説明

ロボット誘導システム及びロボット制御装置

【課題】簡易な構成で使用し易く且つ確実にロボットをユーザの居る場所まで誘導することが可能なロボット誘導システムの提供。
【解決手段】センサユニット3により、ロボット2からの無線信号やユーザ6からの音声が検知されてサーバ4へ無線送信される。サーバ4では、センサユニット3から送信されてきた検知情報と、予め記憶された見取り図とに基づいてロボット位置及びユーザ位置を特定するとともに、センサユニット3からの検知情報と、予め記憶されている呼び寄せ命令語情報との比較によりユーザ6がロボット2を呼び寄せているかを判定し、ロボット呼び寄せであると判定した場合、特定されたロボット位置からユーザ位置までの移動経路を算出し、この移動経路に沿って無線によりロボット2の移動制御を行う。ロボット2はサーバ4から無線送信されてきた移動制御信号に基づいてユーザ位置まで移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動可能なロボットをユーザの居るところへ誘導するロボット誘導システムに関し、特に、家屋等の部屋間においてロボットを誘導するロボット誘導システム及びロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律的に移動することが可能なロボットが登場するなど、ロボットがより身近な存在として広まってきている(例えば特許文献1参照)。一般的に、ロボットが物(障害物)や外部環境を認識できる範囲は、ロボットから数メートル程度の見通せる範囲である。今後、住居内等において、ロボットを呼んでユーザの近くに来させたり、ロボットを所定場所に行かせるためには、ロボットが見通しの利かない場所にも移動できるような技術が要請される。そのためには、ロボットが、(1)自己位置を認識できる、(2)見通しの利かない場所からのユーザの呼び出し指令を認知できる、すなわちロボットから見て、見通しの利かない場合に居るユーザの位置を特定できる、ということが必要となる。
【特許文献1】特開2003−330538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記(1)の自己位置の認識については、現状、例えば以下の対応策と問題点がある。
(a)対応策:壁などの環境側に、予め位置情報を与えたマーカ(例えばバーコードのシール)を設置し、ロボットがマーカに近づいたとき、このロボットがマーカの位置情報を照会することで自己位置を認識する。
問題点:マーカ位置近傍でないと、自己位置の認識ができない。また、マーカの位置に依存するため、柔軟な自己位置の認識ができない。
(b)対応策:車輪型ロボットを用いて、初期位置を認識していることを前提に、車輪の累計回転数を基にして初期位置からの移動距離や方向を計算する。
問題点:ロボットの移動に伴い、車輪の回転誤差が累積するため、位置精度が悪い。なお、歩行型ロボットでは、誤差がさらに大きいため、現実的に位置認識できない。
(c)対応策:予め各場所の画像をロボットに蓄積させておき、ロボットが視認した画像と蓄積画像とを比較(例えばパターンマッチング)することで自己位置を認識する。
問題点:膨大な蓄積画像が必要となる。また、例えば可搬物(段ボール箱等)が載置されたり、取り除かれたりするなど、元の蓄積画像から状況が変化した場合、この画像を参照できない。また、照明の変化などに弱い。また、オフィス等の画一的(均一)な床や壁、すなわち位置を特定するための特徴点が少ない場所では位置特定が困難である。
【0004】
また、上記(2)の見通しの利かない場合に居るユーザの位置の認知については、現状、例えば以下の対応策と問題点がある。
(d)対応策:壁などの環境側に、位置情報を与えたスイッチを設置し、ユーザがスイッチを押下すると、そのスイッチの位置情報が無線通信などによりロボットに送信されるようにする。
問題点:スイッチ数が膨大になる。また、ユーザ位置の特定がスイッチ設置場所に依存する。すなわちユーザによるロボットの呼び寄せ位置がスイッチの設置位置に固定或いは限定されてしまう(このスイッチが設置されている位置にだけしかロボットを呼び寄せることができない)。
(e)対応策:壁などの環境側に、位置情報を与えたカメラを設置する。ユーザによる例えば手招きするようなポーズを、ロボットへの呼び寄せ(呼び出し)ポーズとして予め決めておき、カメラ側でこの呼び寄せポーズ情報を記憶しておく。そして、カメラが撮影したユーザのポーズを、所定の画像処理により、当該予め決めておいた呼び寄せポーズ情報と比較し、合致した場合には、そのポーズを撮影したカメラの位置情報を無線通信などによりロボットに送信する。
問題点:カメラを設置することは、ユーザに心理的な負担をかけることになる(ユーザがリラックスできなくなる)。
(f)対応策:ユーザがICタグ等の無線信号を発する機器を携帯するとともに、当該ユーザにより発せられた無線信号を受信する無線受信装置(例えばタグリーダ)を環境側に設置し、3点測位などの測位方法を用いてユーザ位置を特定する。
問題点:ユーザが常に機器を携帯する必要が生じてしまう。例えば家の中においてユーザが機器を携帯し続けることは不便(現実的に不可能)であり、実用的でない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、上記(a)〜(f)における問題点を解決することが可能な、すなわち、マーカに依存せず柔軟に自己位置認識を行うことができ、また、移動に伴い自己位置認識の誤差が蓄積しない(自己位置認識精度が良い)、また、膨大な蓄積画像を必要としない(状況の変化によりこの蓄積画像が参照できなくなったり、画一的或いは照明が変化するような場所で当該画像による位置特定が困難となることのない)、また、膨大な数のスイッチを必要としない(ユーザ位置の特定がスイッチ設置場所に依存しない)、また、カメラの設置によりユーザに心理的な負担をかけることのない、さらに、ユーザが常に機器を携帯する必要のない、ひいては簡易な構成で使用し易く且つ確実にロボットをユーザの居る場所まで誘導することが可能なロボット誘導システム及びロボット制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロボット誘導システムは、ユーザによる呼び寄せに応じて、所定のロボットを、所定の情報処理装置による移動制御により該ユーザの居る場所まで移動させるロボット誘導システムであって、前記ロボットから発信される所定の無線信号を検知して該検知情報を前記情報処理装置へ無線送信するロボット用信号検知手段と、前記ユーザから発せられる音声を検知して該検知情報を前記情報処理装置へ無線送信するユーザ用信号検知手段とを備える検知装置と、前記ロボットの移動環境における障害物の配置に関する地図情報を予め記憶する地図記憶手段と、前記ユーザの音声によるロボットの呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する命令語記憶手段と、前記ユーザ用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報と、前記命令語記憶手段に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、前記ユーザから発せられた音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼び寄せ判定手段と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報と前記ロボット用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報とに基づいて前記ロボットの位置を特定するロボット位置特定手段と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報と前記ユーザ用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報とに基づいて前記ユーザの位置を特定するユーザ位置特定手段と、前記ユーザから発せられた音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であると前記呼び寄せ判定手段により判定された場合に、前記ロボット位置特定手段により特定されたロボット位置及び前記ユーザ位置特定手段により特定されたユーザ位置の情報と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて、前記ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を算出する経路算出手段と、前記経路算出手段により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿って前記ロボットを移動させるべく前記ロボットの移動を無線信号を用いて制御する