説明

ローバックラッシュギア機構及び装置

【課題】モータの正逆転が繰返される場合にも対応でき、組立てが簡単で、ねじりトルクの調節が簡便にできるローバックラッシュギア機構及び装置を提供すること。
【解決手段】ローバックラッシュギア機構10は、半球型の穴17の最深部と溝18aの最深部との位置が周方向にずれている状態で、ボール24が溝18aの一方の斜面に接した状態で組付けられているため、ドリブンプレート18が皿ばね16によって軸方向に押圧されると、メインギア15とサブギア25に対し、ねじりトルクを与えることができ、バックラッシュを少なくすることができる。構造が単純で、組立てが簡単であり、ナット14のねじ込み具合によって取付角度を調整するだけで、メインギア15とサブギア25に与えるねじりトルクの大きさを簡便に調節することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアの停止時に、ギアとギアの歯面間のバックラッシュを自動的に減少させるローバックラッシュギア機構及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の歯車が円滑に作動するには歯面間のバックラッシュが必要であるが、高い精度が要求される装置においては、バックラッシュが少ない装置が要求される。例えば、繰返しの位置決め精度が要求される搬送装置に使用される減速装置においてはその傾向が顕著であり、バックラッシュが大きいと出力軸が停止したとき、搬送物の慣性力の反力等の原因により、出力軸がそれまで回転していた方向と逆のトルクが生じた場合に、停止位置がわずかにぶれるため、ワークを定位置に正確かつ確実に停止させることができなくなるという問題が生じる。このため、停止時にバックラッシュを自動的になくすことが要求されている。また、モータの正転及び逆転駆動が繰返される場合、モータの正転、逆転に対応できるローバックラッシュギア機構、装置が要求される。
これまでにローバックラッシュギア機構、装置は多く開発されており、その例として、以下に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−74126号公報
【特許文献2】特開2007−198600号公報
【特許文献3】特開平8−74972号公報
【0004】
特許文献1には、同軸上に2個のギアを具え、一方のギアに他方のギアに対して回転方向に付勢するねじりコイルばねが調整部材及び止めねじによって取付けられているローバックラッシュギア機構が開示されている。この構成によれば、調整部材を回しねじりコイルばねにねじりモーメントを加えた状態で止めねじで固定すれば、ねじりコイルばねの反力の強弱を簡易に調整することができるとされている。
特許文献2には、同軸上に2個のギアを具え、一方のギアに長孔が設けられ、その孔に納まるように鋼球、弾性体及び調節手段を具える押圧機構が設けられ、他方のギアに設けられるガイド部が押圧機構に挿入され、そのガイド部に設けられる溝が押圧機構の鋼球と接しており、ギアの回転時ガイド部から鋼球を介して弾性体に回転方向のモーメントが加わり弾性体が圧縮され、ギアの停止時に弾性体の反力がガイド部に加わりガイド部が設けられているギアを回転させることによりバックラッシュを減少させるローバックラッシュギア機構が開示されている。なお、押圧機構に設けられる調節手段により、弾性体に加えられる圧力を予め調節することができるとされている。
特許文献3には、駆動ギアと、別々の軸に設けられる駆動ギアに噛合う2個の中立ギア、それぞれの中立ギアと同軸上に設けられる被動ギア、及び被動ギアと噛合う出力ギアが組合わされ、これらの歯車を連結する中立ギア及び被動ギアが設けられる軸の片方にトルクレンチ等で所望のねじりトルクを与え、その状態でクサビ状挟持部材により固着し、出力ギアに係合する歯車に位相差を発生させるローバックラッシュギア装置が開示されている。この装置によると、一方の軸に与えられるねじりトルクによって2個の被動ギアに位相差が発生し、お互いに離反する方向に押付け力が働くことになり、バックラッシュを低減させることができるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなローバックラッシュギア機構の場合、ねじりコイルばねの特性上、コイルを巻込む方向にギアが回転することが望ましいため、正転と逆転を繰返す場合には向いていない。また、ねじりコイルばねのねじりモーメントを調整部材によって調節した後、止めねじによって固定するという構成であるため組立てが困難である。
特許文献2のようなローバックラッシュギア機構では、調節手段によって弾性体に加えられる圧力を調節する場合、調節する度に押圧機構をギアから取外し、調節した後に再度組立てなければならないため不便である。また、ギアのサイズが小さくなればなるほど、そのギアよりも格段に小さい押圧機構を扱うことになるため、取扱いがますます難しくなる。
