペレーター入力を受信する。他方、操作を単純化するために、オペレーターコンピュータ6は、スクリーンにおけるグラフィックの出力をもたらす。INTOUCH(登録商標)、WINNCC(商標)、ZENON(商標)またはEcoScreenWEB(商標)のような視覚化ソフトウェアがオペレーターコンピュータ6にインストールされ得る。
【0008】
さらに、塗装装置には、ロボット視覚化システムがインストールされたグラフィクスコンピュータ7が取り付けられ、それはロボット1.1、1.2、・・・、1.nのそれぞれのロボットの位置をそれに対応して視覚化し、およびそれゆえにこれらを映像化して表示する。
【0009】
最後に、従来の塗装装置はイーサネット(登録商標)データバス8を有し、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.n同士を接続し、かつ、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nを周辺機器部品5、中央制御ユニット4(PLC)、オペレーターコンピュータ6およびグラフィクスコンピュータ7に接続する。
【0010】
塗装装置の操作は、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.n内、中央制御ユニット4内、オペレーターコンピュータ6内およびグラフィクスコンピュータ7内に保存された制御プログラムによって制御される。顧客固有の要求に従って新しい塗装装置を開発する際には、これらの制御プログラムは、それに対応するように適合され、かつ、試験されなければならず、それゆえにさまざまなオプションが用いられる。
【0011】
第一の試験段階においては、個々の制御プログラムが、さまざまなサブシステムにおいて個別に試験される。これは、たとえば、ロボット制御部2.1用の制御プログラムが、全体の塗装装置とは別個に試験されることを意味する。この第一の試験段階の短所は、塗装装置の他のサブシステムと制御プログラムとの相互作用が考慮されないことである。さらなる短所は、制御プログラムが、しばしば、静的にのみ試験され、動的には試験され得ないことである。具体的には、プログラムの安全指向のパーツは完全には試験され得ない。
【0012】
第二の試験段階においては、製造者の試運転前作業の一部として、塗装装置内の制御プログラムの試験がある。この試験段階の短所は、一方では、もしそうしなければ塗装装置が試験中に損傷してしまう可能性があるので、塗装装置に対するいかなる種類の損傷リスクをも表さないような操作条件のみが試験され得るという事実である。この試験段階のさらなる短所は、製造者にとっての試運転前段階における塗装装置の操作は現実を完全には反映し得ず、それがこの試験段階の有意性を損なわせている。
【0013】
最後に、塗装装置の試験は、従来、顧客の敷地における試運転の一部として行われてきた。この試験段階の短所は、一方で、制御プログラムの試験がプラントの試運転作業を遅らせる、すなわち、試運転時間を延ばしていることである。一方、この試験段階におけるソフトウェアのエラーは、多大な努力を注ぎ込むことによって、それでもまだ取り除かれ得るにすぎない。さらに、欠陥または損傷が結果として起こり得るので、この試験段階においては、極端な操作条件は試験され得ない。
【0014】
従来技術には、さらに、現存する実際のメカトロニクス部品なしでシステム全体を試験することも可能にするために、メカトロニクス部品が全体システムにおいてシミュレーションされる、既知のいわゆる「ループ中ハードウェア」試験方法がある。たとえば、これに関連して、特許文献1だけでなく、非特許文献1、特許文献2、非特許文献2に記載されたHiL試験方法が参照され得る。しかしながら、このタイプのHiL試験方法は、従来まで、塗装装置に関しては用いられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第10314025号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10037396号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Hering/Modler:「Basic knoledge for engineers」、14th Edition、Carl Hanser Verlag 2007、pages 860、1014−1016