移動制御手段とを備える情報処理装置と、前記所定の無線信号を発信する信号発信手段と、前記移動制御手段から無線送信されてきた移動制御信号に応じて移動用の駆動を行う移動用駆動手段とを備える前記ロボットとを備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、ユーザによる呼び寄せに応じて、所定のロボットを、所定の情報処理装置による移動制御により該ユーザの居る場所まで移動させるロボット誘導システムにおいて、検知装置が、ロボットから発信される所定の無線信号を検知して該検知情報を情報処理装置へ無線送信するロボット用信号検知手段と、ユーザから発せられる音声を検知して該検知情報を情報処理装置へ無線送信するユーザ用信号検知手段とを備えるものとされ、情報処理装置が、ロボットの移動環境における障害物の配置に関する地図情報を予め記憶する地図記憶手段と、ユーザの音声によるロボットの呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する命令語記憶手段と、ユーザ用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報と、命令語記憶手段に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、ユーザから発せられた音声がロボットの呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼び寄せ判定手段と、地図記憶手段に記憶された地図情報とロボット用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報とに基づいてロボットの位置を特定するロボット位置特定手段と、地図記憶手段に記憶された地図情報とユーザ用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報とに基づいてユーザの位置を特定するユーザ位置特定手段と、ユーザから発せられた音声がロボットの呼び寄せを示す音声であると呼び寄せ判定手段により判定された場合に、ロボット位置特定手段により特定されたロボット位置及びユーザ位置特定手段により特定されたユーザ位置の情報と、地図記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて、ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を算出する経路算出手段と、経路算出手段により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿ってロボットを移動させるべくロボットの移動を無線信号を用いて制御する移動制御手段とを備えるものとされ、ロボットが、所定の無線信号を発信する信号発信手段と、移動制御手段から無線送信されてきた移動制御信号に応じて移動用の駆動を行う移動用駆動手段とを備えるものとされる。
【0008】
また、上記構成において、前記経路算出手段は、前記ロボットから前記ユーザまでの直線経路を仮定し、該仮定した直線経路上に前記障害物が存在する場合に、該直線経路から所定方向回りに、前記障害物が存在しない箇所である開放部を探索し、該探索により発見した開放部がユーザに行き着くことが可能な有効開放部であれば前記ロボットから該有効開放部までの直線経路を固定する計算処理を繰り返すことで前記移動経路を算出するようにしてもよい。(請求項2)
【0009】
これによれば、経路算出手段によって、ロボットからユーザまでの直線経路を仮定し、該仮定した直線経路上に前記障害物が存在する場合に、該直線経路から所定方向回りに、障害物が存在しない箇所である開放部を探索し、該探索により発見した開放部がユーザに行き着くことが可能な有効開放部であればロボットから該有効開放部までの直線経路を固定する計算処理が繰り返されることで移動経路が算出される。
【0010】
また、上記構成において、前記信号発信手段は、前記所定の無線信号として超音波信号を発信するようにしてもよい。(請求項3)
【0011】
これによれば、信号発信手段によって所定の無線信号として超音波信号が発信される。
【0012】
また、上記構成において、前記検知装置は、角錐状又は半球状の筐体における外周面に、前記ロボットから発信される所定の無線信号を検知する複数のセンサ及び前記ユーザから発せられる音声を検知する複数のマイクロホンをそれぞれ周方向に沿って所定間隔で配置された構成とされていてもよい。(請求項4)
【0013】
これによれば、検知装置が、角錐状又は半球状の筐体における外周面に、ロボットから発信される所定の無線信号を検知する複数のセンサ及びユーザから発せられる音声を検知する複数のマイクロホンがそれぞれ周方向に沿って所定間隔で配置された構成とされる。
【0014】
また、上記構成において、前記信号発信手段は、前記所定の無線信号を定期的に発信する機能を備えており、前記経路算出手段は、当該信号発信手段による所定の無線信号の定期的な発信に応じて前記ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を再計算して更新し、前記移動制御手段は、当該経路算出手段により更新された移動経路の情報に基づいて、前記ロボットの移動を制御するようにしてもよい。(請求項5)
【0015】
これによれば、信号発信手段が所定の無線信号を定期的に発信する機能を備えたものとされ、経路算出手段によって、当該信号発信手段による所定の無線信号の定期的な発信に応じてロボットからユーザの居る場所までの移動経路が再計算されて更新され、移動制御手段によって、当該経路算出手段により更新された移動経路の情報に基づいて、ロボットの移動が制御される。
【0016】
また、本発明に係るロボット制御装置は、自走可能なロボットの移動環境における障害物の配置に関する地図情報を予め記憶する地図記憶手段と、ユーザの音声によるロボットの呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する命令語記憶手段と、外部から与えられる前記ユーザの音声に関する検知情報と、前記命令語記憶手段に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、前記ユーザから発せられた音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼び寄せ判定手段と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報と外部から与えられる前記ロボットの発信信号に関する検知情報とに基づいて前記ロボットの位置を特定するロボット位置特定手段と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報と前記ユーザの音声に関する検知情報とに基づいて前記ユーザの位置を特定するユーザ位置特定手段と、前記ユーザの音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であると前記呼び寄せ判定手段により判定された場合に、前記ロボット位置特定手段により特定されたロボット位置及び前記ユーザ位置特定手段により特定されたユーザ位置の情報と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて、前記ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を算出する経路算出手段と、前記経路算出手段により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿って前記ロボットを移動させるべく前記ロボットの移動制御信号を生成する移動制御手段とを備えることを特徴とする。(請求項6)
【0017】