特許文献3のようなローバックラッシュギア装置では、片方の軸にトルクレンチ等でねじりトルクを与えた状態でクサビ状挟持部材により固着しなければならないため組立てが困難である。また、この構成によるとねじりトルクの調節が難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前述した従来技術の問題点に鑑み、モータの正逆転が繰返される場合にも対応でき、組立てが簡単で、ねじりトルクの調節が簡便にできるローバックラッシュギア機構及び装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、軸と連結されるメインギア及び同軸上に回転可能に設けられ、少なくとも1つの半球型の穴が設けられているサブギア、前記半球型の穴に嵌合するボール、前記ボールが嵌合可能な大きさの周方向断面V字型の溝が設けられ、前記軸と連結され、軸方向に移動可能なドリブンプレート、前記軸にねじ込まれるナット、及び前記ナットと前記ドリブンプレートの間に設けられる弾性体を具え、前記軸の一端から順に、ナット、弾性体、ドリブンプレート、ボール、サブギア、メインギアが配置され、前記ドリブンプレートが、サブギアのボールが嵌合している半球型の穴の最深部と溝の最深部とが回転方向にずれ、ボールが溝の一方の斜面に接している状態で、弾性体により押圧されていることを特徴とするローバックラッシュギア機構によって前記課題を解決した
【0008】
また、請求項2のように、サブギアにねじで装着される、少なくとも1つのボールが嵌合する半球型の穴及び前記ねじを挿入するための正面から見て楕円型の長孔を有するドリブンフランジを具えることが好適である。
【0009】
また、請求項3のように、入力軸又は出力軸に設けられる入力ギア又は出力ギア及び入力ギア又は出力ギアに噛合し出力軸又は入力軸に設けられる2枚のギアを有する出力ギア又は入力ギアを具え、前記出力ギア又は入力ギアの片方のギアをメインギアとし、他方のギアをサブギアとして、出力ギア又は入力ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構が組込まれているローバックラッシュギア装置とすることが好ましい。
【0010】
また、請求項4のように、入力軸に設けられる入力ギア、出力軸に設けられる出力ギア、前記入力ギアと出力ギアの間に設けられ、前記入力ギアと噛合する中間出力ギア及び前記出力ギアと噛合する中間入力ギアを有する、第1中間ギア及び第2中間ギアを具え、第1中間ギア又は第2中間ギアの中間入力ギアをメインギア又はサブギアとし、中間出力ギアをサブギア又はメインギアとして、第1中間ギア又は第2中間ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構が組込まれていることを特徴とするローバックラッシュギア装置とすることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドリブンプレートが、サブギアのボールが嵌合している半球型の穴の最深部と周方向の断面V字型の溝の最深部とが回転方向にずれ、ボールがその溝の一方の斜面に接している状態で、弾性体により押圧されているという構成であるため、弾性体の反力によってドリブンプレートが押されることにより、ボールが溝に嵌ろうとする方向に移動し、半球型の穴の最深部と溝の最深部との位置のずれをなくそうとする。このため、ドリブンプレートとサブギアには相対回転方向のトルク、すなわち、ねじりトルクが発生することになる。このドリブンプレートは軸と連結されているため、ドリブンプレートに加わるねじりトルクは軸を通じて軸と連結されているメインギアに通じることになり、結果として、メインギアとサブギアにねじりトルクが与えられ、メインギアとサブギアは相対方向に回転しようとする。かくして、メインギア及びサブギアを他のギアと噛合させた場合、他のギアの両側の歯面にメインギア又はサブギアのいずれかが接することになるため、バックラッシュを少なくすることができる。
【0012】
また、出力軸の一端から順に、ナット、弾性体、ドリブンプレート、ボール、サブギア、メインギアが配置され、ドリブンプレートが、サブギアのボールが嵌合している半球型の穴の最深部と断面V字型の溝の最深部とを回転方向にずらし、ボールが溝の一方の斜面に接している状態で、弾性体により押圧されるように取付けられているという単純な構造であるため、簡便に組立てることができる。
【0013】
また、出力軸にねじ込まれるナットのねじ込み角度によって弾性体の反力、すなわち、ドリブンプレートを押圧する力を調節できるため、ねじりトルクの大きさの調節を容易に行うことができる。
【0014】
また、請求項2のように、サブギアにねじで装着される、ボールが嵌合する半球型の穴及びねじを挿入するための正面から見て楕円型の長孔を有するドリブンフランジを具える構成にすれば、長孔の範囲内でねじの装着位置を変更し、ドリブンフランジのサブギアへの取付角度を調整することができるので、結果として、半球型の穴の周方向の位置を調整することができ、半球型の穴の最深部と断面V字型の溝の最深部とのずれ具合を簡便に調整することができる。
【0015】
