説明

ロータリーバルブ

【課題】廃プラスチック製品を破砕させた硬質軟質の廃プラスチックを熱分解機に供給させる折、分解槽内部の温度上昇による内部発生ガスの上昇と、供給時に廃プラスチックと同伴する空気を分解槽内に侵入させずして原料供給することは可能か。
【解決手段】内部にそれぞれ別個に設けた円板で貫通口を閉塞と連通させることにより開放を可能とした機能を有するロータリーバルブを第一室第二室第三室と多重に重ねて、第二室に一時ストックさせた処理物を掻き寄せるレーキとバルブの機能を備えたロータリーバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃プラスチックの材質、形状、硬質軟質等の混在廃プラスチックを熱分解機に供給する供給機で、同伴する空気を排気させることによる熱分解機内への空気の侵入の防止とそれに伴う燃焼や爆発の防止を可能とする。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックを再利用するにあたり、市中に出回っている廃プラスチックとなると多種類が混じり合っているため再利用することは困難となっている。それでも各家庭で分別された廃プラスチックは容器包装リサイクル法に基づきある程度は再利用されてきたが、利用可能なものは半分にも至っておらず埋立てや焼却処分とされてきた。理由は多種類の混在物となっているためで、汚れや容器内の残液混入、紙片、金属等の裏打ち、塩化物等の混在に問題があった。
【0003】
そこで特許出願数が示すように知恵を使って挑戦した企業はこれまで多々あったのだが、実践実証機械が実現しないことに問題があった。
その課題の1つに廃プラスチックを粉砕して熱分解機に安全に供給させることの難しさがある。フラフ状の処理物は静電気発生によって供給機械の壁面に付着し、硬質廃プラスチックを破砕した処理物は供給機械の送り羽根とケーシングとの欠損部に噛み込みが起きる。
特許出願に見られるように供給機械ケーシングに熱を与えて溶融して送る方法は、粒度を一定の大きさに揃える必要があることや空気の入気により爆発する等の問題があった。問題解決には加熱させてペレット状に形成する必要があり、そのためのエネルギーが必要となるため普及しなかった。
【0004】
前記のような問題が発生しているなかで特に大きな問題は、原料である廃プラスチックの供給時に廃プラスチックと同伴する空気を遮断することが出来ずに共に熱分解機内に混入することである。
その対策として2軸のスクリューコンベヤを用いて原料廃プラスチックを圧縮し、混入する空気を押し出すため前記スクリュー端部に設けた壁面に処理物を押し当てて空気を除去する方法も行われているが、硬質廃プラスチック等を処理する場合には困難であった。これらの対策を講じたものは特開平10−315237に公開されている。
【0005】
熱分解機に処理物を押し込もうとして横置きした油圧作動のピストンシリンダーの上下に入口と出口を設けた方式も、熱分解機からの熱蒸気の上昇により溶融液化した樹脂が内部に付着してピストンとシリンダーが動かなくなり、さらに硬質廃プラスチックが噛みこむという不都合があった。ロータリーフィーダーを上下に設置した方式はロータリー羽根間に処理物が付着して供給が不可能となり、また同伴空気の排除も不可能であった。
【特許文献1】特開2007−217640号公報
【特許文献2】特開平10−315237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は破砕後の廃プラスチックを熱分解処理するに当って、原料として供給する場合での熱分解機への空気混入による事故の発生と、熱分解機に供給させる供給機のトラブルとして、供給機の排出口へのガスの逆噴出によっての排出口での供給物の詰まり等である。
【0007】
熱分解機の槽内温度が高温であるという理由により混入空気が多くなると燃焼や爆発等の危険が生じる。
また排出口が開閉する度に熱分解機内より高温ガスが上昇して吹き出し、廃プラスチック中の薄いシート類は排出口内壁に付着して供給を阻害する。
処理物供給装置のしめる全体長さは供給入口から排出間の距離が短い方が良い。長い構造であると比重の軽い処理物が供給途中に棚を吊り閉塞の原因となる。
【0008】
