ロータリ耕耘装置
【課題】平板と、当該平板の下辺部の横方向中央部の移動を規制する規制部材との連結が解除され難いロータリ耕耘装置を提供すること。
【解決手段】可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバー11の後端部に上下に揺動可能に連結されている平板18と、地面に接地してロータリ耕耘装置の地面に対する高さを設定する高さ設定部材12と、平板18の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能でカバー11に上下揺動自在に支持される支持部材27と、支持部材27と高さ設定部材12とを解除自在に連結する連結手段34とを備える。
【解決手段】可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバー11の後端部に上下に揺動可能に連結されている平板18と、地面に接地してロータリ耕耘装置の地面に対する高さを設定する高さ設定部材12と、平板18の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能でカバー11に上下揺動自在に支持される支持部材27と、支持部材27と高さ設定部材12とを解除自在に連結する連結手段34とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の畝立て作業と均平作業を行うロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリ耕耘装置として、可撓性を有する平板(ゴムマット等)を、カバーの後端部分と抵抗棒にわたるように装着して畝立てを実施するものが知られている。
このようなロータリ耕耘装置で畝立て作業を行う場合、抵抗棒によって平板の下辺部の横方向中央部の移動が規制される。これにより、ロータリ耕耘装置を前進駆動させると、平板の一方及び他方の横側部が土圧で斜め後方に折れ曲がり、そこから土が放出されて左右両側に畝が形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるロータリ耕耘装置では、抵抗棒が規制部材として機能しており、畝立て作業を行う際に平板の下辺部の横方向中央部に設けてある連結ピンを、抵抗棒の接地部の貫通孔に挿入して平板の下辺部の横方向中央部を抵抗棒の接地部に連結する。
【0005】
このとき、接地部の貫通孔に挿入した後の連結ピンに、抜け止めピン(βピン等)を取り付けて、連結ピンが接地部の貫通孔から抜けないようにしている。このようにしないと、畝立て作業中に、可撓性を有する平板が圃場の土圧を受けてその横方向中央部が撓んで変形したときに、連結ピンが上方に動いて接地部の貫通孔から抜けて、平板と抵抗棒との連結が解除されてしまう虞があるためである。
【0006】
従って、従来のロータリ耕耘装置においては、平板と抵抗棒の接地部との連結において予期しない解除が生じるのを防止するために、抜け止めピンという、ロータリ耕耘装置に取り付けられるもの以外の別の部材が必要であり、このような別部材の取り付けおよび取り外しの作業が面倒であること、そしてこの別部材が紛失すると非常に不便であり改善する余地があった。
【0007】
本発明の目的は、平板と、当該平板の下辺部の横方向中央部の移動を規制する規制部材との連結が解除され難いロータリ耕耘装置を提供することにあり、さらにより望ましくは、別部材を必要とせずに、平板と規制部材とを連結することができるようなロータリ耕耘装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロータリ耕耘装置の第1特徴構成は、可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に上下に揺動可能に連結されている平板と、地面に接地してロータリ耕耘装置の地面に対する高さを設定する高さ設定部材と、前記平板の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能で前記カバーに上下揺動自在に支持される支持部材と、前記支持部材と前記高さ設定部材とを解除自在に連結する連結手段とを備える点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
本構成においては、連結手段によって、支持部材と高さ設定部材とが解除自在に連結されることで、高さ設定部材が、平板の下辺部の横方向中央部の移動を規制する規制部材として機能する。
【0010】
本構成における支持部材は、平板の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持するため、たとえ畝立て作業中に、可撓性を有する平板が圃場の土圧を受けてその横方向中央部が撓んで変形しようとしても、支持部材それ自体は変形し難い。これにより、畝立て作業中に、連結手段において予期せぬ連結解除が生じることがない。
【0011】
第2特徴構成は、前記支持部材及び前記高さ設定部材のいずれか一方にピン部材を設け、前記支持部材及び前記高さ設定部材の他方に前記ピン部材を挿入可能なピン孔を設け、前記高さ設定部材の上下位置を変更することによって、前記ピン孔に対して前記ピン部材を挿脱することにより、前記連結手段を構成してある点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、連結手段が、支持部材及び高さ設定部材のいずれか一方に設けたピン部材、及び支持部材及び高さ設定部材の他方に設けたピン孔という簡素な構成でなるものであるため、故障等が発生し難く、低コスト化も図れる。
しかも、連結手段の連結操作及び連結解除操作を、高さ設定部材の上下位置の変更によるピン孔に対するピン部材の挿脱という容易な操作で行うものであるため、操作性が良い。
【0013】
また、支持部材及び高さ設定部材が変形し難いことにより、ピン孔からピン部材が抜け難く構成される。そのため、本構成によれば、別部材を必要とせずに、平板と、規制部材としての高さ設定部材とを連結することができるため、別部材の取り付けおよび取り外しという面倒な作業を行う必要がなく、さらにその別部材が紛失することによる不都合も生じない。
【0014】
第3特徴構成は、前記ピン部材を、前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端のいずれか一方に設け、前記ピン孔を前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端の他方に設けてある点にある。
【0015】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、ピン部材及びピン孔が、支持部材及び高さ設定部材の一方及び他方のそれぞれの下端に設けられているため、ピン部材及びピン孔が、支持部材及び高さ設定部材の一方及び他方のそれぞれの中間部等に設けられている場合と比べて、ピン孔に対するピン部材の挿脱の状態を視認し易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】歩行型作業機の全体側面図である。
【図2】歩行型作業機の全体平面図である。
【図3】均平作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図4】均平作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図5】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図6】平板の横断面図である。
【図7】ヒンジ部材の斜視図である。
【図8】連結部の斜視図である。
【図9】均平作業時のロータリ耕耘装置の斜視図である。
【図10】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図11】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図12】畝立て作業後の均平作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図13】メンテナンス作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図14】支持部材と高さ設定部材とを解除自在に連結する連結手段の(a)側面図及び(b)横断面図である。
【図15】平板と整地板とを解除自在に連結する連結手段の縦断側面図である。
【図16】平板と整地板とを解除自在に連結する連結手段の横断平面図である。
【図17】平板のダルマ孔と、整地板の頭付きピンとの係止状態を示す縦断背面図である。
【図18】平板のダルマ孔と、整地板の頭付きピンとの係止状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態〕
