説明

ロータリ耕耘装置

【課題】リヤカバー体先端縁部の整地機能を良好に確保すること。
【解決手段】取付体は、リヤカバー体側に設けた取付片と整地体側に設けた被取付片とから形成し、取付片には、リヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に取付片側係合部を設けると共に、その上方位置に取付片側連結部を設ける一方、被取付片には、前記取付片側係合部に係合する被取付片側係合部を設けると共に、同被取付片側係合部を係合させた取付片側係合部を支点として前記取付片側連結部に連結する被取付片側連結部を設けて、リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を着脱自在に取り付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘装置の整地体取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置の一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、かかるロータリ耕耘装置は、リヤカバー体の先端縁部に整地機能をもたせると共に、同先端縁部に取付体を介して整地体を取り付けている。整地体はその取付姿勢を取付体により普通耕耘姿勢と浅耕ないしは代掻き姿勢とに変更自在としている。
【0003】
そして、取付体はリヤカバー体側に設けた取付片と整地体側に設けた被取付片とから形成している。取付片は、リヤカバー体の先端縁部の左右側部をそれぞれ切り欠いてフック状の係合受け片を形成し、各係合受け片の左右側方に左右一対の連結孔形成片を配置して形成している。連結孔形成片には左右方向に開口する二個の連結孔を上下方向に間隔を開けて形成している。被取付片は、整地体の前端左右側部に平面視U字状の被取付片を設け、各被取付片の基端部間に左右方向に軸線を向けた係合ピンを横架し、各被取付片の先端部に左右方向に開口する連結孔を形成している。
【0004】
このようにして、取付片に被取付片を連結する際には、取付片の係合受け片に被取付片の係合ピンを係合させると共に、取付片の下方の連結孔に被取付片の連結孔を左右方向に符合させて、符合する連結ピン中に連結ピンを挿通することで、整地体が普通耕耘姿勢を採るように連結することができる。この際、取付片の上方の連結孔に被取付片の連結孔を左右方向に符合させて、符合する連結ピン中に連結ピンを貫通させることで、整地体が浅耕ないしは代掻き姿勢を採るように連結することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3950034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記取付片の係合受け片は、リヤカバー体の先端縁部の左右側部をそれぞれ部分的に切り欠いて形成しているために、リヤカバー本片の強度が低下すると共に、整地機能を有するリヤカバー体の先端縁部と取付片との溶接による接続部に溶接ひずみが生じて、リヤカバー体の先端縁部に歪みが発生することがある。その結果、リヤカバー体先端縁部の整地機能が良好に果たされず、整地作業が良好に確保されない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を取り付けたロータリ耕耘装置であって、取付体は、リヤカバー体側に設けた取付片と整地体側に設けた被取付片とから形成し、取付片には、リヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に取付片側係合部を設けると共に、その上方位置に取付片側連結部を設ける一方、被取付片には、前記取付片側係合部に係合する被取付片側係合部を設けると共に、同被取付片側係合部を係合させた取付片側係合部を支点として前記取付片側連結部に連結する被取付片側連結部を設けて、リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を着脱自在に取り付けたことを特徴とするロータリ耕耘装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
(1)取付片側係合部は取付片に左右方向に軸線を向けて伸延する支軸片を架設状に取り付けて形成すると共に、同支軸片はリヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に配置する一方、被取付片側係合部は上記支軸片に係合するフック状の係合片となし、取付片側連結部は左右方向に開口する取付片側連結孔となす一方、被取付片側連結部は左右方向に開口すると共に上記支軸片を支点として上記取付片側連結孔と左右方向に符合する被取付片側連結孔となして、符合させた連結孔同士中には連結ピンを抜き差し自在に挿通して、取付片と被取付片とを連結したこと。