【非特許文献2】Ehrennstrasser/P▼o▲rnbacher/W▼u▲nsch:「Hardware−in−the−Loop Simulation of Machine Tools」、iwb Newsletter 2002、No.4、pages 6−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、それゆえに、塗装装置に対する、可能な限り最も単純かつ有意義な制御プログラムの試験を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本課題は、本発明に係る試験装置、および、独立項に係る対応する試験方法によって解決される。
【0019】
本発明は、実際の装置における塗装装置または他のいかなるロボット装置用の制御プログラムを試験するのではなく、その代わりに、実際のロボット装置の機能および構造を効果的にシミュレーションする試験装置においてこれを行う一般的な技術的教示を含むが、ロボット装置の周辺機器部品がモデリング装備によってシミュレーションされ得るという特徴を備える。これによって、シミュレーションまたはモデリングされた周辺機器部品が試験装置に存在する必要がないという長所がもたらされる。
【0020】
この点において、従来技術に関連して冒頭で述べられたように、実際のロボット装置は必ずしも塗装装置である必要がないことが言及される。本発明に係る原理はまた、その代わりに、制御プログラムによって制御される他のロボット装置用に用いることもできる。
【0021】
シミュレーションされた、または、モデリングされた周辺機器部品は、たとえば、コンベアシステムであり、それはロボット装置を介して、ロボット装置内(たとえば塗装装置)(たとえば車体部品)に部品を運ぶ。さらに、本発明の範囲内で、モデリング装備が防火システムをシミュレーションする、または、モデリングする可能性がある。本発明に係る試験装置を用いてモデリングされ得る周辺機器部品の他の例は、塗装装置用の塗装キャビン内の空調システムである。さらに、ロボット装置用の圧縮空気供給部が、モデリング装備によってシミュレーションされる、または、モデリングされることもあり得る。本発明の好ましい実施態様においては、ロボット装置の実際のロボットなしでも試験操作が行なわれ、ついで、それはまた、モデリング装備によって周辺機器部品としてシミュレーションされる、または、モデリングされる。概して、シミュレーションされた、または、モデリングされた周辺機器部品は、センサ(たとえば、ロボットのロボット部材の軸の位置を測定する位置センサ)またはアクター(たとえば軸モーター)であり得る。さらに、ロボット制御キャビネット(たとえば、駆動コントローラー、電力供給部、ヒューズ、データバス部品およびターミナル)内の実際のロボット装置に収容された構成部品が、モデリング装備によって、周辺機器部品としてシミュレーションされ、または、モデリングされ得る可能性もある。本発明は、しかしながら、シミュレーションされた、または、モデリングされた周辺機器部品に関して、上述の例に限定されるものではない。その代わり、本発明に関して用いられるような周辺機器部品という用語は、ロボット装置の操作に直接的または間接的に影響を与えるロボット装置内の全ての構成部品を含み、およびそれゆえに、試験の一部として実際に存在するか、少なくともシミュレーションまたはモデリングされなければならない。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、試験装置の構造が、実際のロボット装置の構造と非常に似ている。それゆえに、試験装置は、好ましくは、複数のロボット制御部を有し、それらのそれぞれが制御プログラムを含み、実際のロボット装置におけるロボット制御部に相当する。さらに、個々のロボット制御部を調整するために、本発明に係る試験装置は、好ましくは、少なくとも1つの制御ユニット(たとえば、プログラマブル論理制御装置)を有し、中央制御ユニットはまた制御プログラムを含み、かつ、実際のロボット装置における制御ユニットに相当することを特徴とする。さらに、試験装置には、好ましくは、ロボット制御部を、お互いに、および/または、制御ユニットに接続する第一のデータバスが取り付けられ、第一のデータバスが、実際のロボット装置からのデータバスに相当することを特徴とする。本発明の好ましい実施態様においては、実際の周辺機器部品なしで制御プログラムが試験され得るように、モデリング装備が、第一のデータバスに接続され、かつ、実際のロボット装置の周辺機器部品をシミュレーションする。
【0023】