図1〜図18に基づいて、本発明に係るロータリ耕耘装置を歩行型作業機に適用した場合の実施形態について説明する。
【0018】
[全体構成]
図1及び図2に示すように、歩行型作業機は、ミッションケース1の下部の右及び左側部に車軸2が備えられ、右及び左の車軸2に走行用の車輪3が連結されており、ミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4にエンジン5が支持されて構成されている。
【0019】
ミッションケース1の上部から斜め後方下方に伝動ケース6が延出されて、伝動ケース6から斜め後方上方に操縦ハンドル7が延出されており、伝動ケース6にロータリ耕耘装置8が備えられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、ロータリ耕耘装置8は、伝動ケース6の下部から右及び左側に駆動軸9が延出されて、右及び左の駆動軸9に複数の正逆転爪10が固定されており、正逆転爪10の上方を覆うカバー11、抵抗棒12、平板18、及び整地板20を備えて構成されている。右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10は、通常は正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動されるが、逆転方向(図3の矢印A2の方向)にも回転駆動することが可能である。
【0021】
図3及び図4に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aの右及び左側部に、扇形状の横壁部11bが連結されて構成され、伝動ケース6の上方、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10の上方を覆っており、伝動ケース6のブラケット(図示せず)にカバー11の天井部11aが連結されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、伝動ケース6に固定されたブラケット13が後方に延出され、幅狭の角パイプ状のブラケット14がブラケット13に固定されて、ブラケット14が天井部11aの開口部から上方に突出している。ブラケット17がブラケット14の上部に固定されている。抵抗棒12をブラケット14に固定するためのL字状の固定ピン16が、ブラケット17にスライド自在(図4の紙面左右方向)及び回転自在に支持されている。ブラケット17には、固定ピン16をブラケット14の開口部(図示せず)から挿入側(図4の紙面右方)に付勢するバネ29が備えられている。ブラケット14の上部の後方側面には、第1フック部14a(保持手段)が設けられている。
【0023】
図3及び図4に示す状態において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動しながら前進することにより、圃場の耕耘(耕起)が行われる。
【0024】
[抵抗棒(高さ設定部材)]
図3及び図4に示すように、抵抗棒12は細長い棒状に構成されている。抵抗棒12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12aが開口されている。また、抵抗棒12の下端には、板状の基板15が、抵抗棒12の延伸方向と直交する姿勢で、機体の後方側に張り出すようにして設けられている。
【0025】
図3及び図4に示す状態は、抵抗棒12がブラケット14に挿入されて、固定ピン16が抵抗棒12の固定孔12aの一つに挿入された状態であり、抵抗棒12がブラケット14に固定された状態である。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗棒12が位置しており、カバー11の天井部11aの後端部分の横方向中央部の下方に基板15が位置している。
【0026】
抵抗棒12(高さ設定部材)は、圃場面(地面)に接地してロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さを設定する。即ち、抵抗棒12の下端が圃場面に接地することにより、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さが決められる。
【0027】
ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さは、種々に変更することができる。例えば、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さをより低く設定したいとするなら、固定ピン16を図4の紙面左方に引き抜き、約90度回転させて、ブラケット17の折り曲げ部17aに掛けて引き抜き状態に保持する。そして、抵抗棒12を上方向に移動させ、固定ピン16を抵抗棒12のより下方に位置する別の固定孔12aに再び挿入して抵抗棒12を固定する。これにより、ロータリ耕耘装置8に対する抵抗棒12の高さがより高い位置に変更されるため、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さがより低く設定される。一方、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さをより高く設定したいとするなら、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12を下方向に移動させ、固定ピン16を、抵抗棒12のより上方に位置する別の固定孔12aに再び挿入して抵抗棒12を固定する。
【0028】
[平板]
図5に示すように、長方形状の平板18は、可撓性を有するゴム板等により構成されており、その横幅がカバー11の横幅と略同じ大きさに設定されている。
【0029】
図5に示すように、上辺部分27a、下辺部分27b、及び上辺部分27aと下辺部分27bとをつなぐ中間部分27cを備える金属板27(支持部材)が、平板18の表面に取り付けられている。
【0030】
金属板27の中間部分27cが、平板18の横方向中央部に配置され、金属板27が平板18の横方向中央部を中心線として正面視で左右対称となるように設けられている。
【0031】
金属板27の上下幅は平板18の上下幅と略等しく、金属板27の上辺部分27aの横幅は平板18の横幅よりも短く、且つ下辺部分27bの横幅よりも大きい。また、中間部分27cの下辺部分27b側には、下辺部分27bに近づくほど幅広となる山状部Mが設けられている。尚、本明細書中、各構成部材の表面とは歩行型作業機の後方に面する側を意味しており、裏面とはロータリ耕耘装置8に面する側を意味する。
【0032】
また、金属板27の上辺部分27a及び下辺部分27bのそれぞれの両端には、図5に示すように、平板18が天井部11aの後端部分に垂れ下がる状態において、下側ほど幅狭となるようなテーパー面S1,S2が形成されている。
【0033】
図5及び図6に示すように、金属板27は、その上辺部分27a及び下辺部分27bにおいて、平板18にわたるようにボルトB1を貫通させて、平板18の裏面側からナットで締結させて固定してある。
【0034】
[整地板]
図3に示すように、長方形状の整地板20は、金属製であって、平板18の後方に配置される。図3及び図4に示すように、本実施形態における整地板20の上下幅及び横幅は、平板18よりも少し大きく設定されているが、同じ大きさに設定しても良い。
【0035】
図3に示すように、整地板20の下端部分が前方に折れ曲がっており、図4に示すように整地板20の下端部分には、鋸歯状の整地部21が形成されている。図3及び図9に示す状態では、整地部21が平板18の下端よりも下側に位置する状態になる。
【0036】
図4に示すように、整地板20の表面側には、横方向中央部を中心線として正面視で左右対称となるように、上下方向に延びる5本のリブ22が横方向に並設されている。尚、この5本のリブ22は、整地板20を補強するためのものである。
【0037】
また整地板20の表面側における横方向中央部の下側部分には、整地板20の横方向中央部を中心線として、その中心線の左右両側に一つずつ、横方向に貫通する半円筒状の貫通部23が形成されている。U字型のフック部材24(保持手段)が、その左右の端部のそれぞれを左右の貫通部23に対して中心線側から嵌め込むことによって、貫通部23を支点として上下に揺動可能に支持されている。尚、フック部材24は、整地板20を持ち上げるときの把手としても使用される。
【0038】
[接続手段]
平板18と整地板20とを解除自在に接続する接続手段は、整地板20の横方向中央部に設けた挟持部材25と、平板18の横方向中央部に設けた被挟持部材28とを備えて構成される。
【0039】
被挟持部材28は、平面視でコの字型を有しており、金属板27の中間部分27cの山状部Mに溶接により立設されている。尚、被挟持部材28は、平板18を持ち上げるときの把手としても使用される。
【0040】