そして、請求項3のように、入力軸に設けられる入力ギア及び入力ギアに噛合する出力軸に設けられる2枚のギアを有する出力ギアを具えるローバックラッシュギア装置において、出力ギアの片方のギアをメインギアとし、他方のギアをサブギアとして、出力ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構を組込むことが好適であり、この場合、入力ギアが回転したときのトルクは、右回転時又は左回転時のいずれの場合でも、メインギア又はサブギアに与えられているねじりトルクと逆方向に作用する。具体的には、入力ギアからメインギアにトルクが与えられる場合は、メインギアは出力軸と連結しているため、入力ギアからのトルクが出力軸に即伝達されることになる。このとき、入力ギア及び出力ギアは組付時の状態のまま、すなわち、バックラッシュの少ない状態のまま回転し、その回転が停止したときも、バックラッシュが少ない状態のままである。一方、入力ギアからサブギアにトルクが与えられる場合は、サブギアは出力軸上に回転可能に設けられているため、入力ギアからのトルクは出力軸に即伝達されることはない。従って、入力軸からのトルクがサブギアに与えられているねじりトルクの大きさを超えたとき、サブギアにはねじりトルクと逆方向の力が作用することになり、ボールが溝から抜け出そうとする方向、換言すれば、半球型の穴の最深部と断面V字型の溝の最深部とがさらにずれる方向の力が加えられることになる。従って、ボールが断面V字型の溝を抜け出そうと移動する分ドリブンプレートには軸方向への力が加わる。そして、このドリブンプレートは軸方向へ移動可能なため、ドリブンプレートは軸方向に移動し、移動した分だけドリブンプレートに接している弾性体を圧縮する。入力ギアが停止したときは、その弾性体の反力によってドリブンプレートが軸方向に押し戻されるため、ボールが断面V字型の溝に嵌ろうとする方向、すなわち、半球型の穴の最深部と断面V字型の溝の最深部との位置のずれをなくす方向へ移動し、メインギア及びサブギアにねじりトルクを発生させるから、組付時の状態、すなわち、バックラッシュが少ない状態に自動的に戻ることになる。ここで、出力軸と連結されるメインギアがバックラッシュを少なくする方向に回転するとき、出力軸は回転することになる。このため、モータの停止後にバックラッシュを少なくする過程で出力軸が僅かに回転することがある。なお、メインギアではなく、サブギアがバックラッシュを少なくする方向に回転した場合は、サブギアは出力軸上に回転可能に設けられているから、出力軸は回転しない。なお、入力軸がモータと直接連結されている場合、モータの停止時は、サーボロックにより入力軸は回転しないように固定されるため、モータの停止時、メインギア又はサブギアがねじりトルクによってバックラッシュを少なくする方向に回転したとしても入力ギアを通じて入力軸が回転することはない。
【0016】
また、請求項3のもう一つの態様である、出力軸に設けられる出力ギア及び出力ギアに噛合する入力軸に設けられる2枚のギアを有する入力ギアを具えるローバックラッシュギア装置において、入力ギアの片方のギアをメインギアとし、他方のギアをサブギアとして、入力ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構を組込む構成としてもよい。この場合の基本的な作動原理は、出力軸上の出力ギアにローバックラッシュギア機構を組込んだ場合と同様である。なお、入力軸が、モータと直接連結されている場合には、モータの停止時、モータのサーボロックにより入力軸が回転しないように固定されるため、バックラッシュを少なくする過程で、入力軸と連結されることになるメインギアがバックラッシュを少なくする方向に回転できない場合がある。このときは、ねじりトルクによってサブギアが回転し、出力ギアの歯面がメインギアに接するまで出力ギアを回転させてバックラッシュを減少させる。従って、出力軸が僅かに回転することがある。
【0017】
また、請求項4のように、入力軸に設けられる入力ギア、出力軸に設けられる出力ギア、前記入力ギアと出力ギアの間に設けられ、前記入力ギアと噛合する中間出力ギア及び前記出力ギアと噛合する中間入力ギアを有する、第1中間ギア及び第2中間ギアを具え、第1中間ギア又は第2中間ギアの中間入力ギアをメインギア又はサブギアとし、中間出力ギアをサブギア又はメインギアとして、第1中間ギア又は第2中間ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構が組込まれているという構成によれば、2段のギアにも本発明のローバックラッシュギア機構を適用することができる。
【0018】
また、バックラッシュを少なくするときにメインギア又はサブギアのどちらが回転するかによって、モータの停止後に出力軸が僅かに回転することがあることは請求項3の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のローバックラッシュギア機構の正面図。
【図2】図1の要部の周方向断面図。
【図3】本発明の第2実施形態を1段のギアに組込んだ場合の停止(組付)時の正面図。
【図4】図3の停止(組付)時の要部拡大横断面図。
【図5】図3の回転時の要部拡大横断面図。
【図6】本発明の第3実施形態を2段のギアに組込んだ場合の停止(組付)時の正面図。
【図7】図6の一定方向回転時の正面図。
【図8】(a)本発明を利用した減速装置の正面図、(b)(a)の要部側面断面図。
【図9】図8の9−9線横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜9を参照して説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。なお、各図において便宜上、バックラッシュを誇張して表している。
【0021】