上記構成によれば、ロボット制御装置が、自走可能なロボットの移動環境における障害物の配置に関する地図情報を予め記憶する地図記憶手段と、ユーザの音声によるロボットの呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する命令語記憶手段と、外部から与えられるユーザの音声に関する検知情報と、命令語記憶手段に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、ユーザから発せられた音声がロボットの呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼び寄せ判定手段と、地図記憶手段に記憶された地図情報と外部から与えられるロボットの発信信号に関する検知情報とに基づいてロボットの位置を特定するロボット位置特定手段と、地図記憶手段に記憶された地図情報と外部から与えられるユーザの音声に関する検知情報とに基づいてユーザの位置を特定するユーザ位置特定手段と、ユーザの音声がロボットの呼び寄せを示す音声であると呼び寄せ判定手段により判定された場合に、ロボット位置特定手段により特定されたロボット位置及びユーザ位置特定手段により特定されたユーザ位置の情報と、地図記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて、ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を算出する経路算出手段と、経路算出手段により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿ってロボットを移動させるべくロボットの移動制御信号を生成する移動制御手段とを備えるものとされる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係るロボット誘導システムによれば、検知装置によって、ロボットから発信された無線信号やユーザから発せられた音声が検知されてサーバへ無線送信される。そして、サーバにおいて、当該検知装置から送信されてきた検知情報と、該サーバに予め記憶された地図情報とに基づいてロボット位置及びユーザ位置が特定されるとともに、上記検知装置から送信されてきたユーザの音声に関する検知情報と、サーバに予め記憶されている呼び寄せ命令語情報との比較によりユーザがロボットを呼び寄せているかが判定され、ロボットを呼び寄せていると判定された場合、上記特定されたロボット位置からユーザ位置までの移動経路が算出され、この移動経路に沿って無線によりロボットの移動が制御される。ロボットはサーバから無線送信されてきた移動制御信号に基づいてユーザ位置まで移動する。このような構成により、マーカが不要となりすなわちマーカに依存せず柔軟にロボットの自己位置認識を行うことができ、また、特定されたロボット位置及びユーザ位置と地図情報とを基に算出された移動経路に沿ってロボットが移動するので、ロボットの移動に伴い自己位置認識の誤差が蓄積しない(自己位置認識精度が良い)、また、少なくとも1つの地図情報を記憶しておくだけで済み、膨大な蓄積画像を必要としない(状況の変化によりこの蓄積画像が参照できなくなったり、画一的或いは照明が変化するような場所で当該画像による位置特定が困難となることのない)、また、例えば各部屋に少なくとも1つの検知装置(ユーザの音声を検知するもの)が設置されていればよいので、膨大な数のスイッチを必要としない(ユーザ位置の特定がスイッチ設置場所に依存しない)、また、カメラの設置が不要となり、該カメラによるユーザへの心理的な負担をかけることのない、さらに、ユーザは音声によりロボットを呼び寄せるので、ユーザが常に機器を携帯する必要のない、ひいては簡易な構成で使用し易く且つ確実にロボットをユーザの居る場所まで誘導することが可能なロボット誘導システムを提供することができる。
【0019】
請求項2に係るロボット誘導システムによれば、経路算出手段によって、ロボットからユーザまでの直線経路を仮定し、該仮定した直線経路上に前記障害物が存在する場合に、該直線経路から所定方向回りに、障害物が存在しない箇所である開放部を探索し、該探索により発見した開放部がユーザに行き着くことが可能な有効開放部であればロボットから該有効開放部までの直線経路を固定する計算処理が繰り返されることで移動経路が算出されるので、簡易な計算方法によって迅速に移動経路を算出することができる。
【0020】
請求項3に係るロボット誘導システムによれば、信号発信手段によって所定の無線信号として超音波信号が発信されるので、すなわちロボットから、高い指向性と強度を有する超音波信号が発信されるので、この超音波信号の情報を用いて正確且つ確実にロボットの位置を特定することができる。
【0021】
請求項4に係るロボット誘導システムによれば、検知装置が、角錐状又は半球状の筐体における外周面に、ロボットから発信される所定の無線信号を検知する複数のセンサ及びユーザから発せられる音声を検知する複数のマイクロホンがそれぞれ周方向に沿って所定間隔で配置された構成とされるので、上記角錐状又は半球状の筐体の底面側を例えば部屋の天井面や壁面に向けて取り付けるなどして、検知装置による、ロボットからの無線信号やユーザからの音声の、全方向からの受信が容易となる、すなわち当該無線信号及び音声を確実に検知することができ、ひいてはより正確且つ確実にロボットの位置及びユーザの位置を特定することができる。
【0022】
請求項5に係るロボット誘導システムによれば、信号発信手段が所定の無線信号を定期的に発信する機能を備えたものとされ、経路算出手段によって、当該信号発信手段による所定の無線信号の定期的な発信に応じてロボットからユーザの居る場所までの移動経路が再計算されて更新され、移動制御手段によって、当該経路算出手段により更新された移動経路の情報に基づいて、ロボットの移動が制御されるので、仮にロボットが何らかのアクシデントで当初の移動経路から逸脱したとしても、ロボット(信号発信手段)が定期的に発信する無線信号に応じて逐次算出されるロボットの最新位置に基づいて算出された移動経路に沿ってユーザが居るところまで確実にロボットを移動させることが可能となる。
【0023】
請求項6に係るロボット制御装置によれば、外部から与えられるロボットの発信信号に関する検知情報及び外部から与えられるユーザの音声に関する検知情報と、ロボット制御装置に予め記憶された地図情報とに基づいてロボット位置及びユーザ位置が特定されるとともに、上記ユーザの音声に関する検知情報と、サーバに予め記憶されている呼び寄せ命令語情報との比較によりユーザがロボットを呼び寄せているかが判定され、ロボットを呼び寄せていると判定された場合、上記特定されたロボット位置からユーザ位置までの移動経路が算出され、この移動経路に沿ってロボットを移動させるための移動制御信号が生成される。ロボット制御装置がこのような構成を備えたものされるので、ロボットを誘導するシステムにおいてこのロボット制御装置を用いることで、マーカが不要となりすなわちマーカに依存せず柔軟にロボットの自己位置認識を行うことができ、また、特定されたロボット位置及びユーザ位置と地図情報とを基に算出された移動経路に沿ってロボットが移動するので、ロボットの移動に伴い自己位置認識の誤差が蓄積しない(自己位置認識精度が良い)、また、少なくとも1つの地図情報を記憶しておくだけで済み、膨大な蓄積画像を必要としない(状況の変化によりこの蓄積画像が参照できなくなったり、画一的或いは照明が変化するような場所で当該画像による位置特定が困難となることのない)、また、ロボット制御装置の外部において例えば各部屋にユーザの音声を検知するもの(検知装置)が少なくとも1つ設置されていればよいので、膨大な数のスイッチを必要としない(ユーザ位置の特定がスイッチ設置場所に依存しない)、また、カメラの設置が不要となり、該カメラによるユーザへの心理的な負担をかけることのない、さらに、ユーザは音声によりロボットを呼び寄せるので、ユーザが常に機器を携帯する必要のない、ひいては簡易な構成で使用し易く且つ確実にロボットをユーザの居る場所まで誘導することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るロボット誘導システム1の概略構成図である。ロボット誘導システム1は、ユーザによる呼び寄せ(呼び出し)に応じて、ロボットを、該ロボットから離れた場所に居るユーザ、すなわち例えば家屋等においてロボットが居る部屋とは別の部屋に居るユーザのところへ移動させるべく誘導する(ロボット誘導を行う)ためのシステムである。ロボット誘導システム1は、ロボット2、センサユニット3及びサーバ4を備えている。
【0025】
ロボット2は、歩行型ロボット(例えば二足歩行型ロボット)や車輪型ロボットなどの自律的に移動可能(自走可能)なロボットである。ロボット2は、図2のブロック図に示すように、ロボット信号発信部21、サーバ通信部22、移動用駆動部23及び駆動制御部24を備えている。ロボット信号発信部21は、ロボット位置の計測(ロボットの測位)に用いる無線信号(ロボット信号という)を発信するものである。ここでは、ロボット信号発信部21はロボット信号として超音波信号を発信する。超音波信号は高い指向性と強度とを有する信号であることから、後述するようにロボットの測位が容易となる。この超音波の代わりに或る波長を有した光、例えば赤外線光や可視光を用いてもよい。ロボット信号はここでの超音波のように高い指向性と強度とを有する信号であることが好ましいが、要は、ロボットの測位が可能となるものであれば何れの信号でもよい。
【0026】
サーバ通信部22は、サーバ4との無線通信を行うもの(I/F;インターフェイス)であり、ここではサーバ4から発信された信号(後述のロボット移動制御信号)を受信する。移動用駆動部23は、ロボット2を移動させるための駆動部であり、例えば歩行型ロボットの場合は脚部を歩行駆動させるための駆動モータやシリンダ駆動部等であり、車輪型ロボットの場合は車輪を回転駆動させる駆動モータ等である。駆動制御部24は、ロボット2各部の駆動を制御するものである。駆動制御部24は、サーバ通信部22により受信された上記ロボット移動制御信号に基づいて、ロボット2を所定の目的位置に移動させるべく移動用駆動部23の駆動を制御する。