整地板20の2つの貫通部23の間に、被挟持部材28が通過可能な矩形の開口部30が形成されており、その開口部30を覆うように、ハット曲げ加工されたケーシング31が整地板20の表面に溶接されている。このとき、ケーシング31の凹部31aと整地板20の開口部30とが連通状態となると共に、ケーシング31の凹部31aによって、挟持部材25(図8参照)を収容するための空間が形成される。
【0041】
図15及び図16に示すように、挟持部材25は、ケーシング31の凹部31aの天板31bにボルト及びナットで固定される。挟持部材25は、一枚の板を折り曲げて形成される板バネ25aを備え、この板バネ25aによって、被挟持部材28を挟持するための挟持部25bが形成される。挟持部材25は、その挟持部25bを整地板20の開口部30側に向けた状態で、ケーシング31の凹部31a内に配置される。
【0042】
平板18と整地板20とを接続する場合、平板18と整地板20とを互いに近づけて、平板18の被挟持部材28を、整地板20の開口部30を通過させて、ケーシング31の凹部31a内で互いに当接し合う板バネ25aの間にその当接力に抗して入り込ませることによって、被挟持部材28が挟持部材25の挟持部25bによって挟持され、平板18と整地板20とが接続される。
【0043】
平板18と整地板20との接続を解除する場合は、板バネ25aの挟持力に抗して所定の力で平板18を整地板20から引き離すことによって、被挟持部材28と挟持部材25の板バネ25aとを離間させれば良い。
【0044】
[補助接続手段]
図5、図17及び図18に示すように、平板18と整地板20とを解除自在に接続する補助接続手段は、平板18の右端及び左端のそれぞれの上部に設けられたダルマ孔32と、整地板20の右端及び左端のそれぞれの上部に立設された頭付きピン33とを備えて構成されている。
【0045】
ダルマ孔32は、小径孔部32aと大径孔部32bとが連なっており、小径孔部32aが平板18の横方向中央部側に配置されるように設けられている。また、小径孔部32aの径は、頭付きピン33の頭部の径よりも小さいが、大径孔部32bの径は、頭付きピン33の頭部の径よりも大きく設定されている。
【0046】
平板18と整地板20とを接続する場合、平板18と整地板20とを互いに近づけて、頭付きピン33の頭部を、ダルマ孔32の大径孔部32bから挿入して、ダルマ孔32の小径孔部32aに係止させることにより、平板18の右端及び左端のそれぞれの上部が、整地板20の右端及び左端のそれぞれの上部に固定されて平板18と整地板20とが接続される。
【0047】
平板18と整地板20との接続を解除する場合は、平板18を整地板20から所定の力で引き離そうとすると、平板18が頭付きピン33に対して内側に移動し、ダルマ孔32が平板18の内側に引き寄せられることによって、大径孔部32bが頭付きピン33に達して、頭付きピン33が大径孔部32bから自動的に抜けて、平板18と整地板20との接続が解除される。
【0048】
[連結手段]
図5、及び図14(a),(b)に示すように、金属板27(支持部材)と抵抗棒12(高さ設定部材)とを解除自在に連結する連結手段は、金属板27に設けたピン部材34と、基板15のピン孔15aとを備えて構成される。
【0049】
ピン部材34は、金属板27の下辺部分27bの横方向中央部に、金属板27の下辺部分27bの下端から下方に突出する状態で溶接されている。
【0050】
ピン孔15aは、図14(b)に示すように、機体の後方側から小径部と大径部とが連なり、基板15の略中央部において厚み方向に貫通するように設けられている。
【0051】
連結手段は、金属板27と抵抗棒12とを連結することによって、金属板27の下辺部分27b(平板18の下辺部の横方向中央部、図5参照)のカバー11の後方への移動を規制する規制状態と、金属板27と抵抗棒12との連結を解除することによって、金属板27の下辺部分27bのカバー11の後方への移動を許容する解除状態とに切換自在に構成されている。
【0052】
連結手段を規制状態にするには、ピン部材34をピン孔15aに挿入する。このとき、抵抗棒12の固定を一旦解除して上方向に移動させることにより、基板15を上方に移動させて、そのピン孔15aにピン部材34を挿入させた後、再び抵抗棒12を固定する。ピン部材34がピン孔15aに挿入されることによって、畝立て作業時に平板18が圃場の土圧を受けても、金属板27のピン部材34が基板15のピン孔15aに掛止されるため、金属板27の下辺部分27bがカバー後方に移動しない。
【0053】
一方、連結手段を解除状態にするには、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34をピン孔15aから外した後、再び抵抗棒12を固定すれば良い。これにより、作業時に平板18が圃場の土圧を受けると、金属板27の下辺部分27bを含む平板18の全体がカバー後方に移動可能となる。
【0054】
[保持手段]
図10、図12、及び図13に示すように、整地板20を平板18から後方又は上方に離れた姿勢に解除自在に保持する保持手段は、整地板20のフック部材24と、ブラケット14の第1フック部14aとを備えて構成される。
【0055】
整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させることによって、整地板20を平板18から上方に離れた姿勢に保持することができる。
【0056】
[平板及び整地板のカバーとの連結]
図3に示すように、平板18及び整地板20が、カバー11の天井部11aの後端部分にヒンジ部材26(図7参照)を介して上下に揺動可能に連結されている。
【0057】
図7に示すように、ヒンジ部材26は、貫通孔H1を有する第1ヒンジ面26aと、該第1ヒンジ面26aに対してそれぞれ別に揺動自在に並設して枢支連結される第2ヒンジ面26b及び第3ヒンジ面26cとを備えて構成される。図4に示すように、ヒンジ部材26の第1ヒンジ面26aが天井部11aの後端部分の左右両端側において、ボルトB2とナットによって固定される。
【0058】
図4に示すように、細長い平板状の固定部材19が、天井部11aの後端部分の裏面にボルトB2,B3とナット(図示せず)によって固定されている。固定部材19の長手方向の長さは、天井部11aの横幅とほぼ同じ長さに設定されている。固定部材19の両端部分には、ストッパー部19aが形成されており、天井部11aの後端部分の裏面に配置する際、ストッパー部19aが天井部11aの後端部分から後方に少しはみ出した状態となる。
【0059】
図3及び図4に示すように、天井部11aの後端部分の左右両端側において、天井部11aの表面側に配置されるヒンジ部材26の第1ヒンジ面26aと、天井部11aの裏面側に配置される固定部材19とにわたるようにボルトB2を貫通させて、固定部材19の側からナット(図示せず)で締結することによって、ヒンジ部材26と固定部材19とが伴締め固定されている。
【0060】
図7に示すように、ヒンジ部材26の第2ヒンジ面26bには、貫通孔H2が設けられている。図5に示すように、第2ヒンジ面26b、金属板27の上辺部分27aの左右両端部分、及び平板18にわたるようにボルトB5を貫通させて、平板18の裏面側からナット(図示せず)で締結することによって、平板18がヒンジ部材26の第2ヒンジ面26bに連結される。これにより、平板18及び金属板27が、ヒンジ部材26によって天井部11aの後端部分に上下揺動自在に支持される。尚、平板18の連結方法については、上記構成に限定されるものではなく、単に平板18の上端部分をボルトとナットで天井部11aの後端部分に直接固定するようにしても良い。
【0061】
また、図4に示すように、ヒンジ部材26の第3ヒンジ面26cの表面と、整地板20の裏面の左右上端部分とを溶接することによって、整地板20がヒンジ部材26の第3ヒンジ面26cに連結される。
【0062】
[均平作業]
次に、均平作業について説明する。
均平作業を行う場合、先ず、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34をピン孔15aから抜き出して金属板27と抵抗棒12との連結を解除する。そして、平板18と整地板20とを後方に揺動させた後、再び抵抗棒12を上方向に移動させて固定する。
【0063】
このとき、平板18の被挟持部材28が整地板20の挟持部材25に挟持されると共に、平板18の2つのダルマ孔32のそれぞれに整地板20の2つの頭付きピン33のそれぞれが係止しており、合計3箇所で接続状態となっている。
【0064】
また、整地板20の左右の上端部が固定部材19のストッパー部19a(図4参照)に係止されるため、図3に示すように平板18及び整地板20が、正逆転爪10側にこれ以上揺動せず、側面視で斜めに傾斜した姿勢に保持される。
【0065】