さらに、試験装置は、好ましくは、ロボット装置のロボットを視覚化するために機能するグラフィクスコンピュータを有し、試験装置におけるグラフィクスコンピュータが実際のロボット装置内のグラフィクスコンピュータに完全に相当することを特徴とする。試験装置内のグラフィクスコンピュータは、好ましくは、ロボット制御部に接続され、かつ、ロボット制御部から軸の数値を受信し、グラフィクスコンピュータがロボットのシミュレーションされた動作をスクリーン上に再現し得るように、軸の数値が、実際に存在するか、シミュレーションされたか、モデリングされたロボットの個々のロボットの軸の位置を表すことを特徴とする。グラフィクスコンピュータ上で作動するロボット視覚化ソフトウェアを用いることによって、それゆえに、ロボット視覚化ソフトウェアが個々のロボットの動作を完全に映像化してアニメ化し得るように、従来型のパーソナルコンピュータ(PC)上での三次元の表現で、ロボットの全ての動作とともに、モデリングされた装置における全てのロボットを完全に映像化して視覚化することが可能である。
【0024】
さらに、試験装置は、好ましくは、シミュレーションされたロボット装置または試験装置を操作およびモニタリングするためのオペレーターコンピュータを有し、オペレーターコンピュータは、好ましくは、たとえば第一のデータバスまたは他のデータバスを介して、制御ユニットおよび個々のロボット制御部に接続されることを特徴とする。オペレーターコンピュータは、好ましくは、INTOUCH(登録商標)、WINNCC(商標)、ZENON(商標)またはEcoScreenWEB(商標)のような視覚化ソフトウェアを含み、視覚化ソフトウェアによって、グラフィカルユーザインターフェイスがもたらされることを特徴とする。
【0025】
上述の第一のデータバスは、好ましくはフィールドバスであり、それは、好ましくは、ロボット制御部を、制御ユニット(例:PLC)に接続するだけではなく、ロボット制御部同士を接続する、かつ、モデリング装備にも接続する。さらに、設けられた第二のデータバス(例:イーサネット(登録商標))があり、それは、ロボット制御部を、オペレーターコンピュータおよびグラフィクスコンピュータに接続するだけではなく、ロボット制御部同士を接続する、かつ、制御ユニットにも接続する。
【0026】
本発明に係る試験装置は、好ましくは、実際のロボット装置内に存在するロボットなしで作動することが既に簡単に述べられた。これによって、本発明に係る試験装置の構造が顕著に簡素化されるという長所がもたらされる。塗装装置の操作に対する実際のロボットの影響は、それゆえに、試験装置内においてモデリングされ、または、シミュレーションされなければならない。これに対する一つの選択肢は、ロボット制御部用の制御プログラムが、ロボットに含まれるセンサおよびアクターをシミュレーションするというものである。他の選択肢は、それぞれの場合において、モデリング装備がそれぞれのロボットをシミュレーションする、または、モデリングする試験装置内のロボット制御部に、モデリング装備が接続されるというものである。
【0027】
本発明の一変形例においては、試験装置の構造が実際のロボット装置の構造に基本的に一致するように、実際のロボット装置におけるそれぞれのロボット制御部用の試験装置が、正確に一致するロボット制御部を含む。本発明の他の変形例においては、しかしながら、試験装置は、実際のロボット装置において全てのロボットに対する制御をシミュレーションし得るマルチロボットソフトウェアが作動する1つのロボット制御部に含まれるのみである。
【0028】
上述された本発明に係る試験装置とは別に、本発明はまた、実際の周辺機器部品なしで試験方法が実行されるように、実際のロボット装置の周辺機器部品がモデリングされた、対応する試験方法をも含む。
【0029】
さらに、本発明に係る試験方法の一部として、試験手続を記載することが可能であり、記載された試験手続および/または結果としての操作条件の一部が実行され得るので、所定の一連のオペレーターの参加が次々に時間をかけてなされ得ることを特徴とする。このような方法で、時間をかけて次々になされた特定のシーケンスのオペレーターの参加に対して、および/または、結果としての操作条件に対してのみ起こるだろういかなるエラーを発見することも可能である。
【0030】
本発明に係る試験方法はまた、トレーニングおよび文書化プロセスに対しても非常に好適である。
【0031】