図1のローバックラッシュギア機構10は、軸12と連結されるメインギア15及び軸12上に回転可能に設けられ、1つの半球型の穴17が設けられているサブギア25、半球型の穴17に嵌合するボール24、ボール24が嵌合可能な大きさの周方向断面V字型の溝18aが設けられ、軸12と連結され、軸方向に移動可能なドリブンプレート18、軸12にねじ込まれるナット14、及びナット14とドリブンプレート18の間に設けられる弾性体である皿ばね16を具えている。なお、半球型の穴17はボール24を保持することができれば、凹溝形状等の半球型以外の形状であってもよい。また、溝18aは周方向の断面がV字型であればよく、ボール24の替わりにころを使用することもできる。
【0022】
図2に示すように、軸12とドリブンプレート18とはキー部18bによってキー締結されることにより連結されている。このため、軸12と連結されるメインギア15とドリブンプレート18は同一方向に回転することになる。また、半球型の穴17の最深部と溝18aの最深部との位置が周方向にずれているため、ボール24は溝18aの一方の斜面に接した状態で組付けられることになる。このとき、ドリブンプレート18が皿ばね16によって軸方向に押圧されると、ボール24は溝18aに嵌ろうとする方向に移動するため、ドリブンプレート18は左回転方向に、サブギア25は右回転方向に回転しようとする。その結果、ドリブンプレート18の左回転方向のトルクは軸12を介してメインギア15に伝わるため、メインギア15とサブギア25に対し相対方向のトルク、すなわち、ねじりトルクを与えることができる。ねじりトルクが発生する半球型の穴17の最深部と溝18aの最深部との位置関係で、図1に示すように、メインギア15及びサブギア25を他のギア55と噛合させることにより、他のギア55の歯面56、57にメインギア15、サブギア25のいずれか一方が押付けられることになり、バックラッシュを少なくすることができる。また、メインギア15又はサブギア25が他のギア55の歯面56又は57と接することにより、メインギア15、すなわちドリブンプレート18、及びサブギア25の位置は固定され、ボール24はそれ以上溝18aに嵌ろうとする方向に移動することができなくなるため、図2に示すような状態で安定する。なお、図2において、半球型の穴17の最深部と溝18aの最深部との位置のずれが少なく、ボール24が溝18aの両方の斜面に接している場合は、皿ばね16によってドリブンプレート18を押圧してもねじりトルクが発生しないため、組付(停止)時は、図2に示すような状態とすることが必要である。また、図2では、半球型の穴17の最深部を左側、溝18aの最深部を右側に位置させているが、これを、逆にした場合、逆方向のねじりトルクを与えられることはいうまでもない。また、ナット14の軸12へのねじ込み具合によってナット14の締付け角度を変更することで、皿ばね16がドリブンプレート18を押圧する力を調節することができるため、ねじりトルクの大きさを簡便に調節することができる。従って、ローバックラッシュギア機構10の使用用途や環境に応じたねじりトルクを容易に実現することができる。なお、半球型の穴17及び溝18aを設ける位置と軸12との距離が近いほどモーメントが小さくなり、遠いほどモーメントが大きくなるということは力学の法則から自明である。
【0023】
次に、図3は、ローバックラッシュギア機構10aを使用した1段のローバックラッシュギア装置100の停止(組付)時の正面図である。ローバックラッシュギア装置100は、図示しないモータと連結される入力軸52aに設けられている入力ギア55aと出力軸12aに設けられているローバックラッシュギア機構10aのメインギア15a及びサブギア25aが噛合している。なお、入力軸52aと出力軸12aを逆にした構成、すなわち、入力軸52a上にローバックラッシュギア機構10aを設けることもできるが、構成は基本的に同じであるため、その説明は省略する。
サブギア25aには、ボール24が嵌合する半球型の穴28a、及びねじ26を挿入するための正面から見て楕円型の長孔28bを有するドリブンフランジ28が具えられている。このように、ドリブンフランジ28を介在させることで、長孔28bの範囲内でねじ26のサブギア25aへの装着位置を変更し、ドリブンフランジ28のサブギア25aへの取付角度を調整することで、半球型の穴28aの位置をずらすことができる。一方で、図4に示すように、ドリブンプレート18は、ドリブンフランジ28がねじ26によってサブギア25aに装着された後に、キー部18bによって出力軸12aとキー締結される。このため、ドリブンプレート18に設けられている溝18aの位置は固定である。従って、ドリブンフランジ28の取付位置を調整し、半球型の穴28aの位置を調整することで、半球型の穴28aの最深部と断面V字型の溝18aの最深部との位置のずれ具合を簡便に調整することができる。また、ローバックラッシュギア機構10aは、複数のコイルばね16aをナット14aによって押さえつけることによって、ドリブンプレート18を押圧している。このように、弾性体としては皿ばね、コイルばねというようなばね類を適用することができ、また、場合によってはゴム等の弾性体も適用可能である。
【0024】