図3に示す平板18と挟持部材25の接続状態では、平板18と整地板20との間に先端側(下端側)ほど前後幅が徐々に広くなる隙間が形成される。尚、図示しないが、平板18と整地板20との間に基端側から先端側に亘って前後幅が均等な隙間が形成されるように挟持部材25及び被挟持部材28を構成しても良い。
【0066】
図9に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18及び整地板20が後方に移動し、整地板20の整地部21によって均平面が形成される。このとき、平板18の被挟持部材28と整地板20の挟持部材25との連結によって、平板18と整地板20との間に隙間が設けられるため、平板18が弾性変形し易く、耕耘により飛散した石が平板18に当たってその衝撃が吸収されるため、整地板20が破損し難い。さらに、均平作業中に平板18が前後方向に振動し易いため、耕起土が平板18に付着し難い。
【0067】
[畝立て作業]
次に、畝立て作業について説明する。
畝立て作業を行う場合、先ず、図10に示すように、整地板20のみを上方に回動させて、被挟持部材28と挟持部材25との接続、及びダルマ孔32と頭付きピン33との係止を解除し、さらに整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させることによって、整地板20を平板18から上方に離れた姿勢に保持する。尚、整地板20は、形成される畝よりも高い位置に保持されるようにすればよく、上方に限らず平板18から後方に離れた姿勢に保持するようにしても良い。
【0068】
次いで、平板18のピン部材34を、基板15のピン孔15aに挿入し、金属板27と抵抗棒12とを連結して規制状態とする。このとき、抵抗棒12の固定を一旦解除して上方向に移動させることにより、基板15を上方に移動させて、ピン孔15aにピン部材34を挿入させた後、再び抵抗棒12を固定する。
【0069】
これにより、図10及び図11に示すように、金属板27のピン部材34が基板15のピン孔15aの小径部に掛止されるため、金属板27の下辺部分27b(平板18の下辺部の横方向中央部)のカバー11の後方への移動が規制される。
【0070】
機体の前進に伴って、正逆転爪10の正転方向(図8の矢印A1の方向)の回転駆動によって耕起された土が平板18により受け止められるが、平板18に設けた金属板27の下辺部分27bがカバー11の後方に移動せず、平板18の左右の横側部が後方に移動することになる。
【0071】
その結果、図11に示すように、平板18において、金属板27の上辺部分27aの左右両端のテーパー面S1,S1のそれぞれと、下辺部分27bの左右両端のテーパー面S2,S2のそれぞれとをつなぐ仮想線T1(図5参照)を折り曲げ線として、平板18の一方及び他方の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となる。
【0072】
そして、図11に示すように、平板18の下辺部の横方向中央部と平板18に設けた金属板27の下辺部分27bによって畝Cの底部C1が形成され、平板18の折れ曲がった左右の横側部によって、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が形成される。
【0073】
[畝立て作業後の均平作業]
次に、畝立て作業後の均平作業について説明する。この作業は、畝間に生えた草の除草等を行うために、形成した畝を崩さずに畝間の圃場の耕耘作業を実施するものである。
【0074】
図12に示すように、整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させることによって、整地板20を平板18から上方に離れた姿勢に保持する。
【0075】
さらに、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34をピン孔15aから抜き出して金属板27と抵抗棒12との連結を解除する。そして、平板18を後方に揺動させた後、再び抵抗棒12を上方向に移動させて固定する。
【0076】
これにより、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動して耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18が後方に移動する。このとき、平板18の一方及び他方の横側部が、畝Cの壁部C2に沿うように斜めに後方に折れ曲がる状態となるため、形成した畝を崩さずに畝間の圃場の耕耘作業を実施することができる。
【0077】
[メンテナンス作業]
最後に、ロータリ耕耘装置8において、駆動軸9や正逆転爪10等のメンテナンス作業を行う場合について説明する。
【0078】
均平作業を終えた後にメンテナンス作業を実施する場合、図3に示す状態から、平板18と整地板20とを一緒に上方に回動させて、整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させる。これにより、図13に示すように、平板18と整地板20とが上方に持ち上げられた姿勢に保持される。その結果、平板18や整地板20が邪魔になることがなく、効率良く駆動軸9や正逆転爪10等のメンテナンス作業を実施することができる。
【0079】
また、畝立て作業を終えた後にメンテナンス作業を実施する場合、図10に示す状態において、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34を基板15のピン孔15aから抜き出して金属板27と抵抗棒12との連結を解除する。
【0080】
次いで、図13に示すように、平板18を上方に回動させて、平板18の被挟持部材28と整地板20の挟持部材25とを接続させる。これにより、平板18と整地板20とが上方に持ち上げられた姿勢に保持される。その結果、平板18や整地板20が邪魔になることがなく、効率良く駆動軸9や正逆転爪10等のメンテナンス作業を実施することができる。
【0081】
また、畝立て作業後の均平作業を終えた後にメンテナンス作業を実施する場合、図12に示す状態において、平板18を上方に回動させて、平板18の被挟持部材28と整地板20の挟持部材25とを接続させる。これにより、平板18と整地板20とが上方に持ち上げられた姿勢に保持される。
【0082】
〔別実施形態〕
〔1〕前述の実施形態における金属板27は、平板18の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能に構成してあれば良い。従って例えば、その上辺部分27a及び下辺部分27bのうちの少なくともいずれか備えていない構成としても良い。
〔2〕前述の実施形態における挟持部材25を平板18の横方向中央部に設け、被挟持部材を整地板20の横方向中央部に設けても良い。
〔3〕前述の実施形態におけるピン部材34を、抵抗棒12に設け、ピン孔15aを金属板27に設ける構成としても良い。また、前述の実施形態のように、ピン部材34及びピン孔15aが、金属板27及び抵抗棒12の一方及び他方のそれぞれの下端に設けられている構成に限定されるものではなく、ピン部材34及びピン孔15aが、金属板27及び抵抗棒12の一方及び他方のそれぞれの中間部等に設けられている構成としても良い。
〔4〕前述の実施形態における抵抗棒12の代わりに、高さ変更可能な尾輪を設ける構成としても良い。
〔5〕前述の実施形態における支持部材27を、平板18の前面(裏面)に取り付けるようにしても良い。
〔6〕前述の実施形態における平板18を、ヒンジ部材26を使用せずにカバー11に直接取り付けて、支持部材27を当該平板18に取り付けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、走行用の車輪とロータリ耕耘装置とを別々に備えた歩行型作業機ばかりではなく、走行用の車輪を廃止し、右及び左の車軸に正逆転爪を連結してロータリ耕耘装置を構成した歩行型作業機や、乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置としても有用である。
【符号の説明】
【0084】
12 抵抗棒(高さ設定部材)
15a ピン孔(連結手段)
18 平板
27 金属板(支持部材)
34 ピン部材(連結手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の畝立て作業と均平作業を行うロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリ耕耘装置として、可撓性を有する平板(ゴムマット等)を、カバーの後端部分と抵抗棒にわたるように装着して畝立てを実施するものが知られている。
このようなロータリ耕耘装置で畝立て作業を行う場合、抵抗棒によって平板の下辺部の横方向中央部の移動が規制される。これにより、ロータリ耕耘装置を前進駆動させると、平板の一方及び他方の横側部が土圧で斜め後方に折れ曲がり、そこから土が放出されて左右両側に畝が形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるロータリ耕耘装置では、抵抗棒が規制部材として機能しており、畝立て作業を行う際に平板の下辺部の横方向中央部に設けてある連結ピンを、抵抗棒の接地部の貫通孔に挿入して平板の下辺部の横方向中央部を抵抗棒の接地部に連結する。