トレーニングセッションの一部として、ロボット装置の将来のオペレーターが、たとえば、実際にはそこになければならないシミュレーションまたはモデリングされた周辺機器部品(たとえば、ロボット)なしでのロボット装置およびその挙動に精通し得る。これによって、過度に高い操作リスクを伴うロボット装置の実際の操作に関連するだろう極端な操作条件もまたシミュレーションされ得るという選択肢がもたらされる点が有利である。さらに、指導者は、目標化された方法でロボット装置の所定の故障状態を始動し得て、ついで、オペレーターの反応を観察し得る。このような方法で、将来のオペレーターもまた、故障シナリオに対して目標化された方法で準備し得る。
【0032】
本発明に係る試験方法はまた、たとえば技術編集者が塗装装置用の操作マニュアルを作成する場合に、文書化の目的に対して大変好適である。次に、技術編集者は、目標化された方法でロボット装置用の一定の条件を設定し、ついでスクリーンショットを生み出し、それはロボット装置用の操作マニュアルに採用されるだろう。
【0033】
本発明の他の有利な発展形が従属項において特徴づけられる、または、図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様の記載とともに、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】塗装装置用の制御ソフトウェアを試験するための、本発明に係る試験装置の模式図である。
【図2】塗装装置内のロボットがモデリング装備によってそれぞれシミュレーションされる、または、モデリングされる、図1に係る試験装置の変形例の図である。
【図3】マルチロボットソフトウェアが作動している単一のロボット制御部のみを試験装置が有する、図1に係る試験装置の変形例の図である。
【図4】フロー図の形態で記載された本発明に係る試験方法の図である。
【図5】フロー図として記載された、装置のトレーニング操作の一部としての本発明に係る試験方法の使用を示す図である。
【図6】文書化の目的のための、本発明に係る試験方法の使用を例示するフロー図である。
【図7】最初に記載された従来技術に係る従来の塗装装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、塗装装置用の制御ソフトウェアを試験するための、本発明に係る試験装置の例示的態様を示し、該試験装置は、図7に示され、かつ、既に上述された実際の塗装装置の構造および機能とかなり一致する。反復を避けるために、塗装装置の上述の記載が参照され、それぞれの構成部品の対応する細部に対して同じ参照符号が用いられる。
【0036】
試験装置の特徴の一つは、周辺機器部品5の代わりにモデリング装備9が設けられたことであり、モデリング装備9は実際の周辺機器部品5をシミュレーションするかモデリングし、およびそれゆえに、試験装置の枠の中でそれらを置き換える。これによって、実際の周辺機器部品5が試験装置に必ずしも存在しなくてもよいという長所がもたらされる。新しい周辺機器部品が、試験の目的のために、実際の部品として試験装置に統合され得る。このような方法で、実際の周辺機器部品、および、シミュレーションされた、または、モデリングされた周辺機器部品と同時に制御ソフトウェアが試験され得る。
【0037】
実際の塗装装置と比較した試験装置のさらなる特徴の一つは、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nが、実際のロボット1.1、1.2、・・・、1.nと接続されていないことである。その代わりに、制御ソフトウェアが、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nにおける実際のロボット1.1、1.2、・・・、1.nの挙動をシミュレーションする。これによって、実際のロボット1.1、1.2、・・・、1.nなしで試験装置が作動し得るという長所がもたらされる。
【0038】
図2は、図1に係る試験装置の変形例を示し、そして、反復を避けるために、上述の記載が参照され、対応する細部には同一の参照符号が用いられている。
【0039】
本実施態様の特徴の一つは、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nが、それぞれ、モデリング装備10.1、10.2、・・・、10.nに接続され、モデリング装備10.1、10.2、・・・、10.nの個々の装備のそれぞれが、塗装装置において、実際のロボット1.1、1.2、・・・、1.nのうちの1つをモデリングする、または、シミュレーションすることにある。
【0040】
図3は、図1に係る試験装置のさらなる変形例を示し、そして、反復を避けるために、上述の記載が参照され、対応する細部には同一の参照符号が用いられている。
【0041】