【0027】
センサユニット3は、ロボット2から発信される超音波信号や、ユーザから発せられる音声を受信して、これら信号情報をサーバ4へ転送(送信)するものである。センサユニット3は、図3のブロック図に示すように、ロボット信号受信部31、音声受信部32及びサーバ通信部33を備えている。ロボット信号受信部31は、ロボット2から発信された超音波信号(ロボット信号)を受信するものである。ロボット信号受信部31は、超音波を受信するための超音波受信機、例えば複数の超音波センサからなる。音声受信部32は、ユーザにより発せられた音声(言葉)を受信するものであり、例えば当該音声を収集するマイク(マイクロホン)である。サーバ通信部33は、サーバ4との無線通信を行うもの(I/F;インターフェイス)である。ここでは、サーバ通信部33は、ロボット信号受信部31により受信した超音波信号を所定の通信用信号に変換して(この変換した信号も超音波信号と表現する)サーバ4へ送信する。また、音声受信部32により受信した音声を所定の通信用信号つまり音声信号に変換してサーバ4へ送信する。なお、センサユニット3は、後述のように例えば家屋の部屋数などに応じて複数個備えられている。
【0028】
ところで、センサユニット3は、例えば図5(a)の斜視図及び図5(b)の上面図に示すような、所謂ピラミッド型の形状すなわち四角錐体に構成されている。この四角錐体の四方の側面部における例えば符号301で示す中央部近傍には、上記超音波センサ及びマイクが設けられている。すなわち、センサユニット3の外周面に超音波センサ及びマイクが周方向に沿って所定間隔で配置されている。このような構成により、センサユニット3の符号302で示す底面側を例えば部屋の天井面や壁面に向けて取り付けるなどして、センサユニット3による、全方向からの超音波信号や音声の受信が容易となる、すなわち当該超音波信号及び音声を確実に検知することができる。また、当該複数の超音波センサやマイクすなわちセンサユニット3の四方に配置された各超音波センサやマイクによる、信号発信源(ロボット2、ユーザ)から発信された信号の受信強度の違いや、各超音波センサやマイクに対する信号発信源(ロボット2、ユーザ)からの信号到達時間の違いが生じるような信号受信を行うことができ、この受信情報に基づいて後述のサーバ4によるロボット2やユーザの測位計算が可能となる。なお、センサユニット3の形状は上記四角錐体(四角錐状)に限らず、三角或いは五角以上の角錐体でもよいし、角錐体状でなく例えば半球状や円盤状など、任意の形状が採用可能である。超音波センサやマイクの配置や個数等も任意でよい。ただし、これら半球状や円盤状の場合も、外周面(外面部)に複数の超音波センサ及びマイクが周方向に沿って所定間隔で配置されるような構成が好ましい。
【0029】
サーバ4は、各種プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、一時的にデータを保管するRAM(Random Access Memory)、及び上記各種プログラム等をROMから読み出して実行するマイクロコンピュータ等からなり、ロボット誘導システム1における各種計算処理を行うもの(計算処理サーバ)、例えばPC(パーソナルコンピュータ)〜である。ここではサーバ4は、ロボット2及びユーザの測位計算やロボット2の移動における経路計算、或いはロボット2の移動制御を行う。サーバ4は、図4のブロック図に示すように、センサ通信部41、マップ情報記憶部42、ロボット位置特定部43、音声情報記憶部44、呼寄せ判定部45、ユーザ位置特定部46、経路計算部47、ロボット移動制御部48及びロボット通信部49を備えている。
【0030】
センサ通信部41は、センサユニット3との無線通信を行うもの(I/F;インターフェイス)である。センサ通信部41は、センサユニット3(サーバ通信部33)から発信された信号すなわちセンサユニット3によって転送されてきたロボット2の超音波信号やユーザの音声信号を受信する。マップ情報記憶部42は、ロボット2の移動環境における障害物の配置に関する地図情報、例えば家屋内の見取り図(前記障害物としての部屋間の仕切り部つまり壁などが記載された間取り図)の情報を予め記憶(蓄積、登録)するものである。
【0031】
ロボット位置特定部43は、センサ通信部41により受信されたロボット2の超音波信号の情報に基づいて、上記見取り図中におけるロボット2の位置を特定するものである。ロボット位置特定部43は、ロボット2の測位計算を行う、すなわち例えば、複数のセンサユニット3のうちの何れのセンサユニット3から信号が届いているかによって、ロボット2が何れのセンサユニット3が設置されている場所(部屋)に居るのかを算出するとともに、このセンサユニット3に対するロボット2の位置を算出する。このセンサユニット3に対するロボット2の位置の算出方法は、例えば図5に示すセンサユニット3(1つのセンサユニット3)内の複数の超音波センサそれぞれからサーバ通信部33を介して送信されてくる超音波信号の、サーバ4(センサ通信部41)への到達時間差や強度差の情報に基づいて、当該超音波信号を受信したセンサユニット3からどの方向に且つどれ位の距離離れたところにロボット2が位置しているのかを計算する方法であってもよい。ロボット位置特定部43は、上記測位計算により求めたロボット位置を見取り図に反映することで、見取り図中の何れの場所にロボット2が位置しているかを特定する。このロボット位置の見取り図への反映とは、例えばマップ情報記憶部42における見取り図の情報と、当該測位計算により求めたロボット位置の情報とを関連付けする処理(例えば合成処理)を行う。なお、センサユニット3の設置位置の情報は、予め見取り図の情報に関連付けられているものとする。
【0032】
音声情報記憶部44は、ユーザによるロボット2の呼び寄せに関する音声情報を、予め「ユーザ呼寄せ(呼出し)命令語」として記憶(蓄積、登録)するものである。呼寄せ判定部45は、ユーザがロボット2を呼び寄せているか(“ロボット呼び寄せ”であるか)否かを判定するものである。呼寄せ判定部45は、センサ通信部41により受信されたユーザの音声(言葉)と、音声情報記憶部44に記憶されているユーザ呼寄せ命令語との比較処理を行い、これらが合致する場合はユーザがロボット2を呼び寄せていると判定し、合致しない場合には当該呼び寄せではないと判定する。なお、この比較処理は、音声波形(声紋)を比較するなど任意の方法が採用可能である。
【0033】
ユーザ位置特定部46は、センサ通信部41により受信されたユーザの音声の情報に基づいて、上記見取り図中におけるユーザの位置を特定するものである。ユーザ位置特定部46は、ユーザの測位計算を行う、すなわち例えば、複数のセンサユニット3のうちの何れのセンサユニット3から信号が届いているかによって、ユーザが何れのセンサユニット3が設置されている場所(部屋)に居るのかを算出するとともに、このセンサユニット3に対するユーザの位置を算出する。このセンサユニット3に対するユーザの位置の算出方法は、例えば図5に示すセンサユニット3(1つのセンサユニット3)内の複数のマイクそれぞれからサーバ通信部33を介して送信されてくる音声信号の、サーバ4(センサ通信部41)への到達時間差や強度差の情報に基づいて、当該音声信号を受信したセンサユニット3からどの方向に且つどれ位の距離離れたところにユーザが位置しているのかを計算する方法であってもよい。また、ユーザ位置特定部46は、上記“ロボット呼び寄せ”であると判定された場合、この特定したユーザ位置を見取り図に反映する。すなわち上記と同様、マップ情報記憶部42における見取り図の情報と、当該当該測位計算により求めたユーザ位置の情報とを関連付けする処理を行う。
【0034】
経路計算部47は、見取り図と、ロボット2とユーザの位置との位置の情報、すなわち上記ロボット位置とユーザ位置とが関連付けられた見取り図の情報に基づいて、ロボット2が居る位置からユーザが居る位置までのロボット2の移動経路の計算(経路計算という)を行うものである。この経路計算の具体的な方法については後述する。
【0035】
ロボット移動制御部48は、経路計算部47による経路計算により決定された移動経路に沿って、ユーザのところまでロボット2を移動させるよう該ロボット2の移動動作を制御するものである。ロボット移動制御部48は、当該ロボット2の移動動作を制御する信号(ロボット移動制御信号という)をロボット2に対して出力する。ロボット通信部49は、ロボット2との無線通信を行うもの(I/F;インターフェイス)である。ここでは、ロボット通信部49は、上記ロボット移動制御信号をロボット2(サーバ通信部22)へ送信する。なお、サーバ4は、図1に示すように、FTTH(Fiber To The Home)などの通信規格を用いて他の機器やインターネットに接続可能な機能を備えていてもよい。