【0005】
このとき、接地部の貫通孔に挿入した後の連結ピンに、抜け止めピン(βピン等)を取り付けて、連結ピンが接地部の貫通孔から抜けないようにしている。このようにしないと、畝立て作業中に、可撓性を有する平板が圃場の土圧を受けてその横方向中央部が撓んで変形したときに、連結ピンが上方に動いて接地部の貫通孔から抜けて、平板と抵抗棒との連結が解除されてしまう虞があるためである。
【0006】
従って、従来のロータリ耕耘装置においては、平板と抵抗棒の接地部との連結において予期しない解除が生じるのを防止するために、抜け止めピンという、ロータリ耕耘装置に取り付けられるもの以外の別の部材が必要であり、このような別部材の取り付けおよび取り外しの作業が面倒であること、そしてこの別部材が紛失すると非常に不便であり改善する余地があった。
【0007】
本発明の目的は、平板と、当該平板の下辺部の横方向中央部の移動を規制する規制部材との連結が解除され難いロータリ耕耘装置を提供することにあり、さらにより望ましくは、別部材を必要とせずに、平板と規制部材とを連結することができるようなロータリ耕耘装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロータリ耕耘装置の第1特徴構成は、可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に上下に揺動可能に連結されている平板と、地面に接地してロータリ耕耘装置の地面に対する高さを設定する高さ設定部材と、前記平板の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能で前記カバーに上下揺動自在に支持される支持部材と、前記支持部材と前記高さ設定部材とを解除自在に連結する連結手段とを備える点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
本構成においては、連結手段によって、支持部材と高さ設定部材とが解除自在に連結されることで、高さ設定部材が、平板の下辺部の横方向中央部の移動を規制する規制部材として機能する。
【0010】
本構成における支持部材は、平板の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持するため、たとえ畝立て作業中に、可撓性を有する平板が圃場の土圧を受けてその横方向中央部が撓んで変形しようとしても、支持部材それ自体は変形し難い。これにより、畝立て作業中に、連結手段において予期せぬ連結解除が生じることがない。
【0011】
第2特徴構成は、前記支持部材及び前記高さ設定部材のいずれか一方にピン部材を設け、前記支持部材及び前記高さ設定部材の他方に前記ピン部材を挿入可能なピン孔を設け、前記高さ設定部材の上下位置を変更することによって、前記ピン孔に対して前記ピン部材を挿脱することにより、前記連結手段を構成してある点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、連結手段が、支持部材及び高さ設定部材のいずれか一方に設けたピン部材、及び支持部材及び高さ設定部材の他方に設けたピン孔という簡素な構成でなるものであるため、故障等が発生し難く、低コスト化も図れる。
しかも、連結手段の連結操作及び連結解除操作を、高さ設定部材の上下位置の変更によるピン孔に対するピン部材の挿脱という容易な操作で行うものであるため、操作性が良い。
【0013】
また、支持部材及び高さ設定部材が変形し難いことにより、ピン孔からピン部材が抜け難く構成される。そのため、本構成によれば、別部材を必要とせずに、平板と、規制部材としての高さ設定部材とを連結することができるため、別部材の取り付けおよび取り外しという面倒な作業を行う必要がなく、さらにその別部材が紛失することによる不都合も生じない。
【0014】
第3特徴構成は、前記ピン部材を、前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端のいずれか一方に設け、前記ピン孔を前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端の他方に設けてある点にある。
【0015】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、ピン部材及びピン孔が、支持部材及び高さ設定部材の一方及び他方のそれぞれの下端に設けられているため、ピン部材及びピン孔が、支持部材及び高さ設定部材の一方及び他方のそれぞれの中間部等に設けられている場合と比べて、ピン孔に対するピン部材の挿脱の状態を視認し易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】歩行型作業機の全体側面図である。
【図2】歩行型作業機の全体平面図である。
【図3】均平作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図4】均平作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図5】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図6】平板の横断面図である。
【図7】ヒンジ部材の斜視図である。
【図8】連結部の斜視図である。
【図9】均平作業時のロータリ耕耘装置の斜視図である。
【図10】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図11】畝立て作業時のロータリ耕耘装置の背面図である。
【図12】畝立て作業後の均平作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図13】メンテナンス作業時のロータリ耕耘装置の縦断側面図である。
【図14】支持部材と高さ設定部材とを解除自在に連結する連結手段の(a)側面図及び(b)横断面図である。
【図15】平板と整地板とを解除自在に連結する連結手段の縦断側面図である。
【図16】平板と整地板とを解除自在に連結する連結手段の横断平面図である。
【図17】平板のダルマ孔と、整地板の頭付きピンとの係止状態を示す縦断背面図である。
【図18】平板のダルマ孔と、整地板の頭付きピンとの係止状態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態〕
図1〜図18に基づいて、本発明に係るロータリ耕耘装置を歩行型作業機に適用した場合の実施形態について説明する。
【0018】
[全体構成]
図1及び図2に示すように、歩行型作業機は、ミッションケース1の下部の右及び左側部に車軸2が備えられ、右及び左の車軸2に走行用の車輪3が連結されており、ミッションケース1の前部に連結された支持フレーム4にエンジン5が支持されて構成されている。
【0019】
ミッションケース1の上部から斜め後方下方に伝動ケース6が延出されて、伝動ケース6から斜め後方上方に操縦ハンドル7が延出されており、伝動ケース6にロータリ耕耘装置8が備えられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、ロータリ耕耘装置8は、伝動ケース6の下部から右及び左側に駆動軸9が延出されて、右及び左の駆動軸9に複数の正逆転爪10が固定されており、正逆転爪10の上方を覆うカバー11、抵抗棒12、平板18、及び整地板20を備えて構成されている。右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10は、通常は正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動されるが、逆転方向(図3の矢印A2の方向)にも回転駆動することが可能である。
【0021】
図3及び図4に示すように、カバー11は、半円筒状の天井部11aの右及び左側部に、扇形状の横壁部11bが連結されて構成され、伝動ケース6の上方、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10の上方を覆っており、伝動ケース6のブラケット(図示せず)にカバー11の天井部11aが連結されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、伝動ケース6に固定されたブラケット13が後方に延出され、幅狭の角パイプ状のブラケット14がブラケット13に固定されて、ブラケット14が天井部11aの開口部から上方に突出している。ブラケット17がブラケット14の上部に固定されている。抵抗棒12をブラケット14に固定するためのL字状の固定ピン16が、ブラケット17にスライド自在(図4の紙面左右方向)及び回転自在に支持されている。ブラケット17には、固定ピン16をブラケット14の開口部(図示せず)から挿入側(図4の紙面右方)に付勢するバネ29が備えられている。ブラケット14の上部の後方側面には、第1フック部14a(保持手段)が設けられている。