(2)取付片側連結孔は、支軸片の軸芯を中心とする同一円周上に間隔を開けて複数形成し、支軸片に係合片を係合させた状態でいずれの取付片側連結孔にも支軸片を支点として選択的に被取付片側連結孔を符合可能として、符合させたいずれかの取付片側連結孔と被取付片側連結孔中に連結ピンを挿通することで、整地体の姿勢を変更可能としたこと。
【発明の効果】
【0009】
(1)請求項1記載の本発明では、リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を取り付けたロータリ耕耘装置であって、取付体は、リヤカバー体側に設けた取付片と整地体側に設けた被取付片とから形成し、取付片には、リヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に取付片側係合部を設けると共に、その上方位置に取付片側連結部を設ける一方、被取付片には、前記取付片側係合部に係合する被取付片側係合部を設けると共に、同被取付片側係合部を係合させた取付片側係合部を支点として前記取付片側連結部に連結する被取付片側連結部を設けて、リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を着脱自在に取り付けている。
【0010】
このように、リヤカバー体の先端縁部を切り欠くことなく取付片を設けているため、リヤカバー本片の強度が低下することがない。そして、整地機能を有するリヤカバー体の先端縁部と取付片との溶接による接続部に溶接ひずみが生じることもない。従って、リヤカバー体の先端縁部に歪みが発生することがない。その結果、リヤカバー体先端縁部の整地機能を良好に確保することができて、整地作業を良好に行うことができる。
【0011】
(2)請求項2に記載の本発明では、取付片側係合部は取付片に左右方向に軸線を向けて伸延する支軸片を架設状に取り付けて形成すると共に、同支軸片はリヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に配置する一方、被取付片側係合部は上記支軸片に係合するフック状の係合片となし、取付片側連結部は左右方向に開口する取付片側連結孔となす一方、被取付片側連結部は左右方向に開口すると共に上記支軸片を支点として上記取付片側連結孔と左右方向に符合する被取付片側連結孔となして、符合させた連結孔同士中には連結ピンを抜き差し自在に挿通して、取付片と被取付片とを連結している。
【0012】
このように、左右方向に軸線を向けて伸延する支軸片に、フック状に形成した係合片を上方から係合させて、係合状態にて支軸片を支点として取付片側連結孔と被取付片側連結孔を左右方向に符合させると共に連結ピンを挿通することで、簡単に取付片と被取付片とを連結することができる。この際、支軸片には係合片を一旦上方から係合させて、かかる係合状態にて支軸片を支点とする回動方向に被取付片側連結孔を移動させて連結孔同士を符合させることで、かかる符合作業を楽にかつ堅実に行うことができる。そして、符合した連結孔同士中に連結ピンを挿通するだけで、取付片と被取付片を簡単に連結することができる。
【0013】
(3)請求項3記載の本発明では、取付片側連結孔は、支軸片の軸芯を中心とする同一円周上に間隔を開けて複数形成し、支軸片に係合片を係合させた状態でいずれの取付片側連結孔にも支軸片を支点として選択的に被取付片側連結孔を符合可能としている。
【0014】
このように、楽に行うことができる係合作業に続いて、支軸片を支点とする回動方向に整地体を揺動させて、複数の取付片側連結孔のいずれかと被取付片側連結孔とを符合させて連結ピンで連結するだけで、簡単かつ確実に整地体の姿勢を変更することができる。ここで、整地体の姿勢としては、例えば、普通耕耘姿勢と浅耕ないしは代掻き姿勢とに変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るロータリ耕耘装置の斜視図。
【図2】同ロータリ耕耘装置の平面図。
【図3】同ロータリ耕耘装置の側面図。
【図4】リヤカバー体と整地体の連結状態での側面図。
【図5】リヤカバー体と整地体の連結解除状態での斜視説明図。
【図6】リヤカバー体と整地体の連結解除状態での側面説明図。
【図7】整地体の普通耕耘姿勢を示す説明図。