【0036】
ここで、上記構成を備えたロボット誘導システム1における、ロボット2がユーザにより呼び寄せられてユーザの居る場所まで誘導される手順について、実際の例を挙げて順に図6〜10を用いて説明する。先ず図6に示すように、ロボット誘導システム1が、複数の部屋例えば部屋51〜55を有する家屋5内(住居内、屋内)に配置されているとする。ただし、図6に示す部屋51〜55は同一フロアに有るものとする。各部屋にはセンサユニット3が設置されている。センサユニット3は各部屋に少なくとも1つ備えられていればよく、例えば部屋の天井に取り付けられている。また、部屋54には1つのサーバ4が設置されている。ただし、サーバ4は部屋51〜55における何れの部屋に設置されてもよいし、図6に示すフロアの部屋とは別のフロアの部屋に設置されていてもよい。要は、ロボット2及びセンサユニット3と無線通信が可能な場所であれば任意の場所に設置してよい。また、ロボット2が、現在、部屋51に居るものとする。なお、サーバ4には、家屋5の各部屋51〜55が示された符号50で示す見取り図(見取り図50)の情報が事前に登録されている。また、各部屋には図6の符号56で示す箇所のように所定数の出入り口(開放部という)が有る。ただし、通常、部屋の出入り口には所定のドアが設けられているが、このドアの開閉については、ロボット2側の技術問題(ロボット2自身のドア開閉機能により解決されるもの)であるため、ここではドアが無いものとする。
【0037】
次に図7において、ロボット2から超音波信号が発信される。ロボット2はこの超音波信号を定期的に発信する。部屋51に設置されているセンサユニット3が、複数の超音波センサによってこのロボット2からの超音波信号を受信し、その信号をサーバ4へ転送する。サーバ4は、この部屋51のセンサユニット3から送信されてくる超音波信号に基づいて、ロボット2がこのセンサユニット3が設置されている部屋51に居ることを算出するともに、この部屋51のセンサユニット3(同一のセンサユニット3内)における各超音波センサから送信されてくる超音波信号に基づいて、上記到達時間差や強度差からこのセンサユニット3に対するロボット2の位置を算出することでロボット2の測位計算を行い、符号20で示すように、この測位結果(ロボット2の位置)を上記見取り図50に反映する。なお、サーバ4は、ロボット2から定期的に発信される超音波信号に基づいて、例えばこの超音波信号をセンサユニット3を介して受信する都度、上記と同様に測位計算を行い、ロボット2の最新の位置を見取り図50に反映する。これにより、ロボット2が図7で示す位置から移動したとしても、見取り図50上のロボット2の位置が更新される。
【0038】
次に図8において、ユーザ6が部屋55に居るとする。ユーザ6が例えば「ちょっと来て」といったロボット2を呼び寄せるための予め決められている音声(言葉)を発する(発声する)と、この部屋55に設置されているセンサユニット3の複数のマイクがこの音声を受信し、サーバ4へ転送する。サーバ4は、この転送されてきた音声信号と事前に登録されている上記ユーザ呼寄せ命令語とを比較し、これらが合致した場合、“ロボット呼び寄せ”と判定する(サーバ4は謂わば音声認識により当該ロボット呼び寄せと判定する)。そして、当該ロボット呼び寄せであると判定された場合、上記図7におけるロボット2の測位計算と同様に、当該センサユニット3から送信されてくる音声信号に基づいてユーザ6の測位計算を行い、符号60で示すように、この測位結果(ユーザ6の位置)を上記見取り図50に反映する。
【0039】
そして、図9において、サーバ4は、上記ロボット2の位置及びユーザ6の位置が反映された見取り図50の情報に基づいてロボット2からユーザ6への経路計算を行い、図10において、当該経路計算により求められた経路に沿ってロボット2を移動制御する。ここでは、図10の符号Rで示す経路(経路R)に沿ってロボット2を部屋51から部屋55のユーザ6が居る場所まで移動制御する。この移動制御は、サーバ4からロボット2に例えば無線LAN(Local Area Network)信号で指令する。サーバ4は、当該経路計算により移動経路を求めるとともに、ロボット2の現在の移動位置を常時把握することで、謂わばリアルタイムにロボット2を移動制御する。すなわち、仮に、ロボット2に何らかのアクシデントが生じてロボット2がこの移動経路(予定経路)から逸脱したとしても、ロボット2が定期的に発信する超音波信号に応じて逐次算出されるロボット2の最新位置(このようにサーバ4はロボット2の現在位置を常時把握している)に基づいて、新しい経路を算出し(謂わば軌道修正し)、当該新経路に沿ってユーザ6が居るところまでロボット2を移動制御する。
【0040】
なお、上記図6〜10で説明した構成のように、ロボット誘導システム1は、システムの各種計算処理を担うサーバ4と無線接続されたセンサユニット3及びロボット2とからなる構成である、すなわちサーバ4と連動する謂わばネットワーク活用型のシムテムであると言える。また、ロボット誘導システム1では、ロボット2において当該各種計算処理(例えば測位計算や経路計算)を行うのではなく、ロボット2とは別のサーバ4において行う、すなわちロボット2の外側に消費電力が大きな計算処理部を設ける構成であるので(ロボット2にこの計算処理部を設ける場合、これに応じてロボット2に大きなバッテリー等を備える必要がある)、ロボット2の構成の簡易化或いは重量低減を図ることが可能となる。また、このようにロボット2の複雑化或いは高重量化を気にすることなく本実施形態における測位計算や経路計算といった計算処理以外にも様々な処理をサーバ4側で実行できるという汎用性(ロボット誘導システム1を用いたサービス展開に関する応用性)も高くなる。
【0041】
ここで、サーバ4(経路計算部47)による経路計算手法の一例について図11〜13を用いて説明する。先ず図11に示すように、ロボット2からユーザ6まで(計算上の仮想的な)直線を引く(経路a)。この直線上に壁等の遮蔽物(障害物)があれば、この直線(経路a)から右回り(左回りでもよい)に部屋51の開放部を探索する。開放部(開放部561)が見つかれば、その開放部561までの経路を固定する(経路b)。次にこの開放部561の位置を基点として、再度、ユーザ6まで直線を引く(経路c)。そして同様に、この直線上に遮蔽物があれば、この直線(経路c)から右回りで次の開放部を探索する。ただし、図12に示すように、この開放部の探索によって開放部562が見つかったとすると、この開放部562を通る経路(経路d’、経路e’)では、ユーザ6まで行き着かない(到達しない)ことになるので、その場合はこの開放部562(経路d’、経路e’)の選択を破棄し、同じ開放部561を基点としてさらに右回りに次の開放部(開放部563)を探索する。上述の部屋51の場合には、この部屋51に有る1つの開放部561がそのままユーザ6に行き着くことが可能な開放部(これを有効な開放部という)であったので、上記開放部(経路)の破棄や次の開放部を探索する計算は不要であったが、この計算方法は最初の部屋51から同様に適用される。
【0042】
開放部563が有効な開放部であれば、先の基点である開放部561からこの開放部563までの経路(経路d)を、上記経路bの次に進む経路として固定する。このように、新しい開放部(有効な開放部)が見つかる毎に、この開放部までの経路を固定していくことで、図13に示すように、ロボット2からユーザ6までの経路b、d、e、f(図10に示す経路Rに相当する)が決定される。なお、探索した開放部が有効な開放部であるか否かを判定する方法として、例えばロボット2及びユーザ6の位置の情報と見取り図50の情報とから、ユーザ6に行き着くことが不可能な部屋(ここでは部屋52)を求めておき、この部屋の中に入る経路となる開放部が選択されようとしたときにこれを破棄するようにしてもよい。
【0043】
図14は、ロボット誘導システム1におけるロボット誘導動作の一例を示すフローチャートである。先ずロボット2から超音波信号が発信される(ステップS1)。このロボット2からの超音波信号がセンサユニット3によって受信され(ステップS2)、サーバ4へ転送される(ステップS3)。このセンサユニット3から転送されてきた超音波信号情報に基づいて、サーバ4によってロボット2の測位計算が行われる(ステップS4)とともに、この測位結果(ロボット2の位置)が見取り図50に反映される(ステップS5)。このステップS1〜ステップS5の動作は、ロボット2による超音波信号の定期的な発信に応じて繰り返される。当該ステップS1〜ステップS5の動作が繰り返される都度、ロボット位置(見取り図50にロボット位置が反映された情報)が得られるが、後述のステップS9においてロボット呼び寄せでない場合には、このロボット位置の情報は後述のステップS12における経路計算に用いられない(ステップS6のNO)。
【0044】