【0023】
図3及び図4に示す状態において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動しながら前進することにより、圃場の耕耘(耕起)が行われる。
【0024】
[抵抗棒(高さ設定部材)]
図3及び図4に示すように、抵抗棒12は細長い棒状に構成されている。抵抗棒12の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔12aが開口されている。また、抵抗棒12の下端には、板状の基板15が、抵抗棒12の延伸方向と直交する姿勢で、機体の後方側に張り出すようにして設けられている。
【0025】
図3及び図4に示す状態は、抵抗棒12がブラケット14に挿入されて、固定ピン16が抵抗棒12の固定孔12aの一つに挿入された状態であり、抵抗棒12がブラケット14に固定された状態である。この状態で、伝動ケース6の真後ろに抵抗棒12が位置しており、カバー11の天井部11aの後端部分の横方向中央部の下方に基板15が位置している。
【0026】
抵抗棒12(高さ設定部材)は、圃場面(地面)に接地してロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さを設定する。即ち、抵抗棒12の下端が圃場面に接地することにより、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さが決められる。
【0027】
ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さは、種々に変更することができる。例えば、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さをより低く設定したいとするなら、固定ピン16を図4の紙面左方に引き抜き、約90度回転させて、ブラケット17の折り曲げ部17aに掛けて引き抜き状態に保持する。そして、抵抗棒12を上方向に移動させ、固定ピン16を抵抗棒12のより下方に位置する別の固定孔12aに再び挿入して抵抗棒12を固定する。これにより、ロータリ耕耘装置8に対する抵抗棒12の高さがより高い位置に変更されるため、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さがより低く設定される。一方、ロータリ耕耘装置8の圃場面に対する高さをより高く設定したいとするなら、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12を下方向に移動させ、固定ピン16を、抵抗棒12のより上方に位置する別の固定孔12aに再び挿入して抵抗棒12を固定する。
【0028】
[平板]
図5に示すように、長方形状の平板18は、可撓性を有するゴム板等により構成されており、その横幅がカバー11の横幅と略同じ大きさに設定されている。
【0029】
図5に示すように、上辺部分27a、下辺部分27b、及び上辺部分27aと下辺部分27bとをつなぐ中間部分27cを備える金属板27(支持部材)が、平板18の表面に取り付けられている。
【0030】
金属板27の中間部分27cが、平板18の横方向中央部に配置され、金属板27が平板18の横方向中央部を中心線として正面視で左右対称となるように設けられている。
【0031】
金属板27の上下幅は平板18の上下幅と略等しく、金属板27の上辺部分27aの横幅は平板18の横幅よりも短く、且つ下辺部分27bの横幅よりも大きい。また、中間部分27cの下辺部分27b側には、下辺部分27bに近づくほど幅広となる山状部Mが設けられている。尚、本明細書中、各構成部材の表面とは歩行型作業機の後方に面する側を意味しており、裏面とはロータリ耕耘装置8に面する側を意味する。
【0032】
また、金属板27の上辺部分27a及び下辺部分27bのそれぞれの両端には、図5に示すように、平板18が天井部11aの後端部分に垂れ下がる状態において、下側ほど幅狭となるようなテーパー面S1,S2が形成されている。
【0033】
図5及び図6に示すように、金属板27は、その上辺部分27a及び下辺部分27bにおいて、平板18にわたるようにボルトB1を貫通させて、平板18の裏面側からナットで締結させて固定してある。
【0034】
[整地板]
図3に示すように、長方形状の整地板20は、金属製であって、平板18の後方に配置される。図3及び図4に示すように、本実施形態における整地板20の上下幅及び横幅は、平板18よりも少し大きく設定されているが、同じ大きさに設定しても良い。
【0035】
図3に示すように、整地板20の下端部分が前方に折れ曲がっており、図4に示すように整地板20の下端部分には、鋸歯状の整地部21が形成されている。図3及び図9に示す状態では、整地部21が平板18の下端よりも下側に位置する状態になる。
【0036】
図4に示すように、整地板20の表面側には、横方向中央部を中心線として正面視で左右対称となるように、上下方向に延びる5本のリブ22が横方向に並設されている。尚、この5本のリブ22は、整地板20を補強するためのものである。
【0037】
また整地板20の表面側における横方向中央部の下側部分には、整地板20の横方向中央部を中心線として、その中心線の左右両側に一つずつ、横方向に貫通する半円筒状の貫通部23が形成されている。U字型のフック部材24(保持手段)が、その左右の端部のそれぞれを左右の貫通部23に対して中心線側から嵌め込むことによって、貫通部23を支点として上下に揺動可能に支持されている。尚、フック部材24は、整地板20を持ち上げるときの把手としても使用される。
【0038】
[接続手段]
平板18と整地板20とを解除自在に接続する接続手段は、整地板20の横方向中央部に設けた挟持部材25と、平板18の横方向中央部に設けた被挟持部材28とを備えて構成される。
【0039】
被挟持部材28は、平面視でコの字型を有しており、金属板27の中間部分27cの山状部Mに溶接により立設されている。尚、被挟持部材28は、平板18を持ち上げるときの把手としても使用される。
【0040】
整地板20の2つの貫通部23の間に、被挟持部材28が通過可能な矩形の開口部30が形成されており、その開口部30を覆うように、ハット曲げ加工されたケーシング31が整地板20の表面に溶接されている。このとき、ケーシング31の凹部31aと整地板20の開口部30とが連通状態となると共に、ケーシング31の凹部31aによって、挟持部材25(図8参照)を収容するための空間が形成される。
【0041】
図15及び図16に示すように、挟持部材25は、ケーシング31の凹部31aの天板31bにボルト及びナットで固定される。挟持部材25は、一枚の板を折り曲げて形成される板バネ25aを備え、この板バネ25aによって、被挟持部材28を挟持するための挟持部25bが形成される。挟持部材25は、その挟持部25bを整地板20の開口部30側に向けた状態で、ケーシング31の凹部31a内に配置される。
【0042】
平板18と整地板20とを接続する場合、平板18と整地板20とを互いに近づけて、平板18の被挟持部材28を、整地板20の開口部30を通過させて、ケーシング31の凹部31a内で互いに当接し合う板バネ25aの間にその当接力に抗して入り込ませることによって、被挟持部材28が挟持部材25の挟持部25bによって挟持され、平板18と整地板20とが接続される。
【0043】
平板18と整地板20との接続を解除する場合は、板バネ25aの挟持力に抗して所定の力で平板18を整地板20から引き離すことによって、被挟持部材28と挟持部材25の板バネ25aとを離間させれば良い。
【0044】
[補助接続手段]
図5、図17及び図18に示すように、平板18と整地板20とを解除自在に接続する補助接続手段は、平板18の右端及び左端のそれぞれの上部に設けられたダルマ孔32と、整地板20の右端及び左端のそれぞれの上部に立設された頭付きピン33とを備えて構成されている。
【0045】
ダルマ孔32は、小径孔部32aと大径孔部32bとが連なっており、小径孔部32aが平板18の横方向中央部側に配置されるように設けられている。また、小径孔部32aの径は、頭付きピン33の頭部の径よりも小さいが、大径孔部32bの径は、頭付きピン33の頭部の径よりも大きく設定されている。
【0046】
平板18と整地板20とを接続する場合、平板18と整地板20とを互いに近づけて、頭付きピン33の頭部を、ダルマ孔32の大径孔部32bから挿入して、ダルマ孔32の小径孔部32aに係止させることにより、平板18の右端及び左端のそれぞれの上部が、整地板20の右端及び左端のそれぞれの上部に固定されて平板18と整地板20とが接続される。