図4、5は、ローバックラッシュギア装置100の停止(組付)時、及び回転時のローバックラッシュギア機構10aの要部拡大断面図である。なお、説明の便宜上、ハッチングは施していない。ローバックラッシュギア装置100の停止(組付)時は、図4に示すように、ナット14aが出力軸12aにねじ込まれ、コイルばね16aを押さえつけるため、コイルばね16aによってドリブンプレート18が押圧されていることになる。従って、半球型の穴28aに嵌合しているボール24は、溝18aに嵌ろうとする方向に移動しようとするため、ドリブンプレート18からキー部18bによってキー締結される出力軸12aを通じてメインギア15aには矢印Aが示す左回転方向の、また、サブギア25aには矢印Bが示す右回転方向のトルクが発生する。そして、図3に示すように、メインギア15aが入力ギア55aの歯面56aと、サブギア25aが入力ギア55aの歯面57aと接することによって、図4のボール24は溝18aに嵌ろうとする方向にそれ以上移動することはできなくなるため、ローバックラッシュギア装置100の停止(組付)時は、図4に示すように、半球型の穴28aの最深部と溝18aの最深部との位置が周方向にずれている状態となる。すなわち、ねじりトルクによって、メインギア15aが入力ギア55aの歯面56aに、サブギア25aが入力ギア55aの歯面57aに押付けられている状態であるから、バックラッシュが少なくなる。なお、半球型の穴28aの最深部と溝18aの最深部との位置のずれが少なく、ボール24が溝18aの両方の斜面に接している場合は、コイルばね16aによってドリブンプレート18を押圧してもねじりトルクが発生しないため、停止(組付)時は図4に示す状態でなければローバックラッシュ機能は得られない。
【0025】
図3に示す、ローバックラッシュギア装置100の入力ギア55aが左右どちらの方向に回転しても、メインギア15a又はサブギア25aに加えられているねじりトルクと反対方向のトルクが作用することになる。具体的には、入力ギア55aが左回転し、メインギア15aにトルクを与える場合は、メインギア15aは出力軸12aと連結しているため、入力ギア55aからのトルクが出力軸12aに即伝達されることになる。このとき、入力ギア55a及び出力ギア10aは、図4に示すような、組付時の状態のまま、すなわち、バックラッシュの少ない状態のまま回転し、その回転が停止したときも、バックラッシュが少ない状態のままである。一方、入力ギア55aが右回転し、サブギア25aにトルクを与える場合は、サブギア25aは出力軸12a上に回転可能に設けられているため、入力ギア55aからのトルクは出力軸12aに即伝達されることはなく、入力軸52aからのトルクがサブギア25aに与えられているねじりトルクの大きさを超えたとき、サブギア25aにはねじりトルクと逆方向に回転を始める。このときのローバックラッシュギア装置100の回転時のローバックラッシュギア機構10aの要部は、図5に示すように、ねじりトルクを発生させる方向とは逆の、ボール24が溝18aを抜け出る方向に移動し、その移動距離分、ドリブンプレート18が軸方向に押されて移動し、コイルばね16aを圧縮する。このとき、ボール24は、入力ギア55aから伝えられるトルクによってボール24が溝18aから抜け出そうとする力とコイルばね16aの反力が均衡するまで、又は、メインギア15aとサブギア25aとの位置のずれがなくなり、入力ギア55aの歯面57aとメインギア15a及びサブギア25aとが接し、半球型の穴28aの最深部と溝18aの最深部との位置がそれ以上ずれなくなるまで、溝18aから抜け出そうとする方向に移動する。そして、入力ギア55aの回転が停止したとき、圧縮されたコイルばね16aの反力によって図4の状態、すなわち、バックラッシュが少ない状態に自動的に戻ることになる。なお、回転時にボール24が溝18aから完全に抜け出てしまうと、弾性体の反力を与えてもねじりトルクを発生させることができなくなるため、回転時にボール24が溝18aから完全に抜け出ない程度の、弾性体の反力の強さ、或いは、半球型の穴28aの最深部と溝18aの最深部との位置のずれ具合を設定する必要がある。
【0026】
次に、ローバックラッシュギア装置100の作動について詳細に説明する。例えば、図3のローバックラッシュギア装置100の入力軸52aが左回転する場合、メインギア15aに入力ギア55aの歯面56aからトルクが伝わり、メインギア15a及びメインギア15aと連結されている出力軸12aは右回転を始める。すなわち、入力軸52aからのトルクは出力軸12aに即伝達されることになる。また、このとき、出力軸12aとキー締結されているドリブンプレート18、出力軸12aにねじ込まれているナット14a、ナット14aとドリブンプレート18の間に設けられているコイルばね16aも同様に右回転を始める。一方で、サブギア25aには入力ギア55aからのトルクは伝達されていない。このとき、メインギア15aには入力ギア55aから右回転方向のトルクが与えられており、また、サブギア25aには右回転方向のねじりトルクが与えられているから、皿ばね16aは圧縮されずにメインギア15a及びサブギア25aは従動するように右回転する。このため、回転時は、図5に示すような状態とはならず、図4に示すような状態のまま、すなわち、バックラッシュが少ない状態のまま入力軸52aから出力軸12aにトルクが伝えられることになる。従って、入力軸52aの回転が停止したときも、図4に示すようなバックラッシュの少ない状態のままであるため、停止後に出力軸12aが回転することがない。
【0027】