一方、センサユニット3によってユーザ6から発せられる音声が受信されると(ステップS7)、この音声信号がサーバ4へ転送される(ステップS8)。次にサーバ4によって、このセンサユニット3から転送されてきた音声信号情報とサーバ4内に予め記憶されている呼び寄せ命令語とが比較(照合)されて“ロボット呼び寄せ”であるか否かが判定される。ロボット呼び寄せであると判定された場合には(ステップS9のYES)、サーバ4によって、この音声信号情報に基づいてユーザ6の測位計算が行われる(ステップS10)とともに、この測位結果(ユーザ6の位置)が見取り図50に反映される(ステップS11)。ロボット呼び寄せでないと判定された場合には(ステップS9のNO)、ステップS7に戻り、ユーザ6から発せられる次の音声の受信を待つことになる。そして、上記ステップS9においてロボット呼び寄せであると判定された場合、上記S11において見取り図50にユーザ6の位置が反映された情報を用いるとともに、上記ステップS5において見取り図50にロボット2の位置が反映された情報を用いて(ステップS6のYES)、サーバ4によって経路計算が行われる(ステップS12)。そして、サーバ4によって、この経路計算により決定された移動経路に沿って、ユーザ6のところまでロボット2を移動させるよう該ロボット2の移動制御が行われる(ステップS13)。なお、上記ロボット2からの定期的な超音波信号発信に応じて繰り返される上記ステップS1〜ステップS6のループ動作によってロボット2の現在位置が更新され、このロボット位置の更新に応じて上記ステップS12における経路計算が行われ、当該再計算された経路に応じてステップS13におけるロボット移動制御が行われる。
【0045】
図15は、図14に示すステップS12における経路計算処理動作(アルゴリズム)の一例を示すフローチャートである。先ずロボット2の位置からユーザ6の位置までの直線経路(例えば図11に示す経路a)を引く(ステップS21)。この直線上に遮蔽物が有る場合には(ステップS22のYES)、この直線から右回り(左回りでもよい)に開放部を探索する(ステップS23)。開放部が見つかるまで当該右回りに探索していき(ステップS24のNO)、開放部が見つかると(ステップS24のYES)、この開放部がユーザ6に行き着くことが可能な開放部(有効な開放部)であるか判定し、有効な開放部(例えば図11に示す開放部561)である場合には(ステップS25のYES)、この開放部までの直線経路(例えば図11に示す経路cに相当)を固定する(ステップS27)。有効な開放部でないと判定された場合には(ステップS25のNO)、この開放部(例えば図11に示す開放部562)を通る経路案を破棄し(ステップS26)、上記ステップS23に戻り、さらに右回りに開放部を探索する。上記探索によって見つけた有効な開放部を基点として再度、ユーザ6の位置までの直線経路(例えば図11に示す経路c)を引く(ステップS28)。この直線上に遮蔽物が有る場合には(ステップS29のYES)、上記ステップS23に戻り、この直線から右回りに開放部を探索する。この直線上に遮蔽物が無い場合には(ステップS29のNO)、経路(例えば図11に示す経路f)がユーザ6まで行き着いたとして当該経路計算が終了される。上記ステップS22において直線上に遮蔽物が無い場合も同様、この最初に引いた経路がそのままユーザ6に行き着く経路であるとして当該経路計算が終了される。
【0046】
以上のように本発明の実施形態に係るロボット誘導システム1によれば、ユーザ6による呼び寄せに応じて、ロボット2を、サーバ4(情報処理装置)による移動制御によりユーザ6の居る場所まで移動させるロボット誘導システム1において、センサユニット3(検知装置)が、ロボット2から発信される所定の無線信号を検知して該検知情報をサーバ4へ無線送信するロボット信号受信部31(ロボット用信号検知手段)と、ユーザ6から発せられる音声を検知して該検知情報をサーバ4へ無線送信する音声受信部32(ユーザ用信号検知手段)とを備えるものとされ、サーバ4が、ロボット2の移動環境における障害物の配置に関する見取り図50(地図情報)を予め記憶するマップ情報記憶部42(地図記憶手段)と、ユーザ6の音声によるロボット2の呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する音声情報記憶部44(命令語記憶手段)と、ロボット信号受信部31から無線送信されてきた検知情報と、音声情報記憶部44に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、ユーザ6から発せられた音声がロボット2の呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼寄せ判定部45(呼び寄せ判定手段)と、マップ情報記憶部42に記憶された見取り図50とロボット信号受信部31から無線送信されてきた検知情報とに基づいてロボット2の位置を特定するロボット位置特定部43(ロボット位置特定手段)と、マップ情報記憶部42に記憶された見取り図50と音声受信部32から無線送信されてきた検知情報とに基づいてユーザ6の位置を特定するユーザ位置特定部46(ユーザ位置特定手段)と、ユーザ6から発せられた音声がロボット2の呼び寄せを示す音声であると呼寄せ判定部45により判定された場合に、ロボット位置特定部43により特定されたロボット位置及びユーザ位置特定部46により特定されたユーザ位置の情報と、マップ情報記憶部42に記憶された見取り図50とに基づいて、ロボット2からユーザ6の居る場所までの移動経路を算出する経路計算部47(経路算出手段)と、経路計算部47により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿ってロボット2を移動させるべくロボット2の移動を無線信号を用いて制御するロボット移動制御部48(移動制御手段;この移動制御手段にロボット通信部49を含んでもよい)とを備えるものとされ、ロボット2が、所定の無線信号を発信するロボット信号発信部21(信号発信手段)と、ロボット移動制御部48から無線送信されてきた移動制御信号に応じて移動用の駆動を行う移動用駆動部23(移動用駆動手段)とを備えるものとされる。
【0047】
このように、センサユニット3によって、ロボット2から発信された無線信号やユーザ6から発せられた音声が検知されてサーバ4へ無線送信される。そして、サーバ4において、当該センサユニット3から送信されてきた検知情報と、該サーバ4に予め記憶されている見取り図50とに基づいてロボット位置及びユーザ位置が特定されるとともに、上記センサユニット3から送信されてきたユーザ6の音声に関する検知情報(音声情報)、サーバ4に予め記憶されている呼び寄せ命令語情報との比較によりユーザ6がロボット2を呼び寄せているかが判定され、ロボット2を呼び寄せていると判定された場合、上記特定されたロボット位置からユーザ位置までの移動経路が算出され、この移動経路に沿って無線によりロボット2の移動が制御される。ロボット2はサーバ4から無線送信されてきた移動制御信号に基づいてユーザ位置まで移動する。
【0048】
これにより、マーカが不要となりすなわちマーカに依存せず柔軟にロボット2の自己位置認識を行うことができ、また、特定されたロボット位置及びユーザ位置と見取り図とを基に算出された移動経路に沿ってロボット2が移動するので、ロボット2の移動に伴い自己位置認識の誤差が蓄積しない(自己位置認識精度が良い)、また、少なくとも1つの地図情報(見取り図)を記憶しておくだけで済み、膨大な蓄積画像を必要としない(状況の変化によりこの蓄積画像が参照できなくなったり、画一的或いは照明が変化するような場所で当該画像による位置特定が困難となることのない)、また、例えば各部屋に少なくとも1つのセンサユニット3(ユーザ6の音声を検知するもの)が設置されていればよいので、膨大な数のスイッチを必要としない(ユーザ位置の特定がスイッチ設置場所に依存しない)、また、カメラの設置が不要となり、該カメラによるユーザ6への心理的な負担をかけることのない、さらに、ユーザ6は音声によりロボット2を呼び寄せるので、ユーザ6が常に機器を携帯する必要のない、ひいては簡易な構成で使用し易く且つ確実にロボット2をユーザ6の居る場所まで誘導することが可能なロボット誘導システム1を提供することができる。
【0049】
また、経路計算部47によって、ロボット2からユーザ6までの直線経路を仮定し、該仮定した直線経路上に障害物(例えば部屋の壁)が存在する場合に、該直線経路から所定方向回り(例えば右回り)に、障害物が存在しない箇所である開放部を探索し、該探索により発見した開放部がユーザ6に行き着くことが可能な有効開放部であればロボット2から該有効開放部までの直線経路を固定する計算処理が繰り返されることで移動経路が算出されるので、簡易な計算方法によって迅速に移動経路を算出することができる。
【0050】