処理物供給時に廃プラスチック間の隙間に介在する同伴空気の除去や供給口と連通口に処理物が張り付く原因となる静電気の防止、また熱分解機供給口から上昇する油蒸気の作用によって生じるフラフ状の薄片廃プラスチックの付着や詰まり、昇華したフタル酸結晶物の積層の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この改善対策として原料ホッパー供給口とロータリーバルブ鏡板に設けた貫通パイプフランジと円板バルブの貫通口とロータリーバルブフレーム下部の排出口と熱分解機とを接合し、ロータリーバルブフレーム内に設けた旋回円板の一端に貫通口を設けてロータリーバルブ上下鏡板の貫通口と合致させる。
円板バルブが旋回すると円板によって貫通口は閉塞される。熱分解機への処理物供給時には全てが連通し、処理物供給中止時に於いては旋回円板が自転して遮断閉塞が可能である。
【0010】
供給ホッパーと熱分解機の間にほぼ定量に供給させて、供給時に処理物と同伴する空気の浸入を防止させるには、第一室、二室、三室に位置する三重に重ねた円筒室を密封し、第一室内に旋回軸を支点として一端に貫通口を設けた円板と円筒室の上部鏡板に供給口を設け、前記円板と下部鏡板の貫通口とが合致すると連通し、円板が旋回移動すると貫通口を塞ぐ。
【0011】
第二室として廃プラスチックを一時受け入れてストックさせる円筒室を設けて内部に旋回可能な欠円円板バルブを収納し、さらに第三室円筒室と接続させる。第三室は下部鏡板に熱分解機と接続させる排出口を設け、内部には一端に貫通口を設けた旋回円板を排出口に当接させ、第二室排出口の位置に突き出したパイプは第三室排出口と連通する位置に設ける。
【0012】
最上部の供給ホッパーより供給する廃プラスチックは前もって小片に破砕処理して供給口より供給する。供給時には第一室の円板の一端に設けた貫通口と一時ストック室の第二室貫通口とを合致させて連通状態を作る。
処理物の廃プラスチックをストック室に落下させてのストック室への供給時は、欠円平板と平板に設けたレーキを動かして掻き寄せることによって廃プラスチックのストック量を平均化させる。
【0013】
前記の作業工程中は最下位部内に設けた第三室の円板は閉塞状態の位置に旋回させて熱分解機との連通を閉塞し、熱分解機よりの上昇する熱気とストック室の残留空気を遮断する。
【0014】
前記の作業工程中に於いてストック室への処理物供給中は第一室貫通口と円板とは連通状態にし、ストック室内の欠円円盤の残円部を第三室の連通管に当接させて熱分解機にも下位室にも閉塞状態を作って空気を遮断させる。
【0015】
前記ストック室に処理物を供給終了すると上位部の第一室円板を旋回させて連通口を閉塞し、第二室壁面に設けた気孔より吸気させて室内を負圧にさせる。
【0016】
熱分解機への供給時は第一室の円板は閉塞としてストック室の吸気を中止し、さらに第三室内の円板を閉塞位置より旋回させて貫通口を開放し、第二室内の欠円円板レーキを旋回させるとレーキは瞬間的な貫通口の閉と開を繰り返しながらストック室内の廃プラスチックを排出して熱分解機へ供給させる。
【発明の効果】
【0017】
三室を上中下に積み重ねた室内にそれぞれ設けた円板バルブと欠円バルブと円板バルブの適時の開放と閉塞を組み合わせて、どうしても発生する処理物と同伴する空気を廃プラスチックのストック室への送致時において脱気させ、さらに熱分解機からの上昇熱気を減少させることにより廃プラスチック処理物を熱分解槽に安全供給させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
熱分解機内に空気を侵入させることなく廃プラスチック処理物を安全供給させると共に熱分解機よりの上昇熱気を極力阻止させて三室積層した室内の廃プラスチックの発火と燃焼を防止する。
【0019】
全ての連通口を閉じるためにはロータリーバルブの円板連通口の位置を供給口も排出口も閉塞させる必要がある。
そこでロータリーバルブ円板連通口の位置を回転させることで変更し、ロータリーバルブの鏡板に設けた上下の穴を閉にする。前記鏡板は機械加工されていて関係する円板の相対穴の当接面も絶えず密着させ、回転移動時は当接状態で板面を滑走する。
【0020】
前記ロータリーバルブは円筒状態の筒の上下を鏡板でもって封止させ、円筒フレーム下面鏡板の中心に円板旋回軸の軸受を設けて上下鏡板と旋回円板を機械加工により平滑とする。
原料供給ホッパーからの供給口にフランジを設けて回転時の旋回円板平滑面との当接面積を拡大し、ロータリーバルブ平滑面に密接させる。
【0021】
ロータリーバルブ供給口側で円板連通口が合致した時はロータリーバルブ排出口側の円板連通口は合致しない。ロータリーバルブ底部の排出口は閉まっているが供給口は開いているという状態で廃プラスチック処理物を受け入れる。