【図8】整地体の浅耕ないしは代掻き姿勢を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明に係るロータリ耕耘装置の斜視図、図2は同ロータリ耕耘装置の平面図、及び、図3は同ロータリ耕耘装置の側面図である。
【0017】
図1〜図3に示すAは本発明に係るロータリ耕耘装置である。かかるロータリ耕耘装置Aはトラクタ等の牽引車(図示せず)に牽引されながら圃場を耕耘することができるように構成している。
【0018】
すなわち、ロータリ耕耘装置Aは、図1〜図3に示すように、耕耘動力を伝達する伝動機構と支持機構とを兼ねる伝動・支持機構部1と、同伝動・支持機構部1に取り付けた耕深調整部2及び耕耘カバー部3とを備えている。
【0019】
そして、伝動・支持機構部1は、前面中央部と左右側部が開口して前記牽引車から動力を取り入れる伝動ギヤを収容した板金製のギヤボックス4と、同ギヤボックス4の左右側端部に内側面部を接続した左右一対の板状の連結用ブラケット5,6と、両連結用ブラケット5,6の外側面部に内側端面を接続して外側方(左右方向)に伸延させた左右一対の円筒状のメインビーム7,8と、左側のメインビーム7の外側端面に上端内側面部を接続して下方へ伸延させた伝動ケース9と、右側のメインビーム8の外側端面に上端部を接続して下方へ伸延させると共に上記伝動ケース9と左右に対向させた軸受け体10と、同軸受け体10の下端部と上記伝動ケース9の下端部との間に横架した耕耘軸11とから形成している。耕耘軸11の周面には多数の耕耘爪12を軸線方向に間隔を開けて取り付けている。
【0020】
また、図2に示すように、連結用ブラケット5,6はそれぞれ前後方向に伸延する板状に形成して、内側面中途部をギヤボックス4の左右側部に開口した開口部4a,4aに面接させて連設している。連結用ブラケット5,6の各前端部には連結用ピン5a,6aを外側方に突出させている。両連結用ピン5a,6aには、牽引車に前端部を連結した左右一対のロワリンク(図示せず)の後端部を連結するようにしている。
【0021】
図3に示すように、ギヤボックス4の前面中央部に開口した開口部から入力軸13を前方に向けて突出させている。同入力軸13にはギヤボックス4内に配設した伝動ギヤ(図示せず)を連動連結している。同伝動ギヤと伝動ケース9内に配設したチェーン機構等の伝動機構(図示せず)との間には、左右方向に伸延する伝動軸14を左側のメインビーム7中を通して介設している。同伝動軸14の左側端部と前記耕耘軸11の左側端部との間に上記伝動機構を介設している。
【0022】
このようにして、伝動・支持機構部1では、牽引車の動力取出軸から動力を→入力軸13→伝動ギヤ→伝動軸14→伝動ケース9内の伝動機構→耕耘軸11に取り入れて、同耕耘軸11を回動させることで耕耘爪12により圃場を耕耘するようにしている。
【0023】
耕深調整部2は、図1〜図3に示すように、前記ギヤボックス4の上面中央部に載設した連結ブラケット15と、前記左右一対の連結用ブラケット5,6の後端部に前端部を連結した耕深フレーム枠体16と、同耕深フレーム枠体16の中途部と上記連結ブラケット15の後端部との間に介設した深耕調整作動操作体17とを具備している。
【0024】
そして、連結ブラケット15は、ギヤボックス4の上面中央部にステー15dを介して、下方へ凸状に湾曲させて形成した左右一対のブラケット片15a,15aの下端中途部を連設している。両ブラケット片15a,15aの前端部間に連結ピン15bを架設している。連結ピン15bには、牽引車に前端部を連結したトップリンク(図示せず)の後端部を連結するようにしている。
【0025】
また、耕深フレーム枠体16は、前後方向に伸延する左右一対の前後伸延片16a,16aと、左右方向に伸延させて両前後伸延片16a,16aの中途部間に横架した左右伸延中途部片16bと、左右方向に伸延させて両前後伸延片16a,16aの後端部間に架設した左右伸延後端部片16cとから平面視格子枠状に形成している。左右一対の前後伸延片16a,16aは、左右一対の連結用ブラケット5,6の後端部に前端部を連設している。
【0026】
深耕調整作動操作体17は、上下方向に伸延する作動片17aと、同作動片17aの上端部にその軸線廻りに正・逆回転自在に取り付けたハンドル状の回転操作片17bとを具備して、回転操作片17bを正・逆回転させることで作動片17aを軸線方向に伸縮させることができるように構成している。そして、前記左右一対のブラケット片15a,15aの後端部間に左右方向の軸線廻りに回動自在に枢支片15dを枢支し、同枢支片15dに作動片17aの上端部を連結している。また、作動片17aの下端部は左右伸延中途部片16bの中央部に連結している。