一方、図3の入力軸52aが右回転する場合、サブギア25aに入力ギア55aの歯面57aからトルクが伝わることになる。サブギア25aは出力軸12a上に回転可能に設けられているため、出力軸12aにトルクは即伝達されることはなく、入力軸52aからのトルクがサブギア25aに与えられているねじりトルクの大きさを超えたとき、サブギア25aにはねじりトルクとは逆方向の、左回転を始める。このとき、サブギア25aに装着されているドリブンフランジ28及びドリブンフランジ28に設けられている半球型の穴28aのボール24にもトルクが伝達され、サブギア25aと同方向に回転を始める。このため、ボール24は、ボール24に与えられるトルクとコイルばね16aの反力が均衡するまで、又は、入力ギア55aの歯面57aがメインギア15aに接するまで、溝18aを抜け出そうとする方向に移動し、図5に示す、ボール24と溝18aとの位置関係になるとともに、ボール24からドリブンプレート18にトルクが伝達され、結果として、出力軸12aにトルクが伝えられることになる。この状態から入力軸52aが停止したとき、コイルばね16aの反力によってボール24が溝18aに嵌ろうとする方向に移動し、ねじりトルクが発生することになる。従って、サブギア25aは右回転し、メインギア15aは左回転するため、メインギア15aの左回転に伴って出力軸12aは僅かに左回転し、同時に、サブギア25aと接している入力ギア55aは僅かに左回転する。そして、図3に示すように、メインギア15aが入力ギア55aの歯面56aと、サブギア25aが入力ギア55aの歯面57aと接したところで停止する。ここで、入力軸52aが図示しないモータと直接連結され、そのモータがサーボロックにより回転しないように固定される場合は、モータのサーボロックにより入力軸52aが回転しないように固定されるため、ねじりトルクによって入力ギア55a及びそれと接しているサブギア25aが回転することはなく、メインギア15aのみが左回転しバックラッシュを少なくする。メインギア15aは出力軸12aと連結されているため、メインギア15aが回転した分メインギア15aと連結している出力軸12aも僅かに回転することになる。
【0028】
次に、入力軸上にローバックラッシュギア機構10aを設けた場合の動作であって、前述した出力軸上にローバックラッシュギア機構10aを設けた場合と異なる点について、以下、この段落において、図3の入力軸52aを出力軸52aと、入力ギア55aを出力ギア55aと、出力軸12aを入力軸12aとして説明する。
入力軸12aが左回転する場合、メインギア15aから出力ギア55aの歯面56aにトルクが伝わり、出力ギア55a及び出力軸52aは右回転を始める。すなわち、入力軸12aからのトルクは出力軸52aに即伝達されることになる。このとき、入力軸12aからのトルクは、メインギア15aに与えられているねじりトルクと同一方向であるため、図5に示すような状態とはならず、図4に示すような状態のまま、すなわち、バックラッシュが少ない状態のまま入力軸12aから出力軸52aにトルクが伝えられることになる。従って、入力軸12aの回転が停止したときも、図4に示すようなバックラッシュの少ない状態のままであるため、停止後に出力軸52aが回転することがない。
【0029】
一方、入力軸12aが右回転する場合、メインギア15aと出力ギア55aの歯面57aとの間には僅かな隙間が存在しているため、メインギア15aが右回転を始めると、ドリブンプレート18及び溝18aも同様に右回転し、ボール24が、溝18aに与えられるトルクとコイルばね16aの反力が均衡するまで、又は、メインギア15aが出力ギア55aの歯面57aに接するまで、溝18aを抜け出そうとする方向に移動し、図5に示す、ボール24と溝18aとの位置関係になるとともに、溝18aからボール24及び半球型の穴28aを介してドリブンフランジ28にトルクが伝達され、結果として、メインギア15a又はサブギア25aから出力ギア55a及び出力軸52aにトルクが伝えられることになる。
そして、入力軸12aが停止したとき、コイルばね16aの反力によってボール24が溝18aに嵌ろうとする方向に移動し、ねじりトルクが発生することになる。従って、メインギア15aは左回転し、サブギア25aは右回転するため、メインギア15aの左回転に伴って入力軸12aは僅かに左回転し、同時に、サブギア25aと接している出力ギア55aは僅かに左回転する。そして、図3に示すように、メインギア15aが出力ギア55aの歯面56aと、サブギア25aが出力ギア55aの歯面57aと接したところで停止する。ここで、入力軸12aが図示しないモータと直接連結され、そのモータがサーボロックにより回転しないように固定される場合は、入力軸12aと連結されることになるメインギア15aがバックラッシュを少なくする方向に回転できない。従って、ねじりトルクによってサブギア25aが出力ギア55aの歯面57aと接している状態で右回転し、出力ギア55aの歯面56aがメインギア15aに接するまで出力ギア55aを回転させるから、出力軸52aが僅かに回転する。
【0030】