本実施態様の特徴の一つは、ロボット制御部2が唯一のロボット制御部であり、マルチロボットソフトウェアがロボット制御部2において作動し、それが、塗装装置において、個々のロボット1.1、1.2、・・・、1.nの挙動をシミュレーションすることにある。
【0042】
図4は、フロー図の形態で記載された本発明に係る試験方法の図である。
【0043】
第1のステップS1において、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.n用の、および、中央制御ユニット4(例:PLC)用の制御プログラムは、それぞれの顧客の特注の要求に従って、まず開発される。オペレーターコンピュータ6上での視覚化もまた、たいていは、作成かつ試験されなければならない特別注文に合わせられたソフトウェアを含む。
【0044】
ステップS2において、制御プログラムが試験装置において次に試験されるために(それはステップS3において起こる)、開発された制御プログラムは、次に、ロボット制御部2.1、2.2、・・・、2.nのプログラムメモリユニットおよび中央制御ユニット4(例:PLC)にインストールされる。
【0045】
ついで、試験者は、ステップS4において、試験方法の一部として、試験結果がOKかどうかを確認する。試験者はプログラム開発者ではないことが好ましい。
【0046】
それがOKであれば、制御プログラムが作動するように準備され、それらはステップS5において実際のロボット装置に伝えられる。
【0047】
他の全ての場合において、開発者によって、試験プログラムがステップS6においてさらに最適化され、ステップS3から再度試験される。
【0048】
図5は、塗装装置に関して将来のオペレーターを教育するために、トレーニング操作の一部としての、本発明に係る試験方法の使用を示す。
【0049】
ステップS1において、指導者は次に故障状態を選択し、試験装置において故障状態を始動させる。ここで、本記載は、試験装置に関する従来の教育(それも行われる)ではなく、オペレーターの試験のみを含むことに言及する必要がある。
【0050】
次のステップS2において、指導者は、試験装置の挙動に対するオペレーターの反応を観察する。
【0051】
ステップS3において、次に、故障状態に対するオペレーターの反応が正しいかどうかについての確認がある。
【0052】
それがOKであれば、指導者は、ステップS4において、将来のオペレーターにポジティブなフィードバックを与える。
【0053】
もしそうでなければ、将来のオペレーターの反応を改善させるために、指導者は、ステップS5において、将来のオペレーターにネガティブなフィードバックを与える。
【0054】
ステップS6において、トレーニングが終了されるべきかどうかの確認がなされる。もしOKであれば、トレーニングの操作は終了される。そうでなければ、トレーニングの操作がステップS1とともに継続される。
【0055】
最後に、図6は、文書化の目的のための、本発明に係る試験方法の使用を例示する。
【0056】
ステップS1において、技術編集者は、試験装置の一定の操作条件を作成し、これを文書化する。
【0057】
ステップS2において、ついで、技術編集者は、スクリーンショットを技術文書(例:塗装装置用の操作マニュアル)に適合させることを可能にするために、所望の操作条件における試験装置のスクリーンショットを作成する。
【0058】
ステップS3において、文書が完全であるかどうかの確認がなされる。もし完全でなければ、ステップS1およびステップS2がループ状に繰り返される。
【0059】
本発明は上述の好ましい例示の態様に限定されるものではない。むしろ、複数の変形および修正が可能であり、それらもまた、本発明の概念を用いるものであり、およびそれゆえに保護の範囲に入る。
【符号の説明】
【0060】
1.1〜1.n ロボット
2 ロボット制御部
2.1〜2.n ロボット制御部
3 フィールドバス
4 制御ユニット
5 周辺機器部品
6 オペレーターコンピュータ
7 グラフィクスコンピュータ
8 イーサネット(登録商標)データバス
9 モデリング装備
10.1〜10.n ロボット用のモデリング装備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実際のロボットシステム用の、具体的には塗装装置用の、制御および/または操作プログラムを試験する試験装置であって、
a)ロボット制御部(2.1〜2.n)のそれぞれが、制御プログラムを含み、前記実際のロボット装置の前記ロボット制御部(2.1〜2.n)に相当する複数のロボット制御部(2.1〜2.n)と、