【0027】
このようにして、回転操作片17bを正・逆回転させて作動片17aを伸縮させると、左右一つのロワリンクとトップリンクに連結した伝動・支持機構部1を前傾姿勢と後傾姿勢との間で姿勢変更して、耕耘爪12による耕耘深さを調整することができるようにしている。
【0028】
耕耘カバー部3は、図1〜図3に示すように、伝動ケース9と軸受け体10との間に開設したロータリカバー体18と、同ロータリカバー体18の上端縁部に基端縁部を枢支・連結したリヤカバー体19と、同リヤカバー体19の先端縁部に取り付けた整地体20と、上記ロータリカバー体18の中途部と前記連結ブラケット15の右側中途部との間に介設したリヤカバー調整体21と、上記ロータリカバー体18の左右側後端縁部に前端縁部を連結したサイドカバー体22,22とを具備している。
【0029】
そして、ロータリカバー体18は、側面視にて略扇状に形成した左右一対の側方カバー片18a,18aの先細り状下部を耕耘軸11の外周左右側部に枢支して、両側方カバー片18a,18aの上端縁部を上方へ凸状の円弧状に形成し、両上端縁部間に上方カバー片18bを架設して正面視門型に形成している。
【0030】
リヤカバー体19は、前記上方カバー片18bの後端縁部18cに、同後端縁部18cの左右幅と略同一幅の四角形状に形成したリヤカバー本片19aの基端縁部19bを、左右方向に軸線を向けた枢軸23により枢支して、上方カバー片18bの後端縁部18cから垂下状となしている。そして、リヤカバー体19は枢軸23を中心にリヤカバー本片19aを上下揺動自在となしている。また、リヤカバー本片19aの先端縁部19cはカール状に巻き返して形成している。同先端縁部19cの下端面には整地面19dを形成して、同整地面19dを耕耘した圃場面上に滑動させて圃場面を整地するようにしている。
【0031】
整地体20は、リヤカバー体19の先端縁部19cに、同先端縁部19cの左右幅と略同一幅の四角形状に形成した整地本体20aの基端縁部20bを、取付体24,24を介して取り付けている。
【0032】
このようにして、整地体20により圃場の整地効果を増大させることができるようにしている。
【0033】
リヤカバー調整体21は、上下方向に伸延する作動片21aと、同作動片21aの上端部にその軸線廻りに正・逆回転自在に取り付けたハンドル状の回転操作片21bとを具備して、回転操作片21bを正・逆回転させることで作動片21aを軸線方向に伸縮させることができるように構成している。そして、前記上方カバー片18bの後側中途部と前記連結ブラケット15の右側中途部より右側方に延設した支持片25との間に作動片21aを介設している。
【0034】
このようにして、前記した耕深調整時に、回転操作片21bを正・逆回転させて作動片21aを伸縮させることで、ロータリカバー体18を耕耘軸11の軸芯を中心にして前後方向に回動調整して、同ロータリカバー体18に取り付けたリヤカバー体19の先端縁部19cの整地面19dが、圃場面に接地する高さに整合するように調整することができるようにしている。
【0035】
サイドカバー体22,22は、それぞれ板状に形成して、前記側方カバー片18a,18aの左右側後端縁部に前端縁部22a,22aを連結して、側方カバー片18a,18aの後端縁部からリヤカバー体19の側端縁部までの側方を閉塞している。
【0036】
また、ロータリカバー体18とリヤカバー体19との間には、上下方向に伸延する左右一対のハンガーロッド26,26を介設して、両ハンガーロッド26,26によりリヤカバー体19を支持している。27は圧縮スプリングであり、同圧縮スプリング27はロータリ耕耘装置Aが上昇された際に、リヤカバー体19に対して圧縮作用(弾性付勢)することで、リヤカバー体19が急激に下方へ回動するのを抑制している。28はハンガーロッド26の上部を支持する上部ステー、29はハンガーロッド26の下部を支持する下部ステーである。
【0037】
上記のように、リヤカバー体19の先端縁部19cに取付体24,24を介して整地体20を取り付けた構成において、本発明の要旨は、次の通りである。
【0038】
すなわち、図4〜図7に示すように、取付体24は、リヤカバー体19側に設けた取付片30と整地体20側に設けた被取付片31とから形成し、取付片30には、リヤカバー体19の先端縁部19cよりも後方位置で、かつ、同先端縁部19cの下面に形成した整地面19dの仮想延長線Kよりも上方位置に取付片側係合部32を設けると共に、その上方位置に取付片側連結部33を設ける一方、被取付片31には、前記取付片側係合部32に係合する被取付片側係合部34を設けると共に、同被取付片側係合部34を係合させた取付片側係合部32を支点として前記取付片側連結部33に連結する被取付片側連結部35を設けて、リヤカバー体19の先端縁部19cに取付体24を介して整地体20を着脱自在に取り付けている。