【0047】
平板18と整地板20との接続を解除する場合は、平板18を整地板20から所定の力で引き離そうとすると、平板18が頭付きピン33に対して内側に移動し、ダルマ孔32が平板18の内側に引き寄せられることによって、大径孔部32bが頭付きピン33に達して、頭付きピン33が大径孔部32bから自動的に抜けて、平板18と整地板20との接続が解除される。
【0048】
[連結手段]
図5、及び図14(a),(b)に示すように、金属板27(支持部材)と抵抗棒12(高さ設定部材)とを解除自在に連結する連結手段は、金属板27に設けたピン部材34と、基板15のピン孔15aとを備えて構成される。
【0049】
ピン部材34は、金属板27の下辺部分27bの横方向中央部に、金属板27の下辺部分27bの下端から下方に突出する状態で溶接されている。
【0050】
ピン孔15aは、図14(b)に示すように、機体の後方側から小径部と大径部とが連なり、基板15の略中央部において厚み方向に貫通するように設けられている。
【0051】
連結手段は、金属板27と抵抗棒12とを連結することによって、金属板27の下辺部分27b(平板18の下辺部の横方向中央部、図5参照)のカバー11の後方への移動を規制する規制状態と、金属板27と抵抗棒12との連結を解除することによって、金属板27の下辺部分27bのカバー11の後方への移動を許容する解除状態とに切換自在に構成されている。
【0052】
連結手段を規制状態にするには、ピン部材34をピン孔15aに挿入する。このとき、抵抗棒12の固定を一旦解除して上方向に移動させることにより、基板15を上方に移動させて、そのピン孔15aにピン部材34を挿入させた後、再び抵抗棒12を固定する。ピン部材34がピン孔15aに挿入されることによって、畝立て作業時に平板18が圃場の土圧を受けても、金属板27のピン部材34が基板15のピン孔15aに掛止されるため、金属板27の下辺部分27bがカバー後方に移動しない。
【0053】
一方、連結手段を解除状態にするには、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34をピン孔15aから外した後、再び抵抗棒12を固定すれば良い。これにより、作業時に平板18が圃場の土圧を受けると、金属板27の下辺部分27bを含む平板18の全体がカバー後方に移動可能となる。
【0054】
[保持手段]
図10、図12、及び図13に示すように、整地板20を平板18から後方又は上方に離れた姿勢に解除自在に保持する保持手段は、整地板20のフック部材24と、ブラケット14の第1フック部14aとを備えて構成される。
【0055】
整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させることによって、整地板20を平板18から上方に離れた姿勢に保持することができる。
【0056】
[平板及び整地板のカバーとの連結]
図3に示すように、平板18及び整地板20が、カバー11の天井部11aの後端部分にヒンジ部材26(図7参照)を介して上下に揺動可能に連結されている。
【0057】
図7に示すように、ヒンジ部材26は、貫通孔H1を有する第1ヒンジ面26aと、該第1ヒンジ面26aに対してそれぞれ別に揺動自在に並設して枢支連結される第2ヒンジ面26b及び第3ヒンジ面26cとを備えて構成される。図4に示すように、ヒンジ部材26の第1ヒンジ面26aが天井部11aの後端部分の左右両端側において、ボルトB2とナットによって固定される。
【0058】
図4に示すように、細長い平板状の固定部材19が、天井部11aの後端部分の裏面にボルトB2,B3とナット(図示せず)によって固定されている。固定部材19の長手方向の長さは、天井部11aの横幅とほぼ同じ長さに設定されている。固定部材19の両端部分には、ストッパー部19aが形成されており、天井部11aの後端部分の裏面に配置する際、ストッパー部19aが天井部11aの後端部分から後方に少しはみ出した状態となる。
【0059】
図3及び図4に示すように、天井部11aの後端部分の左右両端側において、天井部11aの表面側に配置されるヒンジ部材26の第1ヒンジ面26aと、天井部11aの裏面側に配置される固定部材19とにわたるようにボルトB2を貫通させて、固定部材19の側からナット(図示せず)で締結することによって、ヒンジ部材26と固定部材19とが伴締め固定されている。
【0060】
図7に示すように、ヒンジ部材26の第2ヒンジ面26bには、貫通孔H2が設けられている。図5に示すように、第2ヒンジ面26b、金属板27の上辺部分27aの左右両端部分、及び平板18にわたるようにボルトB5を貫通させて、平板18の裏面側からナット(図示せず)で締結することによって、平板18がヒンジ部材26の第2ヒンジ面26bに連結される。これにより、平板18及び金属板27が、ヒンジ部材26によって天井部11aの後端部分に上下揺動自在に支持される。尚、平板18の連結方法については、上記構成に限定されるものではなく、単に平板18の上端部分をボルトとナットで天井部11aの後端部分に直接固定するようにしても良い。
【0061】
また、図4に示すように、ヒンジ部材26の第3ヒンジ面26cの表面と、整地板20の裏面の左右上端部分とを溶接することによって、整地板20がヒンジ部材26の第3ヒンジ面26cに連結される。
【0062】
[均平作業]
次に、均平作業について説明する。
均平作業を行う場合、先ず、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34をピン孔15aから抜き出して金属板27と抵抗棒12との連結を解除する。そして、平板18と整地板20とを後方に揺動させた後、再び抵抗棒12を上方向に移動させて固定する。
【0063】
このとき、平板18の被挟持部材28が整地板20の挟持部材25に挟持されると共に、平板18の2つのダルマ孔32のそれぞれに整地板20の2つの頭付きピン33のそれぞれが係止しており、合計3箇所で接続状態となっている。
【0064】
また、整地板20の左右の上端部が固定部材19のストッパー部19a(図4参照)に係止されるため、図3に示すように平板18及び整地板20が、正逆転爪10側にこれ以上揺動せず、側面視で斜めに傾斜した姿勢に保持される。
【0065】
図3に示す平板18と挟持部材25の接続状態では、平板18と整地板20との間に先端側(下端側)ほど前後幅が徐々に広くなる隙間が形成される。尚、図示しないが、平板18と整地板20との間に基端側から先端側に亘って前後幅が均等な隙間が形成されるように挟持部材25及び被挟持部材28を構成しても良い。
【0066】
図9に示すように、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動することにより、耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18及び整地板20が後方に移動し、整地板20の整地部21によって均平面が形成される。このとき、平板18の被挟持部材28と整地板20の挟持部材25との連結によって、平板18と整地板20との間に隙間が設けられるため、平板18が弾性変形し易く、耕耘により飛散した石が平板18に当たってその衝撃が吸収されるため、整地板20が破損し難い。さらに、均平作業中に平板18が前後方向に振動し易いため、耕起土が平板18に付着し難い。
【0067】
[畝立て作業]
次に、畝立て作業について説明する。
畝立て作業を行う場合、先ず、図10に示すように、整地板20のみを上方に回動させて、被挟持部材28と挟持部材25との接続、及びダルマ孔32と頭付きピン33との係止を解除し、さらに整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させることによって、整地板20を平板18から上方に離れた姿勢に保持する。尚、整地板20は、形成される畝よりも高い位置に保持されるようにすればよく、上方に限らず平板18から後方に離れた姿勢に保持するようにしても良い。
【0068】
次いで、平板18のピン部材34を、基板15のピン孔15aに挿入し、金属板27と抵抗棒12とを連結して規制状態とする。このとき、抵抗棒12の固定を一旦解除して上方向に移動させることにより、基板15を上方に移動させて、ピン孔15aにピン部材34を挿入させた後、再び抵抗棒12を固定する。
【0069】
これにより、図10及び図11に示すように、金属板27のピン部材34が基板15のピン孔15aの小径部に掛止されるため、金属板27の下辺部分27b(平板18の下辺部の横方向中央部)のカバー11の後方への移動が規制される。
【0070】
機体の前進に伴って、正逆転爪10の正転方向(図8の矢印A1の方向)の回転駆動によって耕起された土が平板18により受け止められるが、平板18に設けた金属板27の下辺部分27bがカバー11の後方に移動せず、平板18の左右の横側部が後方に移動することになる。