b)制御ユニット(4)が制御プログラムを含み、前記実際のロボット装置の前記制御ユニット(4)に相当する前記ロボット制御部(2.1〜2.n)の調整用の少なくとも1つの制御ユニット(4)と、
c)第一のデータバス(3)が前記実際のロボット装置のデータバスに相当する前記ロボット制御部(2.1〜2.n)を、お互いに、および/または、前記制御ユニット(4)に接続する第一のデータバス(3)と、
を備え、
d)前記制御プログラムが周辺機器部品(5)なしで試験され得るように、前記モデリング装備(9)が、前記第一のデータバス(3)に接続され、かつ、前記実際のロボット装置の前記周辺機器部品(5)をシミュレーションするモデリング装備(9)を備えた、
ことを特徴とする試験装置。
【請求項2】
a)グラフィクスコンピュータ(7)が、前記ロボット装置の前記ロボット(1.1〜1.n)の視覚化のために設けられ、および/または、
b)前記グラフィクスコンピュータ(7)が、前記ロボット制御部(2.1〜2.n)に接続され、かつ、前記ロボット制御部(2.1〜2.n)から軸の数値を受信し、前記軸の数値が個々の前記ロボットの軸の位置を再現する、および/または、
c)前記グラフィクスコンピュータ(7)が前記ロボット(1.1〜1.n)のシミュレーションされた動作をスクリーン上に再現する、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
a)オペレーターコンピュータ(6)が、前記ロボット装置を操作およびモニタリングするために設けられ、および/または、
b)前記オペレーターコンピュータ(6)が、前記制御ユニット(4)、および、前記ロボット制御部(2.1〜2.n)に接続され、および/または、
c)前記オペレーターコンピュータ(6)が、前記ロボット装置を視覚化するために用いられる視覚化プログラムを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記モデリング装備(9)が、以下の前記周辺機器部品(5)のうち、
a)前記ロボット装置を介して部品を運搬するコンベアシステム、
b)防火システム、
c)前記塗装装置の塗装キャビン内の空調システム、
d)前記ロボット装置への圧縮空気供給部、
e)前記ロボット装置のロボット(1.1〜1.n)、
f)前記ロボット(1.1〜1.n)のロボット部材の軸の位置を測定するセンサ、具体的には位置センサ、
g)アクター、
h)ロボット(1.1〜1.n)、具体的には前記塗装装置内の塗装ロボットおよび/または搬送ロボット、
i)ロボット制御キャビネット内の前記実際のロボット装置内に収容された部品、具体的には駆動コントローラー、電源供給部、ヒューズ、データバス部品およびターミナル、
の全部または一部を少なくともシミュレーションする、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項5】
a)前記第一のデータバス(3)が、前記ロボット制御部(2.1〜2.n)を、前記制御ユニット(4)だけでなく、お互いに、かつ、前記モデリング装備(9)に接続し、および/または、
b)前記第二のデータバス(8)が、前記ロボット制御部(2.1〜2.n)を、前記オペレーターコンピュータ(6)および前記グラフィクスコンピュータ(7)に加えて、お互いに、かつ、前記制御ユニット(4)に接続し、および/または、
c)前記第一のデータバス(3)および/または前記第二のデータバス(8)がフィールドバス、具体的にはイーサネット(登録商標)ベースフィールドバス、である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項6】
a)前記ロボット制御部(2.1〜2.n)の前記制御プログラムが、前記ロボット(1.1〜1.n)に含まれるセンサおよびアクターをシミュレーションし、または、
b)前記ロボット制御部(2.1〜2.n)のそれぞれが、前記ロボット(1.1〜1.n)に含まれるセンサおよびアクターをシミュレーションするモデリング装備(10.1〜10.n)に接続された、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項7】
a)前記実際のロボット装置が、それぞれがロボット(1.1〜1.n)を制御する複数のロボット制御部(2.1〜2.n)を含み、
b)前記試験装置が、ただ一つのロボット制御部を含み、