また、ロボット信号発信部21によって無線信号として超音波信号が発信されるので、すなわちロボット2から、高い指向性と強度を有する超音波信号が発信されるので、この超音波信号の情報を用いて正確且つ確実にロボット2の位置を特定することができる。
【0051】
また、センサユニット3が、角錐状(図5参照)又は半球状の筐体における外周面に、ロボット2から発信される所定の無線信号を検知する複数のセンサ(超音波センサ)及びユーザから発せられる音声を検知する複数のマイクがそれぞれ周方向に沿って所定間隔で配置された構成とされるので、上記角錐状又は半球状の筐体の底面側(図5の符号302で示す面)を例えば部屋の天井面や壁面に向けて取り付けるなどして、センサユニット3による、ロボット2からの無線信号やユーザ6からの音声の、全方向からの受信が容易となる、すなわち当該無線信号及び音声を確実に検知することができ、ひいてはより正確且つ確実にロボット2の位置及びユーザ6の位置を特定することができる。
【0052】
また、ロボット信号発信部21が無線信号(超音波信号)を定期的に発信する機能を備えたものとされ、経路計算部47によって、当該ロボット信号発信部21による無線信号の定期的な発信に応じてロボット2からユーザ6の居る場所までの移動経路が再計算されて更新され、ロボット移動制御部48によって、当該経路計算部47により更新された移動経路の情報に基づいて、ロボット2の移動が制御されるので、仮にロボット2が何らかのアクシデントで当初の移動経路から逸脱したとしても、ロボット2(ロボット信号発信部21)が定期的に発信する無線信号に応じて逐次算出されるロボット2の最新位置に基づいて算出された移動経路に沿ってユーザ6が居るところまで確実にロボット2を移動させることが可能となる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係るロボット制御装置(サーバ4;情報処理装置)によれば、ロボット制御装置が、自走可能なロボット2の移動環境における障害物の配置に関する見取り図50(地図情報)を予め記憶するマップ情報記憶部42(地図記憶手段)と、ユーザ6の音声によるロボット2の呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する音声情報記憶部44(命令語記憶手段)と、外部から与えられるユーザ6の音声に関する検知情報と、音声情報記憶部44に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、ユーザ6から発せられた音声がロボット2の呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼寄せ判定部45(呼び寄せ判定手段)と、マップ情報記憶部42に記憶された見取り図50と外部から与えられるロボット2の発信信号(例えば超音波信号)に関する検知情報とに基づいてロボット2の位置を特定するロボット位置特定部43(ロボット位置特定手段)と、マップ情報記憶部42に記憶された見取り図50と外部から与えられるユーザ6の音声に関する検知情報とに基づいてユーザ6の位置を特定するユーザ位置特定部46(ユーザ位置特定手段)と、ユーザ6の音声がロボット2の呼び寄せを示す音声であると呼寄せ判定部45により判定された場合に、ロボット位置特定部43により特定されたロボット位置及びユーザ位置特定部46により特定されたユーザ位置の情報と、マップ情報記憶部42に記憶された見取り図50とに基づいて、ロボット2からユーザ6の居る場所までの移動経路を算出する経路計算部47(経路算出手段)と、経路計算部47により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿ってロボット2を移動させるべくロボット2の移動制御信号を生成するロボット移動制御部48(移動制御手段;この移動制御手段にロボット通信部49を含んでもよい)とを備えるものとされる。
【0054】
このように、ロボット制御装置(サーバ4)によって、外部から与えられるロボット2の発信信号に関する検知情報及び外部から与えられるユーザ6の音声に関する検知情報と、該ロボット制御装置に予め記憶されている見取り図50とに基づいてロボット位置及びユーザ位置が特定されるとともに、上記ユーザ6の音声に関する検知情報(音声情報)と、該ロボット制御装置に予め記憶されている呼び寄せ命令語情報との比較によりユーザ6がロボット2を呼び寄せているかが判定され、ロボット2を呼び寄せていると判定された場合、上記特定されたロボット位置からユーザ位置までの移動経路が算出され、この移動経路に沿ってロボット2を移動させるための移動制御信号が生成される。
【0055】
ロボット制御装置がこのような構成を備えたものされるので、ロボットを誘導するシステム、例えばロボット誘導システム1においてこのロボット制御装置を用いることで、マーカが不要となりすなわちマーカに依存せず柔軟にロボット2の自己位置認識を行うことができ、また、特定されたロボット位置及びユーザ位置と地図情報とを基に算出された移動経路に沿ってロボット2が移動するので、ロボット2の移動に伴い自己位置認識の誤差が蓄積しない(自己位置認識精度が良い)、また、少なくとも1つの地図情報(見取り図)を記憶しておくだけで済み、膨大な蓄積画像を必要としない(状況の変化によりこの蓄積画像が参照できなくなったり、画一的或いは照明が変化するような場所で当該画像による位置特定が困難となることのない)、また、ロボット制御装置の外部において例えば各部屋にユーザ6の音声を検知するもの(センサユニット3;検知装置)が少なくとも1つ設置されていればよいので、膨大な数のスイッチを必要としない(ユーザ位置の特定がスイッチ設置場所に依存しない)、また、カメラの設置が不要となり、該カメラによるユーザ6への心理的な負担をかけることのない、さらに、ユーザ6は音声によりロボット2を呼び寄せるので、ユーザ6が常に機器を携帯する必要のない、ひいては簡易な構成で使用し易く且つ確実にロボット2をユーザ6の居る場所まで誘導することが可能となる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種構成の追加、変更を伴うことが可能であり、例えば以下の変形態様をとることができる。
【0056】
(A)上記実施形態では、センサユニット3に対するロボット2或いはユーザ6の位置の計算を、サーバ4(ロボット位置特定部43、ユーザ位置特定部46)において行う構成としているが、この計算をセンサユニット3において行う構成としてもよい。すなわち、センサユニット3内において、該センサユニット3が備える複数の超音波センサ及びマイクにより検知されたロボット2の超音波信号やユーザ音声の到達時間差や強度差の情報に基づいて、このセンサユニット3から見たロボット2或いはユーザ6の位置を算出し、この算出結果による位置情報をサーバ4へ送信する構成でもよい。なお、サーバ4ではこの送信されてきた位置情報と、何れのセンサユニット3からこの位置情報が送信されてくるかの情報とに基づいて、見取り図の情報を用いてロボット2或いはユーザ6の位置を特定する。
【0057】
(B)上記センサユニット3によるロボット2からの定期的な信号受信に応じてロボット2の位置が更新される場合と同様に、センサユニット3がユーザ6の音声を検知する都度、ユーザ6の位置が再計算されて更新され、この更新に応じて経路も再計算されて更新される構成であってもよい。これにより、ユーザ6が当初の呼び寄せ位置から移動したとしてもその移動した位置にロボット2を呼び寄せることができる。なお、当該ユーザ6の位置が変わったものの、ユーザ6が居る部屋(図13に示す部屋55参照)自体は同じ部屋であって変わらないような場合、最終的にユーザ6に至る経路(図13に示す経路f参照)だけ再計算して更新するようにしてもよい。
【0058】
(C)上記実施形態では、センサユニット3の設置位置は予め見取り図に反映されているが、ロボット2或いはユーザ6の位置を算出する際、都度、センサユニット3自身の位置を計算する構成としてもよい。この場合、例えば、サーバ4はセンサユニット3から送信されてくる該センサユニット3の位置計算用の所定の信号に基づいて、サーバ4に対してこのセンサユニット3がどの方向に且つどれ位の距離離れたところに存在しているかといった計算を行い、見取り図の情報と併せてセンサユニット3の位置を特定(関連付け)してもよい。これにより、センサユニット3の設置位置が変更される場合にも対応可能となる。
【0059】
(D)上記実施形態では、経路計算部47による経路計算方法として、右回り(又は左回り)に開放部の探索を続ける方法を採用しているが、これに限らず、例えばロボット2に一番近い壁に沿って右回り(又は左回り)に探索する所謂「右手の方策」による経路計算方法を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係るロボット誘導システムの概略構成図である。