【0039】
リヤカバー体19は、図4〜図6に示すように、リヤカバー本片19aの先端部を上方さらには前方へカール状に巻き返して先端縁部19cを屈曲形成している。このようにして、先端縁部19cの強度を補強して、同先端縁部19cの整地面19dによる整地機能を良好に確保している。リヤカバー本片19aの上面側左右側部には、上下方向に伸延する左右一対の支持兼補強ブラケット19e,19eを取り付けている。
【0040】
整地体20は、図4〜図6に示すように、整地体本片20aをリヤカバー本片19aの左右幅と略同一の左右幅を有する横長四角形状に形成すると共に、中途部を下方へ膨出させてソリ状に形成している。そして、整地体本片20aの左右側端部には側壁片20c,20cを取り付けて、整地体20の剛性を良好に確保している。
【0041】
取付体24の一方を形成する取付片30は、図4〜図6に示すように、各支持兼補強ブラケット19eの左右側面下端部から先端縁部19cの上面に沿わせて左右一対の取付本片30a,30aを同先端縁部19cの後方まで突出状に伸延させて形成し、各取付本片30a,30aの下端縁後部から先端縁部19cの後端面に沿わせて左右一対の突出片30b,30bを下方へ突出させて形成している。
【0042】
左右一対の突出片30b,30bの下端部間には、左右方向に軸線を向けて伸延する支軸片32aを架設して取付片側係合部32を形成している。そして、支軸片32aはリヤカバー体19の先端縁部19cよりも後方位置で、かつ、同先端縁部19cの下面に形成した整地面19dの仮想延長線Kよりも上方位置に配置している。このようにして、支軸片32aが整地面19dにより整地した圃場面を乱すことがないようにしている。
【0043】
取付本片30a,30aには、左右方向に開口する複数(本実施形態では各取付本片30aに二個づつ)の取付片側連結孔33a, 33a,33b,33bを、支軸片32aの軸芯を中心とする同一円周上にて前後方向に間隔を開けて開口させることで取付片側連結部33を形成している。
【0044】
取付体24の他方を形成する被取付片31は、図4〜図6に示すように、前記取付片30,30と前後方向に対向する整地体本片20aの左右側前端縁部の位置にそれぞれ設けている。そして、被取付片31は、前記取付本片30a,30aの左右間隔よりもやや広幅に左右方向に伸延する基部本片31aと、同基部本片31aの左右側端部から前方へ伸延させた左右一対の伸延片31b,31bと、基部本片31aを支持する支持片31cとから形成している。
【0045】
左右一対の伸延片31b,31b間に位置する整地体本片20aの左右側前端縁部は、一部切り欠いて前記支軸片32aに係合するフック状の係合片34aを設けることで被取付片側係合部34を形成している。
【0046】
左右一対の伸延片31b,31bの先端部には、左右方向に開口すると共に前記支軸片32aを支点として前記取付片側連結孔33a, 33a,33b,33bと左右方向に符合する被取付片側連結孔35a,35aを開口させることで被取付片側連結部35を形成している。
【0047】
そして、支軸片32aに係合片34aを上方から係合させた状態で、いずれの取付片側連結孔33a, 33a,33b,33bにも支軸片32aを支点として選択的に被取付片側連結孔35a,35aを符合可能としている。また、符合させたいずれかの取付片側連結孔33a, 33a,33b,33bと被取付片側連結孔35a,35a中には、連結ピン36を抜き差し自在に挿通して、取付片30と被取付片31とを連結することで、整地体20の姿勢を変更可能としている。37は抜け止めピンである。
【0048】
本発明に係る実施形態は上記のように構成しているものであり、リヤカバー体19の先端縁部19cを切り欠くことなく取付片30を設けているため、リヤカバー本片19aの強度が低下することがない。そして、整地機能を有するリヤカバー体19の先端縁部19cと取付片30との溶接による接続部に溶接ひずみが生じることもない。従って、リヤカバー体19の先端縁部19cに歪みが発生することがない。その結果、リヤカバー体19の先端縁部19cの整地機能を良好に確保することができて、整地作業を良好に行うことができる。
【0049】