次に、図6は、ローバックラッシュギア機構10bを使用した2段のローバックラッシュギア装置200の停止(組付)時の正面図である。ローバックラッシュギア装置200は、図示しないモータと連結される入力軸52bに設けられている入力ギア55b、出力軸62に設けられている出力ギア65、入力ギア55bと出力ギア65の間に設けられる第1中間ギア30、及び第2中間ギアとしてローバックラッシュギア機構10bを具えている。第1中間ギア30は、第1中間出力ギア35及び第1中間入力ギア45を有しており、また、ローバックラッシュギア機構10bは、軸12b上に第2中間出力ギアであるサブギア25b、第2中間入力ギアであるメインギア15bを有している。なお、第1中間出力ギア35とサブギア25b、及び第1中間入力ギア45とメインギア15bの歯数は同一であって、第1中間出力ギア35、第1中間入力ギア45よりも、サブギア25b、メインギア15bの歯幅が狭いことが好ましい。また、半球型の穴28aにボール24が嵌合し、半球型の穴28aの最深部と周方向断面V字型の溝18aの最深部との位置がずれ、ボール24が溝18aの一方の斜面に接している状態で、弾性体である皿ばね16bによってドリブンプレート18が押圧されている。ローバックラッシュギア機構10bのように、ドリブンフランジ28に設けられる半球型の穴28a及びそれに嵌合するボール24及び周方向断面V字型の溝18a、並びに、ねじ26及び長孔28bを複数設ける構成としてもよい。このローバックラッシュギア機構10bもローバックラッシュギア機構10、10aと同様に、サブギア25bとメインギア15bには相対方向のトルクであるねじりトルクが発生している。このため、ローバックラッシュギア装置200の停止(組付)時は、図6に示すように、入力ギア55bの歯面56bと第1中間出力ギア35が、入力ギア55bの歯面57bとサブギア25bが、出力ギア65の歯面66とメインギア15bが、出力ギア65の歯面67と第1中間入力ギア45が接することになり、入力ギア55bの両側の歯面56b、57b及び出力ギア65の両側の歯面66、67が第1中間ギア30の第1中間出力ギア35、第1中間入力ギア45、ローバックラッシュギア機構10bのメインギア15b、又はサブギア25bのいずれかの歯車と接していることになるため、バックラッシュが少ない状態である。
【0031】
ここで、ローバックラッシュギア装置200の作動について具体的に説明する。図6のローバックラッシュギア装置200の入力軸52bが左回転する場合、入力ギア55bの歯面56bから第1中間出力ギア35にトルクが伝わり、第1中間出力ギア35及び同軸上に設けられている第1中間入力ギア45は右回転を始める。そして、第1中間入力ギア45のトルクは出力ギア65の歯面67を通じて出力ギア65に伝わり、出力ギア65及び出力軸62が左回転する。すなわち、入力軸52bが左回転する場合は出力軸62にトルクが即伝達されることになる。なお、出力ギア65へ伝えられたトルクは、出力ギア65の歯面66からメインギア15bへ右回転方向のトルクとして伝えられることになるが、サブギア25bには右回転方向のねじりトルクが与えられており、また、入力ギア55bは左回転しているため、皿ばね16bは圧縮されずに、メインギア15b及びサブギア25bは従動するように右回転する。すなわち、バックラッシュが少ない状態で回転しているため、この状態から入力軸52bが停止したとしても、バックラッシュは少ない状態のままである。
【0032】
一方、図6の入力軸52bが右回転する場合、入力ギア55bの右回転に伴い、入力ギアの歯面57bからサブギア25bにトルクが伝達される。サブギア25bに伝えられたトルクによって、図5に示すように、ボール24は溝18aから抜け出そうとする方向に移動し、ドリブンプレート18を通じて皿ばね16b(図5ではコイルばね16a)を圧縮する。そして、図7に示すように、入力ギア55bの歯面57bが第1中間出力ギア35と接し、入力ギア55bは第1中間出力ギア35にもトルクを伝え始める。こうして、入力ギア55bからのトルクは第1中間ギア30及びローバックラッシュギア10bを通じて出力ギア65に伝わることになる。なお、入力ギア55bの歯面57bが第1中間出力ギア35と接する前に、サブギア25bに入力ギア55bから与えられるトルクと皿ばね16bの反力が均衡する場合は、メインギア15bから出力ギア65にトルクが伝達されることになる。すなわち、いずれの場合も、ローバックラッシュギア機構10bの皿ばね16bが圧縮されている状態で入力軸52bから出力軸62へトルクが伝達されることになる。従って、入力軸52bが停止したとき、圧縮された皿ばね16bの反力によって、ローバックラッシュギア機構10bにねじりトルクが与えられる。このとき、サブギア25bには右回転方向のトルクが与えられ、入力ギア55bの歯面57bを通じて入力ギア55bを左回転させる。なお、入力軸52bがモータと直接連結されている場合は、モータのサーボロックによって入力軸52bが回転しないように固定されるため、サブギア25b及びそれと接する入力ギア55bが回転することはない。一方で、メインギア15bに与えられる左回転方向のトルクによって出力ギア65は右回転し、そのトルクは出力ギア65の歯面67から第1中間入力ギア45に伝わり第1中間入力ギア45は左回転する。そして、同軸上の第1中間出力ギア35も左回転し、入力ギア55bの歯面56bと接し、この時、ローバックラッシュギア装置200は完全に停止する。かくして、ローバックラッシュギア装置200は図6に示す状態、すなわち、バックラッシュが少ない状態に自動的に戻ることになる。
【0033】