c)前記試験装置内の単一の前記ロボット制御部内の前記制御プログラムに、前記実際のロボット装置内の全てのロボット(1.1〜1.n)に対する制御をシミュレーションし得るマルチロボットソフトウェアが取り付けられた、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項8】
a)前記実際のロボット装置が、それぞれがロボット(1.1〜1.n)を制御する複数のロボット制御部(2.1〜2.n)を含み、
b)前記試験装置が、複数のロボット制御部(2.1〜2.n)を含み、
c)前記実際のロボット装置内の全てのロボット制御部が前記試験装置内のロボット制御部によってシミュレーションされるように、前記実際のロボット装置が、同じ数のロボット制御部(2.1〜2.n)を、前記試験装置として含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項9】
試験装置内の実際のロボットシステム用の、具体的には複数の塗装ロボットまたは搬送ロボット(1.1〜1.n)を伴う塗装装置用の、制御プログラムおよび/または操作プログラムを試験する試験方法であって、
a)前記試験装置内の複数のロボット制御部(2.1〜2.n)に制御プログラムを保存するステップと、
b)前記試験装置の制御ユニット(4)に制御プログラムを保存するステップと、
c)前記試験装置のモデリング装備において前記実際のロボット装置の周辺機器部品(5)をモデリングするステップと、
を含み、
前記試験装置内の前記ロボット制御部(2.1〜2.n)が、前記実際のロボット装置内の前記ロボット制御部(2.1〜2.n)に相当し、
前記試験装置の前記制御ユニット(4)が、前記実際のロボット装置内の制御ユニット(4)に相当し、かつ、前記ロボット制御部(2.1〜2.n)を調整し、
前記モデリング装備が、前記試験装置の前記ロボット制御部(2.1〜2.n)および前記制御ユニット(4)に接続され、かつ、前記周辺機器部品(5)をシミュレーションする、
ことを特徴とする試験方法。
【請求項10】
前記実際の周辺機器部品(5)の代わりに前記モデリング装備を伴う前記制御プログラムおよび/または操作プログラムを試験するステップを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の試験方法。
【請求項11】
a)前記ロボット制御部(2.1〜2.n)および/または前記制御ユニット(4)に接続されたグラフィックコンピュータ(7)によってロボット(1.1〜1.n)を視覚化するステップと、および/または、
b)前記ロボット制御部(2.1〜2.n)によって前記ロボット(1.1〜1.n)の軸の数値を決定するステップと、および/または、
c)前記軸の数値に従って、前記ロボット(1.1〜1.n)の視覚化のために、前記グラフィックコンピュータ(7)上の前記ロボット制御部(2.1〜2.n)の前記軸の数値を送信するステップと、
を含み、
前記軸の数値が、それぞれの前記ロボット(1.1〜1.n)の個々のロボットの軸の位置を反映する、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の試験方法。
【請求項12】
オペレーターコンピュータ(6)によって前記ロボット装置を操作するステップを含む、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の試験方法。
【請求項13】
a)試験手続を始動するステップと、
b)前記試験手続に従って前記ロボット装置を操作するステップと、
を含み、
前記試験手続が、前記ロボット装置のさまざまな操作条件の時間的順序を規定する、
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の試験方法。
【請求項14】
a)前記ロボット装置の故障状態を始動させるステップと、
b)オペレーターの教育用の前記故障状態に従って前記ロボット装置の操作を行うステップと、
を含み、
前記故障状態の始動が、自動的に、または、指導者によって行われる、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−517151(P2013−517151A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549283(P2012−549283)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000169
【国際公開番号】WO2011/088979
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】