【図2】上記ロボット誘導システムにおけるロボットのロボット誘導に関する一構成例を示すブロック図である。
【図3】上記ロボット誘導システムにおけるセンサユニットのロボット誘導に関する一構成例を示すブロック図である。
【図4】上記ロボット誘導システムにおけるサーバのロボット誘導に関する一構成例を示すブロック図である。
【図5】上記センサユニットの一構成例を示す概略図であり、(a)はセンサユニットの斜視図を、(b)はセンサユニットの上面図である。
【図6】上記ロボット誘導システムにおけるロボット誘導動作について説明するための模式図である。
【図7】上記ロボット誘導システムにおけるロボット誘導動作について説明するための模式図である。
【図8】上記ロボット誘導システムにおけるロボット誘導動作について説明するための模式図である。
【図9】上記ロボット誘導システムにおけるロボット誘導動作について説明するための模式図である。
【図10】上記ロボット誘導システムにおけるロボット誘導動作について説明するための模式図である。
【図11】上記サーバによる経路計算方法について説明するための模式図である。
【図12】上記サーバによる経路計算方法について説明するための模式図である。
【図13】上記サーバによる経路計算方法について説明するための模式図である。
【図14】上記ロボット誘導システムにおけるロボット誘導動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】図14に示すステップS12における経路計算処理動作(アルゴリズム)の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 ロボット誘導システム
2 ロボット
21 ロボット信号発信部(信号発信手段)
22 サーバ通信部
23 移動用駆動部(移動用駆動手段)
24 駆動制御部
3 センサユニット(検知装置)
31 ロボット信号受信部(ロボット用信号検知手段)
32 音声受信部(ユーザ用信号検知手段)
33 サーバ通信部
4 サーバ(情報処理装置、ロボット制御装置)
41 センサ通信部
42 マップ情報記憶部(地図記憶手段)
43 ロボット位置特定部(ロボット位置特定手段)
44 音声情報記憶部(命令語記憶手段)
45 呼寄せ判定部(呼び寄せ判定手段)
46 ユーザ位置特定部(ユーザ位置特定手段)
47 経路計算部(経路算出手段)
48 ロボット移動制御部(移動制御手段)
49 ロボット通信部
5 家屋(ロボットの移動環境)
51〜55 部屋
6 ユーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる呼び寄せに応じて、所定のロボットを、所定の情報処理装置による移動制御により該ユーザの居る場所まで移動させるロボット誘導システムであって、
前記ロボットから発信される所定の無線信号を検知して該検知情報を前記情報処理装置へ無線送信するロボット用信号検知手段と、
前記ユーザから発せられる音声を検知して該検知情報を前記情報処理装置へ無線送信するユーザ用信号検知手段と
を備える検知装置と、
前記ロボットの移動環境における障害物の配置に関する地図情報を予め記憶する地図記憶手段と、
前記ユーザの音声によるロボットの呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する命令語記憶手段と、
前記ユーザ用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報と、前記命令語記憶手段に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、前記ユーザから発せられた音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼び寄せ判定手段と、
前記地図記憶手段に記憶された地図情報と前記ロボット用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報とに基づいて前記ロボットの位置を特定するロボット位置特定手段と、
前記地図記憶手段に記憶された地図情報と前記ユーザ用信号検知手段から無線送信されてきた検知情報とに基づいて前記ユーザの位置を特定するユーザ位置特定手段と、
前記ユーザから発せられた音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であると前記呼び寄せ判定手段により判定された場合に、前記ロボット位置特定手段により特定されたロボット位置及び前記ユーザ位置特定手段により特定されたユーザ位置の情報と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて、前記ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を算出する経路算出手段と、
前記経路算出手段により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿って前記ロボットを移動させるべく前記ロボットの移動を無線信号を用いて制御する移動制御手段と
を備える情報処理装置と、
前記所定の無線信号を発信する信号発信手段と、
前記移動制御手段から無線送信されてきた移動制御信号に応じて移動用の駆動を行う移動用駆動手段と
を備える前記ロボットと
を備えることを特徴とするロボット誘導システム。
【請求項2】
前記経路算出手段は、
前記ロボットから前記ユーザまでの直線経路を仮定し、該仮定した直線経路上に前記障害物が存在する場合に、該直線経路から所定方向回りに、前記障害物が存在しない箇所である開放部を探索し、該探索により発見した開放部がユーザに行き着くことが可能な有効開放部であれば前記ロボットから該有効開放部までの直線経路を固定する計算処理を繰り返すことで前記移動経路を算出することを特徴とする請求項1に記載のロボット誘導システム。
【請求項3】
前記信号発信手段は、前記所定の無線信号として超音波信号を発信するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット誘導システム。
【請求項4】
前記検知装置は、角錐状又は半球状の筐体における外周面に、前記ロボットから発信される所定の無線信号を検知する複数のセンサ及び前記ユーザから発せられる音声を検知する複数のマイクロホンがそれぞれ周方向に沿って所定間隔で配置された構成とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロボット誘導システム。
【請求項5】
前記信号発信手段は、前記所定の無線信号を定期的に発信する機能を備えており、
前記経路算出手段は、当該信号発信手段による所定の無線信号の定期的な発信に応じて前記ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を再計算して更新し、
前記移動制御手段は、当該経路算出手段により更新された移動経路の情報に基づいて、前記ロボットの移動を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のロボット誘導システム。
【請求項6】
自走可能なロボットの移動環境における障害物の配置に関する地図情報を予め記憶する地図記憶手段と、
ユーザの音声によるロボットの呼び寄せに関する呼び寄せ命令語の情報を予め記憶する命令語記憶手段と、
外部から与えられる前記ユーザの音声に関する検知情報と、前記命令語記憶手段に記憶された呼び寄せ命令語の情報とを比較し、前記ユーザから発せられた音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であるか否かを判定する呼び寄せ判定手段と、
前記地図記憶手段に記憶された地図情報と外部から与えられる前記ロボットの発信信号に関する検知情報とに基づいて前記ロボットの位置を特定するロボット位置特定手段と、
前記地図記憶手段に記憶された地図情報と前記ユーザの音声に関する検知情報とに基づいて前記ユーザの位置を特定するユーザ位置特定手段と、
前記ユーザの音声が前記ロボットの呼び寄せを示す音声であると前記呼び寄せ判定手段により判定された場合に、前記ロボット位置特定手段により特定されたロボット位置及び前記ユーザ位置特定手段により特定されたユーザ位置の情報と、前記地図記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて、前記ロボットからユーザの居る場所までの移動経路を算出する経路算出手段と、
前記経路算出手段により算出した移動経路の情報に基づいて、該移動経路に沿って前記ロボットを移動させるべく前記ロボットの移動制御信号を生成する移動制御手段と
を備えることを特徴とするロボット制御装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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