そして、左右方向に軸線を向けて伸延する支軸片32aに、フック状に形成した係合片34aを上方から係合させて、係合状態にて支軸片32aを支点として取付片側連結孔33a, 33a,33b,33bと被取付片側連結孔35a,35aを左右方向に符合させると共に連結ピン36を左右いずれか一側方から挿通することで、簡単に取付片30と被取付片31とを連結することができる。この際、支軸片32aには係合片34aを一旦上方から係合させて、かかる係合状態にて支軸片32aを支点とする回動方向に被取付片側連結孔35a,35aを移動させて連結孔同士を符合させることで、かかる符合作業を楽にかつ堅実に行うことができる。そして、符合した連結孔同士中に連結ピン36を挿通するだけで、取付片30と被取付片31を簡単に連結することができる。
【0050】
また、楽に行うことができる係合作業に続いて、支軸片32aを支点とする回動方向(上下方向)に整地体20を揺動させて、二個の取付片側連結孔33a, 33a,33b,33bのいずれかと被取付片側連結孔35a,35aとを符合させて連結ピン36で連結するだけで、簡単かつ確実に整地体の姿勢を変更することができる。
【0051】
ここで、整地体20の姿勢としては、図7に示すように、前方の取付片側連結孔33a, 33aと被取付片側連結孔35aとを符合させて連結ピン36で挿通することで得られる普通耕耘姿勢(a)と、図8に示すように、後方の取付片側連結孔33b,33bと被取付片側連結孔35aとを符合させて連結ピン36で挿通することで得られる浅耕ないしは代掻き姿勢(b)とがある。なお、深耕ないしはうね立て時には、リヤカバー体19から整地体20を取り外しておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
整地性能を良好に確保することができるリヤカバー体と整地体との取付構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
A ロータリ耕耘装置
1 伝動・支持機構部
2 耕深調整部
3 耕耘カバー部
4 ギヤボックス
5,6 連結用ブラケット
7,8 メインビーム
30 取付片
31 被取付片
32 取付片側係合部
33 取付片側連結部
34 被取付片側係合部
35 取付片側連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を取り付けたロータリ耕耘装置であって、
取付体は、リヤカバー体側に設けた取付片と整地体側に設けた被取付片とから形成し、
取付片には、リヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に取付片側係合部を設けると共に、その上方位置に取付片側連結部を設ける一方、
被取付片には、前記取付片側係合部に係合する被取付片側係合部を設けると共に、同被取付片側係合部を係合させた取付片側係合部を支点として前記取付片側連結部に連結する被取付片側連結部を設けて、
リヤカバー体の先端縁部に取付体を介して整地体を着脱自在に取り付けたことを特徴とするロータリ耕耘装置。
【請求項2】
取付片側係合部は取付片に左右方向に軸線を向けて伸延する支軸片を架設状に取り付けて形成すると共に、同支軸片はリヤカバー体の先端縁部よりも後方位置で、かつ、同先端縁部の下面に形成した整地面の仮想延長線よりも上方位置に配置する一方、被取付片側係合部は上記支軸片に係合するフック状の係合片となし、
取付片側連結部は左右方向に開口する取付片側連結孔となす一方、被取付片側連結部は左右方向に開口すると共に上記支軸片を支点として上記取付片側連結孔と左右方向に符合する被取付片側連結孔となして、
符合させた連結孔同士中には連結ピンを抜き差し自在に挿通して、取付片と被取付片とを連結したことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
取付片側連結孔は、支軸片の軸芯を中心とする同一円周上に間隔を開けて複数形成し、
支軸片に係合片を係合させた状態でいずれの取付片側連結孔にも支軸片を支点として選択的に被取付片側連結孔を符合可能として、
符合させたいずれかの取付片側連結孔と被取付片側連結孔中に連結ピンを挿通することで、整地体の姿勢を変更可能としたことを特徴とする請求項2記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−207148(P2010−207148A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57185(P2009−57185)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】