図8(a)は、このローバックラッシュギア機構10bを組込んだ減速装置300を示す。(b)に示すように、第1中間ギア30と第2中間ギアであるローバックラッシュギア機構10bを上下に並設し、サブギア25bと中間出力ギア35の一部が軸方向に重なるように配置することによって、減速装置300の高さ及び軸方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0034】
図9に示すように、モータMは直交歯車50と連結されており、直交歯車50の入力軸52c上に平行歯車55cが設けられている。平行歯車55cがローバックラッシュギア機構10bのサブギア25bと噛合し、ローバックラッシュギア機構10bの軸12b上にメインギア15bが設けられ、メインギア15bは出力ギア65と噛合している。このように、ローバックラッシュギア機構10bを減速装置300に組込むことにより、バックラッシュが少ない減速装置を実現することができる。また、出力ギア65をラックにすれば、バックラッシュが少ないラックアンドピニオンを実現することもできる。すなわち、平行歯車に噛合する歯車であれば、本発明のローバックラッシュギア機構を適用できる。
【0035】
以上説明したように、本発明のローバックラッシュギア機構によれば、モータの正逆転のどちらの場合であってもバックラッシュを少なくすることができる。また、構造が単純であるため簡便に組立てることができ、ナットのねじ込み具合によって取付角度を調節するだけで、メインギア及びサブギアに与えるねじりトルクの大きさを簡便に調節することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 ローバックラッシュギア機構
10a ローバックラッシュギア機構(出力ギア)
10b ローバックラッシュギア機構(第2中間ギア)
12、12b 軸
12a 出力軸(段落0028、0029においては入力軸)
14、14a、14b ナット
15、15a、15b メインギア(中間入力ギア)
16、16a、16b 弾性体
17 半球型の穴(サブギアに設けられる)
18 ドリブンプレート
18a 周方向断面V字型の溝
24 ボール
25、25a、25b サブギア(中間出力ギア)
26 ねじ
28 ドリブンフランジ
28a 半球型の穴(ドリブンフランジに設けられる)
28b 正面から見て楕円型の長孔
30 第1中間ギア
35 中間出力ギア
45 中間入力ギア
52a、52b 入力軸(段落0028、0029においては出力軸)
55a、55b 入力ギア(段落0028、0029においては出力ギア)
62 出力軸
65 出力ギア
100、200 ローバックラッシュギア装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と連結されるメインギア及び同軸上に回転可能に設けられ、少なくとも1つの半球型の穴が設けられているサブギア、前記半球型の穴に嵌合するボール、前記ボールが嵌合可能な大きさの周方向断面V字型の溝が設けられ、前記軸と連結され、軸方向に移動可能なドリブンプレート、前記軸にねじ込まれるナット、及び前記ナットと前記ドリブンプレートの間に設けられる弾性体を具え、
前記軸の一端から順に、前記ナット、弾性体、ドリブンプレート、ボール、サブギア、メインギアが配置され、
前記ドリブンプレートが、前記サブギアの前記ボールが嵌合している前記半球型の穴の最深部と前記溝の最深部とが回転方向にずれ、前記ボールが前記溝の一方の斜面に接している状態で、前記弾性体により押圧されていることを特徴とする、
ローバックラッシュギア機構。
【請求項2】
前記サブギアにねじで装着され、少なくとも1つの前記ボールが嵌合する半球型の穴及び前記ねじを挿入するための正面から見て楕円型の長孔を有するドリブンフランジを具える、請求項1のローバックラッシュギア機構。
【請求項3】
入力軸又は出力軸に設けられる入力ギア又は出力ギア及び該入力ギア又は出力ギアに噛合し出力軸又は入力軸に設けられる2枚のギアを有する出力ギア又は入力ギアを具え、
前記出力ギア又は入力ギアの片方のギアを前記メインギアとし、他方のギアを前記サブギアとして、該出力ギア又は入力ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構が組込まれている、ローバックラッシュギア装置。
【請求項4】
入力軸に設けられる入力ギア、出力軸に設けられる出力ギア、前記入力ギアと出力ギアの間に設けられ、前記入力ギアと噛合する中間出力ギア及び前記出力ギアと噛合する中間入力ギアを有する、第1中間ギア及び第2中間ギアを具え、
前記第1中間ギア又は第2中間ギアの前記中間入力ギアを前記メインギア又はサブギアとし、前記中間出力ギアを前記サブギア又はメインギアとして、該第1中間ギア又は第2中間ギアに請求項1又は2のローバックラッシュギア機構が組込まれている、ローバックラッシュギア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−87909(P2013−87909A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230700(P2011−230700)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000150800)株式会社ツバキエマソン (102)
【Fターム(参考)】