【0071】
その結果、図11に示すように、平板18において、金属板27の上辺部分27aの左右両端のテーパー面S1,S1のそれぞれと、下辺部分27bの左右両端のテーパー面S2,S2のそれぞれとをつなぐ仮想線T1(図5参照)を折り曲げ線として、平板18の一方及び他方の横側部が斜めに後方に折れ曲がるような状態となる。
【0072】
そして、図11に示すように、平板18の下辺部の横方向中央部と平板18に設けた金属板27の下辺部分27bによって畝Cの底部C1が形成され、平板18の折れ曲がった左右の横側部によって、右及び左の横側の畝Cの壁部C2が形成される。
【0073】
[畝立て作業後の均平作業]
次に、畝立て作業後の均平作業について説明する。この作業は、畝間に生えた草の除草等を行うために、形成した畝を崩さずに畝間の圃場の耕耘作業を実施するものである。
【0074】
図12に示すように、整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させることによって、整地板20を平板18から上方に離れた姿勢に保持する。
【0075】
さらに、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34をピン孔15aから抜き出して金属板27と抵抗棒12との連結を解除する。そして、平板18を後方に揺動させた後、再び抵抗棒12を上方向に移動させて固定する。
【0076】
これにより、機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置8において、右及び左の駆動軸9及び正逆転爪10を正転方向(図3の矢印A1の方向)に回転駆動して耕起された土が平板18の裏面により受け止められて、平板18が後方に移動する。このとき、平板18の一方及び他方の横側部が、畝Cの壁部C2に沿うように斜めに後方に折れ曲がる状態となるため、形成した畝を崩さずに畝間の圃場の耕耘作業を実施することができる。
【0077】
[メンテナンス作業]
最後に、ロータリ耕耘装置8において、駆動軸9や正逆転爪10等のメンテナンス作業を行う場合について説明する。
【0078】
均平作業を終えた後にメンテナンス作業を実施する場合、図3に示す状態から、平板18と整地板20とを一緒に上方に回動させて、整地板20のフック部材24をブラケット14の第1フック部14aに掛止させる。これにより、図13に示すように、平板18と整地板20とが上方に持ち上げられた姿勢に保持される。その結果、平板18や整地板20が邪魔になることがなく、効率良く駆動軸9や正逆転爪10等のメンテナンス作業を実施することができる。
【0079】
また、畝立て作業を終えた後にメンテナンス作業を実施する場合、図10に示す状態において、固定ピン16を引き抜き状態に保持して、抵抗棒12の固定を一旦解除して下方向に移動させ、ピン部材34を基板15のピン孔15aから抜き出して金属板27と抵抗棒12との連結を解除する。
【0080】
次いで、図13に示すように、平板18を上方に回動させて、平板18の被挟持部材28と整地板20の挟持部材25とを接続させる。これにより、平板18と整地板20とが上方に持ち上げられた姿勢に保持される。その結果、平板18や整地板20が邪魔になることがなく、効率良く駆動軸9や正逆転爪10等のメンテナンス作業を実施することができる。
【0081】
また、畝立て作業後の均平作業を終えた後にメンテナンス作業を実施する場合、図12に示す状態において、平板18を上方に回動させて、平板18の被挟持部材28と整地板20の挟持部材25とを接続させる。これにより、平板18と整地板20とが上方に持ち上げられた姿勢に保持される。
【0082】
〔別実施形態〕
〔1〕前述の実施形態における金属板27は、平板18の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能に構成してあれば良い。従って例えば、その上辺部分27a及び下辺部分27bのうちの少なくともいずれか備えていない構成としても良い。
〔2〕前述の実施形態における挟持部材25を平板18の横方向中央部に設け、被挟持部材を整地板20の横方向中央部に設けても良い。
〔3〕前述の実施形態におけるピン部材34を、抵抗棒12に設け、ピン孔15aを金属板27に設ける構成としても良い。また、前述の実施形態のように、ピン部材34及びピン孔15aが、金属板27及び抵抗棒12の一方及び他方のそれぞれの下端に設けられている構成に限定されるものではなく、ピン部材34及びピン孔15aが、金属板27及び抵抗棒12の一方及び他方のそれぞれの中間部等に設けられている構成としても良い。
〔4〕前述の実施形態における抵抗棒12の代わりに、高さ変更可能な尾輪を設ける構成としても良い。
〔5〕前述の実施形態における支持部材27を、平板18の前面(裏面)に取り付けるようにしても良い。
〔6〕前述の実施形態における平板18を、ヒンジ部材26を使用せずにカバー11に直接取り付けて、支持部材27を当該平板18に取り付けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、走行用の車輪とロータリ耕耘装置とを別々に備えた歩行型作業機ばかりではなく、走行用の車輪を廃止し、右及び左の車軸に正逆転爪を連結してロータリ耕耘装置を構成した歩行型作業機や、乗用型のトラクタに装備されるロータリ耕耘装置としても有用である。
【符号の説明】
【0084】
12 抵抗棒(高さ設定部材)
15a ピン孔(連結手段)
18 平板
27 金属板(支持部材)
34 ピン部材(連結手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に上下に揺動可能に連結されている平板と、
地面に接地してロータリ耕耘装置の地面に対する高さを設定する高さ設定部材と、
前記平板の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能で前記カバーに上下揺動自在に支持される支持部材と、
前記支持部材と前記高さ設定部材とを解除自在に連結する連結手段とを備えるロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記支持部材及び前記高さ設定部材のいずれか一方にピン部材を設け、前記支持部材及び前記高さ設定部材の他方に前記ピン部材を挿入可能なピン孔を設け、
前記高さ設定部材の上下位置を変更することによって、前記ピン孔に対して前記ピン部材を挿脱することにより、前記連結手段を構成してある請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
前記ピン部材を、前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端のいずれか一方に設け、前記ピン孔を前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端の他方に設けてある請求項2に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項1】
可撓性を有し、且つその上端部がロータリ耕耘装置のカバーの後端部に上下に揺動可能に連結されている平板と、
地面に接地してロータリ耕耘装置の地面に対する高さを設定する高さ設定部材と、
前記平板の横方向中央部を上下方向全体に亘って支持可能で前記カバーに上下揺動自在に支持される支持部材と、
前記支持部材と前記高さ設定部材とを解除自在に連結する連結手段とを備えるロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記支持部材及び前記高さ設定部材のいずれか一方にピン部材を設け、前記支持部材及び前記高さ設定部材の他方に前記ピン部材を挿入可能なピン孔を設け、
前記高さ設定部材の上下位置を変更することによって、前記ピン孔に対して前記ピン部材を挿脱することにより、前記連結手段を構成してある請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
前記ピン部材を、前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端のいずれか一方に設け、前記ピン孔を前記支持部材の下端及び前記高さ設定部材の下端の他方に設けてある請求項2に記載のロータリ耕耘装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−249534(P2012−249534A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122316(P2011−122316)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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