ロータリーバルブ内に廃プラスチックを供給するとロータリーバルブは少し回転して上下の穴は閉塞する。
【0022】
当然熱分解機に接続したロータリーバルブ排出口と円板連通口とを合致させた時は原料ホッパー供給口からのロータリーバルブ供給受口は閉じられて、ロータリーバルブ内の廃プラスチックは掻き寄せレーキの回転により熱分解機に供給される。
【実施例】
【0023】
図1は本発明のロータリーバルブである1.第一室、2.第二室、3.第三室は個々に14.15.の連通口を閉じることで気密をある程度保持することを可能とする。
4.供給口の上部に廃プラスチック貯蔵ビンを接合し、処理物を供給口より受け入れる。
6.は第一室円板で14.連通口に対して円板はバルブの機能を有していて連通口に当接させると連通口を閉塞し、円板の一端に貫通口を設けて14.の貫通口と合致させると連通する。
【0024】
連通させると廃プラスチックは原料貯蔵ビンより第二室までの送致が可能で、7.欠円円板を旋回させながら供給させて適当な量を一時的に第二室にストックが可能になると、第一室の連通口を閉めて17.気孔より第二室ストック室内を脱気させ、脱気後8.第三室の円板バルブを旋回させて15.貫通口とを連通させ、7.欠円円板レーキを回転させて第三室下部に設けた熱分解機に供給する。
【0025】
供給終了と共に第三室内臓の8.円板が旋回して16.の連通口を閉塞し、第二室も同じく閉塞させると供給工程が完了する。
供給が完了すると第一第二第三室内に処理物は存在しないが多少の残留物が有っても二重バルブにより差し支えはない。
【0026】
このロータリーバルブはバッチ連続供給をさせて第二室での一時滞留時に第二室壁面に設けた気孔より同伴空気を引き抜いて脱気させる。
脱気時の内圧は少し負圧とする。第二室が負圧になっても第一室、第三室内に負圧は作用しない。
【0027】
第二室の欠円円板バルブの機能部は7.円板の一部が残円として残った部分であり、この残円部が第三室に貫通する貫通口と接触当接してバルブの機能を果たし、9.11.11.9.の部品は第二室に一時ストックした処理物を掻き寄せて連通口に送る機能を持ち、処理物排出後の回転停止と共に残円部で連通口に蓋をする。
【産業上の利用可能性】
【0028】
廃プラスチックの油化装置に於いて廃プラスチック製品を破砕した不揃いの破片やシート等を原料として熱分解機に供給する場合、どうしても原料と共に同伴する空気の混入を除去させないと、供給時のバルブの開閉時に発生する分解機内部のガスの放出とそれに伴う燃焼や爆発等で危険である。これらを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ロータリーバルブの実施方法を示した説明図(断面図)である。
【図2】ロータリーバルブのストック室内に設けた欠円バルブ兼用のスクレーパーの実施方法を示した説明図(俯瞰図)である。
【符号の説明】
【0030】
1 第一室
2 第二室
3 第三室
4 供給口
5 排出口
6 第一室円板バルブ
7 ストック室欠円円板バルブ
8 第三室円板バルブ
9 欠円レーキ
10 減速機
11 レーキ
12 二重管軸外軸
13 二重管軸内軸
14 連通口
15 連通口
16 連通口
17 気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック送給装置において、第一室と第二室と第三室を三重に重ねた室内に円板バルブと欠円円板がレーキとバルブを兼ねた円板を設けてその一端を貫通させ、前記三室内の気密を保持して第一室供給口と第二室と第三室排出口に円板をそれぞれ当接させ、円板バルブを旋回移動させることにより貫通口を合致連通させたり閉塞させたりして開放と閉塞を可能とし、第二室内壁面に気孔を設けたロータリーバルブ。
【請求項2】
前記ロータリーバルブは第二室に処理物を一時滞留させて室内空気を脱気させ、第二室円板を欠円させて残円部を閉塞用バルブとし、欠円部は供給レーキとしての機能を有する前記請求項1のロータリーバルブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−83760(P2011−83760A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255485(P2009−255485)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(509301770)
【Fターム(参考)】